説明

移動局装置

【課題】タクシー利用者及びタクシー乗務員の利便性を向上させることのできる移動局装置を提供する。
【解決手段】タクシーの乗務員は、顧客が乗車した際、その顧客がタクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている場合には、移動局装置10のカード処理部19に新しいカードを挿入し、AVM操作表示器11に乗客の目的地を入力して乗客の行先情報(緯度・経度)を登録した会員カード20を発行する。そして、タクシーの乗務員は、上記会員カード20を所持した顧客が乗車した場合には、会員カード20をカード処理部19に挿入して乗客の行先情報を読取る。カード処理部19で読取った行先情報は、AVM操作表示器11からカーナビ装置14へ送り、GPS地図表示部142の地図上に行先位置として表示する。従って、乗務員は、乗客に行先の説明を受けることなく行先道順を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用無線機によるタクシー管理用GPS(Global Positioning System)−AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムに用いられる移動局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線移動通信システムの発展により、手軽に広域エリアを対象とした移動体データ通信を行なうことが可能となっている。これら測位技術と無線移動通信システムが融合して、移動体の位置管理システムや文字伝送システムが実用化され、公衆用無線や業務用無線を通じて、宅配車両やタクシーなどの配車効率向上などを目的に利用されている。従来のタクシー配車用GPS−AVMシステム等の無線移動通信システムでは、配車センタにて配車の管理等を行ない、移動局である車両(タクシー)は、ポーリング応答信号により、GPSを利用して現在位置を配車センタに送信することで、配車効率の向上を図っている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、従来、タクシーにおいては、顧客が乗車した際に行先の住所等を確認し、例えばカーナビゲーション装置(以下、カーナビ装置と略称する)に住所等を入力して行先を表示させて道順確認を行なっている。このため乗客は、タクシーに乗車する都度、目的地を説明しなければならない。
【特許文献1】特開2003−217092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来のタクシーにおいては、顧客が乗車した際に行先の住所等を確認している。しかしながら、タクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている乗客にとっては、乗車の度に目的地を説明することは面倒に感じている。また、タクシー乗務員(運転手)にとっても、聞き間違いや途中で乗客が眠ってしまったときには乗客から目的地の明確な指示を引き出せない場合が多々あり、このことが乗客とのトラブルの要因にもなっている。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、乗車時に、決まった目的地についてはその説明を簡略化することができ、タクシー利用者及びタクシー乗務員の利便性を向上させることのできる移動局装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、車両に搭載され、センタ装置と業務用の無線回線を介して接続される移動局装置において、車載コンピュータの地図画面上に現在位置を表示し、目的地へのルートをガイドするカーナビゲーション装置と、顧客に行先情報を登録した会員カードを発行する会員カード発行手段と、前記顧客の乗車時に該顧客の会員カードから登録情報を読取るカード情報読取り手段と、前記カード情報読取り手段により読取られた行先情報を前記カーナビゲーション装置に送出し、該カーナビゲーション装置の地図画面に行先位置を表示させる手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、車両に搭載され、センタ装置と業務用の無線回線を介して接続される移動局装置において、車載コンピュータの地図画面上に現在位置を表示し、目的地へのルートをガイドするカーナビゲーション装置と、顧客に固有の顧客ID情報を登録した会員カードを発行する会員カード発行手段と、前記顧客の乗車時に該顧客の会員カードから顧客ID情報を読取るカード情報読取手段と、前記カード情報読取手段により読取った顧客ID情報をもとに無線回線により前記センタ装置の顧客管理サーバに問い合わせし、該顧客管理サーバに登録されている前記顧客ID情報に該当する行先情報を読出す行先情報読出手段と、前記行先情報読出手段により前記顧客管理サーバから読出した行先情報を前記カーナビゲーション装置に送出し、該カーナビゲーション装置の地図画面に行先位置を表示させる手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている乗客に対し、移動局装置にて行先情報を登録した会員カードを発行することにより、乗客は会員カードにて行先を明確に示すことができ、乗車の度に目的地を説明する必要がなく、タクシー利用者及びタクシー乗務員の利便性を向上させることができる。
