説明

繊維強化成形体及びその製造方法

【課題】軽量、薄肉、高剛性に優れる繊維強化成形体の提供を目的とする。
【解決手段】芯材11と、芯材11の両面に積層された繊維補強材21とから構成し、芯材11は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸して熱硬化性樹脂発泡体を圧縮した状態で熱硬化性樹脂が硬化したものであって、圧縮率が200〜5000%の範囲のものからなり、繊維補強材21は、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸して硬化したものからなり、含浸後の熱硬化性樹脂の樹脂比率が50〜80%であり、芯材11と繊維補強材21を、熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂と炭素繊維織物に含浸した前記熱硬化性樹脂の硬化により一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯材と該芯材の両面に積層された繊維補強材とからなる繊維強化成形体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンの筐体として、軽量、薄肉、高剛性の部材が要求されている。軽量、薄肉、高剛性を目的として形成された成形体として、例えば炭素繊維プリプレグを積層して反応硬化させることにより得られる炭素繊維強化体がある。
【0003】
特許文献1には、炭素繊維の連続繊維を一方向にシート状に配列した繊維強化層の複数層を、特定の配列方向で積層した繊維強化成形品が開示されている。しかし、繊維強化層を構成する炭素繊維が非常に高価なものであるため、繊維強化層の積層数が増えれば増えるほど、繊維強化成形品のコストアップにつながる問題がある。さらに、繊維強化成形品は比重が1.6程度あり、筐体等を構成する部品の軽量化という点では十分ではなかった。
【0004】
また、特許文献2には、空隙を有する芯材と、該芯材の両面に配置された、連続した炭素繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化材とからなるサンドイッチ構造体が開示されている。しかし、ノートパソコンのような携帯機器の筐体部材として要求される薄肉、高剛性という点では十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−209717号公報
【特許文献2】WO2006/028107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、ノートパソコン等の携帯機器の筐体などに好適な軽量、薄肉、高剛性に優れる繊維強化成形体及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、芯材と、前記芯材の両面に積層された繊維補強材とからなる繊維強化成形体において、
前記芯材は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸して前記熱硬化性樹脂発泡体を圧縮した状態で前記熱硬化性樹脂が硬化したものであって、以下の式(A1)で規定される圧縮率が200〜5000%の範囲のものからなり、
前記繊維補強材は、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸して硬化したものからなり、
前記熱硬化性樹脂発泡体及び前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂は、以下の式(B1)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲にあり、
前記芯材と前記繊維補強材が、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した前記熱硬化性樹脂と前記炭素繊維織物に含浸した前記熱硬化性樹脂の硬化により一体化されていることを特徴とする繊維強化成形体。
【0008】
【数1】

【数2】

【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記熱硬化性樹脂発泡体が、ウレタン樹脂発泡体又はメラミン樹脂発泡体からなることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂と前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂が同一であることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項において、前記式(A1)で規定される圧縮率が1000〜2600%であることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、前記熱硬化性樹脂発泡体が圧縮された状態で前記熱硬化性樹脂が硬化した芯材と、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とよりなって、前記芯材の両面に前記繊維補強材が積層されている繊維強化成形体の製造方法であって、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み炭素繊維織物を得る含浸工程と、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の両面に、前記含浸済み炭素繊維織物を配置して積層体を得る積層工程と、前記積層体を圧縮及び加熱する圧縮加熱工程とからなり、前記含浸工程における含浸は、以下の式(B2)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲となるように行い、前記圧縮加熱工程における圧縮は、以下の式(A2)で規定される圧縮率が200〜5000%となるように圧縮し、前記圧縮加熱工程により、前記炭素繊維織物に含浸している熱硬化性樹脂を押し出して前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸させ、前記熱硬化性樹脂を硬化反応させて前記芯材及び前記繊維補強材を形成すると共に、前記芯材と前記繊維補強材を一体化することを特徴とする。
【0015】
【数3】

【数4】

【0016】
請求項8の発明は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、前記熱硬化性樹脂発泡体が圧縮された状態で前記熱硬化性樹脂が硬化した芯材と、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とよりなって、前記芯材の両面に前記繊維補強材が積層されている繊維強化成形体の製造方法であって、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体を得る含浸工程と、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体の両面に炭素繊維織物を配置して積層体を得る積層工程と、前記積層体を圧縮及び加熱する圧縮加熱工程とからなり、前記含浸工程における含浸は、以下の式(B3)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲となるように行い、前記圧縮加熱工程における圧縮は、以下の式(A3)で規定される圧縮率が200〜5000%となるように圧縮し、前記圧縮加熱工程により、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸している熱硬化性樹脂を押し出して前記炭素繊維織物に含浸させ、前記熱硬化性樹脂を硬化反応させて前記芯材及び前記繊維補強材を形成すると共に、前記芯材と前記繊維補強材を一体化することを特徴とする。
【0017】
【数5】

