説明

線形状物高さ計測装置、該装置に用いられる線形状物高さ計測方法及び線形状物高さ計測制御プログラム

【課題】線形状物の反射光を取り込んで作成した画像データから背景の影響を受けずに線形状物の高さを正確に検出する線形状物高さ計測装置を提供する。
【解決手段】照明13により、線形状物11(検査対象物)に入射光iが照射され、カメラ14により、反射光jが取り込まれて画像データが生成される。入射光iと反射光jとの軸は、ほぼ一致するようになっている。濃淡画像記憶部17により、カメラ14で生成された画像データが、濃淡画像データとして記憶される。線形状物検出部18により、濃淡画像データに基づいて線形状物11が検出される。高さ計測領域決定部19により、線形状物検出部18で検出された線形状物11の情報に基づいて、同線形状物11の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域が決定される。高さ計測部20により、線形状物高さ計測領域の濃淡情報に基づいて、線形状物11の高さが計測される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、線形状物高さ計測装置、該装置に用いられる線形状物高さ計測方法及び線形状物高さ計測制御プログラムに係り、たとえば、半導体装置の製造工程において線形状のボンディングワイヤなどの高さを計測する場合に用いて好適な線形状物高さ計測装置、該装置に用いられる線形状物高さ計測方法及び線形状物高さ計測制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のうち、特に、半導体チップとインナリードとがボンディングワイヤを介して接続される構成の半導体装置では、その製造工程で線形状のボンディングワイヤの立体形状を検査する必要がある。このため、ボンディングワイヤの高さを計測する装置が製作されているが、同装置では、ボンディングワイヤの検出座標及び径に基づいて高さ計測領域が決定され、ボンディングワイヤの高さが計測される。
【0003】
この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載されたワイヤボンディング検査装置がある。
この検査装置では、照明手段により、半導体チップのボンディングワイヤが照明され、同照明手段によって照明されたワイヤが、撮像手段により複数の高さ位置から撮像される。演算手段により、同撮像手段で得られる各高さ位置での複数の画像のフォーカスの状態からワイヤの立体情報が得られる。この場合、演算手段では、複数の各画像について、ワイヤの長手方向に領域分割し、各領域において輝度信号強度のピーク値をフォーカス合致度として算出し、算出結果に基づいてワイヤの3次元形状を計測する。たとえば、図7(a)に示すように、撮像装置1により、同撮像装置1の結像素子の各フォーカス面F1,F2,…,F5にて、ボンディングワイヤが撮像される。たとえば、フォーカス面F3で撮像されるボンディングワイヤの画像信号は、図7(b)に示すように、同ボンディングワイヤに対して直交する帯状に分割された各領域A,B,…,L毎に得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−175312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、特許文献1に記載された検査装置では、分割された各領域にワイヤ以外に起因する輝度信号が存在し、輝度信号の強度のピーク値がワイヤの3次元形状を計測するためのフォーカス合致度に適さないことがあり、ワイヤ高さの計測値に誤りが発生する可能性があるという課題がある。
【0006】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、線形状物上の濃淡を確実に使用し、線形状物の高さを正確に計測できる線形状物高さ計測装置、該装置に用いられる線形状物高さ計測方法及び線形状物高さ計測制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、線形状物高さ計測装置に係り、検査対象物に照明光を照射するための光源と、前記検査対象物から反射される反射光を取り込んで画像データを生成する撮像手段と、該撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて線形状物を検出し、検出された前記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定することにより、該線形状物高さ計測領域内で前記線形状物の高さを計測する計測領域内高さ計測手段とを備えてなることを特徴としている。
【0008】
