説明

粘着テープ貼付け方法およびこれを用いた装置

【課題】半導体ウエハの形状に切り抜いた後の不要な粘着テープを精度よく巻き取るとともに、粘着テープをウエハに精度よく貼付ける方法及び装置を提供する。
【解決手段】半導体ウエハに貼付けられた帯状の粘着テープをテープ切断機構によりウエハ形状に切り抜き、この切り抜かれた不要テープを巻き取り回収する過程で、テープ両端の狭小部位を案内するサイドローラ36a、36bの回転角をロータリエンコーダ38で検出する。この実測による実回転角と予め決めた基準回転角とを比較して不要テープの狭小部位の破断を判別部が判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理の済んだ半導体ウエハに表面に保護用の粘着テープを貼付けてゆく粘着テープ貼付け方法およびこれを用いた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープの貼付け手段としては、例えば特許文献1に開示されているように、繰り出されたセパレータ付きの粘着テープからセパレータを剥離する。セパレータの剥離された粘着テープをチャックテーブル上に保持された半導体ウエハの上に供給し、貼付けローラを介して粘着テープを半導体ウエハの表面に沿って貼り付けてゆくよう構成されたものが多用されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−25438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。
【0005】
ウエハ形状に切り抜かれた帯状の粘着テープの両端は、狭小な幅しか有していない。したがって、粘着テープの剛性が低下しているので、テープ巻き取り時にこの狭小部位に過剰な引張力が作用すると破断する。この破断によってテープの巻き取りエラーが発生するといった問題がある。
【0006】
また、仮に、巻き取りエラーが発生しない場合であっても、粘着テープが一旦破断すると、供給される粘着テープに弛みなどが発生した状態でウエハに貼付けられる。その結果、ウエハに貼付けた粘着テープにシワが発生するなどの問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウエハの形状に切り抜いた後の不要な粘着テープを精度よく巻き取るとともに、粘着テープをウエハに精度よく貼付けることのできる粘着テープ貼付け方法およびこれを用いた装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、第1の発明は、半導体ウエハに粘着テープを貼付ける粘着テープ貼付け方法であって、
前記半導体ウエハに貼付けられた帯状の粘着テープをテープ切断機構によりウエハ形状に切断し、
切り抜かれた粘着テープを巻き取り回収する過程で、切り抜き部位のテープ両端を案内する案内ローラの回転状態を検出手段で検出し、当該検出結果に基づいてテープ両端の破断を検出する
ことを特徴とする。
【0009】
(作用・効果) この方法によれば、切り抜かれた粘着テープの両端の狭小部位が案内ローラ部分を通過するときの接触抵抗により、案内ローラの回転状態が変化する。この変化に基づいて粘着テープの破断が検出される。
【0010】
例えば、案内ローラをテープ幅方向の配備された複数個で構成し、
検出手段により案内ローラの回転角を検出し、予め設定した基準回転角と実回転角を比較して粘着テープの破断を検出してもよい(請求項2)。
【0011】
また、案内ローラは、テープ幅方向の配備された複数個で構成し、
検出手段により各案内ローラにかかるトルクを検出し、予め設定した基準トルクと実トルクを比較して粘着テープの破断を検出してもよい(請求項3)。
【0012】
すなわち、粘着テープが破断していない場合に所定の箇所を通過する粘着テープは、常に案内ローラと接触しているので、粘着テープの搬送に応じて予め決まったパターンの回転をする。つまり、案内ローラの回転角または発生するトルクは決まったパターンになっている。したがって、回転角またはトルクの変化を検出し、予め決めたテープ送りの基準パターンと比較することにより粘着テープの破断を精度よく検出することができる。
【0013】
