説明

移動端末の認証方法およびその方法に用いられる装置

【課題】MVNO事業者が移動端末の認証やユーザへの課金の方法を自由にカスタマイズできるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】移動端末は基地局を介して認証要求を送信する。基地局と認証装置の間に位置する中継装置は、仮想移動体サービス事業者のサービスを提供するMVNO基地局を介して認証要求を受信すると、認証要求を、仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置に転送する。MVNO認証装置は、仮想移動体サービス事業者のユーザとして登録された移動端末から送信された認証要求を受信すると、アクセスを認可するか決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセス網において、端末の認証、課金をする方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの移動端末の普及に伴って、様々な事業者が通信サービスを提供している。通信サービスを提供する事業者には、移動体通信事業者(MNO、Mobile Network Operator)と、仮想移動体サービス事業者(MVNO、Mobile Virtual Network Operator)がある。MNO事業者は、基地局などの無線アクセス網を形成する設備を有する事業者である。一方、MVNO事業者は、基地局などの設備を持たずにMNO事業者から設備を借りて事業を展開する事業者であり、MVNOユーザの認証と使用料の課金を行うが、基地局の制御などは行わない。
【0003】
図1は、移動端末1(1a〜1d)が無線アクセス網を利用するときに行われるユーザの認証と課金の一例について説明する図である。この例では、移動端末1aと1cはMVNOユーザの端末で、移動端末1bと1dはMNOユーザの端末であるものとする。移動端末1は、MNO事業者によって制御されている基地局2(2a、2b)を介して、ASNGW(Access Service Network Gateway)3に対して認証要求メッセージを送信する。ASNGW3は、P−AAAサーバ(proxy authentication authorization accounting server)4へ認証要求メッセージを転送する。P−AAAサーバ4は、移動端末1がMNO事業者とMVNO事業者のいずれのユーザであるかに応じて認証要求メッセージを振り分ける。例えば、MVNOユーザの移動端末1aや1cからの認証要求を受けると、P−AAAサーバ4は、MVNO事業者のH−AAA(home authentication authorization accounting server)サーバ5へ認証要求メッセージを転送する。すると、H−AAAサーバ5は、MVNOユーザの認証と、MVNOユーザに対する課金を行う。一方、移動端末1b、1dはMNOユーザの移動端末1であるため、P−AAAサーバ4は、移動端末1b、1dからの認証要求メッセージを受信するとMNO事業者のH−AAAサーバ6へ認証要求メッセージを転送する。すると、MNO事業者のH−AAAサーバ6は、MNOユーザについての認証と課金を行う。
【0004】
関連する技術としては、各オペレータに対する独立の資源コントローラを有する無線ネットワーク制御装置が知られている。この資源コントローラは、異なるオペレータに対して異なるサービス品質が達成されるように、オペレータIDの加入者ユニットのサービスへの関連付けに応じて加入者ユニットに無線資源を割り当てる(例えば、特許文献1)。また、移動端末の事業者ID毎に、アクセス可能なエリアを登録するためのデータベースを備えた基地局制御装置も知られている(例えば、特許文献2)。さらに、選択可能なネットワーク要素のリストを記憶するネットワーク要素を備えたネットワークも知られており、このリストは、ルーティングエリア又は位置エリアなどを識別する識別子を使用してアクセスされる(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−539462号公報
【特許文献2】特開2007−235495号公報
【特許文献3】特表2003−534714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のとおり、移動端末1から送信された認証要求メッセージは、MNO事業者のP−AAAサーバ4によって、移動端末1へのサービスを提供している事業者に応じたH−AAAサーバ(5、6)へと振り分けられる。従って、認証や課金に際してMVNO事業者は、MNO事業者のP−AAAサーバ4に移動端末1から送られた情報以外の情報を用いることができない。このため、MVNO事業者は認証や課金の方法を自由にカスタマイズできないという問題がある。
【0007】
本発明では、MVNO事業者が移動端末1の認証やユーザへの課金の方法を自由にカスタマイズできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様によると、移動端末は基地局を介して認証要求を送信し、前記基地局と認証装置の間に位置する中継装置は、仮想移動体サービス事業者のサービスを提供するMVNO基地局を介して前記認証要求を受信すると、前記認証要求を、前記仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置に転送し、前記MVNO認証装置は、前記仮想移動体サービス事業者のユーザとして登録された移動端末から送信された前記認証要求を受信すると、アクセスを認可するか決定する認証課金方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
MVNO事業者は、移動端末の認証やユーザへの課金の方法を自由にカスタマイズできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】移動端末が無線アクセス網を利用するときに行われるユーザの認証と課金の一例について説明する図である。
【図2】MVNO基地局を介した認証課金方法で行われる動作の一例を説明する図である。
【図3】MVNO基地局を介して、移動端末の認証と課金が行われるときの動作の例を説明するシーケンス図(その1)である。
【図4】MVNO基地局を介して、移動端末の認証と課金が行われるときの動作の例を説明するシーケンス図(その2)である。
【図5】基地局を介して、移動端末が認証を要求する場合に行われる動作の一例を説明する図である。
【図6】基地局を介して、移動端末の認証と課金が行われるときの動作の一例を説明するシーケンス図である。
【図7】MVNO基地局を介した通信に対する課金によって発生する料金の支払方法の一例を説明する図である。
【図8】ASNGWの動作の一例を説明するフローチャートである。
【図9】移動端末が接続先の基地局を選択する方法の一例を説明する図である。
【図10】移動端末が接続先の基地局を選択する場合に行う動作の一例を説明するシーケンス図である。
【図11】基地局からブロードキャストされる報知信号の例を示す図である。
【図12】サービス情報フィールドと移動端末の接続ポリシーの例を示す図である。
【図13】基地局の選択が可能な接続方法での基地局の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図14】基地局の選択が可能な接続方法での移動端末の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図15】移動端末が基地局に接続する場合に行う動作の一例を説明する図である。
【図16】移動端末が基地局に接続する場合に行う動作の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2〜図6に示すシステムには、基地局2とMVNO基地局20の2種類の基地局が含まれる。以下の説明では、MNO事業者とMVNO事業者の間での契約などにより、MVNO基地局20を介して送受信されるメッセージの内容などを、MVNO事業者が設定もしくは変更できるものとする。ここで、MNO事業者とMVNO事業者の間の契約によっては、MVNO基地局の運用はMNO事業者からMVNO事業者に委託されることがあり、また、MVNO事業者がMVNO基地局の設置をMNO事業者に委託することもある。
【0012】
図2〜図6に示すシステムでは、移動端末1から送信された制御メッセージが経由した基地局が、MVNO基地局20であるかMNO事業者の基地局2であるかによって、ASNGW3が、制御メッセージの転送先を決定する。この制御メッセージの例としては、認証要求メッセージや課金開始要求メッセージなどが挙げられる。制御メッセージがMVNO基地局20を経由していれば、ASNGW3は制御メッセージをMVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送する。すなわち、MVNO基地局20を介する制御メッセージは、MNO事業者のP−AAAサーバ4で振り分けられない。このため、MVNO基地局20を介するメッセージにMNO事業者が要求しない情報を含めることやMNO事業者の用いるメッセージと異なる構成のメッセージを使用することができる。従って、MVNO事業者が認証や課金に際して使用する情報を選択する幅が広くなり、MVNO事業者が認証方法や課金方法などをカスタマイズしやすくなる。図2〜図6を参照して、第1の実施形態に係る認証課金方法で行われる動作の一例を4つのケースに分けて説明する。また、以下の説明では、1つのMVNO事業者と1つのMNO事業者が、各々のサービスを提供しているものとする。
【0013】
