説明

繊維構造体、繊維構造体の製造方法及び繊維強化複合材の製造方法

【課題】樹脂強化用の繊維構造体及び繊維強化複合材の生産性を高める。
【解決手段】繊維構造体11は、樹脂強化用の繊維束121,131,141,151からなる複数の強化繊維層12,13,14,15と、熱可塑性樹脂製の繊維束161,171,181,191,201からなる複数の樹脂繊維層16,17,18,19,20と、熱可塑性樹脂製の抜け止め糸21と、熱可塑性樹脂製の拘束糸22とから構成されている。繊維構造体11を加熱・加圧すると、樹脂繊維層16〜20、抜け止め糸21及び拘束糸22が溶融し、溶融した熱可塑性樹脂が固化すると、繊維強化複合材11Aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂強化用の繊維構造体、繊維構造体の製造方法、及び繊維構造体によって樹脂を強化した繊維強化複合材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等からなる繊維構造体を強化材として樹脂を強化した繊維強化複合材では、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として採用するのが一般的であるが、成形に時間が掛かるために生産性が低いという問題がある。
【0003】
特許文献1では、多軸織物基材と熱可塑性樹脂フィルムとをステッチ糸(拘束糸)によって縫合して一体化した多軸織物が開示されている。この多軸織物を加熱することによって熱可塑性樹脂フィルムが溶融し、溶融した熱可塑性樹脂が多軸織物基材中に浸透して複合シートが形成される。この複合シートを複数枚積層した物、あるいは1枚を金型内で加熱・プレスすることによって繊維強化複合材が得られる。
【特許文献1】特開2006−291369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、多軸織物基材と熱可塑性樹脂フィルムとをステッチ糸によって縫合する場合、熱可塑性樹脂フィルムの厚みが大きいと、多軸織物基材と熱可塑性樹脂フィルムとにステッチ糸を通すための挿入針を熱可塑性樹脂フィルムに通すことが困難になる。熱可塑性樹脂フィルムの厚みを小さくすれば、熱可塑性樹脂フィルムに挿入針を通しやすくなるが、その場合には熱可塑性樹脂フィルムの枚数が多くなる。この枚数増は、多軸織物基材と熱可塑性樹脂フィルムとを積層する工程の時間を増やし、生産性が悪くなる。
【0005】
本発明は、樹脂強化用の繊維構造体及び繊維強化複合材の生産性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1乃至請求項5の本発明は、繊維で樹脂を強化した繊維強化複合材を製造するために用いられる樹脂強化用の繊維構造体を対象とし、請求項1の発明では、連続繊維からなる強化繊維層と、熱可塑性樹脂製の連続繊維からなる樹脂繊維層と、積層された前記強化繊維層と前記樹脂繊維層とを結合するための拘束糸とを備えている。
【0007】
樹脂強化とは、溶融した樹脂を強化繊維間に含浸させて、樹脂と繊維とを繊維強化複合材として一体化することである。拘束糸の挿入針は、樹脂繊維層を通り易く、熱可塑性樹脂製の連続繊維を配列して樹脂繊維層を形成するのは容易である。従って、繊維構造体の生産性が向上する。
【0008】
好適な例では、前記繊維構造体の最外層は、前記樹脂繊維層である。
樹脂繊維層を溶融して繊維強化複合材を形成したときの樹脂繊維層の表面の平滑が可能である。
【0009】
好適な例では、前記拘束糸は、熱可塑性樹脂製である。
樹脂繊維層を溶融して繊維強化複合材を形成したときに拘束糸も溶融するため、樹脂繊維層の表面の平滑性が高まる。
【0010】
好適な例では、前記拘束糸の樹脂の融点は、前記樹脂繊維層の融点よりも高い。
樹脂繊維層を溶融した後でも暫くの間は拘束糸の溶融がない。これは、樹脂強化用の連続繊維の配列のずれの抑制に寄与する。
【0011】
好適な例では、前記拘束糸に係合する抜け止め糸を備えている。
