説明

空調装置用可変容量圧縮機の制御方法及び可変容量圧縮機のトルク算出装置

【課題】 推定トルクとコンプレッサの実際のトルクとのずれを無くし、吹き出し温度の上昇を防止することができる空調装置用可変容量圧縮機の制御方法及び可変容量圧縮機のトルク算出装置を提供する。
【解決手段】 本発明の制御方法は、目標エバポレータ出口側吹き出し温度より吹き出し温度が高い時は前記圧縮機を最大容量で稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側吹き出し温度に達したとき、コントロールバルブへの入力信号を第1のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、その後目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定めて、この目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置の冷凍サイクルに設けられる可変容量圧縮機(以下「可変容量コンプレッサ」という)の制御方法及び、可変容量コンプレッサのトルク算出装置及びトルク算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の可変容量コンプレッサは、省動力化を図るべく外部制御信号によって冷媒の吐出容量を可変する。冷媒の吐出容量が可変すると、エンジンに対する負荷を変動するため、エンジン制御側は例えばアイドリングモードでのエンスト、空吹かし等を防止するために吸入空気量(燃料供給量)を制御する必要がある。エンジン制御側がこのような制御を行うため、可変容量コンプレッサのトルクを認識する必要があり、従来より種々のトルク算出装置が提案されている。本出願人も、高い推定精度のトルク算出装置を先に提案した(特許文献1参照)。
【0003】
この可変容量コンプレッサのトルク算出装置は、エバポレータを通過して車室に流れ込む室内風量を算出する室内風量算出部と、室内風量とエバポレータ前後のエンタルピの変化によりエバポレータ空気吸熱量を算出するエバポレータ空気吸熱量算出部と、エバポレータ空気吸熱量とエバポレータ前後の冷媒エンタルピの変化によりエバポレータを流れる冷媒流量を算出する冷媒流量算出部と、算出した冷媒流量を用いてコンプレッサのトルクを算出するコンプレッサ駆動トルク算出部とから構成されている。このトルク算出装置は、冷凍サイクルのエバポレータを流れる冷媒流量を考慮することで、高い推定精度のトルクを算出することができるものである。
【0004】
また、上記の可変容量コンプレッサは、目標吹き出し温度と実際に吹き出されている温度との関係により、コントロールバルブへの入力信号のデューティー比を変化させて、目標吹き出し温度となるように制御している。例えば、目標温度より実際に吹き出されている温度が高ければ、デューティー比を上げて、コンプレッサの仕事量を増やし、目標吹き出し温度とするべく温度を下げようとする。
【0005】
また逆の場合(目標吹き出し温度より実際に吹き出されている温度が低ければ)には、コントロールバルブへの入力信号のデューティー比を下げてコンプレッサの仕事量を少なくして、目標吹き出し温度とするべく温度を上げようとする。
【特許文献1】特開2003−278660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コンプレッサの起動後、実際に吹き出されている温度が目標吹き出し温度に近づいてくると、デューティー比は小さくなって安定するが、このときコンプレッサトルクは、デューティー比は下がりはじめるがコンプレッサ吸入側圧力Ps制御の可変コンプレッサでは、デューティー比に応じた設定Ps以下にならない限りコンプレッサ側は可変しない。
【0007】
一方、コンプレッサトルク制御はデューティー比により推定トルクを算出しているのでそのデューティー比に応じたトルク算出を行う。このため、推定トルクとのずれが生じる。この結果、吹き出し温度が上昇してしまうことがある。
【0008】
そこで、本発明は、推定トルクとコンプレッサの実際のトルクとのずれを無くし、吹き出し温度の上昇を防止することができる空調装置用可変容量圧縮機の制御方法及び可変容量圧縮機のトルク算出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する請求項1の発明は、目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定め、該目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御する空調装置用可変容量圧縮機の制御方法であって、
