説明

自動分析装置

【課題】プローブ洗浄にかかる手間を解消して、分析処理にかかる時間を短縮できる自動分析装置を提供すること。
【解決手段】プローブを洗浄する洗浄液を収容した洗浄液洗浄容器13,15を有し、少なくとも洗浄液を用いてプローブの洗浄を行うプローブ洗浄部11,12と、洗浄液洗浄容器13,15内の洗浄液の液位を測定する液位センサによる測定結果から、洗浄液洗浄容器13,15内の洗浄液量が所定液量未満であるか否かを判定する液量判定部37と、洗浄液洗浄容器13,15内に、洗浄液洗浄容器13,15内に残存している洗浄液中から洗浄液を補充する洗浄液補充機構とを備えた自動分析装置1において、液量判定部37の判定によって洗浄液補充機構が洗浄液を補充することで、洗浄液の自動供給が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを反応させて検体の分析を自動的に行う自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、検体および試薬を反応容器に分注し、検体と試薬とを反応させた後、この検体と試薬との反応液の吸光度を測定して自動的に検体を分析する自動分析装置が知られている。この自動分析装置は、検体と試薬とを分注した後に分注プローブを洗浄する際、洗浄液として洗浄剤やイオン交換水・蒸留水などの純水を用いる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−207944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に示すプローブ洗浄は、洗浄液が容器に収容された状態であり、容器内の洗浄液がなくなると、容器の取替えを行う必要がある。取替え作業に手間を要していたうえ、分析のタイミングによっては分析を中断する必要もあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プローブ洗浄にかかる手間を解消し、分析処理にかかる時間を短縮できる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる自動分析装置は、検体又は試薬を吸引して反応容器に吐出するプローブを有し、前記検体と前記試薬とを前記反応容器内で反応させて前記検体の分析を自動的に行う自動分析装置において、前記プローブを洗浄する洗浄液を収容した洗浄用容器を有し、少なくとも前記洗浄液を用いて前記プローブの洗浄を行うプローブ洗浄部と、前記洗浄用容器内の洗浄液の液位を測定する液位センサと、前記洗浄用容器内に、該洗浄用容器内に残存している前記洗浄液中から前記洗浄液を補充する洗浄液補充機構と、前記液位センサによる測定結果から、前記洗浄用容器内の洗浄液量が所定液量未満である場合に、前記洗浄液補充機構によって前記洗浄液を補充する補充制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記洗浄液を供給する供給源と前記洗浄用容器とを連結する補充配管を備え、前記補充配管は、前記洗浄用容器上部に連結し、前記洗浄用容器内の該洗浄用容器底面近傍まで延伸して配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記補充配管は、端部が前記洗浄用容器底部に沿って屈曲されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記洗浄液補充機構は、前記洗浄用容器側面の底部側に設けた開口部から前記洗浄液を補充することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記洗浄液を貯蔵する貯蔵タンクを備え、前記洗浄用容器および前記貯蔵タンクは、前記洗浄液原液の種類に対応してそれぞれ複数設けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記洗浄用容器は、該洗浄用容器底面に、前記洗浄液を排出する排出孔を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記洗浄用容器は、前記洗浄用容器上部にプローブを挿入する開口部と該開口部を封鎖する蓋とを有し、当該自動分析装置の電源オフ時に、前記開口部が前記蓋によって封鎖されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が、前記開口部が蓋によって封鎖されていないと判定した場合に、前記開口部が封鎖されていない旨を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記洗浄液は、洗浄液原液と希釈液とを混合した希釈溶液であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、洗浄液を自動的に供給するようにしたので、分析処理にかかる時間が短縮でき、分析処理を安定して行うことが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である自動分析装置について、血液や尿等の液体検体を反応容器に分注して検体を分析する自動分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0016】