図2は、MVNO基地局を介した認証課金方法で行われる動作の一例を説明する図である。図2に示すシステムには、ASN(Access Service Network)11、CSN(Connectivity Service Network)12、MVNO網13が含まれる。このシステムでは、MVNO事業者を一意に識別するMVNO識別子と、MNO事業者を一意に識別するMNO識別子が用いられる。また、MVNO事業者のユーザとして登録された移動端末1(1a、1c)は、その移動端末(1a、1c)を登録しているMVNO事業者を識別するMVNO識別子(MVNO_ID)を記憶しているものとする。一方、MNO事業者のユーザとして登録された移動端末1(1b、1d)は、その移動端末(1b、1d)を登録しているMNO事業者のMNO識別子を記憶しているものとする。
【0014】
ASN11には、基地局(2、20)とASNGW3が含まれ、ASN11において無線アクセスに関する処理が行われる。基地局2とMVNO基地局20は、認証要求メッセージなどの制御メッセージの中継をするなど、移動端末1に対しての無線アクセスを提供する。基地局2およびMVNO基地局20には、基地局を識別するための基地局識別子が割り当てられている。以下の記載では、基地局2とMVNO基地局20の違いを明確化するために、基地局2を「MNO基地局」と記載することもある。MNO基地局は、後述するように、MNO基地局を介した通信に関するサービスの情報を、移動端末1に通知することがある。
【0015】
MVNO基地局20は、H−AAAサーバ5から通知された設定に応じて、そのMVNO基地局20を使用したときの課金条件を設定することができる。また、MVNO基地局20は、MVNO基地局20を介した通信でのサービス内容や課金条件などのサービス情報を、移動端末1に通知することができる。
【0016】
ASNGW3は、認証の補助や管理を行い、例えば、移動端末1から受信した認証要求メッセージが経由した基地局に応じて、認証要求メッセージの転送先となる認証装置を決定する。ASNGW3は、少なくともASNGW3に接続されているMVNO基地局20の基地局識別子を記憶している。また、ASNGW3は、MVNO基地局20を介して通信サービスを提供するMVNO事業者を識別するMVNO識別子を記憶している。さらに、MNO事業者のユーザに対して、MVNO基地局20を介したサービスの提供が行われる場合には、ASNGW3は、MVNO基地局20を介して受信した制御メッセージの転送を許可するMNO事業者のMNO識別子も記憶している。
【0017】
ASNGW3は、MVNO基地局20を介して受信した制御メッセージを、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送する。ここで、MVNO識別子か制御メッセージの転送を許可するMNO事業者のMNO識別子が付されている場合に、制御メッセージをMVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送するようにASNGW3を設計することもできる。一方、基地局2を介して制御メッセージを受信すると、ASNGW3は、MNO事業者のH−AAAサーバ6に、制御メッセージを転送する。制御メッセージの転送については、後で詳しく述べる。なお、ASNGW3は、MVNO識別子やMNO識別子をテーブルやデータベースとしてメモリ中に記憶することもできる。
【0018】
また、ASNGW3は、MVNO基地局20を介した通信が許可される対象となるMNOユーザやMVNOユーザの移動端末を特定する端末識別子をテーブルやデータベースに記録してメモリ中に記憶することもできる。さらに、ASNGW3は、課金情報についての処理、無線リソース管理、伝送リソース管理、ハンドオーバやロケーションアップデートに関する処理、無線関連機能の終端などを行うことがある。
【0019】
CSN12にはP−AAAサーバ4、H−AAAサーバ6、ホームエージェント(HA)7が備えられ、これらにより、インターネットへの接続やMVNO網13への接続、認証サーバによる認証、モバイルIPのホームエージェントによる処理などが行われる。
【0020】
P−AAAサーバ4とMNO事業者のH−AAAサーバ6は、MNOユーザの認証や課金の処理を行う。P−AAAサーバ4は、例えば、後述するように、ASNGW3から認証要求を受け取ると、MNOユーザからの認証要求をMNO事業者のH−AAAサーバ6に転送し、MVNOユーザからの認証要求をMVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送する。MNO事業者のH−AAAサーバ6は、P−AAAサーバ4やMVNO事業者のH−AAAサーバ5から転送された認証要求や課金要求などを処理して、MNOユーザに対する認証や課金を行う。ホームエージェント7は、移動端末1の登録や位置情報を管理する他、移動端末1へ送信されたパケットや移動端末1から送信されたパケットをインターセプトし、移動先の移動端末1へ中継する。
【0021】
MVNO網13は、MVNO事業者が提供するネットワークであり、MVNO事業者のH−AAAサーバ5を備えている。MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、MVNOユーザの認証と課金を行う他、例えば、MNOユーザからの認証要求やMNOユーザの使用に対する課金額の計算結果をMNO事業者のH−AAAサーバ6に通知することができる。さらに、H−AAAサーバ5は、MVNO基地局20に応じた課金条件を設定できる。例えば、離島や山間部など、ユーザのニーズが多くない地域に建設されたMVNO基地局20については料金を上乗せする設定を作成してMVNO基地局20に通知する。
【0022】
<ケース1>
図2を参照しながら、MVNO基地局20を介して、MVNOユーザの移動端末1aが認証を要求する場合に行われる動作について述べる。
【0023】
まず、MVNO基地局20の通信エリア内に位置する移動端末1aは、MVNO基地局20に接続する。MVNO基地局20は、移動端末1aとの接続が確立されるまでに、例えば、報知信号などを使って、MVNO基地局20を識別する基地局識別子を移動端末1aに通知する。移動端末1aとMVNO基地局20の間の接続が確立されると、移動端末1aは、ASNGW3の間で無線リンクを確立する。
【0024】
移動端末1aは、ASNGW3との間の無線リンクを確立すると、移動端末1aをユーザとして登録しているMVNO事業者に認証を要求するための認証要求メッセージを生成する。この認証要求メッセージには、移動端末1aが接続しているMVNO基地局20の基地局識別子と、移動端末1aが認証を要求するMVNO事業者を識別するMVNO識別子が含まれている。移動端末1aは、MVNO基地局20を介してASNGW3に認証要求メッセージを送信する。
【0025】
ASNGW3は、受信した認証要求メッセージに含まれている基地局識別子を元に、受信した認証要求メッセージが経由した基地局を特定する。ASNGW3は、認証要求メッセージがMVNO基地局20を経由したことを認識すると、認証要求メッセージの転送先をMVNO事業者のH−AAAサーバ5に決定する。次に、認証要求メッセージに含まれているMVNO識別子は、ASNGW3で認証要求メッセージを転送する対象として設定されているMVNO事業者のMVNO識別子かを確認する。MVNO識別子が認証要求メッセージを転送する対象の識別子である場合は、ASNGW3は、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に向けて、認証要求メッセージを転送する。
【0026】
MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、ASNGW3から認証要求メッセージを受信すると、移動端末1aの認証を行い、ASNGW3に認証応答メッセージを送信する。ASNGW3は、MVNO基地局20を介して移動端末1aに応答メッセージを転送する。認証に成功したときは、移動端末1aに対して、MVNO基地局20を介した通信サービスが開始される。
【0027】
このような認証方式を採用すると、MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、認証要求メッセージをASNGW3から直接、受信することができる。そのため、H−AAAサーバ5において認証に用いる情報や認証要求メッセージの構成は、MNO事業者のH−AAAサーバ6で用いられる情報やメッセージ構成と異なるものとすることができる。
【0028】
図3と図4は、MVNO基地局を介して、移動端末1の認証と課金が行われるときの動作の例を説明するシーケンス図である。図3、図4を参照しながら、移動端末1aがMVNO基地局を介した通信を行うときの認証と課金について説明する。
【0029】
(1)移動端末1aとASNGW3の間で無線リンクが確立される。前述のとおり、無線リンクが確立されるまでに、移動端末1aは、移動端末1aとASNGW3の間に位置するMVNO基地局20への接続処理を行い、MVNO基地局20の基地局識別子を取得している。
【0030】
(2)移動端末1aは、ASNGW3へ認証要求メッセージを送信する。この認証要求メッセージには、MVNO基地局20を識別する基地局識別子と、MVNO識別子が含まれている。
【0031】
(3)ASNGW3は、あらかじめ記憶している基地局識別子と受信した認証要求メッセージに含まれている基地局識別子を比較し、MVNO基地局20を経由した認証要求メッセージを受け取ったと判断する。あるいは、ASNGW3がポートの番号と各ポートに接続されている基地局(2、20)の関係を記憶している場合は、ASNGW3は、認証要求メッセージを受信したポートの番号からMVNO基地局20を経由したメッセージかを判断することもできる。
【0032】
次に、ASNGW3は、MVNO識別子を確認して、認証要求メッセージを転送するかを決定する。ここでは、ASNGW3が認証要求メッセージの転送を行う対象としているMVNO事業者のMVNO識別子は認証要求メッセージに含まれており、H−AAAサーバ5へ転送することが決定されたものとする。なお、ASNGW3は、H−AAAサーバ5への転送を行わない認証要求メッセージを廃棄することができる。
【0033】
