経路探索装置、プログラム、発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置
【課題】燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができるようにする。
【解決手段】スケジュール決定部34によって、車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、該候補ノードにおけるモータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの動作スケジュールを決定する。コスト算出部36によって、決定された該候補ノードまでの動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する。経路探索部28では、最小コスト経路選択部38によって、算出された燃料消費コストが最小となる候補ノードまでの経路を選択し、選択した経路の終端ノードが車両の目的地に到達するまで、選択した経路に対して、スケジュール決定部34及びコスト算出部36の処理を繰り返し行う。
【解決手段】スケジュール決定部34によって、車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、該候補ノードにおけるモータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの動作スケジュールを決定する。コスト算出部36によって、決定された該候補ノードまでの動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する。経路探索部28では、最小コスト経路選択部38によって、算出された燃料消費コストが最小となる候補ノードまでの経路を選択し、選択した経路の終端ノードが車両の目的地に到達するまで、選択した経路に対して、スケジュール決定部34及びコスト算出部36の処理を繰り返し行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、プログラム、発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置に係り、特に、燃料消費コストが最小となる経路を探索する経路探索装置及びプログラム、並びに渋滞区間における発進回数を予測することができる発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地までの複数の候補経路を算出し、経路を走行する上で、内燃機関の出力軸に設けたモータジェネレータを発電機または電動機として動作させたときに、充電エネルギーと放電エネルギーとの関係で最も効率の良い経路を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1、2)。従来の技術では、予め候補経路を算出して、その候補経路を活用することから、高低差が先読み可能であり、充放電のスケジュールを立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−93717号公報
【特許文献2】特開2000−333305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の技術では、候補経路を最短距離などのコストに基づいて算出しているため、算出される複数の候補経路の中に、燃料消費コストを最小とする経路が含まれない場合がある、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる経路探索装置及びプログラムを提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、渋滞区間における発進回数を精度良く予測することができる発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の第1の目的を達成するために第1の発明に係る経路探索装置は、道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段と、前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段と、前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段と、前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段と、を含む経路探索装置であって、前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行うことを特徴としている。
【0008】
第2の発明に係るプログラムは、道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段を備えたコンピュータを、前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段、前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段、及び前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段として機能させるためのプログラムであって、前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行うことを特徴としている。
【0009】
第1の発明及び第2の発明によれば、情報取得手段によって、道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する。燃料消費算出手段によって、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する。
【0010】
そして、動作スケジュール決定手段によって、車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及びトルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおけるモータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、算出されたリンク毎の内燃機関による燃料消費量とトルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの動作スケジュールを決定し、決定された該候補ノードまでの動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う。動作スケジュール決定手段は、上記の処理を行う毎に、算出された燃料消費コストが最小となる候補ノードまでの経路を選択し、選択した経路の終端ノードが車両の目的地に到達するまで、選択した経路に対して処理を繰り返し行う。
【0011】
このように、燃料消費コストを最小にする経路を選択し、選択した経路に対して、充電状態量を基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータの動作スケジュールを決定する処理を、選択した経路の終端ノードが目的地に到達するまで繰り返し行うことにより、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる。
【0012】
第1の発明の動作スケジュール決定手段は、出発地から目的地までの平均的な高度変化及び実際の高度変化について高度が一致する地点が、経路上の候補ノードを含む所定範囲内に存在する場合、決定された候補ノードまでの動作スケジュールを確定することができる。これによって、計算時間を短縮することができる。
【0013】
第1の発明に係る情報取得手段は、各リンクの渋滞情報として、リンクの渋滞長もしくはリンクの渋滞区間の通過時間を取得し、動作スケジュール決定手段は、候補ノードまでのリンクに、渋滞区間を含むリンクが含まれる場合、渋滞長もしくは通過時間から求められる渋滞区間での発進回数と、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、渋滞区間の通過に必要なトルクアシスト動作による放電量を算出して、候補ノードにおけるモータジェネレータの充電状態量を算出することができる。
【0014】
また、第1の発明に係る情報取得手段は、各リンクの渋滞情報として、リンクの渋滞長もしくはリンクの渋滞区間の通過時間を取得し、燃料消費算出手段は、リンクに渋滞区間が含まれる場合、渋滞長もしくは通過時間から求められる渋滞区間での発進回数に基づいて、発進回数による加速分の内燃機関の燃料消費量を算出して、リンクの内燃機関による燃料消費量を算出することができる。
【0015】
第3の発明に係る発進回数予測装置は、渋滞区間の通過時間を取得する渋滞区間通過時間取得手段と、前記渋滞区間に設置されている信号の表示変更周期と、前記通過時間とから、渋滞区間の発進回数を予測する発進回数予測手段とを含んで構成されている。
【0016】
第3の発明に係る発進回数予測装置によれば、渋滞区間通過時間取得手段によって、渋滞区間の通過時間を取得する。そして、発進回数予測手段によって、渋滞区間に設置されている信号の表示変更周期と、通過時間とから、渋滞区間の発進回数を予測する。
【0017】
このように、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができる。
【0018】
第4の発明に係る燃料消費量算出装置は、上記第3の発明に係る発進回数予測装置と、前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数により、渋滞区間を走行する場合における燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段とを含んで構成されている。
【0019】
第4の発明に係る燃料消費算出装置によれば、発進回数予測装置によって、渋滞区間の発進回数を予測し、燃料消費量算出手段によって、発進回数予測装置によって予測された発進回数により、渋滞区間を走行する場合における燃料消費量を算出する。
【0020】
このように、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができるため、渋滞区間を走行する際の燃料消費量を精度良く算出することができる。
【0021】
第5の発明に係る動作スケジュール決定装置は、上記第3の発明に係る発進回数予測装置と、前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数と、車両の内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、前記渋滞区間の通過に必要な前記トルクアシスト動作による放電量を算出し、前記モータジェネレータの動作スケジュールを、前記渋滞区間までの前記モータジェネレータの充電状態量を、前記算出された放電量以上にするように決定するスケジュール決定手段と、を含んで構成されている。
【0022】
第5の発明に係る動作スケジュール決定装置によれば、発進回数予測装置によって、渋滞区間の発進回数を予測する。そして、スケジュール決定手段によって、発進回数予測装置によって予測された発進回数と、車両の内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの、予め定められた1回の発進に必要なトルクアシスト動作による放電量とから、渋滞区間の通過に必要なトルクアシスト動作による放電量を算出し、モータジェネレータの動作スケジュールを、渋滞区間までのモータジェネレータの充電状態量を、算出された放電量以上にするように決定する。
【0023】
このように、渋滞区間をモータジェネレータのトルクアシスト動作で走行することができるため、燃料消費コストを下げることができる。
【0024】
また、本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供することも可能である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の経路探索装置及びプログラムによれば、燃料消費コストを最小にする経路を選択し、選択した経路に対して、充電状態量を基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータの動作スケジュールを決定する処理を、選択した経路の終端ノードが目的地に到達するまで繰り返し行うことにより、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる、という効果が得られる。
【0026】
本発明の発進回数予測装置によれば、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができる、という効果が得られる。
【0027】
