結晶化方法
【課題】従来技術に従った方法の欠点を取り除く結晶化方法を提供すること。
【解決手段】材料を結晶化させるために、非晶質または多結晶材料の薄層(3)が、基板(1)の上部(2)の表面の少なくとも1つの領域上に堆積される。次いで、金属層(4)が薄層(3)の少なくとも1つの領域上に堆積される。次いで、熱処理(F2)が、薄層(3)の材料の結晶成長を可能にするように行われて、
・液体または過溶融液体状態が達成されるまでの、基板(1)の上部(2)の急速な温度上昇、および、
・基板(1)の上部(2)と薄層(3)の間の界面から薄層(3)と金属層(4)の間の界面への熱伝達、をもたらす。
【解決手段】材料を結晶化させるために、非晶質または多結晶材料の薄層(3)が、基板(1)の上部(2)の表面の少なくとも1つの領域上に堆積される。次いで、金属層(4)が薄層(3)の少なくとも1つの領域上に堆積される。次いで、熱処理(F2)が、薄層(3)の材料の結晶成長を可能にするように行われて、
・液体または過溶融液体状態が達成されるまでの、基板(1)の上部(2)の急速な温度上昇、および、
・基板(1)の上部(2)と薄層(3)の間の界面から薄層(3)と金属層(4)の間の界面への熱伝達、をもたらす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の結晶化方法、すなわち、蒸気相からの材料の結晶化、溶融浴からの結晶化または溶液からの結晶化が存在している。これらの場合、液体−固体遷移または蒸気−固体遷移が起こるとき、冷却によって結晶が現れる。
【0003】
具体的には、単結晶形をした結晶化材料は単結晶シードからの成長によって得られることがある。例えば、単結晶シリコン・インゴットは、弱過熱シリコン浴の表面に単結晶シードを浸けることおよびこのシードを連続的な速度で引っ張ることにあるチョクラルスキ法によって、得られることがある。単結晶シリコン・インゴットが得られるまで、凝固が起こってシードの結晶格子を再現する。単結晶シリコンの融点よりも高い融点を有する材料で形成されなければならないるつぼの中に、シリコン浴が含まれる。例えば、るつぼは、シリカまたは窒化硼素から作られる。しかし、単結晶の融点が高ければ高いほど、結晶体積はそれだけ大きくなり、るつぼのコストはいっそう法外に高くなる。さらに、結晶の成長中、液体浴は融点に保たれなければならず、このことは、大きなエネルギー入力および制御を長期間にわたって必要とする。最後に、現在の結晶化方法は、大きな表面の結晶を生成するのに適していない。
【0004】
さらに、チョクラルスキ法で得られる単結晶シリコン・インゴットの場合には、インゴットは、ウェーハの形で使用することができる前にある数の追加のステップにかけられなければならない。したがって、インゴットは、検査され、切断され、研磨され、洗浄されるなどされなければならない。しかし、これらの処理は、材料の損失をもたらし、単結晶シリコンの表面の物理特性に悪影響を与える。したがって、マイクロエレクトロニクスの分野では、検査の完了のすぐ後で、単結晶シリコンウェーハは、自動化された対応で持ち上げ取り扱うことを可能にするように100μmを超える厚さを有している。しかし、マイクロエレクトロニクス・デバイスを製造するために使用される厚さは、全ウェーハ厚さの非常に小さな部分に過ぎない。この種の単結晶の結晶化方法は、ナノメートルの厚さを実現するのに適していない。
【0005】
多結晶薄膜は、非晶質層の液相か固相かのどちらかから結晶化によって得られることがある。
【0006】
例えば、基板例えばガラス基板に堆積された非晶質シリコン層の多結晶の形での結晶化は、パルス・レーザ・ビーム、主にエキシマ・レーザを使用して行われることがある。この場合、結晶化は、液相状態の経過の後に、すなわち液体手段を介して達成される。レーザ・エネルギーは、実際は、結晶化されるべき層によって局部的に吸収され、このことは材料が高温に加熱されることを可能にするが、基板は比較的低温のままである。そのとき、多結晶は、溶融−凝固サイクル中に現れる。SLG(超沿面成長を意味する)と呼ばれる成長が起こるとき、露出されレーザによって加熱される領域の結晶化は前記領域の外側部分で始まり、前記部分は、レーザ・ビームによって加熱される領域の中で最も速く冷える部分である。
【0007】
この液相結晶化技術で得られる結晶粒の最大寸法は、結晶化されるべき層の厚さの約5から10倍である。しかし、その層は、一般に、数百ナノメートルの厚さを有する。したがって、この技術は、一般に、非常に薄い層に適用される。さらに、この技術は、大きな表面を均質に結晶化させるために実施し難い技術である。
【0008】
この欠点を取り除くために、例えば、日本特許出願JP−A−61068385は、結晶化されるべきシリコンの薄層を構造シリカの中間層上に堆積させることを提案している。米国特許出願US−A−2005142708では、結晶化されるべき層の厚さにより均質な結晶粒を得るために、中間シリカ層の下に配列された金属層を使用してレーザ・ビーム光を反射することが提案された。しかし、今日まで、レーザを使用する液相結晶化は、100nm未満の厚さを有する層について、せいぜい約1マイクロメートルの結晶粒サイズを有する多結晶を生成するに過ぎない。
【0009】
他の技術は、固相状態で、すなわち液体状態を経ることなしに、材料を結晶化させることにある。SPCとも呼ばれる固相結晶化は、一般に、従来の熱アニールによって達成される。したがって、基板上に堆積された非晶質層によって形成された積層は、温度および結晶化されるべき材料の種類に依存して数分から数時間に及ぶ期間の間ずっと行われるアニールにかけられる。さらに、結晶化されるべき材料および基板は同じ温度に加熱され、この温度は、従来から基板のガラス遷移または溶融温度よりも下に保たれる。
【0010】
固相結晶化は、また、微結晶の発生を容易にする材料を堆積させることによって強められることがある。金属誘起結晶化すなわちMICと呼ばれるそのような技術は、固相で結晶化される非晶質シリコン薄層の結晶粒サイズの制御された調整を行う米国特許出願US−A−5994164に記載されている。したがって、熱処理が従来の炉の中で、例えば約600℃で10分以下、行われる前に、パラジウムまたはニッケルのような触媒元素が、結晶化されるべき層の結晶粒サイズを制御するように前記層の上に配列される。
【0011】
米国特許出願US−A−5994164は、また、結晶粒サイズを制御する代替解決策について言及している。この代替解決策は、RTAとも呼ばれる急速熱アニールを行うことにある。急速熱アニールは、基板上の層の結晶化時間が相当に減少されることを可能にする。しかし、RTA技術は、多数のシードが生成されるために、結果として、従来の熱アニールよりも遥かに欠陥の少ない小さな結晶粒を生じさせる。
【0012】
しかし、MIC技術に従ってまたはRTA技術に従って米国特許出願US−A−5994164で使用されたガラス基板は、僅かに変形される。さらに、米国特許出願US−A−5994164は、基板と結晶化されるべき層の間に中間層を堆積させることにある他の解決策を推奨し、この中間層のガラス遷移温度は、結晶化されるべき層の固相結晶化温度よりも低くて、前記層の結晶化によって誘起された歪みの緩和を可能にし、基板の変形を防ぐ。
【0013】
反応性マグネトロン・スパッタリングによって、またはプラズマ増速化学気相成長(PECVD)によって基板上に材料を堆積させる方法もあり、基板上の材料の部分的な結晶化を可能にする。しかし、これらの堆積技術では、得られる結晶粒サイズは、1マイクロメートルよりも小さく、要求される用途にとって最適な熱的、光学的および電子的な特性を必ずしも材料に与えない。例えば、「Deposition of microcrystalline silicon:Direct evidence for hydrogen−induced surface mobility of Si adspecies」(Journal of Applied Physics、2001年1月、Vol.89、No.2、1463〜1469頁)の論文の中で、J.E.Gerbi等は、加熱されないガラス基板上に熱蒸着されたクロム膜上への水素添加微結晶シリコン膜の反応性マグネトロン・スパッタリングによる堆積を調べている。微結晶シリコン膜の形成は、高水素分圧および150℃から300℃の間に含まれる基板温度の場合に達成される。
【特許文献1】日本特許出願JP−A−61068385
【特許文献2】米国特許出願US−A−2005142708
【特許文献3】米国特許出願US−A−5994164
【非特許文献1】J.E.Gerbi等、「Deposition of microcrystalline silicon:Direct evidence for hydrogen−induced surface mobility of Si adspecies」、Journal of Applied Physics、2001年1月、Vol.89、No.2、1463〜1469頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、従来技術に従った方法の欠点を取り除く結晶化方法を提供することである。本発明の特別な目的は、例えば約100ナノメートルの小さな厚さで非常に大きな表面の結晶化された材料を、前記表面の全体にわたって均質な特性で得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従って、この目的は、添付の特許請求の範囲によって達成される。
【0016】
具体的には、以下のステップ、すなわち、
a)非晶質または多結晶材料の少なくとも1つの薄層を、基板の上部の表面の少なくとも1つの領域上に堆積させるステップと、
b)1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる厚さを有する少なくとも1つの金属層を前記薄層の領域上に堆積させるステップであって、基板の上部が、ステップb)の後で液体または過溶融液体状態に変化することができる非晶質材料で形成されているステップと、
c)薄層の材料の結晶成長を可能にし、同時に、