(4)ASNGW3は、MVNO識別子を含む認証要求メッセージを、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送する。
(5)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、H−AAAサーバ5を運用するMVNO事業者に割り当てられたMVNO識別子と、認証要求メッセージに付されたMVNO識別子を比較して、両者が一致するか確認する。MVNO識別子が一致すると、H−AAAサーバ5は、受信した認証要求メッセージに基づいて、移動端末1aのアクセスを認可するかを決定し、認証応答メッセージをASNGW3へ送信する。ここでは、移動端末1aからのアクセスが認可されたものとする。
【0034】
(6)ASNGW3は、MVNO基地局20を介して、移動端末1aへ認証応答メッセージを転送する。
(7)アクセスが認可されると、移動端末1aは、割り当てられたIPアドレスを、例えば、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を用いてASNGW3に問い合わせる。割り当てられたIPアドレスが通知されると、移動端末1aにパケットを転送するホームエージェント7とASNGW3の間で接続が確立される。
【0035】
(8)ASNGW3は、H−AAAサーバ5に対して課金開始要求メッセージを送信する。
(9)H−AAAサーバ5は、課金開始要求メッセージに応答する課金開始応答メッセージをASNGW3に送信し、移動端末1aの通信に対する課金を開始する。
【0036】
(10)移動端末1aは、ホームエージェント7を介して、相手端末などの通信先との間でユーザデータ通信を行う。この間に、H−AAAサーバ5は、ASNGW3やMVNO基地局20などから、課金額の算出に用いる情報の通知を受けることができる。この場合、課金額の算出に用いる情報は、MVNO事業者の設定に応じて、H−AAAサーバ5からASNGW3やMVNO基地局20に要求される。例えば、H−AAAサーバ5は、移動端末1aが使用したパケット数や通信時間などの使用状況や、MVNO基地局20の基地局識別子などを、課金額の算出に用いる情報として指定できる。
【0037】
(11)移動端末1aの通信が終了すると、移動端末1aは、切断要求メッセージをASNGW3に送信し、ASNGW3は移動端末1aに切断応答メッセージを送信する。
(12)移動端末1aの通信が終了すると、ASNGW3は、H−AAAサーバ5に課金停止要求メッセージを送信する。なお、課金停止要求メッセージを送信するときに、ASNGW3がパケット数や通話時間などの使用状況をH−AAAサーバ5に通知することもできる。
【0038】
(13)H−AAAサーバ5は、使用状況などから課金額を算出する。また、H−AAAサーバ5からASNGW3へ課金停止応答メッセージが送信され、課金に関する処理が終了する。
【0039】
このように、認証や課金の際には、ASNGW3からH−AAAサーバ5へ直接、認証要求メッセージや課金開始要求メッセージが送信される。従って、MVNO基地局20を介して通信する移動端末1aのアクセスの認証や課金について、H−AAAサーバ5が使用する情報は、MNO事業者のP−AAAサーバ4に送られる情報と異なった情報とすることができる。このため、例えば、MVNO事業者は、MNO事業者の課金方法や認証方法とは異なる課金方法や認証方法を取ることができる。例えば、MVNO事業者は、MVNO基地局20の設置場所に応じて課金額を変動させることができ、また、期間限定の通話料値引きや、期間限定の寄付金徴収のための料金上乗せなどの課金方式の変更を、MNO事業者の課金条件とは無関係に行うことができる。
【0040】
なお、ケース1に述べた動作では、手順(3)でASNGW3が転送する対象となる認証要求メッセージを選択している。このように、ASNGW3において処理対象とする制御メッセージを選択することにより、いずれのH−AAAサーバ(5、6)でも処理されない制御メッセージがH−AAAサーバ5に転送されるのを防ぐことができる。従って、ASNGW3の処理によって、H−AAAサーバ5への負荷を軽減することができる。
【0041】
<ケース2>
次に、図2を参照しながら、MVNO基地局20を介して、MNOユーザの移動端末1bが認証を要求する場合に行われる動作について述べる。なお、MVNO事業者は、MVNO基地局20を介したMNOユーザの移動端末1bの認証を拒否することができ、移動端末1bの認証を拒否する場合には、ケース2の動作は行われない。
【0042】
まず、MVNO基地局20の通信エリア内に位置する移動端末1bは、MVNO基地局20に接続し、ASNGW3の間で無線リンクを確立する。なお、ケース1と同様に、MVNO基地局20を識別する基地局識別子は、例えば、報知信号などを使って1bに通知されており、無線リンクの確立もケース1と同様の手順で行われる。
【0043】
次に、移動端末1bは、MVNO基地局20の基地局識別子とMNO識別子が含まれている認証要求メッセージを作成し、MVNO基地局20を介してASNGW3に送信する。ASNGW3は、MVNO基地局20の基地局識別子が含まれている認証要求メッセージを受信すると、転送先をMVNO事業者のH−AAAサーバ5に決定する。さらに、ASNGW3は、認証要求メッセージを転送するかを、予め記憶しているMNO識別子と認証要求メッセージに含まれているMNO識別子を比較して決定する。両者が一致すると、ASNGW3は、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に認証要求メッセージを転送する。
【0044】
MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、ASNGW3から認証要求メッセージを受信すると、MVNO識別子とMNO識別子のいずれが含まれているかを確認する。MNO識別子を検出すると、H−AAAサーバ5は、移動端末1bがMNOユーザの移動端末1であると判断する。
【0045】
MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、移動端末1bのアクセスについての認証要求メッセージを、MNO事業者のH−AAAサーバ6に転送する。MNO事業者のH−AAAサーバ6は、移動端末1bの認証を行い、認証応答メッセージをMVNO事業者のH−AAAサーバ5に送信する。MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、認証応答メッセージをASNGW3に転送し、ASNGW3は、MVNO基地局20を介して移動端末1bに認証応答メッセージを転送する。認証が成功したときは、移動端末1bに対して、MVNO基地局20を介した通信サービスが開始される。
【0046】
図3、図4を参照しながら、移動端末1bがMVNO基地局を介した通信を行うときの認証と課金の手順について説明する。ケース2では、ケース1で行われる動作の他に、図3および図4の点線で囲まれた動作が行われる。MVNO基地局20と移動端末1bの間の無線リンクの確立は、ケース1で述べた手順(1)と同様に行われる。
【0047】
(2)移動端末1bは、ASNGW3へ認証要求メッセージを送信する。この認証要求メッセージには、MVNO基地局20を識別する基地局識別子と、MNO識別子が含まれている。
【0048】
(3)ASNGW3は、基地局識別子を用いて、MVNO基地局20を経由した認証要求メッセージを受け取ったことを認識する。次に、MNO識別子を確認して、認証要求メッセージを転送するかを決定する。ここでは、ASNGW3でMNOユーザの認証要求メッセージを転送するように設定されており、認証要求メッセージはH−AAAサーバ5へ転送する対象とされたものとする。
【0049】
(4)ASNGW3は、MNO識別子を含む認証要求メッセージを、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送する。
(4a)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、MNO識別子を含む認証要求メッセージを、MNO事業者のH−AAAサーバ6に転送する。MNO事業者のH−AAAサーバ6は、移動端末1bの認証を行う。ここでは、移動端末1bのアクセスが認証されたものとする。
【0050】
(4b)MNO事業者のH−AAAサーバ6は、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に向けて、認証応答メッセージを送信する。
(5)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、ASNGW3に向けて認証応答メッセージを転送する。
【0051】
認証応答メッセージがASNGW3から移動端末1bに転送されるときの動作から、課金開始要求メッセージがH−AAAサーバ5に送信されるまでの手順は、ケース1で述べた手順(6)〜手順(8)と同様である。
【0052】
(8a)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、課金開始要求メッセージを、MNO事業者のH−AAAサーバ6へ転送する。
(8b)MNO事業者のH−AAAサーバ6は、課金開始要求メッセージに応答する課金開始応答メッセージを、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に送信する。
【0053】
(9)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、課金開始応答メッセージをASNGW3に転送し、移動端末1bの通信に対する課金額を算出するための処理を行う。すなわち、MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、MNO事業者のH−AAAサーバ6の代理として、移動端末1bのサービスの利用に対する課金額を算出する。