本発明の燃料消費量算出装置によれば、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができるため、渋滞区間を走行する際の燃料消費量を精度良く算出することができる、という効果が得られる。
【0028】
本発明の動作スケジュール決定装置によれば、渋滞区間をモータジェネレータのトルクアシスト動作で走行することができるため、燃料消費コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る経路探索装置を示すブロック図である。
【図2】道路ネットワークを示すイメージ図である。
【図3】各リンクにおける高度変化、走行速度、及び内燃機関による燃料消費量の計算結果を示した図である。
【図4】候補ノードcまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図5】候補ノードdまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図6】候補ノードfまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図7】候補ノードgまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図8】候補ノードhまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図9】目的地点までのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る経路探索装置における経路探索処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る経路探索装置におけるSOCスケジュール決定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。車両に搭載され、かつ、自車両のドライバに対して目的地までの経路を案内する経路探索装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0031】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る経路探索装置10は、交通情報センターからの交通情報を受信する情報受信部12と、自車両の位置を計測する位置計測部14と、燃料消費コストを最小とする目的地までの経路を探索するコンピュータ16と、探索された経路をドライバに対して表示する表示装置18とを備えている。
【0032】
経路探索装置10は、内燃機関と、内燃機関の出力軸に設けられた充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータとを備えたハイブリッド車両に搭載されている。車両のモータジェネレータは、充電動作時には、内燃機関の出力軸の回転にともない発電を行うと共に、その出力軸に制動力を付与する。例えば、高度が高いところから低いところへ移動する場合には、モータジェネレータは、発電を行うと共に、出力軸に制動力を付与する。モータジェネレータで発生した電気エネルギーは回収されて一旦コンデンサ等の蓄電器に蓄える。一方、大きな出力トルクが要求される加速時(例えば、発進時)などには、モータジェネレータは蓄電器に蓄えられた電機エネルギーによって電動機として作動させられ、内燃機関のトルクをアシストする。
【0033】
交通情報センターでは、路上センサなどを用いて、各リンクのリンク旅行時間及び渋滞長を収集し、収集したリンク毎のリンク旅行時間及び渋滞長を含む交通情報を送信する。
【0034】
コンピュータ16は、CPUと、RAMと、後述する経路探索処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備え、機能的には次に示すように構成されている。コンピュータ16は、情報受信部12によって受信した交通情報を収集する交通情報収集部20と、位置計測部14によって計測された自車両の位置を出発地として取得すると共に、ドライバによる操作部(図示省略)の操作により入力された目的地を取得する自車情報取得部22と、道路ネットワークデータや道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化を記憶した道路ネットワークデータベース24と、収集した交通情報及び道路ネットワークデータに基づいて、出発地から目的地までを含む領域内の各リンクの発進回数及び走行速度を算出する走行状態算出部26と、収集した交通情報、算出された発進回数、走行速度、及び道路ネットワークデータに基づいて、出発地から目的地までの経路のうち、燃料消費コストが最小となる経路を探索して、表示装置18に表示させる経路探索部28とを備えている。なお、交通情報収集部20は、情報取得手段の一例であり、道路ネットワークデータベース24は、道路情報記憶手段の一例である。また、交通情報収集部20は、渋滞区間通過時間取得手段の一例であり、走行状態算出部26は、発進回数予測手段の一例である。
【0035】
道路ネットワークデータベース24は、道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長を示すデータと、各リンクの高度変化(両端のノードにおける高度)を示すデータを記憶している。
【0036】
走行状態算出部26は、収集した交通情報及び道路ネットワークデータに基づいて、以下に説明するように、出発地から目的地までの全経路を含む領域内の各リンクに対して、発進回数及び走行速度を算出する。
【0037】
まず、交通情報に含まれるリンク旅行時間と渋滞長から、算出対象のリンクについて、リンク内の非渋滞区間及び渋滞区間の各々の通過時間を算出すると共に、リンクの渋滞長と渋滞区間の通過時間から、算出対象のリンクの発進回数を求める。一般道路では、渋滞及び混雑でない非渋滞の道路は、平均速度が30km/h以上とされているため、リンク旅行時間から、リンク長を速度30km/hで割った旅行時間を引いた差が、渋滞区間を通過するのに有した時間となる。また、信号は、サイクル長が主に90〜180秒で運用されており、渋滞区間を通過するのに有した時間を、サイクル長(例えば140秒)で割ることにより、通過するのに要した信号の回数、つまり発進回数を算出する。なお、サイクル長(表示変更周期)は、運用されている現示や計測値があればその値を用いればよく、例えば、道路ネットワークデータベース24に記憶されている。
【0038】
また、算出対象のリンクの非渋滞区間の通過時間と非渋滞区間の区間長(リンク長から渋滞長を引いた値)から、算出対象のリンクの非渋滞区間の走行速度を算出する。渋滞区間の通過時間と渋滞区間の区間長とから、算出対象のリンクの渋滞区間の走行速度を算出する。
【0039】
経路探索部28は、リンク毎の内燃機関による燃料消費量を算出する燃料消費量算出部30と、リンク毎のモータジェネレータの充電動作による充電量及びトルクアシスト動作による放電量を算出する充放電算出部32と、出発地からの経路におけるモータジェネレータのリンク毎の動作スケジュールを含むSOC制御スケジュールを決定するスケジュール決定部34と、決定されたSOC制御スケジュールに対して、出発地からの経路における燃料消費コストを算出するコスト算出部36と、算出された燃料消費コストが最小となる経路を選択する最小コスト経路選択部38とを備えている。
【0040】
経路探索部28では、燃料消費量算出部30、充放電算出部32、スケジュール決定部34、コスト算出部36、及び最小コスト経路選択部38の各々による処理を、出発地から目的地までの経路が探索されるまで繰り返し行う。
【0041】
ここで、本実施の形態における経路探索の原理について説明する。図2に示すような道路ネットワークにおいて、出発地点aから目的地点bまでの燃料消費コストが最小の経路を探索する場合を例に説明する。
【0042】
まず、道路ネットワークデータベース24から得られる出発地点aの高度と目的地点bの高度とに基づいて、図3に示すように、目的地までの平均的な高度変化を算出する。
【0043】
次に、出発地点aを開始ノードとし、接続される全てのノードを候補ノードとする。候補ノードを1つ選択し、開始ノードから、選択された候補ノードを終端ノードとしたリンクを、対象リンクとして設定する。
【0044】
対象リンクについて、以下に説明するように、内燃機関のみの走行による燃料消費量を算出する。
【0045】
内燃機関による燃料消費量は、停止時燃料消費量と、走行速度及び速度変動(AAEE)によって求められる走行時燃料消費量との和として示すことが出来るため、以下の(1)式に従って、単位kmあたりの燃料消費量[F](cc/km)を算出する。
[F]=[Fs]+[Fr]
=a1×[Tidle]+b1+b2×[Trun]+b3×[AAEE]
=0.345×[Tidle]+27.6+0.3102×[Trun]+0.5636×[AAEE] ・・・(1)
【0046】
ただし、[Fs]は停止時燃料消費量(cc/km)であり、[Fr]は走行時燃料消費量(cc/km)であり、[Tidle]は、kmあたりの停止時間長(sec/km)である。また、[Trun]は、走行速度から導き出される単位距離あたりの走行時間(sec/km)であり、[AAEE]は、速度変動を表すkmあたりの加速エネルギー当量(cc/(m/s)2)である。また、a1、b1、b2、b3の数値は、2000cc乗用車の実測値である。また、[Trun]=3600/[Srun]である([Srun]は、走行速度(km/h))。
【0047】
また、対象リンクに渋滞区間が含まれる場合には、渋滞区間での発進回数を用いて、発進回数による加速分の燃料消費量を算出する。
【0048】
燃料消費量算出部30は、上記(1)式によって算出された燃料消費量に、対象リンクのリンク長を乗算して、対象リンクにおける内燃機関による燃料消費量を算出する。また、対象リンクに渋滞区間が含まれる場合には、渋滞区間での発進回数による加速分の燃料消費量を加算する。
【0049】
なお、図3に示すように、各リンクの走行速度及び発進回数は、走行状態算出部26により算出されており、各リンクの高度変化は、道路ネットワークデータベース24から取得されている。
【0050】
また、対象リンクの高度変化が下りである場合、高度差の位置エネルギー分を発電することにより電気エネルギーに変換可能であるため、以下の(2)式に従って、モータジェネレータの充電動作による充電量として、発電量Egを算出する。
Eg=α×m×g×(h2−h1) ・・・(2)
【0051】
ただし、上記(2)式は、高度h2の地点から高度h1の地点へ移動するときの発電量Egであり、αは、変換係数、mは車両質量、gは重力加速度である。
【0052】
また、ハイブリッド車両の場合は、モータジェネレータにより、内燃機関を始動しなくても車両発進が可能である。対象リンク内に渋滞区間が存在する場合には、対象リンクについて算出された発進回数に基づいて、対象リンクにおいて発進のために消費される電気エネルギーを以下の(3)式に従って算出する。
Ejam=Est×n ・・・(3)
【0053】
ただし、Estは、1回の発進に必要な電気エネルギーであり、nが車両発進回数である。
【0054】
充放電算出部32は、対象リンクについて、上記(2)式に従って充電量を算出し、上記(3)式に従って放電量を算出する。
【0055】
ここで、内燃機関の出力軸に設けられたモータジェネレータを備えたハイブリッド車両の場合、車両が走行するのに必要な動力を、内燃機関だけでなく、モータジェネレータにより補助することが可能であり、内燃機関の負荷を低減して燃料消費量を抑制することができる。ただし、モータジェネレータによる補助は、バッテリー充電量に依存する。バッテリー充電量は、バッテリー寿命などの関係から最小値と最大値の間で運用される。現在のバッテリー充電量の状態は、SOC(State Of Charge)と呼ばれる。SOCは、今後の走行状況が未知の場合には、車両制御などのために、通常、一定値(例えば中央値)になるように制御される。なお、SOCが、充電状態量の一例である。
【0056】
本実施の形態では、SOC制御として、出発地点や、到着地点、途中までの経路の終端ノードにおいて、SOCが基準値(中央値)以上になるように維持すると共に、経路の終端ノード以外の途中のノードにおけるSOCを、燃料消費抑制のために最小値から最大値の範囲内で有効に制御する。
【0057】
スケジュール決定部34は、モータジェネレータの動作スケジュールを含むSOC制御スケジュールに従った充電量及び放電量から算出される、対象リンクの終端ノード(候補ノード)における充電状態量(SOC)を基準値以上にすると共に、出発地から対象リンクの終端ノード(候補ノード)までの燃料消費コストを最小にする、対象リンクまでのSOC制御スケジュールを決定する。SOC制御スケジュールは、リンク毎の動作スケジュール(充電動作、トルクアシスト動作、動作なし)と、各リンクのノードにおけるSOCとから構成されている。
【0058】