【数6】

【0018】
請求項9の発明は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、前記熱硬化性樹脂発泡体が圧縮された状態で前記熱硬化性樹脂が硬化した芯材と、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とよりなって、前記芯材の両面に前記繊維補強材が積層されている繊維強化成形体の製造方法であって、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂Aを含浸させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体を得る含浸工程Aと、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂Bを含浸させて含浸済み炭素繊維織物を得る含浸工程Bと、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体の両面に前記含浸済み炭素繊維織物を配置して積層体を得る積層工程と、前記積層体を圧縮及び加熱する圧縮加熱工程とからなり、前記含浸工程A及びBにおける含浸は、以下の式(B4)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲となるように行い、前記圧縮加熱工程における圧縮は、以下の式(A4)で規定される圧縮率が200〜5000%となるように圧縮し、前記圧縮加熱工程により、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸している熱硬化性樹脂Aと前記炭素繊維織物に含浸している熱硬化性樹脂Bを接触させた状態で硬化反応させて前記芯材及び前記繊維補強材を形成すると共に、前記芯材と前記繊維補強材を一体化することを特徴とする。
【0019】
【数7】

【数8】

【0020】
請求項10の発明は、請求項7から9の何れか一項において、前記圧縮率が1000〜2600%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
繊維強化成形体に関する本発明は、芯材の両面に積層した繊維補強材に、2方向以上の繊維方向を有する炭素繊維織物が用いられているため、炭素繊維織物が2層で済み、低コスト化を実現することができる。さらに、前記樹脂比率が50〜80%であり、芯材は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸して前記熱硬化性樹脂発泡体を圧縮した状態で熱硬化性樹脂が硬化したものであって、前記圧縮率が200〜5000%の範囲のものからなるため、繊維強化成形体を薄肉にできると共に、軽量性及び高剛性を実現することができる。さらに、芯材に用いられている連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体は、セル(気泡又は気孔とも称される)が連通しているため、熱硬化性樹脂が均一に含浸して芯材部分で熱硬化性樹脂を均一に分散保持する。しかも、熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂発泡体のセル骨格に付着して硬化した状態となるため、熱硬化性樹脂発泡体の全体に亘ってセルの骨格強度が増大する。それにより、繊維強化成形体の曲げ強度向上や芯材と繊維強化補強材との接着強度向上効果が得られる。なお、本発明ではプリプレグを使用しないことから、熱硬化性樹脂が長期間、常温で保管できる。
【0022】
また、繊維強化成形体の製造方法に関する本発明は、低コスト化、薄肉、軽量性及び高剛性を実現できる繊維強化成形体を容易に得ることができる。
なお、請求項1及び7〜9における式(A1)〜式(A4)の圧縮率に関する計算式は何れも同一であり、以下一つの式、例えば式(A1)で圧縮率の式を代表させる。また、請求項1及び7〜9における式(B1)〜式(B4)の樹脂比率に関する計算式は何れも同一であり、以下一つの式、例えば式(B1)で樹脂比率の式を代表させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における繊維強化成形体の一実施形態の断面図である。
【図2】本発明における製造方法の第1実施形態の工程を示す図である。
【図3】本発明における製造方法の第2実施形態の工程を示す図である。
【図4】本発明における製造方法の第3実施形態の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の繊維強化成形体及びその製造方法について図面を用いて説明する。
図1に示す本発明の一実施形態に係る繊維強化成形体10は、芯材11と、前記芯材11の両面に積層一体化された繊維補強材21とからなり、ノートパソコン等の携帯機器の筐体などに用いられる。前記繊維強化成形体10は、所定サイズの板状からなり、厚みが0.3〜2.0mm、曲げ弾性率(JIS K 7074−1988 A法)が30GPa以上、比重1.5以下、好ましくは1.4以下のものである。厚みが0.3mm未満では剛性が得られず、2.0mmより厚いと携帯機器全体が厚くなり適さない。なお、前記繊維強化成形体10は、携帯機器の筐体として用いられる場合、筐体の側壁等が、射出成形等のいわゆるアウトサート成形で、所定の表面位置に適宜立設される。
【0025】
前記芯材11は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸して前記熱硬化性樹脂発泡体を圧縮した状態で前記熱硬化性樹脂が硬化したものであって、前記式(A1)で規定される圧縮率が200〜5000%の範囲、特に好ましくは1000〜2600%のものからなる。前記圧縮率の範囲とすることにより、前記繊維強化成形体10の薄肉化と剛性の向上が図れる。
【0026】
前記連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体は、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂発泡体又はメラミン樹脂発泡体から選択することができる。また、前記繊維強化成形体10に難燃性が求められる場合には、前記熱硬化性樹脂発泡体としては難燃性のものが好ましく、メラミン樹脂発泡体は樹脂単体が良好な難燃性を有するため、前記熱硬化性樹脂発泡体として好適なものである。前記熱硬化性樹脂発泡体の圧縮前の元厚みは、前記圧縮率により異なるが、例えば1〜25mmを挙げる。この範囲に元厚みがあると、適度な量の熱硬化性樹脂を含浸でき、加熱圧縮後の歩留まりも良い。元厚みが1mmより薄いと、含浸した熱硬化性樹脂が保持できず、樹脂比率がばらつく為、曲げ弾性率(剛性)が低下する。元厚みが25mmより厚いと、厚さ2mm以下の繊維強化成形体を得ようとした場合、圧縮が困難で、均一な厚みの繊維強化成形体が得られない。また、前記熱硬化性樹脂発泡体は、圧縮容易性、含浸性、軽量性、剛性の点から、圧縮前の密度が5〜80kg/mのものが好ましい。
【0027】
前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸する熱硬化性樹脂は、特に限定されないが、前記繊維強化成形体10の剛性を高めるためには、熱硬化性樹脂自体がある程度の剛性を有する必要があり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択することができる。また、前記繊維強化成形体10に難燃性が求められる場合、前記熱硬化性樹脂は難燃性のものが好ましい。フェノール樹脂は良好な難燃性を有するため、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸させる熱硬化性樹脂として好適なものである。
【0028】