【0054】
(10)移動端末1bは、ホームエージェント7を介して、相手端末などの通信先との間でユーザデータ通信を行う。この間、MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、ASNGW3やMVNO基地局20などから、課金額の算出に用いる情報の通知を受ける。課金額の算出に用いる情報は、ケース1の場合と同様に、MVNO事業者の設定に応じた情報とすることができる。
【0055】
(11)移動端末1bの通信が終了すると、移動端末1bは、切断要求メッセージをASNGW3に送信し、ASNGW3は移動端末1bに切断応答メッセージを送信する。
(12)移動端末1bの通信が終了すると、ASNGW3は、H−AAAサーバ5に課金停止要求メッセージを送信する。
【0056】
(12a)MVNOのH−AAAサーバ5は、MNO事業者のH−AAAサーバ6に課金停止要求メッセージを転送する。なお、課金停止要求メッセージを転送する前に、MVNO事業者のH−AAAサーバ5が、移動端末1bの通信に対する課金額を算出している場合には、課金停止要求メッセージと共に課金額をMNO事業者のH−AAAサーバ6に通知することもできる。
【0057】
(12b)MNO事業者のH−AAAサーバ6は、課金停止要求メッセージを受信すると、MVNO事業者のH−AAAサーバ5へ課金停止応答メッセージを送信する。
(13)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、課金停止応答メッセージをASNGW3へ転送する。なお、MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、課金停止応答メッセージを転送してから、移動端末1bへの課金額を算出することもできる。
【0058】
このように、MNOユーザに対する認証や課金の際には、MVNO事業者のH−AAAサーバ5へ認証要求メッセージや課金開始要求メッセージが送信された後、MNO事業者のH−AAAサーバ6へ転送される。従って、MNO事業者は、MVNO基地局20を経由してアクセスするユーザの認証に用いる情報を、MVNO事業者のH−AAAサーバ5が受信する認証要求メッセージに含まれている情報から選択することになる。また、MVNO事業者のH−AAAサーバ5が課金額を算出するため、課金額の算出方法などがMNO事業者とMVNO事業者で異なっていたとしても、移動端末1bの通信に対する課金額はMVNO事業者が使用している計算方法で計算される。
【0059】
なお、ASNGW3がMVNO基地局20を介した通信を許可するMNOユーザの端末識別子を記憶している場合は、ASNGW3は、手順(3)において、認証要求メッセージに含まれている端末識別子を記憶している端末識別子と比較する。認証要求メッセージ中の端末識別子がASNGW3に記憶されている端末識別子と一致すると、認証要求メッセージがH−AAAサーバ5に転送される。このように変形すると、MNOユーザのうちの特定のユーザについてMVNO基地局20を介した通信を許可できるなど、ユーザごとにサービス内容を変更することができる。
【0060】
<ケース3>
図5を参照しながら、基地局2を介して、MVNOユーザの移動端末1cが認証を要求する場合に行われる動作について述べる。
【0061】
まず、基地局2の通信エリア内に位置する移動端末1cは、基地局2に接続する。移動端末1cと基地局2の間の接続が確立されると、移動端末1cは、ASNGW3の間で無線リンクを確立する。移動端末1cは、ASNGW3との間の無線リンクを確立すると、認証を要求するための認証要求メッセージを生成し、基地局2を介してASNGW3に送信する。この認証要求メッセージには、移動端末1cをユーザとして登録しているMVNO事業者を識別するMVNO識別子が含まれるが、移動端末1cが接続している基地局2の基地局識別子を含まないものとすることができる。
【0062】
ASNGW3は、受信した認証要求メッセージに基地局識別子が含まれていないことを確認すると、MNO事業者が運用する基地局2を介して認証要求メッセージが送信されたと認識する。そこで、ASNGW3は、MNO事業者のP−AAAサーバ4へ、認証要求メッセージを転送する。
【0063】
MNO事業者のP−AAAサーバ4は、認証要求メッセージを受信すると、そのメッセージにより認証が要求されている移動端末1cがMNOユーザの移動端末とMVNOユーザの移動端末のいずれであるかを判定する。このとき、P−AAAサーバ4は、認証要求メッセージにMVNO識別子が含まれていると、MVNOユーザの端末からの認証要求メッセージであると判定する。そこで、P−AAAサーバ4は、移動端末1cをMVNOユーザの移動端末1であると判定し、MVNO事業者のH−AAAサーバ5へ認証要求メッセージを転送する。
【0064】
MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、認証要求メッセージを受信すると、移動端末1cの認証を行い、P−AAAサーバ4へ認証応答メッセージを送信する。P−AAAサーバ4は、ASNGW3とMVNO基地局20を介して移動端末1cに応答メッセージを転送する。認証に成功したときは、移動端末1cに対してMVNO基地局20を介した通信サービスが開始される。
【0065】
なお、ここでは、移動端末1cから送信される認証要求メッセージには、基地局識別子が含まれていないこととしたが、移動端末1は、基地局2を識別する基地局識別子を含む認証要求メッセージをASNGW3に送信することもできる。この場合、ASNGW3は、認証要求メッセージに基地局2の基地局識別子が含まれていることを確認すると、P−AAAサーバ4に認証要求メッセージを送信するように設定できる。すなわち、ASNGW3は、MVNO基地局20を経由したメッセージをH−AAAサーバ5へ転送し(ケース1)、基地局2を経由したメッセージをP−AAAサーバ4に転送できる(ケース3)。このように、ASNGW3は、認証要求メッセージが経由した基地局に応じて認証要求メッセージの転送先を決定できる。
【0066】
図6は、基地局2を介して、移動端末1cの認証と課金が行われるときの動作の一例を説明するシーケンス図である。図6を参照しながら、移動端末1cが基地局2を介した通信を行うときの認証と課金について説明する。
【0067】
(1)移動端末1cとASNGW3の間で無線リンクが確立される。
(2)移動端末1cは、ASNGW3へ、MVNO識別子を含む認証要求メッセージを送信する。
【0068】
(3)ASNGW3は、基地局2を経由して受信した認証要求メッセージを、MNO事業者のP−AAAサーバ4に転送する。認証要求メッセージが基地局2を経由していることは、前述のとおり、認証要求メッセージに基地局識別子が含まれていないことから検出することができる。
【0069】
(4)P−AAAサーバ4は、認証要求メッセージに含まれているMVNO識別子から、移動端末1cがMVNOユーザであることを検出すると、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に、認証要求メッセージを転送する。
【0070】
(5)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、受信した認証要求メッセージに基づいて、移動端末1cのアクセスを認可するかを決定し、認証応答メッセージをMNO事業者のP−AAAサーバ4へ送信する。なお、ここでは、移動端末1cのアクセスが認可されたものとする。
【0071】
(6)MNO事業者のP−AAAサーバ4は、ASNGW3へ、認証要求メッセージを転送する。
(7)ASNGW3は、基地局2を介して移動端末1cへ認証応答メッセージを転送する。
【0072】
(8)アクセスが認可されると、移動端末1cに割り当てられたIPアドレスを用いて、移動端末1cとホームエージェント7の間でASNGW3を介した接続が確立される。
(9)ASNGW3は、MNO事業者のP−AAAサーバ4に対して課金開始要求メッセージを送信する。
【0073】
(10)MNO事業者のP−AAAサーバ4は、移動端末1cがMVNOユーザの移動端末1であるため、課金開始要求メッセージをMVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送する。
【0074】
(11)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、MNO事業者のP−AAAサーバ4に課金開始応答メッセージを送信し、移動端末1cの通信に対する課金を開始する。
(12)MNO事業者のP−AAAサーバ4は、ASNGW3に課金開始応答メッセージを転送する。
【0075】
(13)移動端末1cは、ホームエージェント7を介して、相手端末などの通信先との間でユーザデータ通信を行う。この間、H−AAAサーバ5は、P−AAAサーバ4を介して、ASNGW3や基地局2などから、課金額の算出に用いる情報の通知を受ける。
【0076】
(14)移動端末1cの通信が終了すると、移動端末1cは、切断要求メッセージをASNGW3に送信し、ASNGW3は移動端末1cに切断応答メッセージを送信する。
(15)移動端末1cの通信が終了すると、ASNGW3は、MNO事業者のP−AAAサーバ4へ課金停止要求メッセージを送信する。
【0077】
(16)MNO事業者のP−AAAサーバ4は、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に課金停止要求メッセージを転送する。
(17)MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、課金停止応答メッセージを、MNO事業者のP−AAAサーバ4に送信する。H−AAAサーバ5は、使用状況などから課金額を算出する。
(18)P−AAAサーバ4からASNGW3へ課金停止応答メッセージが転送され、課金に関する処理が終了する。
【0078】
<ケース4>
