説明

繊維強化熱可塑性プラスチックおよびその製造方法

【課題】表面に摘み皺の少ない炭素繊維ウェブを用いた場合に力学特性及び品質に優れる繊維強化熱可塑性プラスチック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させてなる繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、
前記強化繊維ウェブは、少なくとも強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とからなり、前記強化繊維束(a)は繊維長5〜15mm、前記強化繊維束(b)は繊維長5mm未満であり、前記強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の強化繊維の繊維径が同一の繊維径を有するとともに、前記強化繊維束(a)を30〜99重量%、前記強化繊維束(b)を1〜70重量%を含んでなることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化熱可塑性プラスチックに関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化熱可塑性プラスチックは、比強度、比剛性に優れているため、電気・電子用途、土木・建築用途、自動車用途、航空機用途等に広く用いられている。特に不連続繊維強化基材を熱可塑性樹脂で強化した不連続繊維強化熱可塑性プラスチックは、短い成型時間で複雑形状を成型できる材料であり、なかでもプレス成形用の繊維強化熱可塑性プラスチックは射出成形材料に比べ繊維長が長いため、軽量効果が高く、近年注目が集まっている。このプレス成形用基材の製造方法として、強化繊維ウェブと熱可塑性樹脂シートを積層し加熱、加圧することで、強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸する方法がある。
【0003】
このような繊維強化熱可塑性プラスチックおよびその製造方法について種々の検討がなされてきた。
【0004】
特許文献1(国際公開第2007/097436号公報)には、繊維強化熱可塑性樹脂成形体として、単繊維状の炭素繊維の重量平均繊維長が1〜15mmの範囲であることが記載されている。しかしながら、特許文献1の方法のように単一長さの繊維長をもつ強化繊維を用いる強化繊維ウェブは製造時に基材表面に人の指で摘まれたような摘み皺が多く発生し、品質の良好な繊維強化熱可塑性プラスチックが得られない。
【0005】
特許文献2(特開平9―324390号公報)には、太さの異なる2種類以上の炭素短繊維であって、最も細い炭素短繊維と最も太い炭素短繊維の太さの比が限定された炭素短繊維が、実質的に2次元ランダムな方向に分散させて有機物で結着してなる炭素繊維紙として用いられることが記載されている。しかしながら、特許文献2の方法は細繊維を用いるので繊維の分散性が悪化するため、抄紙基材表面に摘み皺が発生し、熱可塑性樹脂を含浸した際に品質が悪化する。
【0006】
特許文献3(国際公開第2001/056103号公報)には、バインダーとしての有機高分子化合物と炭素繊維とからなり、平均直径5μm未満かつ平均繊維長が3〜10mmの細繊維と含む炭素繊維紙が、電極基材などに好適に用いられる旨が記載されている。しかしながら、特許文献3の方法で得られる基材は、高い力学特性や易加工性が必要とされる成形品に適用することが前提ではなく、この記載を成形に使用することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/097346号公報
【特許文献2】特開平9―324390号公報
【特許文献3】国際公開第2001/056103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、表面に摘み皺の少ない強化繊維ウェブを用いた力学特性及び品質に優れる繊維強化熱可塑性プラスチック及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明を達成するために本発明は、以下の(1)〜(21)を提供する。
(1)強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させてなる繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、
前記強化繊維ウェブは、少なくとも強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とからなり、前記強化繊維束(a)は繊維長5〜15mm、前記強化繊維束(b)は繊維長5mm未満であり、前記強化繊維束(a)を30〜90重量%、前記強化繊維束(b)を10〜70重量%を含んでなることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック。
