説明

自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法

【課題】基板、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部、少なくとも1つの第2のくぼんだ基部、少なくとも1つの接続構造および少なくとも1つのバンプを備える自己整合ウェハまたはチップ構造を提供する。
【解決手段】基板100は第1の表面101aおよび第2の表面101bを有し、少なくとも1つのパッド102は第1の表面101a上に形成されている。第1のくぼんだ基部116は、第1の表面101a上に配置されるとともに、パッド102に電気的に接続されている。第2のくぼんだ基部120は第2の表面101b上に配置されている。接続構造は、第1および第2のくぼんだ基部116、120に電気的に接続するために、基板100を貫通するとともに、第1および第2のくぼんだ基部116、120間に配置されている。バンプ122は、第2のくぼんだ基部120に充填され、第2の表面101bから突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハまたはチップ構造、積層構造およびそれを製造する方法に関し、特に、自己整合ウェハまたはチップ構造、自己整合積層構造およびそれを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、より多くの機能が単一のアプリケーションキャリアに一体化されなければならなくなっている。最も一般的なアプリケーションキャリアは、大量のディジタル情報を蓄積するための個別のメモリーカード素子と密接に関連する携帯電話である。また、情報処理能力に対する人間のあくなき要望に伴い、より多くの半導体装置が高周波、極超短波を有する傾向に設計され、そのため、現在のワイアボンド技術は上述したアプリケーションの要求を満たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,091,124号公報
【特許文献2】米国特許第6,936,916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、より多くの構造が、高密度3次元積層構造および非常に短い電気的ワイアリング距離を有するスルー・シリコン・バイアス(TSV)として設計されている。例えば、以下に示すいくつかの米国特許(例えば、特許文献1および特許文献2参照)は、複数のチップを一緒に積層するためのいくつかの構造および方法を提案しており、それらは、構造物の体積を大きく減少させ、長い電気的接続長によるチップ間の高周波電気信号の高い寄生インダクタンスの影響を著しく減少させる。しかしながら、良好な電気的接続を確かにするためチップを一緒に精確に並べて積層する方法は、最も重要な課題の1つである。また、これら全ての提案された積層方法では、全体に積層した構造を達成するために、1つの積層工程が1つのリフロー工程とともに実行されなければならなかった。そのため、存在する方法は、かなりの時間を消費するとの問題点を有していた。
【0005】
本発明は、自己整合メカニズムを有する、自己整合ウェハまたはチップ構造に関し、そのため、ウェハまたはチップを積層するとき、ウェハまたはチップは精確に整合して積層され、いずれの2つのチップ間でも良好な電気的接続を保証する。
【0006】
本発明は、さらに、積層構造中の各ウェハまたはチップが自己整合メカニズムを有する、自己整合積層構造に関するものである。
【0007】
本発明は、さらに、自己整合メカニズムを有するウェハまたはチップ構造を製造することができる、自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法に関するものである。
【0008】
本発明は、さらに、従来の積層構造工程がいくぶん時間がかかるという問題を解消することのできる、自己整合積層構造を製造する方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに具現化され、広範囲に記載されているように、本発明は、基板、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部、少なくとも1つの第2のくぼんだ基部、少なくとも1つの接続構造および少なくとも1つのバンプを含む、自己整合ウェハまたはチップ構造を提供する。基板は第1の表面および第2の表面を有しており、少なくとも1つのパッドは第1の表面上に形成される。第1のくぼんだ基部は、第1の表面上に配置され、パッドに電気的に接続される。第2のくぼんだ基部は第2の表面上に形成される。接続構造は、第1および第2のくぼんだ基部に電気的に接続されるよう、基板を貫通するとともに第1および第2のくぼんだ基部間に配置される。バンプは、第2のくぼんだ基部内に配置され充填されるとともに、第2の表面から突出する。