繊維構造体の最外側の繊維層の繊維配列方向と結合糸の縫合方向とが同じである場合には、この繊維層の外側で抜け止め糸を用いれば、拘束糸の抜けが防止される。
【0012】
請求項6乃至請求項8の発明は、繊維で樹脂を強化した繊維強化複合材を製造するために用いられる樹脂強化用の繊維構造体の製造方法を対象とし、請求項6の発明では、強化繊維層と樹脂繊維層とを積層する積層工程と、積層された前記強化繊維層と前記樹脂繊維層とを結合するように拘束糸を挿入する挿入工程とを備え、前記強化繊維層は、連続繊維を配列して形成され、前記樹脂繊維層は、熱可塑性樹脂製の連続繊維を配列して形成される。
【0013】
連続繊維を配列して強化繊維層及び樹脂繊維層を形成する方法は、繊維構造体の生産性の向上に有利である。
好適な例では、前記拘束糸は、熱可塑性樹脂製である。
【0014】
樹脂繊維層の表面の平滑性が高まる。
好適な例では、前記拘束糸の樹脂の融点は、前記樹脂繊維層の融点よりも高い。
拘束糸の樹脂の融点を樹脂繊維層の融点よりも高くすると、樹脂強化用の連続繊維の配列のずれが抑制される。
【0015】
請求項9及び請求項10の発明は、繊維構造体によって樹脂を強化した繊維強化複合材の製造方法を対象とし、請求項9の発明では、強化繊維層と樹脂繊維層とを積層する積層工程と、積層された前記強化繊維層と前記樹脂繊維層とを結合するように拘束糸を挿入する挿入工程と、前記挿入工程を経て製造された繊維構造体を型内に配置する配置工程と、前記型内で加圧と加熱とを行なう加熱・加圧工程と、加熱・加圧された前記繊維構造体を冷却する冷却工程とを備える。
【0016】
このような製造方法は、繊維強化複合材の生産性を高める。
好適な例では、前記拘束糸は、熱可塑性樹脂製であり、前記拘束糸の樹脂の融点は、前記樹脂繊維層の融点よりも高く、前記加熱・加圧工程は、少なくとも前記拘束糸の樹脂の融点以上に加熱する工程である。
【0017】
このような加熱・加圧工程は、樹脂強化用の連続繊維の配列のずれの抑制に寄与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、樹脂強化用の繊維構造体及び繊維強化複合材の生産性を高めることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、繊維構造体11は、樹脂強化用の繊維束121,131,141,151からなる複数の強化繊維層12,13,14,15と、熱可塑性樹脂製の繊維束161,171,181,191,201からなる複数の樹脂繊維層16,17,18,19,20と、抜け止め糸21と、拘束糸22とから構成されている。抜け止め糸21及び拘束糸22は、熱可塑性樹脂製である。樹脂強化用の繊維束121〜151、熱可塑性樹脂製の繊維束161〜201、抜け止め糸21及び拘束糸22は、連続繊維からなる。
【0020】
強化繊維層12,13,14,15は、隣り合う熱可塑性樹脂製の樹脂繊維層16,17,18,19,20の間に配置されており、繊維構造体11の最外層は、樹脂繊維層16と樹脂繊維層20とである。拘束糸22は、繊維構造体11の厚み方向に繊維構造体11を貫通しており、拘束糸22は、樹脂繊維層16の外側で抜け止め糸21を跨ぐように折り返されている。つまり、拘束糸22は、強化繊維層12〜15と樹脂繊維層16〜20とを積層状態に結合する。
【0021】
図1(b)に示すように、繊維束121は、一方向に引き揃えられている。つまり、繊維束121は、その長さ方向が矢印Xで示す同じ方向(以下においてはX方向と記す)に揃うように配列されている。繊維束131は、その長さ方向が繊維束121の長さ方向(X方向)に対して斜交する矢印B1の方向(以下においてはB1方向と記す)に揃うように配列されている。繊維束141は、その長さ方向が繊維束121の長さ方向(X方向)に対して直交する矢印Yの方向(以下においてはY方向と記す)に揃うように配列されている。繊維束151は、その長さ方向が繊維束121の長さ方向Xに対して斜交する矢印B2の方向(以下においてはB2方向と記す)に揃うように配列されている。
【0022】