この発明の第2の構成は、線形状物高さ計測装置に用いられる線形状物高さ計測方法に係り、前記線形状物高さ計測装置を、光源と、撮像手段と、計測領域内高さ計測手段とから構成しておき、前記光源が、検査対象物に照明光を照射し、前記撮像手段が、前記検査対象物から反射される反射光を取り込んで画像データを生成し、前記計測領域内高さ計測手段が、前記撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて線形状物を検出し、検出された前記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定することにより、該線形状物高さ計測領域内で前記線形状物の高さを計測することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明の構成によれば、線形状物の高さを安定して正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態である線形状物高さ計測装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の線形状物高さ計測装置における計測対象の線形状物11に対する光の入反射の状態を示す図である。
【図3】取得される画像及び画像上の濃淡と線形状物11の断面との対応関係を示す図である。
【図4】線形状物高さ計測領域vhの例を示す図である。
【図5】切り出された画像と濃淡プロファイルとの関係を示す図である。
【図6】線形状物11の断面における濃淡位置と最高位置の高さとの関係を示す図である。
【図7】特許文献1に記載されたワイヤボンディング検査装置で行われる処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記計測領域内高さ計測手段が、上記撮像手段で生成された上記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データとして記憶する濃淡画像データ記憶手段と、該濃淡画像データ記憶手段で記憶されている上記濃淡画像データに基づいて線形状物を検出する線形状物検出手段と、該線形状物検出手段で検出された上記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定する高さ計測領域決定手段と、該高さ計測領域決定手段で決定された上記線形状物高さ計測領域の濃淡情報に基づいて、上記線形状物の高さを計測する高さ計測手段とを備える線形状物高さ計測装置を提供する。
【0012】
また、上記高さ計測領域決定手段は、上記線形状物検出手段で検出された上記線形状物の中央座標、及び、あらかじめ与えられた上記線形状物の径情報に基づいて、上記線形状物の占有領域を超えない上記線形状物高さ計測領域を決定する構成とされている。また、上記高さ計測領域決定手段は、上記線形状物検出手段で検出された上記線形状物の情報に基づいて、上記線形状物の中央座標及び径情報を取得し、上記中央座標及び径情報に基づいて、上記線形状物の占有領域を超えない上記線形状物高さ計測領域を決定する構成とされている。また、上記線形状物検出手段は、上記線形状物の側面位置情報を取得する構成とされ、上記高さ計測領域決定手段は、上記線形状物検出手段で取得された上記線形状物の側面位置情報を用いて、上記線形状物高さ計測領域を決定する構成とされている。また、上記光源は、上記検査対象物に対する入射光の軸と上記反射光の軸とがほぼ一致する構成とされている。
【実施形態】
【0013】
図1は、この発明の一実施形態である線形状物高さ計測装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この例の線形状物高さ計測装置は、線形状物11の高さを計測するための装置であり、同図に示すように、ステージ12と、照明13と、カメラ14と、ハーフミラー15と、位置制御部16と、濃淡画像記憶部17と、線形状物検出部18と、高さ計測領域決定部19と、高さ計測部20とから構成されている。線形状物11は、たとえば、半導体装置中の半導体チップとインナリードとを接続するためのボンディングワイヤである。ステージ12は、線形状物11を搭載し、計測位置やカメラ14と線形状物11との間の距離を変更するためのものである。照明13は、たとえばLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)やハロゲンランプなどを光源として構成され、線形状物11に照明光を照射するためのものである。
【0014】