(2)前記強化繊維ウェブは、強化繊維束(a)の強化繊維本数が20〜70%、強化繊維束(b)の強化繊維本数が30〜80%であることを特徴とする、(1)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(3)強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の少なくとも一方の束が、異なる2種類以上の繊維長が組み合わされてなることを特徴とする、(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(4)強化繊維束(a)と強化繊維束(b)のいずれもが、1種類の繊維長からなることを特徴とする、(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(5)前記強化繊維束の強化繊維の繊維径が同一である、(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(6)前記強化繊維束の強化繊維の繊維径が6μm以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(7)前記強化繊維ウェブの目付が10〜500g/mである、(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(8)前記繊維強化熱可塑性プラスチックの目付が100〜5000g/mである、(1)〜(7)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(9)前記強化繊維ウェブが5〜90重量%であり、熱可塑性樹脂が10〜95重量%ある、(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(10)前記強化繊維束(a)および/または強化繊維束(b)が、炭素繊維束、ガラス繊維束、バサルト繊維束及びアラミド繊維束より選ばれる少なくとも1種以上の強化繊維束である、(1)〜(9)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックを用いる、電気・電子機器部品、土木・建築用部品、自動車・二輪車用の構造部品又は航空機用部品。
(12)(I)強化繊維束を混合する工程、(II)強化繊維ウェブを抄造する工程、(III)強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させる工程により繊維強化熱可塑性プラスチックを製造する繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法において、
前記強化繊維ウェブは、少なくとも強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とからなり、前記強化繊維束(a)は繊維長5〜15mm、前記強化繊維束(b)は繊維長5mm未満であり、前記強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の強化繊維の繊維径が同一の繊維径を有するとともに、前記強化繊維束(a)を30〜90重量%、前記強化繊維束(b)を10〜70重量%を含んでなることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック。
(13)前記強化繊維ウェブは、強化繊維束(a)の強化繊維本数が20〜70%、強化繊維束(b)の強化繊維本数が30〜80%であることを特徴とする、(12)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(14)強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の少なくとも一方の束が、異なる2種類以上の繊維長が組み合わされてなることを特徴とする、(12)または(13)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(15)強化繊維束(a)と強化繊維束(b)のいずれもが、1種類の繊維長からなることを特徴とする、(12)または(13)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(16)前記強化繊維束の繊維径が同一である、(12)〜(15)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(17)前記強化繊維束の繊維径が6μm以上である、(12)〜(16)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(18)前記強化繊維ウェブの目付が10〜500g/mである、(12)〜(17)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(19)前記繊維強化熱可塑性プラスチックの目付が100〜5000g/mである、(12)〜(18)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(20)前記強化繊維ウェブが5〜90重量%であり、熱可塑性樹脂が10〜95重量%ある、(12)〜(19)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
(21)前記強化繊維束(a)および/または強化繊維束(b)が、炭素繊維束、ガラス繊維束、バサルト繊維束及びアラミド繊維束より選ばれる少なくとも1種以上の強化繊維束である、(12)〜(20)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面に摘み皺の少ない強化繊維ウェブを用いた力学特性及び品質に優れる繊維強化熱可塑性プラスチック及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】繊維強化プラスチックの概略平面図である。
