自動設計プログラムおよび記録媒体
【課題】 面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムを提供する。
【解決手段】 加工形状の大きさの下限値のデータEaと、互いに隣接する前記加工形状の距離の下限値のデータWaと、前記加工形状の配列のピッチのデータP1と、が入力される第1の処理S20と、前記データP1に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN1を算出する第2の処理と、前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N1で算出される前記加工パターンの面積のデータS1が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE1を算出する第3の処理S30と、前記データP1、N1、E1で規定される加工パターンを形成する第4の処理S60と、をコンピュータに実行させる、自動設計プログラム。
【解決手段】 加工形状の大きさの下限値のデータEaと、互いに隣接する前記加工形状の距離の下限値のデータWaと、前記加工形状の配列のピッチのデータP1と、が入力される第1の処理S20と、前記データP1に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN1を算出する第2の処理と、前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N1で算出される前記加工パターンの面積のデータS1が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE1を算出する第3の処理S30と、前記データP1、N1、E1で規定される加工パターンを形成する第4の処理S60と、をコンピュータに実行させる、自動設計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工パターンの設計をコンピュータに実行させる自動設計プログラム、および当該プログラムを記憶した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板などの電子部品に形成される配線の形成方法としては、例えばメッキ法が一般的に用いられており、微細な配線パターンを形成するためには、例えば電解メッキ法が用いられることが多い。また、基板上に形成される配線パターンの面積は、基板の仕様ごとに異なる場合があり、電解メッキにより形成される配線パターンの面積は様々に異なる場合がある。
【0003】
しかし、電解メッキは、メッキを施す面積が異なると、成膜速度やメッキの品質がばらつく場合がある。そこで、基板上に配線パターンなどをメッキで形成する場合に、ダミーパターンを設けてメッキの面積を調整する方法がとられる場合があった。
【0004】
図1は、従来の配線基板を示す平面図である。図1を参照するに、基板100には複数のユニット101が配列されて形成されている。当該ユニット101は、たとえば格子状に複数形成された半導体パッケージを有している。前記ユニット101は、ダイシングによって個片化されて半導体パッケージとなる。
【0005】
このようなユニット(パッケージ)に形成される配線パターンは、ユニットの仕様によって様々に異なり、電解メッキにより形成される配線パターンの面積も異なるため、前記基板101には、メッキの面積を調整するためのダミーパターン102、103が形成されている。
【0006】
前記ダミーパターン102は、前記ユニット101の間に、前記ダミーパターン103は、基板100の周縁部に、それぞれ形成されている。また、このようなダミーパターンの形成方法や、配線パターンの形成方法は、従来様々な提案がされていた(例えば特許文献1〜特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平4−350772号公報
【特許文献2】特開2000−188446号公報
【特許文献3】特開2003−168848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の図1に示すような単純な構造を有するダミーパターン102、103を形成した場合、基板の応力のバランスが悪くなるために基板の反りが発生してしまう問題が生じていた。また、基板の反りを防止するためにダミーパターンを複雑な形状で形成しようとした場合、メッキの面積(ダミーパターンの面積)を所望の値とすることが困難となる問題が生じていた。
【0008】
このような、ダミーパターンの面積を考慮したダミーパターンの形状の設計方法・形成方法に関しては、上記の特許文献1〜特許文献3にもなんら記載は無く、問題解決の示唆もなされていなかった。
【0009】
そこで、本発明では、上記の問題を解決した、新規で有用な自動設計プログラムと、当該プログラムを記憶した記録媒体を提供することを目的としている。
【0010】
本発明の具体的な課題は、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムと、当該自動設計プログラムを記憶した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点では、上記の課題を、加工対象面に形成する、加工形状が格子状に配列されて構成される加工パターンの面積が、所定の面積範囲となる設計を、コンピュータに実行させる自動設計プログラムであって、前記加工形状の大きさの下限値のデータEaと、互いに隣接する前記加工形状の距離の下限値のデータWaと、前記加工形状の配列のピッチのデータP1と、が入力される第1の処理と、前記データP1に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN1を算出する第2の処理と、前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N1で算出される前記加工パターンの面積のデータS1が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE1を算出する第3の処理と、前記データP1、N1、E1で規定される加工パターンを形成する第4の処理と、をコンピュータに実行させる、自動設計プログラムにより、解決する。
【0012】
上記の自動設計プログラムによれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能となる。
