説明

移動装置及び命令入力方法

【課題】本発明は、簡易な構成で命令を入力させる。
【解決手段】本発明は、楕円体状筐体2が移動してはいないと判別したとき命令入力モードと判断し、当該楕円体状筐体2が移動する際に第1及び第2の障害の検出用に楕円体状筐体2と移動面K1との距離を検出する距離検出部18により、楕円体状筐体2と命令入力用の外部物体との距離を検出し、当該検出した距離に応じて入力命令を判別して楕円体状筐体2を制御することにより、命令を入力するための操作キーを特には設けずに、楕円体状筐体2と移動面K1との距離の検出に用いる距離検出部18を兼用してユーザに対し命令を入力させることができ、かくして簡易な構成で命令を入力させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動装置及び命令入力方法に関し、例えば音楽再生機能を有する音楽再生ロボット装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の走行機器は、底面部に走行面の端部の有無を検出する端部検知センサが配置され、当該端部検知センサにより走行面に向かって光を照射すると共に、その光が走行面で反射することにより得られる反射光を受光することで走行面を検出していた。そして走行機器は、端部センサにより反射光を受光している間は走行面上を走行し、当該端部センサにより反射光を受光しなくなったときには、走行面の端部に接近したものとして走行を停止させていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−249739号公報(第4頁、第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところがかかる構成の移動機器は、上述した移動機能の他に、ユーザの命令に応じて処理を実行するような場合、当該ユーザに対し命令を入力させるための操作キーを設ける必要があり、構成が煩雑化するという問題があった。
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で命令を入力させ得る移動装置及び命令入力方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため本発明においては、装置本体部に対する移動面上の移動の有無を判別し、当該装置本体部が移動面上を移動してはいないと判別したとき命令入力モードと判断し、かかる命令入力モード時、装置本体部が移動面上を移動するときに当該移動の障害検知用に装置本体部と移動面との距離を検出するための距離検出部により、装置本体部と命令入力用の外部物体との距離を検出し、当該検出した距離に応じて入力命令を判別して、その判別した入力命令に応じて装置本体部を制御するようにした。
【0006】
従って本発明では、命令を入力するための操作キーを特には設けることなく、装置本体部と移動面との距離の検出に用いる距離検出部を兼用してユーザに対し命令を入力させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置本体部に対する移動面上の移動の有無を判別し、当該装置本体部が移動面上を移動してはいないと判別したとき命令入力モードと判断し、かかる命令入力モード時、装置本体部が移動面上を移動するときに当該移動の障害検知用に装置本体部と移動面との距離を検出するための距離検出部により、装置本体部と命令入力用の外部物体との距離を検出し、当該検出した距離に応じて入力命令を判別して、その判別した入力命令に応じて装置本体部を制御するようにしたことにより、命令を入力するための操作キーを特には設けることなく、装置本体部と移動面との距離の検出に用いる距離検出部を兼用してユーザに対し命令を入力させることができ、かくして簡易な構成で命令を入力させ得る移動装置及び命令入力方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
図1(A)及び(B)並びに図2において、1は全体として本発明を適用した音楽再生ロボット装置を示し、例えば略楕円体状の装置筐体(以下、これを楕円体状筐体と呼ぶ)2を有している。かかる楕円体状筐体2は、その中央の略樽型形状の部分でなる筐体中央部3と、当該筐体中央部3の互いに対向する一対の端部のうち一方の端部(以下、これを右側端部と呼ぶ)側に位置する略円錐台形状の部分でなる第1の筐体回動部(以下、これを筐体右側回動部と呼ぶ)4と、他方の端部(以下、これを左側端部と呼ぶ)側に位置する略円錐台形状の部分でなる第2の筐体回動部(以下、これを筐体左側回動部と呼ぶ)5と、当該筐体右側回動部4の右端面4A側に位置し、第1の凹部を有する略円錐形状の部分でなる第1の筐体開閉部(以下、これを筐体右側開閉部と呼ぶ)6と、筐体左側回動部5の左端面5A側に位置し、第2の凹部を有する略円錐形状の部分でなる第2の筐体開閉部(以下、これを筐体左側開閉部と呼ぶ)7とから構成されている。
【0010】
この場合、楕円体状筐体2の中心点P1から当該楕円体状筐体2表面のもっとも遠い右側及び左側の両頂点P2及びP3を直線で結ぶ線分(すなわち、楕円体の長軸)を水平回動軸線L1とすると、筐体右側回動部4は、筐体中央部3の右側端部に対し、当該水平回動軸線L1を中心にして矢印D1に示す軸回り一方向及びこれとは逆の軸回り他方向に回動可能に枢支されている。また筐体左側回動部5は、筐体中央部3の左側端部に対し、水平回動軸線L1を中心にして軸回り一方向及び軸回り他方向に回動可能に枢支されている。
【0011】
さらに図3に示すように、筐体右側開閉部6は、筐体右側回動部4に対し、当該筐体右側回動部4の右端面4A縁部の所定位置に設けられたヒンジ部8を介して所定角度範囲で開閉可能に取り付けられている。因みに筐体右側開閉部6は、筐体右側回動部4に対し、右端面4Aと第1の凹部の第1の開口6A全体とを当接させる位置から、例えば右端面4Aと第1の開口6Aとの開き角度が略90度となる位置まで等の所定角度範囲内で任意の角度に開く。一方、筐体左側開閉部7(図3)は、筐体左側回動部5に対し、当該筐体左側回動部5の左端面5A縁部の所定位置に設けられたヒンジ部9を介して所定角度範囲で開閉可能に取り付けられている。因みに筐体左側開閉部7は、筐体左側回動部5に対し、左端面5Aと第2の凹部の第2の開口7A全体とを当接させる位置から、例えば左端面5Aと第2の開口7Aとの開き角度が略90度となる位置まで等の所定角度範囲で任意の角度に開く。
【0012】
そして筐体右側開閉部6の第1の凹部(図1(B)及び図2)には、ステレオ用の一対の第1及び第2のスピーカのうち右チャンネル用の第1のスピーカ(以下、これを右スピーカと呼ぶ)10が円形の振動板の正面のみを当該第1の凹部の第1の開口6Aから露出させて収納されている。筐体右側開閉部6は、筐体左側開閉部7とは独立して開閉し得るようになされており、ヒンジ部8を介して回転して、第1の開口6A全体を筐体右側回動部4の右端面4Aに当接させて閉じた場合、右スピーカ10の振動板を外部から隠すことができる。これに対して筐体右側開閉部6は、ヒンジ部8を介して回転して、第1の開口6Aを筐体右側回動部4の右端面4Aから離間させるように開いた場合、右スピーカ10の振動板の正面を外部の任意の方向に向けることができる。
【0013】
一方、筐体左側開閉部7の第2の凹部には、右スピーカ10と同様構成及び同様形状の左チャンネル用の第2のスピーカ(以下、これを左スピーカと呼ぶ)11が円形の振動板の正面のみを当該第2の凹部の第2の開口7Aから露出させて収納されている。これにより筐体左側開閉部7は、ヒンジ部9を介して回転して、第2の開口7A全体を筐体左側回動部5の左端面5Aに当接させて閉じた場合、左スピーカ11の振動板を外部から隠すことができる。これに対して筐体左側開閉部7は、ヒンジ部9を介して回転して、第2の開口7Aを筐体左側回動部5の左端面5Aから離間させるように開いた場合、左スピーカ11の振動板の正面を外部の任意の方向に向けることができる。
【0014】
ところで右スピーカ10及び左スピーカ11は、振動板の正面から背面方向への全体的な厚みよりも、当該振動板の直径が大きく形成されている。また図4に示すように、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7は、右スピーカ10及び左スピーカ11の形状に応じて、第1及び第2の開口6A及び7Aを基準とした頂点P2及びP3までの幅L5よりも当該第1及び第2の開口6A及び7Aの直径L6が長く形成されている。このため楕円体状筐体2は、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7がそれぞれ開かれた場合、水平回動軸線L1に沿った全体の長さ(すなわち、楕円体状筐体2の長手方向の長さであり、以下、これを筐体幅と呼ぶ)が当該水平回動軸線L1(すなわち、楕円体の長軸)よりも長くなる。しかしながら楕円体状筐体2は、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7の両方が閉じられた場合、筐体全体を極力小さくまとまった状態にする(すなわち、筐体幅を水平回動軸線L1である楕円体の長軸と同じ長さにしてコンパクト化する)ことができ、収納性を向上させている。
【0015】
また図5に示すように、筐体右側回動部4は、筐体左側回動部5とは独立して回動し得るようになされており、筐体右側開閉部6が任意の角度に開いた状態で回動した場合、当該筐体右側開閉部6に収納された右スピーカ10の振動板の正面を筐体中央部3の正面方向や背面方向、また上方向や下方向等の種々の方向に向けさせることができる。
