説明

繊維強化プラスチックパネルの製造方法および製造装置

【課題】繊維補強基材の積層体に樹脂材料を含浸させる際、含浸状況を確実に把握できるようにした繊維強化プラスチックパネルの製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】 繊維補強基材の積層体4を覆ったバキュームバッグ7の内側に樹脂材料Wを供給パイプ6を通じて供給する前に、積層体4の層間に電気容量センサ10a、10bとなる2本の導線を、互いが通電しない状態で間隔をあけて配置しておき、モールド1上でバキュームバッグ7の内側の空気を吸引しつつ、バキュームバッグ7の内側に樹脂材料Wを供給して積層体4に樹脂材料Wを含浸させる際に、電気容量センサ10a、10bとなる2本の導線間の電気容量を測定し、この測定した電気容量値に基づいて、含浸状況を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維強化プラスチックパネルの製造方法および製造装置に係わり、更に詳しくは繊維補強基材の積層体に樹脂材料を含浸させる際、含浸状況を確実に把握できるようにした繊維強化プラスチックパネルの製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、船舶の分野では大型船体の繊維強化プラスチック(FRP)パネル化が進み、これに伴って大型の繊維強化プラスチックパネルが必要になってきた。繊維強化プラスチックパネル等の樹脂成型物を製造する方法は種々知られているが、オートクレーブ法による樹脂成型方法では、オートクレーブの大きさの制約があるため、十分に大きな繊維強化プラスチックパネルを製造することができない。
【0003】
そこで、設備として大きさの制約が少なく、品質の向上やコスト低減も期待できる樹脂トランスファー成形法(RTM)またはバキューム樹脂トランスファー成形法(VaRTM:Vacuum-assisted Resin Transfer Molding)による繊維強化プラスチックパネルの開発が進められている。このバキューム樹脂トランスファー成形法(VaRTM)は、常温プロセスで簡便に大型樹脂成型物を成型できる点で非常にメリットが大きく、風力発電機ブレード等の製造に適用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
しかしながら、この製造方法では、繊維補強基材を積層した積層体にモールド上で樹脂材料を含浸させる際に、積層体の内部や下部については目視では含浸状況を把握できないため、経験則等に基づいて含浸状況を判断しなければならないという問題があった。 そのため、室温等の環境によっては含浸状況の判断を誤り、樹脂材料の含浸が不十分な状態で硬化させて製造不良になるという問題があった。
【特許文献1】特表2000−501659号公報
【特許文献2】特表2001−510748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に着目して案出されたもので、その目的は、繊維補強基材の積層体に樹脂材料を含浸させる際、含浸状況を確実に把握できるようにした繊維強化プラスチックパネルの製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の繊維強化プラスチックパネルの製造方法は、繊維補強基材を積層した積層体をモールド上に載置し、該積層体を覆ったカバー部材の内側の空気を吸引しつつ該カバー部材の内側に樹脂材料を供給して、積層体に前記樹脂材料を含浸させた後、該積層体を硬化させる繊維強化プラスチックパネルの製造方法において、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、前記積層体の所定の位置における電気容量を測定し、該測定した電気容量値に基づいて前記樹脂材料の積層体に対する含浸状況を判断するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
ここで、前記積層体を覆ったカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に、積層体の所定の位置に複数本の導線を、互いが通電しない状態で間隔をあけて配置しておき、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、該複数本の導線の中、選択した2本の導線間の電気容量を測定することにより前記積層体の所定の位置における電気容量を測定することもできる。この際に、前記複数本の導線を格子状に配置し、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、該複数本の導線の中、交差する2本の導線、或いは平行する2本の導線を順次選択し、その選択した2本の導線間の電気容量を測定することにより前記積層体の所定の位置における電気容量を測定することもでき、前記積層体とカバー部材との間に樹脂流路媒体を配置し、該樹脂流路媒体に前記複数本の導線を配設することもできる。
【0008】