第4の発明は、半導体ウエハに粘着テープを貼付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記半導体ウエハを載置保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに載置保持された半導体ウエハに向けて帯状の粘着テープを供給する粘着テープ供給機構と、
貼付けローラを備え、この貼付けローラを転動移動させて粘着テープを前記半導体ウエハに押圧して貼付けるテープ貼付機構と、
前記粘着テープをウエハ形状に切断するテープ切断機構と、
ウエハ形状に切り抜かれた前記粘着テープを剥離して巻き取るテープ剥離機構と、
前記粘着テープを巻き取る過程で、テーブ両端を案内する案内ローラと、
前記案内ローラの回転状態を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて、テープ両端の破断を判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) この構成によれば、ウエハ形状に切り抜かれた粘着テープがテープ剥離機構で剥離された両端の狭小部位が、テープ両端に配備された案内ローラ部分を通過する。したがって、案内ローラを通過するテープ狭小部位の接触で変化する案内ローラの回転状態を検出することにより、テープ狭小部位の破断を検出手段で精度よく検出することができる。
【0015】
なお、案内ローラは、テープ幅方向に配備された複数個で構成し、
前記検出手段は、前記各案内ローラの回転角を検出し、
前記判別手段は、予め設定した基準回転角と実回転角を比較してテープ両端の破断を判別するように構成してもよい(請求項5)。
【0016】
また、案内ローラは、テープ幅方向に配備された複数個で構成し、
検出手段は、各案内ローラにかかるトルクを検出し、
判別手段は、予め設定した基準トルクと実トルクを比較してテープ両端の破断を判別するように構成してもよい(請求項6)。
【0017】
この構成によれば、上記方法を好適に実施することができる。
【0018】
なお、案内ローラが複数個で構成されているので、切り抜かれた粘着テープの狭小部位が破断せずに引張力により搬送方向に引き伸ばされてテープ原寸幅よりも狭くなったとしても、狭小部位がいずれかの案内ローラと接触する。すなわち、狭小部位の破断の検出精度を向上させることがきる。
【0019】
ここで、案内ローラは、回転駆動軸に固定された当該軸方向中央に向けて太くなる湾曲形状に形成された中央ローラと、
前記中央ローラの両端で回転駆動軸に回転自由に配備され、中央ローラの湾曲面と連続する外向きに先細りになる湾曲面を有するサイドローラとから構成することが好ましい(請求項7)。
【0020】
この構成によれば、ウエハ形状の略円形に切り抜いた帯状の粘着テープを案内ローラで巻き取るとき、中央ローラの外形の太部が円形状の切り抜き部分に入り込む。その後、粘着テープの巻き取りとともに中央の切り抜き部分に中央ローラが入り込んでゆき、テープ外方に積極的に押圧力を加えて粘着テープを幅方向に引き伸ばす。
【0021】
すなわち、テープ搬送過程でバックテンションにより長手方向に引っ張られる粘着テープが、テープ原寸幅より狭くならないようにテープ幅方向に引張力を作用させる。したがって、切断後のテープ幅の両側に残存する粘着テープの狭小部位は、サイドローラ上に確実に案内されるので、テープ破断をサイドローラの回転状態から精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の粘着テープ貼付け方法およびこれを用いた装置によれば、帯状の粘着テープを半導体ウエハに貼付けてウエハ形状に切り抜かれた後の、不要テープの両端に残存する狭小部位の破断を精度よく検出することができる。また、この検出結果に基づいて、破断のない状態で粘着テープを半導体ウエハに確実に貼付けることができる。したがって、シワなどを発生させることなく半導体ウエハに粘着テープを密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】粘着テープ貼付け装置の全体を示す斜視図である。
【図2】粘着テープ貼付け装置の正面図である。
【図3】剥離ユニットの拡大正面図である。
【図4】剥離ユニットの背面図である。