【0016】
これに加えて図1(A)及び(B)並びに図2に示すように、筐体中央部3の右側端部には、当該筐体中央部3の最大外径よりも大きい所定外径を有する円環形状の第1の車輪(以下、これを右側車輪と呼ぶ)12が水平回動軸線L1を中心にして軸回り一方向及び軸周り他方向に回動可能に枢支されている。また筐体中央部3の左側端部には、右側車輪12と同様形状及び同様外形の第2の車輪(以下、これを左側車輪と呼ぶ)13が当該右側車輪12の場合と同一の水平回動軸線L1を中心にして軸回り一方向及び軸回り他方向に回動可能に枢支されている。かかる右側車輪12は、左側車輪13と共に回転して楕円体状筐体2を移動させるためのものであり、当該左側車輪13とは独立して回動し得るようになされている。
【0017】
そして筐体中央部3内には、内壁所定位置にバッテリ等でなる重り14が固定されている。また筐体中央部3は、楕円体状筐体2の中心点P1から右側端部(すなわち、右側車輪12)までの距離と、当該楕円体状筐体2の中心点P1から左側端部(すなわち、左側車輪13)までの距離とがほぼ等しい所定距離に選定されている。さらに筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5は、互いに同じ形状でなり、互いの幅がほぼ等しい所定幅に選定されている。さらに筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7も、互いに同じ形状でなり、それぞれ第1及び第2の凹部の第1及び第2の開口6A及び7Aから表面の頂点P2及びP3までの幅L5がほぼ等しい所定長さに選定されている。すなわち楕円体状筐体2は、当該楕円体状筐体2の中心点P1を通り、水平回動軸線L1を垂線とする仮想平面(図示せず)に対し左右が面対象に形成されている。
【0018】
このため楕円体状筐体2は、机の天板の表面や床面等の移動面に載上される場合、筐体中央部3の最大外径部分の外周面を当該移動面からわずかに離間させ、かつ水平回動軸線L1を移動面と平行にした姿勢で右側車輪12及び左側車輪13により支持される。これに加えて楕円体状筐体2は、筐体中央部3内の重り14により当該筐体中央部3の重心が中心点P1から内壁よりにずれているため、移動面に載上された場合、当該重り14を鉛直下側に位置させた(すなわち、重り14部分でなる重心を移動面に極力近づけた)姿勢(以下、これを基準姿勢と呼ぶ)となる。そして筐体中央部3内の重り14は、その重さが比較的重く選定されている。従って楕円体状筐体2は、右側車輪12及び左側車輪13によって支持された状態で移動面に載上された場合、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7がそれぞれ独立して任意の角度に開かれても右側及び左側等に傾くことなく基準姿勢を維持することができる。
【0019】
また楕円体状筐体2は、移動面の上を右側車輪12及び左側車輪13の回転により移動する場合でも、筐体中央部3内の重り14により当該筐体中央部3の重心が中心点P1から内壁よりにずれているため、当該筐体中央部3が水平回動軸線L1を中心にして軸回り一方向及び軸回り他方向に回転することを抑制し得るようになされている。さらに楕円体状筐体2は、重り14が比較的重いため、移動する際に筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7がそれぞれ独立して任意の角度に開かれても右側及び左側等にほとんど傾くことなく基準姿勢をほぼ維持することができる。
【0020】
これに加えて筐体中央部3の表面には、基準姿勢で上側となる位置に、指や手等が接触したことを検知するための接触検知センサ部15が設けられている。かかる接触検知センサ部15は、例えば、筐体中央部3の表面における指先大の領域に接触した指や手等を検知するようになされている。また筐体右側回動部4の表面には、光を発する円弧形状の右側発光部16が設けられている。さらに筐体左側回動部5の表面にも、光を発する円弧形状の左側発光部17が設けられている。そしてかかる右側発光部16及び左側発光部17は、それぞれ全体や一部分、また発光色等のように発光状態を可変して発光するように形成されている。
【0021】
かかる構成に加えて音楽再生ロボット装置1(図1(A)及び(B))の場合、楕円体状筐体2の基準姿勢における筐体中央部3の正面には、水平回動軸線L1よりも上側となる所定位置に穴部3Aが形成されている。図6に示すように穴部3A内には、距離検出部18が収納されている。距離検出部18は、赤外線発光素子を含む発光部18Aと、PSD(Position Sensitive Device )を含む受光部18Bとを有し、これらが水平回動軸線L1に沿って並べて配置されている。そして楕円体状筐体2は、十分な広さのある移動面K1に載上され基準姿勢でいる場合、距離検出部18の発光部18Aは、筐体中央部3の正面が向いた側(以下、これを前側と呼ぶ)の斜め下方向に向けて光線R1を発射し、受光部18Bは光線R1が筐体中央部3の前側の移動面K1で反射して得られる反射光R2を受光することで、距離検出部18と(すなわち、楕円体状筐体2と)移動面K1との間の距離を検出する。
【0022】
この場合、図7に示すように、楕円体状筐体2の基準姿勢において、距離検出部18の発光部18Aは、移動面K1から高さHの位置に、かかる移動面K1に対し所定角度θで光線R1を照射するように配置されている。従って距離検出部18の発光部18Aは、当該発光部18Aから移動面K1への垂線と当該移動面K1との交点S2を基準とすると、次式
【0023】
θ=tan−1(H/L) ……(1)
【0024】
からも明らかなように、その基準とした交点(以下、これを照射距離基準点と呼ぶ)S2から楕円体状筐体2の前側の所定距離L10だけ離れた照射位置S1に光線R1を照射している。そして楕円体状筐体2は、移動面K1に載上されたときだけではなく移動の際にも基準姿勢をほぼ維持することができる。従って発光部18Aは、楕円体状筐体2が静止しているか移動しているかにかかわらずに光線R1を移動面K1上の照射距離基準点S2からほぼ一定な所定距離L10だけ離れた照射位置S1に照射し得るようになされている。因みに距離検出部18は、移動面K1に対する配置位置の高さHが極力高く選定されている。また距離検出部18は、移動面K1に対し極力小さい所定角度θで光線R1を照射すると共に、当該移動面K1で光線R1が反射して得られる反射光R2を受光するように発光部18A及び受光部18Bの配置角度が選定されている。従って距離検出部18は、光線R1を移動面K1上の照射距離基準点S2から極力離れた(すなわち、極力長い所定距離L10だけ離れた)照射位置S1に照射している。
【0025】
すなわち図8(A)に示すように、距離検出部18は、移動の有無にかかわらず光線R1を移動面K1上の照射位置S1に照射している間は、その照射位置S1で光線R1が反射して得られる反射光R2を受光することで、当該受光した反射光R2に基づきほぼ同一の比較的長い距離RP1を検出している。因みに発光部18Aから発射された光線R1が上述の照射位置S1に照射されたときに検出される比較的長い距離RP1は、上述した(1)式を展開して得られる予め選定された基準距離SLとほぼ同一となる。
【0026】
これに対して図8(B)に示すように、距離検出部18は、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動して当該移動面K1の溝に近づき、発光部18Aから発射した光線R1を当該溝内の内面K3に照射した場合、かかる溝の内面K3で光線R1が反射して得られる反射光R4を受光部18Bで受光することにより、その反射光R4に基づき上述した基準距離SLより長い距離RP2を検出する。さらに図8(C)に示すように、距離検出部18は、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動して当該移動面K1上の壁に近づき、発光部18Aから発射した光線R1を当該壁の表面K2に照射した場合、かかる壁の表面K2で光線R1が反射して得られる反射光R3を受光することにより、その反射光R3に基づき上述した基準距離SLよりも短い距離RP3を検出する。
【0027】
このようにして距離検出部18は、楕円体状筐体2が移動面K1上を前側に移動している場合、当該楕円体状筐体2と、その前側(すなわち、移動方向側)に存在する移動面K1との間の距離RP1を検出することができる。また距離検出部18は、楕円体状筐体2と、その前側に存在する移動面K1の溝等との間の距離RP2や、当該楕円体状筐体2と、その前側に存在する移動面K1上の壁等との間の距離RP3も検出することができる。
【0028】
ところで距離検出部18は、音楽再生ロボット装置1が起動している間、距離の検出を比較的短い所定周期で定期的に繰り返し実行している。従って距離検出部18は、楕円体状筐体2の移動面K1上における移動の際のみならず、例えば楕円体状筐体2がユーザの手によって持ち上げられた際に、距離検出部18と(すなわち、楕円体状筐体2と)、当該楕円体状筐体2の前側にかざされるユーザの手や指等との間の距離も上述と同様に検出し得るようになされている。
【0029】