【0010】
本発明は、さらに、互いに積層された複数の自己整合ウェハまたはチップ構造を含み、各自己整合ウェハまたはチップ構造が、基板、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部、少なくとも1つの第2のくぼんだ基部、少なくとも1つの接続構造および少なくとも1つのバンプを含む、自己整合積層構造を提供する。基板は第1の表面および第2の表面を有しており、少なくとも1つのパッドは第1の表面上に形成されている。第1のくぼんだ基部は、第1の表面上に配置され、パッドに電気的に接続される。第2のくぼんだ基部は第2の表面上に配置される。接続構造は、第1および第2のくぼんだ基部に電気的に接続されるよう、基板を貫通するとともに第1および第2のくぼんだ基板間に配置される。バンプは第2の表面から突出する。特に、各自己整合ウェハまたはチップ構造は、次の自己整合ウェハまたはチップ構造の第1のくぼんだ基部内で係合する。
【0011】
本発明は、さらに、以下の工程を含む自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法を提供する。まず第1に、第1の表面および第2の表面を有する基板を準備し、少なくとも1つのパッドが基板の第1の表面上に形成される。次に、開口が第1の表面から基板の内部へ内側に向いて形成され、導電材料が、パッドに電気的に接続される接続構造を形成するために、開口内に充填される。その次に、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部が、第1の表面上に形成されるとともに、パッドおよび接続構造に電気的に接続される。その次に、少なくとも1つの第2のくぼんだ基部が、基板の第2の表面上に形成されるとともに、接続構造に電気的に接続される。その後、バンプが、第2のくぼんだ基部内に形成されるとともに、第2の表面から突出する。
【0012】
本発明は、さらに、以下の工程を含む自己整合積層構造の製造方法を提供する。まず第1に、複数の自己整合ウェハまたはチップ構造が準備され、各自己整合ウェハまたはチップ構造は上述した通りである。次に、自己整合ウェハーまたはチップ構造は順番に互いに積層され、各自己整合ウェハまたはチップ構造のバンプは、次の自己整合ウェハまたはチップ構造の第1のくぼんだ基部に整合して係合される。その次に、単位tの熱処理ステップが実施され、各自己整合ウェハまたはチップ構造が次の自己整合ウェハまたはチップ構造の第1のくぼんだ基部に固定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、くぼんだ基部および対応するバンプがウェハまたはチップの表面上に配置されているため、ウェハ又はチップを積層するとき、くぼんだ基部およびバンプの設計は自己整合効果を発揮するために利用することができる。また、本発明では、複数のウェハまたはチップの積層が終了した後、単に単一の熱処理ステップで十分である。そのため、本発明の方法は、先行技術の方法と比べて、より早くよりシンプルになるという効果を有する。
【0014】
本発明の上述したおよび他の目的、特徴および効果を理解できるようにするために、以下図面とともに実施例を記載する。
【0015】
上述した一般的な記載および以下の詳細な記載の両者は、典型的な例であり、クレームした本発明のさらなる説明を提供することを意図したものであることを、理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1B】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1C】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1D】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1E】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1F】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1G】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1H】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図1I】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図2A】本発明の実施例に係る自己整合積層構造を製造するためのフローの断面図である。
【図2B】本発明の実施例に係る自己整合積層構造を製造するためのフローの断面図である。
