説明

積層コンデンサ

【課題】等価直列抵抗を増加させることが可能な積層コンデンサを提供すること。
【解決手段】積層コンデンサ1は、素体2、端子電極3,4、外部接続導体5〜10、ESR制御部20,30,40及び静電容量部50を備えている。積層コンデンサ1では、第一の端子電極3と第一の外部接続導体5との距離L1が第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2よりも長く、且つ、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2が第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9との距離L3よりも長くなっており、第一のESR制御部20の内部電極21が、第一の端子電極3と第一の外部接続導体5とに接続され、第二のESR制御部30の内部電極31が、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7とに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層コンデンサとして、複数の誘電体層と複数の内部電極とが交互に積層された積層体と、当該積層体の側面に配置された外部接続導体及び端子電極とを備えたものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。このような積層コンデンサでは、所定の静電容量値を確保しつつ等価直列抵抗を大きくするため、静電容量部を構成する内部電極の他に内部接続導体層を設け、この内部接続導体層を介して端子電極と静電容量部とを接続するようにしている。このような積層コンデンサは、例えば、ICにおけるデカップリングコンデンサとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−173837号公報
【特許文献2】特開2007−173838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した積層コンデンサでは、内部接続導体を介して端子電極と静電容量部とを接続することで等価直列抵抗をある程度、増加させているものの、等価直列抵抗を更に増加させ得る積層コンデンサが望まれていた。
【0005】
本発明は、等価直列抵抗を増加させることが可能な積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る積層コンデンサは、複数の誘電体層が積層された素体と、素体の外表面に配置された第一及び第二の端子電極と、素体の外表面に配置された第一、第二、第三、第四、第五及び第六の外部接続導体と、第一及び第二の内部接続導体を有する第一のESR制御部と、第三及び第四の内部接続導体を有する第二のESR制御部と、第五及び第六の内部接続導体を有する第三のESR制御部と、第一及び第二の内部電極を有する静電容量部とを備えている。この積層コンデンサでは、第一の内部接続導体は、第一の端子電極と第一の外部接続導体とに接続され、第二の内部接続導体は、第二の端子電極と第二の外部接続導体とに接続され、第三の内部接続導体は、第一の外部接続導体と第三の外部接続導体とに接続され、第四の内部接続導体は、第二の外部接続導体と第四の外部接続導体とに接続され、第五の内部接続導体は、第三の外部接続導体と第五の外部接続導体とに接続され、第六の内部接続導体は、第四の外部接続導体と第六の外部接続導体とに接続され、第一の内部電極は、第五の外部接続導体に接続され、第二の内部電極は、第六の外部接続導体に接続される。そして、第一の端子電極と第一の外部接続導体との距離L1が第一の外部接続導体と第三の外部接続導体との距離L2よりも長く、且つ、第一の外部接続導体と第三の外部接続導体との距離L2が第三の外部接続導体と第五の外部接続導体との距離L3よりも長くなっている。
【0007】
本発明にかかる積層コンデンサでは、第一のESR制御部に加えて第二及び第三のESR制御部を備えている。この場合、各端子電極と静電容量部との間に、第一のESR制御部に加えて第二及び第三のESR制御部も介在させることになり、端子電極から静電容量部への電流経路を長くして、等価直列抵抗を増加させることができる。しかも、本発明にかかる積層コンデンサでは、第一の端子電極と第一の外部接続導体との距離L1が第一の外部接続導体と第三の外部接続導体との距離L2よりも長く、且つ、第一の外部接続導体と第三の外部接続導体との距離L2が第三の外部接続導体と第五の外部接続導体との距離L3よりも長くなっている。この場合、第一、第二及び第三のESR制御部における電流経路の総合距離を長めにすることができ、等価直列抵抗を増加させることができる。
【0008】
上記積層コンデンサにおいて、第二の端子電極と第二の外部接続導体との距離L4が第二の外部接続導体と第四の外部接続導体との距離L5よりも長く、且つ、第二の外部接続導体と第四の外部接続導体との距離L5が第四の外部接続導体と第六の外部接続導体との距離L6よりも長くなるようにしてもよい。この場合、第一、第二及び第三のESR制御部における電流経路の総合距離を更に長めにすることができ、等価直列抵抗を更に増加させることができる。
【0009】
上記積層コンデンサにおいて、第一の端子電極と第一、第三及び第五の外部接続導体とが素体の同一側面に形成され、且つ、第二の端子電極と第二、第四及び第六の外部接続導体とが素体の同一側面に形成されるようにしてもよい。この場合、互いに同極性である端子電極と外部接続導体とが素体の同一側面に形成されるため、積層コンデンサを基板に実装する際、端子電極と外部接続導体との間でショートが発生してしまってもショート不良とならず、ショート不良を防止できる。このようなショート不良の防止は、積層コンデンサが小型(例えば対象サイズが1608(長さ1.6mm、高さ0.6mm、幅0.8mm))である場合に特に有益である。
【0010】
また、第一の端子電極と第一、第三及び第五の外部接続導体とが、第一の端子電極、第三の外部接続導体、第五の外部接続導体及び第一の外部接続導体の順に素体の同一側面に形成され、且つ、第二の端子電極と第二、第四及び第六の外部接続導体とが、第二の端子電極、第四の外部接続導体、第六の外部接続導体及び第二の外部接続導体の順に素体の同一側面に形成されるようにしてもよい。この場合、積層コンデンサを必要以上に大きくすることなく、端子電極や外部接続導体を配置することができる。
【0011】
上記積層コンデンサにおいて、第一の端子電極と第二、第三及び第六の外部接続導体とが素体の同一側面に形成され、且つ、第二の端子電極と第一、第四及び第五の外部接続導体とが素体の同一側面に形成されるようにしてもよい。この場合、内部接続導体が素体の対向する側面にそれぞれ引き出されることになるため、ESR制御部における電流経路が一層長くなり、等価直列抵抗を一層、増加させることができる。
【0012】
また、第一の端子電極と第二、第三及び第六の外部接続導体とが、第一の端子電極、第三の外部接続導体、第六の外部接続導体及び第二の外部接続導体の順に素体の同一側面に形成され、且つ、第二の端子電極と第一、第四及び第五の外部接続導体とが、第二の端子電極、第四の外部接続導体、第五の外部接続導体及び第一の外部接続導体の順で素体の同一側面に形成されるようにしてもよい。この場合、積層コンデンサを必要以上に大きくすることなく、端子電極や外部接続導体を配置することができる。
【0013】