次いで図9を用いて、音楽再生ロボット装置1に対し音楽データを転送する音楽データ転送システム20について説明する。かかる音楽データ転送システム20は、音楽データを提供する音楽データ提供サーバ21からネットワーク22を介して音楽データを取得し、または音楽データの記録された記録媒体(例えばCD(Compact disk))23から当該音楽データを再生して取得する例えばパーソナルコンピュータ構成のデータ転送装置24を有する。
【0030】
かかるデータ転送装置24は、音楽再生ロボット装置1に供給する音楽データに対し例えば周波数解析処理を施す。これによりデータ転送装置24は、例えば図10に示すように、再生時間軸AX1に沿ってこの音楽データの周波数解析結果を示す音楽解析結果情報INF1を得る。またデータ転送装置24は、音楽解析結果情報INF1に基づいて、音楽再生ロボット装置1の右側車輪12及び左側車輪13を回転させる向きやその回転速度、筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5を回転させる向きやその回転角度、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉する開閉角度等を再生時間軸AX1に沿って示す駆動部制御情報INF2を生成する。さらにデータ転送装置24は、かかる音楽解析結果情報INF1に基づいて、音楽再生ロボット装置1の右側発光部16及び左側発光部17を発光させるタイミングや発光状態等を再生時間軸AX1に沿って示す駆動情報(図示せず)も生成する。
【0031】
このようにしてデータ転送装置24は、音楽データの曲調に応じて音楽再生ロボット装置1の可動部(すなわち、筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7、右側車輪12及び左側車輪13)を動作させるための駆動部制御情報INF2や右側発光部16及び左側発光部17を駆動させるための駆動情報を得る。因みに図10に示す駆動部制御情報INF2には、音楽データの再生時間軸AX1に沿って、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉させるタイミング及び開閉角度が示されている。
【0032】
次いで図11を用いて音楽再生ロボット装置1の回路構成を説明する。かかる音楽再生ロボット装置1は、各回路が楕円体状筐体2内に収納されており、当該回路として音楽再生ロボット装置1全体を統括的に制御する制御部30を有している。そして制御部30は、内部のメモリに予め記憶している制御プログラム等の各種プログラムに従って各種処理を実行する。これにより制御部30は、外部のデータ転送装置24から供給される音楽データとこの音楽データに対応する駆動部制御情報INF2及び駆動情報とをクレードル26を介して記憶部31に取り込み、当該記憶部31に対し、かかる音楽データ及び駆動部制御情報INF2並びに駆動情報を記憶する。
【0033】
また、音楽再生ロボット装置1には加速度センサ部32が設けられている。図12に示すように、かかる加速度センサ部32は、楕円体状筐体2に生じる例えば互いに直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度をそれぞれ検出し、その検出結果をX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値として制御部30に通知する。因みに加速度検出用の3軸のうちX軸は、楕円体状筐体2の水平回動軸L1とほぼ並行又は一致する軸であり、楕円体状筐体2に対する左右方向とほぼ並行な軸でもある。またZ軸は楕円体状筐体2が基準姿勢の際の鉛直方向とほぼ並行な軸であり、楕円体状筐体2に対する上下方向とほぼ並行な軸でもある。さらにY軸は、水平回動軸L1、及び楕円体状筐体2が基準姿勢の際の鉛直方向とそれぞれ直交する軸であり、楕円体状筐体2に対する前後方向とほぼ並行な軸でもある。
【0034】
制御部30は、楕円体状筐体2がほぼ水平な移動面K1に載上され全ての可動部を動作させずに静止させた状態のときの3軸(X軸、Y軸及びZ軸)それぞれの加速度をX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値として例えば内部のメモリに予め記憶している。因みにX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値には、楕円体状筐体2の載上される移動面K1が必ずしも完全な水平ではないことや、加速度センサ部32による加速度の検出誤差などを考慮して、それぞれX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値を中心値として選定された許容範囲の情報が付加されている。そして制御部30は、加速度センサ部32からX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値が与えられると、これらをそれぞれ対応するX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値と比較する。
【0035】
その結果、制御部30は、X軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値をそれぞれ中心値とする許容範囲内に、対応するX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値が入っていると、楕円体状筐体2が停止していると判別する。これに対して制御部30は、X軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値をそれぞれ中心値とする許容範囲からX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値が外れると、楕円体状筐体2が例えばユーザの加える外力により動かされたと判別する。このようにして制御部30は、楕円体状筐体2がユーザにより持ち上げられたことや振り動かされたことを検出することができる。
【0036】
そして制御部30は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、例えば楕円体状筐体2が移動面K1の上で静止した状態からユーザの手によって持ち上げられたことを検出した後、筐体中央部3の表面に設けられた接触検知センサ部15にユーザの指や手等が接触したことを検知すると、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動してはいないと判別して命令入力モードと判断し移行する。この状態で制御部30は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされていることを検知すると、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向を判別する。その結果、制御部30は、筐体振り動かし方向が音楽データを再生開始するように命令するための方向であることを認識すると、これに応じて記憶部31に記憶していた音楽データの読み出しを開始すると共に、当該読み出した音楽データに対し音楽処理部33でデジタルアナログ変換処理や増幅処理などの所定の音楽再生処理を施し、得られた音楽信号を右スピーカ10及び左スピーカ11に送出する。このようにして制御部30は、記憶部31に記憶していた音楽データに基づく音楽を右スピーカ10及び左スピーカ11から出力してユーザに聴かせることができる。
【0037】
続いて制御部30は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、右側車輪12及び左側車輪13の両方を移動面K1に接触させるようにして楕円体状筐体2が移動面K1に置かれたことを検出すると、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調(テンポや音程等)に応じて楕円体状筐体2の各可動部と、右側発光部16及び左側発光部17とを動作させる再生曲調動作モードに移行する。この場合、制御部30は、記憶部31から再生処理中の音楽データに対応する駆動部制御情報INF2及び駆動情報を読み出し、当該読み出した駆動部制御情報INF2に基づいて車輪駆動部34、回動駆動部35及び開閉駆動部36を制御すると共に、駆動情報に基づいて右側発光部16及び左側発光部17を駆動制御する。従って車輪駆動部34は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて右側車輪12及び左側車輪13を軸回り一方向又は軸回り他方向に回転駆動する。これにより制御部30は、楕円体状筐体2を、右スピーカ10及び左スピーカ11から出力させている音楽の曲調に同期させるようにして移動面K1上を安定して走行させる。
【0038】
また回動駆動部35は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5を軸周り一方向又は軸回り他方向に回転駆動する。さらに開閉駆動部36は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉駆動する。これにより制御部30は、右スピーカ10及び左スピーカ11から出力させている音楽の曲調に同期させるようにして筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5を回転させながら筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉させる。さらに制御部30は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて右側発光部16及び左側発光部17を種々の発光状態で発光させる。これにより制御部30は、右スピーカ10及び左スピーカ11から出力させている音楽の曲調に同期させるようにして右側発光部16及び左側発光部17を発光させる。このようにして音楽再生ロボット装置1は、音楽データの再生処理時、再生中の音楽に合わせて、あたかも音楽再生ロボット装置1自体が踊っているかのように動作することができる。
