説明

窓構造

【課題】窓部材の有効面積を大きくする。
【解決手段】窓構造10では、モール40のシール部48が窓枠部24のフランジ30に弾性変形された状態で接触することで、モール40がクォータガラス34と窓枠部24との間をシールしている。ここで、シール部48が設けられたモール40がクォータガラス34の外周部に取り付けられている。このため、窓枠部24のフランジ30にシール材を取り付ける必要がなく、フランジ30の開口22側への延伸長さを短くできる。これにより、開口22を大きくできると共に、クォータガラス34の遮光部38の幅を短くでき、クォータガラス34の透光部36の面積を大きくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠部と窓部材との間をシール部材がシールする窓構造に関する。
【背景技術】
【0002】
窓構造(クォータウインド)としては、車体の窓枠にウインドガラスが回動可能に設けられると共に、ウインドガラスの下側の窓枠にモールが装着されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この窓構造では、ウェザーストリップが窓枠とウインドガラスとの間をシールしている。
【0004】
ここで、この窓構造では、ウェザーストリップが窓枠の開口縁部に装着されている。このため、ウェザーストリップを装着するために窓枠の開口縁部の開口側への延伸長さを長くする必要があり、窓枠の開口が小さくなって、ウインドガラスの有効面積(光が車内と車外との間で透過可能な面積)が小さくなる可能性がある。
【特許文献1】特開2004−106775公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、窓部材の有効面積を大きくできる窓構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の窓構造は、車両の側部に設けられた窓枠部と、前記窓枠部に設けられ、回動可能にされた窓部材と、前記窓部材の外周部に設けられ、前記窓枠部と前記窓部材との間をシールするシール部材と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の窓構造は、請求項1に記載の窓構造において、前記シール部材に設けられ、前記窓部材の外周外側に配置された外周配置部を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の窓構造では、車両の側部に設けられた窓枠部に窓部材が設けられており、窓部材は回動可能にされている。さらに、窓枠部と窓部材との間をシール部材がシールしている。
【0009】
ここで、シール部材が窓部材の外周部に設けられている。このため、窓枠部の開口側への延伸長さを短くすることができ、窓枠部の開口を大きくすることができて、窓部材の有効面積(光が車内と車外との間で透過可能な面積)を大きくすることができる。
【0010】
請求項2に記載の窓構造では、シール部材に設けられた外周配置部が、窓部材の外周外側に配置されている。このため、外周配置部によって見栄えを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1には、本発明の実施の形態に係る窓構造10が車両前方から見た断面図(図2の1−1線断面図)にて示されており、図2には、窓構造10が適用されて構成された車両12の主要部が車両左斜め前方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両左方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0012】
本実施の形態における車両12後部の側部には、車外側部材としての金属製板状のサイドメンバアウタパネル14及び車内側部材としての金属製板状のルーフサイドインナパネル16が設けられており、サイドメンバアウタパネル14は車両12の車外側(車幅方向外側)の意匠面を構成すると共に、ルーフサイドインナパネル16はサイドメンバアウタパネル14の車内側(車室18側、車幅方向内側)に配置されている。ルーフサイドインナパネル16の車内側には、意匠部材としての樹脂製板状のデッキサイドトリム20が設けられており、デッキサイドトリム20は、ルーフサイドインナパネル16の車幅方向内側を被覆して、車室18の意匠面を構成している。
【0013】
車両12後部の側部には、上側部分において、矩形状の開口22が形成されており、開口22はサイドメンバアウタパネル14、ルーフサイドインナパネル16及びデッキサイドトリム20を貫通されて、車外側と車室18側とを連通している。
【0014】
車両12後部の側部には、開口22の全周において、矩形枠状の窓枠部24が設けられており、窓枠部24は、サイドメンバアウタパネル14、ルーフサイドインナパネル16及びデッキサイドトリム20の開口22形成部分の周囲によって、構成されている。
【0015】
サイドメンバアウタパネル14の窓枠部24構成部分は、断面L字形板状の外窓枠部26にされており、外窓枠部26の反開口22側部分には、矩形筒状の収容部26Aが形成されている。外窓枠部26の開口22側部分には、矩形枠板状の外フランジ部26Bが形成されており、外フランジ部26Bは開口22側へ延伸されている。
【0016】
ルーフサイドインナパネル16の窓枠部24構成部分は、断面L字形板状の内窓枠部28にされており、内窓枠部28の開口22側部分には、矩形枠板状の内フランジ部28Aが形成されている。内フランジ部28Aは開口22側へ延伸されており、内フランジ部28Aと外フランジ部26Bとが結合(溶接)されて、窓枠部24のフランジ30(シール部位)が構成されている。