上記積層コンデンサにおいて、第一及び第二のESR制御部は、静電容量部の積層数よりも少ない積層数で構成され、且つ、複数の誘電体層の積層方向において静電容量部を間に挟むように互いに離れて配置されるようにしてもよい。この場合、積層方向において、第一及び第二のESR制御部が静電容量部をその間に挟むように互いに離れて配置されることから、第一及び第二のESR制御部を結ぶ第一及び第二の外部接続導体の長さといった積層コンデンサの厚み分を利用して端子電極から静電容量部への電流経路を更に長くし、等価直列抵抗を更に増加させることが可能となる。しかも、この場合、第一及び第二のESR制御部が静電容量部の積層数よりも少ない積層数で構成されていることから、電流経路の並列接続の増加による低抵抗化を抑制でき、等価直列抵抗を一層増加させることができる。
【0014】
上記積層コンデンサにおいて、第三のESR制御部は、静電容量部の積層数よりも少ない積層数で構成され、且つ、複数の誘電体層の積層方向において、第一のESR制御部と静電容量部との間に配置されるようにしてもよい。この場合、積層方向において、第二及び第三のESR制御部が互いに離れて配置されることから、第二及び第三のESR制御部を結ぶ第三及び第四の外部接続導体の長さといった積層コンデンサの厚み分を利用して端子電極から静電容量部への電流経路を更に長くし、等価直列抵抗を更に増加させることが可能となる。しかも、この場合、第三のESR制御部が静電容量部の積層数よりも少ない積層数で構成されていることから、電流経路の並列接続の増加による低抵抗化を抑制でき、等価直列抵抗を一層増加させることができる。なお、上記の場合において、第三のESR制御部が、複数の誘電体層の積層方向において、第一のESR制御部に隣接して配置されると電流経路を更に長くでき、等価直列抵抗を更に増加させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、等価直列抵抗を増加させることが可能な積層コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
【図2】図1に示される積層コンデンサの上面図である。
【図3】積層体の各部を示し、(a)は第一のESR制御部を、(b)は第二のESR制御部を、(c)は第三のESR制御部を、(d)は静電容量部を示す平面図である。
【図4】図1におけるIV-IV線に沿った模式断面図である。
【図5】ESR制御部の積層順の変形例を示す模式断面図である。
【図6】第二実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
【図7】図6に示される積層コンデンサの上面図である。
【図8】積層体の各部を示し、(a)は第一のESR制御部を、(b)は第二のESR制御部を、(c)は第三のESR制御部を、(d)は静電容量部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
(第一実施形態)
図1〜図4を参照して、第一実施形態に係る積層コンデンサ1の構成について説明する。積層コンデンサ1は、図1及び図2に示されるように、略直方体形状の素体2と、第一及び第二の端子電極3,4と、第一、第二、第三、第四、第五及び第六の外部接続導体5,6,7,8,9,10とを備えている。また、積層コンデンサ1は、図3及び図4に示されるように、素体2の内部に、第一、第二及び第三のESR制御部20,30,40と、静電容量部50とを備えている。このような積層コンデンサ1は、例えば対象サイズが1608(長さ1.6mm、高さ0.6mm、幅0.8mm)といった小型のコンデンサである。
【0019】
素体2は、複数の誘電体層が積層された略直方体形状の積層体である。素体2に含まれる各誘電体層は、例えば、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の積層コンデンサ1では、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。また、素体2は、その外表面として、互いに対向する第一及び第二の主面2a,2bと、互いに対向し且つ第一及び第二の主面2a,2bの長辺方向に沿って伸びる第一及び第二の側面2c,2dと、互いに対向し且つ第一及び第二の主面2a,2bの短辺方向に沿って伸びる第一及び第二の端面2e,2fとを有している。第一及び第二の側面2c,2dと第一及び第二の端面2e,2fとは、第一及び第二の主面2a,2b間を連結するように伸びている。
【0020】
第一及び第二の端子電極3,4は、第一のESR制御部20等に含まれる内部電極を、回路基板等に形成されたプラス電極又はマイナス電極に接続させるための電極であり、素体2の外表面に配置される。第一及び第二の端子電極3,4は、例えば、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを素体2の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層を形成してもよい。後述する他の端子電極や外部接続導体も同様に形成される。
【0021】
第一、第二、第三、第四、第五及び第六の外部接続導体5、6,7,8,9,10は、各ESR制御部20,30,40や静電容量部50に含まれる内部電極を相互に接続するための外部接続導体であり、素体2の外表面に配置される。各外部接続導体5〜10は、回路基板等に形成されたプラス電極及びマイナス電極のいずれにも接続されないようになっている。
【0022】
各端子電極3,4や各外部接続導体5〜10は、素体2の外表面において互いに電気的に絶縁するように、次の順序で各側面2c,2dの何れかに配置される。まず、第一の端子電極3、第三の外部接続導体7,第五の外部接続導体9及び第一の外部接続導体5は、第一及び第二の端面2e,2fの対向方向において、第一の端面2eから第二の端面2fに向かって、この順に第一の側面2cに配置される。一方、第二の端子電極4、第四の外部接続導体8、第六の外部接続導体10及び第二の外部接続導体6は、第一及び第二の端面2e,2fの対向方向において、第一の端面2eから第二の端面2fに向かって、この順に第二の側面2dに配置される。
【0023】
また、第一及び第二の端子電極3,4は、素体2を挟んで互いに対向し、第一及び第二の外部接続導体5,6は、素体2を挟んで互いに対向し、第三及び第四の外部接続導体7,8は、素体2を挟んで互いに対向し、第五及び第六の外部接続導体9,10は、素体2を挟んで互いに対向するようになっている。なお、端子電極3,4や外部接続導体5〜10は、第一の主面2aから第二の主面2bにまたがるように何れかの側面2c,2dに形成される。
【0024】
このように配置された端子電極3,4と外部接続導体5〜10との距離や外部接続導体5〜10同士の距離は、図2から明らかなように、次のような関係を有している。すなわち、第一の側面2c側において、第一の端子電極3と第一の外部接続導体5との距離L1が、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2よりも長くなっている。また、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2が、第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9との距離L3よりも長くなっている。
【0025】