・基板の上部の材料が液体または過溶融液体状態になるまでの、毎秒100Kを超える速度の基板の上部の温度上昇、および、
・基板の上部と薄層の間の界面から薄層と金属層の間の界面への熱伝達、を引き起こす熱処理するステップと、を含む固相結晶化方法によって、この目的は達成される。
【0017】
本発明の成果に従って、ステップc)は、基板の上部の吸収波長範囲および結晶化されるべき薄層の非晶質または多結晶材料の透過波長範囲に相当する放射波長範囲を示す連続またはパルス・レーザ・ビームを当てることによって行われる。
【0018】
他の有利点および特徴は、ただ単に限定しない例の目的として与えられ添付の図面に表される本発明の特定の実施形態についての以下の説明からいっそうはっきりと明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
結晶化方法は、例えば単結晶形で結晶化されるように設計された非晶質または多結晶材料から作られた少なくとも1つの薄層を、基板の上部の表面の少なくとも1つの領域上に堆積させるステップを含む。この薄層堆積ステップの後に、非晶質または多結晶材料の前記薄層の領域上に少なくとも1つの金属層を堆積させるステップが続く。金属層は、1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる厚さを有している。次いで、熱処理ステップが行われる。ある条件の下では、還元性、不活性または酸化性雰囲気が、熱処理のために与えられることがある。
【0020】
さらに、基板の上部は、結晶化されるべき材料と異なる材料で形成される。さらに、基板の上部の材料は、熱処理よりも前に非晶質であり、液体または過溶融液体状態に変化することができる。
【0021】
基板の上部は、例えば、
・ガラス、例えば酸化物ベース(酸化シリコン(SiO2)、硼珪酸塩ベース(B2O3SiO2))およびカルコゲニド・ベースのガラス(As2Se3のような)、またはアルミナ(Al2O3)、その他のようなセラミックス、または、
・ポリカーボネートのような非結晶重合体、のような非晶質材料によって、熱処理ステップよりも前に形成される。この場合、前記非晶質材料は、ガラス遷移現象にかけられることがある。
【0022】
ガラスの場合、体積比熱などの熱力学量の変化についての調査は、安定な液相から冷却が起こるとき、粘度が高すぎるか冷却が速すぎると、結晶化が起こる時間がなくて過溶融液が得られる観察がされることを可能にする。過溶融液が得られる温度ゾーンは、ガラス遷移ゾーンに相当する。さらに、冷却が継続される場合、この液体の粘度は非常に高くなり、過溶融液はほとんど固体になる。しかし、粘度が1013ポイズに達したとき、剛性が局部的な微小移動を妨げ、調査された量の傾きの変化が観察される。この変化が起こる温度は、材料のガラス遷移温度(Tg)に相当する。したがって、ガラス遷移温度よりも低い温度では、材料は、液体の構造不規則を持った固体であると言われるが、融点より上では、材料は液体状態であると言われる。ガラス遷移ゾーンによって意味されるものは、前記材料の融点とガラス遷移温度とによって括られる温度範囲である。このガラス遷移ゾーンは、材料の固体状態から液体状態への変化に相当する。遷移ゾーンまたはガラス遷移ゾーンと呼ばれるこの温度ゾーンでは、材料は、過溶融液体状態にあると考えられる。
【0023】
基板の上部は、ガラスまたは非結晶重合体から作られるのではなく、熱処理ステップよりも前に非晶質である金属(例えば、Fe、Cu、Ti、その他)または金属合金(例えば、ステンレス鋼)によって形成されることがある。この場合、遷移ゾーンは、基板の上部を構成する材料の融点に相当する。
【0024】
さらに、基板の上部を構成する材料は、結晶化されるべき薄層を構成するものと同じ材料であることがあり、そのとき好ましくは、これら2つの材料は異なる構造状態を示す。例えば、基板の上部を構成する材料は非晶質形であることがあるが、結晶化されるべき薄層を構成するものは多結晶形であることがある。しかし、基板の上部の材料は、有利なことには、結晶化されるべき非晶質または多結晶材料と異なっている。
【0025】
したがって、本発明に従った結晶化方法では、熱処理ステップは、有利なことには結晶化されるべき薄層を直接加熱することなしに、基板の上部の温度の非常に急速な上昇を引き起こすように設計される。ヒート・ランプ(heat ramp)とも呼ばれるこの温度上昇は、毎秒100Kを超える速度で起こり、基板の上部が遷移ゾーンに達するまで行われる。したがって、この温度上昇は、基板の上部が、液体状態または過溶融液体状態に変わるまで行われる。
【0026】
有利なことには、熱処理は偏光レーザ・ビームを使用して行われ、そのレーザ・ビームのエネルギーは、基板の上部で吸収される。他方で、液相結晶化方法と違って、本発明の範囲内では、レーザ・ビームは、結晶化されるべき薄層を直接加熱せず、基板の上部を加熱する。したがって、結晶化されるべき薄層は、液相状態にならず、固体状態のままである。したがって、有利なことにはレーザ・ビームを使用するが、本結晶化方法は、固相結晶化方法である。
【0027】
レーザ・ビームの熱入力は、実際、基板の上部が固体状態から液体または過溶融液体状態になるのに十分である。有利なことには、熱フラックスが最初に基板の上部と結晶化されるべき薄層との間でできるだけ強烈であるように、他方で結晶化されるべき薄層は「低温」のままである。言い換えると、結晶化されるべき薄層は、レーザ・ビームによって放射されるエネルギーをほとんど吸収しない。
【0028】
結晶化されるべき薄層を直接加熱することなしに基板の上部の急速な温度上昇を得るために、熱処理ステップで使用されるレーザ・ビームは、有利なことには、
・基板の上部の吸収波長範囲、および、
・結晶化されるべき非晶質または多結晶材料の透過波長範囲、に相当する放射波長範囲を示す。
【0029】
さらに、レーザ・ビームは、また、連続またはパルスであってもよく、またCO2またはYAGレーザであってもよい。
【0030】
さらに、熱処理ステップは、同時に、基板の上部が液または過溶融液相になるようにし、かつ前記層の基板との界面から結晶化されるべき薄層を通して前記層の金属層との界面への熱伝達を引き起こさなければならない。
【0031】
しかし、できるだけ強烈な熱フラックスを得るために、有利なことには、レーザ・ビームの放射波長範囲において基板の上部の吸収係数は、結晶化されるべき薄層の吸収係数の3倍である。
【0032】
驚いたことに、基板の上部から結晶化されるべき薄層を通した熱の熱伝達は、結晶化されるべき薄層の歪みを引き起こすことが、分かった。サーマル・ランプ(thermal ramp)が急であれば急であるほど、基板と層の間の瞬時温度差が大きければ大きいほど、この歪みは、ますます強烈である。さらに、初期歪みのこの再分布は、結晶化を熱力学的に強める。というのは、そのとき結晶化されるべき薄層のモル体積の減少があり、この減少は、結晶相のモル体積の方へ進むからである。
【0033】
熱フラックスは、「固体状態での」結晶成長が継続することができるように維持されなければならない。このために、基板の上部からの熱および結晶化エンタルピが、結晶化している薄層の表面から取り除かれることが可能でなければならない。この熱除去は、金属層によって放射の対応で行われる。
【0034】
温度が下がるとき、基板の過溶融領域は、固体状態になる前に、結晶化層の高密度化に順応する。
【0035】
図1から7に表された第1の実施形態に従って、材料の結晶化は、例えば非晶質にされてガラス遷移現象を示す結晶材料によって形成された基板1から得られる。基板1は、特に、基板1内に非晶質上部2を形成するように処理される。図2において、矢印F1は処理ステップを表し、これによって、基板1の上部2は非晶質にされる。例えば、基板1の上部2は、研磨によって、またはイオン打ち込みによって非晶質にされることがある。
【0036】
図4に例示されるように、次いで、結晶化されるべき材料によって形成された薄層3が、基板1の上部2の自由表面上に堆積される。基板の上部の自由表面は、薄層3が堆積される前に前もって洗浄されることがある。さらに、図4において、薄層3は、基板1の上部2の自由表面の全体に堆積される。
【0037】
結晶化されるべき材料は、具体的には、非晶質または多結晶の形で堆積される。結晶化されるべき材料は、固相で結晶化させることができる限りで、どんな型であってもよい。例えば、結晶化されるべき材料は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素(AsGa)、ガリウムインジウム砒素(InGaAs)、またはインジウムアンチモン(InSb)のような半伝導性材料である。また、結晶化されるべき材料は、酸化物、例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化硼素(B2O3)、酸化チタン(TiO2)、または酸化タンタル(Ta2O5)のような絶縁性材料であってもよく、またはセレン化砒素(As2Se3)であってもよい。
【0038】
さらに、薄層3の堆積は、知られているどんな型で実現されてもよい。例えば、薄層3は、イオン銃かマグネトロンによって支援された、または支援されない蒸着またはスパッタリングによって堆積されることがある。
【0039】
次いで、図5に表されるように、金属層4が、薄層3の自由表面の領域に堆積される。前記金属層4の厚さは、1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる。金属層の厚さが非常に小さいとき、例えば約1nmのとき、金属層を複数の凝集体の形以外であるようにすることはできない。
【0040】
金属層4は、特に、触媒作用で使用される金属(Ni、Pd、Pt)のような金属によって形成されるが、それだけではない。金属層4は、また、Cu、Ag、Cr、Au、Fe、その他から選ばれることがある。さらに、金属層4は、純粋な金属、金属合金または金属の混合物(Ni+Cr、Ni+Au、その他)によって形成されることがある。特権を与えられた実施形態では、金属層4は連続的でなく、金属の凝集体によって形成される。全ての実施形態において、金属層4は、基板の全表面に、または結晶化が求められる領域だけに配列されることがある。凝集体によって形成される金属層の厚さは、1と20nmの間に、有利なことには3と10nmの間に含まれる連続層の厚さに質量が等しい厚さである。