【図5】実施例装置の動作を示すフローチャート正面図である。
【図6】実施例装置の動作を示す正面図である。
【図7】実施例装置の動作を示す正面図である。
【図8】実施例装置の動作を示す正面図である。
【図9】実施例装置の動作を示す正面図である。
【図10】変形例装置の案内ローラを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0025】
図1は、粘着テープ貼付け装置の全体構成を示す斜視図である。
【0026】
この粘着テープ貼付け装置は、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)Wを収納したカセットCが装填されるウエハ供給/回収部1、ロボットアーム2を備えたウエハ搬送機構3、アライメントステージ(アライナー)4、ウエハWを載置して吸着保持するチャックテーブル5、ウエハWに向けて表面保護用の粘着テープTを供給するテープ供給部6、テープ供給部6から供給されたセパレータS付きの粘着テープTからセパレータSを剥離回収するセパレータ回収部7、チャックテーブル5で吸着保持されたウエハWに粘着テープTを貼付ける貼付けユニット8、ウエハWに貼付けられた粘着テープTをウエハWの外形に沿って切り抜くテープ切断機構9、ウエハWに貼付けて切断処理した後の不要テープT’を剥離する剥離ユニット10、剥離ユニット10で剥離された不要テープT’を巻き取り回収するテープ回収部11などが備えられている。以下、各構造部および機構についての具体的に説明する。
【0027】
ウエハ供給/回収部1には2台のカセットCを並列して載置される。各カセットCには、回路パターン面を上向きにした多数枚のウエハWが、多段に水平姿勢で差込み収納されている。
【0028】
ウエハ搬送機構3に備えられたロボットアーム2は、水平に進退移動可能に構成されるとともに、全体が旋回および昇降可能となっている。このロボットアーム2の先端には、馬蹄形をした真空吸着式のウエハ保持部2aが備えられている。このウエハ保持部2aは、カセットCに多段に収納されたウエハW同士の間隙に挿入され、ウエハWの裏面を吸着保持し、カセットCから引き出す。その後、ロボットアーム2は、アライメントステージ4、チャックテーブル5、および、ウエハ供給/回収部1の順にウエハWを搬送するようになっている。
【0029】
アライメントステージ4は、ウエハ搬送機構3によって載置されたウエハWを、その外周に形成されたノッチやオリエンテーションフラットに基づいて位置合わせを行うようになっている。
【0030】
チャックテーブル5は、ウエハ搬送機構3から移載されて所定の位置合わせ姿勢で載置されたウエハWを真空吸着するようになっている。また、チャックテーブル5の上面には、後述するテープ切断機構9に備えたカッタ刃12をウエハWの外形に沿って旋回させて粘着テープTを切断するためにカッタ走行溝13(図6を参照)が形成されている。また、チャックテーブル5のテーブル中心には、ウエハ搬入搬出時に出退する吸着保持部5a(図2を参照)が設けられている。
【0031】
テープ供給部6は、図2に示すように、供給ボビン14から繰り出されたセパレータS付きの粘着テープTを送りローラ15およびガイドローラ16で巻回案内してナイフエッジ状の剥離案内バー17に導く。さらに、剥離案内バー17の先端エッジでの折り返しによって粘着テープTからセパレータSを剥離し、セパレータSが剥離された粘着テープTを貼付けユニット8に導くよう構成されている。
【0032】
送りローラ15は、ピンチローラ19との間に粘着テープTを挟持案内するとともに、モータ18によって回転駆動されるようになっている。また、送りローラ15は、必要に応じて粘着テープTを強制的に送り出す。
【0033】
供給ボビン14は、電磁ブレーキ20に連動連結されて適度の回転抵抗がかけられており、過剰なテープ繰り出しが防止されている。
【0034】
セパレータ回収部7は、粘着テープTから剥離されたセパレータSを巻き取る回収ボビン21が備えられ、モータ22よって正逆に回転駆動制御されるようになっている。
【0035】
貼付けユニット8には、図示されないシリンダによって上下に位置変更可能な貼付けローラ23が備えられている。また、貼付けユニット8全体が案内レール24に沿って水平移動可能に支持されるとともに、モータ25によって正逆回転駆動されるネジ軸26によって往復ネジ送り駆動されるようになっている。