図5を参照しながら、基地局2を介して、MNOユーザの移動端末1dが認証を要求する場合に行われる動作について述べる。
基地局2の通信エリア内に位置する移動端末1dは、基地局2に接続した後、ASNGW3との間で無線リンクを確立する。次に、移動端末1dは、MNO識別子を含む認証要求メッセージを生成し、基地局2を介してASNGW3に送信する。
【0079】
ASNGW3は、ケース3で述べた方法のいずれかを用いて、MNO事業者が運用する基地局2を介して認証要求メッセージが送信されたと認識し、MNO事業者のP−AAAサーバ4へ、認証要求メッセージを転送する。
【0080】
MNO事業者のP−AAAサーバ4は、認証要求メッセージにMNO識別子が含まれていることを確認すると、認証を要求している移動端末1dはMNOユーザの移動端末であると判定する。そこで、P−AAAサーバ4は、MNO事業者のH−AAAサーバ6へ認証要求メッセージを転送する。
【0081】
MNO事業者のH−AAAサーバ6は、認証要求メッセージを受信すると、移動端末1dの認証を行い、P−AAAサーバ4へ認証応答メッセージを送信する。P−AAAサーバ4は、ASNGW3と基地局2を介して移動端末1dに応答メッセージを転送する。認証に成功したときは、移動端末1dは、基地局2を介した通信サービスが開始される。
【0082】
MNOユーザの移動端末1dへの認証および課金の際に行われる動作は、図6を参照しながらケース3で述べた動作とほぼ同様である。ただし、MNOユーザの認証や課金は、MNO事業者のH−AAAサーバ6で行われる。そのため、ケース3で述べた手順(4)、(5)、(10)、(11)、(16)および(17)において、MVNO事業者H−AAAサーバ5が行っている動作は、ケース4では、MNO事業者のH−AAAサーバ6が行う。
【0083】
以上に述べたように、ケース1〜4で述べたように動作するシステムでは、MVNO基地局20を介してASNGW3に送信された認証要求メッセージは、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に送信される。すなわち、移動端末1がMVNO事業者のユーザの端末であるか、または、MNO事業者のユーザの端末であるかには依存せずに、認証要求メッセージが経由した基地局に応じて、その認証要求メッセージの転送先が決定される。従って、ケース1、2で述べたように、MVNO基地局20を経由した認証要求メッセージは、MNO事業者のユーザの端末から送信された場合も、MVNO事業者のユーザから送信された場合も、H−AAAサーバ5に転送される。なお、図2〜6の説明では、ASNGW3等は、受信した認証要求メッセージを転送すると述べたが、受信した認証要求メッセージをもとにしてRADIUS(Remote Authentication Dial In User Service)メッセージを作成して送信することもできる。
【0084】
前述のとおり、MVNO基地局20を経由する認証要求メッセージは、P−AAAサーバ4を経由せずに、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送される。このため、MVNO基地局20を介した通信について、MVNO事業者が認証や課金に際して使用する情報は、MNO事業者が認証や課金に用いる情報と同じ情報でなくてもよい。従って、MVNO事業者は、MVNO基地局20を介した通信の認証や課金について、MVNO事業者の裁量による条件設定をすることができ、認証や課金の方法を自由にカスタマイズすることができる。
【0085】
また、ケース1〜4のように動作するシステムでは、P−AAAサーバ4の負荷を軽減することもできるため、MNO事業者にも有用なシステムであるといえる。MVNO基地局20を経由した認証要求メッセージはP−AAAサーバ4に送られないため、P−AAAサーバ4は基地局2を経由して受信した認証要求メッセージだけを処理すればよく、P−AAAサーバ4が処理するメッセージの数を減らすことができる。従って、今後、MNO事業者やMVNO事業者の事業拡大によって、P−AAAサーバ4の負荷が大きくなっても、前述の方法を導入することにより、P−AAAサーバ4の負荷を軽減できる。
【0086】
図7は、MVNO基地局20を介した通信に対する課金によって発生する料金の支払方法の一例を説明する図である。MVNOユーザ31がMVNO基地局20を介して通信すると、ケース1で述べたように、MVNO事業者のH−AAAサーバ5で認証と課金が行われる。そこで、図7に示すように、MVNO32は、MVNOユーザ31に対してサービスを提供し、MVNOユーザ31はMVNO32にユーザ使用料を支払う。
【0087】
一方、ケース2に示したように、MNOユーザ33がMVNO基地局20を介して通信するときには、認証は、MNO事業者のH−AAAサーバ6で行われる。H−AAAサーバ6での認証に成功すると、MVNO32はMNO34の代理として、移動端末1bに対して、MVNO基地局20を介した通信(代理サービス)を提供する。また、MVNO事業者のH−AAAサーバ5が、代理サービスの使用料を計算する。そこで、MVNO32とMNOユーザ33の関係では、図7に示すように、MVNO32が、MNOユーザ33に対して通信サービスの提供と課金額の算出を行う。MNOユーザ33は、MNO34に対してユーザ使用料を支払う。ここで、MNOユーザ33は、MVNO32からMNO34の代理としてサービスの提供を受けても、MVNO32との間にユーザ契約等が無いため、MVNO32に直接的に使用料を支払うことはない。
【0088】
ユーザ使用料をMNOユーザ33から受け取ったMNO34は、MVNO32にMNOユーザへの代理サービスの使用料を支払う。また、MVNO32は、RAN(Radio Access Network)をMNO34から借りてサービスを提供しているため、RAN接続料をMNO34に支払う。なお、MNO34とMVNO32の間の契約などにより、MNOユーザ使用料とRAN接続料とを相殺した残りの額をMVNO32からMNO34に支払うこともできる。
【0089】
なお、MVNO32は課金額を計算するときに、MNOユーザ33の代理サービスの使用料を、MVNOユーザ31のユーザ使用料と異なる方法で計算することができる。また、課金方法は、パケット課金方式、時間課金方式のいずれの方式を用いることもできる。さらに、課金額の計算には、固定制、従量制、従量課金上限制など任意の計算方法を用いることができる。課金額の計算に用いる通信時間や通信パケット数などのデータは、MVNO基地局20が管理することができ、また、ASNGW3が管理することもできる。MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、MVNO基地局20やASNGW3から得られた情報に基づいて課金額を計算し、MNO34のH−AAAサーバ6に通知する。
【0090】
図8は、ASNGW3の動作の一例を説明するフローチャートである。ステップS11〜S13およびS17は、ケース3およびケース4の場合のASNGW3の動作である。ステップS11、S12、S14〜S17は、ケース1での動作を表している。また、ステップS11、S12、S14〜S18は、ケース2での動作を表している。図8に示す例では、移動端末1からASNGW3に送信される認証要求メッセージには、MVNO基地局20を識別する基地局識別子か、基地局2を識別するMNO基地局識別子のいずれかが含まれているものとする。なお、図8の説明では、ASNGW3は、受信した認証要求メッセージをもとにRADIUSメッセージを作成してP−AAAサーバ4もしくはH−AAAサーバ5に送信している。
【0091】
ASNGW3は、移動端末1から認証要求メッセージを受信すると、認証要求メッセージに含まれている基地局識別子もしくはMNO基地局識別子を確認し、MVNO基地局20を介して認証要求メッセージを受信したかを判定する(ステップS11、S12)。基地局2を介して認証要求メッセージを受信した場合には、ASNGW3は、受信した認証要求メッセージをもとに作成したRADIUSメッセージをP−AAAサーバ4に送信する(ステップS13、S17)。
【0092】
一方、MVNO基地局20から認証要求メッセージを受信した場合には、ASNGW3は、認証要求メッセージに含まれているMVNO識別子とASNGW3に記憶されているMVNO識別子を比較する(ステップS14)。両者が一致すると、ASNGW3は、受信した認証要求メッセージをもとに作成したRADIUSメッセージにMVNO事業者のH−AAAサーバ5の情報を入れて、H−AAAサーバ5へ送信する(ステップS15〜S17)。
【0093】
MVNO基地局20から受信した認証要求メッセージに含まれているMVNO識別子がASNGW3に記憶されているMVNO識別子と異なっている場合には、認証要求メッセージを送信した移動端末1はMNOユーザの端末である。そこで、MVNO識別子が記憶されている識別子と異なるときには、MNOユーザの接続を許可するかについて判定する(ステップS18)。MNOユーザの接続を許可する場合には、RADIUSメッセージをMVNO事業者のH−AAAサーバ5に送信する(ステップS15〜S17)。一方、MNOユーザの接続を許可しない場合には、接続を拒否して終了する(ステップS19)。接続を拒否するときには、エラーメッセージを移動端末1に送信することができ、また、移動端末1への通知をせずにASNGW3の動作を終了させることもできる。
【0094】
以上に述べたように、MVNO基地局20を経由した認証要求メッセージはMVNO事業者のH−AAAサーバ5で直接処理するため、MVNO事業者は、MVNO基地局20を経由する認証や課金の方法を自由にカスタマイズすることができる。このため、例えば、MVNO基地局20に応じて使用料を変更することなどができ、離島や山村など、通信インフラの整備が困難な地域に設置されたMVNO基地局20では上乗せ料金制を採用するなどして、採算が合うような料金体系にすることができる。このため、MVNO事業者は、本実施形態の方法を使用して離島などにMVNO基地局20を用いた事業を展開することができ、結果として、デジタルデバイドの解消につながる。また、MVNO事業者がシェアを広げたい地域においては、逆に、ターゲットとなる領域のMVNO基地局20を介した通信にはディスカウント料金を設定することができる。
