自律移動システム、その制御方法及びプログラム
【課題】距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる自律移動システム、その制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】自律移動システムは、移動体に設けられ、検出領域内の障害物の距離を検出する距離検出手段と、距離検出手段の検出領域をヨー方向へ揺動させる揺動手段と、揺動手段の揺動を制御する揺動制御手段と、を備えている。また、揺動制御手段は、障害物の位置に応じて、揺動手段を制御して距離検出手段の検出領域の揺動範囲を制限している。
【解決手段】自律移動システムは、移動体に設けられ、検出領域内の障害物の距離を検出する距離検出手段と、距離検出手段の検出領域をヨー方向へ揺動させる揺動手段と、揺動手段の揺動を制御する揺動制御手段と、を備えている。また、揺動制御手段は、障害物の位置に応じて、揺動手段を制御して距離検出手段の検出領域の揺動範囲を制限している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離センサを揺動させて障害物を検出する自律移動システム、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、距離検出手段を揺動させることで検出領域内の障害物などを検知して、自律的に移動体を移動させる技術が知られている。
【0003】
例えば、移動体の移動速度が高い場合には回転周期を短くして、解像度は低くなるが短時間で3次元距離データを取得し、一方、移動体の移動速度が低い場合には回転周期を長くして、時間をかけて解像度の高い3次元距離データを取得する3次元測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−225342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す3次元測定装置においては、例えば、距離検出手段の回転周期が長くなると、距離検出手段が向いていない方向に障害物が出現した場合、その検知が遅れることとなり、一方、距離検出手段の回転周期を短くすると、詳細に障害物を検知できるだけの解像度を得ることができないという問題が生じる。また、距離検出手段の揺動範囲を狭くし過ぎると障害物を検知できない死角が増えることとなるため、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる自律移動システム、その制御方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、移動体に設けられ、検出領域内の障害物の距離を検出する距離検出手段と、前記距離検出手段の検出領域をヨー方向へ揺動させる揺動手段と、前記揺動手段の揺動を制御する揺動制御手段と、を備える自律移動システムであって、前記揺動制御手段は、障害物の位置に応じて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動範囲を制限する、ことを特徴とする自律移動システムである。この一態様によれば、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる。
【0008】
この一態様において、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により前記検出領域内の障害物が検出されたとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。これにより、距離検出手段の不要な揺動を抑え、揺動範囲を適切に制限することができる。
【0009】
この一態様において、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された前記検出領域内の障害物の距離が所定距離以内であると判断したとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。これにより、距離検出手段の不要な揺動を抑え、揺動範囲を適切に制限することができる。
【0010】
この一態様において、前記距離検出手段により検出された前記障害物の距離に基づいて、前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段を更に備え、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された障害物の位置と、前記移動経路設定手段により設定された前記移動体の移動経路と、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、に基づいて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。これにより、移動体の移動経路も考慮して、距離検出手段の揺動範囲をより適切に設定することができる。
【0011】
この一態様において、前記距離検出手段は、略放射状に形成された検出領域内の障害物を検出し、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、前記略放射状の検出領域の前記揺動方向側の端辺上に前記障害物があるか否かの判断と、前記移動経路設定手段により設定された移動経路と所定半径の円との交点が前記障害物に対して左右どちら側にあるかの判断と、に基づいて、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0012】
この一態様において、障害物の位置情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と前記距離検出手段とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と距離検出手段とを結んだ限界線と前記中心線との成す角度から前記距離検出手段の視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出する限界角度算出手段と、を更に備え、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の揺動角度が前記限界角度算出手段により算出された前記揺動の限界角度になると、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0013】
この一態様において、前記限界角度算出手段は、前記移動体の進行方向の中心線を前記距離検出手段の検出領域の揺動方向に回転させ、該回転させた中心線と前記障害物との距離が所定閾値以下となる限界線を求め、該限界線と前記進行方向の中心線との成す角度を、前記揺動の限界角度として算出してもよい。
【0014】
この一態様において、前記移動体を駆動し移動させる駆動手段と、前記移動体が自律的に移動するように前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、を更に備えていてもよい。
【0015】
他方、上記目的を達成するための本発明の一態様は、検出領域内の障害物の距離を検出するステップと、前記検出領域をヨー方向へ揺動させるステップと、障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限するステップと、を含む、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法であってもよい。
【0016】
この一態様において、前記検出された検出領域内の障害物の距離が所定距離以内にあるとき、前記検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0017】
この一態様において、障害物の位置情報を含む地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と移動体とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と移動体とを結んだ限界線と、前記中心線と、の成す角度から視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出するステップを更に含み、前記検出領域の揺動角度が前記算出された揺動の限界角度になると、前記検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0018】
さらに、上記目的を達成するための本発明の一態様は、検出領域内の障害物の距離を検出する処理と、前記検出領域をヨー方向へ揺動させるように制御する処理と、障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする自律移動システムのプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる自律移動システム、その制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る自律移動システムの概略的な構成を示す斜視図である。