前記繊維補強材21は、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸し、硬化したものからなる。前記炭素繊維織物は、軽量及び高剛性に優れるものであり、特に、繊維が一方向のみではない織り方のものが好ましく、例えば、縦糸と横糸で構成される平織、綾織、朱子織及び3方向の糸で構成される三軸織などが好適である。また、前記炭素繊維織物は、熱硬化性樹脂の含浸及び剛性の点から、繊維重さが90〜400g/mのものが好ましい。
【0029】
前記炭素繊維織物に含浸する熱硬化性樹脂は、特に限定されないが、前記繊維強化成形体10の剛性を高めるためには、熱硬化性樹脂自体がある程度の剛性を有する必要があり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択することができる。また、前記繊維強化成形体10に難燃性が求められる場合、前記熱硬化性樹脂は難燃性のものが好ましい。フェノール樹脂は良好な難燃性を有するため、前記炭素繊維織物に含浸させる熱硬化性樹脂として好適なものである。
【0030】
また、前記熱硬化性樹脂は、前記式(B1)で規定される樹脂比率が50〜80%、特には55〜70%となるように前記熱硬化性樹脂発泡体及び前記炭素繊維織物に含浸させることが好ましい。前記樹脂比率とすることにより、前記繊維強化成形体10を薄肉化しても軽量性及び剛性をより良好にすることができる。
なお、前記樹脂比率の式における含浸後の重量は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶かして使用した場合には、含浸後に乾燥させて溶剤を除去した後の重量であり、溶剤を除去した後であれば、芯材と前記補強材の一体化前あるいは一体化後の何れでもよい。
【0031】
前記芯材11と前記繊維補強材21との一体化は、前記熱硬化性樹脂が含浸した熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物との積層体を圧縮した状態で前記熱硬化性樹脂を硬化させることによって行うことができる。前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂と前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂とは、同一種類でも異種類でもよいが、前記芯材11と繊維補強材21との接着性を良好にするには同一種類とするのが好ましい。
【0032】
次に、本発明の繊維強化成形体の製造方法について説明する。繊維強化成形体の製造方法は、含浸工程、積層工程、圧縮加熱工程とからなる。
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態の製造方法では、図2に示す(2−1)の含浸工程において、炭素繊維織物21Aに熱硬化性樹脂21Bを含浸させ、含浸済み炭素繊維織物21Cを形成する。前記炭素繊維織物21A及び前記熱硬化性樹脂21Bは、前記繊維強化成形体10において説明したとおりである。含浸時に用いる熱硬化性樹脂21Bは、未硬化の液状からなる。また、含浸を容易にするため、前記熱硬化性樹脂21Bは溶剤に溶かしたものが好ましく、含浸後に、含浸済み炭素繊維織物21Cを前記熱硬化性樹脂の硬化反応を生じない温度で乾燥させることにより、前記含浸済み炭素繊維織物21Cから溶剤を除去する。含浸手段は、液状の熱硬化性樹脂21Bを収容した槽に前記炭素繊維織物21Aを浸ける方法、スプレーにより行う方法、ロールコータにより行う方法等、適宜の方法により行うことができる。
【0033】
前記炭素繊維織物21Aに、前記式(B1)で規定する樹脂比率が、50〜80%、特には55〜70%となるように熱硬化性樹脂21Bを含浸させることが好ましい。
なお、第1実施形態では、前記含浸工程において炭素繊維織物21Aのみに熱硬化性樹脂21Bを含浸させ、前記炭素繊維織物21Aに含浸した熱硬化性樹脂21Bが、後述のように圧縮加熱工程で前記熱硬化性樹脂発泡体11Aに含浸するため、前記樹脂比率の式(B1)における(熱硬化性樹脂含浸後の熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物の合計重量−熱硬化性樹脂含浸前の熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物の合計重量)は、含浸工程において炭素繊維織物21Aに含浸した熱硬化性樹脂21Bの重量と等しい値である。また、前記樹脂比率の式における含浸後の重量は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶かして使用した場合には、含浸後に乾燥させて溶剤を除去した後の重量である。
【0034】
図2に示す(2−2)の積層工程では、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11Aの両面に、前記(2−1)の含浸工程で得られた含浸済み炭素繊維織物21Cを配置して積層体10Aとする。連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11Aは、前記繊維強化成形体10において説明したとおりである。なお、前記積層作業は、次に行う(2−3)の圧縮加熱工程で用いるプレス成形用下型31の上面に、前記含浸済み炭素繊維織物21C、前記熱硬化性樹脂発泡体11A、前記含浸済み炭素繊維織物21Cの順に重ねて行ってもよい。また、前記含浸済み炭素繊維織物21Cと連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11Aは、平面サイズが同サイズのものが好ましいが、異なっていている場合には、後述の圧縮加熱工程後にトリミングすればよい。
【0035】
図2に示す(2−3)の圧縮加熱工程では、前記積層体10Aをプレス成形用下型31と上型33により圧縮すると共に加熱する。圧縮は、前記繊維強化成形体10で説明した式(A1)により得られる圧縮率が200〜5000%、特に好ましくは1000〜2600%となるように調整する。なお、前記プレス成形用下型31と上型33間の間隔を変化させて繊維強化成形体を実際に製造し、得られた繊維強化成形体から圧縮率を計算して目的の圧縮率となる前記プレス成形用下型31と上型33間の間隔を見つける。前記圧縮加熱工程時、前記プレス成形用下型31と上型33間には適宜の位置にスペーサを設置して、前記プレス成形用下型31と上型33間が所定間隔(積層体の所定圧縮厚み)となるようにされる。また、積層体の加熱方法は特に限定されないが、前記プレス成形用下型31と上型33にヒータ等の加熱手段を設けて、前記プレス成形用下型31と上型33を介して加熱するのが簡単である。加熱温度は、前記含浸している熱硬化性樹脂の硬化反応温度以上とされる。
【0036】
前記圧縮加熱工程時に前記積層体10Aが圧縮されると、前記積層体10Aの含浸済み炭素繊維織物21Cから熱硬化性樹脂が押し出され、前記含浸済み炭素繊維織物21Cと接している前記熱硬化性樹脂発泡体11Aに含浸し、前記積層体10Aの全体に含浸する。前記積層体10Aの全体に含浸した熱硬化性樹脂は、加熱により硬化反応を開始し、前記積層体10Aの圧縮状態、すなわち前記熱硬化性樹脂発泡体11Aが圧縮された状態で硬化する。それにより、前記熱構成樹脂発泡体11Aから前記芯材11が形成され、また、前記含浸済み炭素繊維織物21Cから前記繊維補強材21が形成され、前記芯材11と前記繊維補強材21が一体化して前記繊維強化成形体10が形成される。その後、加熱圧縮を解除して前記繊維強化成形体10を得る。
【0037】