【0036】
剥離ユニット10には、剥離ローラ27、モータ駆動される送り出しローラ28、案内ローラ35、36、およびピンチローラ39が備えられている。また、この剥離ユニット10全体が案内レール24に沿って水平移動可能に支持されるとともに、モータ29によって正逆回転駆動されるネジ軸30によって往復ネジ送り駆動されるようになっている。
【0037】
案内ローラ36は、図4に示すように、フレームに固定された支軸にベアリングを介して回転自在の左右一対のサイドローラ36a、36b、および中央に位置する中央ローラ36cの3個で構成されている。
【0038】
サイドローラ36a、36bの外側端部には、スリット円板37が装着されている。また、スリット板37の回転を検出するロータリエンコーダ38がそれぞれのサイドローラ36a、36b側に配備されている。ロータリエンコーダ38からの検出信号は、図3に示すように、制御装置41に送信されるようになっている。
【0039】
ピンチローラ39は、シリンダ40によって昇降し、送り出しローラ28とによって粘着テープTを挟持するよになっている。
【0040】
図2に戻り、テープ回収部11はモータ駆動される回収ボビン31が備えられ、不要テープT’を巻き取る方向に回転駆動されるようになっている。
【0041】
テープ切断機構9は、図1に示すように、昇降可能な可動台32の下部に、チャックテーブル5の中心上に位置する縦軸心X周りに駆動旋回可能に支持アーム33が装備されている。また、この支持アーム33の遊端側に備えたカッタユニット34に、刃先を下向きにしたカッタ刃12が装着されている。そして、この支持アーム33が、縦軸心X周りに旋回することによって、カッタ刃12がウエハWの外周に沿って走行して粘着テープTを切り抜くように構成されている。
【0042】
次に、上記実施例装置を用いて表面保護用の粘着テープTをウエハWの表面に貼付けるための一連の動作を図5に示すフローチャート、図2および図6から図9に基づいて説明する。
【0043】
貼付け指令が出されると、先ず、ウエハ搬送機構3におけるロボットアーム2がカセット台12に載置されたカセットCに向けて移動される。ロボットアーム2先端のウエハ保持部2aがカセットCに収容されているウエハ同士の隙間に挿入される。ウエハ保持部2aは、ウエハWを裏面から吸着保持して搬出してアライメントステージ4に移載する。
【0044】
アライメントステージ4に載置されたウエハWは、ウエハWの外周に形成されているノッチやオリエンテーションフラットを利用して位置合わせされる。位置合わせの済んだウエハWは、再びロボットアーム2によって搬出されてチャックテーブル5に載置される。
【0045】
チャックテーブル5に載置されたウエハWは、その中心がチャックテーブル5の中心上にあるように位置合わせされた状態で吸着保持される。このとき、図2に示すように、貼付けユニット8と剥離ユニット10は左側の初期位置にある。また、テープ切断機構9のカッタ刃12は、上方の初期位置で待機している。
【0046】
剥離ユニット10は、シリンダ40を作動させてピンチローラ39を下降させて送り出しローラ28とで粘着テープTを把持する(ステップS1)。
【0047】
次に、図6に示すように、貼付けローラ23が下降されるとともに貼付けユニット8が前進移動する。この移動に伴って貼付けローラ23で粘着テープTをウエハWに押圧しながら前方(図では右方向)に転動する。このとき、粘着テープTがウエハWの表面に図中左端から貼付けられてゆく(ステップS2)。
【0048】
図7に示すように、貼付けユニット8がチャックテーブル5を越えた終端位置に達すると、上方に待機していたカッタ刃12が下降される。カッタ刃12は、チャックテーブル5のカッタ走行溝13において粘着テープTに突き刺される。
【0049】
カッタ刃12が所定の切断高さ位置まで下降されて停止すると、支持アーム33が所定の方向に回転される。この回転に伴ってカッタ刃12が縦軸心X周りに旋回し、粘着テープTがウエハ外形に沿って切り抜かれる(ステップS3)。
【0050】