【図2】摘み皺を表す拡大図である。
【図3】抄紙装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂プラスチックは、少なくとも強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とを含む強化繊維ウェブを用いた繊維強化熱可塑性プラスチックおよびその製造方法である。
【0013】
強化繊維束とは強化繊維の単繊維から構成される繊維束を意味する。強化繊維としては、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、無機繊維が例示される。炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、気相成長系炭素繊維、これらの黒鉛化繊維などが例示される。PAN系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を原料とする炭素繊維である。ピッチ系炭素繊維は石油タールや石油ピッチを原料とする炭素繊維である。セルロース系炭素繊維はビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とする炭素繊維である。気相成長系炭素繊維は炭化水素などを原料とする炭素繊維である。このうち、強度と弾性率のバランスに優れる点で、PAN系炭素繊維が好ましい。金属繊維としては例えば、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属からなる繊維が挙げられる。有機繊維としては、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレンなどの有機材料からなる繊維が挙げられる。無機繊維としては、ガラス、バサルト、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機材料からなる繊維が挙げられる。なかでも、本発明においては、強化繊維束(a)および/または強化繊維束(b)が、炭素繊維束、ガラス繊維束、バサルト繊維束及びアラミド繊維束より選ばれる少なくとも1種以上の強化繊維束であることが好ましい。ガラス繊維としてはガラス(電気用)、Cガラス(耐食用)、Sガラス、Tガラス(高強度、高弾性率)等が例示されるがこのいずれを用いても良い。アラミド繊維としては強度や弾性率に優れたパラ系アラミド繊維と難燃性、長期耐熱性に優れるメタ系アラミド繊維とが例示される。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維等が挙げられ、メタ系アラミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維などが挙げられる。このうちでメタ系アラミド繊維に比べて弾性率の高いパラ系アラミド繊維が好ましい。バサルト繊維は鉱物である玄武岩を繊維化した物で、耐熱性の非常に高い繊維である。一般に鉄の化合物であるFeOまたはFeOを9〜25%、チタンの化合物であるTiO又はTiOを1〜6%含有する。溶融状態でこれらの成分を増量することも可能である。これらの強化繊維表面には、カップリング剤等の表面改質剤や集束剤が塗布されていてもよく、樹脂によってこれらの成分を変える事が好ましい。これらの強化繊維束は、繊維強化プラスチックとした際に、強化繊維としての補強効果や軽量化の効果に優れている。また、これらの繊維を組み合わせることで複合的な効果が期待でき、例えば炭素繊維とガラス繊維を組み合わせる事で炭素繊維による高い補強効果及び安価なガラス繊維によるコストの低減が可能である。力学特性生産性に優れた繊維強化熱可塑プラスチックを得ることも可能である。さらに好ましくは、強化繊維束(a)が炭素繊維束であり、またさらに好ましくは、強化繊維束(a)および強化繊維束(b)がともに炭素繊維束であると、軽量かつ高強度な繊維強化熱可塑性プラスチックが得られるものである。
【0014】
強化繊維束を構成する強化繊維は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。強化繊維束は、不連続な強化繊維束が好ましく、チョップド繊維がより好ましい。また、強化繊維束を構成する単繊維の本数には、特に制限はないが、生産性の観点からは12,000本以上が好ましく、48,000本以上がさらに好ましい。単繊維の本数の上限については特に制限はないが、分散性や取り扱い性とのバランスも考慮して、300,000本程度もあれば生産性と分散性、取り扱い性を良好に保つことができる。
【0015】
強化繊維束(a)としては、上述した強化繊維のうち1または2種類以上を適宜選択して用い得る。強化繊維束(b)は、前記強化繊維束(a)と繊維長の異なる強化繊維束を1または2種類以上適宜選択して用い得る。同一の繊維長をもつ強化繊維束のみを用いた場合には、本発明の目的を達成することができない。
【0016】
繊維束の長さとは、繊維束を構成する繊維の長さを意味し、繊維束を調製するときに繊維を所定の長さにカットすることにより調整可能である。
【0017】