【0095】
このようなMVNO基地局20ごとの課金条件は、H−AAAサーバ5において一括して設定や変更をすることができ、H−AAAサーバ5において、オペレータが任意のユーザインタフェースやコマンドを用いて設定できる。また、予め、H−AAAサーバ5において複数の課金条件を用意しておき、課金条件を設定もしくは変更するときに、H−AAAサーバ5は、設定対象のMVNO基地局20に対して適応する課金条件を通知することもできる。また、H−AAAサーバ5は、課金条件を一定エリアごとに設定もしくは変更することもできる。
【0096】
ここで、MVNO事業者は、ディスカウント料金や上乗せ料金など、課金条件が通常料金と異なる場合には、ユーザに通知することが望ましい場合がある。例えば、ディスカウント料金が適応される場合に、移動端末1においてその旨が表示などによってユーザに認識されると宣伝効果が予想される。一方、上乗せ料金が適応される場合には、そのことを移動端末1に通知することができれば、課金額についてのユーザとのトラブルを防ぐことができる。また、ユーザ側も、課金条件が異なる複数の基地局の通信エリアに位置する場合には、好ましい条件の基地局を接続先として選択できるシステムが望ましい。
【0097】
そこで、MVNO基地局20や基地局2が、課金条件などの接続に関する条件を移動端末1に通知することができ、ユーザ側も接続する基地局を選択できるシステムを、図9〜図16を参照しながら述べる。以下に説明する方法を用いると、MVNO事業者は、MVNOユーザが移動端末1を接続する基地局を選択可能なサービスを提供できる。また、このシステムでは、MVNO事業者が特定のMNOユーザと契約をすることなどによって、契約対象のMNOユーザについても同様に、基地局の選択を可能にすることもできる。
【0098】
図9は、移動端末1aが接続先の基地局を選択する方法の一例を説明する図である。移動端末1aは、基地局2とMVNO基地局20の両方の基地局の通信エリアに位置するものとする。MVNO基地局20と基地局2は、それぞれ、報知信号を送信するときに、その基地局を介して受けることができるサービスや課金条件などの条件を移動端末1aに通知する。移動端末1aでは、予め設定されている接続ポリシーに従って接続する基地局を選択し、レンジングメッセージ(Initial Ranging)を送信する。なお、移動端末1aに接続ポリシーを予め定めていない場合には、移動端末1aに備えられている画面にMVNO基地局20および基地局2から送られた条件を表示し、ユーザからの入力に応じて接続する基地局を決定することもできる。
【0099】
図10は、移動端末1aが接続先の基地局を選択する場合に行う動作の一例を説明するシーケンス図である。移動端末1aは、基地局2とMVNO基地局20の2つの基地局の通信エリアが重なった領域に位置していて、基地局2とMVNO基地局20の両方から報知信号を受信する。図10の例では、基地局2とMVNO基地局20のそれぞれから受け取ったサービス情報を比較して、MVNO基地局20に接続する場合について述べる。
【0100】
(1)基地局2とMVNO基地局20は、それぞれ(1a)および(1b)に示すように、報知信号をブロードキャストする。報知信号には、DCD(Downlink Channel Descriptor)メッセージ、UCD(Uplink Channel Descriptor)メッセージ、DL−MAP(Downlink Mapping Message)、UL−MAP(Uplink Mapping Message)、および、サービス情報が含まれている。なお、基地局2およびMVNO基地局20は、各々の基地局を識別するための基地局識別子を報知信号に含めて送信している。基地局識別子として例えば、CDMAコードを用いることができるが、基地局識別子は、基地局を一意に特定できる任意の識別子とすることができる。
【0101】
ここで、サービス情報には、移動端末1aが接続先の端末を選択するために使用することができる任意の条件が含まれ、例えば、その基地局を使用したときに適用される料金体系や、提供サービス、スループットなどとすることができるが、これらに限定されない。なお、DCDメッセージは、下り回線の物理レイヤの特性を規定し、UCDメッセージは、上り回線の物理レイヤの特性を規定する。DL−MAPは、下りのバースト割り当て情報を含み、UL−MAPは、上りのバースト割り当て情報を含む。
【0102】
図11は、基地局からブロードキャストされる報知信号40の例を示す図である。報知信号40は、ヘッダ41、メッセージコンテンツ42、チェックフィールド43、サービス情報フィールド44を含む。ヘッダ41やメッセージコンテンツ42(42a、42b)には、信号が報知信号40であることを示す情報や、DCDメッセージ、UCDメッセージ、DL−MAP、UL−MAPなどが含まれる。チェックフィールド43は、サービス情報が送信されているかを示すフィールドであり、移動端末1aは、チェックフィールド43を確認してサービス情報がサービス情報フィールド44に含まれているかを認識する。例えば、サービス情報フィールド44にサービス情報が含まれていると、チェックフィールド43の全てのビットが「1」であるなど、予め、基地局(2、20)と移動端末1は、サービス情報が含まれているときのチェックフィールド43の値を認識している。移動端末1aがサービス情報を用いて接続先の基地局を選択する手順は、後で詳しく述べる。
【0103】
(2)基地局2とMVNO基地局20は、(2a)と(2b)に示すように、UL−MAPメッセージをブロードキャストする。移動端末1aは、UL−MAPメッセージから、基地局2およびMVNO基地局20がイニシャルレンジングを行う間隔を取得する。
【0104】
(3)移動端末1aは、基地局2とMVNO基地局20のそれぞれから送信されたサービス情報の内容と移動端末1aの接続ポリシーを比較して、接続先の基地局を決定する。
図12はサービス情報フィールドと移動端末1aの接続ポリシーの例を示す図である。ここで、基地局2から送信された報知信号40にサービス情報フィールド44aが含まれ、MVNO基地局20から送信された報知信号40には、サービス情報フィールド44bが含まれているものとする。また、移動端末1aの接続ポリシーの例をサービス情報フィールド44に記載されている方式で表すと、サービス情報フィールド44cのように表記できるものとする。この例では、移動端末1aは、サービスA、C、Dは使用しないが、サービスBを使用する設定になっている。そこで、移動端末1aは、基地局2とMVNO基地局20から報知信号40を受信すると、受け取ったメッセージのサービス情報フィールド44aとサービス情報フィールド44bを確認し、サービスBを提供している基地局を検索する。図12に示されているように、基地局2はサービスBを提供していないが、MVNO基地局20ではサービスBの提供が受けられるため、移動端末1aは、MVNO基地局20を接続先の基地局として選択する。
【0105】
(4)移動端末1は、接続先の基地局として決定したMVNO基地局20にInitial Rangingメッセージを送信する。このとき、移動端末1は、Initial Rangingメッセージに、MVNO基地局20を識別する基地局識別子を含める。一方、接続先として選択されなかった基地局2へは、移動端末1は応答しない。
【0106】
(5)MVNO基地局20は、Initial Rangingメッセージから移動端末1aの無線状況を確認して、RNG RES(Ranging Response)メッセージを移動端末1aに送信する。移動端末1の無線状況がMVNO基地局20の要求する条件であれば、MVNO基地局20は、「Success」を示すメッセージを移動端末1aに送信する。一方、移動端末1aの無線状況がMVNO基地局20の要求する条件範囲に無い場合には、MVNO基地局20は、「Abort」もしくは「Continue」を示すメッセージを、移動端末1aに送信する。
【0107】
(6)移動端末1aに「Success」を示すメッセージを送信した場合、MVNO基地局20は、UL−MAPメッセージに含まれるCDMA Allocationにレンジングが成功したことを記録して移動端末1に送信する。
【0108】
(7)移動端末1aは、RNG REQ(Ranging Request)メッセージをMVNO基地局20に送信して、帯域割り当て手続きに入る。
(8)MVNO基地局20は、RNG RESメッセージを移動端末1aに送信してRF電力レベル調整値、周波数オフセット値、タイミングオフセット値などを移動端末1に通知する。
【0109】
(9)移動端末1aとMVNO基地局20の接続が確立し、移動端末1aは、MVNO基地局20を介してMVNO事業者のH−AAAサーバ5との間で認証応答メッセージ処理を行う。
【0110】
図13は、基地局の選択が可能な接続方法での基地局の動作の一例を説明するフローチャートである。基地局(2、20)は、DCDメッセージ、UCDメッセージ、DL−MAP、UL−MAPとともに、サービス情報をブロードキャストして、通信エリアに位置する移動端末1に提供サービスなどのサービス情報を通知する(ステップS21)。移動端末1aからInitial Rangingメッセージを受信した基地局は、移動端末1aの接続処理を行う(ステップS22、S23)。
【0111】
図14は、基地局の選択が可能な接続方法での移動端末1aの動作の一例を説明するフローチャートである。移動端末1aは、基地局(2、20)から受信したサービス情報を接続ポリシーと比較して接続する基地局を決定する(ステップS31)。次に、接続先として選択した基地局にInitial Rangingメッセージを送信し、接続処理を行う(ステップS32、S33)。
【0112】