【0039】
因みに制御部30は、命令入力モードに移行した場合、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向に応じて、音楽データに対する再生の停止や、再生処理中の音楽データを切り替える早送り及び早戻し等のように、種々の命令入力を行うことができる。
【0040】
次いで、図13を用いて距離検出部18による距離の検出について説明する。距離検出部18は、発光部18Aの赤外線発光素子42から発射した光線R1が、移動面K1上の上述した照射距離基準点S2から所定距離L10だけ離れた照射位置S1で反射したときや、当該照射距離基準点S2から所定距離L10だけ離れたユーザの手や指等(以下、これを特に外部物体と呼ぶ)で反射したとき、かかる反射によって得られる反射光R2を受光部18BにおけるPSD43の受光面の所定位置(以下、これを基準受光位置と呼ぶ)SRで受光する。また距離検出部18では、発光部18Aの赤外線発光素子42により発射させた光線R1が、移動面K1の上述した照射位置S1よりも音楽再生ロボット装置1側に位置する(すなわち、照射距離基準点S2に対し所定距離L10よりも近い)例えば壁の表面K2で反射したときや、照射距離基準点S2に対し所定距離L10よりも近い外部物体で反射したとき、かかる反射によって得られる反射光R3の、PSD43における受光面の受光位置が上述した基準受光位置SRから所定の方向に変位する。さらに距離検出部18では、発光部18Aの赤外線発光素子42により発射させた光線R1が、移動面K1の上述した照射位置S1よりも音楽再生ロボット装置1から離れた位置の(すなわち、照射距離基準点S2から所定距離L10よりも離れた)移動面K1の溝の内面K3で反射したときや、照射距離基準点S2から所定距離L10よりも離れた外部物体で反射したとき、かかる反射によって得られる反射光R4の、PSD43における受光面の受光位置が基準受光位置SRから上述した所定方向とは異なる方向に変位する。
【0041】
さらにまた距離検出部18は、発光部18Aの赤外線発光素子42により発射させた光線R1が移動面K1の端部よりも外側に進んだときや、楕円体状筐体2の前側に外部物体が存在しないとき、かかる光線R1を反射させるものが存在しないため、受光部18BのPSDは反射光を受光しない。そして距離検出部18において受光部18BのPSD43は、発光部18Aにより定期的に光線R1が発射されると、かかる光線R1の発射に応じて、反射光R2〜R4の受光の有無、及びPSD43の受光面における受光位置に応じた光電信号を生成している。また受光部18Bは、例えば内部のメモリに予め距離検出部18、及び光線R1の照射位置間の距離(すなわち、楕円体状筐体2と、移動面K1や外部物体等との間の距離RP1〜RP3等)と、PSD43で生成する光電信号の値とを対応付けた距離検出用テーブルを記憶している。従って距離検出部18の受光部18Bは、発光部18Aより光線R1が発射される毎に、PSD43で生成する光電信号と距離検出用テーブルとに基づいて、その光電信号に対応する距離RP1〜RP3を検出し、当該検出した距離(以下、これを検出距離と呼ぶ)RP1〜RP3を検出距離データとして制御部30に送出している。因みに距離検出用テーブルでは、発光部18Aから発射された光線R1が移動面K1の端部から外れる等したときに生成される光電信号(すなわち、反射光を受光してはいないこと示す光電信号)の値に対し、実際に受光した反射光R2〜R4と対応する他の距離RP1〜RP3とは決して重複しないように、例えば無限遠を示す距離が対応付けられている。このため距離検出部18の受光部18Bは、発光部18Aにより発射した光線R1が移動面K1の端部の外側に進み、又は外部物体の存在しない空間をそのまま進むことで反射光R2〜R4を受光しないときでも、そのとき生成した光電信号に基づき便宜上、無限遠を示す検出距離を検出し、これを検出距離データとして制御部30に送出している。
【0042】
制御部30は、内部のメモリに対し予め基準距離SLを示す基準距離情報を記憶している。そして制御部30は、再生曲調動作モード時(すなわち、楕円体状筐体2の移動時)、距離検出部18から楕円体状筐体2と移動面K1の照射位置S1等との間の検出距離を示す検出距離データが与えられると、その検出距離データに基づく検出距離を、メモリ内の基準距離情報に基づく基準距離SLと比較する。その結果、制御部30は、検出距離と基準距離SLとがほぼ一致すると、距離検出部18の発光部18Aにより発射された光線R1が移動面K1上の上述した照射距離基準点S2から所定距離L10だけ離れた照射位置S1にほぼ的確に照射されたものとして、楕円体状筐体2の前側(すなわち、移動方向側)に何ら障害が存在しないと判別する。そして制御部30は、このように楕円体状筐体2の移動方向側に障害が何ら存在しないときには、駆動部制御情報INF2に従い車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動することにより当該楕円体状筐体2をそのまま移動させる。
【0043】
これに対して制御部30は、検出距離と基準距離SLとを比較した結果、当該検出距離が基準距離SLよりも長いときには、距離検出部18の発光部18Aにより発射された光線R1が移動面K1の溝の内面K3に照射され、又は当該移動面K1の端部よりも外側に進んだものとして、楕円体状筐体2の前側(すなわち、移動方向側)に移動面K1の端部や溝等の凹み部分でなる障害(以下、これを特に第1の障害と呼ぶ)が存在していると判別する。また制御部30は、検出距離と基準距離SLとを比較した結果、当該検出距離が基準距離SLよりも短いときには、距離検出部18の発光部18Aにより発射された光線R1が移動面K1上の壁等の表面K2に照射されたものとして、楕円体状筐体2の前側(すなわち、移動方向側)に移動面K1の壁等の突起部分でなる障害(以下、これを特に第2の障害と呼ぶ)が存在していると判別する。
【0044】
このようにして制御部30は、楕円体状筐体2の移動方向側に対する第1及び第2の障害の存在の有無を判別することで、当該移動方向側に存在する第1及び第2の障害を検知している。そして制御部30は、上述したように距離検出部18が移動面K1から比較的高い位置に配置され、かつ当該移動面K1に対して距離検出用の光線R1を比較的小さい照射角度(すなわち、所定角度θ)で照射するようにして、移動面K1上の照射距離基準点S2と光線R1の照射位置S1との間の距離を比較的離していることにより、楕円体状筐体2が移動している際に、その移動方向側に存在する第1及び第2の障害を、当該第1及び第2の障害から比較的離れた手前の位置で的確に検知することができる。ただし制御部30は、このように第1及び第2の障害を検知した時点の楕円体状筐体2と、当該検知した第1及び第2の障害との距離をLとし、その楕円体状筐体2の移動速度をVとすると、かかる距離Lがいくら長くても、次式
【0045】
L=V×T ……(2)
【0046】
で表されるように、楕円体状筐体2の移動速度Vが速い程、第1及び第2の障害の検出時点から楕円体状筐体2がその第1及び第2の障害に到達するまでの到達時間Tが短くなるため、楕円体状筐体2に対し第1及び第2の障害の検知時点の位置をほとんど変えないように当該第1及び第2の障害を回避させるように動作させる。
【0047】
すなわち音楽再生ロボット装置1を上方から見た図14に示すように、制御部30は、楕円体状筐体2の移動方向側で当該楕円体状筐体2から上述した所定距離L10よりも離れた位置に存在する第1の障害を検知したとき、駆動部制御情報INF2には従わずに、当該楕円体状筐体2に対し第1の障害を回避させるように車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13のうち例えば一方の左側車輪13の回転をすみやかに停止させると共に、他方の右側車輪12を軸回り一方向に回転させる。これにより制御部30は、例えば楕円体状筐体2を左側車輪13と移動面K1との接触点P5を中心として時計回り方向に回転させて前側をそれまでの移動方向とは逆の方向に向け、かくして第1の障害を回避する。そして制御部30は、このように楕円体状筐体2に対する第1の障害を回避するための動作(以下、これを第1の回避動作と呼ぶ)が終了すると、その時点から駆動部制御情報INF2に従って車輪駆動部34を制御することにより再生中の音楽の曲調に合わせた再生曲調動作を再開する。
【0048】