【図2C】本発明の実施例に係る自己整合積層構造を製造するためのフローの断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造の断面図である。
【図4A】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造の断面図である。
【図4B】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造の断面図である。
【図5A】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造の断面図である。
【図5B】本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造の断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例に係る自己整合積層構造の断面図である。
【図7A】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7B】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7C】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7D】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7E】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7F】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7G】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【図7H】本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1A〜1Iは本発明の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。図1Aを参照すると、まず、第1の表面101aおよび第2の表面101bを有する基板100を準備する。基板100は、例えば、ウェハまたはチップであり、その内部に形成された複数の素子および相互接合構造(図示せず)を有している。特に、少なくとも1つのパッド102が基板100の第1の表面101a上に形成されており、パッド102が基板100内の素子および相互接合構造と電気的に接続されている。パッド102は例えば金属から構成されている。パッド102は、例えば、公知の析出、フォトリソグラフィーおよびエッチング技術によって形成されている。本実施例では、パッド102はウェハまたはチップの中心に配置された例である。
【0018】
次に、図1Bを参照すると、開口106が基板100の第1の表面101aから基板100の内部に内側に向かった形成されており、開口106は基板100を貫通していない。開口106は、エッチング、レーザー、または、その他の好適なプロセスにより形成することができる。一実施例では、開口106を形成した後、本発明の方法は、第1の表面101a上に絶縁層108aを少なくとも形成するために、析出プロセスを実施する工程を備えている。ここで、絶縁層108が化学気相蒸着(CVD)プロセスにより形成されるとすると、絶縁層は第1の表面101a上のみしか析出しない。絶縁層108が炉中析出プロセスにより形成されるとすると、絶縁層は第1の表面101aおよび第2の表面101b上に析出する。この図において、絶縁層108は絶縁のため第1の表面101a上にのみ形成されている。
【0019】
図1Cを参照すると、パッド102上の絶縁層108は除去され、パッド102が露出している。絶縁層108の部分を除去するためのプロセスは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチイングプロセスである。
【0020】
図1Dを参照すると、導電材料が開口106内に充填されて接続構造110を形成している。接続構造110は、例えば、析出プロセスを行い基板100上に導電材料の層を形成するとともに開口106を充填し、背面からのエッチング、化学機械研磨(CMP)またはその他の好適な方法により導電材料の部分を除去し、それにより、開口106内に導電材料を保持している。
【0021】
接続構造110を形成した後、図1Eに示すように、延長リード104が、さらに基板100の第1の表面101a上に形成され、パッド102および接続構造110と電気的に接続される。本実施例では、パッド102は、延長リード104の形成が続いて形成されるくぼんだ基部構造がウェハまたはチップのエッジに配置できるように、ウェハまたはチップの中心に配置される。延長リード104は、例えば、析出、フォトリソグラフィ、エッチング技術などの公知のプロセスにより形成される。