低圧圧力を検出して弁開度を調整し、外部信号により弁開度を変位させる外部制御手段を有したコントロールバルブにより吸入圧力を制御可能とし、目標エバポレータ出口側吹き出し温度より吹き出し温度が高い時は前記圧縮機を最大容量で稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側吹き出し温度に達したとき、コントロールバルブへの入力信号を第1のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、その後目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定めて、この目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定め、該目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御する空調装置用可変容量圧縮機のトルク算出装置であって、
低圧圧力を検出して弁開度を調整し、外部信号により弁開度を変位させる外部制御手段を有したコントロールバルブにより吸入圧力を制御可能とし、
目標エバポレータ出口側吹き出し温度より吹き出し温度が高い時は前記圧縮機を最大容量で稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側吹き出し温度に達したとき、コントロールバルブへの入力信号を第1のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、その後目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定めて、この目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じてコントロールバルブへの入力信号を第2のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、それぞれのデューティー比の信号に基づいて圧縮機のトルクを演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、目標エバポレータ出口側温度より吹き出し温度が高いときは最大容量で圧縮機を稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側温度に達したとき第1のデューティー比で容量制御運転を行うので、圧縮機の応答性が速まり、推定トルクとのずれが低減されて、吹き出し温度の上昇を抑えることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、目標エバポレータ出口側温度より吹き出し温度が高いときは最大容量で圧縮機を稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側温度に達したとき第1のデューティー比で容量制御運転を行うので、圧縮機の応答性が速まり、推定トルクとのずれが低減されると共に、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側温度に達したときには、推定トルクを容易に予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図11は本発明の可変容量コンプレッサの制御方法及び可変容量コンプレッサのトルク算出装置、トルク算出方法を適用した実施形態を示す。図1は車両用空調装置6のシステム図、図2は可変容量コンプレッサ8の断面図、図3は可変容量コンプレッサ8の容量可変制御を説明する図、図4はモリエル線とこれに対応するよう記載された冷凍サイクル7とを示す図、図5はデューティ比をパラメータとするコンプレッサ吸入側圧力とコンプレッサ吐出側圧力の特性線図、図6は冷凍サイクル負荷(エバポレータ負荷)を一定とした場合にあって、デューティ比をパラメータとするコンプレッサ吐出側圧力とトルクの特性線図、図7はコンプレッサデューティー比を一定(60%)とした場合にあって、冷凍サイクル負荷(エバポレータ吸気の空気温度(℃)、湿度(%)、送風機電圧(V))を変動させた場合のコンプレッサ吐出側圧力とトルクの特性線図、図8はコンプレッサデューティー比を一定(60%)とした場合にあって、冷凍サイクル負荷(エバポレータ吸気の空気温度(℃)、湿度(%)、送風機電圧(V))を変動させた場合のトルクとエバ前後温度差とコンプレッサ吐出側圧力の比の特性線図、図9はトルク算出処理のフローチャート、図10は本実施形態によって算出した推定トルクと実際に測定した実トルクとの特性線図である。
【0015】
図1において、エンジン1は、燃料噴射のためのフューエルインジェクタ2を有する。フューエルインジェクタ2は、エンジンコントロールユニット3の制御信号により制御され、フューエルインジェクタ2の制御によりエンジン回転数が所定の回転数に可変される。ラジエータ4は、冷却水配管(特に、符号を付さず)を介してエンジン1に連結されている。
【0016】
車両用空調装置6の冷凍サイクル7は、可変容量コンプレッサ8とコンデンサ9とリキッドタンク10と温度式自動膨脹弁11とエバポレータ12とこれらを連結する冷媒配管(特に、符号を付さず)とから構成されている。
【0017】
可変容量コンプレッサ8は、エンジン1の回転により駆動され、エバポレータ12から送られてくる低温低圧の気化冷媒を高温高圧の気化冷媒としてコンデンサ9に送る。可変容量コンプレッサ8は、コントロールバルブ13を有する。コントロールバルブ13は、空調コントロールユニット14からの外部制御信号である制御パルス信号のデューティ比によって冷媒の吐出容量を可変する。可変容量コンプレッサ8の構成及び可変容量制御の詳しい内容は、下記する。