強化繊維束(a)の繊維長は5〜15mmであり、さらには6〜15mmであることが好ましい。強化繊維束(b)の繊維長は5mm未満であり、4mm以下であることが好ましい。強化繊維束の長さの下限は、通常は0.1mm以上である。強化繊維(a)束もしくは強化繊維束(b)を単独で用いた場合、強化繊維長が5mm未満になると強化繊維の補強効果が低いことや、抄紙工程中で基材が裂けるといった取り扱い性で問題があり、一方で50mmを超えると単繊維が分散しにくくなり、強化繊維ウェブを作製した場合に摘み皺ができやすくなる。これらのような強化繊維により作製した強化繊維ウェブ場合には得られる繊維強化熱可塑性プラスチックの力学特性や品質が低下する。強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を混合し、強化繊維ウェブを用いると強化繊維束(a)によって強化繊維がもつ補強効果を発現できるとともに、強化繊維束(b)によって強化繊維を抄紙する際の繊維束の分散性向上効果が発現し、これらを混合した結果として品質が良好で力学特性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックが実現できるのである。
【0018】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の繊維径は同一であることが好ましい。繊維径が異なる場合、分散性が悪化し強化繊維ウェブの表面に摘み皺ができやすくなる。また、繊維径はともに6μm以上が好ましく、6〜25μmであることがより好ましく、6〜10μmであることがさらに好ましい。強化繊維束の繊維径が6μm未満であると、抄紙した際の繊維分散性が悪化し、強化繊維ウェブに摘み皺が多数発生するため、品質に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックを得ることが難しい。25μmより繊維径が太くなると、強化繊維が密に配置されず、強化繊維ウェブの取り扱い性が悪化する。
【0019】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の配合比は、重量比で強化繊維束(a):強化繊維束(b)=30:70〜90:10であることが重要である。50:50〜70:30であることがより好ましい。強化繊維束(a)が30重量%未満では強化繊維の補強効果が小さくなり、強化繊維束(a)が90重量%以上では強化繊維の分散性が悪化する。上記範囲内とすることにより、分散状態の優れた強化繊維ウェブを得ることができ、品質が良好で力学特性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックが実現できるのである。
【0020】
強化繊維ウェブは5〜15mmの強化繊維の単繊維本数が20〜70%、かつ5mm未満の強化繊維本数が30〜80%であることが好ましい。5〜15mmの強化繊維数が20%未満では強化繊維の補強効果が小さくなり70%以上では強化繊維の分散性が悪化する。
【0021】
このような比率で強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を配合することにより、強化繊維束(a)の有する補強効果と、強化繊維束(b)の均一分散性が両立して発現できるものである。
【0022】
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアミド(ナイロン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂なる群から選ばれた1種もしくは2種以上の樹脂等があげられる。また、樹脂中には難燃性や導電性を付与するため添加剤が含まれていても良い。
【0023】
強化繊維ウェブの目付は、10〜500g/mであることが好ましく、50〜300g/mであることがより好ましい。10g/m未満であると基材の破れなどの取り扱い性に不具合を生じるおそれがあり、500g/mを超えると、湿式法では基材の乾燥に長時間かかることや、乾式法ではウェブが厚くなる場合があり、その後のプロセスで取り扱い性が難しくなる場合がある。
【0024】
次に、本発明に係る繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法について、図を用いて説明する。
【0025】
本発明の製造方法においては、上記強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とを用いて強化繊維ウェブを得、この強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させて繊維強化熱可塑性プラスチックを得るものである。
【0026】
抄造は、湿式法、或いは乾式法のいずれかによることができる。湿式法とは強化繊維束を水中で分散させ抄造する方法であり、乾式法とは強化繊維束を空気中で分散させ抄造する方法である。 湿式法による場合、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の分散を水中で行い得られるスラリーを抄造して強化繊維ウェブを得ることができる。