同様に、第二の側面2d側において、第二の端子電極4と第二の外部接続導体6との距離L4が、第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5よりも長くなっている。また、第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5が、第四の外部接続導体8と第六の外部接続導体10との距離L6よりも長くなっている。本実施形態では、距離L1と距離L4とは同じ長さであり、距離L2と距離L5とは同じ長さであり、距離L3と距離L6とは同じ長さであるが、これら各距離は必ずしも同じ長さである必要はなく、上述した関係を満たす限り、例えば、距離L1と距離L4とが異なる長さであってもよい。
【0026】
続いて、ESR制御部20,30,40や静電容量部50の機能及びこれらに含まれる内部電極について、図3を参照しながら、説明する。
【0027】
第一のESR制御部20は、積層コンデンサ1の等価直列抵抗(以下「ESR」とも記す。)の増加等の制御を行う部分であり、図3(a)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極21,26から構成される。内部電極21,26は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。内部電極21,26は、例えば、導電性ペーストの焼結体から構成される。後述する他の内部電極も同様に形成される。
【0028】
内部電極21(第一の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L2よりも長い距離L1である第一の端子電極3と第一の外部接続導体5とを接続するための内部接続導体である。内部電極21は、主電極部22と引出電極部23,24とを含む。主電極部22は、第一及び第二の端面2e,2fの対向方向(以下「X方向」と記す。)に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部23は、X方向における第一の端面2e側において主電極部22と連接し、内部電極21を第一の側面2cの第一の端子電極3の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部23は、第一の端子電極3に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部24は、X方向における第二の端面2f側において主電極部22と連接し、内部電極21を第一の側面2cの第一の外部接続導体5の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部24は、第一の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続される。
【0029】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極21には、図示矢印A1で示される電流が流れる。そして、プラス電極から第一の端子電極3へと流れ込んだ電流は、内部電極21を介して第一の外部接続導体5へと伝えられるようになっている。
【0030】
内部電極26(第二の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L5よりも長い距離L4である第二の端子電極4と第二の外部接続導体6とを接続するための内部接続導体である。内部電極26は、主電極部27と引出電極部28,29とを含む。主電極部27は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部28は、X方向における第一の端面2e側において主電極部27と連接し、内部電極26を第二の側面2dの第二の端子電極4の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部28は、第二の端子電極4に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部29は、X方向における第二の端面2f側において主電極部27と連接し、内部電極26を第二の側面2dの第二の外部接続導体6の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部29は、第二の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続される。
【0031】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極26には、図示矢印A2で示される電流が流れる。そして、第二の外部接続導体6へと流れ込んだ電流は、内部電極26を介して、第二の端子電極4やマイナス電極へと伝えられるようになっている。
【0032】
本実施形態では、内部電極21,26が接続導体として必要な面積よりも広くなるように形成されているため、積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極21,26それぞれに、図示矢印A3,A4で示される電流も流れるようになっている。内部電極21,26が積層方向に対向するように配置されていることから、上述した接続部としての機能に加え、内部電極21,26は、これらの電流により静電容量部としても機能する。後述する第二及び第三のESR制御部30,40においても同様である(図3(b),(c)において、電流の経路を示す矢印A13、A14、A23、A24を参照)。
【0033】
第二のESR制御部30は、第一のESR制御部20と同様、積層コンデンサ1のESRの増加等の制御を行う部分であり、図3(b)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極31,36から構成される。内部電極31,36は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0034】
内部電極31(第三の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L3よりも長い距離L2である第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7とを接続するための内部接続導体である。内部電極31は、主電極部32と引出電極部33,34とを含む。主電極部32は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部33は、X方向における第二の端面2f側において主電極部32と連接し、内部電極31を第一の側面2cの第一の外部接続導体5の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部33は、第一の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部34は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部32と連接し、内部電極31を第一の側面2cの第三の外部接続導体7の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部34は、第三の外部接続導体7に電気的且つ物理的に接続される。
【0035】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極31には、図示矢印A11で示される電流が流れる。そして、内部電極21を介して第一の外部接続導体5へと流れ込んだ電流は、内部電極31を介して、第三の外部接続導体7へと伝えられるようになっている。
【0036】