【0018】
コンデンサ9は、ラジエータ4の前面に配置されている。コンデンサ9は、走行風や冷却電動ファン15の風によって高温高圧の気化冷媒を凝縮点まで冷却して高圧中温の液化冷媒とする。そして、高圧中温の液化冷媒をリキッドタンク10に送る。
【0019】
リキッドタンク10は、高圧中温の液化冷媒を含まれる水分やゴミを取り除き、冷媒が円滑に供給できるように溜める。そして、このように溜められた液化冷媒を温度式自動膨脹弁11に送る。
【0020】
温度式自動膨脹弁11は、高圧中温の液化冷媒を急激に膨脹させ、低圧低温の霧状の液化冷媒としてエバポレータ12に送る。
【0021】
エバポレータ12は、霧状の液化冷媒を、ブロワファン16により車室内へと送られる送風の熱を奪うことによって蒸発させ、低圧低温の気化冷媒とする。そして、低圧低温の気化冷媒を可変容量コンプレッサ8に送る。
【0022】
冷却電動ファン15は、ファンモータ17の駆動力によって回転される。
【0023】
ブロワファン16の吸込み側に内外気切替箱39があり、車室内の空気である内気を吸込む内気吸込口42、および車室外の空気である外気を吸込む外気吸込口43がある。なお、内外気切替箱39内に配置された内外気切替ドア40により、内気、および、または外気に吸い込みを切替えることが可能になっている。
【0024】
ブロワファン16は、ブロワファンモータ19の駆動力によって回転される。ブロワファン16が回転すると、車室内の空気である内気、および、または車室外の空気である外気を吸い込み、この吸い込んだ送風をエバポレータ12に圧送し、冷たくなった空気を車室内に送風する。ブロワファンモータ19は、空調コントロールユニット14からの駆動制御信号によって駆動される。
【0025】
エンジンコントロールユニット3は、双方向通信線を介して空調コントロールユニット14に接続されている。エンジンコントロールユニット3にはエンジン制御センサ群20のセンサ検出データが入力され、エンジンコントロールユニット3はこれらセンサ検出データやエンジン制御指令に基づいてエンジン1を制御する。エンジン制御センサ群20は、車速センサ20a、エンジン回転センサ20b、アクセル開度センサ20c、アイドルスイッチ20dなどである。
【0026】
空調コントロールユニット14は、ファンモータ制御部14aとコンプレッサ容量制御部14bとコンプレッサトルク算出装置であるコンプレッサトルク算出部14c等を内蔵する。ファンモータ制御部14aは、上述したようにファンモータ17の駆動を制御する。コンプレッサ容量制御部14bは、上述したようにコントロールバルブ13を制御する。コンプレッサトルク算出部14cは、図10に示すフローを実行することにより可変容量コンプレッサ8のトルクを算出する。このトルク算出処理については、下記に詳述する。
【0027】
又、空調コントロールユニット14には空調制御センサ群21のセンサ検出データが入力され、空調コントロールユニット14はこれらセンサ検出データや空調制御指令に基づいて可変容量コンプレッサ8やブロワファンモータ19等を制御する。空調制御センサ群21は、車両用空調装置6に通常設置される既設のセンサであり、エアコンスイッチ21a、モードスイッチ21b、デフスイッチ21c、オートスイッチ21d、FREスイッチ21e、RECスイッチ21f、温度調整スイッチ21g、オフスイッチ21h、車室内の温度を検出する内気温度検出手段である内気温度センサ21i、外気の温度を検出する外気温度検出手段である外気温度センサ21j、日射センサ21k、エバポレータ12の出口側空気温度検出手段である吸込温度センサ21l、水温センサ21m、可変容量コンプレッサ8のコンプレッサ吐出側圧力を検出する冷媒圧力センサ21n等である。
【0028】
内外気切替ドアは、FREスイッチ(図示せず)、もしくはRECスイッチ(図示せず)による外気吸込み(FRE)、もしくは内気吸込み(REC)の選択、または空調制御指令に基づいて、駆動部41を制御し、内外気切替ドア40が切替えられる。
【0029】
図2において、可変容量コンプレッサ8は、周方向に複数のハウジングボア22aが形成されたハウジング22と、このハウジング22の中心位置に配置され、プーリ23の回転によって回転される回転軸24と、この回転軸24に斜板駆動体25を介して連結された斜板26と、この斜板26の回転に応じて各ハウジングボア22a内を往復移動し、この往復ストロークを斜板26の傾斜角によって可変する複数のピストン27と、ピストン27の背面に作用するクランク室圧力Pcを変化させることによって、斜板26の傾斜角を変化させ、冷媒の吐出容量を制御するコントロールバルブ13とを備えている。
【0030】
空調コントロールユニット14は、乗員が設定した目標室内温度と、各種センサの検出値とから目標吹出し温度、吹出し風量などを演算する。このとき、目標エバポレータ出口側空気温度、およびコントロールバルブ13のデューティー比も算出する。そして、コントロールバルブ13は、算出されたデューティー比によって可変容量コンプレッサ8の容量を制御する。