【0013】
また、上記の自動設計プログラムにおいて、前記データS1が、前記所定の面積範囲とならない場合に、前記データP1をデータP2に変更し、前記データP2に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN2を算出する第5の処理と、前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N2で算出される前記加工パターンの面積のデータS2が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE2を算出する第6の処理と、前記データP2、N2、E2で規定される加工パターンを形成する第7の処理と、をコンピュータに実行させるようにすると、制御可能な面積の領域が大きくなり、好適である。
【0014】
また、本発明の第2の観点では、上記の課題を、上記の自動設計プログラムを記憶した記録媒体により、解決する。
【0015】
上記の記録媒体に記憶された自動設計プログラムを用いて、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムと、当該自動設計プログラムを記憶した記録媒体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図2は、本発明による自動設計プログラムを用いて設計したダミーパターンが形成された配線基板を示す平面図である。
【0018】
図2を参照するに、基板10には、複数のユニット11が配列されており、ダミーパターン12が前記ユニット11の間に、ダミーパターン13が基板10の周縁部に、それぞれ形成されている。
【0019】
前記ダミーパターン12、13では、メッシュ状にメッキパターンが形成されることで基板の反りを防止すると共に、ダミーパターンの面積を所望の値に制御している。以下の実施例では、このような面積が所望の値となるメッシュ状の加工パターンの自動設計プログラムについて説明する。
【実施例1】
【0020】
図3Aは、本実施例による自動設計プログラムを用いて形成される加工パターンの一例を示す図である。図3Aを参照するに、本図に示す加工パターンは、例えば台形状の加工対象面に対して、加工形状(例えば正方形)を格子状に配列したメッシュ状に形成される。例えば、このような加工パターンを用いる実際の電解メッキでは、格子部分(直線部分)および周縁部がメッキされるようにしてもよいし、また逆に、加工形状(正方形)部分がメッキされるようにしてもよい。以下文中では、メッキの対象部分(メッキされる面積)が図中塗りつぶされた格子部分および周縁部であるものとして説明する。
【0021】
図3Bには、図3AのA部の拡大図を示す。本実施例中では、加工形状の大きさを示すデータである、例えば正方形の一辺の長さである辺長E、隣接する加工形状(正方形)の距離を、距離W、また、格子状に設置(配列)される加工形状(正方形)のピッチを、ピッチPと定義している。また、同様に、台形の下辺に対する正方形の傾きの角度を、角度AG、加工対象面の周縁部の、パターンが形成されない部分の幅を、クリアランスCとしている。
【0022】
以下の実施例では、自動設計プログラムを用いて、おもに辺長E、距離W、および、ピッチPをどのようにして決定するかを説明する。すなわち、これらの辺長E、距離W、およびピッチPは、以下文中では変数として扱っている。また、必要に応じて、角度AG、クリアランスCを変更することも可能である。また、本実施例によるプログラムでは、加工形状(正方形)以外のパターンは面積計算が複雑となるため、発生させないようにしている。例えば、図4に示すように、通常格子状のパターンを形成したときに形成される、基板の周縁部近傍の正方形以外のパターンは、形成されないようにして除外している。
【0023】
図5は、本実施例によるプログラムで扱うおもなデータを示す図である。図5を参照するに、データ群1は、先に説明した、距離W、辺長E、およびピッチPを含む。また、ピッチPが決まると、加工対象面(クリアランスを除く)に形成される加工形状(正方形)の個数Nが算出される。この場合、加工形状は、加工対象面の中心から順に設置されるようにして配列してもよく、また端部から配列されるようにしてもよい。
【0024】
また、加工形状面積Skは、加工形状の大きさ(E)が決まるとその値に基づき算出され、例えば正方形の場合、E×EでSkが算出される。
【0025】
また、算出面積Scは、加工対象面全体の面積から、形成される正方形パターン面積を減じて求められる面積(例えば加工において電解メッキが施される面積など)を示したものであり、この面積は、(加工対象面全体の面積)―(Sk×N)で求められる。
【0026】
また、算出面積Scは、W,E,P,Nによって変動し、この算出面積Scが後述する許容面積範囲になるような、W,E,P,Nが、本実施例のプログラムにより決定される。なお、W,E,Pのうち、少なくともいずれか2つが決まれば残りの1つは確定する。すなわち、P=W+Eの関係にあることは明らかである。
【0027】
また、データ群2は、初期設定として入力するパラメータであり、距離Wの下限値である下限距離Wa、辺長Eの下限値である下限辺長Eaをパラメータとしてプログラムのスタート直後に入力すると、距離Wと辺長Eを算出する場合に、これらの下限値が考慮して距離Wと辺長Eが算出される。
【0028】
すなわち、距離Wは、下限距離Wa以上となるように(Wa≦W)、辺長Eは、下限辺長Ea以上となるように(Ea≦E)決定される。例えば、メッキのパターンを形成する場合に、加工上の問題から、距離と辺長の下限が存在する。そのために、距離Wと辺長Eは、それぞれ加工が可能となるための所定の値以上となるようにされることが好ましい。
【0029】
また、最小ピッチPaは、ピッチPの初期設定値であり、この値は様々な条件を考慮して作業者が任意の値を設定することが可能である。
【0030】
また、データ群3は、データ群2と同様に初期設定として入力するパラメータである。これらのデータはプログラムで入力してもよく、または固定値として予めコンピュータのデータ格納部に記憶させておいてもよいデータである。本実施例では、プログラムを実行するにあたって、これらのデータ群3のデータは予めデータ格納部に記憶されているものとする。
【0031】
辺長増分値dEは、後述するプログラムにおいて辺長Eを変更する場合の変更幅であり、同様にピッチ変更幅dPは、ピッチPを変更する場合の変更幅である。また、クリアランス幅Cは、先に説明したように、加工対象面においてパターンが形成されない部分の幅であり、角度AGは、加工対象面の基準となる一辺(例えば台形の下辺)に対する正方形の傾きの角度である。