因みに制御部30は、楕円体状筐体2に対し第1の回避動作をとらせる場合、例えば駆動部制御情報INF2に基づいて筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5に対し筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7が開いているか否かを判別する。その結果、制御部30は、筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5に対し筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7が開いていると検出したきには、開閉駆動部36を制御して筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5に対し筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を閉じるようにする。これにより制御部30は、楕円体状筐体2を第1の回避動作により時計回りに回転させるとき、当該楕円体状筐体2全体をあたかも貝が閉じるようにコンパクト化して保護姿勢にし、かくして筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7が開いたままの状態で移動面K1上の突起物等にぶつかり破損することを回避している。
【0049】
一方、音楽再生ロボット装置1を上方から見た図15に示すように、制御部30は、楕円体状筐体2の移動方向側で当該楕円体状筐体2から上述した所定距離L10よりも近い位置に存在する第2の障害を検知したとき、駆動部制御情報INF2には従わずに、当該楕円体状筐体2に対し第2の障害を回避させるように車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13のうち例えば一方の左側車輪13を軸回り他方向に回転させると共に、他方の右側車輪12を軸周り一方向に回転させるように互いを逆回転させる。これにより制御部30は、例えば楕円体状筐体2を、中心点P1を中心として時計回り方向に回転させて前側をそれまでの移動方向とは逆の方向に向け、かくして第2の障害を回避する。そして制御部30は、このように楕円体状筐体2に対する第2の障害を回避するための動作(以下、これを第2の回避動作と呼ぶ)が終了したときにも、その時点から駆動部制御情報INF2に従って車輪駆動部34を制御することにより再生中の音楽の曲調に合わせた再生曲調動作を再開する。
【0050】
因みに制御部30は、楕円体状筐体2に対し第2の回避動作をとらせる場合にも、例えば駆動部制御情報INF2に基づいて筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5に対し筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7が開いているか否かを判別する。その結果、制御部30は、筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5に対し筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7が開いていると検出したきには、開閉駆動部36を制御して筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5に対し筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を閉じるようにする。これにより制御部30は、楕円体状筐体2を第2の回避動作により時計回りに回転させるときにも、当該楕円体状筐体2全体をあたかも貝が閉じるようにコンパクト化して保護姿勢にし、かくして筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7が開いたままの状態で移動面K1上の突起物等にぶつかり破損することを回避している。
【0051】
ところで制御部30は、再生曲調動作モード時に、距離検出部18から与えられる、無限遠の検出距離を示す検出距離データも上述した第1及び第2の障害の検知に用いている。しかしながら制御部30は、内部のメモリに対し上述した無限遠の検出距離を示す検出距離情報を記憶している。そして制御部30は、命令入力モード時、距離検出部18から楕円体状筐体2と手等の外部物体との間の検出距離が順次所定周期で検出されて距離検出データとして与えられると、当該検出距離データに基づく検出距離と、メモリ内の検出距離情報に基づく検出距離とを比較し、その比較結果に応じて、以下に説明する命令入力モード時の命令入力処理に対し、無限遠を示す検出距離のみを除く他の検出距離を選択的に用いるようにしている。
【0052】
制御部30は、命令入力モード時、接触検知センサ部15に対しユーザの手や指等が接触していることを検知すると、当該接触検知センサ部15に対し当該手や指等が接触している間、かかる命令入力モードの一部である音量調節モードに移行する。そして制御部30は、かかる音量調節モードにおいて、距離検出部18により順次検出された検出距離(すなわち、無限遠を示す検出距離を除く他の検出距離)の変化を補間処理等によりアナログ的な(連続的な)変化に変換する。この状態において制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて音量調節用の入力命令を判別する。すなわち制御部30は、例えば楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離が短くなると、入力命令を音量上げ命令と判別し、かかる音量上げ命令に応じた音量調節値を音楽処理部33に送出する。また制御部30は、例えば楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離が長くなると、入力命令を音量下げ命令と判別し、かかる音量下げ命令に応じた音量調節値を音楽処理部33に送出する。これにより制御部30は、例えば楕円体状筐体2に対し手や指等の外部物体が近づけられると、それに応じて再生中の音楽の音量を上げ、これに対して楕円体状筐体2から外部物体が遠ざけられると、それに応じて再生中の音楽の音量を下げるようにして当該音楽の音量を調節する。
【0053】
また制御部30は、上述の命令入力モード時、接触検知センサ部15に対しユーザの手や指等が接触していないことを検知すると、当該接触検知センサ部15に対し当該手や指等が何ら接触していない間、かかる命令入力モードの一部である音質調節モードに移行する。そして制御部30は、かかる音質調節モードにおいて、距離検出部18により順次検出された検出距離(すなわち、無限遠を示す検出距離を除く他の検出距離)の変化を補間処理等によりアナログ的な(連続的な)変化に変換する。この状態において制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて入力命令を判別する。すなわち制御部30は、楕円体状筐体2と手等の外部物体との間の検出距離が短くなると、入力命令を低音域強調命令と判別し、かかる低音域強調命令に応じた音質調節値を音楽処理部33に送出する。また制御部30は、楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離が長くなると、入力命令を高音域強調命令と判別し、かかる高音域調節命令に応じた音質調節値を音楽処理部33に送出する。これにより制御部30は、例えば楕円体状筐体2に対し手や指等の外部物体が近づけられると、その分、再生中の音楽の高音域を低減させつつ低音域を強調し、これに対して楕円体状筐体2から外部物体が遠ざけられると、その分、再生中の音楽の低音域を低減させつつ高音域を強調するようにして当該音楽の音質を調節する。
【0054】
実際上、制御部30は、上述した検出距離を用いた一連の処理を内部のメモリに予め記憶している制御プログラムに従って実行している。制御部30は、例えば外部のリモートコントローラを介して入力される起動命令に応じて音楽再生ロボット装置1が起動すると、これに応じて制御プログラムに従い図16に示す制御処理手順RT1を開始する。制御部30は、かかる制御処理手順RT1を開始すると、ステップSP1において距離検出部18から与えられる検出距離データを取り込み、次のステップSP2に移る。ステップSP2において制御部30は、検出距離データに基づく検出距離を認識して次のステップSP3に移る。
【0055】
ステップSP3において制御部30は、現時点のモードが再生曲調動作モードであるか否かを判別する。このステップSP3において肯定結果が得られると、このことは現在音楽再生ロボット装置1が再生中の音楽の曲調に合わせてあたかも踊っているように動作していることを表している。従って制御部30は、このときステップSP4に移る。
【0056】
ステップSP4において制御部30は、上述のステップSP2において認識した検出距離を基準距離SLと比較することにより、その比較結果に基づいて当該検出距離が基準距離SLよりも長いか否かを判別する。このステップ4において肯定結果が得られると、このことは現在移動中の楕円体状筐体2の移動方向側に第1の障害が存在していることを表している。すなわちかかる肯定結果は、楕円体状筐体2が第1の障害に向かって移動していることを表している。従って制御部30は、このときステップSP5に移る。ステップSP5において制御部30は、楕円体状筐体2に対する再生曲調動作を一時的に中断し車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させることにより、当該楕円体状筐体2に対し上述した第1の回避動作を行わせて第1の障害を回避させた後、再生曲調動作を再開してステップSP6に移る。
【0057】