ウエハWの外周に沿ったテープ切断が終了すると、図8に示すように、カッタ刃12は元の待機位置まで上昇される。同時に剥離ユニット10のピンチローラ39をさせて粘着テープTの把持を解除し、剥離ユニット10全体が剥離作業の終了位置への移動する(ステップS4)。
【0051】
このとき、剥離ユニット10の移動速度に同調して送り出しローラ28が駆動し、テープ回収部11に向けて不要テープT’送り出す。このとき、不要テープT’の粘着面との接触抵抗により回転自在な案内ローラ36が回転する。この回転角をロータリエンコーダ38で検出し、検出信号を制御装置41に送信する。
【0052】
制御装置12の判別部42が、実験やシミュレーションなどにより予め求めた所定範囲の基準回転角内にロータリエンコーダ38による実回転角が収まっているかどうかのを判別する(ステップS5)。
【0053】
なお、基準回転角は、例えば略円形に切り抜かれた不要テープT’の巻き取り開始から両端の狭小部位がサイドローラ36a、36bを通過しきって次のテープ切断位置に新しいテープが供給停止されるまでのサイドローラ36a、36bの回転角の測定を複数回行って求めた平均値や、予め決まったテープ搬送経路の長さと切断部位のテープ長さから理論的に算出して決められる。
【0054】
判別部42による結果において、不要テープ’の狭小部位の破断が判別できない場合、通常の処理が行われる(ステップS6)。つまり、テープ貼付け処理が終了すると、チャックテーブル5における吸着が解除された後、貼付け処理の済んだウエハWは吸着保持部5aに保持されてテーブル上方に持ち上げられ、ロボットアーム2のウエハ保持部2aに移載されて搬出され、ウエハ供給/回収部1のカセットCに差込み回収される。
【0055】
その後、図9に示すように、剥離ユニット10と貼付けユニット8とが逆方向に移動して初期位置に復帰する。このとき、不要テープT’が回収ボビン31に巻き取られるとともに、所定量の粘着テープTがテープ供給部6から供給される。(ステップS7)。
【0056】
以上で1回の粘着テープ貼付け処理が完了し、以後、所定枚数のウエハに対してテープ貼付け処理が完了するまで上記作動を順次繰り返してゆく(ステップS8)。
【0057】
不要テープT’の狭小部位の破断が検出されると、両端またはいずれの部位に破断が発生しているかを判別する。つまり、サイドローラ36a、36bのいずれが所定の回転角内から外れているかを判別する(ステップS9)。
【0058】
いずれか一方の狭小部位の破断しか検出することができなかった場合、そのまま処理を継続する。つまり、図9に示すように、剥離ユニット10と貼付けユニット8とを逆方向に移動させて初期位置に復帰させる過程で、不要テープT’が回収ボビン31に巻き取られるとともに、所定量の新しい粘着テープTがテープ供給部6から供給される。
【0059】
このとき、切り抜き部位以降の粘着テープTが案内ローラ36を通過するとき、再びサイドローラ36a、36bの回転角をロータリエンコーダ38で検出する(ステップS10)。つまり、新しい粘着テープTが、テープ貼付け部位に正常に供給されているかどうかを検査する。なお、この判断は、判別部42において、実験などで予め決めた基準回転角と実回転角との比較から判断される(ステップS11)。
【0060】
判別部42において、いずれか一方の狭小部位が破断しているにも関わらず、サイドローラ36a、36bに応じた所定の回転角が検出され、粘着テープTが正常に供給されていると判断された場合、そのまま通常処理であるステップS6からステップS8が繰り返される。
【0061】
判別部42において、いずれか一方の狭小部位が破断していることに起因して、粘着テープTの供給が正常に行われていないと判断された場合、装置を停止させる。
【0062】
同様に、ステップS9で両狭小部位の破断が検出された場合、装置を停止させる。
【0063】
以上で、上記実施例装置の一連の動作が終了する。
【0064】
上述のように、案内ローラ36のうちサイドローラ36a、36bにウエハ形状に切り抜かれた不要テープT’の狭小部位を通過させ、このときの接触抵抗により回転するサイドローラ36a、36bの回転角の変化を求めることにより、粘着テープTの狭小部位の破断を精度よく求めることができる。したがって、破断のない適度なテンションが粘着テープTの全体に付与された状態でウエハWに貼付けられるので、粘着テープTをウエハWに密着させることができる。