【0031】
空調コントロールユニット14は、各種センサーの検出値と温度調整スイッチにより乗員が設定した目標室内温度から、空調装置からの目標吹き出し温度、吹き出し風量などを演算する。この時、目標エバポレータ出口側吹き出し温度を求め、さらにコンプレッサのデューティー比を算出する。コンプレッサのコントロールバルブはこの算出されたデューティー比によりコンプレッサの容量をする。
【0032】
前述のように目標吹き出し温度と吹き出し風量を比較し、この目標吹き出し温度と吹き出し風量差を解消する方向にコンプレッサへの入力信号のデューティー比を算出する。従って、目標到達すれば安定作動される。
【0033】
しかし、図3に示すようなダイヤフラム32にコンプレッサ吸入側圧力Psを作用させ、コンプレッサ吸入側圧力Psを一定にするよう制御し、電磁コイルのデューティー比による通電で安定させるコンプレッサ吸入側圧力Psを図5のように変化させる可変容量制御においては、前述のように、コンプレッサ吸入側圧力Ps制御である為、算出されたデューティー比が100%からさがってもその時まだ目標吸入側圧力Psまで到達していない場合はコンプレッサは最大容量である。このため、デューティー比からトルクを推定した場合ずれが生じてしまう。
【0034】
このため、デューティー比は常時算出するが、算出されたデューティー比が所定値以上の場合は目標エバポレータ出口側空気温度に対し達成するまで100%デューティー比を出力し(実施例では、図11に示すように目標エバポレータ出口側空気温度に対しマイナス1度まで)、エバポレータ出口側空気温度が目標に対し達成した場合は第1のデューティー比を出力する。ここで第1のデューティー比は確実に容量制御する程度に小さく、実施例では50%程度である。その後、また定常デューティー比を算出し制御する。
【0035】
もし、第1のデューティー比を出力してから所定時間(10秒程度)以内にエバポレータ出口側空気温度>目標エバポレータ出口側空気温度になった場合には図11に示すように、第1のデューティー比よりも大きい第2のデューティー比(65%)にステップ的に上昇させる。
【0036】
その後、又通常デューティー制御となる。安定せずデューティー比が第1、第2よりも大きい第3のデューティー比を超えた場合、最大デューティー比を出力する。
【0037】
このように、図11に示す如く、100%から50%、75%以上は100%とステップ的に変化させるのは、コンプレッサの応答性を速めるためである。コンプレッサのメカニカル的なロスで応答が遅れないように考慮されている。
【0038】
コントロールバルブ13は、図3に示すように、ハウジング22に対して往復移動自在に配置された制御体28を有する。この制御体28は、高圧室29からクランク室30への冷媒流量をリフト量によって制御する高圧ボール31と、コンプレッサ吸入側圧力Psが作用されたダイヤフラム32と、セットバネ33のバネ力が作用されたバネ受け部34とを一体に有し、電磁コイル35の通電によって発生する電磁力を移動方向に受けるように形成されている。電磁コイル35には、空調コントロールユニット14からの制御パルス信号のデューティ比による通電が行われ、デューティ比に比例する電磁力が制御体28に作用する。これにより、高圧ボール31のリフト量が可変され、高圧ボール31のリフト量によって斜板26の傾斜角が可変される。以上より、空調コントロールユニット14がコントロールバルブ13に送る制御パルス信号のデューティ比によって可変容量コンプレッサ8の冷媒の吐出容量が制御される。又、この可変容量コンプレッサ8は、高圧室29からクランク室30への冷媒流量を調整することで図5に示すように冷媒の吐出容量を制御するため、デューティ比とコンプレッサ吐出側圧力からコンプレッサ吸入側圧力をほぼ特定できる。
【0039】
本実施例の可変容量コンプレッサ8では、電磁コイル35に通電がない状態(デューティー比=0%)で、図5のduty=0%線図(一点鎖線)に示されるコンプレッサ吐出側圧力Pdとコンプレッサ吸入側圧力Psの関係に成るようにコントロールバルブ13のダイヤフラム32とセットバネ33が設定されている。
【0040】
例えば、コンプレッサ吸入側圧力が非常に高い状態(例えば500KPa)では、図3に示すように、ダイヤフラム32に500KPaの圧力が作用し、制御体28と高圧ボール31が押し下げられて全閉となる。クランク室30は、連通路54を介して吸入室50に連通しているため、クランク室30内は低圧室圧力、つまりコンプレッサ吸入側圧力Psと同等となり、ピストン27のストローク量が最大、つまり可変容量コンプレッサ8の容量が最大となる。
【0041】
すると、コンプレッサ吸入側圧力は徐々に低下し、duty=0%線図に近づくとダイヤフラム32に作用する圧力も低下して、制御体28、高圧ボール31の押し下げ量が低下するため、クランク室30内へ流入する冷媒の量が減少する。すると、ピストン27の背面に作用する圧力の上昇率が小さくなるため、ピストン27のストローク量が減少し、容量制御状態となり、コンプレッサ吸入側圧力はduty=0%上で安定する。
【0042】