【0032】
また、目標面積Stは、算出面積Scを制御する目標とする面積であり、面積許容範囲L〜Hは、算出面積ScがL≦Sc≦Hとなった場合に、処理を終了してW,E,P,Nを確定するための値であり、算出面積Scの上限と下限を定めた値である。
【0033】
次に、本実施例のプログラムを実行するコンピュータを、図6に示す。図6を参照するに、本図に示すコンピュータ20は、CPU(中央演算処理装置)21と、RAM、ROMなどよりなるメモリ24、外部と通信可能な通信部25、本実施例によるプログラムなどが記録された、取り外しが可能な記録媒体22、CRTなどの表示部26、およびキーボードなどの入力部23を有している。
【0034】
また、図7には、前記CPU21の内部の、本プログラムの処理を行う処理部を示す。当該処理部は、初期パラメータ(例えばWa,Ea,Paなど)が入力される初期データ入力部21Aと、データが格納されるデータ格納部21B、正方形のパターンが形成されるオブジェクト形成部21C、算出面積Scが計算される、パターン面積計算部21D、および、算出面積と許容面積範囲を比較する、面積データ比較部21Eと、を有している。
【0035】
次に、図8に示す本実施例による自動計算プログラムによるコンピュータの動作を示すフローチャートを説明する。また、当該フローチャートに基づき形成される加工パターンの一例を、図9〜図13で併せて説明する。また、本実施例では、加工対象面の総面積(以下文中面積Sa)が4577mm2、目標面積Stが4300mm2、面積許容範囲の下限値L(以下文中下限値L)が4290mm2、面積許容範囲の上限値H(以下文中上限値H)が4310mm2の場合を例にとって説明する。
【0036】
図8を参照するに、まずステップ10(図中S10と表記、以下同様)においてプログラムがスタートすると、次に、ステップ20において、必要なパラメータを、前記入力部23より入力する。
【0037】
本実施例の場合、加工上の問題によって制限される、下限距離Wa、下限辺長Eaを入力する。さらに、Wa、Eaにより経験上決定される、最小ピッチPaを、ピッチPの初期設定値として入力する。また、必要に応じて、辺長変更幅dE、ピッチ変更幅dP、クリアランス幅C、角度AG、目標面積St、および面積許容範囲(下限)L、面積許容範囲(上限)Hなどを入力するようにしてもよい。
【0038】
次に、ステップ30において、距離Wの初期値を前ステップで入力された下限距離Waとし、加工対象面に、例えば正方形が配列された加工パターンを形成する。この場合、辺長Eの初期値は、上記の距離WとピッチPで形成可能な最大(最長)の辺長とする。例えば、辺長Eの初期値は、P−Wで求められる。また、ピッチPより、加工対象面に形成される、正方形の個数Nが算出される。この段階において、形成される加工パターンの一例を、図9の、パターンF1に示す。この場合、加工形状面積Skは、E×Eで算出される。さらに、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば3081mm2となる。
【0039】
次に、ステップ40において、算出面積Scが、上限値Hより大きいかどうかの判断がされる。当該算出面積Scが、当該上限値Hを超える値である場合、処理はステップ40Aへと進むが、通常は最小ピッチPaの選択により、算出面積Scが上限値Hより小さくなるようにされる場合が大半である。本実施例では、算出面積Scが3081mm2であり、上限値Hの4310mm2より小さいため、ステップ50に進む。
【0040】
ステップ50においては、算出面積Scが、面積許容範囲内か(L≦Sc≦Hを満たすか)が判断される。この場合、満たさないので、処理はステップS50Aに進む。
【0041】
次に、ステップ50Aでは、辺長Eの値を、辺長変更幅dEだけ変更する。例えば、本実施例の場合、辺長Eを、辺長変更幅dEだけ小さくする。すなわち、正方形の一辺が小さくなり、距離Wが大きくなることになる。このようにして、辺長E、距離Wを変更し、新たに加工パターンを形成する。
【0042】
この段階において、形成される加工パターンの一例を、図9の、パターンF2に示す。この場合、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば3844mm2となる。
【0043】
次に、ステップ50Bで、変更後の辺長Eが、下限辺長Ea以上の値となっているかが判断される。辺長Eが、下限辺長Ea以上であった場合(Ea≦Eを満たす)場合、処理はステップ50に戻る。辺長Eが、下限辺長Ea未満であった場合(E<Eaを満たす場合)、処理はステップ40Aに進む。本実施例では、まずステップ50に進んだ場合について説明する。
【0044】
ステップ50では、先に説明したように、算出面積Scが、面積許容範囲内か(L≦Sc≦Hを満たすか)が判断され、この場合、満たさないので、処理はステップS50Aに進む。ここで、先に説明したステップ50Aの処理を繰り返し、再び加工パターンを形成する。
【0045】
すなわち、本実施例によるプログラムでは、E<Eaとならない限り、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返し、算出面積Scが面積許容範囲内となったところで、ステップ60に進み、辺長E、距離W、ピッチP,個数Nが確定し、加工パターンが確定してステップ70で処理が完了する。
【0046】
以下では、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返した場合に、算出面積Scが所定面積範囲内となる前に、E<Eaとなった場合について説明する。
【0047】
ステップ50Bで、辺長Eが下限辺長Ea未満と判断された場合、処理はステップ40Aに進む。この場合の加工パターンの一例を、図10の、パターンF3に示す。この場合、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば4203mm2となっている。
【0048】
次に、ステップ40Aでは、ピッチPの値を、ピッチ変更幅dPだけ変更する。例えば、本実施例の場合、ピッチPを、ピッチ変更幅dPだけ大きくする。
【0049】
次に、処理をステップ30に戻し、再び加工パターンを形成する。この場合、ピッチPは前ステップで大きくされた値とし、距離Wは、再び最小距離Waとする。
【0050】