【0041】
さらに、文献US−A−5994164の教示と違って、本発明の範囲内では、金属層4は、結晶粒サイズの制御された調整を行うための触媒として作用するように設計されない。本発明に従って固相結晶化が得られることを可能にするのは、有利なことには結晶化されるべき薄層を直接加熱することなしに基板の上部が液体または過溶融液体状態になることを可能にする特別な熱処理と、好ましくは凝集体の形の前記金属層との結合である。具体的には、金属層4は、結晶化されるべき薄層に存在する熱を除去するためのヒートシンクとして作用する。すなわち、金属層4は、結晶化されるべき薄層から生じる熱を放射の対応で除去するという目的を果たす。この金属層が無ければ、結晶化されるべき層は液体状態になり、本方法はもはや「固相」方法でない。金属層が凝集体で形成される特権を与えられた事例では、放射熱の放射は、結晶化されるべき層との相互作用で金属凝集体によって行われる。
【0042】
次いで、図6および7に表されるように、いったん薄層3および金属層4が堆積されると、基板1、薄層3および金属層4によって形成された組立体は、熱処理にかけられる。熱処理は、基板1の上部2に熱を供給して、基板1の上部2に、より一般的には基板1に急速な温度上昇を引き起こすように設計される。したがって、基板1の上部2の温度は、少なくともガラス遷移ゾーンまで上昇し、その結果、前記上部2は少なくとも過溶融液体状態になる。基板の上部2の温度上昇は、100K/秒を超える速度で急速でなければならない。
【0043】
そのような温度上昇は、例えば、連続またはパルス・レーザ・ビームを金属層4および薄層3を通して基板1の上部2に相互作用させることによって、得られることがある。この場合、レーザ・ビームの放射波長範囲は、基板1の上部2の吸収波長範囲に相当する。それために、レーザ・ビーム放射は、基板1の上部2によって部分的に、または完全に吸収される。他方で、レーザ・ビーム放射波長範囲は、また、薄層3の透過波長範囲に相当する。薄層3はレーザ・ビーム波長を吸収しないか、ほとんど吸収しないので、薄層3は直接加熱されない。図5において、レーザ・ビームは、矢印F2で表され、基板1の上部2に到達する前に金属層4および薄層3を通過するように当てられる。
【0044】
例えば、シリカから作られた上部2およびゲルマニウムから作られた結晶化されるべき薄層3の場合には、レーザ・ビームは、10.6μmで放射するCO2レーザであってもよい。他の例に従って、金属上部2およびシリコンから作られた結晶化されるべき薄層3の場合には、レーザ・ビームは、CO2レーザまたは1.064μmで放射するYAGレーザであってもよい。この波長で、非晶質シリコンは金属に比べてほとんど吸収しない(数100cm−1)。
【0045】
したがって、熱処理中に、基板の上部2は固体状態から過溶融液体状態になり、熱伝達によって薄層3の領域5の結晶化を可能にする。領域5は、金属層4の下に配列された薄層3の領域に相当するが、金属薄層によって覆われていない薄層3の残りは結晶化されない(図7)。さらに、金属層4が、結晶化されるべき薄層3の全体を覆っている場合には、薄層3は全て結晶化されることがある。
【0046】
例の目的のために、図8は、図1から7に表された実施形態において、基板1の上部2に加えられる温度サイクルを時間に対して表している。基板1の上部2の温度は、薄層3の堆積中、例えば一定のままであり、次いで、熱処理ステップ中に急速に上昇する。基板1の上部2の温度上昇は、例えば直線的であり、基板1の上部2の材料のガラス遷移温度を超えるようになる。
【0047】
基板1の上部2は、その材料が液体または過溶融液体状態になることができる限りで、非晶質か熱処理によって非晶質になることができるかのどちらかの任意の型の固体材料から作られてもよい。したがって、基板1の上部2または基板1の全体さえも、本結晶化方法の前には、非晶質であることがある。基板または少なくとも基板の上部は、例えば、非晶質酸化物、非晶質半伝導性材料または元素のようなガラスによって、または非結晶重合体によって形成されることがある。図1から7で表される実施形態によって例示されるように、基板の上部または基板の全体さえも、この方法の始めに結晶形であることもある。この場合、熱処理が加えられる前に、基板の上部または基板の全体は、少なくとも上部が非晶質形で得られることを可能にする処理にかけられることがある。それによって、基板の上部または基板の全体は、結晶化されるべき薄層3の堆積前に、金属4の堆積前または後に、非晶質にされることがある。
【0048】
したがって、図9から12に表された代替実施形態に例示されるように、基板1は、薄層3の堆積中、結晶のままであることがある。次いで、図11に矢印F1で例示される処理が、薄層3の堆積後で熱処理前に行われることがある。この処理は、非晶質の上部2が得られることを可能にする。最後に、たとえ基板1または少なくとも基板1の上部2が薄層3の堆積前に非晶質形であっても、基板または基板1の前記上部2は、熱処理前に、歪んだ表面状態を強化するための適切な処理を受けることができる。そのような処理は、薄層3の堆積前または後に行われることがある。この処理は、例えば、
・研磨または砂研磨のような機械的処理、
・硬化が後に続く溶融のような熱処理、
・蒸着またはイオン打ち込みのような物理化学処理、であることがある。
【0049】
図13から16に例示される他の実施形態では、例えば単結晶形で結晶化されるべき異なる材料によってそれぞれ形成されるいくつかの薄層が、基板1の上部2の表面上に連続して堆積される。例えば、図13では、2つの重ねられた薄層を得るために、結晶化されるべき薄層3の上に追加の薄層6が堆積される。次いで、金属層4が、追加の薄層6の領域上に堆積される。次いで、基板1、2つの重ねられた薄層6、3、および金属層4で形成される組立体は、薄層3の材料だけでなく追加の薄層6の材料も結晶化させるために、熱処理を受ける(図15の矢印F2)。いったん熱処理が完了されると、そのとき、両方とも例えば単結晶形で結晶化された2つの重ねられた領域5および7が、金属層4の下の薄層3および6にそれぞれ得られる。
【0050】
本発明の特権を与えられた実施形態に従って、数ナノメートル、例えば5nmの厚さを有する追加の酸化物、例えば酸化シリコンの堆積を行うことが有利である。この追加の酸化物層(図示されない)は、金属層4の下に配列される。追加の酸化物層は、ちょうど下にある結晶化されるべき非晶質層の固体結晶化現象を強める。
【0051】
それによって、単一熱処理ステップによって異なる結晶材料から作られた複数の重ねられた薄層を結晶化させることができる。そのような実施形態は、また、直列モード結晶化とも呼ばれ、特にヘテロ構造を生成するために使用されることがある。結晶化は、金属層を含むことさえある。さらに、結晶化は金属層4の下および金属層4の周りで起こる。さらに、金属層4が追加の薄層6の自由表面の全体を覆う場合には、層3および6は全て結晶化されることがある。
【0052】
図17から20に表される代替実施形態では、熱処理前に、複数の薄層が、基板1の上部2の表面の複数の領域上に堆積されることがある。したがって、図17において、上部2の表面は、例えば単結晶形で結晶化されるべき異なる材料によってそれぞれ形成された2つの隣接した薄層8および9によって、覆われている。次いで、有利なことには薄層8の部分および薄層9の部分を覆うために、1nmと20nmの間に含まれる厚さを有する金属層4が、その積層上に堆積される(図18)。次いで、金属層4の下に配列された薄層8および9のそれぞれの材料を同時に結晶化させるために、基板、2つの隣接した薄層8および9および金属層4で形成された組立体は、熱処理を受ける(図19の矢印F2)。いったん熱処理が完了されると、そのとき、金属層4の下に配列された薄層8および9のそれぞれの領域に相当する隣接した結晶化領域10および11が、薄層8および9に得られる。
【0053】
さらに、複数の隣接した薄層は、単一の熱処理ステップで結晶化されることがある。具体的には、2つの薄層8および9は、基板の上部2の表面に連続して堆積されることがある。したがって、第2の薄層9で覆われるべき領域を隠すマスクを通して、薄層8が、基板の上部2の表面の領域上に前もって堆積されることがある。次いで、既に堆積された薄層8を隠すマスクを通して、第2の薄層が基板の自由表面上に堆積される。そのような代替実施形態は、並列モード結晶化とも呼ばれ、全く同一の基板上にいくつかの材料の機能特徴を組み合わせるために特に適している。
【0054】
したがって、本発明に従った結晶化方法は、ナノメートルの厚さの材料が結晶化されることを可能にする。チョクラルスキ法と違って、非常に小さな厚さの結晶薄層が、例えば約100ナノメートルの厚さで、どんな追加の調整ステップも必要とされることなしに得られることがある。
【0055】
そのような方法は、さらに、非常に大きな有利なことには単結晶表面の結晶薄層が前記表面の全体にわたって均質な特性で得られることを可能にする。
【0056】
そのような方法は、るつぼを必要としないので比較的安価であり、さらに、結晶化に必要とされる熱入力が結晶化されるべき材料の融点に達する必要が無いので比較的小さな熱見積り量(thermal budget)を示す。
【0057】
最後に、結晶化された薄層は、既存の結晶化方法によって合成されたものと異なる物理特性を有する異なる結晶相であることがある。そのような生成方法は、ナノ技術の方法の分野で使用されることがあるが、また、エネルギー分野、具体的には光電池の分野で使用されることがある。
【0058】
例の目的のために、本結晶化方法を実現するデバイスは、
・連続レーザ・ビームを放射するCO2レーザ源、
・レーザ・ビーム・パワー制御および安定デバイス、