例えば、図4に示すように、出発地点aのSOCを基準値とし、対象リンクが、出発地点aから接続される候補ノードcまでのリンクである場合には、上り坂の区間であり、モータジェネレータによるトルクアシスト動作を活用すると、候補ノードcにおけるSOCを基準値に維持することができなくなるため、リンクa−cのSOC制御スケジュールが、モータジェネレータの充電動作及びトルクアシスト動作を行わず、内燃機関のみの走行を行うように決定される。このとき、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードcまでの燃料消費コストとして、内燃機関による燃料消費量と等しい0.5が算出される。
【0059】
次に、図5に示すように、対象リンクが、地点cから接続される候補ノードdまでのリンクである場合には、c−d区間が下り坂であり、高度差Pdの位置エネルギー分を発電することにより電気エネルギーに変換可能であるため、リンクc−dのSOC制御スケジュールが、モータジェネレータによる充電動作に決定される。また、候補ノードdにおけるSOCを基準値と同等とするには、地点cでは、高度差Pdによる充電量f(Pd)だけSOCが低くてもよく、低くした分だけの放電量をトルクアシスト動作に活用して、燃料消費コストを低くすることができるため、リンクa−cのSOC制御スケジュールが、トルクアシスト動作に更新される。このとき、リンクa−cでは、充電量f(Pd)の電気エネルギーを用いたトルクアシスト動作が行われるため、トルクアシスト動作に応じた燃料消費削減量だけ、燃料消費量が削減される。燃料消費削減量FRは、以下の(4)式で算出される。
FR=k×Ema ・・・(4)
【0060】
ただし、Emaは、使用する電気エネルギーであり、kは、予め求められた係数である。
【0061】
例えば、リンクa−cの燃料消費削減量が0.1と算出される。また、対象リンクc−dでは、下り坂であり、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.3)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードdまでの燃料消費コストとして、0.4が算出される。
【0062】
また、候補ノードdのように、出発地点aから到着地点bまでの平均的な高度変化による高度と一致する地点が、周辺の所定範囲内に存在する場合には、候補ノードdの上流側で、上り傾向と下り傾向との双方が存在すると判断でき、上り傾向と下り傾向とに応じて、候補ノードdの上流側で、充電動作及びトルクアシスト動作のスケジュールが確定できるため、候補ノードdまでのSOC制御スケジュール及び燃料消費コストを確定する。
【0063】
次に、図6に示すように、対象リンクが、地点dから接続される候補ノードeまでのリンクである場合、及び対象リンクが、地点eから接続される候補ノードfまでのリンクである場合には、上記の候補ノードcまでのリンク及び候補ノードdまでのリンクと同様に、SOC制御スケジュールが決定される。すなわち、下り坂であるリンクe−fにおいて、位置エネルギーの変化量分を電気エネルギーに変換可能するように充電動作を行い、充電量の電気エネルギーを、リンクd−eのトルクアシスト動作に活用するように、SOC制御スケジュールを決定する。このとき、リンクd−eの燃料消費削減量が0.2と算出される。また、対象リンクe−fでは、下り坂であり、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.4)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードfまでの燃料消費コストとして、2.7が算出される。
【0064】
次に、図7に示すように、対象リンクが、地点fから接続される候補ノードgまでのリンクである場合、対象リンク内に渋滞区間が存在するため、渋滞区間における発進を、アシストトルク動作によって行うように、SOC制御スケジュールが決定される。従って、発進回数分の電気エネルギーがJg分必要であるため、候補ノードgにおけるSOCを基準値に維持するためには、地点fにおいて、既に決定したSOCよりもJgだけ高く維持する必要がある。よって、地点fまでのSOC制御スケジュールを、リンクd−e間でトルクアシスト動作を行わないように更新する。また、渋滞区間の発進を、モータジェネレータのトルクアシスト動作により行うため、渋滞区間の内燃機関がアイドルストップされる。例えば、リンクd−eの燃料消費削減量が0となり、対象リンクf−g内の渋滞区間では、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.9)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードgまでの燃料消費コストとして、3.1が算出される。
【0065】
また、図8に示すように、対象リンクが、地点gから接続される候補ノードhまでのリンクである場合、g−h区間が下り坂であり、高度差Phの位置エネルギー分を発電することにより電気エネルギーに変換可能である。従って、リンクg−hのSOC制御スケジュールが、モータジェネレータによる充電動作に決定される。また、充電量が、SOCの最大値及び最小値の差分以上であるため、充電動作により得られる発電エネルギーを最大限有効に活用するために、候補ノードhにおけるSOCを最大値とし、その手前の地点gでは、最小値を下回ることはできないため、地点gにおけるSOCを最小値とするように、SOC制御スケジュールを更新する。また、地点gのSOC(最小値)に応じて、地点gより上流側のSOC制御スケジュールを順次更新し、例えば、リンクd−eのSOC制御スケジュールをトルクアシスト動作に更新する。これによって、例えば、リンクd−eの燃料消費削減量が0.3と算出される。また、対象リンクg−hでは、下り坂であり、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.3)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードhまでの燃料消費コストとして、2.8が算出される。
【0066】
また、出発地点aから到着地点bまでの平均的な高度変化による高度と一致する地点が、候補ノードhの周辺の所定範囲に存在するため、候補ノードhまでのSOC制御スケジュール及び燃料消費コストを確定する。
【0067】
そして、図9に示すように、対象リンクが、地点hから接続される候補ノードbまでのリンクである場合には、上り坂の区間であり、候補ノードbにおけるSOCを基準値とするためには、最大値と基準値との差分の電気エネルギーを用いたトルクアシスト動作を活用することができる。リンクh−bのSOC制御スケジュールが、トルクアシスト動作に決定される。トルクアシスト動作に応じた燃料消費削減量だけ、燃料消費量が削減され、例えば、リンクh−bの燃料消費削減量が0.3と算出される。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードbまでの燃料消費コストとして、3.5が算出される。
【0068】
上記の対象リンクに対する計算は、まず、出発地点に接続される候補ノードまでのリンクの各々について行われ、最小コスト経路選択部38によって、燃料消費コストが最小となる経路が選択される。また、選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードに接続される候補ノードまでのリンクの各々を、対象リンクとして上記対象リンクに対する計算を行う。そして、最小コスト経路選択部38によって、燃料消費コストが計算された全ての経路(出発地点から途中地点までの経路を含む)の中から、燃料消費コストが最小となる経路が選択し、選択された経路の終端ノードに接続される候補ノードまでのリンクの各々について、同様に、対象リンクに対する計算を行う。選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点に到達するまで、この対象リンクに対する計算が繰り返し行われ、目的地点に到達したときに得られた経路が、燃料消費コストが最小となる経路の探索結果として出力される。
【0069】
以上のように、経路探索部28によって、出発地点aから目的地点bまでの燃料消費コストが最小の経路を探索し、探索された経路を、表示装置18に表示する。表示装置18では、道路地図上に、探索された経路を表示して、ドライバに対して、探索された経路を案内する。
【0070】
また、経路探索部28によって決定された目的地点bまでのSOC制御スケジュールは、その経路を走行する際のSOC制御スケジュールとして活用されるため、モータジェネレータの動作を制御する車両制御部(図示省略)に出力される。
【0071】
次に、第1の実施の形態に係る経路探索装置10の動作について説明する。まず、経路探索装置10において、情報受信部12によって、交通情報センターからの交通情報を受信して収集しているときに、ドライバの操作部(図示省略)の操作により目的地が入力されると、コンピュータ16において、図10に示す経路探索処理ルーチンが実行される。
【0072】
まず、ステップ100において、位置計測部14によって計測された現在の自車両の位置に対応するノードを、出発地点のノードとして設定すると共に、入力された目的地に対応するノードを、目的地点のノードとして設定する。
【0073】
そして、ステップ102において、交通情報センターから受信した、各リンクのリンク旅行時間及び渋滞長を含む交通情報を取得し、ステップ104において、上記ステップ100で設定された出発地点のノードから目的地点のノードまでの全経路を含む所定領域内に存在する各リンクについて、上記ステップ102で取得した交通情報に基づいて、発進回数及び走行速度を算出する。次のステップ105では、道路ネットワークデータベース24から得られる出発地点の高度と目的地点の高度とに基づいて、出発地点から目的地点までの平均的な高度変化を算出する。
【0074】
そして、ステップ106において、候補ノードを1つ設定する。1回目の処理のときには、出発地点のノードに接続しているノードを、候補ノードとし、2回目以降の処理のときには、後述するステップ112で選択された経路の終端ノードに接続しているノードを、候補ノードとする。
【0075】
ステップ108において、候補ノードを終端ノードとする対象リンクについて、SOC制御スケジュールを決定する処理を行う。上記ステップ108は、図11に示すSOCスケジュール決定処理ルーチンによって実現される。
【0076】
まず、ステップ120において、上記ステップ102で取得した対象リンクの渋滞長、及び上記ステップ104で算出された対象リンクの走行速度及び発進回数に基づいて、対象リンクにおける内燃機関による燃料消費量を算出する。
【0077】
そして、ステップ122において、道路ネットワークデータベース24に記憶されている対象リンクの高度変化に基づいて、対象リンクが下り坂であるか否かを判定する。下り坂でない場合には、ステップ126へ移行するが、一方、下り坂である場合には、ステップ124で、対象リンクについて、高度変化から得られる位置エネルギーの変化量に基づく、モータジェネレータの充電動作による充電量を算出して、ステップ126へ移行する。
【0078】
ステップ126では、上記ステップ102で取得した交通情報に基づいて、対象リンクに渋滞区間が含まれているか否かを判定する。渋滞区間が含まれていない場合(対象リンクの渋滞長が0である場合)には、ステップ130へ移行するが、一方、渋滞区間が含まれている場合には、ステップ128において、上記ステップ104で算出された対象リンクの発進回数に基づいて、対象リンク内の車両発進時のモータジェネレータのトルクアシスト動作による放電量を算出して、ステップ130へ移行する。
【0079】
ステップ130では、上記ステップ124又はステップ126で算出された充電量又は放電量と、対象リンクの始端ノードまでの経路について決定されているSOC制御スケジュールとを用いて、対象リンクの終端ノード(候補ノード)におけるSOCが基準値以上であり、かつ、対象リンクの終端ノード(候補ノード)までの燃料消費コストが最小となるように、対象リンクのSOC制御スケジュールを決定すると共に、出発地点のノードから対象リンクの始端ノードまでのSOC制御スケジュールを更新して、出発地点のノードから対象リンクの終端ノード(候補ノード)までのSOC制御スケジュールを決定する。
【0080】
次のステップ132では、上記ステップ130で決定されたSOC制御スケジュールに基づいて、各リンクのモータジェネレータのトルクアシスト動作又は内燃機関のアイドルストップによる燃料消費削減量を算出する。
【0081】
そして、ステップ134において、上記ステップ120で各リンクについて算出された内燃機関による燃料消費量と、上記ステップ132で算出されたリンク毎の燃料消費削減量とに基づいて、出発地点のノードから、対象リンクの終端ノード(候補ノード)までの経路における燃料消費コストを算出する。
【0082】