例えば、図11には、先に説明したパターンF1と、本ステップで形成されるパターンF4の一部拡大図を示す。この場合、当該パターンF4ではピッチが大きく(+dP)なり、距離Wが最小距離Waに戻されると、最長となる正方形の一辺Eが大きくなる。このようにして、辺長E、距離Wを変更し、新たに加工パターンを形成している。
【0051】
この段階において、形成される加工パターンF4の一例の全体図を、図12に示す。この場合、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば2721mm2となる。
【0052】
次に、先に説明した場合と同様にして、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返し、算出面積Scが、面積許容範囲内となる、辺長E、距離W、ピッチP、個数Nを算出する。
【0053】
このようにして、算出面積Scが、面積許容範囲内となるような加工パターンを設計することができる。図13は、上記のステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返すことにより形成された加工パターンの一例である、パターンF5である。この場合、算出面積Scは、4302mm2となり、面積許容値の範囲内となっている。
【0054】
なお、上記のプログラムは、様々に変形・変更することが可能であることは明らかであり、例えば、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を行わず、ステップ40、ステップ40A、ステップ30の繰り返しにより、算出面積Scが面積許容範囲となるような、辺長E、距離W、ピッチP、個数Nを算出して加工パターンを形成することも可能である。
【0055】
このように、本実施例のプログラムによれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能となる。このため、例えば基板上に電解メッキで配線パターンを形成する場合に、メッキされる面積調整のためのダミーパターンを、容易に形成することが可能となる。その結果、基板の反りを防止すると共に、メッキの面積を制御することで、安定にメッキ処理を実施することが可能となる。
【0056】
また、上記の実施例は、加工形状として正方形を用いた場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加工形状として、図14に示すように、円を用いることが可能である。
【0057】
図14は、加工形状に円を用いた場合の加工パターンの一例を示す図である。図14を参照するに、本図に示す場合、加工形状の大きさを示すデータEは、円の直径となる。また、加工形状の距離Wは、隣接する円の最も近付く部分の距離となる。この場合、加工形状面積Skは、円周率×(E/2)2で算出される。
【0058】
また、加工形状は、正方形、円に限定されず、正三角形、正五角形、正六角形など、様々な多角形を用いて形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムと、当該自動設計プログラムを記憶した記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来の加工パターンが形成された配線基板を示す平面図である。
【図2】実施例1による加工パターンが形成された配線基板を示す平面図である。
【図3A】実施例1による自動設計プログラムを用いて形成される加工パターンの一例を示す図(その1)である。
【図3B】実施例1による自動設計プログラムを用いて形成される加工パターンの一例を示す図(その2)である。
【図4】加工パターンの形状を示す拡大図である。
【図5】実施例1によるプログラムで扱うデータを示す図である。
【図6】実施例1によるプログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図7】図6のコンピュータの処理部を示す図である。
【図8】実施例1によるプログラムを示すフローチャートである。
【図9】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その1)である。
【図10】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その2)である。
【図11】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その3)である。
【図12】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その4)である。
【図13】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その5)である。
【図14】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その6)である。
【符号の説明】
【0061】
W 距離
E 辺長
P ピッチ
N 個数
Sc 算出面積
Wa 下限距離
Ea 下限辺長
Pa 最小ピッチ
dE 辺長変更幅
dP ピッチ変更幅
C クリアランス幅
AG 角度
L 下限値
H 上限値
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工パターンの設計をコンピュータに実行させる自動設計プログラム、および当該プログラムを記憶した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板などの電子部品に形成される配線の形成方法としては、例えばメッキ法が一般的に用いられており、微細な配線パターンを形成するためには、例えば電解メッキ法が用いられることが多い。また、基板上に形成される配線パターンの面積は、基板の仕様ごとに異なる場合があり、電解メッキにより形成される配線パターンの面積は様々に異なる場合がある。
【0003】
しかし、電解メッキは、メッキを施す面積が異なると、成膜速度やメッキの品質がばらつく場合がある。そこで、基板上に配線パターンなどをメッキで形成する場合に、ダミーパターンを設けてメッキの面積を調整する方法がとられる場合があった。
【0004】
図1は、従来の配線基板を示す平面図である。図1を参照するに、基板100には複数のユニット101が配列されて形成されている。当該ユニット101は、たとえば格子状に複数形成された半導体パッケージを有している。前記ユニット101は、ダイシングによって個片化されて半導体パッケージとなる。