このような方法を用いることによって、MVNOユーザや契約したMNOユーザなどに対して、基地局を選択可能な接続方法が提供される。図12を参照して説明した手順(3)では、移動端末1aが記憶している接続ポリシーに従って接続先の基地局を選択していたが、移動端末1aは、ユーザからの入力に従って接続先の基地局を選択することもできる。この場合には、例えば、接続可能な基地局と、それぞれの基地局で適用される料金を画面に表示する。次に、ディスカウント料金が適用されるMVNO基地局20をユーザが選択すると、移動端末1は、手順(4)で、選択されたMVNO基地局20にInitial Rangingメッセージを送信する。
【0113】
図12を参照しながら、移動端末1が希望するサービスを提供するMVNO基地局20がある例について述べたが、移動端末1aが接続できる基地局2もしくはMVNO基地局20のいずれも移動端末1aの接続条件に一致しない可能性もある。そこで、移動端末1aは、希望するサービスを提供する基地局(2、20)が無い場合に基地局を選択する条件を別途記憶することができる。例えば、サービスの優先順位を設定し、「サービスB、サービスA、サービスC、サービスD」などの順に設定しておき、サービスBを提供可能な基地局が無い場合には、サービスAを提供できる基地局に接続するように設定できる。
【0114】
また、サービスの種類だけでなく、課金条件に基づいて接続方法を設定することもできる。例えば、移動端末1aでは、通常料金かディスカウント料金が適用される基地局には接続するが、上乗せ料金が適用される基地局には接続しないように設定することもできる。また、課金条件の優先順位を「ディスカウント料金、通常料金、上乗せ料金」の順に設定しておいて、通常料金が適用される基地局が無い場合に、上乗せ料金が設定される基地局に接続されるように設定することもできる。
【0115】
図15は、移動端末1bが基地局に接続する場合に行う動作の一例を説明する図である。ここで、移動端末1bは、接続する基地局を選択するためのサービス情報の報知に対応していない移動端末1であるとする。すると、移動端末1bは、チェックフィールド43でサービス情報が含まれていることを示している報知信号40を受け取っても、サービス情報フィールド44の内容を使って接続先の基地局を選択しない。基地局2またはMVNO基地局20から送信された報知信号40の強度などに応じて接続先の基地局が決定される。
【0116】
図16は、移動端末が基地局に接続する場合に行う動作の一例を説明するシーケンス図である。
(1)基地局2とMVNO基地局20は、それぞれ手順(1a)および(1b)に示すように、報知信号をブロードキャストする。報知信号には、DCDメッセージ、UCDメッセージ、DL−MAP、UL−MAP、および、基地局識別子が含まれている。
【0117】
(2)基地局2とMVNO基地局20は、(2a)および(2b)に示すように、UL−MAPメッセージをブロードキャストする。
(3)移動端末1bは、UL−MAPメッセージから、基地局2およびMVNO基地局20がイニシャルレンジングを行う間隔を取得する。また、移動端末1bは、手順(1)で受信した放置信号の強度などから接続先となる基地局を選択し、Initial Rangingメッセージを送信する。ここで、移動端末1bは、サービス情報の報知に対応していない移動端末1であるため、サービス情報フィールド44にサービス情報が含まれていても、サービス情報を基地局の選択に用いない。
【0118】
手順(4)〜(8)の動作は、図10を参照して述べた手順(5)〜(9)と同様である。接続先となるMVNO基地局20は、「Success」を示すRNG RSPメッセージとCDMA Allocationを移動端末1bに送信する。移動端末1bとMVNO基地局20の間で帯域の割り当てや周波数オフセット値の通知などが終わると、移動端末1bは、MVNO基地局20を介してH−AAAサーバ5との間で認証応答メッセージ処理を行う。
【0119】
このように、チェックフィールド43を用いてサービス情報を通知するため、サービス情報を用いて基地局を選択しない移動端末1の動作を妨げることなく、報知信号40でサービス情報を通知することができる。
【0120】
<その他>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
【0121】
以上の説明では、MVNO事業者が1つの場合について説明したが、第1のMVNO事業者と第2のMVNO事業者がサービスを提供しており、MVNO基地局20は、第1のMVNO事業者が運用している場合の認証についてケース1の動作の変形例を述べる。この変形例では、第1のMVNO事業者は、第2のMVNO事業者にMVNO基地局20を使用したサービス提供をさせないようにすることができる。このとき、ASNGW3は、予め、第1のMVNO事業者を識別する識別子を、制御メッセージを転送する対象の事業者として記憶しているが、第2のMVNO事業者のMVNO識別子は記憶していない。
【0122】
ケース1の手順(3)において、ASNGW3は、認証要求メッセージに含まれるMVNO識別子を確認し、MVNO識別子が制御メッセージを転送する対象の事業者として指定されているかを確認する。例えば、基地局識別子によりMVNO基地局20が指定され、MVNO識別子が第1のMVNO事業者であれば、ASNGW3は、第1のMVNO事業者のH−AAAサーバ5に認証要求メッセージを送信する。一方、MVNO基地局20を指定する認証要求メッセージに含まれたMVNO識別子が第2のMVNO事業者を識別する識別子である場合には、ASNGW3は、認証を拒否し、認証要求メッセージを転送しない。
【0123】
このように変形することにより、複数のMVNO事業者が事業を展開している地域において、第1のMVNO事業者は、他のMVNO事業者のユーザの認証や課金を拒否することができる。
【0124】
また、ケース2で述べた動作を変形することにより、MVNO基地局20を運営しているMVNO事業者とは別のMVNO事業者のユーザの移動端末1の認証をすることができる。すなわち、第1のMVNO事業者のMVNO基地局20を介して、第3のMVNO事業者のユーザの移動端末1のアクセスを認証する場合には、ケース2で述べた動作と同様の動作が行われる。このとき、予め、ユーザの通信を認める第3のMVNO事業者のMVNO識別子をASNGW3に登録することができる。すると、MVNO識別子が登録されている第3のMVNO事業者のユーザについては、認証を行い、課金額を計算することができる。かかる場合には、第1のMVNO事業者は、H−AAAサーバ5で計算された課金額を第3のMVNO事業者に通知し、第3のMVNO事業者からMVNO基地局20の使用料などを回収することができる。
【0125】
また、これまでに述べたいずれの実施形態も、モバイルIPを用いて実施することができ、また、IMT−2000(International Mobile Telecommunications-2000)で標準化されている任意の無線インタフェースを用いて実施することができる。
【0126】
なお、図2では、ホームエージェント7がCSN12に設置されているシステムを例として説明したが、ホームエージェント7をMVNO網13に設置することもできる。
さらに、図2〜図6の説明では、基地局識別子は、報知信号で移動端末1に通知される場合を例としたが、基地局2やMVNO基地局20は、報知信号以外の任意の制御信号によって基地局識別子を移動端末1に通知することができる。
【0127】
また、ケース1〜4のいずれにおいても、ASNGW3にポートの番号と各ポートに接続されている基地局(2、20)の関係を記憶させることができる。この場合、ASNGW3は、認証要求メッセージを受信したポートの番号からMVNO基地局20を経由したメッセージかを判断することもできる。つまり、基地局識別子を用いずに、制御メッセージを基地局2とMVNO基地局20のいずれの基地局から受信したかを判定するように、ASNGW3を変形できる。なお、ポートの番号と各ポートに接続されている基地局(2、20)の関係は、テーブルとしてASNGW3のメモリ中に記憶することもできる。
【0128】
以上を概観すると、MVNO基地局20を介して中継装置に受信された認証要求は、MVNOユーザからの認証要求であるかMNOユーザからの認証要求であるかに関わらず、MVNO事業者のH−AAAサーバ5に転送される認証課金方法が提供される。MVNO事業者のH−AAAサーバ5は、MVNOユーザから送信された認証要求について、アクセスを認可するか決定する。また、H−AAAサーバ5は、MNOユーザから送信された認証要求を、MNO事業者のH−AAAサーバ6に転送する。このような方法を採用することにより、MVNO事業者は、MVNO事業者が認証課金に用いる情報を、MNO事業者の行っている認証課金方法と関係なく設定もしくは変更することができる。すなわち、MVNO事業者は、自由に課金方法や認証方法をカスタマイズすることができる。
【0129】
上述の各実施形態に対し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
移動端末は基地局を介して認証要求を送信し、
前記基地局と認証装置の間に位置する中継装置は、仮想移動体サービス事業者のサービスを提供するMVNO基地局を介して前記認証要求を受信すると、前記認証要求を、前記仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置に転送し、
前記MVNO認証装置は、前記仮想移動体サービス事業者のユーザとして登録された移動端末から送信された前記認証要求を受信すると、アクセスを認可するか決定する
ことを特徴とする認証課金方法。
(付記2)
前記中継装置は、移動体通信事業者のサービスを提供するMNO基地局を介して前記認証要求を受信すると、前記認証要求を、前記移動体通信事業者によって管理されているMNO認証装置に転送し、
前記MNO認証装置は、前記移動体通信事業者のユーザとして登録された移動端末から送信された前記認証要求について、アクセスを認可するか決定する