ハーフミラー15は、照明13の出射光を反射して線形状物11に入射光iを照射すると共に、反射光jを通過させてカメラ14へ送出する。特に、この実施形態では、照明13及びハーフミラー15により、線形状物11に対する入射光iの軸と反射光jの軸とがほぼ一致する同軸照明の構成となっている。カメラ14は、線形状物11で反射された反射光jを取り込んで画像データvdを生成するためのものであり、位置制御部16を用いてステージ12又は同カメラ14の位置を制御し、同カメラ14と線形状物11との間の距離を変えながらフォーカスの異なる複数枚の画像データvdを生成する。濃淡画像記憶部17は、たとえば、RAM(Random Access Memory)などで構成され、カメラ14で生成された画像データvdを濃淡値で表した濃淡画像データveとして記憶する。線形状物検出部18は、濃淡画像記憶部17で記憶されている濃淡画像データveに基づいて線形状物11を検出して同線形状物11の座標情報vi(線形状物の情報)を取得する。特に、この実施形態では、線形状物検出部18は、線形状物11の側面位置情報を取得する。
【0015】
高さ計測領域決定部19は、線形状物検出部18で検出された線形状物11の座標情報viに基づいて、線形状物11の占有領域を超えないように、同線形状物11の高さを計測するための線形状物高さ計測領域vhを決定する。特に、この実施形態では、高さ計測領域決定部19は、線形状物検出部18で検出された線形状物11の中央座標、及び、あらかじめ与えられた同線形状物11の径情報に基づいて、同線形状物11の占有領域を超えない線形状物高さ計測領域vhを決定する。また、高さ計測領域決定部19は、線形状物検出部18で取得された線形状物11の側面位置情報を用いて、線形状物11の占有領域を超えない線形状物高さ計測領域vhを決定する。高さ計測部20は、高さ計測領域決定部19で決定された線形状物高さ計測領域vh中の濃淡情報に基づいて、線形状物11の高さを決定する。この線形状物高さ計測装置は、線形状物高さ計測制御プログラムに基づいて動作する図示しないコンピュータで制御される。
【0016】
図2は、図1の線形状物高さ計測装置における計測対象の線形状物11に対する光の入反射の状態を示す図、図3は、取得される画像及び画像上の濃淡と線形状物11の断面との対応関係を示す図、図4は、線形状物高さ計測領域vhの例を示す図、図5は、切り出された画像と濃淡プロファイルとの関係を示す図、及び図6が、線形状物11の断面における濃淡位置と最高位置の高さとの関係を示す図である。
これらの図を参照して、この形態の線形状物高さ計測装置に用いられる線形状物高さ計測方法の処理内容について説明する。
この線形状物高さ計測装置では、線形状物11(検査対象物)に照明光が照射され、反射光jを取り込んで画像データが生成されると共に同画像データを濃淡値で表した濃淡画像データが生成される。そして、同濃淡画像データに基づいて線形状物11が検出され、検出された線形状物11の座標、及び、あらかじめ与えられた径に基づいて線形状物高さ計測領域が決定されることにより、同線形状物高さ計測領域内で線形状物11の高さが計測される。
【0017】
この場合、照明13により、線形状物11(検査対象物)に入射光i(照明光)が照射され(照射処理)、カメラ14により、線形状物11から反射される反射光jが取り込まれて画像データが生成される(撮像処理)。上記照射処理では、線形状物11に対する入射光iの軸と反射光jの軸とがほぼ一致するようになっている。濃淡画像記憶部17により、カメラ14で生成された画像データが、濃淡値で表した濃淡画像データveとして記憶される(濃淡画像データ記憶処理)。線形状物検出部18により、濃淡画像記憶部17で記憶されている濃淡画像データveに基づいて線形状物11が検出される(線形状物検出処理)。この線形状物検出処理では、線形状物検出部18により、線形状物11の側面位置情報が取得される。
【0018】
高さ計測領域決定部19により、線形状物検出部18で検出された線形状物11の情報viに基づいて、同線形状物11の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域vhが決定される(高さ計測領域決定処理)。この高さ計測領域決定処理では、高さ計測領域決定部19により、線形状物検出部18で検出された線形状物11の中央座標、及び、あらかじめ与えられた線形状物11の径情報に基づいて、線形状物11の占有領域を超えない線形状物高さ計測領域vhが決定される。また、この高さ計測領域決定処理では、高さ計測領域決定部19により、線形状物検出部18で取得された線形状物11の側面位置情報を用いて、線形状物11の占有領域を超えない線形状物高さ計測領域vhが決定される。高さ計測部20により、高さ計測領域決定部19で決定された線形状物高さ計測領域vhの濃淡情報に基づいて、線形状物11の高さが計測される(高さ計測処理)。
【0019】
図2に示すように、入射光iの光軸とほぼ一致する方向にカメラ14が設置されている場合、計測対象の線形状物11に対する光の入射角度が0度に近いほど同じ方向に反射して反射光jがカメラ14で捉えられ、一方、入射角度が大きくなると、反射光u,vはカメラ14の方向から外れる。したがって、断面が円形状の線形状物11では、カメラ14によって取得される濃淡画像には、たとえば図3(a)に示すように、特徴的ないくつかの濃淡が生じる。すなわち、図3(a)中の濃淡[1]及び濃淡[1B]は、線形状物11上に生じる濃淡であり、同線形状物11に対する光の入射角度に起因するものである。この場合、線形状物11が、たとえば、金属などの正反射成分の強い材質であれば、濃淡差が明確に表れる。