製造方法の第2実施形態では、図3に示す(3−1)の含浸工程において、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11Aに熱硬化性樹脂11Bを含浸させ、含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cを形成する。前記連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11A及び前記熱硬化性樹脂11Bは、前記繊維強化成形体10において説明したとおりである。含浸時に用いる熱硬化性樹脂11Bは、未硬化の液状からなる。また、含浸を容易にするため、前記熱硬化性樹脂11Bは溶剤に溶かしたものが好ましく、含浸後に、含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cを前記熱硬化性樹脂の硬化反応を生じない温度で乾燥させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cから溶剤を除去する。含浸手段は、液状の熱硬化性樹脂11Bを収容した槽に前記熱硬化性樹脂発泡体11Aを浸ける方法、スプレーにより行う方法、ロールコータにより行う方法等、適宜の方法により行う。
【0038】
前記熱硬化性樹脂発泡体11Aに、前記式(B1)で規定する樹脂比率が、50〜80%、特には55〜70%となるように前記熱硬化性樹脂11Bを含浸させることが好ましい。
なお、第2実施形態では、前記含浸工程において熱硬化性樹脂発泡体11Aのみに熱硬化性樹脂11Bを含浸させ、前記熱硬化性樹脂発泡体11Aに含浸した熱硬化性樹脂11Bが、後述するように圧縮加熱工程で前記炭素繊維織物21Aに含浸するため、前記樹脂比率の式(B1)における(熱硬化性樹脂含浸後の熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物の合計重量−熱硬化性樹脂含浸前の熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物の合計重量)は、含浸工程において熱硬化性樹脂発泡体11Aに含浸した熱硬化性樹脂11Bの重量と等しい値である。また、前記樹脂比率の式における含浸後の重量は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶かして使用した場合には、含浸後に乾燥させて溶剤を除去した後の重量である。
【0039】
図3に示す(3−2)の積層工程では、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cの両面に、炭素繊維織物21Aを配置して積層体10Bを得る。前記炭素繊維織物21Aは、前記繊維強化成形体10において説明したとおりである。なお、前記積層作業は、次に行う(3−3)の圧縮加熱工程で用いるプレス成形用下型31の上面に、前記炭素繊維織物21A、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11C、前記炭素繊維織物21Aの順に重ねて行ってもよい。また、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cと炭素繊維織物21Aは、平面サイズが同サイズのものが好ましいが、異なっていている場合には、後述の圧縮加熱工程、最終的にトリミングすればよい。
【0040】
図3に示す(3−3)の圧縮加熱工程では、前記積層体10Bをプレス成形用下型31と上型33により、圧縮すると共に加熱する。圧縮は、前記繊維強化成形体10で説明した式(A1)により得られる圧縮率が200〜5000%、特に好ましくは1000〜2600%となるようにされる。なお、第1実施形態と同様に、前記プレス成形用下型31と上型33間の間隔を変化させて繊維強化成形体を実際に製造し、得られた繊維強化成形体から圧縮率を計算して目的の圧縮率となる前記プレス成形用下型31と上型33間の間隔を見つける。前記圧縮加熱工程時、前記プレス成形用下型31と上型33間には適宜の位置にスペーサを設置して、前記プレス成形用下型31と上型33間が所定間隔(積層体の所定圧縮厚み)となるようにされる。また、積層体の加熱方法は特に限定されないが、前記プレス成形用下型31と上型33にヒータ等の加熱手段を設けて、前記プレス成形用下型31と上型33を介して行うのが簡単である。加熱温度は、前記含浸している熱硬化性樹脂の硬化反応温度以上とされる。
【0041】
前記圧縮加熱工程時に前記積層体10Bが圧縮されると、前記積層体10Bの含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cから熱硬化性樹脂が押し出され、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cと接している炭素繊維織物21Aに含浸し、前記積層体10Bの全体に含浸する。前記積層体10Bの全体に含浸した熱硬化性樹脂は、加熱により硬化反応を開始し、前記積層体10Bの圧縮状態、すなわち前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cが圧縮された状態で硬化する。それにより、前記含浸済み熱構成樹脂発泡体11Cから前記芯材11が形成され、また、前記炭素繊維織物21Aから前記繊維補強材21が形成され、前記芯材11と前記繊維補強材21が一体化して前記繊維強化成形体10が形成される。その後、加熱圧縮を解除して前記繊維強化成形体10を得る。
【0042】
製造方法の第3実施形態では、含浸工程が含浸工程Aと含浸工程Bの2種類の含浸工程からなる。
図4に示す(4−1)のように、含浸工程Aでは、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11Aに熱硬化性樹脂11B(請求項9の熱硬化性樹脂Aに相当)を含浸させ、含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cを得る。一方、含浸工程Bでは、炭素繊維織物21Aに熱硬化性樹脂21B(請求項9における熱硬化性樹脂Bに相当)を含浸させ、含浸済み炭素繊維織物21Cを形成する。前記連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体11A、前記熱硬化性樹脂11B、前記炭素繊維織物21A、前記熱硬化性樹脂21Bは、前記繊維強化成形体10において説明したとおりである。含浸時に用いる熱硬化性樹脂11B,21Bは、未硬化の液状からなる。また、含浸を容易にするため、前記熱硬化性樹脂11B,21Bは溶剤に溶かしたものが好ましく、含浸後に、含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11C及び含浸済み炭素繊維織物21Cを、前記熱硬化性樹脂の硬化反応を生じない温度で乾燥させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11C及び含浸済み炭素繊維織物21Cから溶剤を除去する。含浸手段は、液状の熱硬化性樹脂を収容した槽に前記熱硬化性樹脂発泡体あるいは炭素繊維織物を浸ける方法、スプレーにより行う方法、ロールコータにより行う方法等、適宜の方法により行う。
【0043】
前記熱硬化性樹脂発泡体11Aへの前記熱硬化性樹脂11Bの含浸と、前記炭素繊維織物21Aへの熱硬化性樹脂21Bの含浸は、前記式(B1)で規定される樹脂比率が、50〜80%、特には55〜70%となるように含浸させることが好ましい。
第3実施形態では、前記熱硬化性樹脂発泡体11Aに含浸した熱硬化性樹脂11Bの重量と前記炭素繊維織物21Aに含浸した熱硬化性樹脂21Bの重量の合計は、前記樹脂比率の式(B1)における(熱硬化性樹脂含浸後の熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物の合計重量−熱硬化性樹脂含浸前の熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物の合計重量)と等しい値である。なお、前記樹脂比率の式における含浸後の重量は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶かして使用した場合には、含浸後に乾燥させて溶剤を除去した後の重量である。
【0044】