【0027】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を分散させる水(分散液)は、通常の水道水のほか、蒸留水、精製水等の水を使用することができる。水には必要に応じて界面活性剤を混合し得る。界面活性剤は、陽イオン型、陰イオン型、非イオン型、両性の各種に分類されるが、このうち非イオン性界面活性剤が好ましく用いられ、中でもポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましく用いられる。界面活性剤を水に混合する場合の界面活性剤の濃度は、通常は0.0001質量%以上0.1質量%以下、好ましくは0.0005質量%以上0.05質量%以下である。水(分散液)に対する強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の添加量は、水(分散液)1lに対する量として、通常0.1g以上10g以下、好ましくは0.3g以上5g以下の範囲で調整し得る。前記範囲とすることにより、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)が水(分散液)に効率よく分散し、均一に分散したスラリーを短時間で得ることができる。水(分散液)に対し強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を分散させる際には、必要に応じて撹拌を行う。
【0028】
スラリーとは固体粒子が分散している懸濁液をいい、本発明においては水系スラリーであることが好ましい。 スラリーにおける固形分濃度(スラリー中の強化繊維束(a)および強化繊維束(b)の質量含有量)は、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。上記範囲であることにより抄造を効率よく行うことができる。スラリーの抄造は、上記スラリーから水を吸引して行うことができる。
【0029】
スラリーの抄造は、いわゆる抄紙法に倣って行うことができる。一例を挙げて説明すると、底部に抄紙面を有し水を底部から吸引できる槽に、スラリーを流し込み水を吸引して行うことができる。乾式法による場合、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を気相中で分散させて強化繊維ウェブを得ることができる。すなわち、強化繊維束(b)を気相中で分散させて、分散後の強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を堆積させて、強化繊維ウェブを得ることができる。
【0030】
気相中での分散は、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を非接触式で開繊し開繊した強化繊維束を堆積させて行う方法(非接触式法)、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)に空気流を当てて開繊し、開繊した強化繊維束を堆積させて行う方法(空気流を用いる方法)、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を接触式で開繊し、開繊した強化繊維束を堆積させて行う方法(接触式法)の3種類がある。なかでも、非接触式法は、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)に固体や開繊装置を接触させることなく開繊させる方法である。例えば、空気や不活性ガスなどの気体を強化繊維束に吹き付ける方法、なかでもコスト面で有利な空気を加圧して吹き付ける方法が好ましく挙げられる。
【0031】
空気流を用いる方法において、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)に対し空気流を当てる条件は特に限定されない。一例を挙げると、加圧空気(通常0.1MPa以上10MPa以下、好ましくは0.5MPa以上5MPa以下の圧力がかかるような空気流)を強化繊維束(a)と強化繊維束(b)が開繊するまで当てる。空気流を用いる方法において、使用し得る装置は特に限定されないが、空気管を備え、空気吸引が可能であり、繊維束を収容し得る容器を例示し得る。かかる容器を用いることにより、繊維束の開繊と堆積を一つの容器内で行うことができる。
【0032】
接触式法とは、強化繊維束(a)と強化繊維束(b)に固体や開繊装置を物理的に接触させて開繊させる方法である。接触式法としては、カーディング、ニードルパンチ、ローラー開繊が例示されるが、このうちカーディング、ニードルパンチによることが好ましく、カーディングによることがより好ましい。接触式法の実施条件は特に限定されず、繊維束が開繊する条件を適宜定めることができる。
【0033】
本発明においては、抄造後、得られる強化繊維ウェブを引き取る工程を有してもよい。強化繊維ウェブの引き取りは、ロールに巻き取って行うことができる。引取速度は10m/分以上であることが好ましい。引取速度の上限は通常は、100m/分以下である。
【0034】
強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させる方法としては、樹脂を加熱溶融して、繊維強化材に含浸させる方法(溶融含浸法)、粉末状の樹脂を流動床法や懸濁法によって繊維強化材に塗布・融着させる方法(パウダー法)、樹脂を溶液化し、繊維強化材に含浸後溶媒を除去する方法(溶液含浸法)等いずれの方法を用いても良いが、溶融含浸法を用いることが好ましい。また、強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させる際、強化繊維ウェブは積層させてもよい。