【0022】
この実施例の図では1つのパッドおよび1つの延長リードのみを示しているが、実際には、基板(ウェハまたはチップ)は複数のパッドおよび複数の対応する延長リードを含むことができることはいうまでもない。
【0023】
図1Fを参照すると、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部116が、第1の表面101a上に形成され、パッド102および接続構造110と電気的に接続される。本実施例では、第1のくぼんだ基部116が、延長リード104を介して、パッド102および接続構造110と電気的に接続されている。第1のくぼんだ基部116は、例えば、第1の表面上101a上に保護層112を形成し、保護層112がその内部に溝部パターン114を有することで、形成される。溝部パターン114は、例えば、保護層112上でフォトリソグラフィまたはエッチングプロセスを実施することで形成される。次に、導電層が溝部パターン114中に形成され、第1のくぼんだ基部116を形成する。導電層は、例えば、シード層およびバンプの下の金属層を含む。
【0024】
第1のくぼんだ基部116の製造が終了した後、基板100がより薄くなるように、図1Gに示すように、基板薄膜化ステップが基板100の第2の表面101b上で好適に実施される。基板薄膜化ステップは、例えば、研磨プロセスおよびプラズマ処理プロセスにより、実施される。
【0025】
図1Hを参照すると、第2のくぼんだ基部120が基板100の第2の表面101b上に形成される。第2のくぼんだ基部120は、例えば、基板100の第2の表面101b上に溝部パターン118を形成し、次に、溝部パターン118中に導電層を形成して、第2のくぼんだ基部120を形成することにより、形成される。溝部パターン118は、例えば、基板100上でウェットエッチングプロセスまたはドライエッチングプロセスを実施することにより、形成される。同様に、導電層は、例えば、シード層およびバンプの下の金属層を含む。また、他の実施例では、溝部パターン118内に導電層を形成する前に、さらに析出ステップを含み、第2の表面101b上に絶縁層119を形成する。次に、絶縁層119の部分を除去して、接続構造110を露出する。
【0026】
図1Iを参照すると、バンプ122が、第2のくぼんだ基部120内に形成され、第2の表面101bから突出する。その結果、本発明の自己整合ウェハまたはチップ構造が仕上がる。ここで、バンプ122は公知の方法で形成される。バンプ122は、バンプまたは半田ボールとして今までに使用されたいかなる材料からも形成される。
【0027】
そのため、図1Hに示すように、上述した方法により形成された自己整合ウェハまたはチップ構造は、基板100、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部116、少なくとも1つの第2のくぼんだ基部120、少なくとも1つの接続構造110および少なくとも1つのバンプ122を含む。
【0028】
基板100は第1の表面101aおよび第1の表面に対向する第2の表面101bを有し、少なくとも1つのパッド102が第1の表面101a上に形成される。ある実施例では、第1の表面101aは、さらに、その上に配置された延長リード104を含み、延長リード104はパッド102と電気的に接続される。
【0029】
加えて、第1のくぼんだ基部116は、第1の表面101a上に配置され、パッド102と電気的に接続される。ある実施例では、第1のくぼんだ基部116は延長リード104によりパッド102と電気的に接続される。
【0030】
また、第2のくぼんだ基部120は第2の表面101b上に配置される。接続構造110は、第1のくぼんだ基部116および第2のくぼんだ基部120が電気的に接続するように、基板100を貫通し、第1のくぼんだ基部116と第2のくぼんだ基部120との間に配置される。言い換えると、接続構造110は第1のくぼんだ基部116と第2のくぼんだ基部120とを電気的に接続するために使用されている。加えて、バンプ122は、第2のくぼんだ基部120内に充填され、第2の表面101bから突出する。
【0031】
ある実施例では、構造は、さらに、第1の表面101a上に配置され、パッド102をカバーする保護層112を含む。第1のくぼんだ基部116は保護層112上に配置される。他の実施例において、構造はさらに絶縁層108および119を含み、絶縁層108は、基板100の第1の表面101a上に配置され、接続構造110の側面上に位置する。絶縁層119は、第2の表面101b上に配置され、絶縁層108と接続する。第2のくぼんだ基部120は絶縁層119上に配置される。
【0032】