或いは、前記モールドを導電材により形成するとともに、前記積層体を覆ったカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に、前記積層体の所定の位置に少なくとも1本の導線を、前記モールドと通電しない状態で間隔をあけて配置しておき、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、前記積層体の所定の位置に配置した少なくとも1本の導線と前記モールドとの間の電気容量を測定することにより前記積層体の所定の位置における電気容量を測定することもできる。この際に、前記導線を複数本、前記積層体を覆ったカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に互いが通電しない状態で間隔をあけて格子状に配置しておき、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、該複数本の導線の中、1本の導線を順次選択し、その選択した1本の導線と前記モールドとの間の電気容量を測定することもでき、前記積層体とカバー部材との間に樹脂流路媒体を配置し、該樹脂流路媒体に前記導線を配設することもできる。
【0009】
また、本発明の繊維強化プラスチックパネルの製造装置は、繊維補強基材を積層した積層体を載置するモールドと、該モールド上の積層体を覆うカバー部材と、該積層体を覆うカバー部材の内側の空気を吸引する吸引手段と、該積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する樹脂供給手段とを備えた繊維強化プラスチックパネルの製造装置において、前記積層体の所定の位置に配置される電気容量センサと、該電気容量センサの検知データにより電気容量を測定する測定器と、該測定器により測定された電気容量値を表示するモニタリング装置とを設けたことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、前記電気容量センサを、前記積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に互いが通電しない状態で間隔をあけて前記積層体の所定の位置に配置される複数本の導線にすることもきる。或いは、前記モールドを導電材により形成するとともに、前記電気容量センサを、前記積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に、前記モールドと通電しない状態で間隔をあけて前記積層体の所定の位置に配置される少なくとも1本の導線にすることもできる。
【0011】
また、前記導線を複数本とし、前記積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に互いが通電しない状態で格子状に配置することもできる。また、前記導線を、前記積層体とカバー部材との間に配置される樹脂流路媒体に配設することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂材料を積層体に含浸させる際に、積層体の所定の位置において、樹脂材料がその所定の位置に達したか否かによって値が変化する電気容量を測定し、この測定した電気容量値に基づいて樹脂材料の積層体に対する含浸状況を判断するようにしたので、目視できない積層体の内部や下部での樹脂材料の含浸状況を確実に把握することが可能になる。これにより、樹脂材料の含浸が不十分な状態の積層体を硬化させることを防止でき、高精度で品質の優れた繊維強化プラスチックパネルを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に基づき本発明の繊維強化プラスチックパネルの製造方法および製造装置を説明する。
【0014】
図1〜図3に例示するように、本発明の繊維強化プラスチックパネルの製造装置(以下、製造装置という)のモールド1上には、ゴム状弾性シート2が敷設され、このゴム状弾性シート2上に離型フィルム3aを介してガラス繊維から成る複数枚の繊維補強基材4aが積層された積層体4が載置されている。
【0015】
モールド1は金属、或いはFRP、石膏等の非金属により形成される。ゴム状弾性シート2は敷設しなくてもよいが、金属製のモールド1を用いる場合にはゴム状弾性シート2を敷設することにより断熱効果および絶縁効果を得ることができる。
【0016】
積層体4上には、離型フィルム3b、樹脂流路媒体5及び樹脂材料W(主剤,硬化剤,促進剤)の供給チューブ6が順に配設され、これら全体を覆うカバー部材となるフィルム状のバキュームバッグ7が備わっている。バキュームバッグ7の周囲は、シールテープ8によりモールド1上に気密的に固定されている。バキュームバッグ7の内側には、供給チューブ6を通じて樹脂材料Wが供給される。積層体4の下部近傍には、ポンプに接続されバキュームバッグ7の内側の空気とともに樹脂材料Wを吸引して、これらをバキュームバッグ7の外部に排出させる吸引パイプ9a、9bが配置されている。
【0017】
本発明では、繊維強化プラスチックパネルを製造する際、積層体4の上層から下層に至る全体に樹脂材料Wが均一に含浸されているか否かをモニタリングするために、積層体4の所定の位置に配置されて、バキュームバッグ7の外側まで延設される2本の導線から成る電気容量センサ10a、10bを有している。導線素材としては、銅線、ステンレス鋼繊維、炭素繊維等の電気抵抗が小さなものが好ましい。