【0009】
また、上記乗客に対して顧客ID情報を登録した会員カードを発行し、会員カードに登録された顧客ID情報をもとに無線回線によりセンタ装置の顧客管理サーバに問い合わせし、該顧客管理サーバに登録されている顧客ID情報に該当する行先情報を読出す構成とすることにより、乗客は会員カードにて行先を明確に示すことができ、また、会員カードにはID情報のみを登録するだけでよいので、情報量を少なくでき、安価な磁気カードを使用して目的を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る移動局装置、すなわち業務用無線機によるタクシーGPS−AVMシステムを利用した移動局装置10の構成例を示すブロック図である。上記移動局装置10は、タクシーに搭載されて使用される。
【0011】
図1において、11はAVM操作表示器で、表示部111及び操作部112を備えると共に、図示しないがCPU等の情報処理部を備えている。上記表示部111は、例えば液晶表示パネルを用いたもので、漢字、カナ、英、数字等を表示することが可能であり、例えば待機場所や行先、顧客情報等を表示する。また、操作部112は、文字入力キーやカーソルキーの他、「応答」、「了解」、「カード発行」等のファンクションキーを備えている。
【0012】
そして、上記AVM操作表示器11には、AVM無線部12、カーナビ装置14、マイク16、スピーカ17、料金メータ18、カード処理部19等が接続される。
上記AVM無線部12は、無線通信用のアンテナ13を備え、デジタル無線機に対応したもので、例えばARIB STD−T61準拠の規格を使用し、アクセス方式:SCPC方式、無線周波数:400MHz帯、を使用して無線基地局(センタ装置)と無線通信を行なう。
【0013】
上記カーナビ装置14は、GPS受信部141及びGPS地図表示部142からなり、GPS受信部141がGPS衛星からの電波をGPSアンテナ15により受信し、GPS地図表示部142に表示される地図画面上に車両の現在位置を表示し、目的地へのルートをガイドする。また、カーナビ装置14は、AVM操作表示器11から指示される目的地と現在の車両位置を一画面上に表示し、目的地が近付くに従って詳細画面へズームアップする機能を備えている。
【0014】
上記マイク16は、プレストーク式のものであり、ボタン操作時に送信を行なう。また、無線基地局から送られてくる音声情報は、スピーカ17より出力される。
【0015】
上記料金メータ18は、タクシー料金を表示する料金表示部181を備えると共に、「実車」ボタン182、「回送」ボタン183、「迎車」ボタン184、及び領収書発行用のプリンタ185を備えている。
【0016】
上記カード処理部19は、例えば磁気カードやICカード等を用いた会員カード20を装着してデータの書込み/読出しを行なうリーダ/ライタ機能を備えており、AVM操作表示器11から出力されるデータを会員カード20に書込み、あるいは会員カード20に記憶されているデータを読取ってAVM操作表示器11へ出力する。
【0017】
上記会員カード20は、例えば病気治療のために特定の病院までタクシーを利用している人とか、最寄の駅や勤務地まで何時もタクシーを利用している人など、タクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている顧客に対して発行するもので、顧客の目的地を例えば緯度・経度情報によって登録する。AVM操作表示器11は、例えばタクシーの営業地域における目的地の住所を緯度・経度情報に変換するデータ変換テーブル、電話番号から目的地の住所を検索する電話番号検索テーブル、建物や地域の名称等から目的地の住所を検索する名称検索テーブル等を予め備えている。
【0018】
AVM操作表示器11は、会員カード20を作成する機能を有しており、カード処理部19に何も書込まれていない新しいカードが挿入されている状態で、操作部112の操作により「カード発行」ボタンが操作され、その後、例えば顧客の目的地の住所が入力されると、データ変換テーブルを検索し、目的地の住所を緯度・経度情報に変換し、この緯度・経度情報を行先情報としてカード処理部19に送り、上記カードに書込んで会員カード20を作成する。この場合、会員カード20には、複数の行先情報を書込むことも可能である。