内部電極36(第四の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L6よりも長い距離L5である第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8とを接続するための内部接続導体である。内部電極36は、主電極部37と引出電極部38,39とを含む。主電極部37は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部38は、X方向における第二の端面2f側において主電極部37と連接し、内部電極36を第二の側面2dの第二の外部接続導体6の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部38は、第二の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部39は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部37と連接し、内部電極36を第二の側面2dの第四の外部接続導体8の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部39は、第四の外部接続導体8に電気的且つ物理的に接続される。
【0037】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極36には、図示矢印A12で示される電流が流れる。そして、第四の外部接続導体8へと流れ込んだ電流は、内部電極36を介して、第二の外部接続導体6へと伝えられるようになっている。
【0038】
第三のESR制御部40は、第一及び第二のESR制御部20,30と同様、積層コンデンサ1のESRの増加等の制御を行う部分であり、図3(c)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極41,46から構成される。内部電極41,46は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0039】
内部電極41(第五の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L3である第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9とを接続するための内部接続導体である。内部電極41は、主電極部42と引出電極部43,44とを含む。主電極部42は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部43は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部42と連接し、内部電極41を第一の側面2cの第三の外部接続導体7の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部43は、第三の外部接続導体7に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部44は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部42と連接し、内部電極41を第一の側面2cの第五の外部接続導体9の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部44は、第五の外部接続導体9に電気的且つ物理的に接続される。
【0040】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極41には、図示矢印A21で示される電流が流れる。そして、内部電極31を介して第三の外部接続導体7へと流れ込んだ電流は、内部電極41を介して、第五の外部接続導体9へと伝えられるようになっている。
【0041】
内部電極46(第六の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L6である第四の外部接続導体8と第六の外部接続導体10とを接続するための内部接続導体である。内部電極46は、主電極部47と引出電極部48,49とを含む。主電極部47は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部48は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部47と連接し、内部電極46を第二の側面2dの第四の外部接続導体8の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部48は、第四の外部接続導体8に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部49は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部47と連接し、内部電極46を第二の側面2dの第六の外部接続導体10の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部49は、第六の外部接続導体10に電気的且つ物理的に接続される。
【0042】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、内部電極46には、図示矢印A22で示される電流が流れる。そして、第六の外部接続導体10へと流れ込んだ電流は、内部電極46を介して、第四の外部接続導体8へと伝えられるようになっている。
【0043】
静電容量部50は、積層コンデンサ1において、静電容量を発生させる部分であり、図3(d)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極51,56から構成される。内部電極51,56は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0044】
内部電極51(第一の内部電極)は、主電極部52と引出電極部53とを含み、第五の外部接続導体9に接続される。主電極部52は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部53は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部52と連接し、内部電極51を第一の側面2cの第五の外部接続導体9の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部53は、第五の外部接続導体9に電気的且つ物理的に接続される。
【0045】
内部電極56(第二の内部電極)は、主電極部57と引出電極部58とを含み、第六の外部接続導体10に接続される。主電極部57は、X方向に伸びるように形成された矩形形状の電極部である。引出電極部58は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部57と連接し、内部電極56を第二の側面2dの第六の外部接続導体10の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部58は、第六の外部接続導体10に電気的且つ物理的に接続される。
【0046】
積層コンデンサ1が回路基板に実装等されると、静電容量部50では、互いに対向する内部電極51,56に図示矢印A33,A34で示される電流が流れ、その結果、両電極51,56の間に所定の静電容量が発生するようになる。
【0047】