図4に示す(4−2)の積層工程では、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cの両面に、前記含浸済み炭素繊維織物21Cを配置して積層体10Cとする。なお、前記積層作業は、次に行う(4−3)の圧縮加熱工程で用いるプレス成形用下型31の上面に、前記含浸済み炭素繊維織物21C、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11C、前記含浸済み炭素繊維織物21Cの順に重ねて行ってもよい。また、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cと含浸済み炭素繊維織物21Cは、平面サイズが同サイズのものが好ましいが、異なっていている場合には、後述の圧縮加熱工程後、最終的にトリミングすればよい。
【0045】
図4に示す(4−3)の圧縮加熱工程では、前記積層体10Cをプレス成形用下型31と上型33により、圧縮すると共に加熱する。圧縮は、前記繊維強化成形体10で説明した式(A1)により得られる圧縮率が200〜5000%、特に好ましくは1000〜2600%となるようにする。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、前記プレス成形用下型31と上型33間の間隔を変化させて繊維強化成形体を実際に製造し、得られた繊維強化成形体から圧縮率を計算して目的の圧縮率となる前記プレス成形用下型31と上型33間の間隔を見つける。前記圧縮加熱工程時、前記プレス成形用下型31と上型33間には適宜の位置にスペーサを設置して、前記プレス成形用下型31と上型33間が所定間隔(積層体の所定圧縮厚み)となるようにされる。また、加熱方法は特に限定されないが、前記プレス成形用下型31と上型33にヒータ等の加熱手段を設けて、前記プレス成形用下型31と上型33を介して行うのが簡単である。加熱温度は、前記含浸している熱硬化性樹脂の硬化反応温度以上とされる。
【0046】
前記圧縮加熱工程における圧縮により、前記含浸済み炭素繊維織物21Cの熱硬化性樹脂と前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cの熱硬化性樹脂が確実に接触する。そして前記圧縮加熱工程における加熱により、前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cの熱硬化性樹脂と前記含浸済み炭素繊維織物21Cの熱硬化性樹脂が硬化反応を開始し、前記積層体10Cの圧縮状態、すなわち前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体11Cが圧縮された状態で硬化する。それにより、前記含浸済み熱構成樹脂発泡体11Cから前記芯材11が形成され、また、前記含浸済み炭素繊維織物21Cから前記繊維補強材21が形成され、前記芯材11と前記繊維補強材21が一体化して前記繊維強化成形体10が形成される。その後、加熱圧縮を解除して前記繊維強化成形体10を得る。
【実施例】
【0047】
・実施例1
熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(旭有機材料株式会社製、品名;PAPS−4と旭有機材料株式会社製、品名;ヘキサメチレンテトラミンを100:12で混合したもの)をメタノールに30wt%の濃度となるように溶解した。このフェノール樹脂溶液中に平織の炭素繊維織物(東邦テックス株式会社製、品名;W−3101、繊維重さ200g/m)を漬け、取り出した後に25℃の室温にて2時間自然乾燥し、更に60℃の雰囲気下にて1時間乾燥させて含浸済み炭素繊維織物を2枚形成した。炭素繊維織物は、200×300mmの平面サイズに裁断したもの(重量12g/枚)を使用した。乾燥後の含浸済み炭素繊維織物は1枚あたり28gであった。
【0048】
また、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体として、厚み10mm、平面サイズ200×300mm(重量5.4g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトV3012、密度9kg/m)を、炭素繊維織物と同様にしてフェノール樹脂溶液に漬け、取り出した後に25℃の室温にて2時間自然乾燥し、更に60℃の雰囲気下にて1時間乾燥させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体を形成した。乾燥後の含浸済み熱硬化樹脂発泡体の重量は27gであった。また、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)は65%であった。
【0049】
次に、予め離型剤を表面に塗布したSUS製のプレス成形用の下型(平板状)の上に、含浸済み炭素繊維織物、含浸済み熱硬化性樹脂発泡体、含浸済み炭素繊維織物の順に重ねて配置することにより、含浸済み熱硬化性樹脂発泡体の両面に含浸済み炭素繊維織物を配置した積層体をプレス成形用下型上にセットした。その状態で、プレス成形用下型上の積層体を、180℃で3分間、5MPaの面圧をかけてプレス成形用上型(平板状)で押圧し、圧縮及び加熱を行ない、前記圧縮状態でフェノール樹脂を反応硬化させた。その際の成形体の加熱は、上下のプレス型に取り付けられた鋳込みヒーターにより行なった。また、プレス成形用下型と上型間には厚み0.9mmのSUS製スペーサを介在させて下型と上型間の間隔、すなわち積層体の圧縮厚みを調整した。その後、プレス成形用下型と上型を室温で冷却させた後に下型と上型を開き、芯材の両面に繊維補強材が積層一体化した繊維強化成形体を得た。この繊維強化成形体を170×260mmにトリミングして実施例1の繊維強化成形体とした。
【0050】
実施例1の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.30、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2225%であった。また、実施例1の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は、曲げ弾性率が50GPa(繊維方向)であった。
【0051】
・実施例2
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の厚みを5mmとし、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。
実施例2の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.29、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(5mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると1062%であった。また、実施例2の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が49GPa(繊維方向)であった。
【0052】
・実施例3
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の厚みを11.5mmとし、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例3の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.32、全体の厚みは0.9mm、芯材の厚みは0.44mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(11.5mm)と前記芯材の厚み(0.44mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2513%であった。また、実施例3の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が51GPa(繊維方向)であった。