またステップSP4において否定結果が得られると、このことは、現在移動中の楕円体状筐体2の移動方向側に第2の障害が存在していること、またはかかる楕円体状筐体2の移動方向側に何ら障害が存在してはいないことを表している。従って制御部30は、このときステップSP8に移る。ステップSP8において制御部30は検出距離と基準距離SLとの比較結果に基づいて、当該検出距離が基準距離SLよりも短いか否かを判別する。このステップSP8において肯定結果が得られると、このことは現在移動中の楕円体状筐体2の移動方向側に第2の障害が存在していることを表している。すなわちかかる肯定結果は、楕円体状筐体2が第2の障害に向かって移動していることを表している。従って制御部30はこのときステップSP9に移る。ステップSP9において制御部30は、楕円体状筐体2に対する再生曲調動作を一時的に中断し車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させることにより、当該楕円体状筐体2に対して上述した第2の回避動作を行わせて第2の障害を回避させた後、再生曲調動作を再開してステップSP6に移る。これに対してステップSP8において否定結果が得られると、このことは楕円体状筐体2の移動方向側にはこの移動を妨げる障害が一切存在していないことを表している。従って制御部30は、このとき楕円体状筐体2に対する障害回避用の回避動作を行わせずにステップSP6に移る。
【0058】
ところでステップSP3において否定結果が得られると、このことはこの時点のモードが命令入力モードである、又は音楽データを再生せず楕円体状筐体2を移動面K1に載上したままにしている待機モードであることを表している。従って制御部30はこのとき次のステップSP10に移る。ステップSP10において制御部30は、現在のモードが命令入力モードであるか否かを判別する。このステップSP10において肯定結果が得られると、このことは音量調節用及び音質調節用の入力命令が入力可能であることを表している。従って制御部30は、このときステップSP11に移る。因みにステップSP10において否定結果が得られると、このことは現在のモードが待機モードであることを表している。従って制御部30は、このときステップSP6に移る。
【0059】
ステップSP11において制御部30は、接触検知センサ部15によるユーザの手等の接触の有無の検出結果に基づいて、音量調節用の入力命令の入力を受け付けるか否かを判別する。ステップSP11において肯定結果が得られると、このことは現時点でユーザの手等が接触検知センサ部15に接触しているため、音量調節用の入力命令が入力可能であることを表している。従って制御部30は、このときステップSP12に移る。
【0060】
ステップSP12において制御部30は、距離検出部18により順次検出された検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、その検出距離のアナログ的な変化に応じて楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離が長くなっているか否かを判別する。このステップ12において肯定結果が得られると、このことは外部物体としてのユーザの手等が楕円体状筐体2から離れる方向に移動していることを表している。従って制御部30は、このときステップSP13に移る。ステップSP13において制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて入力命令を音量下げ命令と判別し、当該判別した音量下げ命令に応じて音楽処理部33を制御することにより、再生中の音楽の音量を現在の音量よりも下げて、ステップSP6に移る。
【0061】
またステップSP12において否定結果が得られると、このことは外部物体としてのユーザの手等が楕円体状筐体2に近づく方向に移動していること、又は距離検出部18による検出距離の検出範囲内にユーザの手等の命令入力用の外部物体が存在してはいないことを表している。従って制御部30は、このときステップSP14に移る。ステップSP14において制御部30は、距離検出部18により順次検出された検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、その検出距離のアナログ的な変化に応じて楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離が短くなっているか否かを判別する。このステップ14において肯定結果が得られると、このことは外部物体としてのユーザの手等が楕円体状筐体2に近づく方向に移動していることを表している。従って制御部30は、このときステップSP15に移る。ステップSP15において制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて入力命令を音量上げ命令と判別し、当該判別した音量上げ命令に応じて音楽処理部33を制御することにより、再生中の音楽の音量を現在の音量よりも上げてステップSP6に移る。これに対してステップSP14において否定結果が得られると、このことは距離検出部18による検出距離の検出範囲内にユーザの手等の命令入力用の外部物体が存在してはいないことを表している。従って制御部30は、このとき音量の調節を行わずにステップSP6に移る。
【0062】
ところでステップSP11において否定結果が得られると、このことは現在、ユーザの手等が接触検知センサ部15に接触してはいないため、音質調節用の入力命令が入力可能であることを表している。従って制御部30は、このときステップSP16に移る。
【0063】
ステップSP16において制御部30は、距離検出部18により順次検出された検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、その検出距離のアナログ的な変化に応じて楕円体状筐体2とユーザの手等の外部物体との間の検出距離が長くなっているか否かを判別する。このステップSP16において肯定結果が得られると、このことは外部物体としてのユーザの手等が楕円体状筐体2から離れる方向に移動していることを表している。従って制御部30は、このときステップSP17に移る。ステップSP17において制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて入力命令を高音域調節命令と判別し、当該判別した高音域調節命令に応じて音楽処理部33を制御することにより、再生中の音楽の高音域を現在の高音域の強調度合いよりも強調してステップSP6に移る。
【0064】
またステップSP16において否定結果が得られると、このことは外部物体としてのユーザの手等が楕円体状筐体2に近づく方向に移動していること、又は距離検出部18による検出距離の検出範囲内にユーザの手等の命令入力用の外部物体が存在してはいないことを表している。従って制御部30は、このときステップSP18に移る。ステップSP18において制御部30は、距離検出部18により順次検出された検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、その検出距離のアナログ的な変化に応じて楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離が短くなっているか否かを判別する。このステップ18において肯定結果が得られると、このことは外部物体としてのユーザの手等が楕円体状筐体2に近づく方向に移動していることを表している。従って制御部30は、このときステップSP19に移る。ステップSP19において制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて、入力命令を低音域強調命令と判別し、当該判別した低音域強調命令に応じて音楽処理部33を制御することにより、再生中の音楽の低音域を現在の低音域の強調度合いよりも強調してステップSP6に移る。これに対してステップSP18において否定結果が得られると、このことは距離検出部18による検出距離の検出範囲内に命令入力用の外部物体としてのユーザの手等が存在してはいないことを表している。従って制御部30は、このとき音質の調節を行わずにステップSP6に移る。
【0065】
ステップSP6において制御部30は、音楽再生ロボット装置1の起動を停止させるか否かを判別する。このステップSP6において否定結果が得られると、このことはユーザにより未だ起動停止が命令されてはいないことを表している。従って制御部30はこのときステップSP1に戻る。従って制御部30は、この後、ステップSP6において肯定結果を得るまでの間(つまり音楽再生ロボット装置1が起動している間)は、上述したステップSP1〜ステップSP6及びステップSP8〜ステップSP19の一連の処理を継続して実行する。そしてステップSP6において肯定結果が得られると、このことは例えばユーザにより外部のリモートコントローラを介して起動停止命令が入力されたことを表している。従って制御部30はこのとき音楽再生ロボット装置1の起動を停止させてステップSP7に移り、かかる制御処理手順RT1を終了する。
【0066】
以上の構成において、音楽再生ロボット装置1は、再生曲調動作モード時に車輪駆動部34を介して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させて楕円体状筐体2を移動させている際、当該楕円体状筐体2の移動方向側に存在する第1及び第2の障害の検出用に、かかる楕円体状筐体2とこれよりも移動方向側の斜め下の移動面K1との距離を検出する距離検出部18を用いて、命令入力モード時に当該楕円体状筐体2と命令入力用の外部物体との検出距離を所定周期で順次検出する。そして音楽再生ロボット装置1の制御部30は、かかる命令入力モード時、距離検出部18により順次検出された楕円体状筐体2と外部物体との間の検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、その検出距離のアナログ的な変化に応じて音量調節用及び音質調節用の入力命令を判別すると共に、当該判別した入力命令に応じて音楽処理部33を制御する。