また、空調コントロールユニット14からデューティー比が60%とするようにコントロールバルブ13に制御パルス信号が出力されると、可変容量コンプレッサ8は、duty=60%線図(短破線)のコンプレッサ吐出側圧力Pdとコンプレッサ吸入側圧力Psの関係になるように制御される。
【0043】
例えば、電磁コイル35は通電されているが、コンプレッサ吸入側圧力が非常に高い状態(例えば500KPa)では、ダイヤフラム32に500KPaの圧力が作用し、上記説明と同様に、ピストン27のストローク量が最大となり、可変容量コンプレッサ8の容量が最大となる。
【0044】
すると、コンプレッサ吸入側圧力は徐々に低下し、duty=60%線図に近づくとダイヤフラム32に作用する圧力も低下して、制御体28、高圧ボール31の押し下げ量が低下するため、クランク室30内へ流入する冷媒の量が減少する。すると、ピストン27の背面に作用する圧力の上昇率が小さくなるため、ピストン27のストローク量が減少し、容量制御状態となり、コンプレッサ吸入側圧力はduty=60%上で安定する。
【0045】
次に、可変容量コンプレッサ8のトルクを、エバポレータ12の入口側空気温度とエバポレータ12の出口側空気温度との温度差であるエバ前後温度差データと、コンプレッサ吐出側圧力データと、コントロールバルブ13を制御する外部制御信号であるデューティ比データとコンプレッサ回転数データより算出できる理由を説明する。
【0046】
可変容量コンプレッサ8のトルクTcを求める理論式の一つとして下記の式(1)がある。
【0047】
Tc=(i1−i2)×Gr×ηm/Nc・・・(1)
但し、i1はコンプレッサ吐出冷媒エンタルピ、i2はコンプレッサ吸入冷媒エンタルピ、Grは冷媒流量、ηmはコンプレッサ機械効率、Ncはコンプレッサ回転数である。
【0048】
図4に示すように、コンプレッサ吐出冷媒エンタルピi1とコンプレッサ吸入冷媒エンタルピi2は、それぞれi1=f(Pd)、i2=f(Ps)の関数で表すことができるため、上記(1)式は、下記の式(2)で表すことができる。
【0049】
Tc={f(Pd)−f(Ps)}×Gr×ηm/Nc・・・(2)
(2)式において、ηmはコンプレッサ圧縮比(Pd/Ps)及び冷媒流量Grにて変化し、コンプレッサ機種固有の値である。又、Ncは既知の値であるため、コンプレッサ吐出側圧力Pd、コンプレッサ吸入側圧力Ps及び冷媒流量Grが読み取りできればトルク推定ができることになる。
【0050】
コンプレッサ吐出側圧力Pdは、冷媒圧力センサ21nのセンサ検出値より読み取り可能である。コンプレッサ吸入側圧力Psは、本可変容量コンプレッサ8ではコントロールバルブ13への制御パルス信号のデューティ比によってコンプレッサ吸入側圧力Psを制御するため、コンプレッサ吐出側圧力Pdとデューティ比から読み取ることができる。つまり、図5に示すように、コンプレッサ吸入側圧力Psとコンプレッサ吐出側圧力Pdがデューティ比によって所定の特性線を示すことになるため、外部制御信号であるデューティ比とコンプレッサ吐出側圧力Pdによりコンプレッサ吸入側圧力Psをほぼ特定できる。
【0051】
従って、上記式(2)は、下記の式(3)で表すことができる。
【0052】
Tc={f(Pd)−f(Pd,デューティ比)}×Gr×ηm/Nc・・・(3)
式(3)を更にまとめると、下記の式(4)で表すことができる。
【0053】
Tc=F1(Pd,デューティ比)×Gr×ηm/Nc・・・(4)
次に、式(4)の変数の絞り込みを行う。冷凍サイクル負荷(エバポレータ吸気負荷)を一定(25℃、湿度50%、送風量(ブロワ電圧5V))とした時のデューティ比をパラメータとした際のコンプレッサ吐出側圧力PdとトルクTcの相関関係は、図6に示すものとなる。図6からデューティ比ベースでコンプレッサ吐出側圧力Pdとデューティ比からトルクTcを充分に推定可能と考えることができる。
【0054】
従って、冷凍サイクル負荷(エバポレータ吸気負荷)が一定であれば、Grはf1(Pd,Ps)、ηmはf2(Pd,Pd)の関数で表される。従って、式(4)は下記の式(5)で表現できる。
【0055】
Tc=F(Pd,デューティ比)/Nc・・・(5)
次に、冷凍サイクル負荷(エバポレータ吸気負荷)が変化した場合にどのようなトルク変動が起こるか検証する。エバポレータ12の吸気温度を一定の25℃とし、湿度及び送風量(ブロワファンモータ19への電圧)を変化させると、図7に示すように、コンプレッサ吐出側圧力PdとトルクTcの相関関係が認められる。つまり、可変領域のトルクが違い、冷凍サイクル負荷(エバポレータ吸気負荷)が変化した場合に冷媒流量Grが変化する。従って、冷媒流量Grを推定する要素が必要であり、この要素をエバポレータ負荷による冷房性能の下記式より検討する。
【0056】
エバポレータ冷媒吸熱量をQevap、エバポレータ入口側冷媒エンタルピをi3、エバポレータ出口側エンタルピをi2(コンプレッサ吸入側エンタルピと同値のため、同じ記号を使用)とすると、
Qevap=(i3−i2)×Gr・・・(6)
従って、Gr=Qevap/(i3−i2)・・・(7)
ここで、エバポレータ空気吸熱量Qevap(空気)は、下記の式で表せる。
【0057】