【0018】
この導線から成る電気容量センサ10a、10bは、樹脂材料Wをバキュームバッグ7の内側に供給する前に、互いが通電しない状態で間隔をあけて積層体4の層間に配設される。電気容量センサ10a、10bは、測定器11(LCRメータ)に接続され、測定器11はモニタリング装置12に接続されている。
【0019】
次に、本発明の繊維強化プラスチックパネルの製造方法について説明する。
【0020】
まず、モールド1上に敷設したゴム状弾性シート2の上に、離型フィルム3aを介在させて繊維補強基材4aを積層した積層体4を載置する。この積層体4の所定の位置に電気容量センサ10a、10bを互いが通電しないように配置する。例えば、電気容量センサ10a、10bは、積層体4の下層部(例えば、繊維補強基材4aの下から3層〜4層目)の層間に、導線の先端部の絶縁被覆を除去した長さ30mm〜50mmの銅線露出部を、互いを30mm程度の間隔をあけて挿入し、他方端部をモールド1の外部に延ばしておく。
【0021】
電気容量センサ10a、10bは、樹脂材料Wをバキュームバッグ7の内側に供給する前に互いを通電しない状態で配設できれば、積層体4の所定の位置となる任意の位置に配設することができる。例えば、積層体4とゴム状弾性シート2との間に配設することもできる。積層体4の全体に樹脂材料Wが含浸したことを把握するには、なるべく積層体4の下層部に電気容量センサ10a、10bを配設することが好ましい。
【0022】
次いで、積層体4上に、離型フィルム3b、樹脂流路媒体5及び樹脂材料W(主剤,硬化剤,促進剤)の供給チューブ6を順に配設し、これら全体をバキュームバッグ7によって覆い、積層体4を略密閉空間に配置した状態にする。
【0023】
次いで、吸引パイプ9a、9bを通じてバキュームバッグ7の内側の空気を吸引しつつ、供給チューブ6を通じて樹脂材料Wをバキュームバッグ7の内側に供給する。これにより、吸引パイプ9a、9bを通じて空気とともに樹脂材料Wが、バキュームバッグ7の内側から外側に排出され、これと同時に積層体4に樹脂材料Wが含浸されてゆく。
【0024】
このように樹脂材料Wを積層体4に含浸させる過程において、電気容量センサ10a、10bの検知データに基づいて電気容量センサ10a、10b間の電気容量を測定器11によって測定し、この測定した電気容量値をモニタリング装置12に表示する。
【0025】
樹脂材料Wが電気容量センサ10a、10bを配置した位置まで達すると、電気容量センサ10a、10b間の電気容量値が変化するので、モニタリング装置12を監視することによって、樹脂材料Wの積層体4への含浸状況を把握することができる。
【0026】
具体的な測定結果は、樹脂材料Wを積層体4に含浸させる過程での経過時間(H)と積層体4の所定の位置で測定した電気容量(F)との関係を示す図4のとおりである。このように、樹脂材料Wが電気容量センサ10a、10bまで到達すると電気容量が大きくなるので、測定した電気容量値に基づいて、樹脂材料Wの含浸状況を確実に把握することが可能になる。例えば、測定した電気容量値が予め設定した基準値よりも大きくなった場合に、積層体4におけるその所定の位置では、樹脂材料Wが積層体4に均一に含浸したと判断するようにする。
【0027】
このように本発明では、目視することが不可能な積層体4の内部や下部であっても樹脂材料Wの含浸状況を確実に把握できるので、樹脂材料Wの含浸が不十分な状態の積層体を硬化させるような製造不良を防止できる。そのため、高精度で品質の優れた繊維強化プラスチックパネルを製造することができるようになる。また、樹脂材料Wのゲル化、硬化具合を電気容量の変化から判断することもできる。
【0028】
尚、電気容量センサ10a、10bは、2本の導線に限らず、3本以上の導線にしてもよい。電気容量センサとして3本以上の導線を配置した場合は、これら複数本の導線の中、選択した2本の導線間の電気容量を測定する。これにより、積層体4の所定の位置における樹脂材料Wの含浸状況を把握することができる。
【0029】
電気容量センサ10a、10bは、積層体4が硬化した後、積層体4から延出している位置で切断する。積層体4の内部に電気容量センサ10a、10bの一部が残存したままとなるが、繊維強化プラスチックパネルの性能、機能に特に影響を与えるものとはならない。
【0030】
図5に製造装置の別の実施形態を示す。この実施形態は、図1〜図3に例示した実施形態に対して電気容量センサ10a、10bのみを替えたものなので、その相違点のみを説明する。
【0031】
この製造装置では、積層体4を覆うバキュームフィルム7の内側に樹脂材料Wを供給する前に複数本の導線が、互いが通電しない状態で格子状に積層体4の所定の位置に配置されている。これら複数本の導線が、電気容量センサ10a〜10h(この実施形態では8本)になる。そして、樹脂材料Wを積層体4に含浸させる際に、これら複数本の導線の中、交差する2本の導線を順次選択し、その選択した2本の導線間の電気容量を測定する。この測定した電気容量値に基づいて、その交差する位置での樹脂材料Wの含浸状況を把握することができる。
【0032】
この製造装置によれば、格子状に配置された導線の導線どうしが交差するすべての位置で電気容量を測定し、その測定した電気容量値に基づいて樹脂材料Wが含浸した部分(位置)、含浸していない部分(位置)を判断することができる。したがって、樹脂材料Wの含浸が不十分な部分(位置)を容易に特定することができる。