次のステップ136では、対象リンク上において、始端ノード又は終端ノードの周辺の所定範囲内に、上記ステップ105で算出された平均的な高度変化に基づく高度と等しくなる地点が存在するか否かを判定し、存在しない場合には、SOCスケジュール決定処理ルーチンを終了する。一方、始端ノード又は終端ノードの周辺の所定範囲内に、平均的な高度変化に基づく高度と等しくなる地点が存在する場合には、ステップ138において、周辺の所定範囲内に、平均的な高度変化に基づく高度と等しくなる地点が存在する始端ノード又は終端ノードまでのSOC制御スケジュール及び燃料消費コストを確定し、SOCスケジュール決定処理ルーチンを終了する。
【0083】
そして、経路探索処理ルーチンのステップ110において、接続する全ての候補ノードについて、上記ステップ106、108の処理を実行したか否かを判定する。上記ステップ106、108の処理を実行していない候補ノードが存在する場合には、ステップ106へ戻り、他の候補ノードを設定する。一方、全ての候補ノードについて上記の処理を実行した場合には、ステップ112において、上記ステップ108でSOC制御スケジュールが決定され、かつ、燃料消費コストが計算された全ての経路から、燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードを選択する。例えば、1回目の処理では、出発地点から接続される全ての候補ノードの各々による経路から、燃料消費コストが最小となる経路が選択される。2回目以降の処理では、上記ステップ108でSOC制御スケジュール及び燃料消費コストが計算された全ての候補ノードの各々までの経路から、燃料消費コストが最小となる経路が選択される。
【0084】
次のステップ114では、上記ステップ112で選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点のノードであるか否かを判定する。選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点のノードでない場合には、上記ステップ106へ戻り、選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードに接続されているノードを、候補ノードとして1つ設定する。一方、選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点のノードに到達した場合には、ステップ116において、上記ステップ112で選択された燃料消費コストが最小となる目的地点のノードまでの経路を、経路探索結果として、表示装置18に出力すると共に、その経路に対して決定されたSOC制御スケジュールを、車両制御装置に出力し、経路探索処理ルーチンを終了する。
【0085】
上記経路探索処理ルーチンが実行されると、表示装置に探索された経路が表示される。このとき、例えば、車載されたナビゲーションシステムにおいて、出力された経路と、位置計測部14により得られる現在地とに基づいて、探索された目的地点までの経路をドライバに対して案内する処理を行う。
【0086】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る経路探索装置によれば、燃料消費コストを最小にする経路を選択し、選択した経路から接続される候補ノードの各々に対して、SOCを基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータのSOC制御スケジュールを決定する処理を、選択した経路の終端ノードが目的地に到達するまで繰り返し行うことにより、逐次、最小燃料消費コストを更新しながら、経路探索を行うため、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる。
【0087】
また、燃料消費コストが最小な経路を探索し、モータジェネレータの充電と放電のスケジュールを予め決定できるため、最も少ない燃料消費で走行することができる。
【0088】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る経路探索装置の構成は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
第2の実施の形態では、車両の走行抵抗に基づいて、内燃機関による燃料消費量を算出している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0090】
第2の実施の形態に係る経路探索装置では、燃料消費量算出部30によって、対象リンクの各々について、道路ネットワークデータベース24から得られる対象リンクの高度変化と、走行状態算出部26によって算出される対象リンクの走行速度とに基づいて、走行抵抗に応じた内燃機関のみの走行による燃料消費量を算出する。
【0091】
内燃機関の燃料消費は、車両の走行抵抗に比例し、走行抵抗は、空気抵抗、勾配抵抗、転がり抵抗、及び加速抵抗からなる。空気抵抗は、車両の走行速度の2乗に比例し、算出される走行速度によって算出する。勾配抵抗は、勾配角度のsinに比例し、道路ネットワークデータベース24から得られるリンク長と高度変化(高低差)とに基づいて算出する。
【0092】
また、加速抵抗は、車両重量に比例する加速の際に発生する抵抗であり、加速抵抗を、車両重量によって決定される固定値と、算出される発進回数とを乗算して求める。転がり抵抗は、車両重量に比例する値であり固定値として扱う。
【0093】
燃料消費量算出部30は、対象リンクの高度変化、走行速度、及び発進回数に基づいて、空気抵抗、勾配抵抗、転がり抵抗、及び加速抵抗からなる走行抵抗を算出し、算出した走行抵抗と、予め計測された、走行抵抗に対する燃料消費特性とに基づいて、対象リンクの内燃機関による燃料消費量を算出する。
【0094】
なお、第2の実施の形態に係る経路探索装置の他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る経路探索装置は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
第3の実施の形態では、空調を駆動させることによる放電量を更に考慮している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0097】
気温が高い場合には、冷房をかけるためコンプレッサーを駆動する必要があるが、空調のために内燃機関を始動するより、電気エネルギーで駆動したほうが効率的である。
【0098】
そこで、第3の実施の形態に係る経路探索装置では、気温が高く、空調を駆動している場合、充放電算出部32によって、トルクアシスト動作による放電量と共に、空調のコンプレッサー駆動により消費される電気エネルギーを、放電量として算出する。例えば、交通情報から得られる対象リンクのリンク旅行時間に、空調による単位時間当たりの放電量を乗算して、対象リンクにおける放電量を算出する。
【0099】
スケジュール決定部34では、トルクアシスト動作による放電量と共に、空調によるリンク毎の放電量を更に考慮して、対象リンクの終端ノードにおけるSOCが基準値以上であり、かつ、対象リンクの終端ノードまでの燃料消費コストが最小となる、対象リンクのSOC制御スケジュールを決定する。
【0100】
なお、第3の実施の形態に係る経路探索装置の他の構成及び作用は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る経路探索装置によれば、空調を駆動させることによる放電量を更に考慮して、SOCを基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータのSOC制御スケジュールを決定しているため、燃料消費コストを最小とする経路をより精度よく探索することができる。
【0102】
なお、上記の実施の形態では、経路探索装置を車両に搭載した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、交通情報センター側の装置に、本発明を適用してもよい。この場合には、経路探索対象の車両から、出発地及び目的地を示すデータを、交通情報センター側の装置に送信し、経路探索結果を、車両へ送信するようにすればよい。
【0103】
また、リンク旅行時間及び渋滞長を、交通情報として取得する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、リンク旅行時間及び渋滞長の何れか一方を取得し、取得した一方の情報から、他方を算出するようにしてもよい。また、渋滞情報として渋滞長ではなく、渋滞時間を取得してもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 経路探索装置
14 位置計測部
16 コンピュータ
18 表示装置
20 交通情報収集部
22 自車情報取得部
24 道路ネットワークデータベース
26 走行状態算出部
28 経路探索部
30 燃料消費量算出部
32 充放電算出部
34 スケジュール決定部
36 コスト算出部
38 最小コスト経路選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、プログラム、発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置に係り、特に、燃料消費コストが最小となる経路を探索する経路探索装置及びプログラム、並びに渋滞区間における発進回数を予測することができる発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地までの複数の候補経路を算出し、経路を走行する上で、内燃機関の出力軸に設けたモータジェネレータを発電機または電動機として動作させたときに、充電エネルギーと放電エネルギーとの関係で最も効率の良い経路を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1、2)。従来の技術では、予め候補経路を算出して、その候補経路を活用することから、高低差が先読み可能であり、充放電のスケジュールを立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−93717号公報
【特許文献2】特開2000−333305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の技術では、候補経路を最短距離などのコストに基づいて算出しているため、算出される複数の候補経路の中に、燃料消費コストを最小とする経路が含まれない場合がある、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる経路探索装置及びプログラムを提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、渋滞区間における発進回数を精度良く予測することができる発進回数予測装置、燃料消費量算出装置、及び動作スケジュール決定装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の第1の目的を達成するために第1の発明に係る経路探索装置は、道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段と、前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段と、前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段と、前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段と、を含む経路探索装置であって、前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行うことを特徴としている。
【0008】
第2の発明に係るプログラムは、道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段を備えたコンピュータを、前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段、前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段、及び前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段として機能させるためのプログラムであって、前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行うことを特徴としている。
【0009】
第1の発明及び第2の発明によれば、情報取得手段によって、道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する。燃料消費算出手段によって、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する。
【0010】