Qevap(空気)={(エバ前空気吸熱量)−(エバ後空気吸熱量)}×(エバ風量)/(空気比容積)
エバポレータ冷媒吸熱量Qevapはエバポレータ空気吸熱量Qevap(空気)と同値であり、エバポレータ入口側空気温度と出口側空気温度との温度差に比例するため、エバポレータ冷媒吸熱量Qevapはエバ前後温度差(Δt)より読み取ることで推定できる。従って、Qevap=f(Δt)の関数で表すことができる。
【0058】
又、図4に示すように、エバポレータ入口側エンタルピi3とエバポレータ出口側エンタルピi2は、それぞれi3=f(Pd)、i2=f(Ps)の関数で表すことができるため、上記(7)式は、下記の式(8)で表すことができる。
【0059】
Gr=f3(Δt)/f4(Pd)−f(Pd,デューティ比)・・・(8)
上記式(8)は、分母がPd、デューティ比の関数であるため、これをまとめると下記の式(9)で表せる。
【0060】
Gr=f3(Δt)/F2(Pd,デューティ比)・・・(9)
この式(9)と上記した式(4)より、トルクTcは下記の式(10)で表せる。
【0061】
Tc=F1(Pd,デューティ比)×{f3(Δt)/F2(Pd,デューティ比)}/Nc・・・(10)
上記式(10)を更にまとめると、下記式(11)になる。
【0062】
Tc=f(Δt)/f(Pd,デューティ比)/Nc・・・(11)
上記のトルク演算式(11)より、Δt/PdとトルクTcの関係をグラフに表すと、図8に示すものとなる。図8よりエバポレータ負荷(吸気湿度、送風量)の差を吸収できる結果となった。以上より、可変容量コンプレッサ8のトルクTcを、エバポレータ12の入口側空気温度とエバポレータの出口側空気温度との温度差であるエバ前後温度差Δtと、コンプレッサ吐出側圧力Pdと、コントロールバルブ13を制御する制御パルス信号のデューティ比とコンプレッサ回転数Ncより算出できる。
【0063】
本実施形態では、アイドリング時や減速時フューエルカット時等における可変容量コンプレッサ8のトルクTcを簡単に算出するために、上記式(11)において、コンプレッサ回転数Ncとして一定値(アイドリング時や減速時フューエルカット時の通常回転数値)を使用すると共に、エバ前後温度差Δt、コンプレッサ吐出側圧力Pdを変数項とし、デューティ比及びエバ前後温度差Δtに応じて、実車での計測値に基づいて決定されるデータ値を定数項A,Bとする下記のトルク演算式(12)を用いる。
【0064】
Tc=A×LN(Pd/Δt)+B・・・(12)
コンプレッサトルク算出部14cは、上記トルク演算式(12)と各種条件毎の測定により得られる定数項A,Bのデータ値とを外付け又は内蔵のメモリ(図示せず)に記憶し、トルク演算式(12)の変数項及び定数項に該当する各データを入力して計算を実行することによりトルクを算出する。
【0065】
次に、アイドリング時や減速時フューエルカット時等における可変容量コンプレッサ8のトルク演算処理を図9のフローに基づいて説明する。図9に示すように、先ず、FREスイッチ21eとRECスイッチ21fからの出力情報によりインテークドア(図示せず)が外気導入位置であるか内気循環位置であるかを判別する(ステップS1)。外気導入位置であれば、エバポレータ入口側空気温度として外気温度センサ21jの検出温度を取り込み、この検出データを遅延補正した外気温度センサ認識値をコンプレッサトルク算出部14cに入力する(ステップS2)。内気循環位置であれば、エバポレータ入口側空気温度として内気温度センサ21iの検出温度を取り込み、この検出データを遅延補正した内気温度センサ認識値をコンプレッサトルク算出部14cに入力する(ステップS3)。
【0066】
次に、エバポレータ出口側空気温度である吸込温度センサ21lの検出温度を取り込み、この検出データを遅延補正した吸込温度センサ認識値をコンプレッサトルク算出部14cに入力する(ステップS4)。
【0067】
次に、上記データよりエバ前後温度差データΔtを算出する(ステップS5)。つまり、外気導入であれば、外気温度センサ認識値から吸込温度センサ認識値を減算し、内気循環であれば、内気温度センサ認識値から吸込温度センサ認識値を減算してエバ前後温度差データΔtを算出する。
【0068】
次に、冷媒圧力センサ21nの検出圧力を取り込み、この検出データを遅延補正したコンプレッサ吐出側圧力認識値をコンプレッサトルク算出部14cに入力する(ステップS6)。
【0069】
次に、コンプレッサ容量制御部14bがコントロールバルブ13に送る制御パルス信号のデューティ比をコンプレッサトルク算出部14cに入力する(ステップS7)。
【0070】
次に、コンプレッサトルク算出部14cは、入手した上記各データをトルク演算式(12)に入力して計算を実行することによりトルクを算出する(ステップS8)。そして、算出したトルクをエンジンコントロールユニット3に送信する(ステップS9)。以上の処理を繰り返すことによってリアルタイムに可変容量コンプレッサ8のトルクを算出する。エンジンコントロールユニット3は送信されて来るトルクを元に、例えばアイドリングモードでのエンスト、空吹かし等を防止すべく吸気空気量(燃料供給量)を制御する。
【0071】
