説明

自動検査装置

【課題】ピックアップ機構などの振り分け装置を用いることなく、低コストで良否の判定結果に基づく振り分けを行えるようにした自動検査装置を提供する。
【解決手段】検査対象であるプリント基板を保持するステージ2、このステージ2によって保持されたプリント基板をカメラ43の画像取得領域46まで移動させる移動機構3とを備え、カメラ43によって撮影された画像に基づく良否の結果に基づいて検査対象物を回収部5する自動検査装置1において、ステージ2を左右一対の保持体要素21で構成し、これら保持体要素21間の距離をカメラ43による判定結果に基づいて画像取得領域46の後段で拡大させるプリント基板を落下させる平行リンク機構20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の形成状態を検査する自動検査装置に関するものであり、より詳しくは、回収機構を簡素化して低コスト化を図れるようにした物品の自動検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、検査対象物の形成状態を検査する場合、カメラを用いた自動検査装置が用いられる。この自動検査装置のうち、最も一般的な構成について図12を用いて説明すると、図12において、71はスタッカであり、検査対象物を集積するものである。なお、ここで、スタッカ71内には、検査対象物6としてプリント基板が集積されているものとする。また、72aは、このスタッカ71からプリント基板を吸着してステージ上に載置するピックアップ機構である。73は、ステージであり、駆動機構を用いて検査対象物であるプリント基板をカメラの下方まで搬送するものである。74は、照明装置やカメラによって構成される撮像手段であって、取得された画像に基づいてプリント基板の良否を判定できるようにしたものである。また、75は、振り分け機構であり、良否の判定結果に基づいてプリント基板をピックアップするピックアップ機構72bと、そのピックアップされたプリント基板を良品用の回収部や不良品用の回収部76を備えるものである。
【0003】
このような装置を用いれば、オペレーターは複数の検査対象物6をスタッカ71に集積するだけで、あとは、自動で良品と不良品に分けてプリント基板を回収することができるというメリットがある。
【0004】
また、下記の特許文献1には、ピックアップ機構を設けることなくプリント基板を回収できるようにした装置が提案されている、
【0005】
この装置の概要を図13に示すと、この自動検査装置は、検査対象物6を載置して搬送する第一のコンベアベルト81と、第一のコンベアベルト81上でカメラ83によって検査した後、その検査対象物6を受け取る第二のコンベアベルト82とを備え、第二のコンベアベルト82の間隔をモーター84で広げることでプリント基板を落下させて回収させるようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−165603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図12や図13に示すような検査装置では、次のような問題がある。
【0007】
すなわち、図12に示すような高機能な自動検査装置では、ピックアップ機構、振り分け回収するための首振り機構などを設けているため、装置が高価かつ大型なものとなり、検査枚数の少ないユーザーによる使用には余り適していない。
【0008】
一方、図13に示すようなコンベアベルトの幅を広げるような装置では、比較的重いコンベアベルト82やこれを駆動するモーターなどをまとめて横方向にスライドさせなければならないため、別に大きな駆動力を有するモーター84などを設ける必要がある。さらには、第二のコンベアベルト82を横方向にスライドさせる場合、正確に横方向へスライドさせなければ、次の検査対象物6を搬送する際に、その検査対象物6が斜めに搬送されてしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、ピックアップ機構やベルトを横方向にスライドさせるためのモーターなどを用いることなく、低コストで検査対象物を検査して回収できるようにした自動検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、検査対象物の端部または/および下面を保持する保持体と、当該保持体によって保持された検査対象物をカメラの画像取得領域まで移動させる移動機構とを備え、前記カメラによって撮影された画像に基づく良否の結果に基づいて検査対象物を回収する自動検査装置において、前記保持体を、検査対象物の搬送方向と直交する方向に移動させうる一対の保持体要素で構成し、当該保持体要素間の距離を前記移動機構上で離間させる離間機構を備えるようにしたものである。