繊維束161,171,181,191は、その長さ方向が繊維束121の長さ方向と同じ方向Xに揃うように配列されており、繊維束201は、その長さ方向が方向Yに揃うように配列されている。
【0023】
繊維束121〜151としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の繊維束が用いられる。樹脂繊維層16〜20、抜け止め糸21及び拘束糸22の材質である熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等を採用することができる。
【0024】
図1(d)は、繊維強化複合材の製造工程(繊維構造体11の製造工程を含む)のフローチャートである。以下に積層工程について説明する。
図2(a)に示すように、矩形状の枠体23に所定ピッチで立設された多数のピン24に繊維束161を折り返し係合させてX方向に引き揃えることによって樹脂繊維層16が形成される。樹脂繊維層16の形成後、図2(b)に示すように、ピン24に繊維束121を折り返し係合させてX方向に引き揃えることによって樹脂繊維層16の上に強化繊維層12が形成される。強化繊維層12の形成後、図2(c)に示すように、ピン24に繊維束171を折り返し係合させてX方向に引き揃えることによって樹脂繊維層17が形成される。
【0025】
樹脂繊維層17の形成後、図3(a)に示すように、ピン24に繊維束131を折り返し係合させてB1方向に引き揃えることによって樹脂繊維層17の上に強化繊維層13が形成される。強化繊維層13の形成後、図3(b)に示すように、ピン24に繊維束181を折り返し係合させてX方向に引き揃えることによって樹脂繊維層18が形成される。樹脂繊維層18の形成後、図3(c)に示すように、ピン24に繊維束141を折り返し係合させてY方向に引き揃えることによって樹脂繊維層18の上に強化繊維層14が形成される。
【0026】
強化繊維層14の形成後、図4(a)に示すように、ピン24に繊維束191を折り返し係合させてX方向に引き揃えることによって強化繊維層14の上に樹脂繊維層19が形成される。樹脂繊維層19の形成後、図4(b)に示すように、ピン24に繊維束151を折り返し係合させてB2方向に引き揃えることによって強化繊維層15が形成される。強化繊維層15の形成後、図4(c)に示すように、ピン24に繊維束201を折り返し係合させてY方向に引き揃えることによって強化繊維層15の上に樹脂繊維層20が形成される。
【0027】
以上により積層工程が終了する。
次に、挿入工程について説明する。
例えば特開平8−218249号公報に開示されている方法により、拘束糸22が積層された樹脂繊維層16〜20及び強化繊維層12〜15に挿入される。つまり、挿入針の先端にある孔に拘束糸22を係止した状態で、繊維層12〜20の積層方向〔図1(a)に矢印Zで示す方向〕に挿入針が挿入され、挿入針の孔が樹脂繊維層16を貫通する位置まで挿入針が前進される。その後、挿入針が僅かに後退され、拘束糸22がU字状のループを形成した状態となる。次いで、抜け止め糸針が拘束糸22のU字状のループ内を通過され、繊維層12〜20の端部まで到達した時点で停止される。このとき、抜け止め糸21が抜け止め糸針の先端に係止される。そして、抜け止め糸針が引き戻され、抜け止め糸21が拘束糸22のU字状のループ内に挿通された状態となる。この状態で挿入針が引き戻される。これにより、抜け止め糸21が拘束糸22により締め付けられて繊維構造体11が製作される。
【0028】
以上により挿入工程が終了する。
製作された繊維構造体11は、固定型と可動型とを備えた加熱可能なプレス型(図示略)の固定型内に入れられる(配置工程)。
【0029】
プレス型に入れられた繊維構造体11は、加熱されると共に、可動型のプレス動作によって加圧を受ける(加熱・加圧工程)。この場合の加熱温度は、樹脂繊維層16〜20、抜け止め糸21及び拘束糸22の材質である熱可塑性樹脂の溶融温度(融点)以上である。
【0030】