このような第一、第二及び第三のESR制御部20,30,40や静電容量部50の積層方向における配置構成としては、例えば、図4に示されるように、素体2の一方の主面2a側である最上層に第二のESR制御部30が配置され、他方の主面2b側である最下層に第一のESR制御部20が配置される。そして、素体2に含まれる誘電体層2gの積層方向における略中央に第三のESR制御部40が配置される。第一、第二及び第三のESR制御部20,30,40の積層数は、例えば、それぞれが一層からなっている。ここで用いる「積層数」は、上述した一対の内部電極層を一層(一組)とするものである。
【0048】
また、第一及び第三のESR制御部20,40の間と第二及び第三のESR制御部30,40の間には、静電容量部50が配置される。つまり、積層方向において、第一及び第二のESR制御部20,30が静電容量部50をその間に挟むように互いに離れて配置され、また、第三のESR制御部40が一方の静電容量部50(第一のESR制御部20)と他方の静電容量部50との間に配置されることになる。積層コンデンサ1では、素体2が全体として例えば10層からなっており、静電容量部50の積層数は、残りの7層(例えば、第三のESR制御部40の上層に3層、下層に4層など)からなっている。なお、各ESR制御部20,30,40は、1層に限定されるわけではない。また、その配置も上述した配置に限定されるわけではなく、例えば、図5に示されるように、第三のESR制御部40が、積層方向において、第一のESR制御部20と静電容量部50との間に、第一のESR制御部20に隣接して配置されるようにしてもよい。この場合、静電容量部50は例えば7層が一体となったものから構成される。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る積層コンデンサ1では、第一のESR制御部20に加えて第二及び第三のESR制御部30,40を備えている。このため、各端子電極3,4と静電容量部50との間に、第一のESR制御部20に加えて第二及び第三のESR制御部30,40も介在させることになり、端子電極3,4から静電容量部50への電流経路を長くして、等価直列抵抗を増加させることができる。
【0050】
しかも、積層コンデンサ1では、第一の端子電極3と第一の外部接続導体5との距離L1が第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2よりも長く、且つ、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2が第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9との距離L3よりも長くなっている。このため、これら端子電極や外部接続導体に接続される第一のESR制御部20の内部電極21の長さを長めにすることができると共に、第二のESR制御部30の内部電極31の長さを長めにすることができる。
【0051】
つまり、内部電極21,31における電流経路を積層コンデンサ1の長手方向において折り返せるように内部電極21,31等のパターンを構成すると共に端子電極3や外部接続導体5,7,9を配置することにより、積層コンデンサ1では、積層コンデンサ1の長手方向における内部電極の長さを効率的に利用して、第一、第二及び第三のESR制御部20,30,40の内部電極21,31,41における電流経路の総合距離を長めにとることができるようになっている。この結果、積層コンデンサ1では、等価直列抵抗を増加させることができる。
【0052】
また、積層コンデンサ1では、第二の側面2d側においても同様に、第二の端子電極4と第二の外部接続導体6との距離L4が第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5よりも長く、且つ、第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5が第四の外部接続導体8と第六の外部接続導体10との距離L6よりも長くなっている。このため、上記と同様に、第一、第二及び第三のESR制御部20,30,40の内部電極26,36,46における電流経路の総合距離を長めにすることができ、等価直列抵抗を更に増加させることができる。
【0053】
また、積層コンデンサ1では、第一の端子電極3と第一、第三及び第五の外部接続導体5,7,9とが素体2の同一側面2cに形成され、且つ、第二の端子電極4と第二、第四及び第六の外部接続導体6,8,10とが素体2の同一側面2dに形成されている。このため、互いに同極性である端子電極と外部接続導体とが素体2の同一側面に形成されることになり、積層コンデンサ1を回路基板に実装する際、端子電極と外部接続導体との間でショートが発生してしまってもショート不良とならず、ショート不良を防止できる。このようなショート不良の防止は、積層コンデンサが小型である場合に特に有益である。
【0054】
また、積層コンデンサ1では、第一の端子電極3と第一、第三及び第五の外部接続導体5,7,9とが、第一の端子電極3、第三の外部接続導体7、第五の外部接続導体9及び第一の外部接続導体5の順に素体2の同一側面に形成され、且つ、第二の端子電極4と第二、第四及び第六の外部接続導体6,8,10とが、第二の端子電極4、第四の外部接続導体8、第六の外部接続導体10及び第二の外部接続導体6の順に素体2の同一側面に形成されている。このため、積層コンデンサ1を必要以上に大きくすることなく、端子電極や外部接続導体を配置することができる。
【0055】
また、積層コンデンサ1では、第一又は第二の外部接続導体5,6によって接続される第一及び第二のESR制御部20,30が、複数の誘電体層2gの積層方向において、静電容量部50を間に挟むように互いに離れて配置されている。このため、第一及び第二のESR制御部20,30を結ぶ外部接続導体5,6の長さといった積層コンデンサ1の厚み分を利用して端子電極3,4から静電容量部50への電流経路を更に長くし、等価直列抵抗を更に増加させることが可能となっている。
【0056】
また、積層コンデンサ1では、上述したように等価直列抵抗を増加させるための第一、第二及び第三のESR制御部20,30,40が、静電容量部50の積層数(7層)よりも少ない積層数(各1層)で構成されている。このため、各ESR制御部20,30,40の積層数を極力少なくすることになり(すなわち最小)、電流経路の並列接続の増加によって抵抗が低下することを抑制でき、等価直列抵抗の増加を図ることができる。
【0057】
また、図5に示される変形例の場合、第三のESR制御部40が、第一のESR制御部20と静電容量部50との間に第一のESR制御部20に隣接して配置されるようになっている。この場合、第二及び第三のESR制御部30,40が互いに離れて配置されることから、第二及び第三のESR制御部30,40を結ぶ第三及び第四の外部接続導体7,8の長さといった積層コンデンサ1の厚み分を利用して端子電極3,4から静電容量部50への電流経路を更に長くし、等価直列抵抗を更に増加させることが可能となる。しかも、この場合、第三のESR制御部40が静電容量部50の積層数よりも少ない積層数で構成されていることから、上記同様、電流経路の並列接続の増加による低抵抗化を抑制できる。
【0058】
(第二実施形態)
次に、図6〜図8を参照して、第二実施形態にかかる積層コンデンサ61の構成について説明する。積層コンデンサ61は、第一実施形態の積層コンデンサ1と同様、略直方体形状の素体2と、第一及び第二の端子電極3,4と、第一、第二、第三、第四、第五及び第六の外部接続導体5,6,7,8,9,10とを備えている。また、積層コンデンサ61は、素体2の内部に、第一、第二及び第三のESR制御部70,80,90と、静電容量部100とを備えている(図8参照)。本実施形態では、図6に示されるように、外部接続導体5,6,9,10の配置箇所が第一実施形態と異なっており、また、これにより、各内部電極のパターンも異なっている。以下、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0059】