ことを特徴とする付記1に記載の認証課金方法。
(付記3)
前記認証要求は、前記認証要求を中継する基地局を識別する基地局識別子を含み、
前記MVNO認証装置は、前記基地局識別子に応じて、アクセスを認可した移動端末に対する課金額を算出する
ことを特徴とする付記1もしくは2に記載の認証課金方法。
(付記4)
前記MVNO認証装置は、前記MVNO基地局を介して、移動体通信事業者のユーザとして登録された移動端末に前記サービスが提供されるときに、前記基地局識別子に応じて、アクセスを認可した移動端末に対する課金額を算出して、前記移動体通信事業者によって管理されているMNO認証装置に前記課金額を通知する
ことを特徴とする付記3に記載の認証課金方法。
(付記5)
前記MVNO認証装置が受信した認証要求が、移動体通信事業者のユーザとして登録されているMNOユーザ端末から送信された場合、前記MVNO認証装置は、前記MNO認証装置に前記MNOユーザ端末からの認証要求を転送する
ことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の認証課金方法。
(付記6)
前記中継装置は、移動体通信事業者のユーザとして登録され、かつ、前記MVNO基地局を経由したサービスを受ける移動端末を表すMNOユーザ端末を識別する端末識別子を記憶し、
前記中継装置は、前記MVNO基地局を介して前記移動体通信事業者のサービスを利用するためのMNO認証要求を受信すると、前記MNO認証要求を送信した移動端末が前記MNOユーザ端末であるかを、前記端末識別子を用いて判定し、
前記MNO認証要求が前記MNOユーザ端末から送信されていない場合には、前記MNO認証要求を廃棄する
ことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の認証課金方法。
(付記7)
前記MVNO基地局は、移動体通信事業者のユーザとして登録された移動端末から、前記移動体通信事業者への認証を要求するMNO認証要求を受信すると、前記中継装置へ転送し、
前記中継装置は、前記MVNO基地局を介して前記MNO認証要求を受信すると、前記MNO認証要求を、前記MVNO認証装置に転送し、
前記MVNO認証装置は、前記MNO認証要求を前記MNO認証装置へ転送する
ことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の認証課金方法。
(付記8)
前記基地局は、前記基地局を介した通信によって提供されるサービスの条件を表すサービス情報を前記移動端末に通知し、
前記移動端末が複数の基地局から前記サービス情報を受信したとき、前記移動端末は、前記サービス情報に基づいて、前記複数の基地局の中から接続する基地局を決定する
ことを特徴とする付記1〜7のいずれかに記載の認証課金方法。
(付記9)
基地局を介して移動端末の認証要求を受信するときに、前記基地局が仮想移動体サービス事業者のサービス提供に用いられるMVNO基地局であるかを判定する判定部と、
前記MVNO基地局を介して送信された認証要求を、前記仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置へ送信する送信部、
を備えることを特徴とする中継装置。
(付記10)
前記基地局が移動体通信事業者のサービス提供に用いられるMNO基地局である場合、前記送信部は、前記移動体通信事業者によって管理されているMNO認証装置へ、前記移動端末の認証要求を転送する、
ことを特徴とする付記9に記載の中継装置。
(付記11)
仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置であって、
前記仮想移動体サービス事業者のサービス提供に用いられるMVNO基地局を介して、移動端末からの認証要求を受信する受信部と、
前記MVNO認証装置での認証を要求するMVNO認証要求に対して、前記MVNO認証要求を送信した移動端末のアクセスを認可するかを決定する決定部と、
前記受信部で受信された前記認証要求のうち、移動体通信事業者のサービス提供を要求するMNO認証要求を、前記移動体通信事業者の認証装置に転送する転送部
を備えることを特徴とする認証装置。
(付記12)
移動端末が認証装置へ認証要求を送信するときにアクセスされる基地局であって、
前記移動端末が前記基地局を介して通信を行うときのサービスの条件を表すサービス情報を前記移動端末に通知する条件通知部と、
前記認証要求を、前記基地局と前記認証装置の間に位置する中継装置へ転送する転送部
を備えることを特徴とする基地局。
(付記13)
基地局を介して通信を行うときのサービスの条件を表すサービス情報を前記基地局から受信する条件受信部と、
前記条件受信部で受信された条件に基づいて、アクセス先の基地局を決定する基地局決定部と、
前記基地局決定部で決定されたアクセス先の基地局を介して、認証要求を送信する送信部を備え、
前記認証要求には、前記アクセス先の基地局を特定する情報と、前記サービスを提供する事業者を特定する情報を含める
ことを特徴とする移動端末。
【符号の説明】
【0130】
1 移動端末
2 基地局
3 ASNGW
4 P−AAAサーバ
5、6 H−AAAサーバ
7 ホームエージェント
11 ASN
12 CSN
13 MVNO網
20 MVNO基地局
31 MVNOユーザ
32 MVNO
33 MNOユーザ
34 MNO
40 報知信号
41 ヘッダ
42 メッセージコンテンツ
43 チェックフィールド
44 サービス情報フィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末は基地局を介して認証要求を送信し、
前記基地局と認証装置の間に位置する中継装置は、仮想移動体サービス事業者のサービスを提供するMVNO基地局を介して前記認証要求を受信すると、前記認証要求を、前記仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置に転送し、
前記MVNO認証装置は、前記仮想移動体サービス事業者のユーザとして登録された移動端末から送信された前記認証要求を受信すると、アクセスを認可するか決定する
ことを特徴とする認証課金方法。
【請求項2】
前記中継装置は、移動体通信事業者のサービスを提供するMNO基地局を介して前記認証要求を受信すると、前記認証要求を、前記移動体通信事業者によって管理されているMNO認証装置に転送し、
前記MNO認証装置は、前記移動体通信事業者のユーザとして登録された移動端末から送信された前記認証要求について、アクセスを認可するか決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の認証課金方法。
【請求項3】
前記認証要求は、前記認証要求を中継する基地局を識別する基地局識別子を含み、
前記MVNO認証装置は、前記基地局識別子に応じて、アクセスを認可した移動端末に対する課金額を算出する
ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の認証課金方法。
【請求項4】
前記MVNO認証装置は、前記MVNO基地局を介して、移動体通信事業者のユーザとして登録された移動端末に前記サービスが提供されるときに、前記基地局識別子に応じて、アクセスを認可した移動端末に対する課金額を算出して、前記移動体通信事業者によって管理されているMNO認証装置に前記課金額を通知する
ことを特徴とする請求項3に記載の認証課金方法。
【請求項5】
前記MVNO認証装置が受信した認証要求が、移動体通信事業者のユーザとして登録されているMNOユーザ端末から送信された場合、前記MVNO認証装置は、前記MNO認証装置に前記MNOユーザ端末からの認証要求を転送する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の認証課金方法。
【請求項6】
前記基地局は、前記基地局を介した通信によって提供されるサービスの条件を表すサービス情報を前記移動端末に通知し、
前記移動端末が複数の基地局から前記サービス情報を受信したとき、前記移動端末は、前記サービス情報に基づいて、前記複数の基地局の中から接続する基地局を決定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の認証課金方法。
【請求項7】
基地局を介して移動端末の認証要求を受信するときに、前記基地局が仮想移動体サービス事業者のサービス提供に用いられるMVNO基地局であるかを判定する判定部と、
前記MVNO基地局を介して送信された認証要求を、前記仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置へ送信する送信部、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項8】
仮想移動体サービス事業者によって管理されているMVNO認証装置であって、
前記仮想移動体サービス事業者のサービス提供に用いられるMVNO基地局を介して、移動端末からの認証要求を受信する受信部と、
前記MVNO認証装置での認証を要求するMVNO認証要求に対して、前記MVNO認証要求を送信した移動端末のアクセスを認可するかを決定する決定部と、
前記受信部で受信された前記認証要求のうち、移動体通信事業者のサービス提供を要求するMNO認証要求を、前記移動体通信事業者の認証装置に転送する転送部
を備えることを特徴とする認証装置。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図9】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−15021(P2011−15021A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155512(P2009−155512)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】