樹脂繊維層16〜20が完全に溶融するとみなされる時間が経過すると、加熱・加圧を受けた繊維構造体11は、プレス型内で冷却される(冷却工程)。加熱・加圧を受けた繊維構造体11が冷却されて熱可塑性樹脂が固化すると、図1(c)に示す繊維強化複合材11Aが形成される。図1(c)におけるPは、樹脂繊維層16〜20、抜け止め糸21及び拘束糸22が溶融して固化した熱可塑性樹脂を示す。
【0031】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)拘束糸22の挿入針は、樹脂繊維層16〜20と強化繊維層12〜15との積層構造体を挿通し易い。しかも、樹脂繊維層16〜20は、樹脂強化用の連続繊維(繊維束121〜151)を配列して強化繊維層12〜15を形成する過程で、熱可塑性樹脂製の連続繊維(繊維束161〜201)を配列して形成することができ、樹脂繊維層16〜20の形成が容易である。従って、繊維構造体11の生産性が向上する。
【0032】
(2)繊維構造体11の最外層を樹脂繊維層16,20とした構成では、熱可塑性樹脂製の繊維(繊維束161〜201)をプレス型内で溶融して得られる繊維強化複合材11Aの表面の平滑が可能である。
【0033】
(3)拘束糸22及び抜け止め糸21を熱可塑性樹脂製とした構成では、樹脂繊維層16〜20を溶融して繊維強化複合材11Aを形成したときに拘束糸22及び抜け止め糸21も溶融するため、繊維強化複合材11Aの表面の平滑性が高まる。
【0034】
(4)生産性に有利な繊維構造体11を加熱・加圧して繊維強化複合材11Aを製造する方法は、繊維強化複合材11Aの生産性を高める。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
【0035】
○前記した実施形態において、拘束糸22の材質である熱可塑性樹脂の溶融温度(融点)が樹脂繊維層16〜20の材質である熱可塑性樹脂の溶融温度(融点)よりも高くなるように、樹脂繊維層16〜20の材質である熱可塑性樹脂の種類と、拘束糸22の材質である熱可塑性樹脂の種類とを異ならせるようにしてもよい。このようにすれば、樹脂繊維層16〜20が溶融した後でも暫くの間は拘束糸22の溶融がない。これは、樹脂繊維層16〜20の溶融後の各強化繊維層12〜15の繊維の長さ方向を予め規定された方向(X方向、Y方向、B1方向あるいはB2方向)に維持する上で有効である。各強化繊維層12〜15の繊維の長さ方向が予め規定された方向に維持されないとすると、各強化繊維層12〜15の繊維の長さ方向を規定したことによる繊維強化複合材11Aの所望の物性を確保することができない。
【0036】
抜け止め糸21の材質である熱可塑性樹脂の溶融温度(融点)が樹脂繊維層16〜20の材質である熱可塑性樹脂の溶融温度(融点)よりも高くなるようにすれば、一層好ましい。
【0037】
樹脂繊維層16〜20の材質である熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを採用した場合には、拘束糸22及び抜け止め糸21の材質である熱可塑性樹脂としてナイロンを採用することができる。
【0038】
○繊維構造体の最外層が強化繊維層であってもよい。
○繊維の長さ方向が異なり、隣り合った一対の強化繊維層間に樹脂繊維層を介在しないようにしてもよい。
【0039】
○隣り合う一対の強化繊維層の繊維の長さ方向を同じにし、この一対の強化繊維層間に樹脂繊維層を介在するようにしてもよい。
○全ての樹脂繊維層の繊維の長さ方向を同じ方向(例えばX方向、Y方向、B1方向あるいはB2方向のいずれか)に統一してもよい。
【0040】
○樹脂繊維層の繊維の長さ方向をB1方向あるいはB2方向にしてもよい。
○強化繊維層間の結合を強くしたい場合には、結合糸の材質を樹脂強化用の繊維(炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等)と同質の繊維としてもよい。
【0041】
○抜け止め糸の材質を樹脂強化用の繊維(炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等)と同質の繊維としてもよい。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下にその効果と共に記載する。