【0019】
また、AVM操作表示器11は、カード処理部19に会員カード20が挿入され、会員カード20に登録されている行先情報(緯度・経度情報)が読取られると、その行先情報をカーナビ装置14へ出力し、GPS地図表示部142における地図上に乗客の行先位置を表示させる機能を有している。なお、会員カード20に複数の行先情報が登録されている場合、AVM操作表示器11は、その行先情報に対応する住所を表示部111に表示し、乗務員により選択された行先情報をカーナビ装置14へ出力してGPS地図表示部142の地図上に表示させる。
【0020】
次に、上記第1実施形態における会員カード20の発行処理、及び会員カード20の登録情報に基づく行先表示処理について図1及び図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態における動作を説明するためのもので、上記移動局装置10を簡略化して示したものである。
【0021】
タクシーの乗務員は、顧客がタクシーに乗車した際、その乗客がタクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっているかどうかを確認する。乗客がタクシーを頻繁に利用していない場合には、従来と同様に乗客の行先を確認し、カーナビ装置14に住所等を入力して行先を表示させて道順確認を行なう。
【0022】
乗客が上記したように例えば病気治療のために特定の病院までタクシーを利用している人とか、最寄の駅や勤務地まで何時もタクシーを利用している人など、タクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている場合には、会員カード20を発行する。
【0023】
上記会員カード20の発行に際しては、例えば乗客にカード用紙を渡して、○○病院など目的地の名称あるいは住所、行先の電話番号等、目的地を特定できる情報を記載してもらう。乗務員は、カード処理部19に新しい会員カード20を挿入し、AVM操作表示器11における操作部112の「カード発行」ボタンを操作した後、カード用紙に記載された目的地の住所あるいは行先の電話番号を入力する。この場合、乗務員は、カード用紙ではなく、乗客から目的地の住所あるいは行先の電話番号を直接聞いて操作部112を操作して入力してもよい。また、乗客の行先は、目的地の名称や建物等の名称から目的地の住所を検索することも可能である。また、上記目的地の住所や電話番号等は複数入力してもよい。
【0024】
AVM操作表示器11は、目的地の住所が入力された場合は、その住所を表示部111に表示し、電話番号が入力された場合には電話番号検索テーブルを検索して行先の住所を読出して表示部111に表示する。乗務員は、表示部111に表示された内容を確認し、その住所で良い場合は確認ボタンを操作する。AVM操作表示器11は、確認ボタンが操作されると、上記表示部111に表示されている住所をデータ変換テーブルにより緯度・経度情報からなる行先情報21に変換し、カード処理部19に出力する。
【0025】
カード処理部19は、AVM操作表示器11から送られてきた行先情報21を会員カード20に書込み、その書込み処理を正常に終了すると、処理終了信号をAVM操作表示器11に送出する。AVM操作表示器11は、カード処理部19から処理終了信号が送られてくると、表示部111にカード発行処理が終了した旨のメッセージを表示する。乗務員は、表示部111の表示内容によるカードの発行処理が完了したことを確認すると、カード処理部19から会員カード20を取り出して乗客に渡す。上記会員カード20には、複数の行先情報(緯度・経度)を登録することが可能である。
【0026】
上記のようにしてAVM操作表示器11及びカード処理部19により会員カード20を発行することができる。
【0027】
次に、上記のように行先情報を登録した会員カード20を使用して乗客の行先をカーナビ装置14に表示する場合の処理について説明する。
上記会員カード20を携帯している顧客がタクシーに乗車した場合、乗務員は乗客から会員カード20を受け取り、カード処理部19に挿入する。カード処理部19は、挿入された会員カード20から行先情報(緯度・経度)を読取ってAVM操作表示器11に出力する。AVM操作表示器11は、カード処理部19で読取った行先情報(緯度・経度)が送られてくると、この行先情報(緯度・経度)をデータ変換テーブルにより対応する住所の文字情報に変換して表示部111に表示する。乗務員がこの表示内容を確認して操作部112の確認ボタンを操作すると、上記行先情報(緯度・経度)がカーナビ装置14に送られ、GPS地図表示部142の地図上に行先位置が表示される。なお、会員カード20に記憶されている行先情報(緯度・経度)が一つの場合は、カード処理部19で読取った行先情報(緯度・経度)をAVM操作表示器11から直ちにカーナビ装置14に送出し、乗務員による確認ボタンの操作を省略してもよい。