まず、端子電極や外部接続導体の配置について説明する。本実施形態では、図6及び図7に示されるように、第一の端子電極3、第三の外部接続導体7、第六の外部接続導体10及び第二の外部接続導体6は、第一の端面2eから第二の端面2fに向かって、この順に第一の側面2cに配置される。一方、第二の端子電極4、第四の外部接続導体8、第五の外部接続導体9及び第一の外部接続導体5は、第一の端面2eから第二の端面2fに向かって、この順に第二の側面2dに配置される。つまり、第二実施形態では、外部接続導体5,6の位置がそれぞれ交換されると共に、外部接続導体9,10の位置がそれぞれ交換されている。
【0060】
このように配置された端子電極3,4と外部接続導体5〜10との距離や外部接続導体5〜10同士の距離は、図7から明らかなように、第一実施形態と同様、次のような関係を有している。すなわち、第一の端子電極3と第一の外部接続導体5との距離L1が、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2よりも長くなっている(図7(a)及び(b)参照)。また、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2が、第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9との距離L3よりも長くなっている(図7(b)及び(c)参照)。同様に、第二の端子電極4と第二の外部接続導体6との距離L4が、第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5よりも長くなっている(図7(a)及び(b)参照)。また、第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5が、第四の外部接続導体8と第六の外部接続導体10との距離L6よりも長くなっている(図7(b)及び(c)参照)。
【0061】
続いて、積層体を構成する各部及び各部に含まれる内部電極について説明する。第一のESR制御部70は、積層コンデンサ61のESRの増加等の制御を行う部分であり、図8(a)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極71,76から構成される。内部電極71,76は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0062】
内部電極71(第一の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L2よりも長い距離L1である第一の端子電極3と第一の外部接続導体5とを接続するための内部接続導体である。内部電極71は、主電極部72と引出電極部73,74とを含む。主電極部72は、矩形形状の電極部である。引出電極部73は、X方向における第一の端面2e側において主電極部72と連接し、内部電極71を第一の側面2cの第一の端子電極3の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部73は、第一の端子電極3に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部74は、X方向における第二の端面2f側において主電極部72と連接し、内部電極71を第二の側面2dの第一の外部接続導体5の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部74は、第一の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続される。
【0063】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、内部電極71には、図示矢印A41で示される電流が流れる。そして、プラス電極から第一の端子電極3へと流れ込んだ電流は、内部電極71を介して第一の外部接続導体5へと伝えられる。
【0064】
内部電極76(第二の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L5よりも長い距離L4である第二の端子電極4と第二の外部接続導体6とを接続するための内部接続導体である。内部電極76は、主電極部77と引出電極部78,79とを含む。主電極部77は、矩形形状の電極部である。引出電極部78は、X方向における第一の端面2e側において主電極部77と連接し、内部電極76を第二の側面2dの第二の端子電極4の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部78は、第二の端子電極4に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部79は、X方向における第二の端面2f側において主電極部77と連接し、内部電極76を第一の側面2cの第二の外部接続導体6の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部79は、第二の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続される。
【0065】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、内部電極76には、図示矢印A42で示される電流が流れる。そして、第二の外部接続導体6へと流れ込んだ電流は、内部電極76を介して、第二の端子電極4やマイナス電極へと伝えられる。
【0066】
第二のESR制御部80は、積層コンデンサ61のESRの増加等の制御を行う部分であり、図8(b)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極81,86から構成される。内部電極81,86は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0067】
内部電極81(第三の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L3よりも長い距離L2である第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7とを接続するための内部接続導体である。内部電極81は、主電極部82と引出電極部83,84とを含む。主電極部82は、矩形形状の電極部である。引出電極部83は、X方向における第二の端面2f側において主電極部82と連接し、内部電極81を第二の側面2dの第一の外部接続導体5の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部83は、第一の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部84は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部82と連接し、内部電極81を第一の側面2cの第三の外部接続導体7の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部84は、第三の外部接続導体7に電気的且つ物理的に接続される。