・結晶化されるべき薄層と前記基板上に前もって堆積された金属層とを備えた前記基板にレーザ・ビームを集束させるための集束レンズ、および、
・基板の全表面を熱的に処理することができるように前記基板またはレーザ・ビームを動かすためのデバイス、を備えることがある。
【0059】
基板は、例えば、約550℃のガラス温度および約1mmの厚さを有する平面画面ディスプレイ用のコーニングガラスである。結晶化されるべき薄層は、例えば、真空蒸着で堆積された非晶質シリコンから作られ、この薄層の厚さは500nmに等しく、蒸着が行われるときの基板の温度は400℃に等しい。5nmの厚さを有するシリカ層が、真空蒸着によって、非晶質シリコン層の上に堆積される。次いで、金の凝集体で形成された金属層が、シリコン酸化物層の上に堆積される。金属層は、5nmに等しい相当厚さを有する。これらの堆積全ては、同じ真空堆積装置の中で同じ基板温度で行われることがある。
【0060】
連続CO2レーザ・ビームは、基板の上部層の熱処理が行われることを可能にする。前記レーザの放射波長は約10.59μmであり、この波長は、このレーザの最も強烈な放射光線に相当する。この励起波長は、基板の上部層の吸収範囲に適しており、前記上部層の温度上昇が達成されることを可能にする。ガラス中で、全てのCO2レーザ・ビーム放射光線(9.2〜10.8μm)が、実際、使用されることがある。励起源のパワー安定性は、標準的であり、熱処理期間にわたって一般に約±3%である。さらに、どんなレーザ放射モードでも使用されることがあるが(ガウス、フラット、環状、その他)、安定でなければならない。有利なことには、レーザ放射モードはフラットである。最後に、熱処理を行うために必要なパワーは、レーザ・ビームの固有寸法および基板の非晶質上部層の物理特性(吸収、熱伝導率、その他)、および前記ビームの走査速度に依存する直線的なパワーである。1/eの直径が300μmであるガウス・レーザ・ビームの場合、結晶化を達成するための入射レーザ・パワーは、一般に、上で説明された実現デバイスとの相互作用において1cm/秒の速度で2ワットである。
【0061】
したがって、CO2レーザ・ビームの放射は、金属凝集体の層、非常に薄い酸化物層、結晶化されるべき薄層および基板によって形成された積層の前面に入射する。このレーザ・ビームは、基板で吸収され前記基板の急速な温度上昇を引き起こす前に金属層および結晶化されるべき薄層を通過し、その結果、ガラス遷移ゾーンの経過となり、これが、シリコンの薄層の結晶化を引き起こす。
【0062】
レーザ・パワー制御および安定デバイスは、好ましくは、いくつかの要素、すなわち後に偏光子が続く半波長板によって形成されることがあるレーザ・パワー調整装置、を備える。そのようなデバイスは、励起パワーが設定点に調整されることを可能にし、それによって、熱処理されるべき基板に加えられるパワーが調整されることを可能にする。このデバイスは、シャッタと、パワー設定点が実際に到達されたことを確かめるように設計されたレーザ・パワー測定デバイスとによって完成されることがある。そのデバイスは、アニール・レーザ・パワーの実時間安定化用のデバイスを含むことさえある、シャッタは、レーザ源自体の「オン−オフ」切換デバイスに置き換えられるかもしれない。
【0063】
集束レンズは、例えば、ZnSeから作られ、レーザ・ビーム放射波長でギラツキ防止であるように処理されることがある。このレンズの焦点距離は、結晶化されるべき薄層上の要求される焦点に調整されることがある。さらに、積層の表面の焦点の寸法は、ナイフ法と呼ばれる方法によって決定されることがある。また、このレンズは、走査方向に対して垂直な方向により広い光ビームを生成するように円柱状であることがある。これは、1つの通過ラインでより大きな基板表面がカバーされることを可能にする。
【0064】
本発明は、上で説明された実施形態に限定されない。基板1の上部2の表面は必ずしもフラットでない。この表面は、例えば、球面、凹面または凸面であることがあり、または穴領域および/または突出領域を含むことがある。さらに、前記表面は、液体または過溶融液体状態になるときパターン化されることがある。このパターン化は、様々な機械的方法、音響的方法、レーザ方法または他の方法によって引き起こされることがある。
【0065】
そのような結晶化方法は、電子デバイス(ダイオード、トランジスタ、...)、光学デバイス(ミラー、球面光学部品、その他)、光子デバイス(導波路、その他)などの結晶層を必要とするデバイスに応用されることがある。
【0066】
本結晶化方法は、実際、1ナノメートルから数百ナノメートルに及ぶ厚さを有する層の結晶化に本質的に好都合である。しかし、より厚い層を結晶化させるために、または新しい結晶相を得るために、基板から、結晶化されることになる非晶質層を通して表面金属層への熱伝達を容易にする手段として、基板、結晶化されるべき薄層および金属層によって形成される積層を最初に冷やすことが有利である可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図8】前記第1の実施形態中に、基板の上部に加えられる温度サイクルを時間に対して示す図である。
【図9】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図10】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図11】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図12】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図14】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図15】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図16】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図17】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図18】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図19】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図20】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の結晶化方法、すなわち、蒸気相からの材料の結晶化、溶融浴からの結晶化または溶液からの結晶化が存在している。これらの場合、液体−固体遷移または蒸気−固体遷移が起こるとき、冷却によって結晶が現れる。
【0003】
具体的には、単結晶形をした結晶化材料は単結晶シードからの成長によって得られることがある。例えば、単結晶シリコン・インゴットは、弱過熱シリコン浴の表面に単結晶シードを浸けることおよびこのシードを連続的な速度で引っ張ることにあるチョクラルスキ法によって、得られることがある。単結晶シリコン・インゴットが得られるまで、凝固が起こってシードの結晶格子を再現する。単結晶シリコンの融点よりも高い融点を有する材料で形成されなければならないるつぼの中に、シリコン浴が含まれる。例えば、るつぼは、シリカまたは窒化硼素から作られる。しかし、単結晶の融点が高ければ高いほど、結晶体積はそれだけ大きくなり、るつぼのコストはいっそう法外に高くなる。さらに、結晶の成長中、液体浴は融点に保たれなければならず、このことは、大きなエネルギー入力および制御を長期間にわたって必要とする。最後に、現在の結晶化方法は、大きな表面の結晶を生成するのに適していない。
【0004】
さらに、チョクラルスキ法で得られる単結晶シリコン・インゴットの場合には、インゴットは、ウェーハの形で使用することができる前にある数の追加のステップにかけられなければならない。したがって、インゴットは、検査され、切断され、研磨され、洗浄されるなどされなければならない。しかし、これらの処理は、材料の損失をもたらし、単結晶シリコンの表面の物理特性に悪影響を与える。したがって、マイクロエレクトロニクスの分野では、検査の完了のすぐ後で、単結晶シリコンウェーハは、自動化された対応で持ち上げ取り扱うことを可能にするように100μmを超える厚さを有している。しかし、マイクロエレクトロニクス・デバイスを製造するために使用される厚さは、全ウェーハ厚さの非常に小さな部分に過ぎない。この種の単結晶の結晶化方法は、ナノメートルの厚さを実現するのに適していない。
【0005】
多結晶薄膜は、非晶質層の液相か固相かのどちらかから結晶化によって得られることがある。
【0006】
例えば、基板例えばガラス基板に堆積された非晶質シリコン層の多結晶の形での結晶化は、パルス・レーザ・ビーム、主にエキシマ・レーザを使用して行われることがある。この場合、結晶化は、液相状態の経過の後に、すなわち液体手段を介して達成される。レーザ・エネルギーは、実際は、結晶化されるべき層によって局部的に吸収され、このことは材料が高温に加熱されることを可能にするが、基板は比較的低温のままである。そのとき、多結晶は、溶融−凝固サイクル中に現れる。SLG(超沿面成長を意味する)と呼ばれる成長が起こるとき、露出されレーザによって加熱される領域の結晶化は前記領域の外側部分で始まり、前記部分は、レーザ・ビームによって加熱される領域の中で最も速く冷える部分である。
【0007】
この液相結晶化技術で得られる結晶粒の最大寸法は、結晶化されるべき層の厚さの約5から10倍である。しかし、その層は、一般に、数百ナノメートルの厚さを有する。したがって、この技術は、一般に、非常に薄い層に適用される。さらに、この技術は、大きな表面を均質に結晶化させるために実施し難い技術である。
【0008】
この欠点を取り除くために、例えば、日本特許出願JP−A−61068385は、結晶化されるべきシリコンの薄層を構造シリカの中間層上に堆積させることを提案している。米国特許出願US−A−2005142708では、結晶化されるべき層の厚さにより均質な結晶粒を得るために、中間シリカ層の下に配列された金属層を使用してレーザ・ビーム光を反射することが提案された。しかし、今日まで、レーザを使用する液相結晶化は、100nm未満の厚さを有する層について、せいぜい約1マイクロメートルの結晶粒サイズを有する多結晶を生成するに過ぎない。