(図1Iに示すように)ウェハまたはチップ構造中の接続構造110の縦断面は矩形であるが、本発明はこれに限定されない。他の実施例において、接続構造110の縦断面は、図3に示すように、台形である。また、図1Iに示された接続構造110は、第2のくぼんだ基部120の底部と平面接触している。しかし、本発明はこれに限定されない。他の実施例では、接続構造110は、第2のくぼんだ基部120を部分的に貫通する(図4Aに示すように)か、あるいは、第2のくぼんだ基部120を貫通し(図4Bに示すように)て、バンプ122と直接接触する。さらに他の実施例において、本発明のチップまたはウェハの構造は、また、図3および図4Aの構造的特徴を組み合わせたものであり、言い換えれば、図5Aに示すように、接続構造110の縦断面は台形であり、接続構造110は第2のくぼんだ基部120を部分的に貫通している。また、さらに他の実施例において、本発明のチップまたはウェハの構造は、また、図3および図4Bの構造的特徴を組み合わせたものであり、接続構造110は第2のくぼんだ基部120を貫通して、バンプ122と直接接続する。
【0033】
上述した方法により形成されたウェハまたはチップ構造は、くぼんだ基部116およびバンプ122を有しており、これらのくぼんだ基部116およびバンプ122により、2つのウェハまたはチップが、重なり合うかまたは積層されるとき、互いに自己整合可能であり、それにより自己整合効果を達成している。複数のウェハまたはチップを積層することによって自己整合積層構造を形成するための方法を、以下に説明する。
【0034】
図2A−2Cは本発明の実施例に係る自己整合積層構造を製造するためのフローの断面図である。まず第1に、図2Aを参照すると、図1A−1Iに示された方法により製造されたウェハまたはチップ構造200aが準備され、そのため、ウェハまたはチップ構造200aの構成要素は、図1Iに示された構造の構成要素と同一または類似のものであり、2つの図面(図1Iおよび図2A)において、同一の構成要素は同じあるいは類似する数字が付される。
【0035】
図2Bを参照すると、第2のウェハまたはチップ200bが準備され、第2のウェハまたはチップ200bが第1のウェハまたはチップ200a上に積層されている。第2のウェハまたはチップ200bの構成要素は、図1Iに示された構造の構成要素と同一または類似のものであり、2つの図面(図1Iおよび図2B)において、同一の構成要素は同じまたは類似する数字が付される。特に、第1のウェハまたはチップ200a上に第2のウェハまたはチップ200bを積層するとき、第1のウェハまたはチップ200a上のくぼんだ基部116aが第2のウェハまたはチップ200b上のバンプ122bと係合し、自己整合効果が達成される。
【0036】
図2Cを参照すると、第3のウェハまたはチップ200cが準備され、第3のウェハまたはチップ200cが第2のウェハまたはチップ200b上に積層されている。第3のウェハまたはチップ200cの構成要素は、図1Iに示された構造の構成要素と同一または類似のものであり、2つの図面(図1Iおよび図2C)において、同一の構成要素は同じまたは類似する数字が付される。同様に、第2のウェハまたはチップ200b上に第3のウェハまたはチップ200cを積層するとき、第2のウェハまたはチップ200b上のくぼんだ基部116bが第3のウェハまたはチップ200c上のバンプ122cと係合し、自己整合効果が達成される。
【0037】
複数のウェハまたはチップの積層が終了した後、単一の熱処理ステップが実施され、第2のウェハまたはチップ200b上のバンプ122bが第1のウェハまたはチップ上のくぼんだ基部116aに半田付けされ、一方、第3のウェハまたはチップ200c上のバンプ200c上のバンプ122cは第2のウェハまたはチップ上のくぼんだ基部116bに半田付けされる。
【0038】
上述した記載は、3つのウェハまたはチップを一例として積層するプロセスにより行われたが、本発明はこれに限定されない。本発明は、実際の要求に従って、3つ以上のウェハまたはチップを積層することができる。本発明では、複数のウェハまたはチップを積層したのち、単一の熱処理ステップのみが、ウェハまたはチップを互いに半田付けするために必要であるだけであり、そのため、本発明の方法は、従来技術の方法と比べて、より早くよりシンプルである。
【0039】
上述した方法で形成した、互いに積層された複数の自己整合ウェハまたはチップ構造200a、200b、200cを含む、自己整合積層構造は図2Cに示されており、各自己整合積層構造200a、200b、200cは図1Iに示された構造を有し、そのため、自己整合ウェハまたはチップ構造200a、200b、200cの構成要素をこれ以上繰り返し記載しない。特に、第1のウェハまたはチップ200a上のくぼんだ基部116aが第2のウェハまたはチップ200b上のバンプ122bと係合し、第2のウェハまたはチップ200b上のくぼんだ基部116bが第3のウェハまたはチップ200c上のバンプ122aと係合することで、自己整合効果が達成される。