【0035】
繊維強化熱可塑性プラスチックの目付は、100〜5000g/mであることが好ましく、200〜5000g/mであることがより好ましい。100g/m未満であると工程中で基材が裂けるなどの取り扱い性に不具合を生じるおそれがあり、5000g/mを超えると、繊維強化熱可塑性プラスチックの厚みが大きくなり巻き取りやカットが困難になり製造が困難である。
【0036】
強化繊維ウェブは5〜90重量%であり、熱可塑性樹脂が10〜95重量%あることが好ましく、強化繊維ウェブは20〜80重量%であり、熱可塑性樹脂が20〜80重量%であることがより好ましい。炭素強化繊維ウェブが5重量%未満であると強化繊維の効果が得られず、80重量%を超えると、熱可塑性樹脂の含浸が困難になる場合がある。
【実施例】
【0037】
以下実施例によって、本発明の繊維強化成形用基材について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
【0038】
[摘み皺個数の評価]
抄造により得られた抄紙基材の任意の部位より、600mm×600mmの正方形状に抄紙基材を切り出し、目視観察にて抄紙基材表面に発生した摘み皺の数を測定した。測定した摘み皺の数が0個を◎、摘み皺の数が1個以下を○、摘み皺の数が5個以下を△、摘み皺の数が6個以上を×として評価した。
【0039】
[繊維強化プラスチックの目付評価]
抄紙基材に熱可塑性樹脂を含浸して得られた繊維強化成形用基材の任意の部位により、100mm×100mmの正方形状に基材を切り出し、その重量を測定した。測定した基材の目付が理論上の目付量に対して±5%を外れる点が一個以下で◎、1〜3個で○、3〜5個で△、5個以上で×として評価した。
【0040】
[繊維強化プラスチックの力学特性評価]
強化繊維ウェブとポリプロピレン樹脂フィルムを150mm×150mmに切り出して積層し、この積層物を温度200℃、圧力30MPaで5分間プレス成形し、繊維強化プラスチックを得た。この繊維強化プラスチックを複数枚積層し、温度200℃、圧力30MPaで10分間プレス成形し圧力を保持したまま50℃まで冷却、厚み1.3mmの繊維強化プラスチック成形品を得た。得られた成形品を用いて、ISO178法(1993)に従い、曲げ強度をn=10で評価した。なお、曲げ強度の評価結果は実施例1を100として相対値で記載した。
【0041】
[PAN系炭素繊維]
アクリロニトリル(AN)99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により単繊維デニール1d、フィラメント数12,000のアクリル系繊維束を得た。得られたアクリル系繊維束を240〜280℃の温度の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換し、次いで窒素雰囲気中300〜900℃の温度領域での昇温速度を200℃/分とし10%の延伸を行った後、1,300℃の温度まで昇温し焼成した。この炭素繊維束に硫酸を電解質とした水溶液で、炭素繊維1gあたり3クーロンの電解表面処理を行い、さらに浸漬法によりサイジング剤を付与し、120℃の温度の加熱空気中で乾燥し、カートリッジカッターでカットし、PAN系炭素繊維束(A1)を得た。
総フィラメント数:12,000本
単繊維直径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8g/cm3
引張強度(注1):4.2GPa
引張弾性率(注2):230GPa
サイジング種類:ポリオキシエチレンオレイルエーテル
サイジング付着量(注3):1.5質量%
カット長:6.4mm
(注1)引張強度、(注2)引張弾性率の測定条件:
これらは、JIS−R−7601(1999)「樹脂含浸ストランド試験法」に記載された手法により求めた。ただし、測定する強化繊維の樹脂含浸ストランドは、“BAKELITE”(登録商標)ERL4221(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、強化繊維に含浸させ、130℃、30分で硬化させて形成した。また、ストランドの測定本数は、6本とし、各測定結果の平均値を、その強化繊維の引張強度、引張弾性率とした。
(注3)サイジング剤の付着量の測定条件:
試料として、サイジング剤が付着している強化繊維約5gを採取し、耐熱性の容器に投入した。次のこの容器を120℃で3時間乾燥した。吸湿しないようにデシケーター中で注意しながら室温まで冷却後、秤量した重量をW(g)とした。続いて、容器ごと、窒素雰囲気中で、450℃で15分間加熱後、同様にデシケーター中で吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した重量をW(g)とした。以上の処理を経て、強化繊維へのサイジング剤の付着量を次の式により求めた。
(式)付着量(質量%)=100×{(W−W)/W
なお、測定は3回行い、その平均値を付着量として採用した。
【0042】
[分散媒体(B1)]
水と水溶性高分子(住友精化(株)製、PEO−8Z(商品名))を混合し、濃度0.25質量%の分散媒体を得た。分散媒体のB型粘度計で測定される粘度は10mPa・sであった。
【0043】
[メッシュ(C1)]
抄紙基材の製造に使用するメッシュ10として、プラスチックワイヤーメッシュ(日本フィルコン(株)製、SS−400(商品名))を使用した。