図1は、実施の形態にかかる自動分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態にかかる自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器10にそれぞれ分注し、分注した反応容器10内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む自動分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学分析を自動的に行なう。なお、反応容器10は、容量が数μL〜数mLと微量な容器であり、測光部28の光源から出射された分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、たとえば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器10は、側壁と底壁とによって液体を保持する液体保持部が形成され、液体保持部の上部に開口を有する。
【0017】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して検体移送部21、検体分注機構22、反応テーブル23、試薬庫24、試薬分注機構26、攪拌部27、測光部28および洗浄部29を備える。
【0018】
検体移送部21は、血液等の液体検体を収容した複数の検体容器21aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック21bを備える。検体移送部21上の所定位置に移送された検体容器21a内の検体は、検体分注機構22によって、反応テーブル23上に配列して搬送される反応容器10に分注される。
【0019】
検体分注機構22は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム22aを備える。このアーム22aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なう検体プローブが取り付けられている。検体分注機構22は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構22は、上述した検体移送部21上の所定の検体吸引位置に移送された検体容器21aの中から、検体プローブによって検体を吸引し、アーム22aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル23上の所定の検体吐出位置に搬送された反応容器10に検体を吐出して分注を行なう。
【0020】
反応テーブル23は、反応容器10への検体や試薬の分注、反応容器10の攪拌、測光、洗浄を行なうために反応容器10を所定の位置まで移送する。この反応テーブル23は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル23の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル23の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0021】
試薬庫24は、反応容器10内に分注される試薬が収容された試薬容器24aを複数収納できる。試薬庫24には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器24aが着脱自在に収納される。試薬庫24は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫24の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器24aを試薬分注機構26による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫24の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫24の下方には、保冷庫が設けられている。このため、試薬庫24内に試薬容器24aが収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器24a内に収容された試薬を冷却し、試薬容器24a内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0022】
試薬分注機構26は、検体分注機構22と同様に、試薬の吸引および吐出を行なう試薬プローブが先端部に取り付けられたアーム26aを備える。アーム26aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。試薬分注機構26は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。試薬分注機構26は、試薬庫24上の所定の試薬吸引位置に移動された試薬容器24a内の試薬をプローブによって吸引し、アーム26aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル23上の所定の試薬吐出位置に搬送された反応容器10に試薬を吐出して分注する。攪拌部27は、反応容器10に分注された検体と試薬との攪拌を行ない、反応を促進させる。
【0023】
測光部28は、たとえば、所定の測光位置に搬送された反応容器10に光源から分析光(340〜800nm)を照射し、反応容器10内の液体を透過した光を分光し、PDA等の受光素子による各波長光の強度測定を行なうことによって、分析対象である検体と試薬との反応液に特有の波長の吸光度を測定する。また、測光部28は、測定した各吸光度を制御部31に出力する。
【0024】
洗浄部29は、洗浄プローブによって、測光部28による測定が終了した反応容器10内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで分析処理が終了した反応容器10を洗浄する。
【0025】
プローブ洗浄部11,12は、洗浄液によってプローブを洗浄する洗浄液洗浄容器13,15と、水によってプローブを洗浄する水洗浄容器14,16とを有する。検体分注機構22及び試薬分注機構26がそれぞれアーム22a,26aをそれぞれ所定の位置まで回転させることで検体プローブまたは試薬プローブの洗浄を行う。