【0065】
また、貼付けユニット8および剥離ユニット10を初期位置に復帰させる過程で、巻き取り回収される非切断部位の粘着テープTがサイドローラ36a、36bを所定距離だけ通過するかどうかを判断することができる。
【0066】
すなわち、不要テープT’の巻き取り時に狭小部位の一方が破断していもて、粘着テープTをテープ貼付部位に正常に供給できる場合は、テープ貼付処理を継続して行うことができる。
【0067】
本発明は以下のような形態で実施することも可能である。
【0068】
(1)上記実施例では、不要テープT’の破断の位置をサイドローラ36a、36bの回転角から判断していたが、いずれか一方の破断が検出された時点で装置を停止させてもよい。また、貼付けユニット8および剥離ユニット10を初期位置に復帰させる過程で巻き取り回収される粘着テープTの状態をサイドローラ36a、36bで検出していたが、この検出過程(ステップS9からS11)を省略することもできる。
【0069】
(2)上記実施例の案内ローラ36は、円筒形のものであったが次のような形状であってもよい。
【0070】
例えば、図10に示すように、サイドローラ51a、51bの両端から中央ローラ51cの長手方向の中央に向かって太くなる湾曲面を有する案内ローラ51を利用してもよい。例えば、サイドローラ51a、51bおよび中央ローラ51cとが同一中心を通る曲率半径からなる曲率の外周面を有するように形成する。
【0071】
この構成によれば、ウエハ形状の略円形に切り抜いた帯状の不要テープT’を案内ローラ51で巻き取るとき、中央ローラ51Cの外形の太部が円形状の切り抜き部分に入り込む。その後、不要テープT’の巻き取りとともに中央の切り抜き部分に中央ローラ51Cが入り込んでゆき、不要テープT’の外方に積極的に押圧力を加えてテープ幅方向に引き伸ばす。
【0072】
すなわち、テープ搬送過程でバックテンションによりテープ長手方向に引っ張られる粘着テープTが、テープ原寸幅より狭くならないようにテープ幅方向に引張力を作用させる。したがって、テープ幅の両側に残存する不要テープT’の狭小部位は、サイドローラ51a、51b上に確実に案内されるので、テープの破断を両サイドローラ51a、51bの回転状態から精度よく検出することができる。
【0073】
(3)上記実施例の案内ローラ36は、支軸に沿って3個に分割された構成であったが、3個以上に分割された構成であってもよい。なお、テープ幅方向に作用する引張力によって引き伸ばされてテープ原寸幅より狭くなる不要テープT’のこの幅の変化を考慮し、狭小部位を通過し得る範囲において、狭小部位の幅と同等の幅を有する複数個のサイドローラを配備する。この場合、各サイドローラにスリット円板37を装着し、スリット円板37ごとにロータリエンコーダ38を配備する構成にする。
【0074】
この構成によれば、ウエハWのサイズの変更に応じて、サイドローラの個数を適宜に変更することにより、装置のセッティングの変更が容易になる。
【0075】
(4)上記実施例では、サイドローラ36a、36bの回転角を検出していたが、両ローラ36a、36bの回転トルクを検出し、実回転トルクの変化に基づいて不要テープT’の狭小部位の破断を判断してもよい。
【0076】
この構成の場合、サイドローラ36a、36bのそれぞれトルクセンサを配備し、不要テープT’通過時の接触抵抗で両ローラ36a、36bにかかるトルクの基準トルクを予め決定しておき、実測時の実トルクとの比較により、偏差が発生した場合に不要テープT’の狭小部位が破断していると判断することができる。
【0077】
(5)上記実施例では、表面保護用の粘着テープ貼付け装置を例に採って説明したが、リングフレームに支持用の粘着テープを貼付けるウエハマウント装置にも適用できる。つまり、リングフレームとウエハWとに貼付けた帯状の粘着テープをリングフレームに沿って円形に切り抜いた後の不要テープについて、テープ両端の狭小部位の破断を検出するように、巻き取り用の案内ローラに、上記実施例装置の構成を組み込むことにより、実現できる。
【符号の説明】
【0078】
5 … チャックテーブル
8 … 貼付けユニット
9 … テープ切断機構
10 … 剥離ユニット