【0067】
従って音楽再生ロボット装置1の制御部30は、当該音楽再生ロボット装置1に対し、命令を入力するための操作キーを特には設けることなく、再生曲調動作モード時に楕円体状筐体2と移動面K1と間の検出距離の検出に用いる距離検出部18を命令入力用のインタフェースとして兼用してユーザに対し命令を入力させることができる。
【0068】
以上の構成によれば、音楽再生ロボット装置1は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、楕円体状筐体2が持ち上げられたことを検出した後、接触検知センサ部15にユーザの指等が接触したことを検知すると、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動してはいないと判別して命令入力モードと移行し、再生曲調動作モード時に楕円体状筐体2の移動方向側に存在する第1及び第2の障害の検出用に当該楕円体状筐体2とこれよりも移動方向側の斜め下の移動面K1との検出距離を検出するための距離検出部18により、楕円体状筐体2と命令入力用の外部物体との検出距離を検出すると共に、当該検出した検出距離に応じて音量調節用及び音質調節用の入力命令を判別して、その判別した入力命令に応じて音楽処理部33を制御するようにした。これにより音楽再生ロボット装置1は、命令を入力するための操作キーを特には設けることなく、楕円体状筐体2と移動面K1との検出距離の検出に用いる距離検出部18を命令入力用のインタフェースとして兼用しユーザに対し命令を入力させることができる。よって音楽再生ロボット装置1は、簡易な構成でユーザに対し命令を入力させることができる。
【0069】
また音楽再生ロボット装置1の制御部30は、距離検出部18により順次検出された検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、その検出距離のアナログ的な変化に応じて音量調節用及び音質調節用の入力命令を判別するようにした。これにより音楽再生ロボット装置1の制御部30は、ユーザに対し楕円体状筐体2と命令入力用の手等の外部物体との距離を何ら意識させずに当該楕円体状筐体2に対し外部物体を単に近づける又は遠ざけるだけの簡単な動作で、かかる音量調節用及び音質調節用の入力命令を入力させて、当該入力命令の入力直前の音量を上げ又は下げ、さらには入力命令の入力直前の再生中の音楽の音質に対し低音域を強調し又は高音域を強調することができる。
【0070】
なお上述した実施の形態においては、制御部30が命令入力モード時に検出距離のアナログ的な変化に応じて音量調節用及び音質調節用(すなわち、音楽の低音域及び高音域の強調)の入力命令を判別して入力させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、制御部30が命令入力モード時に検出距離のアナログ的な変化に応じて、再生中の音楽にかけるエコーの強弱を調節するための入力命令や、音楽の再生開始、早送り、巻き戻し、再生停止、再生一時停止の入力命令等のように、この他種々の入力命令を判別して入力させるようにしても良い。そして音楽再生ロボット装置1の制御部30は、検出距離のアナログ的な変化に応じて、このような種々の入力命令を入力させる場合、当該検出距離のアナログ的な変化の速度や変化の範囲、変化のパターン等に応じてこれら種々の入力命令を区別して判別することで実現することができる。
【0071】
また上述した実施の形態においては、制御部30が命令入力モード時に距離検出部18により順次検出された検出距離の変化を補間処理等によりアナログ的な変化に変換し、かかる検出距離のアナログ的な変化に応じて入力命令を判別するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、制御部30が命令入力モード時に距離検出部18により順次検出された検出距離を、予め選定された少なくとも1つの閾値と比較することにより当該検出距離の変化を少なくとも2値でなるデジタル的な値に変換し、かかる検出距離のデジタル的な値に応じて音楽に対する音量調節や音質調節、再生開始、早送り、巻き戻し、再生停止、再生一時停止等の種々の入力命令を判別するようにしても良い。ところで音楽再生ロボット装置1の制御部30は、検出距離のデジタル的な値に応じて、このような種々の入力命令を入力させる場合、当該検出距離のデジタル的な値の組み合せや、検出距離に対するデジタル的な同一の1値への変換の継続時間(すなわち、ハードウェアの操作キーに対する長押しに相当)、当該デジタル的な値の切替速度や切替範囲等に応じてこれら種々の入力命令を区別して判別することで実現することができる。そして音楽再生ロボット装置1は、検出距離のデジタル的な値に応じて入力命令を判別する場合、例えばユーザに対し楕円体状筐体2に命令入力用の手等の外部物体を種々の距離でかざさせるだけで、当該楕円体状筐体2に対し外部物体がかざされたときの距離に応じて異なる入力命令を入力させることができ、かくして外部物体のみを利用させて複数種類の入力命令を容易に入力させることができる。
【0072】
さらに上述した実施の形態においては、制御部30が、ユーザにより楕円体状筐体2が持ち上げられた後、接触検知センサ部15に指や手等が接触したことを検知したとき、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動してはいないと判別して命令入力モードと判断するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動している間は接触検知センサ部15にユーザが手や指等を触れ難く、当該楕円体状筐体2が静止しているときには、接触検知センサ部15にユーザが手や指等を触れ易いことにより、制御部30が、移動面K1等に載上された状態の楕円体状筐体2において例えば接触検知センサ部15に指や手等が接触したことを検知したとき、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動してはいないと判別して命令入力モードと判断するようにしても良い。このようにすれば、制御部30は、ユーザに対し楕円体状筐体2を持ち上げさせずに置いたままでも入力命令を入力させることができ、かくしてユーザに対して入力命令を入力させる際の動作を簡易化することができる。
【0073】
これに加えて音楽再生ロボット装置1では、制御部30が、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、楕円体状筐体2が移動面K1からユーザの手によって持ち上げられたことを検出したとき、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動してはいないと判別して命令入力モードと判断するようにしても良い。また音楽再生ロボット装置1では、車輪駆動部34に対し右側車輪12及び左側車輪13の回転角度を検出するロータリエンコーダ等の回転検出器を設け、制御部30が、かかる回転検出器による検出結果に応じて、右側車輪12及び左側車輪13が回転してはいないことを検出したとき、楕円体状筐体2が移動面K1上を移動してはいないと判別して命令入力モードと判断するようにしても良い。かかる構成によれば、音楽再生ロボット装置1は、右側車輪12及び左側車輪13が回転してはいないことを検出して命令入力モードに移行するため、例えば音楽に合わせて再生曲調動作を行っている間でも、当該再生曲調動作の一環として一時的に楕円体状筐体2が停止したときに音量や音質を調節することができる。
【0074】
さらに上述した実施の形態においては、楕円体状筐体2が移動する際に、その移動に対する第1及び第2の障害の検知用に当該楕円体状筐体2とこれよりも移動方向側の斜め下の移動面K1との検出距離を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、楕円体状筐体2が移動する際に、少なくとも第1の障害(すなわち、移動面K1の端部や溝等の凹み部分でなる)を検知し得れば、当該楕円体状筐体2と、その底面と対向する移動面K1との間の検出距離を検出するようにしても良い。
【0075】
さらに上述した実施の形態においては、本発明による移動装置を、図1乃至図16について上述した音楽再生ロボット装置1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、移動面上を移動可能なものであれば、2足歩行型や4足歩行型、車型等のロボット装置や、ラジオコントロールカー等のように、この他種々の形態の移動装置に広く適用することができる。
【0076】
さらに上述した実施の形態においては、装置本体部として、図1乃至図16について上述した略楕円体状の楕円体状筐体2を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、直方体状や立方体状、球体状、多面体状等のように、この他種々の形状でなる装置本体部を広く適用することができる。
【0077】