【0011】
このようにすれば、従来のようなピックアップ機構やベルトを横方向にスライドさせるモーターなどを用いることなく、保持体要素を離間させるだけで検査対象物を回収することができるようになる。これにより、装置を低コストに仕上げることができる。
【0012】
また、このような発明において、前記移動方向におけるカメラの画像取得領域の後段に被接触部材を設けるとともに、前記保持体要素に、当該被接触部材に接触する接触部材を設け、この接触部材を前記被接触部材に接触させることによって、互いの保持体要素の距離を離間させる。
【0013】
このようにすれば、接触部材を接触させるだけで保持体要素を離間させることができるため、極めて簡単な構成で検査対象物を回収することができるようになる。
【0014】
さらに、画像取得による検査の結果、良品と判断された場合に保持体要素間の距離を離間させるとともに、画像取得による検査の結果、不良品と判断された場合に、当該検査対象物を前記移動方向におけるカメラの画像取得領域の前段まで戻すようにする。
【0015】
このようにすれば、不良品と判定された検査対象物を前段まで戻すようにしたので、その位置で検査者が目視検査をすることができ、直前に判断された検査対象物の判定データと見比べることで、素早く目視検査することができるようになる。
【0016】
また、保持体要素を離間させる位置の下方に、検査対象物を回収する回収箱を備え、その回収箱に、落下してくる検査対象物の衝撃を緩和させる緩和手段を設けるようにする。
【0017】
このようにすれば、既に回収された検査対象物を傷つけることなく検査対象物を回収することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検査対象物の端部または/および下面を保持する保持体と、当該保持体によって保持された検査対象物をカメラの画像取得領域まで移動させる移動機構とを備え、前記カメラによって撮影された画像に基づく良否の結果に基づいて検査対象物を回収する自動検査装置において、前記保持体を、検査対象物の搬送方向と直交する方向に移動させうる一対の保持体要素で構成し、当該保持体要素間の距離を前記移動機構上で離間させる離間機構を備えるようにしたので、従来のようなピックアップ機構やベルトを横方向にスライドさせるモーターなどを用いることなく、保持体要素を離間させるだけで検査対象物を回収することができるようになる。これにより、装置を低コストに仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、第一の実施の形態における自動検査装置1の断面概略図を示したものであり、図2は、本発明の保持体であるステージ2の構造を示した平面図であり、また、図3は、そのステージ2を側面から見た図である。
【0020】
この実施の形態における自動検査装置1は、卓上などに設置して使用できるようにしたものであって、図1に示すようなフレーム12で囲まれた筐体11内に、オペレーターが検査対象物6を載置するためのステージ2と、このステージ2をカメラ43の撮像位置まで移動させるための移動機構3と、カメラ43の撮影に基づく検査の結果、良品であると判定された場合にその検査対象物6をステージ2から落下させて回収する回収部5とを備えてなる。そして、オペレーターの手によって検査対象物6をステージ2上に載置し、また、不良と判定された検査対象物6のみを手で回収することによって、従来のようなスタッカやピックアップ機構などを省略し、製品の低コスト化を図れるようにしたものである。以下、第一の実施の形態における自動検査装置1の構成について詳細に説明する。
【0021】
図1に示す筐体11は、側面から見た場合に略三角形状をなすようにしたもので、オペレーターが位置する側の前面を奥方に傾斜させるように構成される。そして、このように前面を傾斜させることによって、その前面に設けられた開口部13から検査対象物6を出し入れさせやすくするとともに、この開口部13の上方に設けられたディスプレイ14を見ながら、開口部13まで戻ってきた検査対象物6をステージ2上で目視検査できるようにしている。なお、この実施の形態において、説明の便宜上、前面から奥方に向かった方向をX方向とし、X方向に対して水平方向に直交する方向をY方向、鉛直方向をZ方向とする。
【0022】