【0040】
また、他の実施例において、図6に示すように、第1のウェハまたはチップ200a上に第2のウェハまたはチップ200bを積層する前に、方法は、さらに、第2のウェハまたはチップ200bのバンプ122b上に半田ペースト124bを設ける工程を含む。同様に、第2のウェハまたはチップ200b上に第3のウェハまたはチップ200cを積層する前に、方法は、さらに、第3のウェハまたはチップ200cのバンプ200c上に半田ペースト124cを設ける工程を含む。その後、それに続く単一の熱処理ステップを実施するとき、半田ペースト124b、124cは、バンプとくぼんだ基部との間(バンプ122bとくぼんだ基部116aとの間、および、バンプ122cとくぼんだ基部116bとの間)の半田の動きを助けるか促進する。
【0041】
上述した実施例では、ウェハまたはチップの中心に位置するパッドを形成した構造が例として取り上げられている。パッド自体が最初からウェハまたはチップのエッジに位置する場合は、延長リードは除外でき、くぼんだ基部および接続構造はパッド上に直接形成でき、以下その詳細な説明を行う。
【0042】
図7A−7Hは本発明の他の実施例に係る自己整合ウェハまたはチップ構造を製造するためのフローの断面図である。図7A−7Hおよび図1A−1Iにおいて、同一または類似の構成要素には同一の数字を付する。図7Aを参照すると、第1の表面301aおよび第2の表面301bを有する基板300を準備する。少なくとも1つのパッド302が基板300の第1の表面301a上に形成される。特に、パッド302はチップまたはウェハのエッジに位置する。
【0043】
図7Bを参照すると、開口306が、パッド302が形成された基板300上の位置から基板300の内部へ、内側に向かって形成され、開口306は基板300を貫通していない。ある実施例では、開口306が形成された後、方法は、さらに、析出プロセスを含み、第1の表面301a上に絶縁層308を少なくとも形成する。ここで、もし絶縁層308がCVDプロセスにより形成されるならば、絶縁層は第1の表面上にのみ析出される。もし絶縁層308が炉中析出プロセスにより形成されるならば、絶縁層は第1の表面301aおよび第2の表面301b上に析出される。図面では、絶縁層308は例えば第1の表面301a上にのみ形成されている。
【0044】
図7Cを参照すると、導電材料が開口306中に充填され、接続構造310を形成する。次に、パッド302上の絶縁層308が除去され、パッド302を露出する。
【0045】
図7Dおよび7Eを参照すると、保護層312および少なくとも1つの第1のくぼんだ基部316が第1の表面301a上に形成され、第1のくぼんだ基部316はパッド302および接続構造310と電気的に接続する。
【0046】
第1のくぼんだ基部320の製造が終了した後、図7Fに示すように、基板薄膜化ステップが基板300の第2の表面301b上で好適に実施され、基板300をより薄くする。
【0047】
図7Gを参照すると、第2のくぼんだ基部320が基板300の第2の表面301b上に形成されている。第2のくぼんだ基部320は、例えば、基板300の第2の表面301b上に溝部パターン318を形成し、次に、溝部パターン318内に導電層320を形成して、第2のくぼんだ基部320を形成することで、形成される。他の実施例において、溝部パターン318内に導電層320を形成する前に、方法は、さらに、析出ステップを含み、第2の表面301b上に絶縁層319を形成する。次に、絶縁層319の部分が除去され、接続構造310を露出する。
【0048】
図7Hを参照すると、バンプ322が第2のくぼんだ基部320内に形成され、自己整合ウェハまたはチップ構造が完成する。そのため、ウェハまたはチップ上のパッドがウェハまたはチップのエッジに位置する場合は、接続構造およびくぼんだ基部のような構造をパッド上に直接形成することができる。
【0049】
同様に、図7Hに示すウェハまたはチップ構造における接続構造310の縦断面は、矩形または(図3に示す接続構造と同様に)台形である。また、図7Hに示す接続構造310は、(図4Aおよび4Bに示す接続構造と同様に)第2のくぼんだ基部320を部分的に貫通するか、あるいは、貫通するよう構成することができる。もちろん、図7Hに示す接続構造310の縦断面は、また、(図5Aおよび5Bに示す接続構造と同様に)台形を有し、接続構造310がさらに第2のくぼんだ基部320を部分的に貫通するか、あるいは、貫通するよう構成することができる。
【0050】
また、図7A−7Hに記載された方法に従って形成されたウェハまたはチップ構造を、また、図2A−2C(または図6)に記載された積層方法を利用する自己整合積層構造を形成するために使用される。
【0051】