【0026】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、入力部32、分析部33、記憶部34、出力部35および判定部36を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0027】
制御部31は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。
【0028】
入力部32は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部33は、測光部28によって測定された吸光度に基づいて検体の成分分析等を行なう。
【0029】
記憶部34は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部34は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0030】
出力部35は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部35は、図示しない通信ネットワークを介し、外部装置に検体の分析結果を含む諸情報を出力してもよい。
【0031】
判定部36は、液量判定部37と、封鎖判定部38とを有する。液量判定部37は、液位情報をもとに、洗浄液洗浄容器13,15に収容された洗浄液が所定量未満か否かを判定する。また、封鎖判定部38は、洗浄液洗浄容器13,15のプローブ挿入口が封鎖されているか否かの判定を行う。
【0032】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器10に対して、検体分注機構22が検体容器21a中の検体を分注し、試薬分注機構26が試薬容器24a中の試薬を分注した後、測光部28が検体と試薬とを反応させた反応液の分光強度測定を行ない、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行なわれる。また、洗浄部29が測光部28による測定が終了した後に搬送される反応容器10を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行なわれる。
【0033】
ここで、洗浄液洗浄容器13,15に収容される洗浄液の洗浄液補充機構を、図2を用いて説明する。図2は、洗浄液洗浄容器13における洗浄液補充機構を示す模式図である。図2に示す洗浄液補充機構は、洗浄液の原液を収容する原液タンク171と、原液を所定濃度に希釈する希釈溶液タンク172と、原液タンク171と希釈溶液タンク172とを接続するチューブ173と、原液を希釈する希釈液を収容する希釈液タンク174と、希釈液タンク174と希釈溶液タンク172とを接続するチューブ176と、希釈溶液タンク172と洗浄液洗浄容器13とを接続する管175とを有する。チューブ173の原液タンク171側の先端には、異物を除去するフィルター173aが設けられている。チューブ173には、原液タンク171内の原液の希釈溶液タンク172内への注入および注入量を制御する原液用ポンプ173bが設けられている。チューブ176には、希釈液タンク174内の希釈液の希釈溶液タンク172内への注入および注入量を制御する希釈用ポンプ176aが設けられている。管175には、希釈溶液タンク172内の洗浄液の洗浄液洗浄容器13への供給および供給量を制御する液供給ポンプ175aが設けられている。希釈液は、通常は、イオン交換水などの精製水が用いられる。また、希釈溶液タンク172と管175とは、耐薬性の樹脂で形成されるか、耐薬性の樹脂でコーティングされている。なお、洗浄部29と洗浄液が同一である場合、管175を洗浄部29にも連結させて、弁等で送液を制御して共通に用いてもよい。
【0034】
原液用ポンプ173bおよび希釈用ポンプ176aの注入処理によって、所定量の原液および所定量の希釈液が希釈溶液タンク172内に注入され、所定濃度の希釈溶液に調製される。そして、補充処理においては、希釈溶液タンク172内の希釈溶液が、制御部31の制御による液供給ポンプ175aの供給処理によって、管175を介して洗浄液洗浄容器13内に供給され、洗浄液が補充される。ここで、管175は、洗浄液洗浄容器13の底部付近まで延伸されており、洗浄液の追加時に洗浄液の泡立ちを抑制する効果を奏する。また、管175と洗浄液洗浄容器13とは、任意に脱着可能であり、洗浄液洗浄容器13を取り出すことができる。
【0035】
さらに、洗浄液洗浄容器13には、洗浄液洗浄容器13内の希釈溶液量を検出する液位センサ132を有する。液位センサ132は、たとえば、サーミスタを自己発熱させて、液体の有無によって変わるサーミスタの温度変化特性を利用して液体の有無を判定するものでもよく、液体による圧力変化を電気信号に変換して液位を判定してもよい。液位センサ132による液位情報は、液量判定部37に出力され、液量判定部37が、洗浄液洗浄容器13内の洗浄液が所定量より少ないと判定した場合、制御部31は、原液用ポンプ173bおよび希釈用ポンプ176aに注入処理させ、所定量の原液および所定量の希釈液を希釈溶液タンク172内に注入して洗浄液を作成し、管175を介して洗浄液洗浄容器13内に補充させる。
【0036】
また、プローブの洗浄は、洗浄液洗浄容器13のプローブ挿入口131に検体プローブを挿入して洗浄液を吸引することで検体プローブ内部の洗浄を行い、検体プローブを下降させて洗浄液に浸すことで、検体プローブ外周側面を洗浄することができる。吸引された洗浄液は、水洗浄容器14内に吐出する。
【0037】