【0028】
また、上記会員カード20に行先情報(緯度・経度)複数登録されている場合は、AVM操作表示器11の表示部111に目的地として複数の住所が表示されるので、乗務員は表示された複数の住所の中から乗客の要求する目的の住所を選択し、確認ボタンを操作する。これにより選択された住所に対する行先情報(緯度・経度)がカーナビ装置14に送られ、GPS地図表示部142の地図上に行先位置として表示される。
【0029】
従って、乗務員は、乗客に行先の説明を受けることなく、上記カーナビ装置14に表示された行先位置に基づいて的確な行先道順を確認でき、タクシーを正しく走行させることができる。
【0030】
上記第1実施形態によれば、タクシーに搭載した移動局装置10により、タクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている乗客に対して行先情報(緯度・経度)を登録した会員カード20を発行することにより、乗客は会員カード20にて行先を明確に示すことができるので、乗車の度に目的地を説明する必要がなく、タクシー利用者及びタクシー乗務員の利便性を向上させることができる。
【0031】
なお、上記第1実施形態では、AVM操作表示器11にデータ変換テーブル、電話番号検索テーブル、名称検索テーブルを設け、AVM操作表示器11にて行先情報(緯度・経度)に変換する場合について示したが、その他、例えば上記データ変換テーブル、電話番号検索テーブル、名称検索テーブルを無線基地局側の処理装置に設け、AVM操作表示器11の操作部112から入力した目的地の住所等をAVM無線部12により無線基地局へ送信し、この無線基地局の処理装置で行先情報(緯度・経度)に変換して移動局装置10へ転送するようにしてもよい。
【0032】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る移動局装置10及び無線基地局30の構成を示すブロック図である。この第2実施形態における移動局装置10は、図1の第1実施形態に示したものと同様の構成を有しているが、乗客に対して対して会員カード20を発行する際、会員カード20には顧客固有の識別情報であるID情報41のみを登録している。
【0033】
そして、上記会員カード20を所持した顧客がタクシーに乗車した際、乗務員が会員カード20を移動局装置10のカード処理部19に挿入すると、AVM操作表示器11は、カード処理部19により会員カード20から読取ったID情報41をAVM無線部12から無線基地局30へ送信し、センタ装置である無線基地局30からID情報41に該当する行先情報(緯度・経度)42を転送してもらうように動作する。
【0034】
上記無線基地局30は、業務用無線機によるタクシー管理用GPS−AVMシステムを利用したセンタ装置であり、主要部の構成として例えば顧客管理サーバ31、入力装置32、表示装置33及び基地局無線機34を備えている。基地局無線機34は、無線通信用のアンテナ35を備え、移動局装置10のAVM無線部12と無線通信を行なう。
【0035】
上記顧客管理サーバ31には、入力装置32から入力される顧客情報が格納され、顧客情報データベースが構築される。上記顧客情報は、例えば図4に示すように会員IDに対応付けて顧客の氏名、自宅住所、目的地(決まった行き先)、登録/変更日等が記憶される。上記自宅住所、目的地の項目には、住所を示す文字情報と共にその住所位置が緯度・経度により記憶される。また、目的地の項目には、例えば「○○病院」のように目的地の名称も記憶する。なお、図4においては、目的地の項目が1つであるが、必要に応じて複数の目的地を記憶できるようにする。
【0036】
また、上記無線基地局30は、上記のように顧客情報を管理する他、図示しないが例えば電話受付けによる配車システム等、各種の機能を備えている。
【0037】
次に、上記第2実施形態における会員カード20の発行処理、及び会員カード20の登録情報に基づく行先表示処理について説明する。
タクシーの乗務員は、顧客がタクシーに乗車した際、その乗客がタクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっているかどうかを確認する。乗客がタクシーを頻繁に利用していない場合には、従来と同様に乗客の行先を確認し、カーナビ装置14に目的地を入力し、地図上に行先を表示させて道順確認を行なう。
【0038】