【0009】
他の技術は、固相状態で、すなわち液体状態を経ることなしに、材料を結晶化させることにある。SPCとも呼ばれる固相結晶化は、一般に、従来の熱アニールによって達成される。したがって、基板上に堆積された非晶質層によって形成された積層は、温度および結晶化されるべき材料の種類に依存して数分から数時間に及ぶ期間の間ずっと行われるアニールにかけられる。さらに、結晶化されるべき材料および基板は同じ温度に加熱され、この温度は、従来から基板のガラス遷移または溶融温度よりも下に保たれる。
【0010】
固相結晶化は、また、微結晶の発生を容易にする材料を堆積させることによって強められることがある。金属誘起結晶化すなわちMICと呼ばれるそのような技術は、固相で結晶化される非晶質シリコン薄層の結晶粒サイズの制御された調整を行う米国特許出願US−A−5994164に記載されている。したがって、熱処理が従来の炉の中で、例えば約600℃で10分以下、行われる前に、パラジウムまたはニッケルのような触媒元素が、結晶化されるべき層の結晶粒サイズを制御するように前記層の上に配列される。
【0011】
米国特許出願US−A−5994164は、また、結晶粒サイズを制御する代替解決策について言及している。この代替解決策は、RTAとも呼ばれる急速熱アニールを行うことにある。急速熱アニールは、基板上の層の結晶化時間が相当に減少されることを可能にする。しかし、RTA技術は、多数のシードが生成されるために、結果として、従来の熱アニールよりも遥かに欠陥の少ない小さな結晶粒を生じさせる。
【0012】
しかし、MIC技術に従ってまたはRTA技術に従って米国特許出願US−A−5994164で使用されたガラス基板は、僅かに変形される。さらに、米国特許出願US−A−5994164は、基板と結晶化されるべき層の間に中間層を堆積させることにある他の解決策を推奨し、この中間層のガラス遷移温度は、結晶化されるべき層の固相結晶化温度よりも低くて、前記層の結晶化によって誘起された歪みの緩和を可能にし、基板の変形を防ぐ。
【0013】
反応性マグネトロン・スパッタリングによって、またはプラズマ増速化学気相成長(PECVD)によって基板上に材料を堆積させる方法もあり、基板上の材料の部分的な結晶化を可能にする。しかし、これらの堆積技術では、得られる結晶粒サイズは、1マイクロメートルよりも小さく、要求される用途にとって最適な熱的、光学的および電子的な特性を必ずしも材料に与えない。例えば、「Deposition of microcrystalline silicon:Direct evidence for hydrogen−induced surface mobility of Si adspecies」(Journal of Applied Physics、2001年1月、Vol.89、No.2、1463〜1469頁)の論文の中で、J.E.Gerbi等は、加熱されないガラス基板上に熱蒸着されたクロム膜上への水素添加微結晶シリコン膜の反応性マグネトロン・スパッタリングによる堆積を調べている。微結晶シリコン膜の形成は、高水素分圧および150℃から300℃の間に含まれる基板温度の場合に達成される。
【特許文献1】日本特許出願JP−A−61068385
【特許文献2】米国特許出願US−A−2005142708
【特許文献3】米国特許出願US−A−5994164
【非特許文献1】J.E.Gerbi等、「Deposition of microcrystalline silicon:Direct evidence for hydrogen−induced surface mobility of Si adspecies」、Journal of Applied Physics、2001年1月、Vol.89、No.2、1463〜1469頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、従来技術に従った方法の欠点を取り除く結晶化方法を提供することである。本発明の特別な目的は、例えば約100ナノメートルの小さな厚さで非常に大きな表面の結晶化された材料を、前記表面の全体にわたって均質な特性で得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従って、この目的は、添付の特許請求の範囲によって達成される。
【0016】
具体的には、以下のステップ、すなわち、
a)非晶質または多結晶材料の少なくとも1つの薄層を、基板の上部の表面の少なくとも1つの領域上に堆積させるステップと、
b)1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる厚さを有する少なくとも1つの金属層を前記薄層の領域上に堆積させるステップであって、基板の上部が、ステップb)の後で液体または過溶融液体状態に変化することができる非晶質材料で形成されているステップと、
c)薄層の材料の結晶成長を可能にし、同時に、
・基板の上部の材料が液体または過溶融液体状態になるまでの、毎秒100Kを超える速度の基板の上部の温度上昇、および、
・基板の上部と薄層の間の界面から薄層と金属層の間の界面への熱伝達、を引き起こす熱処理するステップと、を含む固相結晶化方法によって、この目的は達成される。
【0017】
本発明の成果に従って、ステップc)は、基板の上部の吸収波長範囲および結晶化されるべき薄層の非晶質または多結晶材料の透過波長範囲に相当する放射波長範囲を示す連続またはパルス・レーザ・ビームを当てることによって行われる。
【0018】
他の有利点および特徴は、ただ単に限定しない例の目的として与えられ添付の図面に表される本発明の特定の実施形態についての以下の説明からいっそうはっきりと明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
結晶化方法は、例えば単結晶形で結晶化されるように設計された非晶質または多結晶材料から作られた少なくとも1つの薄層を、基板の上部の表面の少なくとも1つの領域上に堆積させるステップを含む。この薄層堆積ステップの後に、非晶質または多結晶材料の前記薄層の領域上に少なくとも1つの金属層を堆積させるステップが続く。金属層は、1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる厚さを有している。次いで、熱処理ステップが行われる。ある条件の下では、還元性、不活性または酸化性雰囲気が、熱処理のために与えられることがある。
【0020】
さらに、基板の上部は、結晶化されるべき材料と異なる材料で形成される。さらに、基板の上部の材料は、熱処理よりも前に非晶質であり、液体または過溶融液体状態に変化することができる。
【0021】
基板の上部は、例えば、
・ガラス、例えば酸化物ベース(酸化シリコン(SiO2)、硼珪酸塩ベース(B2O3SiO2))およびカルコゲニド・ベースのガラス(As2Se3のような)、またはアルミナ(Al2O3)、その他のようなセラミックス、または、
・ポリカーボネートのような非結晶重合体、のような非晶質材料によって、熱処理ステップよりも前に形成される。この場合、前記非晶質材料は、ガラス遷移現象にかけられることがある。
【0022】
ガラスの場合、体積比熱などの熱力学量の変化についての調査は、安定な液相から冷却が起こるとき、粘度が高すぎるか冷却が速すぎると、結晶化が起こる時間がなくて過溶融液が得られる観察がされることを可能にする。過溶融液が得られる温度ゾーンは、ガラス遷移ゾーンに相当する。さらに、冷却が継続される場合、この液体の粘度は非常に高くなり、過溶融液はほとんど固体になる。しかし、粘度が1013ポイズに達したとき、剛性が局部的な微小移動を妨げ、調査された量の傾きの変化が観察される。この変化が起こる温度は、材料のガラス遷移温度(Tg)に相当する。したがって、ガラス遷移温度よりも低い温度では、材料は、液体の構造不規則を持った固体であると言われるが、融点より上では、材料は液体状態であると言われる。ガラス遷移ゾーンによって意味されるものは、前記材料の融点とガラス遷移温度とによって括られる温度範囲である。このガラス遷移ゾーンは、材料の固体状態から液体状態への変化に相当する。遷移ゾーンまたはガラス遷移ゾーンと呼ばれるこの温度ゾーンでは、材料は、過溶融液体状態にあると考えられる。
【0023】
基板の上部は、ガラスまたは非結晶重合体から作られるのではなく、熱処理ステップよりも前に非晶質である金属(例えば、Fe、Cu、Ti、その他)または金属合金(例えば、ステンレス鋼)によって形成されることがある。この場合、遷移ゾーンは、基板の上部を構成する材料の融点に相当する。
【0024】
さらに、基板の上部を構成する材料は、結晶化されるべき薄層を構成するものと同じ材料であることがあり、そのとき好ましくは、これら2つの材料は異なる構造状態を示す。例えば、基板の上部を構成する材料は非晶質形であることがあるが、結晶化されるべき薄層を構成するものは多結晶形であることがある。しかし、基板の上部の材料は、有利なことには、結晶化されるべき非晶質または多結晶材料と異なっている。
【0025】
したがって、本発明に従った結晶化方法では、熱処理ステップは、有利なことには結晶化されるべき薄層を直接加熱することなしに、基板の上部の温度の非常に急速な上昇を引き起こすように設計される。ヒート・ランプ(heat ramp)とも呼ばれるこの温度上昇は、毎秒100Kを超える速度で起こり、基板の上部が遷移ゾーンに達するまで行われる。したがって、この温度上昇は、基板の上部が、液体状態または過溶融液体状態に変わるまで行われる。
【0026】
有利なことには、熱処理は偏光レーザ・ビームを使用して行われ、そのレーザ・ビームのエネルギーは、基板の上部で吸収される。他方で、液相結晶化方法と違って、本発明の範囲内では、レーザ・ビームは、結晶化されるべき薄層を直接加熱せず、基板の上部を加熱する。したがって、結晶化されるべき薄層は、液相状態にならず、固体状態のままである。したがって、有利なことにはレーザ・ビームを使用するが、本結晶化方法は、固相結晶化方法である。