【0020】
濃淡[2]及び濃淡[2B]は、線形状物11の側面と、その外側(背景)との濃淡差である。線形状物11の側面からの反射光jは少ないため、背景からの光の反射がカメラ14で捉えられる場合に濃淡差が生じる。濃淡[3]は、線形状物11の外側で見られる濃淡であり、たとえば、別の線形状物や、線形状物11の背後から部分的に光の反射がある場合などに生じる。よって、濃淡[1]や濃淡[2]が、線形状物11の高さ計測に利用できるが、特に背景の影響に左右されずに線形状物11の高さを計測するためには、濃淡[1]を使用する。なお、線形状物11の表面状態によっては、濃淡[1]以外の線形状物11に起因する濃淡が発生することもあるが、光量を多くすることにより、表面の細かな傷などの影響を軽減し、取得される画像を図3(a)に近づけることも可能である。また、図3(b)は、図3(a)中の濃淡位置の線形状物11の断面との対応関係を示すものであり、濃淡[1]及び濃淡[1B]は、同じ高さの位置になっていることを示している。
【0021】
画像を使用して線形状物11の高さを計測する方法としては、たとえば、被写界深度の浅い光学系で線形状物11の画像を取得し、焦点が合う付近で画像の濃淡境界が鋭敏になることを利用する方法がある。すなわち、線形状物11の画像を、線形状物11とカメラ14との間の距離(高さ)を変えて複数枚取得し、計測する濃淡が含まれるように線形状物高さ計測領域を設定し、取得した画像から領域内で焦点が合う画像を特定することで、その位置における線形状物11の高さが計測される。
【0022】
高さ計測領域決定部19における高さ計測領域の幅方向の長さの決定では、計測する濃淡が領域に含まれるようにする。この場合、線形状物11の直径をRとすると、たとえば図4中の状態(a)のように、線形状物検出部18によって検出された線形状物11の座標を中央とし、中央から線形状物11の幅方向へそれぞれR/2を超えない長さを高さ計測領域の幅とすると、線形状物11上の濃淡のみを含む領域となり、この図4(a)の場合では、図3中の濃淡[1]及び濃淡[1B]を確実に含めることができる。また、たとえば図4中の状態(b)のように、線形状物検出部18によって検出された線形状物11の座標を起点とし、起点から線形状物11の幅方向のどちらかへR/2を超えない長さを高さ計測領域の幅とすると、図3中の濃淡[1]又は濃淡[1B]を確実に含めることができる。また、線形状物検出部18で検出された線形状物11の側面位置情報に対し、側面を含まない幅の計測領域とすることで、濃淡[1]及び濃淡[1B]の濃淡のみを確実に含めることができる。
【0023】
高さ計測領域決定部19による高さ計測領域の線方向の長さの決定では、合焦判断に使用するためのアルゴリズムが用いられる。たとえば、図5に示すように、1次元方向の座標における濃淡値のグラフ(濃淡プロファイル)に基づいて、合焦が判断される。また、領域の線方向長さを1画素として濃淡プロファイルを作成し、濃淡プロファイルの傾きの急峻さを合焦度として、焦点が合う画像で合焦度が最大になることを合焦の判断としても良い。また、たとえば、領域の線方向長さを数画素とし、領域内の濃淡を線形状物11の方向に積算又は平均することで、ノイズの影響を軽減したプロファイルを作成し、同様の合焦判断をしても良い。また、たとえば、領域内における隣接画素との濃淡値の差分を計算し、領域内全ての差分値を加算したものを合焦度とし、焦点が合う画像で合焦度が最も大きくなることを利用した合焦判断も可能である。この場合、領域の線方向長さは任意で良く、また、差分を計算するときの要素数や各要素の重み付けは任意で良い。また、領域内の濃淡差を加算するとき、濃淡差の大きいものだけを加味することで、ノイズの影響を軽減するようにしても良い。
【0024】
これらは例であるが、合焦判断では一般的な方法が使用でき、その方法に応じた計測領域サイズにすれば良い。ただし、線形状物11の高さが線方向に対して変化するケースでは、計測領域の線方向長さを長く指定することは好ましくない。上記で計算された合焦度が最大になるとき、取得された画像の中で最も焦点の合う画像となる。取得される画像枚数が少ないなどの理由で、真の合焦ポイントで画像が取得されない場合は、各高さにおける離散的な合焦度分布に対して補間処理を行い、補間曲線の最大ポイントを高さとしても良い。
【0025】
このようにして計測される高さは、図6に示すように、高さHである。必要に応じて断面の中心の高さH1や断面最高ポイントの高さH2を、計算するようにしても良い。この場合、線形状物11の直径をR、高さHと高さH1とのオフセットをhとすると、高さH1及び高さH2は、
H1=H−h
H2=H−h+R/2