この筐体11内に設けられるステージ2は、図2に示すように、検査対象物6を両側から保持できるようにしたものであって進行方向(X方向)に対して左右一対の保持体要素21を備える。これらの保持体要素21は、対称的に構成されるものであって、検査対象物6の端部を下から載置する載置部21aと、この検査対象物6の端部を挟み込む挟持部21bとを備えてなり、検査対象物6を載せた状態で両側から挟み込めるようにしている。この保持体要素21は、図3に示すように、その下方に設けられた固定部22上に取り付けられ、二本のアーム24を介して平行リンク機構20を構成している。この固定部22は、移動機構3を構成する一対の平ベルト32に固定された状態でX軸方向に移動し、その際、移動部材を構成する平ベルト32と平行に設けられた金属製のスライドレール33上を滑って移動する。この平ベルト32は、無端状をなしており、開口部13から回収部5までの間を一本のベルトで構成され、かつ、各平ベルト32の間隔は、検査対象物6を内側に落下させることができるような間隔に設定される。なお、ここで、移動部材として、内側に凹凸を有するタイミングベルトを使用することもできるが、このようなタイミングベルトを用いると、ベルト内側の凹凸とカムプーリとの接触によって振動が発生し、カメラ43による画像取得時に画像が乱れることがある。このため、この実施の形態において、平ベルト32とプーリ31を用いて固定部22をスムーズに移動させるようにしている。
【0023】
この固定部22に取り付けられた二本のアーム24は、図2に示すように、ヒンジ23間の距離を同じに設定した平行なものであって、固定部22に対して回転可能に取り付けられる。これらのアーム24の取り付け角度については、図4に示すように、固定部22の進行方向(X方向)に対する角度を小さく設定すると、Y方向に対する保持体要素21の変位速度を大きくして素早く検査対象物6を落下させることができるが、このようにX方向に対する設定角度が小さいと、変位可能量を大きくすることができず、検査対象物6が引っ掛かって落ちなくなる可能性がある。一方、図5に示すように、X方向に対する角度を大きく設定すると、保持体要素21の変位可能量を大きくして確実に検査対象物6を落下させることができるが、今度は逆に、変位開始時における変位速度が小さくなるため、検査対象物6が引っ掛かって斜めに落下してしまうことがある。そこで、ここでは試行錯誤の結果、最適な角度としてX方向に対して20度〜45度の範囲内にアーム24を設定する。
【0024】
一方、この二本のアーム24のうち、進行方向の前方側に設けられるアーム24は、L字状に屈曲させた突出部25を設ける。この突出部25は、図7(a)に示すように、ステージ2を前方側へ移動させた際に、その前方に設けられたフレーム12aに接触させようにしたもので、本発明における接触部材を構成する。そして、その突出部25を接触させた状態から、さらに前方に保持体要素21を移動させ(図7(b))、互いの保持体要素21間の距離を離間させて、検査対象物6を落下させる。
【0025】
このように落下した検査対象物6は、その下方に設けられた回収部5によって回収される(図1参照)。この回収部5は、落下してきた検査対象物6を回収できる大きさを有するもので、図1における紙面垂直方向に引き出せるようになっている。なお、このように検査対象物6を落下させる場合、落下距離が長いと、その落下の衝撃によって、検査対象物6の表面に傷を生じさせる可能性がある。このため、落下距離が長い場合については、その衝撃を緩和するために衝撃緩和手段を設けるようにする。この衝撃緩和手段としては、例えば、検査対象物6を載置する載置面の下方にバネなどの弾性部材51を取り付けておき、この弾性部材51による衝撃吸収によって衝撃を緩和する方法や、あるいは、空気圧などを利用して落下してくる検査対象物6との衝撃などを緩和する方法などが考えられる。このような衝撃緩和手段は、落下距離が小さい場合には特に設ける必要はないが、この実施の形態では、落下距離が大きいとして弾性部材51を設けるようにしている。
【0026】
図1において、43は、カメラであって、照明装置4によって照射された光のうち、検査対象物6やミラー45によって反射した光を受光する。照明装置4については、LEDや蛍光灯、ハロゲンランプなどを用い、均一な光を検査対象物6に照射できるようにしている。この照明装置4は、略三角形状に組み込まれたフレーム12に対してブラケット41を介してスライド可能に取り付けられ、また、そのブラケット41に垂直に設けられた棒状部材42に介してスライドできるようにすることで、任意の位置から光を照射できるようにしている。また、カメラ43は、この実施の形態においては、レンズを斜め上向きにしてフレーム12に取り付けられ、その前方にミラー45を取り付けることで検査対象物6の画像を取得する。このカメラ43についても、略三角形状をなすフレーム12にブラケット44を介してスライド可能に取り付けられ、これによって、任意の位置に取り付けられるようにしている。そして、このようにミラー45を用いて画像を取得できるようにすることによって、筐体11をコンパクト化し、卓上などに設置できるようにする。