【0033】
この実施形態では、格子状に配置された複数本の導線(電気容量センサ10a〜10h)の中、平行する2本の導線を順次選択し、その選択した2本の導線間の電気容量を測定することもできる。この測定した電気容量値に基づいて、その平行する導線間での樹脂材料Wの含浸状況を把握することができる。
【0034】
図6に製造装置のさらに別の実施形態を示す。この実施形態も、図1〜図3に例示した実施形態に対して電気容量センサ10a、10bのみを替えたものなので、その相違点のみを説明する。
【0035】
この製造装置では、モールド1が金属等の導電材により形成され、モールド1と測定器11とはリード線13により接続されている。このモールド1は、一方の電気容量センサとして用いられる。また、積層体4を覆うバキュームフィルム7の内側に樹脂材料Wを供給する前に、モールド1と通電しない状態で間隔をあけて積層体4の所定の位置に導線が配置されている。この導線が他方の電気容量センサ10a、10b(この実施形態では2本)となる。この実施形態では、モールド1を一方の電気容量センサとして用いるので、他方の電気容量センサ10a、10bとなる導線は、少なくも1本あればよい。電気容量センサとして複数本の導線を配置する場合は、樹脂材料Wを供給する前に互いが通電しない状態に配置する。
【0036】
そして、樹脂材料Wを積層体4に含浸させる際に、積層体4の所定の位置に配置した導線から選択した1本の導線とモールド1との間の電気容量を測定する。この測定した電気容量値に基づいて、その交差する位置での樹脂材料Wの含浸状況を把握することができる。
【0037】
この実施形態においても、図5に例示したように樹脂材料Wを供給する前に複数本の導線を、互いが通電しない状態で格子状に積層体4の所定の位置に配置し、これら導線を他方の電気容量センサとして用いることもできる。
【0038】
図7に別の実施形態の製造装置を構成する樹脂流路媒体5を示す。この実施形態も、図1〜図3に例示した実施形態に対して電気容量センサ10a、10bのみを替えたものなので、その相違点のみを説明する。
【0039】
この製造装置では、図2に示したように積層体4とバキュームフィルム7との間に配置される樹脂流路媒体5に複数本の導線を、互いが通電しないように平行に或いは交差するように配設している。例えば、樹脂流路媒体5の芯線を導線とする。この複数本の導線が電気容量センサ10a、10b、10c、10dとなる。
【0040】
樹脂流路媒体5は、樹脂材料Wを積層体4に含浸させる際に、供給される樹脂材料Wの流れを円滑にする被覆部材であり、例えば、コンティニアスマット等を用いることができる。この実施形態によれば、樹脂流路媒体5を配置することで電気容量センサの配置が完了するので、作業を簡素化することができる。また、樹脂流路媒体5は、樹脂材料Wを積層体4に含浸させた後は、積層体4と分離させて除去する副資材なので、積層体4の内部に電気容量センサ10a、10b、10c、10dとして用いた導線が残存することもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の繊維強化プラスチックパネルの製造装置の概略構成図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図2の繊維補強基材を積層した積層体の拡大断面図である。
【図4】樹脂材料を積層体に含浸させる過程での積層体の所定の位置における電気容量(F)の経時変化を示すグラフ図である。
【図5】繊維強化プラスチックパネルの製造装置の別の実施形態を例示する概略構成図である。
【図6】繊維強化プラスチックパネルの製造装置の別の実施形態を例示する概略構成図である。
【図7】繊維強化プラスチックパネルの製造装置の別の実施形態を構成する樹脂流路媒体を例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 モールド
2 ゴム状弾性シート
3a、3b 離型フィルム
4 積層体
4a 繊維補強基材
5 樹脂流路媒体
6 供給チューブ
7 バキュームバッグ
8 シールテープ
9a、9b 吸引パイプ
10a、10b、10c、10d、
10e、10f、10g、10h 電気容量センサ
11 測定器(LCRメータ)
12 モニタリング装置
13 リード線
W 樹脂材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維補強基材を積層した積層体をモールド上に載置し、該積層体を覆ったカバー部材の内側の空気を吸引しつつ該カバー部材の内側に樹脂材料を供給して、積層体に前記樹脂材料を含浸させた後、該積層体を硬化させる繊維強化プラスチックパネルの製造方法において、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、前記積層体の所定の位置における電気容量を測定し、該測定した電気容量値に基づいて前記樹脂材料の積層体に対する含浸状況を判断するようにした繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項2】