ここで、水洗浄容器14を、図3を用いて説明する。図3は、図1に示す自動分析装置1の水洗浄容器14を示す模式図である。検体分注機構22によってアーム22aが所定の位置に来ると、検体分注機構22は、アーム22aを下降させる。アーム22aの下降によって検体プローブ221がプローブ挿入口141から水洗浄容器14内に挿入される。検体プローブ221が挿入されると、制御部31は、送液ポンプ182aを作動させて洗浄水タンク181内の洗浄水を、管182を介して洗浄水注入口142から水洗浄容器14内に送り出して、検体プローブ221外周側面を洗浄する。また、水洗浄容器14内に溜められた洗浄水を検体プローブ221が吸引することで検体プローブ221内部の洗浄を行うことができる。水洗浄容器14内に溜まった洗浄水は洗浄水排出口143から管184を経由して廃液タンク183に排出することで水洗浄容器14内の検体プローブの汚れが取り込まれた洗浄水を廃棄して、次のプローブ洗浄におけるコンタミネーションを防止し、洗浄精度を保つことが可能となる。なお、洗浄水排出口143は、図示しない弁によって排出が制御される。
【0038】
また、図4,5を用いて、図2に示す管175の変形例を説明する。図4は、図2に示す洗浄液補充機構における管175の変形例1を示す模式図である。管175の洗浄液洗浄容器13内部の管175の端部は、洗浄液洗浄容器13の底部と平行に屈曲されている。洗浄液の排出が、洗浄液洗浄容器13の底部と平行に排出されることで、より泡立ちの抑制効果を向上させることができる。なお、洗浄液補充機構は、管175を図5に示す配置にしてもよい。図5は、図2に示す洗浄液補充機構における管175の変形例2を示す模式図である。管175は、洗浄液洗浄容器13の側壁底部に連結される。管175を底部に連結することによって、図4に示した変形例1の管175の配置と同様に、洗浄液洗浄容器13の底部に平行に洗浄液を排出することによって、洗浄液洗浄容器13に排出される洗浄液の泡立ちを抑制する効果を奏する。
【0039】
さらに、洗浄液洗浄容器13は、底部に廃液タンク134を備えてもよい。図6は、図2に示す洗浄液補充機構の洗浄液洗浄容器13の変形例3を示す模式図である。変形例3では、洗浄液洗浄容器13の底部に設けられた洗浄液排出口133が廃液タンク134と連結している。廃液タンク134を設けることによって、洗浄液を必要に応じて交換する場合に内部に残存する洗浄液を排出できるほか、プローブが吸引した洗浄液を洗浄液洗浄容器13内に吐出した場合でも新液に交換することが可能となり、コンタミネーションの防止効果を向上させることが可能となる。また、洗浄液中でプローブが吸引及び吐出を繰り返しても任意に新液と交換できるため、洗浄精度を保つことができる。なお、洗浄液排出口133は、図示しない弁によって排出が制御される。洗浄液排出口133を設けることで、洗浄液原液を複数設けた場合にも対応できる。
【0040】
洗浄液の交換は、図2に示した希釈溶液タンク172を洗浄液の原液(原液タンク171)に対応して複数設置し、新たに設置した希釈溶液タンク172と、新たに設置した希釈溶液タンク172と洗浄液洗浄容器13とを連通する管175を新たに配置することで可能となる。希釈液が同一の場合は、チューブ176に弁を設け、送液を制御して各洗浄液原液の希釈を行う。また、管175中に弁を設置して流路を変えることによって、洗浄液洗浄容器13内に送り出す洗浄液を制御しても良い。洗浄液原液が同一で濃度を変更する場合は、希釈溶液タンク172内に残存している洗浄液の残量と濃度とをもとに、希釈液または洗浄液原液を希釈溶液タンク172内に追加して、変更された濃度の洗浄液を調製する。別の洗浄液原液であっても酸、アルカリ等の性質が同一であれば、希釈溶液タンク172を洗浄して使用してもよい。なお、希釈溶液タンク172内の洗浄には、希釈液を用いて洗浄し、希釈溶液タンク172から管175を経由して洗浄液洗浄容器13に希釈液を送って廃液タンクに廃棄することで、希釈溶液タンク172と、管175と、洗浄液洗浄容器13とを洗浄することができる。
【0041】
ここで、洗浄液洗浄容器13は、プローブ挿入口131に蓋135を設けることが好ましい。図7は、図2に示す洗浄液補充機構の洗浄液洗浄容器13の変形例4を示す模式図である。特に、酸性の洗浄液を用いる場合、蓋135を設けることで、揮発性のある洗浄液による装置への影響を防止することができる。また、蓋135は、制御部31の制御によって作動し、プローブ挿入口131の開閉が行われる。なお、装置の電源オフ時、封鎖判定部38が、蓋135によってプローブ挿入口131が封鎖されていないと判定した場合、制御部31は、プローブ挿入口131が封鎖されていない旨を報知するよう出力部35に指示を出す。封鎖判定部38は、プローブ挿入口131内壁と、蓋135内部とに設けられた磁気センサを用いて、プローブ挿入口131が封鎖されているか否かの判定を行う。なお、プローブ挿入口131付近に設置したセンサによって判定してもよい。
【0042】
また、洗浄液洗浄容器を複数設けてもよい。図8は、図1に示す自動分析装置1の変形例を示す模式図である。図8では、プローブ洗浄部12において洗浄液洗浄容器15,17が設けられている。たとえば、処理に用いる洗浄液が酸性とアルカリ性である場合、混合すると危険であるうえ、洗浄液の交換に時間を要してしまうため、洗浄液洗浄容器15,17に分けて収容し、必要に応じて各洗浄液洗浄容器15,17を選択してプローブを洗浄することで酸とアルカリとの混合等による危険を回避させることができる。洗浄液洗浄容器を複数設けることによって、分析処理で複数の洗浄液が必要な場合にも対応できる。なお、複数の洗浄液洗浄容器に同一の洗浄液を収容して、プローブの洗浄を行ってもよい。
【0043】