【0027】
一方、移動機構3を構成する平ベルト32の近傍には、図1に示すように、複数のセンサが取り付けられる。この複数のセンサうち、最も開口部13側に近い第一センサ34は、ステージ2を開口部13側へ戻す際にステージ2の移動を停止させる。また、最も奥方に設けられる第二センサ35は、検査対象物6が不良品であると判定された場合に、ステージ2の突出部25をフレーム12aに当接させる直前で停止させ、開口部13側へ引き戻させる。これらの第一センサ34や第二センサ35は、ステージ2の下方に設けられた2つの舌片26によって遮光状態を検出する。
【0028】
次に、このように構成された自動検査装置1における動作例を、図8のフローチャートおよび図6や図7の動作状態図を用いて説明する。
【0029】
まず、検査対象物6である検査対象物6を検査する場合、オペレーターは開口部13から検査対象物6を投入して、これをステージ2上に載置する(図6(a))。そして、図示しないスタートボタンを押下することによってステージ2を奥方へ移動させるとともに(ステップS1)、その移動途中にカメラ43の画像取得領域46内で画像を取得する(図6(b)、ステップS2)。この取得された画像は、自動検査装置1の判定部によって判定され、その良否の結果が出力される(ステップS3)。ここで、判定部によって良品であると判定された場合は(ステップS4)、さらに奥方へステージ2を移動させ、第二センサ35によってステージ2の移動が検出された位置から所定距離だけ奥方へステージ2を移動させ、そこで、移動機構のモーターの力を利用して、突出部25をフレーム12aに押し当てる(図6(c)および図7(a)、ステップS5)。このように突出部25がフレーム12aに押し当てられると、左右両側の保持体要素21が平行リンク機構20を介して互いに離間する方向へ変位し、これによって検査対象物6の保持状態が解除される(図6(c))および図7(b))。
【0030】
このように保持状態が解除された検査対象物6は、自重によって落下し、その下方に設けられた回収部5に回収される(ステップS6)。
【0031】
一方、判定の結果、不良品であると判定された場合は(ステップS4)、第二センサ35が舌片26を検出した時点で平ベルト32を逆転させ、ステージ2を開口部13側へと戻していく(ステップS7)。そして、開口部13側の第一センサ34の位置に舌片26が位置した場合に(図6(a)の状態)、その移動を停止させ、検査対象物6をステージ2に載置した状態でオペレーターによる目視検査を行えるようにする(ステップS8)。この際、ディスプレイ14には自動検査による検査結果が表示され、しかも、筐体11の前面が傾斜しているので、オペレーターは大きく視線を動かすことなく、ディスプレイ14と検査対象物6を視認して目視検査することができる。そして、この目視検査の結果、不良品であると目視判断された場合は、その検査対象物6をオペレーターの手によって回収するとともに(ステップS9)、良品であると判断された場合は、図示しない回収ボタンを押下することによってステージ2を奥方まで移動させ、保持体要素21を離間させて検査対象物6を回収する(ステップS5、S6)。
【0032】
このように上記実施の形態によれば、保持体要素21間の距離を離間させて検査対象物6を落下させるようにしたので、従来のようなピックアップ機構や移動機構を横方向にスライドさせるモーターなどを用いることなく検査対象物6を回収することができる。また、移動機構3を構成するモーターの力を利用して保持体要素21を離間させるようにしたので、部品点数を少なくすることができ、これにより、装置を低コストかつ小型に仕上げることができるようになる。
【0033】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0034】
例えば、上記実施の形態では、離間機構の一例として平行リンク機構20を用いて保持体要素21間の距離を拡大させるようにしたが、これを図9に示すような構造を用いることもできる。
【0035】