となる。オフセットhは、線形状物11の直径や線方向の傾斜角度、使用する照明などの条件が同じであれば固定値としても良く、あらかじめ計測などで取得しておいた値を使用するようにしても良い。また、たとえば、線形状物11の濃淡の明るい帯の幅Wを使用すると、オフセットhは、
h=√{(R/2)−(W/2)
となる。
【0026】
このようにして、指定した領域における線形状物11の高さが計測される。線形状物11の線方向に複数の高さ計測領域を設定することで、線形状物11の3次元形状を得ることも可能である。特に、この実施形態では、同軸照明を用いることにより、線形状物11上の濃淡パターンが線方向に安定するため、複数個所の高さ計測結果に基づく3次元形状の軌跡が安定する。3次元形状からループの最高点を計測することも可能である。
【0027】
以上のように、この実施形態では、照明13の光源により線形状物11に照明光(入射光i)が照射され、線形状物11で反射された反射光jがカメラ14に取り込まれて画像データvdが生成され、画像データvdが、濃淡値で表した濃淡画像データveとして濃淡画像データ記憶部15に記憶され、線形状物検出部18で濃淡画像データveに基づいて線形状物11が検出され、高さ計測領域決定部19で線形状物11の検出座標と線形状物11の径に基づいて高さ計測領域が設定されるので、線形状物11の高さが安定して正確に計測される。
【0028】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、図1中のハーフミラー15を用いずに、図2に示すように、カメラ14に隣接するように同軸照明を配置し、線形状物11に上方から光を照射するようにしても良い。また、たとえば、同軸照明以外の照明を使用した場合、取得される画像の濃淡が図3と異なることがあるが、線形状物11からはみ出ない計測領域を使用することにより、背景に影響されない高さ計測を行うことができる。また、上記実施形態では、高さ計測領域決定部19は、線形状物検出部18で検出された線形状物11の中央座標、及び、あらかじめ与えられた同線形状物11の径情報に基づいて、同線形状物11の占有領域を超えない線形状物高さ計測領域vhを決定するが、これに限定されず、線形状物11の画像から上記径情報を取得する構成にしても良い(請求項4及び請求項10に対応)。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、ボンディングワイヤの検査装置に限らず、線形状物の高さを検査する装置全般に適用できる。
【符号の説明】
【0030】
11 線形状物(検査対象物)
12 ステージ(線形状物高さ計測装置の一部)
13 照明(光源の一部)
14 カメラ(撮像手段)
15 ハーフミラー(光源の一部)
16 位置制御部(線形状物高さ計測装置の一部)
17 濃淡画像記憶部(濃淡画像データ記憶手段、計測領域内高さ計測手段の一部)
18 線形状物検出部(線形状物検出手段、計測領域内高さ計測手段の一部)
19 高さ計測領域決定部(高さ計測領域決定手段、計測領域内高さ計測手段の一部)
20 高さ計測部(高さ計測手段、計測領域内高さ計測手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に照明光を照射するための光源と、
前記検査対象物から反射される反射光を取り込んで画像データを生成する撮像手段と、
該撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて線形状物を検出し、検出された前記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定することにより、該線形状物高さ計測領域内で前記線形状物の高さを計測する計測領域内高さ計測手段とを備えてなることを特徴とする線形状物高さ計測装置。
【請求項2】
前記計測領域内高さ計測手段は、
前記撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データとして記憶する濃淡画像データ記憶手段と、
該濃淡画像データ記憶手段で記憶されている前記濃淡画像データに基づいて線形状物を検出する線形状物検出手段と、
該線形状物検出手段で検出された前記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定する高さ計測領域決定手段と、
該高さ計測領域決定手段で決定された前記線形状物高さ計測領域の濃淡情報に基づいて、前記線形状物の高さを計測する高さ計測手段とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の線形状物高さ計測装置。
【請求項3】
前記高さ計測領域決定手段は、
前記線形状物検出手段で検出された前記線形状物の中央座標、及び、あらかじめ与えられた前記線形状物の径情報に基づいて、前記線形状物の占有領域を超えない前記線形状物高さ計測領域を決定する構成とされていることを特徴とする請求項2記載の線形状物高さ計測装置。