タイプ:2重織
メッシュの目開面積:0.01mm
メッシュの通気度:150cm/cm/s
【0044】
[実施例1]
強化繊維束(a)をカートリッジカッターで6.4mmにカットし、チョップド炭素繊維を得た。また、強化繊維束(b)として炭素繊維束を3.2mmにカットし、強化繊維束を得た。
【0045】
製造には図3に示す装置100を用いた。600mm×600mm×600mmの分散槽6の底面には、強化繊維を分散した後、強化繊維を捕集するためメッシュ10を配置した。さらに、メッシュ10のたるみを防止するため、メッシュ10の下部に、厚さ20mmの多孔板の上にメッシュの金網が取り付けてあるメッシュ補強14を配置した。
【0046】
分散槽6の側面のうち対向する側面に150mmピッチで片側3個ずつ、計6個の流体導入口12を、流体導入口12から導入された流体が分散槽6内で衝突するように、相対する流体導入口12それぞれの軸方向中心線がほぼ一直線となるような位置に配置した。ここで流体導入口12のノズル径は直径0.9mmとした。分散槽6内に分散媒体5を160リットル投入し、分散槽6内に繊維束を20g投入し、続いて流体導入口12からエアーを流量6リットル/分で1分間導入し、分散媒体5中で強化繊維束7Aを攪拌した後、流体導入口12からのエアー導入を止め、強化繊維束7Aが強化繊維7Bの単位で分散したスラリー8を調整した。流体導入口12からのエアー導入を止めた直後に、分散媒体除去バルブ13を開き、スラリー8から分散媒体5を真空吸引(図示しない)により除去し、目付が60g/m2の炭素繊維からなる抄紙基材を得た。
【0047】
得られた抄紙基材を100℃の温度で1時間乾燥した。150×150の抄紙基材とPPフィルムを積層し、200℃のプレス熱盤内に投入し、30MPaで10分間プレス成形し、繊維強化熱可塑性樹脂プラスチックを得た。実施条件および得られた繊維強化熱可塑性プラスチックの評価結果を、表1に示した。
【0048】
[実施例2]
強化繊維束(a)の重量比を30%、強化繊維束(b)の重量比を70%として分散槽に投入した以外は実施例1と同様の方法で基材を得た。実施条件および得られた繊維強化熱可塑性プラスチックの評価結果を、表1に示した。
【0049】
[実施例3]
強化繊維束(a)の重量比を80%、強化繊維束(b)の重量比を20%をとして分散槽に投入した以外は実施例1と同様の方法で基材を得た。実施条件および得られた繊維強化熱可塑性プラスチックの評価結果を、表1に示した。
【0050】
[比較例1]
6.4mmの強化繊維束(a)のみで強化繊維ウェブを作製した。それ以外は実施例1と同様の方法で基材を得た。実施条件および得られた繊維強化熱可塑性プラスチックの評価結果を、表1に示した。
【0051】
[比較例2]
3.2mmの強化繊維束(a)のみで強化繊維ウェブを作製した。それ以外は実施例1と同様の方法で基材を得た。実施条件および得られた繊維強化熱可塑性プラスチックの評価結果を、表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
表1から明らかなように、繊維長の異なる強化繊維束(a)と強化繊維束(b)を混合して抄造し、摘み皺のない強化繊維ウェブを用いることにより、品質、力学特性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明において得られる繊維強化熱可塑性プラスチックは、軽量で力学特性にすぐれており、また繊維種により電磁波シールド性や高耐熱性等の性質も付随可能であることから電気・電子機器部品、土木・建築用部品、自動車・二輪車用部品、航空機用部品等の各種用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 強化繊維束(a)
2 強化繊維束(b)
3 炭素繊維ウェブ
4 摘み皺
5 分散媒体
6 分散槽
7A 強化繊維束
7B 強化繊維
8 スラリー
9 抄紙槽
10 メッシュ
11 抄紙基材
12 流体導入口
13 分散媒体除去バルブ
14 メッシュ補強
100 抄紙基材の製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させてなる繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、
前記強化繊維ウェブは、少なくとも強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とからなり、前記強化繊維束(a)は繊維長5〜15mm、前記強化繊維束(b)は繊維長5mm未満であり、前記強化繊維束(a)を30〜90重量%、前記強化繊維束(b)を10〜70重量%を含んでなることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項2】
前記強化繊維ウェブは、強化繊維束(a)の強化繊維本数が20〜70%、強化繊維束(b)の強化繊維本数が30〜80%であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項3】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の少なくとも一方の束が、異なる2種類以上の繊維長が組み合わされてなることを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項4】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)のいずれもが、1種類の繊維長からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項5】