【0027】
レーザ・ビームの熱入力は、実際、基板の上部が固体状態から液体または過溶融液体状態になるのに十分である。有利なことには、熱フラックスが最初に基板の上部と結晶化されるべき薄層との間でできるだけ強烈であるように、他方で結晶化されるべき薄層は「低温」のままである。言い換えると、結晶化されるべき薄層は、レーザ・ビームによって放射されるエネルギーをほとんど吸収しない。
【0028】
結晶化されるべき薄層を直接加熱することなしに基板の上部の急速な温度上昇を得るために、熱処理ステップで使用されるレーザ・ビームは、有利なことには、
・基板の上部の吸収波長範囲、および、
・結晶化されるべき非晶質または多結晶材料の透過波長範囲、に相当する放射波長範囲を示す。
【0029】
さらに、レーザ・ビームは、また、連続またはパルスであってもよく、またCO2またはYAGレーザであってもよい。
【0030】
さらに、熱処理ステップは、同時に、基板の上部が液または過溶融液相になるようにし、かつ前記層の基板との界面から結晶化されるべき薄層を通して前記層の金属層との界面への熱伝達を引き起こさなければならない。
【0031】
しかし、できるだけ強烈な熱フラックスを得るために、有利なことには、レーザ・ビームの放射波長範囲において基板の上部の吸収係数は、結晶化されるべき薄層の吸収係数の3倍である。
【0032】
驚いたことに、基板の上部から結晶化されるべき薄層を通した熱の熱伝達は、結晶化されるべき薄層の歪みを引き起こすことが、分かった。サーマル・ランプ(thermal ramp)が急であれば急であるほど、基板と層の間の瞬時温度差が大きければ大きいほど、この歪みは、ますます強烈である。さらに、初期歪みのこの再分布は、結晶化を熱力学的に強める。というのは、そのとき結晶化されるべき薄層のモル体積の減少があり、この減少は、結晶相のモル体積の方へ進むからである。
【0033】
熱フラックスは、「固体状態での」結晶成長が継続することができるように維持されなければならない。このために、基板の上部からの熱および結晶化エンタルピが、結晶化している薄層の表面から取り除かれることが可能でなければならない。この熱除去は、金属層によって放射の対応で行われる。
【0034】
温度が下がるとき、基板の過溶融領域は、固体状態になる前に、結晶化層の高密度化に順応する。
【0035】
図1から7に表された第1の実施形態に従って、材料の結晶化は、例えば非晶質にされてガラス遷移現象を示す結晶材料によって形成された基板1から得られる。基板1は、特に、基板1内に非晶質上部2を形成するように処理される。図2において、矢印F1は処理ステップを表し、これによって、基板1の上部2は非晶質にされる。例えば、基板1の上部2は、研磨によって、またはイオン打ち込みによって非晶質にされることがある。
【0036】
図4に例示されるように、次いで、結晶化されるべき材料によって形成された薄層3が、基板1の上部2の自由表面上に堆積される。基板の上部の自由表面は、薄層3が堆積される前に前もって洗浄されることがある。さらに、図4において、薄層3は、基板1の上部2の自由表面の全体に堆積される。
【0037】
結晶化されるべき材料は、具体的には、非晶質または多結晶の形で堆積される。結晶化されるべき材料は、固相で結晶化させることができる限りで、どんな型であってもよい。例えば、結晶化されるべき材料は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素(AsGa)、ガリウムインジウム砒素(InGaAs)、またはインジウムアンチモン(InSb)のような半伝導性材料である。また、結晶化されるべき材料は、酸化物、例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化硼素(B2O3)、酸化チタン(TiO2)、または酸化タンタル(Ta2O5)のような絶縁性材料であってもよく、またはセレン化砒素(As2Se3)であってもよい。
【0038】
さらに、薄層3の堆積は、知られているどんな型で実現されてもよい。例えば、薄層3は、イオン銃かマグネトロンによって支援された、または支援されない蒸着またはスパッタリングによって堆積されることがある。
【0039】
次いで、図5に表されるように、金属層4が、薄層3の自由表面の領域に堆積される。前記金属層4の厚さは、1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる。金属層の厚さが非常に小さいとき、例えば約1nmのとき、金属層を複数の凝集体の形以外であるようにすることはできない。
【0040】
金属層4は、特に、触媒作用で使用される金属(Ni、Pd、Pt)のような金属によって形成されるが、それだけではない。金属層4は、また、Cu、Ag、Cr、Au、Fe、その他から選ばれることがある。さらに、金属層4は、純粋な金属、金属合金または金属の混合物(Ni+Cr、Ni+Au、その他)によって形成されることがある。特権を与えられた実施形態では、金属層4は連続的でなく、金属の凝集体によって形成される。全ての実施形態において、金属層4は、基板の全表面に、または結晶化が求められる領域だけに配列されることがある。凝集体によって形成される金属層の厚さは、1と20nmの間に、有利なことには3と10nmの間に含まれる連続層の厚さに質量が等しい厚さである。
【0041】
さらに、文献US−A−5994164の教示と違って、本発明の範囲内では、金属層4は、結晶粒サイズの制御された調整を行うための触媒として作用するように設計されない。本発明に従って固相結晶化が得られることを可能にするのは、有利なことには結晶化されるべき薄層を直接加熱することなしに基板の上部が液体または過溶融液体状態になることを可能にする特別な熱処理と、好ましくは凝集体の形の前記金属層との結合である。具体的には、金属層4は、結晶化されるべき薄層に存在する熱を除去するためのヒートシンクとして作用する。すなわち、金属層4は、結晶化されるべき薄層から生じる熱を放射の対応で除去するという目的を果たす。この金属層が無ければ、結晶化されるべき層は液体状態になり、本方法はもはや「固相」方法でない。金属層が凝集体で形成される特権を与えられた事例では、放射熱の放射は、結晶化されるべき層との相互作用で金属凝集体によって行われる。
【0042】
次いで、図6および7に表されるように、いったん薄層3および金属層4が堆積されると、基板1、薄層3および金属層4によって形成された組立体は、熱処理にかけられる。熱処理は、基板1の上部2に熱を供給して、基板1の上部2に、より一般的には基板1に急速な温度上昇を引き起こすように設計される。したがって、基板1の上部2の温度は、少なくともガラス遷移ゾーンまで上昇し、その結果、前記上部2は少なくとも過溶融液体状態になる。基板の上部2の温度上昇は、100K/秒を超える速度で急速でなければならない。
【0043】
そのような温度上昇は、例えば、連続またはパルス・レーザ・ビームを金属層4および薄層3を通して基板1の上部2に相互作用させることによって、得られることがある。この場合、レーザ・ビームの放射波長範囲は、基板1の上部2の吸収波長範囲に相当する。それために、レーザ・ビーム放射は、基板1の上部2によって部分的に、または完全に吸収される。他方で、レーザ・ビーム放射波長範囲は、また、薄層3の透過波長範囲に相当する。薄層3はレーザ・ビーム波長を吸収しないか、ほとんど吸収しないので、薄層3は直接加熱されない。図5において、レーザ・ビームは、矢印F2で表され、基板1の上部2に到達する前に金属層4および薄層3を通過するように当てられる。
【0044】
例えば、シリカから作られた上部2およびゲルマニウムから作られた結晶化されるべき薄層3の場合には、レーザ・ビームは、10.6μmで放射するCO2レーザであってもよい。他の例に従って、金属上部2およびシリコンから作られた結晶化されるべき薄層3の場合には、レーザ・ビームは、CO2レーザまたは1.064μmで放射するYAGレーザであってもよい。この波長で、非晶質シリコンは金属に比べてほとんど吸収しない(数100cm−1)。
【0045】
したがって、熱処理中に、基板の上部2は固体状態から過溶融液体状態になり、熱伝達によって薄層3の領域5の結晶化を可能にする。領域5は、金属層4の下に配列された薄層3の領域に相当するが、金属薄層によって覆われていない薄層3の残りは結晶化されない(図7)。さらに、金属層4が、結晶化されるべき薄層3の全体を覆っている場合には、薄層3は全て結晶化されることがある。
【0046】
例の目的のために、図8は、図1から7に表された実施形態において、基板1の上部2に加えられる温度サイクルを時間に対して表している。基板1の上部2の温度は、薄層3の堆積中、例えば一定のままであり、次いで、熱処理ステップ中に急速に上昇する。基板1の上部2の温度上昇は、例えば直線的であり、基板1の上部2の材料のガラス遷移温度を超えるようになる。
【0047】
基板1の上部2は、その材料が液体または過溶融液体状態になることができる限りで、非晶質か熱処理によって非晶質になることができるかのどちらかの任意の型の固体材料から作られてもよい。したがって、基板1の上部2または基板1の全体さえも、本結晶化方法の前には、非晶質であることがある。基板または少なくとも基板の上部は、例えば、非晶質酸化物、非晶質半伝導性材料または元素のようなガラスによって、または非結晶重合体によって形成されることがある。図1から7で表される実施形態によって例示されるように、基板の上部または基板の全体さえも、この方法の始めに結晶形であることもある。この場合、熱処理が加えられる前に、基板の上部または基板の全体は、少なくとも上部が非晶質形で得られることを可能にする処理にかけられることがある。それによって、基板の上部または基板の全体は、結晶化されるべき薄層3の堆積前に、金属4の堆積前または後に、非晶質にされることがある。
【0048】