【0053】
・実施例4
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の厚みを1.4mmとし、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例4の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.28、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(1.4mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると225%であった。また、実施例4の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が46GPa(繊維方向)であった。
【0054】
・実施例5
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の厚みを22mmとし、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例5の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.35、全体の厚みは0.9mm、芯材の厚みは0.44mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(22mm)と前記芯材の厚み(0.44mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると4900%であった。また、実施例4の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が51GPa(繊維方向)であった。
【0055】
・実施例6
乾燥後の含浸済み炭素繊維織物の重量が1枚あたり35gであり、乾燥後の含浸済み熱硬化樹脂発泡体の重量が45gであり、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を74%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例6の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.45、全体の厚みは0.98mm、芯材の厚みは0.52mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.52mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると1823%であった。また、実施例6の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K 7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が55GPa(繊維方向)であった。
【0056】
・実施例7
乾燥後の含浸済み炭素繊維織物の重量が1枚あたり22gであり、乾燥後の含浸済み熱硬化樹脂発泡体の重量が16gであり、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を51%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例7の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.30、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2225%であった。また、実施例7の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が45GPa(繊維方向)であった。
【0057】
・実施例8
乾燥後の含浸済み炭素繊維織物の重量が40gであり、熱硬化樹脂発泡体には樹脂を含浸させずに、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を66%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例8の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.30、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2225%であった。また、実施例8の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が50GPa(繊維方向)であった。
【0058】
・実施例9
炭素繊維織物には樹脂を含浸せず、乾燥後の含浸済み熱硬化樹脂発泡体の重量が40gであり、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を54%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例9の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.30、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2225%であった。また、実施例9の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が46GPa(繊維方向)であった。
【0059】
・実施例10
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体としてウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製モルトプレンMF80、密度72kg/m)を用い、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。実施例10の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.35、全体の厚みは0.9mm、芯材の厚みは0.44mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.44mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2172%であった。また、実施例10の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が35GPa(繊維方向)であった。
【0060】
・実施例11
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(DIC株式会社製、品名;エピクロン850とDIC株式会社製、品名;WH−108Sを100:30で混合したもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%である。実施例11の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.30、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2225%であった。また、実施例11の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が49GPa(繊維方向)であった。
【0061】
・比較例1