乗客がタクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている場合には、会員カード20を発行する。この会員カード20の発行に際しては、乗客にカード用紙を渡して例えば○○病院など目的地の名称あるいは住所、行先の電話番号、更に必要に応じて顧客の氏名や自宅住所等を記載してもらう。この場合、目的地を特定できる情報が得られれば、その他の情報は特になくてもよい。また、乗務員が顧客から上記の情報を聞き取ってカード用紙に記載してもよい。
【0039】
乗務員は、カード処理部19に新しい会員カード20を挿入し、AVM操作表示器11における操作部112の「カード発行」ボタンを操作する。AVM操作表示器11は、「カード発行」ボタンが操作されると、顧客固有の識別情報であるID情報(例えば、数桁の番号)を生成し、表示部111(図1参照)に表示すると共にカード処理部19に出力する。カード処理部19は、AVM操作表示器11から送られてきたID情報を会員カード20に書込み、その書込み処理を正常に終了すると、処理終了信号をAVM操作表示器11に送出する。AVM操作表示器11は、カード処理部19から処理終了信号が送られてくると、表示部111にカード発行処理が終了した旨のメッセージを表示する。乗務員は、表示部111に表示されたID情報を上記カード用紙に書込むと共に乗客に知らせる。また、乗務員は、表示部111の表示内容によってカードの発行処理が完了したことを確認すると、カード処理部19から会員カード20を取り出して乗客に渡す。
【0040】
なお、上記の例では、AVM操作表示器11によりID情報を発生する場合について示したが、乗客が希望するID情報を操作部112の操作によって入力するようにしてもよい。
【0041】
上記のようにしてAVM操作表示器11及びカード処理部19により会員カード20を発行することができる。なお、会員カード20を発行した直後、すなわち、無線基地局30の顧客管理サーバ31に上記顧客の情報を登録していない状態では、乗客の目的地をカーナビ装置14に入力し、地図上に行先位置を表示させて道順確認を行なう。
【0042】
そして、上記タクシーの乗務員は、例えば業務終了後等において、無線基地局30に戻った際に上記顧客の行先情報を記載に対するカード用紙を無線基地局30の管理者等に渡す。無線基地局30の管理者あるいはオペレータは、上記カード用紙の記載内容を参照し、ID情報に対応付けて目的地を入力装置32から入力し、顧客管理サーバ31に登録する。顧客管理サーバ31には、図4に示したように顧客のID情報に対応付けて目的地の項目に住所と共にその目的地の緯度・経度が行先情報として登録される。また、登録・変更日の項目には、登録した日付(又は変更した日付)が書込まれる。また、顧客管理サーバ31には、必要に応じて上記顧客の氏名、自宅住所等が登録される。この自宅住所は、タクシーを配車する場合に等において利用することができる。
【0043】
次に、上記のようにID情報を登録した会員カード20を使用して乗客の行先をカーナビ装置14に表示する場合の処理について説明する。
上記会員カード20を携帯している顧客がタクシーに乗車した場合、乗務員は乗客から会員カード20を受け取り、カード処理部19に挿入する。カード処理部19は、挿入された会員カード20からID情報41を読取ってAVM操作表示器11に出力する。AVM操作表示器11は、カード処理部19で読取ったID情報41をAVM無線部12から無線基地局30へ送信し、乗客の行先情報を問い合わせる。
【0044】
無線基地局30は、移動局装置10から送られてくるID情報41を基地局無線機34で受信すると、上記ID情報41により顧客管理サーバ31を検索し、ID情報41に該当する行先情報(緯度・経度)を読出して移動局装置10へ送信する。
【0045】
移動局装置10は、無線基地局30から送られてきた行先情報(緯度・経度)をデータ変換テーブルにより対応する住所等の文字情報に変換して表示部111に表示する。乗務員は、この表示内容を確認して操作部112の確認ボタンを操作する。また、表示部111に複数の目的地が表示された場合は、乗務員は表示された複数の目的地の中から乗客の要求する目的の住所を選択し、確認ボタンを操作する。これにより選択された住所に対する行先情報(緯度・経度)がカーナビ装置14に送られ、GPS地図表示部142の地図上に行先位置として表示される。なお、無線基地局30から送られてきた行先情報(緯度・経度)が一つの場合は、AVM操作表示器11から直ちにカーナビ装置14に送出し、乗務員による確認ボタンの操作を省略してもよい。
【0046】
従って、乗務員は、乗客に行先の説明を受けることなく、上記カーナビ装置14に表示された行先位置に基づいて的確な行先道順を確認でき、タクシーを正しく走行させることができる。
【0047】
上記第2実施形態によれば、タクシーを頻繁に利用し、目的地がほぼ決まっている乗客に対してID情報を登録した会員カード20を発行することにより、乗客は会員カード20にて行先を明確に示すことができるので、乗車の度に目的地を説明する必要がなく、タクシー利用者及びタクシー乗務員の利便性を向上させることができる。