要約すると、本発明はくぼんだ基部およびウェハまたはチップの表面上に配置された対応するバンプを有するため、ウェハまたはチップを積層する際、くぼんだ基部およびバンプの形状が、自己整合効果を達成するために利用される。また、本発明では、複数のウェハまたはチップの積層終了後、単一の熱処理ステップのみが必要となる。そのため、本発明の方法は、従来技術の方法と比較して、より早くよりシンプルになるという効果を得ることができる。
【0052】
本発明の範囲および精神を逸脱しない範囲で、本発明の構造に各種の変形および変更を加えることは、当業者にとって明らかなことである。以上のことから、本発明が特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にあるならば、本発明が発明の変形および変更をカバーすることは意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と第2の表面とを有しており、少なくとも1つのパッドが第1の表面上に形成された基板と;
第1の表面上に配置されるとともに、パッドに電気的に接続されている、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部と;
第2の表面上に配置された少なくとも1つの第2のくぼんだ基部と;
基板を貫通して第1および第2のくぼんだ基部間に配置するとともに、第1および第2のくぼんだ基部に電気的に接続された、少なくとも1つの接続構造と;
第2のくぼんだ基部に充填されるとともに、第2の表面から突出している、少なくとも1つのバンプと;
を備えることを特徴とする自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項2】
前記接続構造が、さらに、第2のくぼんだ基部を貫通するか、または、部分的に貫通することを特徴とする請求項1に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項3】
前記接続構造の縦断面が矩形または台形であることを特徴とする請求項1に記載の事項整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項4】
さらに、第1の表面上に配置するとともにパッドをカバーする保護層を備えており、第1のくぼんだ基部が保護層上に配置することを特徴とする請求項1に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項5】
前記第1のくぼんだ基部がパッドと直接接触していることを特徴とする請求項1に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項6】
さらに、第1の表面上に配置した延長リードを備え、延長リードが、パッドと第1のくぼんだ基部との間に配置されるとともに、パッド、接続構造および第1のくぼんだ基部に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項7】
複数の自己整合ウェハまたはチップが互いに積層された自己整合積層構造であって、各自己整合ウェハまたはチップ構造が、
第1の表面と第2の表面とを有しており、少なくとも1つのパッドが第1の表面上に形成された基板と;
第1の表面上に配置されるとともに、パッドに電気的に接続されている、少なくとも1つの第1のくぼんだ基部と;
第2の表面上に配置した少なくとも1つの第2のくぼんだ基部と;
基板を貫通して第1および第2のくぼんだ基部間に配置されるとともに、第1および第2のくぼんだ基部に電気的に接続された、少なくとも1つの接続構造と;
第2のくぼんだ基部に充填されるとともに、第2の表面から突出している、少なくとも1つのバンプと;
を備え、各自己整合ウェハまたはチップ構造のバンプが、次の自己整合ウェハまたはチップ構造の第1のくぼんだ基部に装着されていることを特徴とする自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項8】
自己整合ウェハまたはチップ構造の接続構造が、さらに、第2のくぼんだ基部を貫通するか、または、部分的に貫通することを特徴とする請求項7に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項9】
自己整合ウェハまたはチップ構造の接続構造の縦断面が矩形または台形であることを特徴とする請求項7に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項10】
自己整合ウェハまたはチップ構造の各々が、さらに、第1の表面上に配置されるとともにパッドをカバーする保護層を備えており、第1のくぼんだ基部が保護層上に配置されることを特徴とする請求項7に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造。
【請求項11】
自己整合ウェハまたはチップ構造を製造する方法であって、