以上、車両用空調装置6の冷凍サイクル7に設けられ、制御パルス信号のデューティ比により冷媒の吐出容量を制御し、且つ、制御パルス信号のデューティ比とコンプレッサ吐出側圧力によりコンプレッサ吸入側圧力をほぼ特定できる可変容量コンプレッサ8において、エバポレータ12の入口側空気温度とエバポレータの出口側空気温度との温度差であるエバ前後温度差データΔtと、コンプレッサ吐出側圧力データPdと、デューティ比データとコンプレッサ回転数データNcに基づいてトルクを算出するよう構成した。つまり、制御パルス信号のデューティ比とコンプレッサ吐出側圧力Pdによりコンプレッサ吸入側圧力Psをほぼ特定できることを利用すると共に、冷凍サイクル7の負荷としてのエバポレータ吸気負荷が一定である場合には、冷媒流量Grとコンプレッサ機械効率ηmがデューティ比とコンプレッサ吐出側圧力Pdの関数として得られ、冷凍サイクル7の負荷としてのエバポレータ吸気負荷が変動する場合には、変化する冷媒流量Grの値を、エバポレータ冷媒吸熱量をエバポレータ入口側空気温度とエバポレータ出口空気温度の温度差データより推定でき、これらの関係を利用してエバ前後温度差データΔtとコンプレッサ吐出側圧力データPdとデューティ比データとコンプレッサ回転数データNcに基づいてトルクを算出した。従って、冷凍サイクルのエバポレータ12を流れる冷媒流量Grを考慮することで、高い推定精度のトルクを算出できる。
【0072】
外気導入モードでは、エバポレータ12の入口側空気温度として外気温度検出値を、内気循環モードでは、エバポレータ12の入口側空気温度として室内温度検出値を利用するので、車両用空調装置6に通常設置される既存センサ以外の新規センサを付設する必要がない。
【0073】
上記実施形態では、コンプレッサ回転数データNcとして一定値を使用するので、アイドリング時や減速時フューエルカット時のようにコンプレッサ回転数Ncが所定の回転数でほぼ一定である場合にあって、取得するデータを削減できると共にトルク演算式の計算が容易になる。
【0074】
上記実施形態では、エバ前後温度差データΔt、コンプレッサ吐出側圧力データPd、デューティ比データ及びコンプレッサ回転数データNcの一部を変数項とし、上記データ内容に基づいて決定されるデータを定数項A,Bとするトルク演算式(12)を記憶すると共に、各種条件毎の測定により得られる定数項A,Bのデータ値を記憶し、トルク演算式(12)の変数項及び定数項A,Bに該当する各データを入力して計算を実行することによりトルクを算出するので、実際の測定に近いトルクを得られるように定数項A,Bのデータを調整できるため、実際のトルクに近いトルクを推定により得ることができる。図11は、本実施形態によって算出した推定トルクと実際の測定による実トルクとの特性線図である。図11の特性線図より明らかなように、トルク実トルクに近い推定トルクが得られた。負荷変動に対してもほぼ±2Nm以内のトルク推定が可能であることが分かる。
【0075】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。コンプレッサトルク算出部14cは、エバ前後温度差データΔt、コンプレッサ吐出側圧力データPd及びデューティ比データ、コンプレッサ回転数データNcを変数とするトルク演算式(11)を外付け又は内蔵のメモリ(図示せず)に記憶し、トルク演算式(11)に入手した上記各データを入力して計算を実行することによりトルクを算出する。トルク演算処理過程では、上記実施形態で入力した各種データに加えてコンプレッサ回転数データNcを入力する。このように構成すれば、メモリに記憶するデータ量が少なくて済む。又、アイドリング時や減速時フューエルカット時等に拘わらず、車両用空調装置6の全作動中におけるトルクを算出できる。
【0076】
尚、トルク演算式(11)内のコンプレッサ回転数Ncを一定値(アイドリング時や減速時フューエルカット時の通常回転数値)としたトルク演算式を記憶するようにしても良い。このようにすれば、アイドリング時や減速時フューエルカット時のようにコンプレッサ回転数Ncが所定の回転数でほぼ一定である場合にあって、取得するデータを削減できると共にトルク演算式の計算が容易になる。
【0077】
尚、上記実施形態では、可変容量コンプレッサ8の冷媒の吐出容量を外部より制御する外部制御信号として制御パルス信号のデューティ比を使用したが、各種の電気量を使用可能であり、デューティ比に限定されるものでないことはもちろんである。
【0078】
尚、上記実施形態では、エンジン駆動による可変容量コンプレッサ8を用いた例を説明したが、電動モータの駆動による可変容量コンプレッサにも同様に本発明を適用できることはもちろんである。
【0079】