【0048】
また、会員カード20にはID情報のみを登録するだけでよいので、情報量を少なくでき、高価なICカードを必要とせず、安価な磁気カードを使用して目的を達成することができる。
また、顧客の行先が変更になった場合でも、無線基地局30における顧客管理サーバ31の行先情報を変更することにより対応することができ、会員カード20の内容を変更する必要はない。
また、顧客が複数の行先を持つ場合でも、顧客管理サーバ31に複数の行先情報(緯度・経度)を登録しておくことにより、対応することができる。
【0049】
なお、上記第2実施形態では、会員カード20に登録したID情報を顧客に開示する場合について示したが、ID情報を顧客に開示することなくシステムを運用することが可能である。
【0050】
また、上記第2実施形態では、顧客のID情報及び目的地を記載したカード用紙を無線基地局30の管理者に渡して顧客管理サーバ31に登録する場合について示したが、タクシーの乗務員がAVM操作表示器11の操作部112を操作して顧客のID情報及び目的地を入力し、AVM無線部12により無線基地局30に送信して顧客管理サーバ31に登録するようにしてもよい。
【0051】
要するに本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係る移動局装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における動作を説明するためのもので、移動局装置を簡略化して示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る移動局装置及び無線基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態における顧客管理サーバに記憶する情報の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10…移動局装置、11…AVM操作表示器、111…AVM操作表示器の表示部、112…AVM操作表示器の操作部、12…AVM無線部、13…アンテナ、14…カーナビ装置、141…GPS受信部、142…GPS地図表示部、15…GPSアンテナ、16…マイク、17…スピーカ、18…料金メータ、181…料金表示部、182…「実車」ボタン、183…「回送」ボタン、184…「迎車」ボタン、185…プリンタ、19…カード処理部、20…会員カード、21…行先情報、30…無線基地局、31…顧客管理サーバ、32…入力装置、33…表示装置、34…基地局無線機、35…アンテナ、41…ID情報、42…行先情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、センタ装置と業務用の無線回線を介して接続される移動局装置において、
車載コンピュータの地図画面上に現在位置を表示し、目的地へのルートをガイドするカーナビゲーション装置と、
顧客に行先情報を登録した会員カードを発行する会員カード発行手段と、
前記顧客の乗車時に該顧客の会員カードから登録情報を読取るカード情報読取り手段と、
前記カード情報読取り手段により読取られた行先情報を前記カーナビゲーション装置に送出し、該カーナビゲーション装置の地図画面に行先位置を表示させる手段と、
を具備することを特徴とする移動局装置。
【請求項2】
車両に搭載され、センタ装置と業務用の無線回線を介して接続される移動局装置において、
車載コンピュータの地図画面上に現在位置を表示し、目的地へのルートをガイドするカーナビゲーション装置と、
顧客に固有の顧客ID情報を登録した会員カードを発行する会員カード発行手段と、
前記顧客の乗車時に該顧客の会員カードから顧客ID情報を読取るカード情報読取手段と、
前記カード情報読取手段により読取った顧客ID情報をもとに無線回線により前記センタ装置の顧客管理サーバに問い合わせし、該顧客管理サーバに登録されている前記顧客ID情報に該当する行先情報を読出す行先情報読出手段と、
前記行先情報読出手段により前記顧客管理サーバから読出した行先情報を前記カーナビゲーション装置に送出し、該カーナビゲーション装置の地図画面に行先位置を表示させる手段と、
を具備することを特徴とする移動局装置。
【請求項3】
前記行先情報は、目的地の緯度・経度情報により構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−78664(P2007−78664A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270926(P2005−270926)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】