【0005】
このようなユニット(パッケージ)に形成される配線パターンは、ユニットの仕様によって様々に異なり、電解メッキにより形成される配線パターンの面積も異なるため、前記基板101には、メッキの面積を調整するためのダミーパターン102、103が形成されている。
【0006】
前記ダミーパターン102は、前記ユニット101の間に、前記ダミーパターン103は、基板100の周縁部に、それぞれ形成されている。また、このようなダミーパターンの形成方法や、配線パターンの形成方法は、従来様々な提案がされていた(例えば特許文献1〜特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平4−350772号公報
【特許文献2】特開2000−188446号公報
【特許文献3】特開2003−168848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の図1に示すような単純な構造を有するダミーパターン102、103を形成した場合、基板の応力のバランスが悪くなるために基板の反りが発生してしまう問題が生じていた。また、基板の反りを防止するためにダミーパターンを複雑な形状で形成しようとした場合、メッキの面積(ダミーパターンの面積)を所望の値とすることが困難となる問題が生じていた。
【0008】
このような、ダミーパターンの面積を考慮したダミーパターンの形状の設計方法・形成方法に関しては、上記の特許文献1〜特許文献3にもなんら記載は無く、問題解決の示唆もなされていなかった。
【0009】
そこで、本発明では、上記の問題を解決した、新規で有用な自動設計プログラムと、当該プログラムを記憶した記録媒体を提供することを目的としている。
【0010】
本発明の具体的な課題は、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムと、当該自動設計プログラムを記憶した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点では、上記の課題を、加工対象面に形成する、加工形状が格子状に配列されて構成される加工パターンの面積が、所定の面積範囲となる設計を、コンピュータに実行させる自動設計プログラムであって、前記加工形状の大きさの下限値のデータEaと、互いに隣接する前記加工形状の距離の下限値のデータWaと、前記加工形状の配列のピッチのデータP1と、が入力される第1の処理と、前記データP1に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN1を算出する第2の処理と、前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N1で算出される前記加工パターンの面積のデータS1が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE1を算出する第3の処理と、前記データP1、N1、E1で規定される加工パターンを形成する第4の処理と、をコンピュータに実行させる、自動設計プログラムにより、解決する。
【0012】
上記の自動設計プログラムによれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能となる。
【0013】
また、上記の自動設計プログラムにおいて、前記データS1が、前記所定の面積範囲とならない場合に、前記データP1をデータP2に変更し、前記データP2に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN2を算出する第5の処理と、前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N2で算出される前記加工パターンの面積のデータS2が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE2を算出する第6の処理と、前記データP2、N2、E2で規定される加工パターンを形成する第7の処理と、をコンピュータに実行させるようにすると、制御可能な面積の領域が大きくなり、好適である。
【0014】
また、本発明の第2の観点では、上記の課題を、上記の自動設計プログラムを記憶した記録媒体により、解決する。
【0015】
上記の記録媒体に記憶された自動設計プログラムを用いて、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムと、当該自動設計プログラムを記憶した記録媒体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図2は、本発明による自動設計プログラムを用いて設計したダミーパターンが形成された配線基板を示す平面図である。
【0018】
図2を参照するに、基板10には、複数のユニット11が配列されており、ダミーパターン12が前記ユニット11の間に、ダミーパターン13が基板10の周縁部に、それぞれ形成されている。
【0019】
前記ダミーパターン12、13では、メッシュ状にメッキパターンが形成されることで基板の反りを防止すると共に、ダミーパターンの面積を所望の値に制御している。以下の実施例では、このような面積が所望の値となるメッシュ状の加工パターンの自動設計プログラムについて説明する。
【実施例1】
【0020】
図3Aは、本実施例による自動設計プログラムを用いて形成される加工パターンの一例を示す図である。図3Aを参照するに、本図に示す加工パターンは、例えば台形状の加工対象面に対して、加工形状(例えば正方形)を格子状に配列したメッシュ状に形成される。例えば、このような加工パターンを用いる実際の電解メッキでは、格子部分(直線部分)および周縁部がメッキされるようにしてもよいし、また逆に、加工形状(正方形)部分がメッキされるようにしてもよい。以下文中では、メッキの対象部分(メッキされる面積)が図中塗りつぶされた格子部分および周縁部であるものとして説明する。
【0021】
図3Bには、図3AのA部の拡大図を示す。本実施例中では、加工形状の大きさを示すデータである、例えば正方形の一辺の長さである辺長E、隣接する加工形状(正方形)の距離を、距離W、また、格子状に設置(配列)される加工形状(正方形)のピッチを、ピッチPと定義している。また、同様に、台形の下辺に対する正方形の傾きの角度を、角度AG、加工対象面の周縁部の、パターンが形成されない部分の幅を、クリアランスCとしている。
【0022】