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の厚みを0.95mmとし、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。比較例1の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.29、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(0.95mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると121%であった。また、比較例1の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が25GPa(繊維方向)であり、各実施例と比べると前記圧縮率が低いことにより、曲げ弾性率(剛性)が低いものであった。
【0062】
・比較例2
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の厚みを30mmとし、熱硬化性樹脂発泡体への熱硬化性樹脂の含浸量を調整して、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を65%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体の成形を行ったが、十分に圧縮できず厚みムラの大きい成形体しか得られなかった。比較例2における圧縮率は、得られる芯材の厚みが実施例1と同じ厚み(0.43mm)になると仮定した場合、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(30mm)を用いて前記圧縮率の式に従って計算すると6877%となり、圧縮率が5000%を超えるために、比較例2では良好な成形体が得られなかった。
【0063】
・比較例3
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の代わりに、独立気泡を有するウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:サーマックス、密度30kg/m)を200×300×厚み5mmに加工したもの(重量9g)を使用し、炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を57%とした以外は実施例8と同様の方法にて繊維強化成形体を得た。比較例3の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.29、全体の厚みは0.90mm、芯材の厚みは0.44mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(5mm)と前記芯材の厚み(0.44mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると1036%であった。また、比較例3の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が22GPa(繊維方向)であり、芯材に独立気泡の発泡体を用いたことにより、各実施例と比べて熱硬化性樹脂が芯材内に均一に分散保持されず、曲げ弾性率(剛性)が低いものであった。
【0064】
・比較例4
炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率(前記樹脂比率の式(B1)で計算した値)を45%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体を得た。比較例4の繊維強化成形体について、比重、全体の厚み及び芯材の厚みを測定した。比重は1.29、全体の厚みは0.89mm、芯材の厚みは0.43mmであった。芯材を構成する熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率は、前記圧縮前の熱硬化性樹脂発泡体の厚み(10mm)と前記芯材の厚み(0.43mm)を用い、前記圧縮率の式に従って計算すると2225%であった。また、実施例7の繊維強化成形体について、剛性を判断するために曲げ弾性率(JIS K7074−1988 A法)を測定した。測定結果は曲げ弾性率が27GPa(繊維方向)であり、樹脂比率が低すぎることにより、各実施例と比べて含まれる熱硬化性樹脂が少なく、曲げ弾性率(剛性)が低いものであった。
【0065】
・比較例5
炭素繊維織物と熱硬化性発泡体全体に含まれる樹脂比率を85%とした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化成形体の成形を行ったが、樹脂比率が高すぎることにより、炭素繊維織物及び熱硬化性発泡体に含まれる熱硬化性樹脂が過剰に多くなって十分に圧縮できず、厚みムラの大きい成形体しか得られなかった。
【0066】
前記各実施例及び比較例における圧縮率、樹脂比率、比重、厚み、曲げ弾性率を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
表1において、熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物がそれぞれ同種類からなり、かつ樹脂比率が同一の実施例1〜5において、圧縮率が225%と低い実施例4は、他の実施例と比べて曲げ弾性率(剛性)が低く、一方、圧縮率が4900%と高い実施例5は比重が高く(重く)なっている。このように、圧縮率が低くなると曲げ弾性率(剛性)が低下する傾向があり、一方、圧縮率が高くなると比重が高く(重く)なる傾向がある。これらの点から、圧縮率は200〜5000%、より好ましくは1000〜2600%である。
【0069】
また、熱硬化性樹脂発泡体と炭素繊維織物がそれぞれ同種類からなり、かつ圧縮率が同一の実施例1、7〜9及び比較例4において、樹脂比率45%の比較例4では曲げ弾性率が27GPaと低いのに対し、樹脂比率66%の実施例8では曲げ弾性率が50GPaと高く、樹脂比率が高くなると曲げ弾性率(剛性)が高くなることがわかる。また、実施例1、7〜9及び比較例4と圧縮比率がほぼ等しく、樹脂比率が74%と高い実施例6は比重が1.45であり、一方、樹脂比率45%の比較例4は比重が1.29、樹脂比率51%の実施例7は比重が1.30であることから、樹脂比率が高くなると比重が高くなる傾向にあることがわかる。これらの点から、樹脂比率は、50〜80%、より好ましくは55〜70%である。
【0070】
このように、本発明の実施例品は、軽量、薄肉、高剛性に優れるものであり、ノートパソコン等の携帯機器の筐体等して好適なものである。
【符号の説明】
【0071】
10 繊維強化成形体
10A,10B,10C 積層体
11 芯材
11A 熱硬化性樹脂発泡体
11B 熱硬化性樹脂
11C 含浸済み熱硬化性樹脂発泡体
21 繊維補強材
21A 炭素繊維織物
21B 熱硬化性樹脂
21C 含浸済み炭素繊維織物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、前記芯材の両面に積層された繊維補強材とからなる繊維強化成形体において、
前記芯材は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸して前記熱硬化性樹脂発泡体を圧縮した状態で前記熱硬化性樹脂が硬化したものであって、以下の式(A1)で規定される圧縮率が200〜5000%の範囲のものからなり、
前記繊維補強材は、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸して硬化したものからなり、
前記熱硬化性樹脂発泡体及び前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂は、以下の式(B1)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲にあり、
前記芯材と前記繊維補強材が、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した前記熱硬化性樹脂と前記炭素繊維織物に含浸した前記熱硬化性樹脂の硬化により一体化されていることを特徴とする繊維強化成形体。
【数9】