そして、動作スケジュール決定手段によって、車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及びトルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおけるモータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、算出されたリンク毎の内燃機関による燃料消費量とトルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの動作スケジュールを決定し、決定された該候補ノードまでの動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う。動作スケジュール決定手段は、上記の処理を行う毎に、算出された燃料消費コストが最小となる候補ノードまでの経路を選択し、選択した経路の終端ノードが車両の目的地に到達するまで、選択した経路に対して処理を繰り返し行う。
【0011】
このように、燃料消費コストを最小にする経路を選択し、選択した経路に対して、充電状態量を基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータの動作スケジュールを決定する処理を、選択した経路の終端ノードが目的地に到達するまで繰り返し行うことにより、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる。
【0012】
第1の発明の動作スケジュール決定手段は、出発地から目的地までの平均的な高度変化及び実際の高度変化について高度が一致する地点が、経路上の候補ノードを含む所定範囲内に存在する場合、決定された候補ノードまでの動作スケジュールを確定することができる。これによって、計算時間を短縮することができる。
【0013】
第1の発明に係る情報取得手段は、各リンクの渋滞情報として、リンクの渋滞長もしくはリンクの渋滞区間の通過時間を取得し、動作スケジュール決定手段は、候補ノードまでのリンクに、渋滞区間を含むリンクが含まれる場合、渋滞長もしくは通過時間から求められる渋滞区間での発進回数と、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、渋滞区間の通過に必要なトルクアシスト動作による放電量を算出して、候補ノードにおけるモータジェネレータの充電状態量を算出することができる。
【0014】
また、第1の発明に係る情報取得手段は、各リンクの渋滞情報として、リンクの渋滞長もしくはリンクの渋滞区間の通過時間を取得し、燃料消費算出手段は、リンクに渋滞区間が含まれる場合、渋滞長もしくは通過時間から求められる渋滞区間での発進回数に基づいて、発進回数による加速分の内燃機関の燃料消費量を算出して、リンクの内燃機関による燃料消費量を算出することができる。
【0015】
第3の発明に係る発進回数予測装置は、渋滞区間の通過時間を取得する渋滞区間通過時間取得手段と、前記渋滞区間に設置されている信号の表示変更周期と、前記通過時間とから、渋滞区間の発進回数を予測する発進回数予測手段とを含んで構成されている。
【0016】
第3の発明に係る発進回数予測装置によれば、渋滞区間通過時間取得手段によって、渋滞区間の通過時間を取得する。そして、発進回数予測手段によって、渋滞区間に設置されている信号の表示変更周期と、通過時間とから、渋滞区間の発進回数を予測する。
【0017】
このように、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができる。
【0018】
第4の発明に係る燃料消費量算出装置は、上記第3の発明に係る発進回数予測装置と、前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数により、渋滞区間を走行する場合における燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段とを含んで構成されている。
【0019】
第4の発明に係る燃料消費算出装置によれば、発進回数予測装置によって、渋滞区間の発進回数を予測し、燃料消費量算出手段によって、発進回数予測装置によって予測された発進回数により、渋滞区間を走行する場合における燃料消費量を算出する。
【0020】
このように、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができるため、渋滞区間を走行する際の燃料消費量を精度良く算出することができる。
【0021】
第5の発明に係る動作スケジュール決定装置は、上記第3の発明に係る発進回数予測装置と、前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数と、車両の内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、前記渋滞区間の通過に必要な前記トルクアシスト動作による放電量を算出し、前記モータジェネレータの動作スケジュールを、前記渋滞区間までの前記モータジェネレータの充電状態量を、前記算出された放電量以上にするように決定するスケジュール決定手段と、を含んで構成されている。
【0022】
第5の発明に係る動作スケジュール決定装置によれば、発進回数予測装置によって、渋滞区間の発進回数を予測する。そして、スケジュール決定手段によって、発進回数予測装置によって予測された発進回数と、車両の内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの、予め定められた1回の発進に必要なトルクアシスト動作による放電量とから、渋滞区間の通過に必要なトルクアシスト動作による放電量を算出し、モータジェネレータの動作スケジュールを、渋滞区間までのモータジェネレータの充電状態量を、算出された放電量以上にするように決定する。
【0023】
このように、渋滞区間をモータジェネレータのトルクアシスト動作で走行することができるため、燃料消費コストを下げることができる。
【0024】
また、本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供することも可能である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の経路探索装置及びプログラムによれば、燃料消費コストを最小にする経路を選択し、選択した経路に対して、充電状態量を基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータの動作スケジュールを決定する処理を、選択した経路の終端ノードが目的地に到達するまで繰り返し行うことにより、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる、という効果が得られる。
【0026】
本発明の発進回数予測装置によれば、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができる、という効果が得られる。
【0027】
本発明の燃料消費量算出装置によれば、渋滞区間の発進回数を精度良く予測することができるため、渋滞区間を走行する際の燃料消費量を精度良く算出することができる、という効果が得られる。
【0028】
本発明の動作スケジュール決定装置によれば、渋滞区間をモータジェネレータのトルクアシスト動作で走行することができるため、燃料消費コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る経路探索装置を示すブロック図である。
【図2】道路ネットワークを示すイメージ図である。
【図3】各リンクにおける高度変化、走行速度、及び内燃機関による燃料消費量の計算結果を示した図である。
【図4】候補ノードcまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図5】候補ノードdまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図6】候補ノードfまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図7】候補ノードgまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図8】候補ノードhまでのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図9】目的地点までのSOC制御スケジュールの決定方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る経路探索装置における経路探索処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る経路探索装置におけるSOCスケジュール決定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。車両に搭載され、かつ、自車両のドライバに対して目的地までの経路を案内する経路探索装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0031】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る経路探索装置10は、交通情報センターからの交通情報を受信する情報受信部12と、自車両の位置を計測する位置計測部14と、燃料消費コストを最小とする目的地までの経路を探索するコンピュータ16と、探索された経路をドライバに対して表示する表示装置18とを備えている。
【0032】
経路探索装置10は、内燃機関と、内燃機関の出力軸に設けられた充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータとを備えたハイブリッド車両に搭載されている。車両のモータジェネレータは、充電動作時には、内燃機関の出力軸の回転にともない発電を行うと共に、その出力軸に制動力を付与する。例えば、高度が高いところから低いところへ移動する場合には、モータジェネレータは、発電を行うと共に、出力軸に制動力を付与する。モータジェネレータで発生した電気エネルギーは回収されて一旦コンデンサ等の蓄電器に蓄える。一方、大きな出力トルクが要求される加速時(例えば、発進時)などには、モータジェネレータは蓄電器に蓄えられた電機エネルギーによって電動機として作動させられ、内燃機関のトルクをアシストする。
【0033】
交通情報センターでは、路上センサなどを用いて、各リンクのリンク旅行時間及び渋滞長を収集し、収集したリンク毎のリンク旅行時間及び渋滞長を含む交通情報を送信する。
【0034】
コンピュータ16は、CPUと、RAMと、後述する経路探索処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備え、機能的には次に示すように構成されている。コンピュータ16は、情報受信部12によって受信した交通情報を収集する交通情報収集部20と、位置計測部14によって計測された自車両の位置を出発地として取得すると共に、ドライバによる操作部(図示省略)の操作により入力された目的地を取得する自車情報取得部22と、道路ネットワークデータや道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化を記憶した道路ネットワークデータベース24と、収集した交通情報及び道路ネットワークデータに基づいて、出発地から目的地までを含む領域内の各リンクの発進回数及び走行速度を算出する走行状態算出部26と、収集した交通情報、算出された発進回数、走行速度、及び道路ネットワークデータに基づいて、出発地から目的地までの経路のうち、燃料消費コストが最小となる経路を探索して、表示装置18に表示させる経路探索部28とを備えている。なお、交通情報収集部20は、情報取得手段の一例であり、道路ネットワークデータベース24は、道路情報記憶手段の一例である。また、交通情報収集部20は、渋滞区間通過時間取得手段の一例であり、走行状態算出部26は、発進回数予測手段の一例である。
【0035】
道路ネットワークデータベース24は、道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長を示すデータと、各リンクの高度変化(両端のノードにおける高度)を示すデータを記憶している。
【0036】
走行状態算出部26は、収集した交通情報及び道路ネットワークデータに基づいて、以下に説明するように、出発地から目的地までの全経路を含む領域内の各リンクに対して、発進回数及び走行速度を算出する。
【0037】
まず、交通情報に含まれるリンク旅行時間と渋滞長から、算出対象のリンクについて、リンク内の非渋滞区間及び渋滞区間の各々の通過時間を算出すると共に、リンクの渋滞長と渋滞区間の通過時間から、算出対象のリンクの発進回数を求める。一般道路では、渋滞及び混雑でない非渋滞の道路は、平均速度が30km/h以上とされているため、リンク旅行時間から、リンク長を速度30km/hで割った旅行時間を引いた差が、渋滞区間を通過するのに有した時間となる。また、信号は、サイクル長が主に90〜180秒で運用されており、渋滞区間を通過するのに有した時間を、サイクル長(例えば140秒)で割ることにより、通過するのに要した信号の回数、つまり発進回数を算出する。なお、サイクル長(表示変更周期)は、運用されている現示や計測値があればその値を用いればよく、例えば、道路ネットワークデータベース24に記憶されている。