本実施の形態にかかる自動分析装置においては、液量判定部が洗浄液洗浄容器内の洗浄液の液位情報から洗浄液の補充の有無を判定し、洗浄液補充機構が洗浄液を補充することによって、自動的に洗浄液を補充することが可能となる。また、洗浄液を洗浄液洗浄容器内に補充する管を、洗浄液洗浄容器底部付近に配置することで、洗浄液を補充する際の泡立ちを抑制することで、洗浄液洗浄容器内に設置された液位センサ、または各プローブに設置された分注用の液位センサの誤検知を防止することができる。
【0044】
なお、図2に示した洗浄液補充機構は、洗浄液洗浄容器15,17にも適用され、水洗浄容器16は、図3に示した水洗浄容器14と同様の構成である。
【0045】
また、上述した実施の形態に限らず、たとえば、検体の免疫学的な分析を行う自動分析装置に対して適用することも可能である。すなわち、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態にかかる自動分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す自動分析装置の洗浄液補充機構を示す模式図である。
【図3】図1に示す自動分析装置の水洗浄容器を示す模式図である。
【図4】図2に示す洗浄液補充機構における管の変形例1を示す模式図である。
【図5】図2に示す洗浄液補充機構における管の変形例2を示す模式図である。
【図6】図2に示す洗浄液補充機構の洗浄液洗浄容器の変形例3を示す模式図である。
【図7】図2に示す洗浄液補充機構の洗浄液洗浄容器の変形例4を示す模式図である。
【図8】図1に示す自動分析装置の構成の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 自動分析装置
2 測定機構
3 制御機構
10 反応容器
11,12 プローブ洗浄部
13,15,17 洗浄液洗浄容器
14,16 水洗浄容器
131,141 プローブ挿入口
132 液位センサ
133 洗浄液排出口
134 廃液タンク
135 蓋
142 洗浄水注入口
143 洗浄水排出口
171 原液タンク
172 希釈溶液タンク
173,176 チューブ
173a フィルター
173b 原液用ポンプ
174 希釈液タンク
175,182,184 管
175a 供給ポンプ
176a 希釈用ポンプ
181 洗浄水タンク
182a 送液ポンプ
183 廃液タンク
21 検体移送部
21a 検体容器
21b 検体ラック
22 検体分注機構
221 検体プローブ
22a,26a アーム
23 反応テーブル
24 試薬庫
24a 試薬容器
26 試薬分注機構
27 攪拌部
28 測光部
29 洗浄部
31 制御部
32 入力部
33 分析部
34 記憶部
35 出力部
36 判定部
37 液量判定部
38 封鎖判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体又は試薬を吸引して反応容器に吐出するプローブを有し、前記検体と前記試薬とを前記反応容器内で反応させて前記検体の分析を自動的に行う自動分析装置において、
前記プローブを洗浄する洗浄液を収容した洗浄用容器を有し、少なくとも前記洗浄液を用いて前記プローブの洗浄を行うプローブ洗浄部と、
前記洗浄用容器内の洗浄液の液位を測定する液位センサと、
前記洗浄用容器内に、該洗浄用容器内に残存している前記洗浄液中から前記洗浄液を補充する洗浄液補充機構と、
前記液位センサによる測定結果から、前記洗浄用容器内の洗浄液量が所定液量未満である場合に、前記洗浄液補充機構によって前記洗浄液を補充する補充制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記洗浄液を供給する供給源と前記洗浄用容器とを連結する補充配管を備え、
前記補充配管は、前記洗浄用容器上部に連結し、前記洗浄用容器内の該洗浄用容器底面近傍まで延伸して配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記補充配管は、端部が前記洗浄用容器底部に沿って屈曲されていることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記洗浄液補充機構は、前記洗浄用容器側面の底部側に設けた開口部から前記洗浄液を補充することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗浄液を貯蔵する貯蔵タンクを備え、
前記洗浄用容器および前記貯蔵タンクは、前記洗浄液原液の種類に対応してそれぞれ複数設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄用容器は、該洗浄用容器底面に、前記洗浄液を排出する排出孔を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄用容器は、前記洗浄用容器上部にプローブを挿入する開口部と該開口部を封鎖する蓋とを有し、
当該自動分析装置の電源オフ時に、前記開口部が前記蓋によって封鎖されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が、前記開口部が蓋によって封鎖されていないと判定した場合に、前記開口部が封鎖されていない旨を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記洗浄液は、洗浄液原液と希釈液とを混合した希釈溶液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−71897(P2010−71897A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241694(P2008−241694)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】