したがって、図9から12に表された代替実施形態に例示されるように、基板1は、薄層3の堆積中、結晶のままであることがある。次いで、図11に矢印F1で例示される処理が、薄層3の堆積後で熱処理前に行われることがある。この処理は、非晶質の上部2が得られることを可能にする。最後に、たとえ基板1または少なくとも基板1の上部2が薄層3の堆積前に非晶質形であっても、基板または基板1の前記上部2は、熱処理前に、歪んだ表面状態を強化するための適切な処理を受けることができる。そのような処理は、薄層3の堆積前または後に行われることがある。この処理は、例えば、
・研磨または砂研磨のような機械的処理、
・硬化が後に続く溶融のような熱処理、
・蒸着またはイオン打ち込みのような物理化学処理、であることがある。
【0049】
図13から16に例示される他の実施形態では、例えば単結晶形で結晶化されるべき異なる材料によってそれぞれ形成されるいくつかの薄層が、基板1の上部2の表面上に連続して堆積される。例えば、図13では、2つの重ねられた薄層を得るために、結晶化されるべき薄層3の上に追加の薄層6が堆積される。次いで、金属層4が、追加の薄層6の領域上に堆積される。次いで、基板1、2つの重ねられた薄層6、3、および金属層4で形成される組立体は、薄層3の材料だけでなく追加の薄層6の材料も結晶化させるために、熱処理を受ける(図15の矢印F2)。いったん熱処理が完了されると、そのとき、両方とも例えば単結晶形で結晶化された2つの重ねられた領域5および7が、金属層4の下の薄層3および6にそれぞれ得られる。
【0050】
本発明の特権を与えられた実施形態に従って、数ナノメートル、例えば5nmの厚さを有する追加の酸化物、例えば酸化シリコンの堆積を行うことが有利である。この追加の酸化物層(図示されない)は、金属層4の下に配列される。追加の酸化物層は、ちょうど下にある結晶化されるべき非晶質層の固体結晶化現象を強める。
【0051】
それによって、単一熱処理ステップによって異なる結晶材料から作られた複数の重ねられた薄層を結晶化させることができる。そのような実施形態は、また、直列モード結晶化とも呼ばれ、特にヘテロ構造を生成するために使用されることがある。結晶化は、金属層を含むことさえある。さらに、結晶化は金属層4の下および金属層4の周りで起こる。さらに、金属層4が追加の薄層6の自由表面の全体を覆う場合には、層3および6は全て結晶化されることがある。
【0052】
図17から20に表される代替実施形態では、熱処理前に、複数の薄層が、基板1の上部2の表面の複数の領域上に堆積されることがある。したがって、図17において、上部2の表面は、例えば単結晶形で結晶化されるべき異なる材料によってそれぞれ形成された2つの隣接した薄層8および9によって、覆われている。次いで、有利なことには薄層8の部分および薄層9の部分を覆うために、1nmと20nmの間に含まれる厚さを有する金属層4が、その積層上に堆積される(図18)。次いで、金属層4の下に配列された薄層8および9のそれぞれの材料を同時に結晶化させるために、基板、2つの隣接した薄層8および9および金属層4で形成された組立体は、熱処理を受ける(図19の矢印F2)。いったん熱処理が完了されると、そのとき、金属層4の下に配列された薄層8および9のそれぞれの領域に相当する隣接した結晶化領域10および11が、薄層8および9に得られる。
【0053】
さらに、複数の隣接した薄層は、単一の熱処理ステップで結晶化されることがある。具体的には、2つの薄層8および9は、基板の上部2の表面に連続して堆積されることがある。したがって、第2の薄層9で覆われるべき領域を隠すマスクを通して、薄層8が、基板の上部2の表面の領域上に前もって堆積されることがある。次いで、既に堆積された薄層8を隠すマスクを通して、第2の薄層が基板の自由表面上に堆積される。そのような代替実施形態は、並列モード結晶化とも呼ばれ、全く同一の基板上にいくつかの材料の機能特徴を組み合わせるために特に適している。
【0054】
したがって、本発明に従った結晶化方法は、ナノメートルの厚さの材料が結晶化されることを可能にする。チョクラルスキ法と違って、非常に小さな厚さの結晶薄層が、例えば約100ナノメートルの厚さで、どんな追加の調整ステップも必要とされることなしに得られることがある。
【0055】
そのような方法は、さらに、非常に大きな有利なことには単結晶表面の結晶薄層が前記表面の全体にわたって均質な特性で得られることを可能にする。
【0056】
そのような方法は、るつぼを必要としないので比較的安価であり、さらに、結晶化に必要とされる熱入力が結晶化されるべき材料の融点に達する必要が無いので比較的小さな熱見積り量(thermal budget)を示す。
【0057】
最後に、結晶化された薄層は、既存の結晶化方法によって合成されたものと異なる物理特性を有する異なる結晶相であることがある。そのような生成方法は、ナノ技術の方法の分野で使用されることがあるが、また、エネルギー分野、具体的には光電池の分野で使用されることがある。
【0058】
例の目的のために、本結晶化方法を実現するデバイスは、
・連続レーザ・ビームを放射するCO2レーザ源、
・レーザ・ビーム・パワー制御および安定デバイス、
・結晶化されるべき薄層と前記基板上に前もって堆積された金属層とを備えた前記基板にレーザ・ビームを集束させるための集束レンズ、および、
・基板の全表面を熱的に処理することができるように前記基板またはレーザ・ビームを動かすためのデバイス、を備えることがある。
【0059】
基板は、例えば、約550℃のガラス温度および約1mmの厚さを有する平面画面ディスプレイ用のコーニングガラスである。結晶化されるべき薄層は、例えば、真空蒸着で堆積された非晶質シリコンから作られ、この薄層の厚さは500nmに等しく、蒸着が行われるときの基板の温度は400℃に等しい。5nmの厚さを有するシリカ層が、真空蒸着によって、非晶質シリコン層の上に堆積される。次いで、金の凝集体で形成された金属層が、シリコン酸化物層の上に堆積される。金属層は、5nmに等しい相当厚さを有する。これらの堆積全ては、同じ真空堆積装置の中で同じ基板温度で行われることがある。
【0060】
連続CO2レーザ・ビームは、基板の上部層の熱処理が行われることを可能にする。前記レーザの放射波長は約10.59μmであり、この波長は、このレーザの最も強烈な放射光線に相当する。この励起波長は、基板の上部層の吸収範囲に適しており、前記上部層の温度上昇が達成されることを可能にする。ガラス中で、全てのCO2レーザ・ビーム放射光線(9.2〜10.8μm)が、実際、使用されることがある。励起源のパワー安定性は、標準的であり、熱処理期間にわたって一般に約±3%である。さらに、どんなレーザ放射モードでも使用されることがあるが(ガウス、フラット、環状、その他)、安定でなければならない。有利なことには、レーザ放射モードはフラットである。最後に、熱処理を行うために必要なパワーは、レーザ・ビームの固有寸法および基板の非晶質上部層の物理特性(吸収、熱伝導率、その他)、および前記ビームの走査速度に依存する直線的なパワーである。1/eの直径が300μmであるガウス・レーザ・ビームの場合、結晶化を達成するための入射レーザ・パワーは、一般に、上で説明された実現デバイスとの相互作用において1cm/秒の速度で2ワットである。
【0061】
したがって、CO2レーザ・ビームの放射は、金属凝集体の層、非常に薄い酸化物層、結晶化されるべき薄層および基板によって形成された積層の前面に入射する。このレーザ・ビームは、基板で吸収され前記基板の急速な温度上昇を引き起こす前に金属層および結晶化されるべき薄層を通過し、その結果、ガラス遷移ゾーンの経過となり、これが、シリコンの薄層の結晶化を引き起こす。
【0062】
レーザ・パワー制御および安定デバイスは、好ましくは、いくつかの要素、すなわち後に偏光子が続く半波長板によって形成されることがあるレーザ・パワー調整装置、を備える。そのようなデバイスは、励起パワーが設定点に調整されることを可能にし、それによって、熱処理されるべき基板に加えられるパワーが調整されることを可能にする。このデバイスは、シャッタと、パワー設定点が実際に到達されたことを確かめるように設計されたレーザ・パワー測定デバイスとによって完成されることがある。そのデバイスは、アニール・レーザ・パワーの実時間安定化用のデバイスを含むことさえある、シャッタは、レーザ源自体の「オン−オフ」切換デバイスに置き換えられるかもしれない。
【0063】
集束レンズは、例えば、ZnSeから作られ、レーザ・ビーム放射波長でギラツキ防止であるように処理されることがある。このレンズの焦点距離は、結晶化されるべき薄層上の要求される焦点に調整されることがある。さらに、積層の表面の焦点の寸法は、ナイフ法と呼ばれる方法によって決定されることがある。また、このレンズは、走査方向に対して垂直な方向により広い光ビームを生成するように円柱状であることがある。これは、1つの通過ラインでより大きな基板表面がカバーされることを可能にする。
【0064】
本発明は、上で説明された実施形態に限定されない。基板1の上部2の表面は必ずしもフラットでない。この表面は、例えば、球面、凹面または凸面であることがあり、または穴領域および/または突出領域を含むことがある。さらに、前記表面は、液体または過溶融液体状態になるときパターン化されることがある。このパターン化は、様々な機械的方法、音響的方法、レーザ方法または他の方法によって引き起こされることがある。
【0065】
そのような結晶化方法は、電子デバイス(ダイオード、トランジスタ、...)、光学デバイス(ミラー、球面光学部品、その他)、光子デバイス(導波路、その他)などの結晶層を必要とするデバイスに応用されることがある。
【0066】
本結晶化方法は、実際、1ナノメートルから数百ナノメートルに及ぶ厚さを有する層の結晶化に本質的に好都合である。しかし、より厚い層を結晶化させるために、または新しい結晶相を得るために、基板から、結晶化されることになる非晶質層を通して表面金属層への熱伝達を容易にする手段として、基板、結晶化されるべき薄層および金属層によって形成される積層を最初に冷やすことが有利である可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に従った方法の第1の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図8】前記第1の実施形態中に、基板の上部に加えられる温度サイクルを時間に対して示す図である。