図9に示す構造は、第一の実施の形態と同様に、ステージ2を奥方のフレーム12aに押し当てることで保持体要素21間の距離を拡大させるようにしたもので、奥方のフレーム12aに設けられた傾斜部材25cに突出部25を押し当てることで、保持体要素21間の距離を拡大させるようにしたものである。
【0036】
この第二の実施の形態について詳述すると、傾斜部材25cは、ステージ2の進行方向に沿って突出するように設けられるもので、左右両側の保持体要素21に対応して、互いに外側へ向かって傾斜する傾斜面を有している。一方、保持体要素21は、固定部22に対して進行方向と直交する長孔29を設けており、その長孔29の範囲内でスライドできるようにしている。そして、バネ27などを介して常時保持体要素21間の距離が近づくように力を付与する。そして、このように各部材を取り付けた後、ステージ2を奥方に向かってスライドさせると、保持体要素21の先端に設けられた突出部25が傾斜部材25cの傾斜面に接触し、その傾斜面に沿って突出部25が外側へ変位する。そして、この突出部25の変位に伴って、突出部25と一体的に設けられた保持体要素21が外側へと変位し、検査対象物6の保持状態を解除して落下させる。
【0037】
このような構成によれば、第一の実施の形態と同様に、ピックアップ機構などの振り分け機構を用いることなく、簡素化された構造で検査対象物6を回収することができる。また、この実施の形態では、ステージ2の進行方向と垂直な方向にのみ保持体要素21を変位させるので、離間位置で検査対象物6を落下させることができるようになる。
【0038】
なお、この第二の実施の形態では、奥方のフレーム12a側に傾斜面を有する傾斜部材25cを取り付けるとともに、保持体要素21側にも、この傾斜面に沿って変位する突出部25を設けるようにしたが、これらの関係を逆にするようにしてもよい。すなわち、奥方のフレーム12aに突出した棒状の部材を設け、保持体要素21側の突出部25に傾斜面を設けて外側へ変位させるようにしてもよい。
【0039】
また、この第二の実施の形態の変形例として、図10に示すような構造も採用することもできる。
【0040】
第二の実施の形態では、保持体要素21の先端に設けた突出部25を傾斜部材25cに押し当てるようにしているが、この方法では、保持体要素21の先端部分のみが先にY方向に変位してしまう可能性がある。そこで、図10に示すように、ステージ2の進行方向の側方に沿って2箇所に傾斜部材25cを設け、この傾斜部材25cに保持体要素21の先方部分および後方部分に設けられた突出部25を押し当てることで先端部分および後端部分をY方向に変位させるように力を付与してもよい。
【0041】
さらに、上記実施の形態では、保持体要素21をY方向にスライドさせて検査対象物6を落下させるようにしたが、第三の実施の形態のような構造を用いることもできる。
【0042】
図11に第三の実施の形態の構造を示すと、第三の実施の形態において、左右に設けられた保持体要素21は、平ベルト32に固定された固定部22とともにX方向(紙面前後方向)にスライドし、しかも、X方向と平行に設けられた軸部材21cを介して下方向に回転できるようになっている(図11(b))。そして、カメラ43の画像取得領域46内では、保持体要素21の下方に第二スライドレール33bを設けることで水平な状態にしておき(図11(a))、画像取得領域46の奥方では第二スライドレール33bを設けないようにしておく。そして、この画像取得領域46の奥方でこの保持体要素21を内側に向けて回転させ、検査対象物6を落下させる。なお、このとき、下方へ向けての回転をスムーズにするために、バネなどを用いるようにしてもよい。そして、この保持体要素21を引き戻す際、水平な状態に戻す場合は、第二スライドレール33bの奥方先端側をテーパー状にしておき、このテーパー面に沿って保持体要素21を水平状態に戻せるようにする。
【0043】
このように上記第一の実施の形態から第三の実施の形態では、左右の保持体要素21を回転させたり、あるいは、Y方向に変位させたりしているが、いずれか左右いずれか一方のみを回転、あるいは、変位させて検査対象物6の保持状態を解除するようにしてもよい。
【0044】
また、各実施の形態では、ステージ2上に検査対象物6を載置して保持するようにしているが、検査対象物6を両側から挟み込んで保持するようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、検査の結果、良品のみを回収するようにしているが、回収部5の奥方にもう一つの回収部を設け、不良品と良品に分別して回収できるようにしてもよい。この場合、それぞれの位置において、保持体要素21の距離を離間させる機構を設けておく。