23 … 貼付けローラ
27 … 剥離ローラ
36 … 案内ローラ
36a、36b … サイドローラ
36c… 中央ローラ
37 … スリット円板
38 … ロータリエンコーダ
41 … 制御装置
42 … 判別部
S … セパレータ
T … 粘着テープ
W … 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハに粘着テープを貼付ける粘着テープ貼付け方法であって、
前記半導体ウエハに貼付けられた帯状の粘着テープをテープ切断機構によりウエハ形状に切断し、
切り抜かれた粘着テープを巻き取り回収する過程で、切り抜き部位のテープ両端を案内する案内ローラの回転状態を検出手段で検出し、当該検出結果に基づいてテープ両端の破断を検出する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記案内ローラは、テープ幅方向の配備された複数個で構成され、
前記検出手段により案内ローラの回転角を検出し、予め設定した基準回転角と実回転角を比較して粘着テープの破断を検出する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記案内ローラは、テープ幅方向の配備された複数個で構成され、
前記検出手段により各案内ローラにかかるトルクを検出し、予め設定した基準トルクと実トルクを比較して粘着テープの破断を検出する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
半導体ウエハに粘着テープを貼付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記半導体ウエハを載置保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに載置保持された半導体ウエハに向けて帯状の粘着テープを供給する粘着テープ供給機構と、
貼付けローラを備え、この貼付けローラを転動移動させて粘着テープを前記半導体ウエハに押圧して貼付けるテープ貼付機構と、
前記粘着テープをウエハ形状に切断するテープ切断機構と、
ウエハ形状に切り抜かれた前記粘着テープを剥離して巻き取るテープ剥離機構と、
前記粘着テープを巻き取る過程で、テーブ両端を案内する案内ローラと、
前記案内ローラの回転状態を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて、テープ両端の破断を判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記案内ローラは、テープ幅方向に配備された複数個で構成し、
前記検出手段は、前記各案内ローラの回転角を検出し、
前記判別手段は、予め設定した基準回転角と実回転角を比較してテープ両端の破断を判別するように構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項4に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記案内ローラは、テープ幅方向に配備された複数個で構成し、
前記検出手段は、各案内ローラにかかるトルクを検出し、
前記判別手段は、予め設定した基準トルクと実トルクを比較してテープ両端の破断を判別するように構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記案内ローラは、回転駆動軸に固定された当該軸方向中央に向けて太くなる湾曲形状に形成された中央ローラと、
前記中央ローラの両端で回転駆動軸に回転自由に配備され、中央ローラの湾曲面と連続する外向きに先細りになる湾曲面を有するサイドローラとから構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−124369(P2011−124369A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280432(P2009−280432)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(394016601)日東精機株式会社 (79)
【Fターム(参考)】