【0042】
〔1〕前記抜け止め糸は、熱可塑性樹脂製である請求項5に記載の繊維構造体。
抜け止め糸も熱可塑性樹脂製とすれば、樹脂繊維層の表面の平滑性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態を示し、(a)は、繊維構造体の側断面図。(b)は、繊維層の繊維の長さ方向を示すための模式図。(c)は、繊維強化複合材の側断面図。(d)は、繊維構造体の製造方法、及び繊維強化複合材の製造方法を示すフローチャート。
【図2】(a),(b),(c)は、樹脂繊維層及び強化繊維層の形成を説明するための平面図。
【図3】(a),(b),(c)は、樹脂繊維層及び強化繊維層の形成を説明するための平面図。
【図4】(a),(b),(c)は、樹脂繊維層及び強化繊維層の形成を説明するための平面図。
【符号の説明】
【0044】
11…繊維構造体。11A…繊維強化複合材。12〜15…強化繊維層。121〜151…連続繊維である繊維束。16〜20…樹脂繊維層。161〜201…連続繊維である繊維束。21…抜け止め糸。22…拘束糸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維で樹脂を強化した繊維強化複合材を製造するために用いられる樹脂強化用の繊維構造体において、
連続繊維からなる強化繊維層と、
熱可塑性樹脂製の連続繊維からなる樹脂繊維層と、
積層された前記強化繊維層と前記樹脂繊維層とを結合するための拘束糸とを備えた繊維構造体。
【請求項2】
前記繊維構造体の最外層は、前記樹脂繊維層である請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項3】
前記拘束糸は、熱可塑性樹脂製である請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項4】
前記拘束糸の樹脂の融点は、前記樹脂繊維層の融点よりも高い請求項3に記載の繊維構造体。
【請求項5】
前記拘束糸に係合する抜け止め糸を備えている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項6】
繊維で樹脂を強化した繊維強化複合材を製造するために用いられる樹脂強化用の繊維構造体の製造方法において、
強化繊維層と樹脂繊維層とを積層する積層工程と、
積層された前記強化繊維層と前記樹脂繊維層とを結合するように拘束糸を挿入する挿入工程とを備え、
前記強化繊維層は、連続繊維を配列して形成され、前記樹脂繊維層は、熱可塑性樹脂製の連続繊維を配列して形成される繊維構造体の製造方法。
【請求項7】
前記拘束糸は、熱可塑性樹脂製である請求項6に記載の繊維構造体の製造方法。
【請求項8】
前記拘束糸の樹脂の融点は、前記樹脂繊維層の融点よりも高い請求項7に記載の繊維構造体の製造方法。
【請求項9】
繊維構造体によって樹脂を強化した繊維強化複合材の製造方法において、
強化繊維層と樹脂繊維層とを積層する積層工程と、
積層された前記強化繊維層と前記樹脂繊維層とを結合するように拘束糸を挿入する挿入工程と、
前記挿入工程を経て製造された繊維構造体を型内に配置する配置工程と、
前記型内で加圧と加熱とを行なう加熱・加圧工程と、
加熱・加圧された前記繊維構造体を冷却する冷却工程とを備える繊維強化複合材の製造方法。
【請求項10】
前記拘束糸は、熱可塑性樹脂製であり、前記拘束糸の樹脂の融点は、前記樹脂繊維層の融点よりも高く、前記加熱・加圧工程は、少なくとも前記拘束糸の樹脂の融点以上に加熱する工程である請求項9に記載の繊維強化複合材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−47875(P2010−47875A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214457(P2008−214457)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】