【0046】
また、上記実施の形態では、移動機構3を平ベルト32やモーターなどで構成したが、これに限らず、ボールネジやリニアモーターなど、他の機構を用いて固定部22や保持体要素21を直線方向に移動させるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、種々の態様によって検査対象物6の保持状態を解除して落下させるようにしているが、保持体要素21を離間させて検査対象物6の保持状態を解除するような構造であれば、どのような構造のものを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第一の実施の形態における自動検査装置の断面概略図
【図2】同形態におけるステージの構造を示す平面図
【図3】同形態におけるステージの構造を示す側面図
【図4】アームの取り付け角度が小さい場合の動作例
【図5】アームの取り付け角度が大きい場合の動作例
【図6】同形態におけるステージの動作例を示す図
【図7】同形態における保持体要素を変位させる動作例を示す図
【図8】同形態における検査処理を示すフローチャート
【図9】第二の実施の形態におけるステージの構造を示す図
【図10】第二の実施の形態における変形例を示す図
【図11】第三の実施の形態におけるステージの構造を示す図
【図12】一般的な高機能な自動検査装置
【図13】従来例における自動検査装置
【符号の説明】
【0049】
1・・・自動検査装置
11・・・筐体
12a・・・奥方のフレーム
12・・・フレーム
13・・・開口部
14・・・ディスプレイ
2・・・ステージ
21・・・保持体要素
21a・・・載置部
21b・・・挟持部
22・・・固定部
23・・・ヒンジ
24・・・アーム
25・・・突出部
20・・・平行リンク機構
3・・・移動機構
31・・・プーリ
32・・・平ベルト
33・・・スライドレール
34・・・第一センサ
35・・・第二センサ
4・・・照明部
41・・・ブラケット
42・・・棒状部材
43・・・カメラ
44・・・ブラケット
45・・・ミラー
46・・・画像取得領域
5・・・回収部
51・・・衝撃緩和手段(弾性部材)
6・・・検査対象物
71・・・スタッカ
72a・・・ピックアップ機構
72b・・・ピックアップ機構
73・・・ステージ
74・・・撮像手段
75・・・振り分け回収機構
76・・・回収部
81・・・ステージ
82・・駆動機構
83・・・カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の端部または/および下面を保持する保持体と、当該保持体によって保持された検査対象物をカメラの画像取得領域まで移動させる移動機構とを備え、前記カメラによって撮影された画像に基づく良否の結果に基づいて検査対象物を回収する自動検査装置において、
前記保持体を、検査対象物の搬送方向と直交する方向に移動させうる一対の保持体要素で構成し、当該保持体要素間の距離を前記移動機構上で離間させる離間機構を備えたことを特徴とする自動検査装置。
【請求項2】
前記移動方向におけるカメラの画像取得領域の後段に被接触部材を設けるとともに、前記保持体要素に、当該被接触部材に接触する接触部材を設け、前記離間機構が、当該接触部材を前記被接触部材に接触させることによって、互いの保持体要素の距離を離間させる機構である請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項3】
前記離間機構が、検査の結果、良品と判断された場合に保持体要素間の距離を離間させるものであり、画像取得による検査の結果、不良品と判断された場合に、当該検査対象物を前記移動方向におけるカメラの画像取得領域の前段まで戻すようにした請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項4】
前記保持体要素を離間させる位置の下方に、検査対象物を回収する回収箱を備え、当該回収箱に、落下してくる検査対象物の衝撃を緩和させる緩和手段を設けた請求項1に記載の自動検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−229303(P2009−229303A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76491(P2008−76491)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(597028081)株式会社メガトレード (27)
【Fターム(参考)】