【0068】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、内部電極81には、図示矢印A51で示される電流が流れる。そして、内部電極71を介して第一の外部接続導体5へと流れ込んだ電流は、内部電極81を介して、第三の外部接続導体7へと伝えられる。
【0069】
内部電極86(第四の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L6よりも長い距離L5である第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8とを接続するための内部接続導体である。内部電極86は、主電極部87と引出電極部88,89とを含む。主電極部87は、矩形形状の電極部である。引出電極部88は、X方向における第二の端面2f側において主電極部87と連接し、内部電極86を第一の側面2cの第二の外部接続導体6の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部88は、第二の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部89は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部87と連接し、内部電極86を第二の側面2dの第四の外部接続導体8の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部89は、第四の外部接続導体8に電気的且つ物理的に接続される。
【0070】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、内部電極86には、図示矢印A52で示される電流が流れる。そして、第四の外部接続導体8へと流れ込んだ電流は、内部電極86を介して、第二の外部接続導体6へと伝えられる。
【0071】
第三のESR制御部90は、第一及び第二のESR制御部70,80と同様、積層コンデンサ61のESRの増加等の制御を行う部分であり、図8(c)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極91,96から構成される。内部電極91,96は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0072】
内部電極91(第五の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L3である第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9とを接続するための内部接続導体である。内部電極91は、主電極部92と引出電極部93,94とを含む。主電極部92は、矩形形状の電極部である。引出電極部93は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部92と連接し、内部電極91を第一の側面2cの第三の外部接続導体7の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部93は、第三の外部接続導体7に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部94は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部92と連接し、内部電極91を第二の側面2dの第五の外部接続導体9の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部94は、第五の外部接続導体9に電気的且つ物理的に接続される。
【0073】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、内部電極91には、図示矢印A61で示される電流が流れる。そして、内部電極81を介して第三の外部接続導体7へと流れ込んだ電流は、内部電極91を介して、第五の外部接続導体9へと伝えられる。
【0074】
内部電極96(第六の内部接続導体)は、互いの離間距離が距離L6である第四の外部接続導体8と第六の外部接続導体10とを接続するための内部接続導体である。内部電極96は、主電極部97と引出電極部98,99とを含む。主電極部97は、矩形形状の電極部である。引出電極部98は、X方向における略中央から第一の端面2e寄りの箇所において主電極部97と連接し、内部電極96を第二の側面2dの第四の外部接続導体8の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部98は、第四の外部接続導体8に電気的且つ物理的に接続される。引出電極部99は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部97と連接し、内部電極96を第一の側面2cの第六の外部接続導体10の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部99は、第六の外部接続導体10に電気的且つ物理的に接続される。
【0075】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、内部電極96には、図示矢印A62で示される電流が流れる。そして、第六の外部接続導体10へと流れ込んだ電流は、内部電極96を介して、第四の外部接続導体8へと伝えられるようになっている。
【0076】
静電容量部100は、積層コンデンサ61において、静電容量を発生させる部分であり、図8(d)に示されるように、それぞれが別の誘電体層2g上に形成される内部電極101,106から構成される。内部電極101,106は、誘電体層2gを介して積層方向に互いに対向するように積層され、一対の内部電極層を構成するようになっている。
【0077】
内部電極101(第一の内部電極)は、主電極部102と引出電極部103とを含み、第五の外部接続導体9に接続される。主電極部102は、矩形形状の電極部である。引出電極部103は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部102と連接し、内部電極101を第二の側面2dの第五の外部接続導体9の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部103は、第五の外部接続導体9に電気的且つ物理的に接続される。
【0078】
内部電極106(第二の内部電極)は、主電極部107と引出電極部108とを含み、第六の外部接続導体10に接続される。主電極部107は、矩形形状の電極部である。引出電極部108は、X方向における略中央から第二の端面2f寄りの箇所において主電極部107と連接し、内部電極106を第一の側面2cの第六の外部接続導体10の形成領域に引き出す電極部である。引出電極部108は、第六の外部接続導体10に電気的且つ物理的に接続される。
【0079】
積層コンデンサ61が回路基板に実装等されると、静電容量部100では、互いに対向する内部電極101,106に図示矢印A73,A74で示される電流が流れ、その結果、両電極101,106の間に所定の静電容量が発生するようになる。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る積層コンデンサ61でも、第一実施形態と同様、第一のESR制御部70に加えて第二及び第三のESR制御部80,90を備えているため、その分、端子電極3,4から静電容量部100への電流経路を長くして、等価直列抵抗を増加させることができる。