さらに上述した実施の形態においては、装置本体部を移動面上で移動させるための移動機構部として、図1乃至図16について上述した右側車輪12、左側車輪13及び車輪駆動部34を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの関節を有する足部及びその駆動部や、少なくとも3つの車輪及びその駆動部、キャタピラ及びその駆動部等のように、この他種々の構成でなる移動機構部を広く適用することができる。
【0078】
さらに上述した実施の形態においては、装置本体部が移動機構部を介して移動面上を移動するとき、当該移動の障害検知用に装置本体部と移動面との距離を検出する距離検出部として、図1乃至図16について上述した赤外線でなる光線R1を用いて距離を検出する距離検出部18を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、超音波を用いて距離を検出する距離検出部等のように、この他種々の構成でなる距離検出部を広く適用することができる。
【0079】
さらに上述した実施の形態においては、装置本体部に対する移動面上の移動の有無を判別する移動有無判別部として、図1乃至図16について上述した制御部30を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、装置本体部に対する移動面上の移動の有無を判別するハードウェア構成の移動有無判別回路等のように、この他種々の構成でなる移動有無判別部を広く適用することができる。
【0080】
さらに上述した実施の形態においては、移動有無判別部により装置本体部が移動面上を移動してはいないと判別されたとき命令入力モードと判断し、距離検出部により検出される装置本体部と命令入力用の外部物体との距離に応じて入力命令を判別する命令判別部として、図1乃至図16について上述した制御部30を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、移動有無判別部により装置本体部が移動面上を移動してはいないと判別されたとき命令入力モードと判断し、距離検出部により検出される装置本体部と命令入力用の外部物体との距離に応じて入力命令を判別するハードウェア構成の命令判別回路等のように、この他種々の構成でなる命令判別部を広く適用することができる。
【0081】
さらに上述した実施の形態においては、命令入力モード時、命令判別部により判別された入力命令に応じて装置本体部を制御する制御部として、図1乃至図16について上述した制御部30を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CPU(Central Processing Unit )やマイクロコンピュータ等のように、この他種々の構成でなる制御部を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、自律歩行型のロボット装置等の移動装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明による音楽再生ロボット装置の外観構成の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】音楽再生ロボット装置の背面構成を示す略線図である。
【図3】筐体右側回動部及び筐体左側回動部に対する筐体右側開閉部及び筐体左側開閉部の開閉の説明に供する略線図である。
【図4】筐体右側開閉部及び筐体左側開閉部の形状の説明に供する略線図である。
【図5】筐体右側回動部及び筐体左側回動部の回動の説明に供する略線図である。
【図6】楕円体状筐体と移動面との間の距離の検出の説明に供する略線的斜視図である。
【図7】楕円体状筐体と移動面との間の距離の検出の説明に供する略線図である。
【図8】距離検出部によって検出する距離の変化の説明に供する略線図である。
【図9】音楽データ転送システムの構成を示す略線図である。
【図10】音楽解析結果情報及び駆動部制御情報を示す略線図である。
【図11】音楽再生ロボット装置の回路構成を示すブロック図である。
【図12】加速度センサ部による加速度の検出の説明に供する略線的斜視図である。
【図13】距離検出部による距離の検出の説明に供する略線図である。
【図14】楕円体状筐体が行う障害を回避するための第1の回避動作の説明に供する略線的上面図である。
【図15】楕円体状筐体が行う障害を回避するための第2の回避動作の説明に供する略線的上面図である。
【図16】制御処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1……音楽再生ロボット装置、2……楕円体状筐体、12……右側車輪、13……左側車輪、15……接触検知センサ、18……距離検出部、30……制御部、42……赤外線発光素子、43……PSD、K1……移動面、R1……光線、R2、R3、R4……反射光、RT1……制御処理手順。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体部と、
上記装置本体部を移動面上で移動させるための移動機構部と、
上記装置本体部が上記移動機構部を介して上記移動面上を移動するとき、当該移動の障害検知用に上記装置本体部と上記移動面との距離を検出する距離検出部と、
上記装置本体部に対する上記移動面上の移動の有無を判別する移動有無判別部と、
上記移動有無判別部により上記装置本体部が上記移動面上を移動してはいないと判別されたとき命令入力モードと判断し、上記距離検出部により検出される上記装置本体部と命令入力用の外部物体との距離に応じて入力命令を判別する命令判別部と、
上記命令入力モード時、上記命令判別部により判別された上記入力命令に応じて上記装置本体部を制御する制御部と
を具えることを特徴とする移動装置。
【請求項2】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離検出部により検出された上記距離の変化をアナログ的な変化に変換し、当該距離の上記アナログ的な変化に応じて上記入力命令を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離の上記アナログ的な変化に応じて音楽の音質を調節するための上記入力命令を判別する
ことを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離の上記アナログ的な変化に応じて音楽の音質を調節するための上記入力命令として、上記音楽に対する音域の強弱を調節するための音域強弱調節命令、又は上記音楽に対するエコーの強弱を調節するためのエコー強弱調節命令を判別する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動装置。
【請求項5】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離検出部により検出された上記距離を予め選定された少なくとも1つの閾値と比較することにより当該距離の変化を少なくとも2値でなるデジタル的な値に変換し、上記距離の上記デジタル的な値に応じて上記入力命令を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項6】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離検出部により順次検出された上記距離を所定継続時間以上、同一の1値に変換した場合、当該1値及び上記所定継続時間に応じて上記入力命令を判別する
ことを特徴とする請求項5に記載の移動装置。
【請求項7】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離の上記デジタル的な値の組み合せに応じて上記入力命令を判別する
ことを特徴とする請求項5に記載の移動装置。
【請求項8】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離の上記デジタル的な値に応じて音楽データ再生時の上記入力命令を判別する
ことを特徴とする請求項5に記載の移動装置。
【請求項9】
上記命令判別部は、
上記命令入力モード時、上記距離の上記デジタル的な値に応じて上記音楽データ再生時の上記入力命令として、再生開始命令、早送り命令、巻戻し命令、再生停止命令、再生一時停止命令又は音量調節命令を判別する
ことを特徴とする請求項8に記載の移動装置。
【請求項10】
装置本体部に対する移動面上の移動の有無を判別する移動有無判別ステップと、
上記装置本体部が上記移動面上を移動してはいないと判別したとき命令入力モードと判断するモード判断ステップと、
上記命令入力モード時、上記装置本体部が上記移動面上を移動するときに当該移動の障害検知用に上記装置本体部と上記移動面との距離を検出するための距離検出部により、上記装置本体部と命令入力用の外部物体との距離を検出すると共に、当該検出した上記距離に応じて入力命令を判別する命令判別ステップと、
上記命令入力モード時に上記判別した上記入力命令に応じて上記装置本体部を制御する制御ステップと
を具えることを特徴とする命令入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−140692(P2007−140692A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330694(P2005−330694)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】