【0038】
また、算出対象のリンクの非渋滞区間の通過時間と非渋滞区間の区間長(リンク長から渋滞長を引いた値)から、算出対象のリンクの非渋滞区間の走行速度を算出する。渋滞区間の通過時間と渋滞区間の区間長とから、算出対象のリンクの渋滞区間の走行速度を算出する。
【0039】
経路探索部28は、リンク毎の内燃機関による燃料消費量を算出する燃料消費量算出部30と、リンク毎のモータジェネレータの充電動作による充電量及びトルクアシスト動作による放電量を算出する充放電算出部32と、出発地からの経路におけるモータジェネレータのリンク毎の動作スケジュールを含むSOC制御スケジュールを決定するスケジュール決定部34と、決定されたSOC制御スケジュールに対して、出発地からの経路における燃料消費コストを算出するコスト算出部36と、算出された燃料消費コストが最小となる経路を選択する最小コスト経路選択部38とを備えている。
【0040】
経路探索部28では、燃料消費量算出部30、充放電算出部32、スケジュール決定部34、コスト算出部36、及び最小コスト経路選択部38の各々による処理を、出発地から目的地までの経路が探索されるまで繰り返し行う。
【0041】
ここで、本実施の形態における経路探索の原理について説明する。図2に示すような道路ネットワークにおいて、出発地点aから目的地点bまでの燃料消費コストが最小の経路を探索する場合を例に説明する。
【0042】
まず、道路ネットワークデータベース24から得られる出発地点aの高度と目的地点bの高度とに基づいて、図3に示すように、目的地までの平均的な高度変化を算出する。
【0043】
次に、出発地点aを開始ノードとし、接続される全てのノードを候補ノードとする。候補ノードを1つ選択し、開始ノードから、選択された候補ノードを終端ノードとしたリンクを、対象リンクとして設定する。
【0044】
対象リンクについて、以下に説明するように、内燃機関のみの走行による燃料消費量を算出する。
【0045】
内燃機関による燃料消費量は、停止時燃料消費量と、走行速度及び速度変動(AAEE)によって求められる走行時燃料消費量との和として示すことが出来るため、以下の(1)式に従って、単位kmあたりの燃料消費量[F](cc/km)を算出する。
[F]=[Fs]+[Fr]
=a1×[Tidle]+b1+b2×[Trun]+b3×[AAEE]
=0.345×[Tidle]+27.6+0.3102×[Trun]+0.5636×[AAEE] ・・・(1)
【0046】
ただし、[Fs]は停止時燃料消費量(cc/km)であり、[Fr]は走行時燃料消費量(cc/km)であり、[Tidle]は、kmあたりの停止時間長(sec/km)である。また、[Trun]は、走行速度から導き出される単位距離あたりの走行時間(sec/km)であり、[AAEE]は、速度変動を表すkmあたりの加速エネルギー当量(cc/(m/s)2)である。また、a1、b1、b2、b3の数値は、2000cc乗用車の実測値である。また、[Trun]=3600/[Srun]である([Srun]は、走行速度(km/h))。
【0047】
また、対象リンクに渋滞区間が含まれる場合には、渋滞区間での発進回数を用いて、発進回数による加速分の燃料消費量を算出する。
【0048】
燃料消費量算出部30は、上記(1)式によって算出された燃料消費量に、対象リンクのリンク長を乗算して、対象リンクにおける内燃機関による燃料消費量を算出する。また、対象リンクに渋滞区間が含まれる場合には、渋滞区間での発進回数による加速分の燃料消費量を加算する。
【0049】
なお、図3に示すように、各リンクの走行速度及び発進回数は、走行状態算出部26により算出されており、各リンクの高度変化は、道路ネットワークデータベース24から取得されている。
【0050】
また、対象リンクの高度変化が下りである場合、高度差の位置エネルギー分を発電することにより電気エネルギーに変換可能であるため、以下の(2)式に従って、モータジェネレータの充電動作による充電量として、発電量Egを算出する。
Eg=α×m×g×(h2−h1) ・・・(2)
【0051】
ただし、上記(2)式は、高度h2の地点から高度h1の地点へ移動するときの発電量Egであり、αは、変換係数、mは車両質量、gは重力加速度である。
【0052】
また、ハイブリッド車両の場合は、モータジェネレータにより、内燃機関を始動しなくても車両発進が可能である。対象リンク内に渋滞区間が存在する場合には、対象リンクについて算出された発進回数に基づいて、対象リンクにおいて発進のために消費される電気エネルギーを以下の(3)式に従って算出する。
Ejam=Est×n ・・・(3)
【0053】
ただし、Estは、1回の発進に必要な電気エネルギーであり、nが車両発進回数である。
【0054】
充放電算出部32は、対象リンクについて、上記(2)式に従って充電量を算出し、上記(3)式に従って放電量を算出する。
【0055】
ここで、内燃機関の出力軸に設けられたモータジェネレータを備えたハイブリッド車両の場合、車両が走行するのに必要な動力を、内燃機関だけでなく、モータジェネレータにより補助することが可能であり、内燃機関の負荷を低減して燃料消費量を抑制することができる。ただし、モータジェネレータによる補助は、バッテリー充電量に依存する。バッテリー充電量は、バッテリー寿命などの関係から最小値と最大値の間で運用される。現在のバッテリー充電量の状態は、SOC(State Of Charge)と呼ばれる。SOCは、今後の走行状況が未知の場合には、車両制御などのために、通常、一定値(例えば中央値)になるように制御される。なお、SOCが、充電状態量の一例である。
【0056】
本実施の形態では、SOC制御として、出発地点や、到着地点、途中までの経路の終端ノードにおいて、SOCが基準値(中央値)以上になるように維持すると共に、経路の終端ノード以外の途中のノードにおけるSOCを、燃料消費抑制のために最小値から最大値の範囲内で有効に制御する。
【0057】
スケジュール決定部34は、モータジェネレータの動作スケジュールを含むSOC制御スケジュールに従った充電量及び放電量から算出される、対象リンクの終端ノード(候補ノード)における充電状態量(SOC)を基準値以上にすると共に、出発地から対象リンクの終端ノード(候補ノード)までの燃料消費コストを最小にする、対象リンクまでのSOC制御スケジュールを決定する。SOC制御スケジュールは、リンク毎の動作スケジュール(充電動作、トルクアシスト動作、動作なし)と、各リンクのノードにおけるSOCとから構成されている。
【0058】
例えば、図4に示すように、出発地点aのSOCを基準値とし、対象リンクが、出発地点aから接続される候補ノードcまでのリンクである場合には、上り坂の区間であり、モータジェネレータによるトルクアシスト動作を活用すると、候補ノードcにおけるSOCを基準値に維持することができなくなるため、リンクa−cのSOC制御スケジュールが、モータジェネレータの充電動作及びトルクアシスト動作を行わず、内燃機関のみの走行を行うように決定される。このとき、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードcまでの燃料消費コストとして、内燃機関による燃料消費量と等しい0.5が算出される。
【0059】
次に、図5に示すように、対象リンクが、地点cから接続される候補ノードdまでのリンクである場合には、c−d区間が下り坂であり、高度差Pdの位置エネルギー分を発電することにより電気エネルギーに変換可能であるため、リンクc−dのSOC制御スケジュールが、モータジェネレータによる充電動作に決定される。また、候補ノードdにおけるSOCを基準値と同等とするには、地点cでは、高度差Pdによる充電量f(Pd)だけSOCが低くてもよく、低くした分だけの放電量をトルクアシスト動作に活用して、燃料消費コストを低くすることができるため、リンクa−cのSOC制御スケジュールが、トルクアシスト動作に更新される。このとき、リンクa−cでは、充電量f(Pd)の電気エネルギーを用いたトルクアシスト動作が行われるため、トルクアシスト動作に応じた燃料消費削減量だけ、燃料消費量が削減される。燃料消費削減量FRは、以下の(4)式で算出される。
FR=k×Ema ・・・(4)
【0060】
ただし、Emaは、使用する電気エネルギーであり、kは、予め求められた係数である。
【0061】
例えば、リンクa−cの燃料消費削減量が0.1と算出される。また、対象リンクc−dでは、下り坂であり、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.3)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードdまでの燃料消費コストとして、0.4が算出される。
【0062】
また、候補ノードdのように、出発地点aから到着地点bまでの平均的な高度変化による高度と一致する地点が、周辺の所定範囲内に存在する場合には、候補ノードdの上流側で、上り傾向と下り傾向との双方が存在すると判断でき、上り傾向と下り傾向とに応じて、候補ノードdの上流側で、充電動作及びトルクアシスト動作のスケジュールが確定できるため、候補ノードdまでのSOC制御スケジュール及び燃料消費コストを確定する。
【0063】
次に、図6に示すように、対象リンクが、地点dから接続される候補ノードeまでのリンクである場合、及び対象リンクが、地点eから接続される候補ノードfまでのリンクである場合には、上記の候補ノードcまでのリンク及び候補ノードdまでのリンクと同様に、SOC制御スケジュールが決定される。すなわち、下り坂であるリンクe−fにおいて、位置エネルギーの変化量分を電気エネルギーに変換可能するように充電動作を行い、充電量の電気エネルギーを、リンクd−eのトルクアシスト動作に活用するように、SOC制御スケジュールを決定する。このとき、リンクd−eの燃料消費削減量が0.2と算出される。また、対象リンクe−fでは、下り坂であり、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.4)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードfまでの燃料消費コストとして、2.7が算出される。
【0064】
次に、図7に示すように、対象リンクが、地点fから接続される候補ノードgまでのリンクである場合、対象リンク内に渋滞区間が存在するため、渋滞区間における発進を、アシストトルク動作によって行うように、SOC制御スケジュールが決定される。従って、発進回数分の電気エネルギーがJg分必要であるため、候補ノードgにおけるSOCを基準値に維持するためには、地点fにおいて、既に決定したSOCよりもJgだけ高く維持する必要がある。よって、地点fまでのSOC制御スケジュールを、リンクd−e間でトルクアシスト動作を行わないように更新する。また、渋滞区間の発進を、モータジェネレータのトルクアシスト動作により行うため、渋滞区間の内燃機関がアイドルストップされる。例えば、リンクd−eの燃料消費削減量が0となり、対象リンクf−g内の渋滞区間では、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.9)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードgまでの燃料消費コストとして、3.1が算出される。
【0065】
また、図8に示すように、対象リンクが、地点gから接続される候補ノードhまでのリンクである場合、g−h区間が下り坂であり、高度差Phの位置エネルギー分を発電することにより電気エネルギーに変換可能である。従って、リンクg−hのSOC制御スケジュールが、モータジェネレータによる充電動作に決定される。また、充電量が、SOCの最大値及び最小値の差分以上であるため、充電動作により得られる発電エネルギーを最大限有効に活用するために、候補ノードhにおけるSOCを最大値とし、その手前の地点gでは、最小値を下回ることはできないため、地点gにおけるSOCを最小値とするように、SOC制御スケジュールを更新する。また、地点gのSOC(最小値)に応じて、地点gより上流側のSOC制御スケジュールを順次更新し、例えば、リンクd−eのSOC制御スケジュールをトルクアシスト動作に更新する。これによって、例えば、リンクd−eの燃料消費削減量が0.3と算出される。また、対象リンクg−hでは、下り坂であり、内燃機関をアイドルストップすることができるため、内燃機関による燃料消費量(例えば、0.3)を削減することができる。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードhまでの燃料消費コストとして、2.8が算出される。
【0066】
また、出発地点aから到着地点bまでの平均的な高度変化による高度と一致する地点が、候補ノードhの周辺の所定範囲に存在するため、候補ノードhまでのSOC制御スケジュール及び燃料消費コストを確定する。
【0067】