【0081】
しかも、積層コンデンサ61では、第一の端子電極3と第二、第三及び第六の外部接続導体6,7,10とが素体2の同一側面2cに形成され、且つ、第二の端子電極4と第一、第四及び第五の外部接続導体5,8,9とが素体2の同一側面2dに形成されている。つまり、第一実施形態に比べて、第一の端子電極3と第一の外部接続導体5との距離L1、第一の外部接続導体5と第三の外部接続導体7との距離L2、第三の外部接続導体7と第五の外部接続導体9との距離L3、第二の端子電極4と第二の外部接続導体6との距離L4、第二の外部接続導体6と第四の外部接続導体8との距離L5、及び、第四の外部接続導体8と第六の外部接続導体10との距離L6がそれぞれ長くなるように配置されることになる。
【0082】
そして、このような配置により、積層コンデンサ61では、積層コンデンサ61の長手方向における内部電極の長さだけでなく短手方向における内部電極の長さも効率的に利用して、内部電極71,81,91や内部電極76,86,96が素体2の対向する側面にそれぞれ引き出されることになるため、ESR制御部70,80,90における電流経路が更に長くなり、等価直列抵抗を一層、増加させることができる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、内部電極のパターンを複数示したが、内部電極のパターンはこれらに限定されるものではなく、他のパターンであってもよい。また、第一、第二及び第三のESR制御部や静電容量部の配置構成は、上述したものに限定されるわけではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の配置であってももちろんよい。また、第一、第二、第三のESR制御部や静電容量部の積層数は上述した積層数(素体2全体として10層)に限定されるわけではなく、例えば100層又はそれ以上の積層数からなっていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,61…積層コンデンサ、2…素体、3…第一の端子電極、4…第二の端子電極、5…第一の外部接続導体、6…第二の外部接続導体、7…第三の外部接続導体、8…第四の外部接続導体、9…第五の外部接続導体、10…第六の外部接続導体、20,70…第一のESR制御部、30,80…第二のESR制御部、40,90…第三のESR制御部、50,100…静電容量部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層された素体と、
前記素体の外表面に配置された第一及び第二の端子電極と、
前記素体の外表面に配置された第一、第二、第三、第四、第五及び第六の外部接続導体と、
第一及び第二の内部接続導体を有する第一のESR制御部と、
第三及び第四の内部接続導体を有する第二のESR制御部と、
第五及び第六の内部接続導体を有する第三のESR制御部と、
第一及び第二の内部電極を有する静電容量部と、を備え、
前記第一の内部接続導体は、前記第一の端子電極と前記第一の外部接続導体とに接続され、
前記第二の内部接続導体は、前記第二の端子電極と前記第二の外部接続導体とに接続され、
前記第三の内部接続導体は、前記第一の外部接続導体と前記第三の外部接続導体とに接続され、
前記第四の内部接続導体は、前記第二の外部接続導体と前記第四の外部接続導体とに接続され、
前記第五の内部接続導体は、前記第三の外部接続導体と前記第五の外部接続導体とに接続され、
前記第六の内部接続導体は、前記第四の外部接続導体と前記第六の外部接続導体とに接続され、
前記第一の内部電極は、前記第五の外部接続導体に接続され、
前記第二の内部電極は、前記第六の外部接続導体に接続され、
前記第一の端子電極と前記第一の外部接続導体との距離L1が前記第一の外部接続導体と前記第三の外部接続導体との距離L2よりも長く、且つ、前記第一の外部接続導体と前記第三の外部接続導体との距離L2が前記第三の外部接続導体と前記第五の外部接続導体との距離L3よりも長いことを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記第二の端子電極と前記第二の外部接続導体との距離L4が前記第二の外部接続導体と前記第四の外部接続導体との距離L5よりも長く、且つ、前記第二の外部接続導体と前記第四の外部接続導体との距離L5が前記第四の外部接続導体と前記第六の外部接続導体との距離L6よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記第一の端子電極と前記第一、第三及び第五の外部接続導体とが前記素体の同一側面に形成され、且つ、前記第二の端子電極と第二、第四及び第六の外部接続導体とが前記素体の同一側面に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記第一の端子電極と前記第一、第三及び第五の外部接続導体とが、前記第一の端子電極、前記第三の外部接続導体、前記第五の外部接続導体及び前記第一の外部接続導体の順に前記素体の同一側面に形成され、且つ、前記第二の端子電極と第二、第四及び第六の外部接続導体とが、前記第二の端子電極、前記第四の外部接続導体、前記第六の外部接続導体及び前記第二の外部接続導体の順に前記素体の同一側面に形成されることを特徴とする請求項3に記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記第一の端子電極と前記第二、第三及び第六の外部接続導体とが前記素体の同一側面に形成され、且つ、前記第二の端子電極と前記第一、第四及び第五の外部接続導体とが前記素体の同一側面に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記第一の端子電極と前記第二、第三及び第六の外部接続導体とが、前記第一の端子電極、前記第三の外部接続導体、前記第六の外部接続導体及び前記第二の外部接続導体の順に前記素体の同一側面に形成され、且つ、前記第二の端子電極と第一、第四及び第五の外部接続導体とが、前記第二の端子電極、前記第四の外部接続導体、前記第五の外部接続導体及び前記第一の外部接続導体の順で前記素体の同一側面に形成されることを特徴とする請求項5に記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
前記第一及び第二のESR制御部は、前記静電容量部の積層数よりも少ない積層数で構成され、且つ、前記複数の誘電体層の積層方向において前記静電容量部を間に挟むように互いに離れて配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項8】
前記第三のESR制御部は、前記静電容量部の積層数よりも少ない積層数で構成され、且つ、前記複数の誘電体層の積層方向において、前記第一のESR制御部と前記静電容量部との間に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項9】
前記第三のESR制御部は、前記複数の誘電体層の積層方向において、前記第一のESR制御部に隣接して配置されていることを特徴とする請求項8に記載の積層コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−171599(P2011−171599A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35267(P2010−35267)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】