【図9】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図10】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図11】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図12】前記第1の実施形態の代替実施形態を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図14】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図15】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図16】本発明に従った方法の第3の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図17】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図18】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図19】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【図20】本発明に従った方法の第4の実施形態の異なるステップを模式的に示す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相結晶化方法であって、
以下の連続するステップ、すなわち
a)非晶質または多結晶材料の少なくとも1つの薄層(3)を、基板(1)の上部(2)の表面の少なくとも1つの領域上に堆積させるステップと、
b)1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる厚さを有する少なくとも1つの金属層(4)を、前記薄層(3)の領域上に堆積させるステップであって、前記基板(1)の前記上部(2)が、ステップb)の後で液体または過溶融液体状態に変化することができる非晶質材料で形成されているステップと、
c)前記薄層(3)の材料の結晶成長を可能にし、同時に、
・前記基板(1)の前記上部(2)の材料が液体または過溶融液体状態になるまでの、毎秒100Kを超える速度の前記基板の前記上部の温度上昇、および、
・前記基板(1)の前記上部(2)と前記薄層(3)の間の界面から前記薄層(3)と前記金属層(4)の間の界面への熱伝達、を引き起こすように熱処理するステップと、を含むことを特徴とする固相結晶化方法。
【請求項2】
ステップc)が、前記基板(1)の前記上部(2)の吸収波長範囲および結晶化されるべき前記薄層(3)の前記非晶質または多結晶材料の透過波長範囲に相当する放射波長範囲を示す連続またはパルス・レーザ・ビームを当てることによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザ・ビームの放射波長範囲において、前記基板の前記上部の吸収係数が、結晶化されるべき前記薄層の吸収係数の3倍であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザ・ビームが、CO2またはYAGレーザ源から得られることを特徴とする、請求項2および3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板、薄層(3)および金属層(4)を含む積層の冷却ステップが、ステップb)とc)の間で行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)よりも前に、前記基板(1)の前記上部(2)が、非晶質であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板(1)の前記上部(2)が、ステップa)よりも前に結晶であり、前記2つのステップa)およびb)のうちの1つの後に非晶質にされることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記基板(1)の前記上部(2)が、ガラス、セラミック、非結晶重合体、金属および金属合金から選ばれた材料によって形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)よりも前に、前記基板(1)が、完全に、非晶質材料から作られることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)が、複数の薄層(3、5)を前記基板(1)の前記上部(2)の表面の前記領域に連続して堆積させることを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)が、複数の薄層(7、8)を前記基板(1)の前記上部(2)の表面の複数の領域に堆積させることを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)が、複数の金属層を堆積させることを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属層(4)が、金属材料の凝集体によって形成されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
固相結晶化方法であって、
以下の連続するステップ、すなわち
a)非晶質または多結晶材料の少なくとも1つの薄層(3)を、基板(1)の上部(2)の表面の少なくとも1つの領域上に堆積させるステップと、
b)1nmと20nmの間に、有利なことには5nmと10nmの間に含まれる厚さを有する少なくとも1つの金属層(4)を、前記薄層(3)の領域上に堆積させるステップであって、前記基板(1)の前記上部(2)が、ステップb)の後で液体または過溶融液体状態に変化することができる非晶質材料で形成されているステップと、
c)前記薄層(3)の材料の結晶成長を可能にし、同時に、
・前記基板(1)の前記上部(2)の材料が液体または過溶融液体状態になるまでの、毎秒100Kを超える速度の前記基板の前記上部の温度上昇、および、
・前記基板(1)の前記上部(2)と前記薄層(3)の間の界面から前記薄層(3)と前記金属層(4)の間の界面への熱伝達、を引き起こすように熱処理するステップと、を含むことを特徴とする固相結晶化方法。
【請求項2】
ステップc)が、前記基板(1)の前記上部(2)の吸収波長範囲および結晶化されるべき前記薄層(3)の前記非晶質または多結晶材料の透過波長範囲に相当する放射波長範囲を示す連続またはパルス・レーザ・ビームを当てることによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザ・ビームの放射波長範囲において、前記基板の前記上部の吸収係数が、結晶化されるべき前記薄層の吸収係数の3倍であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザ・ビームが、CO2またはYAGレーザ源から得られることを特徴とする、請求項2および3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板、薄層(3)および金属層(4)を含む積層の冷却ステップが、ステップb)とc)の間で行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)よりも前に、前記基板(1)の前記上部(2)が、非晶質であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板(1)の前記上部(2)が、ステップa)よりも前に結晶であり、前記2つのステップa)およびb)のうちの1つの後に非晶質にされることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記基板(1)の前記上部(2)が、ガラス、セラミック、非結晶重合体、金属および金属合金から選ばれた材料によって形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)よりも前に、前記基板(1)が、完全に、非晶質材料から作られることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)が、複数の薄層(3、5)を前記基板(1)の前記上部(2)の表面の前記領域に連続して堆積させることを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)が、複数の薄層(7、8)を前記基板(1)の前記上部(2)の表面の複数の領域に堆積させることを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)が、複数の金属層を堆積させることを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属層(4)が、金属材料の凝集体によって形成されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−135501(P2009−135501A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−305198(P2008−305198)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305198(P2008−305198)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
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