以下の実施例では、自動設計プログラムを用いて、おもに辺長E、距離W、および、ピッチPをどのようにして決定するかを説明する。すなわち、これらの辺長E、距離W、およびピッチPは、以下文中では変数として扱っている。また、必要に応じて、角度AG、クリアランスCを変更することも可能である。また、本実施例によるプログラムでは、加工形状(正方形)以外のパターンは面積計算が複雑となるため、発生させないようにしている。例えば、図4に示すように、通常格子状のパターンを形成したときに形成される、基板の周縁部近傍の正方形以外のパターンは、形成されないようにして除外している。
【0023】
図5は、本実施例によるプログラムで扱うおもなデータを示す図である。図5を参照するに、データ群1は、先に説明した、距離W、辺長E、およびピッチPを含む。また、ピッチPが決まると、加工対象面(クリアランスを除く)に形成される加工形状(正方形)の個数Nが算出される。この場合、加工形状は、加工対象面の中心から順に設置されるようにして配列してもよく、また端部から配列されるようにしてもよい。
【0024】
また、加工形状面積Skは、加工形状の大きさ(E)が決まるとその値に基づき算出され、例えば正方形の場合、E×EでSkが算出される。
【0025】
また、算出面積Scは、加工対象面全体の面積から、形成される正方形パターン面積を減じて求められる面積(例えば加工において電解メッキが施される面積など)を示したものであり、この面積は、(加工対象面全体の面積)―(Sk×N)で求められる。
【0026】
また、算出面積Scは、W,E,P,Nによって変動し、この算出面積Scが後述する許容面積範囲になるような、W,E,P,Nが、本実施例のプログラムにより決定される。なお、W,E,Pのうち、少なくともいずれか2つが決まれば残りの1つは確定する。すなわち、P=W+Eの関係にあることは明らかである。
【0027】
また、データ群2は、初期設定として入力するパラメータであり、距離Wの下限値である下限距離Wa、辺長Eの下限値である下限辺長Eaをパラメータとしてプログラムのスタート直後に入力すると、距離Wと辺長Eを算出する場合に、これらの下限値が考慮して距離Wと辺長Eが算出される。
【0028】
すなわち、距離Wは、下限距離Wa以上となるように(Wa≦W)、辺長Eは、下限辺長Ea以上となるように(Ea≦E)決定される。例えば、メッキのパターンを形成する場合に、加工上の問題から、距離と辺長の下限が存在する。そのために、距離Wと辺長Eは、それぞれ加工が可能となるための所定の値以上となるようにされることが好ましい。
【0029】
また、最小ピッチPaは、ピッチPの初期設定値であり、この値は様々な条件を考慮して作業者が任意の値を設定することが可能である。
【0030】
また、データ群3は、データ群2と同様に初期設定として入力するパラメータである。これらのデータはプログラムで入力してもよく、または固定値として予めコンピュータのデータ格納部に記憶させておいてもよいデータである。本実施例では、プログラムを実行するにあたって、これらのデータ群3のデータは予めデータ格納部に記憶されているものとする。
【0031】
辺長増分値dEは、後述するプログラムにおいて辺長Eを変更する場合の変更幅であり、同様にピッチ変更幅dPは、ピッチPを変更する場合の変更幅である。また、クリアランス幅Cは、先に説明したように、加工対象面においてパターンが形成されない部分の幅であり、角度AGは、加工対象面の基準となる一辺(例えば台形の下辺)に対する正方形の傾きの角度である。
【0032】
また、目標面積Stは、算出面積Scを制御する目標とする面積であり、面積許容範囲L〜Hは、算出面積ScがL≦Sc≦Hとなった場合に、処理を終了してW,E,P,Nを確定するための値であり、算出面積Scの上限と下限を定めた値である。
【0033】
次に、本実施例のプログラムを実行するコンピュータを、図6に示す。図6を参照するに、本図に示すコンピュータ20は、CPU(中央演算処理装置)21と、RAM、ROMなどよりなるメモリ24、外部と通信可能な通信部25、本実施例によるプログラムなどが記録された、取り外しが可能な記録媒体22、CRTなどの表示部26、およびキーボードなどの入力部23を有している。
【0034】
また、図7には、前記CPU21の内部の、本プログラムの処理を行う処理部を示す。当該処理部は、初期パラメータ(例えばWa,Ea,Paなど)が入力される初期データ入力部21Aと、データが格納されるデータ格納部21B、正方形のパターンが形成されるオブジェクト形成部21C、算出面積Scが計算される、パターン面積計算部21D、および、算出面積と許容面積範囲を比較する、面積データ比較部21Eと、を有している。
【0035】
次に、図8に示す本実施例による自動計算プログラムによるコンピュータの動作を示すフローチャートを説明する。また、当該フローチャートに基づき形成される加工パターンの一例を、図9〜図13で併せて説明する。また、本実施例では、加工対象面の総面積(以下文中面積Sa)が4577mm2、目標面積Stが4300mm2、面積許容範囲の下限値L(以下文中下限値L)が4290mm2、面積許容範囲の上限値H(以下文中上限値H)が4310mm2の場合を例にとって説明する。
【0036】
図8を参照するに、まずステップ10(図中S10と表記、以下同様)においてプログラムがスタートすると、次に、ステップ20において、必要なパラメータを、前記入力部23より入力する。
【0037】
本実施例の場合、加工上の問題によって制限される、下限距離Wa、下限辺長Eaを入力する。さらに、Wa、Eaにより経験上決定される、最小ピッチPaを、ピッチPの初期設定値として入力する。また、必要に応じて、辺長変更幅dE、ピッチ変更幅dP、クリアランス幅C、角度AG、目標面積St、および面積許容範囲(下限)L、面積許容範囲(上限)Hなどを入力するようにしてもよい。
【0038】
次に、ステップ30において、距離Wの初期値を前ステップで入力された下限距離Waとし、加工対象面に、例えば正方形が配列された加工パターンを形成する。この場合、辺長Eの初期値は、上記の距離WとピッチPで形成可能な最大(最長)の辺長とする。例えば、辺長Eの初期値は、P−Wで求められる。また、ピッチPより、加工対象面に形成される、正方形の個数Nが算出される。この段階において、形成される加工パターンの一例を、図9の、パターンF1に示す。この場合、加工形状面積Skは、E×Eで算出される。さらに、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば3081mm2となる。