また、エバポレータ12の入口側にエバ入口側温度センサ21pを配置し、エバポレータ入口側空気温度を検出する構成とすることが可能である。この場合、図9に示すフローチャートのステップS1、ステップS2、およびステップS3を廃止し、エバ入口側温度センサ21pによって検出されたエバポレータ入口側空気温度をコンプレッサトルク算出部14cに入力し、ステップS4以降の演算処理を行なうことで、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態を示し、車両用空調装置のシステム図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、可変容量コンプレッサの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、可変容量コンプレッサの容量可変制御を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、モリエル線とこれに対応するよう記載された冷凍サイクルとを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、デューティ比をパラメータとするコンプレッサ吸入側圧力とコンプレッサ吐出側圧力の特性線図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、冷凍サイクル負荷(エバポレータ負荷)を一定とした場合にあって、デューティ比をパラメータとするコンプレッサ吐出側圧力とトルクの特性線図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、冷凍サイクル負荷(エバポレータ負荷)が変動する場合にあって、コンプレッサ吐出側圧力とトルクの特性線図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、デューティ比を一定(60%)とした場合にあって、トルクとコンプレッサ吐出側圧力の特性線図である。
【図9】本発明の一実施形態を示し、トルク算出処理のフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態を示し、推定トルクと実トルクの特性線図である。
【図11】本発明の一実施形態を示しステップ的に変化させるデューティー比を示す特性線図である。
【符号の説明】
【0081】
6 車両用空調装置
7 冷凍サイクル
8 可変容量コンプレッサ(可変容量圧縮機)
12 エバポレータ
14c コンプレッサトルク算出部
21i 内気温度センサ(内気温度検出手段)
21j 外気温度センサ(外気温度検出手段)
21l 吸込温度センサ(エバポレータ出口側温度検出手段)
21n 冷媒圧力センサ(コンプレッサ吐出側圧力検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定め、該目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御する空調装置用可変容量圧縮機の制御方法であって、
低圧圧力を検出して弁開度を調整し、外部信号により弁開度を変位させる外部制御手段を有したコントロールバルブにより吸入圧力を制御可能とし、
目標エバポレータ出口側吹き出し温度より吹き出し温度が高い時は前記圧縮機を最大容量で稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側吹き出し温度に達したとき、コントロールバルブへの入力信号を第1のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、その後目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定めて、この目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御することを特徴とする空調装置用可変容量圧縮機の制御方法。
【請求項2】
目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定め、該目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じて圧縮機の容量を制御する空調装置用可変容量圧縮機のトルク算出装置であって、
低圧圧力を検出して弁開度を調整し、外部信号により弁開度を変位させる外部制御手段を有したコントロールバルブにより吸入圧力を制御可能とし、
目標エバポレータ出口側吹き出し温度より吹き出し温度が高い時は前記圧縮機を最大容量で稼働し、吹き出し温度が目標エバポレータ出口側吹き出し温度に達したとき、コントロールバルブへの入力信号を第1のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、その後目標吹き出し温度に基づき目標エバポレータ出口側吹き出し温度を定めて、この目標エバポレータ出口側吹き出し温度に応じてコントロールバルブへの入力信号を第2のデューティー比で出力して容量制御運転を行い、それぞれのデューティー比の信号に基づいて圧縮機のトルクを演算することを特徴とする可変容量圧縮機のトルク算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−329048(P2006−329048A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153141(P2005−153141)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】