前記強化繊維束の強化繊維の繊維径が同一である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項6】
前記強化繊維束の強化繊維の繊維径が6μm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項7】
前記強化繊維ウェブの目付が10〜500g/mである、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項8】
前記繊維強化熱可塑性プラスチックの目付が100〜5000g/mである、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項9】
前記強化繊維ウェブが5〜90重量%であり、熱可塑性樹脂が10〜95重量%ある、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項10】
前記強化繊維束(a)および/または強化繊維束(b)が、炭素繊維束、ガラス繊維束、バサルト繊維束及びアラミド繊維束より選ばれる少なくとも1種以上の強化繊維束である、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックを用いる、電気・電子機器部品、土木・建築用部品、自動車・二輪車用の構造部品又は航空機用部品。
【請求項12】
(I)強化繊維束を混合する工程、(II)強化繊維ウェブを抄造する工程、(III)強化繊維ウェブに熱可塑性樹脂を含浸させる工程により繊維強化熱可塑性プラスチックを製造する繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法において、
前記強化繊維ウェブは、少なくとも強化繊維束(a)と強化繊維束(b)とからなり、前記強化繊維束(a)は繊維長5〜15mm、前記強化繊維束(b)は繊維長5mm未満であり、前記強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の強化繊維の繊維径が同一の繊維径を有するとともに、前記強化繊維束(a)を30〜90重量%、前記強化繊維束(b)を10〜70重量%を含んでなることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック。
【請求項13】
前記強化繊維ウェブは、強化繊維束(a)の強化繊維本数が20〜70%、強化繊維束(b)の強化繊維本数が30〜80%であることを特徴とする、請求項12に記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項14】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)の少なくとも一方の束が、異なる2種類以上の繊維長が組み合わされてなることを特徴とする、請求項12または13に記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項15】
強化繊維束(a)と強化繊維束(b)のいずれもが、1種類の繊維長からなることを特徴とする、請求項12または13に記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項16】
前記強化繊維束の繊維径が同一である、請求項12〜15のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項17】
前記強化繊維束の繊維径が6μm以上である、請求項12〜16のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項18】
前記強化繊維ウェブの目付が10〜500g/mである、請求項12
〜17のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項19】
前記繊維強化熱可塑性プラスチックの目付が100〜5000g/mである、請求項12〜18のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項20】
前記強化繊維ウェブが5〜90重量%であり、熱可塑性樹脂が10〜95重量%ある、請求項12〜19のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。
【請求項21】
前記強化繊維束(a)および/または強化繊維束(b)が、炭素繊維束、ガラス繊維束、バサルト繊維束及びアラミド繊維束より選ばれる少なくとも1種以上の強化繊維束である、請求項12〜20のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−157524(P2011−157524A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22143(P2010−22143)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】