【0039】
次に、ステップ40において、算出面積Scが、上限値Hより大きいかどうかの判断がされる。当該算出面積Scが、当該上限値Hを超える値である場合、処理はステップ40Aへと進むが、通常は最小ピッチPaの選択により、算出面積Scが上限値Hより小さくなるようにされる場合が大半である。本実施例では、算出面積Scが3081mm2であり、上限値Hの4310mm2より小さいため、ステップ50に進む。
【0040】
ステップ50においては、算出面積Scが、面積許容範囲内か(L≦Sc≦Hを満たすか)が判断される。この場合、満たさないので、処理はステップS50Aに進む。
【0041】
次に、ステップ50Aでは、辺長Eの値を、辺長変更幅dEだけ変更する。例えば、本実施例の場合、辺長Eを、辺長変更幅dEだけ小さくする。すなわち、正方形の一辺が小さくなり、距離Wが大きくなることになる。このようにして、辺長E、距離Wを変更し、新たに加工パターンを形成する。
【0042】
この段階において、形成される加工パターンの一例を、図9の、パターンF2に示す。この場合、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば3844mm2となる。
【0043】
次に、ステップ50Bで、変更後の辺長Eが、下限辺長Ea以上の値となっているかが判断される。辺長Eが、下限辺長Ea以上であった場合(Ea≦Eを満たす)場合、処理はステップ50に戻る。辺長Eが、下限辺長Ea未満であった場合(E<Eaを満たす場合)、処理はステップ40Aに進む。本実施例では、まずステップ50に進んだ場合について説明する。
【0044】
ステップ50では、先に説明したように、算出面積Scが、面積許容範囲内か(L≦Sc≦Hを満たすか)が判断され、この場合、満たさないので、処理はステップS50Aに進む。ここで、先に説明したステップ50Aの処理を繰り返し、再び加工パターンを形成する。
【0045】
すなわち、本実施例によるプログラムでは、E<Eaとならない限り、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返し、算出面積Scが面積許容範囲内となったところで、ステップ60に進み、辺長E、距離W、ピッチP,個数Nが確定し、加工パターンが確定してステップ70で処理が完了する。
【0046】
以下では、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返した場合に、算出面積Scが所定面積範囲内となる前に、E<Eaとなった場合について説明する。
【0047】
ステップ50Bで、辺長Eが下限辺長Ea未満と判断された場合、処理はステップ40Aに進む。この場合の加工パターンの一例を、図10の、パターンF3に示す。この場合、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば4203mm2となっている。
【0048】
次に、ステップ40Aでは、ピッチPの値を、ピッチ変更幅dPだけ変更する。例えば、本実施例の場合、ピッチPを、ピッチ変更幅dPだけ大きくする。
【0049】
次に、処理をステップ30に戻し、再び加工パターンを形成する。この場合、ピッチPは前ステップで大きくされた値とし、距離Wは、再び最小距離Waとする。
【0050】
例えば、図11には、先に説明したパターンF1と、本ステップで形成されるパターンF4の一部拡大図を示す。この場合、当該パターンF4ではピッチが大きく(+dP)なり、距離Wが最小距離Waに戻されると、最長となる正方形の一辺Eが大きくなる。このようにして、辺長E、距離Wを変更し、新たに加工パターンを形成している。
【0051】
この段階において、形成される加工パターンF4の一例の全体図を、図12に示す。この場合、算出面積Scは、Sc=Sa−Sk×Nで求められ、算出面積Scは、例えば2721mm2となる。
【0052】
次に、先に説明した場合と同様にして、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返し、算出面積Scが、面積許容範囲内となる、辺長E、距離W、ピッチP、個数Nを算出する。
【0053】
このようにして、算出面積Scが、面積許容範囲内となるような加工パターンを設計することができる。図13は、上記のステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を繰り返すことにより形成された加工パターンの一例である、パターンF5である。この場合、算出面積Scは、4302mm2となり、面積許容値の範囲内となっている。
【0054】
なお、上記のプログラムは、様々に変形・変更することが可能であることは明らかであり、例えば、ステップ50、ステップ50A、ステップ50Bの処理を行わず、ステップ40、ステップ40A、ステップ30の繰り返しにより、算出面積Scが面積許容範囲となるような、辺長E、距離W、ピッチP、個数Nを算出して加工パターンを形成することも可能である。
【0055】
このように、本実施例のプログラムによれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能となる。このため、例えば基板上に電解メッキで配線パターンを形成する場合に、メッキされる面積調整のためのダミーパターンを、容易に形成することが可能となる。その結果、基板の反りを防止すると共に、メッキの面積を制御することで、安定にメッキ処理を実施することが可能となる。
【0056】
また、上記の実施例は、加工形状として正方形を用いた場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加工形状として、図14に示すように、円を用いることが可能である。
【0057】
図14は、加工形状に円を用いた場合の加工パターンの一例を示す図である。図14を参照するに、本図に示す場合、加工形状の大きさを示すデータEは、円の直径となる。また、加工形状の距離Wは、隣接する円の最も近付く部分の距離となる。この場合、加工形状面積Skは、円周率×(E/2)2で算出される。
【0058】
また、加工形状は、正方形、円に限定されず、正三角形、正五角形、正六角形など、様々な多角形を用いて形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、面積を制御して所望の加工パターンを容易に設計することが可能な自動設計プログラムと、当該自動設計プログラムを記憶した記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来の加工パターンが形成された配線基板を示す平面図である。