そして、図9に示すように、対象リンクが、地点hから接続される候補ノードbまでのリンクである場合には、上り坂の区間であり、候補ノードbにおけるSOCを基準値とするためには、最大値と基準値との差分の電気エネルギーを用いたトルクアシスト動作を活用することができる。リンクh−bのSOC制御スケジュールが、トルクアシスト動作に決定される。トルクアシスト動作に応じた燃料消費削減量だけ、燃料消費量が削減され、例えば、リンクh−bの燃料消費削減量が0.3と算出される。結果として、コスト算出部36によって、対象リンクの終端ノードbまでの燃料消費コストとして、3.5が算出される。
【0068】
上記の対象リンクに対する計算は、まず、出発地点に接続される候補ノードまでのリンクの各々について行われ、最小コスト経路選択部38によって、燃料消費コストが最小となる経路が選択される。また、選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードに接続される候補ノードまでのリンクの各々を、対象リンクとして上記対象リンクに対する計算を行う。そして、最小コスト経路選択部38によって、燃料消費コストが計算された全ての経路(出発地点から途中地点までの経路を含む)の中から、燃料消費コストが最小となる経路が選択し、選択された経路の終端ノードに接続される候補ノードまでのリンクの各々について、同様に、対象リンクに対する計算を行う。選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点に到達するまで、この対象リンクに対する計算が繰り返し行われ、目的地点に到達したときに得られた経路が、燃料消費コストが最小となる経路の探索結果として出力される。
【0069】
以上のように、経路探索部28によって、出発地点aから目的地点bまでの燃料消費コストが最小の経路を探索し、探索された経路を、表示装置18に表示する。表示装置18では、道路地図上に、探索された経路を表示して、ドライバに対して、探索された経路を案内する。
【0070】
また、経路探索部28によって決定された目的地点bまでのSOC制御スケジュールは、その経路を走行する際のSOC制御スケジュールとして活用されるため、モータジェネレータの動作を制御する車両制御部(図示省略)に出力される。
【0071】
次に、第1の実施の形態に係る経路探索装置10の動作について説明する。まず、経路探索装置10において、情報受信部12によって、交通情報センターからの交通情報を受信して収集しているときに、ドライバの操作部(図示省略)の操作により目的地が入力されると、コンピュータ16において、図10に示す経路探索処理ルーチンが実行される。
【0072】
まず、ステップ100において、位置計測部14によって計測された現在の自車両の位置に対応するノードを、出発地点のノードとして設定すると共に、入力された目的地に対応するノードを、目的地点のノードとして設定する。
【0073】
そして、ステップ102において、交通情報センターから受信した、各リンクのリンク旅行時間及び渋滞長を含む交通情報を取得し、ステップ104において、上記ステップ100で設定された出発地点のノードから目的地点のノードまでの全経路を含む所定領域内に存在する各リンクについて、上記ステップ102で取得した交通情報に基づいて、発進回数及び走行速度を算出する。次のステップ105では、道路ネットワークデータベース24から得られる出発地点の高度と目的地点の高度とに基づいて、出発地点から目的地点までの平均的な高度変化を算出する。
【0074】
そして、ステップ106において、候補ノードを1つ設定する。1回目の処理のときには、出発地点のノードに接続しているノードを、候補ノードとし、2回目以降の処理のときには、後述するステップ112で選択された経路の終端ノードに接続しているノードを、候補ノードとする。
【0075】
ステップ108において、候補ノードを終端ノードとする対象リンクについて、SOC制御スケジュールを決定する処理を行う。上記ステップ108は、図11に示すSOCスケジュール決定処理ルーチンによって実現される。
【0076】
まず、ステップ120において、上記ステップ102で取得した対象リンクの渋滞長、及び上記ステップ104で算出された対象リンクの走行速度及び発進回数に基づいて、対象リンクにおける内燃機関による燃料消費量を算出する。
【0077】
そして、ステップ122において、道路ネットワークデータベース24に記憶されている対象リンクの高度変化に基づいて、対象リンクが下り坂であるか否かを判定する。下り坂でない場合には、ステップ126へ移行するが、一方、下り坂である場合には、ステップ124で、対象リンクについて、高度変化から得られる位置エネルギーの変化量に基づく、モータジェネレータの充電動作による充電量を算出して、ステップ126へ移行する。
【0078】
ステップ126では、上記ステップ102で取得した交通情報に基づいて、対象リンクに渋滞区間が含まれているか否かを判定する。渋滞区間が含まれていない場合(対象リンクの渋滞長が0である場合)には、ステップ130へ移行するが、一方、渋滞区間が含まれている場合には、ステップ128において、上記ステップ104で算出された対象リンクの発進回数に基づいて、対象リンク内の車両発進時のモータジェネレータのトルクアシスト動作による放電量を算出して、ステップ130へ移行する。
【0079】
ステップ130では、上記ステップ124又はステップ126で算出された充電量又は放電量と、対象リンクの始端ノードまでの経路について決定されているSOC制御スケジュールとを用いて、対象リンクの終端ノード(候補ノード)におけるSOCが基準値以上であり、かつ、対象リンクの終端ノード(候補ノード)までの燃料消費コストが最小となるように、対象リンクのSOC制御スケジュールを決定すると共に、出発地点のノードから対象リンクの始端ノードまでのSOC制御スケジュールを更新して、出発地点のノードから対象リンクの終端ノード(候補ノード)までのSOC制御スケジュールを決定する。
【0080】
次のステップ132では、上記ステップ130で決定されたSOC制御スケジュールに基づいて、各リンクのモータジェネレータのトルクアシスト動作又は内燃機関のアイドルストップによる燃料消費削減量を算出する。
【0081】
そして、ステップ134において、上記ステップ120で各リンクについて算出された内燃機関による燃料消費量と、上記ステップ132で算出されたリンク毎の燃料消費削減量とに基づいて、出発地点のノードから、対象リンクの終端ノード(候補ノード)までの経路における燃料消費コストを算出する。
【0082】
次のステップ136では、対象リンク上において、始端ノード又は終端ノードの周辺の所定範囲内に、上記ステップ105で算出された平均的な高度変化に基づく高度と等しくなる地点が存在するか否かを判定し、存在しない場合には、SOCスケジュール決定処理ルーチンを終了する。一方、始端ノード又は終端ノードの周辺の所定範囲内に、平均的な高度変化に基づく高度と等しくなる地点が存在する場合には、ステップ138において、周辺の所定範囲内に、平均的な高度変化に基づく高度と等しくなる地点が存在する始端ノード又は終端ノードまでのSOC制御スケジュール及び燃料消費コストを確定し、SOCスケジュール決定処理ルーチンを終了する。
【0083】
そして、経路探索処理ルーチンのステップ110において、接続する全ての候補ノードについて、上記ステップ106、108の処理を実行したか否かを判定する。上記ステップ106、108の処理を実行していない候補ノードが存在する場合には、ステップ106へ戻り、他の候補ノードを設定する。一方、全ての候補ノードについて上記の処理を実行した場合には、ステップ112において、上記ステップ108でSOC制御スケジュールが決定され、かつ、燃料消費コストが計算された全ての経路から、燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードを選択する。例えば、1回目の処理では、出発地点から接続される全ての候補ノードの各々による経路から、燃料消費コストが最小となる経路が選択される。2回目以降の処理では、上記ステップ108でSOC制御スケジュール及び燃料消費コストが計算された全ての候補ノードの各々までの経路から、燃料消費コストが最小となる経路が選択される。
【0084】
次のステップ114では、上記ステップ112で選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点のノードであるか否かを判定する。選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点のノードでない場合には、上記ステップ106へ戻り、選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードに接続されているノードを、候補ノードとして1つ設定する。一方、選択された燃料消費コストが最小となる経路の終端ノードが、目的地点のノードに到達した場合には、ステップ116において、上記ステップ112で選択された燃料消費コストが最小となる目的地点のノードまでの経路を、経路探索結果として、表示装置18に出力すると共に、その経路に対して決定されたSOC制御スケジュールを、車両制御装置に出力し、経路探索処理ルーチンを終了する。
【0085】
上記経路探索処理ルーチンが実行されると、表示装置に探索された経路が表示される。このとき、例えば、車載されたナビゲーションシステムにおいて、出力された経路と、位置計測部14により得られる現在地とに基づいて、探索された目的地点までの経路をドライバに対して案内する処理を行う。
【0086】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る経路探索装置によれば、燃料消費コストを最小にする経路を選択し、選択した経路から接続される候補ノードの各々に対して、SOCを基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータのSOC制御スケジュールを決定する処理を、選択した経路の終端ノードが目的地に到達するまで繰り返し行うことにより、逐次、最小燃料消費コストを更新しながら、経路探索を行うため、燃料消費コストを最小とする経路を精度よく探索することができる。
【0087】
また、燃料消費コストが最小な経路を探索し、モータジェネレータの充電と放電のスケジュールを予め決定できるため、最も少ない燃料消費で走行することができる。
【0088】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る経路探索装置の構成は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
第2の実施の形態では、車両の走行抵抗に基づいて、内燃機関による燃料消費量を算出している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0090】
第2の実施の形態に係る経路探索装置では、燃料消費量算出部30によって、対象リンクの各々について、道路ネットワークデータベース24から得られる対象リンクの高度変化と、走行状態算出部26によって算出される対象リンクの走行速度とに基づいて、走行抵抗に応じた内燃機関のみの走行による燃料消費量を算出する。
【0091】
内燃機関の燃料消費は、車両の走行抵抗に比例し、走行抵抗は、空気抵抗、勾配抵抗、転がり抵抗、及び加速抵抗からなる。空気抵抗は、車両の走行速度の2乗に比例し、算出される走行速度によって算出する。勾配抵抗は、勾配角度のsinに比例し、道路ネットワークデータベース24から得られるリンク長と高度変化(高低差)とに基づいて算出する。
【0092】
また、加速抵抗は、車両重量に比例する加速の際に発生する抵抗であり、加速抵抗を、車両重量によって決定される固定値と、算出される発進回数とを乗算して求める。転がり抵抗は、車両重量に比例する値であり固定値として扱う。
【0093】
燃料消費量算出部30は、対象リンクの高度変化、走行速度、及び発進回数に基づいて、空気抵抗、勾配抵抗、転がり抵抗、及び加速抵抗からなる走行抵抗を算出し、算出した走行抵抗と、予め計測された、走行抵抗に対する燃料消費特性とに基づいて、対象リンクの内燃機関による燃料消費量を算出する。
【0094】
なお、第2の実施の形態に係る経路探索装置の他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る経路探索装置は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
第3の実施の形態では、空調を駆動させることによる放電量を更に考慮している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0097】
気温が高い場合には、冷房をかけるためコンプレッサーを駆動する必要があるが、空調のために内燃機関を始動するより、電気エネルギーで駆動したほうが効率的である。
【0098】