第1の表面と第2の表面とを有しており、少なくとも1つのパッドが第1の表面上に形成された基板を準備する工程と;
第1の表面から基板の内部へ内側を向く開口を形成するとともに、接続構造を形成する開口内に導電材料を充填する工程と;
第1の表面上に少なくとも1つの第1のくぼんだ基部を形成する工程であって、第1のくぼんだ基部がパッドおよび接続構造に電気的に接続している工程と;
基板の第2の表面上に少なくとも1つの第2のくぼんだ基部を形成する工程であって、第2のくぼんだ基部が接続構造に電気的に接続している工程と;
第2のくぼんだ基部内にバンプを形成する工程であって、バンプが第2の表面より突出する工程と;
を備えることを特徴とする自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法。
【請求項12】
前記開口が、パッドが配置される位置に直接形成されていることを特徴とする請求項11に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法。
【請求項13】
さらに、第1の表面上に延長リードを形成する工程であって、延長リードがパッドおよび接続構造に電気的に接続されている工程を備えることを特徴とする請求項11に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法。
【請求項14】
前記第1のくぼんだ基部を形成する工程が、
第1の表面上に保護層を形成する工程であって、保護層がその内部に溝部パターンを有する工程と;
第1のくぼんだ基部を形成するために、溝部パターンに少なくとも1つの導電層を形成する工程と;
を備えることを特徴とする請求項11に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法。
【請求項15】
さらに、第2のくぼんだ基部を形成する前に、第2の表面上で基板薄膜化ステップを実施する工程を備えることを特徴とする請求項11に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造の製造方法。
【請求項16】
前記第2のくぼんだ基部を形成する工程が、
基板の第2の表面上に溝部パターンを形成し、接続構造を露出する工程と;
接続構造に電気的に接続した第2のくぼんだ基部を形成するために、溝部パターンに少なくとも1つの導電層を形成する工程と;
を備えることを特徴とする請求項11に記載の自己整合ウェハまたはチップの製造方法。
【請求項17】
前記基板の第2の表面上に溝部パターンを形成する工程が、ウェットエッチングステップまたはドライエッチングステップを実施する工程を備えることを特徴とする請求項16に記載の自己整合ウェハまたはチップの製造方法。
【請求項18】
さらに、第2の表面上に絶縁層を形成し、絶縁層が接続構造を露出させるために、基板の第2の表面上に溝部パターンを形成した後の析出ステップを備えることを特徴とする請求項16に記載の自己整合ウェハまたはチップの製造方法。
【請求項19】
さらに、第1の表面上に絶縁層を少なくとも形成するために、第1の表面から基板の内部に向かう開口を形成した後の析出ステップを備えることを特徴とする請求項11に記載の自己整合ウェハまたはチップの製造方法。
【請求項20】
各自己整合ウェハまたはチップ構造が請求項1に記載の自己整合ウェハまたはチップ構造である、複数の自己整合ウェハまたはチップ構造を準備する工程と;
自己整合ウェハまたはチップ構造を連続的に積層する工程であって、各自己整合ウェハまたはチップ構造のバンプが、次の自己整合ウェハまたはチップ構造の第1のくぼんだ基部を自己整合して係合する工程と;
各自己整合ウェハまたはチップ構造のバンプが、次の自己整合ウェハまたはチップ構造の第1のくぼんだ基部に接合するように、単一の熱処理ステップを実施する工程と;
を備えることを特徴とする自己整合積層構造の製造方法。
【請求項21】
さらに、ある自己整合ウェハまたはチップ構造を他の自己整合ウェハまたはチップ構造に積層する前に、自己整合ウェハまたはチップ構造のバンプ上に半田ペーストを設ける工程を備えることを特徴とする請求項20に記載の自己整合積層構造の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【公開番号】特開2012−15551(P2012−15551A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−221320(P2011−221320)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【分割の表示】特願2008−7871(P2008−7871)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】