前記積層体を覆ったカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に、積層体の所定の位置に複数本の導線を、互いが通電しない状態で間隔をあけて配置しておき、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、該複数本の導線の中、選択した2本の導線間の電気容量を測定することにより前記積層体の所定の位置における電気容量を測定する請求項1に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項3】
前記複数本の導線を格子状に配置し、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、該複数本の導線の中、交差する2本の導線、或いは平行する2本の導線を順次選択し、その選択した2本の導線間の電気容量を測定することにより前記積層体の所定の位置における電気容量を測定する請求項2に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項4】
前記積層体とカバー部材との間に樹脂流路媒体を配置し、該樹脂流路媒体に前記複数本の導線を配設した請求項2または3に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項5】
前記モールドを導電材により形成するとともに、前記積層体を覆ったカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に、前記積層体の所定の位置に少なくとも1本の導線を、前記モールドと通電しない状態で間隔をあけて配置しておき、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、前記積層体の所定の位置に配置した少なくとも1本の導線と前記モールドとの間の電気容量を測定することにより前記積層体の所定の位置における電気容量を測定する請求項1に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項6】
前記導線を複数本、前記積層体を覆ったカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に互いが通電しない状態で間隔をあけて格子状に配置しておき、前記樹脂材料を積層体に含浸させる際に、該複数本の導線の中、1本の導線を順次選択し、その選択した1本の導線と前記モールドとの間の電気容量を測定する請求項5に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項7】
前記積層体とカバー部材との間に樹脂流路媒体を配置し、該樹脂流路媒体に前記導線を配設した請求項5または6に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。
【請求項8】
繊維補強基材を積層した積層体を載置するモールドと、該モールド上の積層体を覆うカバー部材と、該積層体を覆うカバー部材の内側の空気を吸引する吸引手段と、該積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する樹脂供給手段とを備えた繊維強化プラスチックパネルの製造装置において、前記積層体の所定の位置に配置される電気容量センサと、該電気容量センサの検知データにより電気容量を測定する測定器と、該測定器により測定された電気容量値を表示するモニタリング装置とを設けた繊維強化プラスチックパネルの製造装置。
【請求項9】
前記電気容量センサが、前記積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に互いが通電しない状態で間隔をあけて前記積層体の所定の位置に配置される複数本の導線である請求項8に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造装置。
【請求項10】
前記モールドを導電材により形成するとともに、前記電気容量センサが、前記積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に、前記モールドと通電しない状態で間隔をあけて前記積層体の所定の位置に配置される少なくとも1本の導線である請求項8に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造装置。
【請求項11】
前記導線が複数本、前記積層体を覆うカバー部材の内側に樹脂材料を供給する前に互いが通電しない状態で格子状に配置されている請求項9または10に記載の繊維強化プラスチックパネルの製造装置。
【請求項12】
前記導線が、前記積層体とカバー部材との間に配置される樹脂流路媒体に配設されたものである請求項9〜11のいずれかに記載の繊維強化プラスチックパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−6495(P2009−6495A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167526(P2007−167526)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】