【0017】
デッキサイドトリム20の窓枠部24構成部分は、湾曲板状の曲がり部32にされており、曲がり部32は、開口22側へ向かうに従い車幅方向外側へ向かう方向へ曲げられて(湾曲されて)、ルーフサイドインナパネル16の内窓枠部28の車幅方向内側及び窓枠部24のフランジ30(外フランジ部26B及び内フランジ部28A)の開口22側を被覆している。
【0018】
開口22の車幅方向外側は、窓部材としての矩形状のクォータガラス34(サイドガラス)によって閉じられており、クォータガラス34は、窓枠部24内(収容部26A内)に収容されている。クォータガラス34は、車両前側端を中心として車両幅方向へ回動可能にされており、これにより、クォータガラス34が、開閉可能にされて、開口22を開閉可能にされている。
【0019】
クォータガラス34の外周部以外の部分は、ガラス製の透光部36にされており、透光部36は、透明にされて、光を透過可能にされている。クォータガラス34の外周部は、例えばセラミック製にされた遮光部38にされており、遮光部38は、不透明(例えば黒色)にされて、光を透過不能にされている。遮光部38は、デッキサイドトリム20(曲がり部32)の開口22側端よりも開口22側まで配置されており、これにより、車外からクォータガラス34を介して窓枠部24におけるデッキサイドトリム20の開口22側端及びフランジ30(外フランジ部26B及び内フランジ部28A)が視認されることが抑制されている。
【0020】
クォータガラス34の外周部の全周には、シール部材としての矩形環状のモール40が取り付けられており、モール40は、ゴム製にされて、弾性及びシール性を有している。モール40には、外配置部42及び内配置部44が設けられており、外配置部42及び内配置部44は、それぞれクォータガラス34の外周部の車幅方向外側及び車幅方向内側に配置されている。モール40には、外周配置部46(モール部)が設けられており、外周配置部46は、クォータガラス34の外周外側に配置されて、クォータガラス34の外周とサイドメンバアウタパネル14(外窓枠部26)の収容部26Aとの隙間に配置されている。
【0021】
モール40には、矩形環状かつ断面板状のシール部48が所定数(本実施の形態では2つ)一体に形成されており、シール部48は、モール40から車幅方向内側へ延伸されて、窓枠部24のフランジ30(サイドメンバアウタパネル14(外窓枠部26)の外フランジ部26B)に弾性変形された状態で接触している。これにより、モール40によってクォータガラス34と窓枠部24との間がシールされて、車外と車室18内との間での開口22における防水及び防音が図られている。
【0022】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0023】
以上の構成の窓構造10では、モール40のシール部48が窓枠部24のフランジ30に弾性変形された状態で接触することで、モール40がクォータガラス34と窓枠部24との間をシールしている。
【0024】
ここで、シール部48が設けられたモール40がクォータガラス34の外周部に取り付けられている。このため、窓枠部24のフランジ30にシール材を取り付ける必要がなく、窓枠部24のフランジ30の開口22側への延伸長さを短くすることができて、デッキサイドトリム20の開口22側端を反開口22側に配置することができる。これにより、開口22を大きくすることができると共に、クォータガラス34の遮光部38の幅を短くすることができ、クォータガラス34の有効面積(光が車室18と車外との間で透過可能な透光部36の面積)を大きくすることができる。
【0025】
さらに、モール40の外周配置部46が、クォータガラス34の外周と窓枠部24(サイドメンバアウタパネル14)の収容部26Aとの隙間に配置されている。このため、外周配置部46によって見栄えを良くすることができる。
【0026】
また、モール40にシール部48及び外周配置部46が一体に設けられている。このため、部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る窓構造を示す車両前方から見た断面図(図2の1−1線断面図)である。
【図2】本発明の実施の形態に係る窓構造が適用されて構成された車両の主要部を示す車両左斜め前方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
10 窓構造
12 車両
24 窓枠部
34 クォータガラス(窓部材)
40 モール(シール部材)
46 外周配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部に設けられた窓枠部と、
前記窓枠部に設けられ、回動可能にされた窓部材と、
前記窓部材の外周部に設けられ、前記窓枠部と前記窓部材との間をシールするシール部材と、
を備えた窓構造。
【請求項2】
前記シール部材に設けられ、前記窓部材の外周外側に配置された外周配置部を備えた、ことを特徴とする請求項1記載の窓構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−68803(P2008−68803A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250961(P2006−250961)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】