【数10】

【請求項2】
前記熱硬化性樹脂発泡体が、ウレタン樹脂発泡体又はメラミン樹脂発泡体からなることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化成形体。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化成形体。
【請求項4】
前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の繊維強化成形体。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂と前記炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂が同一であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の繊維強化成形体。
【請求項6】
前記式(A1)で規定される圧縮率が1000〜2600%であることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の繊維強化成形体。
【請求項7】
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、前記熱硬化性樹脂発泡体が圧縮された状態で前記熱硬化性樹脂が硬化した芯材と、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とよりなって、前記芯材の両面に前記繊維補強材が積層されている繊維強化成形体の製造方法であって、
炭素繊維織物に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み炭素繊維織物を得る含浸工程と、
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体の両面に、前記含浸済み炭素繊維織物を配置して積層体を得る積層工程と、
前記積層体を圧縮及び加熱する圧縮加熱工程とからなり、
前記含浸工程における含浸は、以下の式(B2)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲となるように行い、
前記圧縮加熱工程における圧縮は、以下の式(A2)で規定される圧縮率が200〜5000%となるように圧縮し、
前記圧縮加熱工程により、前記炭素繊維織物に含浸している熱硬化性樹脂を押し出して前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸させ、前記熱硬化性樹脂を硬化反応させて前記芯材及び前記繊維補強材を形成すると共に、前記芯材と前記繊維補強材を一体化することを特徴とする繊維強化成形体の製造方法。
【数11】

【数12】

【請求項8】
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、前記熱硬化性樹脂発泡体が圧縮された状態で前記熱硬化性樹脂が硬化した芯材と、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とよりなって、前記芯材の両面に前記繊維補強材が積層されている繊維強化成形体の製造方法であって、
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体を得る含浸工程と、
前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体の両面に炭素繊維織物を配置して積層体を得る積層工程と、
前記積層体を圧縮及び加熱する圧縮加熱工程とからなり、
前記含浸工程における含浸は、以下の式(B3)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲となるように行い、
前記圧縮加熱工程における圧縮は、以下の式(A3)で規定される圧縮率が200〜5000%となるように圧縮し、
前記圧縮加熱工程により、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸している熱硬化性樹脂を押し出して前記炭素繊維織物に含浸させ、前記熱硬化性樹脂を硬化反応させて前記芯材及び前記繊維補強材を形成すると共に、前記芯材と前記繊維補強材を一体化することを特徴とする繊維強化成形体の製造方法。
【数13】

【数14】

【請求項9】
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、前記熱硬化性樹脂発泡体が圧縮された状態で前記熱硬化性樹脂が硬化した芯材と、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とよりなって、前記芯材の両面に前記繊維補強材が積層されている繊維強化成形体の製造方法であって、
連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂Aを含浸させて含浸済み熱硬化性樹脂発泡体を得る含浸工程Aと、
炭素繊維織物に熱硬化性樹脂Bを含浸させて含浸済み炭素繊維織物を得る含浸工程Bと、
前記含浸済み熱硬化性樹脂発泡体の両面に前記含浸済み炭素繊維織物を配置して積層体を得る積層工程と、
前記積層体を圧縮及び加熱する圧縮加熱工程とからなり、
前記含浸工程A及びBにおける含浸は、以下の式(B4)で規定される樹脂比率が50〜80%の範囲となるように行い、
前記圧縮加熱工程における圧縮は、以下の式(A4)で規定される圧縮率が200〜5000%となるように圧縮し、
前記圧縮加熱工程により、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸している熱硬化性樹脂Aと前記炭素繊維織物に含浸している熱硬化性樹脂Bを接触させた状態で硬化反応させて前記芯材及び前記繊維補強材を形成すると共に、前記芯材と前記繊維補強材を一体化することを特徴とする繊維強化成形体の製造方法。
【数15】

【数16】

【請求項10】
前記熱硬化性樹脂発泡体の圧縮率が1000〜2600%であることを特徴とする請求項7から9何れか一項に記載の繊維強化成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−93175(P2011−93175A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248506(P2009−248506)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【特許番号】特許第4558091号(P4558091)
【特許公報発行日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】