【請求項4】
前記高さ計測領域決定手段は、
前記線形状物検出手段で検出された前記線形状物の情報に基づいて、前記線形状物の中央座標及び径情報を取得し、前記中央座標及び径情報に基づいて、前記線形状物の占有領域を超えない前記線形状物高さ計測領域を決定する構成とされていることを特徴とする請求項2記載の線形状物高さ計測装置。
【請求項5】
前記線形状物検出手段は、
前記線形状物の側面位置情報を取得する構成とされ、
前記高さ計測領域決定手段は、
前記線形状物検出手段で取得された前記線形状物の側面位置情報を用いて、前記線形状物高さ計測領域を決定する構成とされていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の線形状物高さ計測装置。
【請求項6】
前記光源は、
前記検査対象物に対する入射光と前記反射光との軸がほぼ一致する構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の線形状物高さ計測装置。
【請求項7】
線形状物高さ計測装置に用いられる線形状物高さ計測方法であって、
前記線形状物高さ計測装置を、光源と、撮像手段と、計測領域内高さ計測手段とから構成しておき、
前記光源が、検査対象物に照明光を照射し、
前記撮像手段が、前記検査対象物から反射される反射光を取り込んで画像データを生成し、
前記計測領域内高さ計測手段が、前記撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて線形状物を検出し、検出された前記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定することにより、該線形状物高さ計測領域内で前記線形状物の高さを計測することを特徴とする線形状物高さ計測方法。
【請求項8】
前記計測領域内高さ計測手段を、濃淡画像データ記憶手段と、線形状物検出手段と、高さ計測領域決定手段と、高さ計測手段とから構成しておき、
前記光源が、前記検査対象物に前記照明光を照射する照射処理と、
前記撮像手段が、前記検査対象物から反射される反射光を取り込んで画像データを生成する撮像処理と、
前記濃淡画像データ記憶手段が、前記撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データとして記憶する濃淡画像データ記憶処理と、
前記線形状物検出手段が、該濃淡画像データ記憶手段で記憶されている前記濃淡画像データに基づいて線形状物を検出する線形状物検出処理と、
前記高さ計測領域決定手段が、前記線形状物検出手段で検出された前記線形状物の情報に基づいて、該線形状物の占有領域を超えないように線形状物高さ計測領域を決定する高さ計測領域決定処理と、
前記高さ計測手段が、前記高さ計測領域決定手段で決定された前記線形状物高さ計測領域の濃淡情報に基づいて、前記線形状物の高さを計測する高さ計測処理とを行うことを特徴とする請求項7記載の線形状物高さ計測方法。
【請求項9】
前記高さ計測領域決定処理では、
前記高さ計測領域決定手段が、前記線形状物検出手段で検出された前記線形状物の中央座標、及び、あらかじめ与えられた前記線形状物の径情報に基づいて、前記線形状物の占有領域を超えない前記線形状物高さ計測領域を決定することを特徴とする請求項8記載の線形状物高さ計測方法。
【請求項10】
前記高さ計測領域決定処理では、
前記高さ計測領域決定手段が、前記線形状物検出手段で検出された前記線形状物の情報に基づいて、前記線形状物の中央座標及び径情報を取得し、前記中央座標及び径情報に基づいて、前記線形状物の占有領域を超えない前記線形状物高さ計測領域を決定することを特徴とする請求項8記載の線形状物高さ計測方法。
【請求項11】
前記線形状物検出処理では、
前記線形状物検出手段が、前記線形状物の側面位置情報を取得し、
前記高さ計測領域決定処理では、
前記高さ計測領域決定手段が、前記線形状物検出手段で取得された前記線形状物の側面位置情報を用いて、前記線形状物高さ計測領域を決定することを特徴とする請求項8、9又は10記載の線形状物高さ計測方法。
【請求項12】
前記光源が、前記検査対象物に対する入射光と前記反射光との軸をほぼ一致させることを特徴とする請求項7、8、9、10又は11記載の線形状物高さ計測方法。
【請求項13】
コンピュータに請求項1乃至6のいずれか一に記載の線形状物高さ計測装置を制御させるための線形状物高さ計測制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−58894(P2011−58894A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207475(P2009−207475)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】