【図2】実施例1による加工パターンが形成された配線基板を示す平面図である。
【図3A】実施例1による自動設計プログラムを用いて形成される加工パターンの一例を示す図(その1)である。
【図3B】実施例1による自動設計プログラムを用いて形成される加工パターンの一例を示す図(その2)である。
【図4】加工パターンの形状を示す拡大図である。
【図5】実施例1によるプログラムで扱うデータを示す図である。
【図6】実施例1によるプログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図7】図6のコンピュータの処理部を示す図である。
【図8】実施例1によるプログラムを示すフローチャートである。
【図9】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その1)である。
【図10】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その2)である。
【図11】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その3)である。
【図12】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その4)である。
【図13】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その5)である。
【図14】実施例1によるプログラムにより形成される加工パターンの例(その6)である。
【符号の説明】
【0061】
W 距離
E 辺長
P ピッチ
N 個数
Sc 算出面積
Wa 下限距離
Ea 下限辺長
Pa 最小ピッチ
dE 辺長変更幅
dP ピッチ変更幅
C クリアランス幅
AG 角度
L 下限値
H 上限値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象面に形成する、加工形状が格子状に配列されて構成される加工パターンの面積が、所定の面積範囲となる設計を、コンピュータに実行させる自動設計プログラムであって、
前記加工形状の大きさの下限値のデータEaと、
互いに隣接する前記加工形状の距離の下限値のデータWaと、
前記加工形状の配列のピッチのデータP1と、が入力される第1の処理と、
前記データP1に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN1を算出する第2の処理と、
前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N1で算出される前記加工パターンの面積のデータS1が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE1を算出する第3の処理と、
前記データP1、N1、E1で規定される加工パターンを形成する第4の処理と、をコンピュータに実行させる、自動設計プログラム。
【請求項2】
前記データS1が、前記所定の面積範囲とならない場合に、前記データP1をデータP2に変更し、
前記データP2に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN2を算出する第5の処理と、
前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N2で算出される前記加工パターンの面積のデータS2が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE2を算出する第6の処理と、
前記データP2、N2、E2で規定される加工パターンを形成する第7の処理と、をコンピュータに実行させる、請求項1記載の自動設計プログラム。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動設計プログラムを記憶した記録媒体。
【請求項1】
加工対象面に形成する、加工形状が格子状に配列されて構成される加工パターンの面積が、所定の面積範囲となる設計を、コンピュータに実行させる自動設計プログラムであって、
前記加工形状の大きさの下限値のデータEaと、
互いに隣接する前記加工形状の距離の下限値のデータWaと、
前記加工形状の配列のピッチのデータP1と、が入力される第1の処理と、
前記データP1に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN1を算出する第2の処理と、
前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N1で算出される前記加工パターンの面積のデータS1が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE1を算出する第3の処理と、
前記データP1、N1、E1で規定される加工パターンを形成する第4の処理と、をコンピュータに実行させる、自動設計プログラム。
【請求項2】
前記データS1が、前記所定の面積範囲とならない場合に、前記データP1をデータP2に変更し、
前記データP2に基づいて、前記加工形状が前記加工対象面に形成される個数のデータN2を算出する第5の処理と、
前記加工形状の大きさのデータEを変更しながら前記加工形状の面積のデータS0を算出し、S0×N2で算出される前記加工パターンの面積のデータS2が、前記所定の面積範囲となる前記加工形状の大きさのデータE2を算出する第6の処理と、
前記データP2、N2、E2で規定される加工パターンを形成する第7の処理と、をコンピュータに実行させる、請求項1記載の自動設計プログラム。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動設計プログラムを記憶した記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−52531(P2007−52531A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235785(P2005−235785)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
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