そこで、第3の実施の形態に係る経路探索装置では、気温が高く、空調を駆動している場合、充放電算出部32によって、トルクアシスト動作による放電量と共に、空調のコンプレッサー駆動により消費される電気エネルギーを、放電量として算出する。例えば、交通情報から得られる対象リンクのリンク旅行時間に、空調による単位時間当たりの放電量を乗算して、対象リンクにおける放電量を算出する。
【0099】
スケジュール決定部34では、トルクアシスト動作による放電量と共に、空調によるリンク毎の放電量を更に考慮して、対象リンクの終端ノードにおけるSOCが基準値以上であり、かつ、対象リンクの終端ノードまでの燃料消費コストが最小となる、対象リンクのSOC制御スケジュールを決定する。
【0100】
なお、第3の実施の形態に係る経路探索装置の他の構成及び作用は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る経路探索装置によれば、空調を駆動させることによる放電量を更に考慮して、SOCを基準値以上にすると共に燃料消費コストを最小にするモータジェネレータのSOC制御スケジュールを決定しているため、燃料消費コストを最小とする経路をより精度よく探索することができる。
【0102】
なお、上記の実施の形態では、経路探索装置を車両に搭載した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、交通情報センター側の装置に、本発明を適用してもよい。この場合には、経路探索対象の車両から、出発地及び目的地を示すデータを、交通情報センター側の装置に送信し、経路探索結果を、車両へ送信するようにすればよい。
【0103】
また、リンク旅行時間及び渋滞長を、交通情報として取得する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、リンク旅行時間及び渋滞長の何れか一方を取得し、取得した一方の情報から、他方を算出するようにしてもよい。また、渋滞情報として渋滞長ではなく、渋滞時間を取得してもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 経路探索装置
14 位置計測部
16 コンピュータ
18 表示装置
20 交通情報収集部
22 自車情報取得部
24 道路ネットワークデータベース
26 走行状態算出部
28 経路探索部
30 燃料消費量算出部
32 充放電算出部
34 スケジュール決定部
36 コスト算出部
38 最小コスト経路選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段と、
前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段と、
前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段と、
前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段と、
を含む経路探索装置であって、
前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行う
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記動作スケジュール決定手段は、前記出発地から前記目的地までの平均的な高度変化及び実際の高度変化について高度が一致する地点が、前記経路上の前記候補ノードを含む所定範囲内に存在する場合、前記決定された前記候補ノードまでの前記動作スケジュールを確定する請求項1記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、各リンクの前記渋滞情報として、前記リンクの渋滞長もしくは前記リンクの渋滞区間の通過時間を取得し、
前記動作スケジュール決定手段は、前記候補ノードまでのリンクに、渋滞区間を含むリンクが含まれる場合、前記渋滞長もしくは前記通過時間から求められる渋滞区間での発進回数と、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、前記渋滞区間の通過に必要な前記トルクアシスト動作による放電量を算出して、前記候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を算出する請求項1又は2記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記情報取得手段は、各リンクの前記渋滞情報として、前記リンクの渋滞長もしくは前記リンクの渋滞区間の通過時間を取得し、
前記燃料消費算出手段は、リンクに渋滞区間が含まれる場合、前記渋滞長もしくは前記通過時間から求められる渋滞区間での発進回数に基づいて、前記発進回数による加速分の前記内燃機関の燃料消費量を算出して、前記リンクの前記内燃機関による燃料消費量を算出する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の経路探索装置。
【請求項5】
道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段を備えたコンピュータを、
前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段、
前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段、及び
前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段
として機能させるためのプログラムであって、
前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
渋滞区間の通過時間を取得する渋滞区間通過時間取得手段と、
前記渋滞区間に設置されている信号の表示変更周期と、前記通過時間とから、渋滞区間の発進回数を予測する発進回数予測手段と、
を含む発進回数予測装置。
【請求項7】
請求項6記載の発進回数予測装置と、
前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数により、渋滞区間を走行する場合における燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段と、
を含む燃料消費量算出装置。
【請求項8】
請求項6記載の発進回数予測装置と、
前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数と、車両の内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、前記渋滞区間の通過に必要な前記トルクアシスト動作による放電量を算出し、前記モータジェネレータの動作スケジュールを、前記渋滞区間までの前記モータジェネレータの充電状態量を、前記算出された放電量以上にするように決定するスケジュール決定手段と、
を含む動作スケジュール決定装置。
【請求項1】
道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段と、
前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段と、
前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段と、
前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段と、
を含む経路探索装置であって、
前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行う
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記動作スケジュール決定手段は、前記出発地から前記目的地までの平均的な高度変化及び実際の高度変化について高度が一致する地点が、前記経路上の前記候補ノードを含む所定範囲内に存在する場合、前記決定された前記候補ノードまでの前記動作スケジュールを確定する請求項1記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、各リンクの前記渋滞情報として、前記リンクの渋滞長もしくは前記リンクの渋滞区間の通過時間を取得し、
前記動作スケジュール決定手段は、前記候補ノードまでのリンクに、渋滞区間を含むリンクが含まれる場合、前記渋滞長もしくは前記通過時間から求められる渋滞区間での発進回数と、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、前記渋滞区間の通過に必要な前記トルクアシスト動作による放電量を算出して、前記候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を算出する請求項1又は2記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記情報取得手段は、各リンクの前記渋滞情報として、前記リンクの渋滞長もしくは前記リンクの渋滞区間の通過時間を取得し、
前記燃料消費算出手段は、リンクに渋滞区間が含まれる場合、前記渋滞長もしくは前記通過時間から求められる渋滞区間での発進回数に基づいて、前記発進回数による加速分の前記内燃機関の燃料消費量を算出して、前記リンクの前記内燃機関による燃料消費量を算出する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の経路探索装置。
【請求項5】
道路ネットワークデータと、道路ネットワーク上の各リンクのリンク長及び高度変化とを記憶した道路情報記憶手段を備えたコンピュータを、
前記道路ネットワーク上の各リンクの旅行時間又は渋滞情報を取得する情報取得手段、
前記道路ネットワーク上の各リンクのリンク長と前記旅行時間又は渋滞情報とに基づいて、車両の内燃機関による燃料消費量をリンク毎に算出する燃料消費算出手段、及び
前記車両の出発地からの経路の終端ノードに接続される候補ノードの各々について、前記内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの該候補ノードまでのリンク毎の動作スケジュールに従って、前記高度変化から得られる位置エネルギーに基づく充電動作による充電量、及び前記トルクアシスト動作による放電量から算出される、該候補ノードにおける前記モータジェネレータの充電状態量を基準値以上にすると共に、前記算出されたリンク毎の前記内燃機関による燃料消費量と前記トルクアシスト動作に基づくリンク毎の燃料消費削減量とから得られる、前記出発地から該候補ノードまでの燃料消費コストを最小にする該候補ノードまでの前記動作スケジュールを決定し、前記決定された該候補ノードまでの前記動作スケジュールに対応する該候補ノードまでの燃料消費コストを算出する、処理を行う動作スケジュール決定手段
として機能させるためのプログラムであって、
前記動作スケジュール決定手段は、前記処理を行う毎に、前記算出された前記燃料消費コストが最小となる前記候補ノードまでの経路を選択し、前記選択した前記経路の終端ノードが前記車両の目的地に到達するまで、前記選択した経路に対して前記処理を繰り返し行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
渋滞区間の通過時間を取得する渋滞区間通過時間取得手段と、
前記渋滞区間に設置されている信号の表示変更周期と、前記通過時間とから、渋滞区間の発進回数を予測する発進回数予測手段と、
を含む発進回数予測装置。
【請求項7】
請求項6記載の発進回数予測装置と、
前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数により、渋滞区間を走行する場合における燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段と、
を含む燃料消費量算出装置。
【請求項8】
請求項6記載の発進回数予測装置と、
前記発進回数予測装置によって予測された前記発進回数と、車両の内燃機関の出力軸に設けられ、かつ、充電動作及びトルクアシスト動作を行うモータジェネレータの、予め定められた1回の発進に必要な前記トルクアシスト動作による放電量とから、前記渋滞区間の通過に必要な前記トルクアシスト動作による放電量を算出し、前記モータジェネレータの動作スケジュールを、前記渋滞区間までの前記モータジェネレータの充電状態量を、前記算出された放電量以上にするように決定するスケジュール決定手段と、
を含む動作スケジュール決定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−27472(P2011−27472A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171385(P2009−171385)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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