【図3】距離センサの揺動方向を反転させるタイミングを説明するための図である。
【図4】距離センサの揺動方向を反転させるタイミングを説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る自律移動システム1の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図7】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図8】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図9】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図10】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図11】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図12】距離センサの揺動方向、(条件1)、及び(条件2)と、揺動方向の反転と、の関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【図14】揺動の限界角度の導出方法を説明するための図である。
【図15】(a)点Dの詳細な導出方法を説明するための図である。(b)点Dの詳細な導出方法を説明するための図である。
【図16】揺動の限界角度の導出方法を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態3に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。また、図2は、本実施の形態1に係る自律移動システムの概略的な構成を示す斜視図である。
【0022】
本実施の形態1に係る自律移動システム1は、自律的に移動可能な移動体2と、移動体2に搭載された距離センサ3と、距離センサ3を揺動させるセンサ揺動装置4と、移動体2の移動経路を設定する移動経路設定部5と、移動体2の駆動を制御する駆動制御部6と、センサ揺動装置4の揺動を制御する揺動制御部7と、を備えている。
【0023】
移動体2は、例えば、移動体本体21と、移動体本体21に回転可能に設けられた左右一対の駆動輪22と、駆動手段の一具体例であり各駆動輪22を回転駆動するモータなどの車輪駆動部23と、を有している。移動体2は、各駆動輪22を回転駆動させて任意の方向及び速度で移動することができるように構成されている。なお、移動体2は、車輪を有する車両として構成されているが、これに限らず、例えば、歩行型ロボットとして構成されてもよく、移動可能な任意の移動体として構成してもよい。
【0024】
距離センサ3は、距離検出手段の一具体例であり、例えば、移動体2の前面にヨー方向(左右方向)へ揺動可能なように設けられ、障害物の距離を検出できるセンサである。距離センサ3は、例えば、超音波センサ、ミリ波センサ、レーザーセンサ、レーザーレンジファインダーなどから構成されており、送出波を略放射状に出力し、その略放射状(略扇形状)の検出領域A内にある障害物(人、動物、物など)Qから反射された反射波に基づいて、その障害物Qを検出し、その障害物Qとの距離データを検出することができる(図3)。
【0025】
距離センサ3は、例えば、3次元距離計測が可能なように構成されており、例えば、1秒間に障害物Qにおける複数の距離データを取得することができる。距離センサ3は、各距離データに幾何学的な変換を施すことにより、障害物Qの3次元の距離データ点列Pi=(Xi、Yi、Zi)(i=1、2、3、・・・)を取得することができる。なお、距離センサ3は、一次元距離計測が可能なように構成されていてもよい。
【0026】
距離センサ3は、取得した距離データ点列Piのうち路面データ(路面の凹凸情報など)を除去することで、障害物Qの距離データをより高精度に検出することができる。具体的には、距離センサ3は、各距離データ点列Piの中で、座標Ziの大きさが閾値ZTH以下となる点(|Zi|≦ZTH)を全て路面データとして除去する。距離センサ3は、移動経路設定部5及び揺動制御部7に接続されており、検出した障害物Qの距離データ点列Piを移動経路設定部5及び揺動制御部7に対して出力する。
【0027】
センサ揺動装置4は、揺動手段の一具体例であり、距離センサ3の検出領域Aをヨー方向へ所定周期で揺動させる。これにより、距離センサ3は、障害物Qの距離データを取得できる略放射状の検出領域Aをヨー方向に揺動させることで、広範囲にわたって障害物Qを検出できる。センサ揺動装置4は、例えば、距離センサ3を揺動させるサーボモータなどのアクチュエータと、アクチュエータの回転駆動力を距離センサ3に伝達する伝達機構と、を有している。
【0028】
移動経路設定部5は、移動経路設定手段の一具体例であり、距離センサ3から出力された障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、移動体2の移動経路Iを設定する。移動経路設定部5は、距離センサ3から出力された障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、例えば、距離センサ3により検出された障害物Qを安全に回避でき、かつ最短となるような移動経路Iを設定する。
【0029】
駆動制御部6は、駆動制御手段の一具体例であり、移動経路設定部5により設定された移動経路Iに従って移動体2が自律的に移動するように、移動体2の車輪駆動部23を制御し、各駆動輪22の回転駆動を制御する。
【0030】
揺動制御部7は、揺動制御手段の一具体例であり、センサ揺動装置4の揺動を制御する。揺動制御部7は、距離センサ3からの距離データ点列Piに基づいて、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向、揺動速度などを制御する。
【0031】
なお、移動経路設定部5、駆動制御部6、及び揺動制御部7は、例えば、制御処理や演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUによって実行される制御プログラムや演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)と、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、を有するマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。また、これらCPU、ROM、及びRAMは、データバスによって相互に接続されている。
【0032】
次に、上述のように構成された自律移動システム1の制御方法について詳細に説明する。揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、その障害物Qが所定距離以内にあると判断したとき、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0033】
揺動制御部7は、距離センサ3からの障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Ri=(Xi2+Yi2)1/2<所定距離RTHとなると判断したとき(図3)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図4)。ここで、移動体2に近い位置(その水平距離Riが所定距離RTH以内)にある障害物Qを初めて検出したときに、検出した障害物Qより揺動外側の領域Dの情報は、移動体2がその障害物Qの内側を移動する(障害物Qが移動経路Iの外側に位置する)為、必要とされない。したがって、揺動制御部7は、上述のように、所定距離RTH以内の障害物Qが検出されたときにセンサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ、反対側の障害物Qの検出を行う。
【0034】
なお、揺動制御部7は、距離センサ3により障害物Qが検出されず、かつ距離センサ3の揺動角度が所定角度以上になったと判断したときも、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0035】
図5は、本実施の形態1に係る自律移動システム1の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0036】
揺動制御部7は、距離センサ3の初期揺動方向を決定し(ステップS101)、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aをヨー方向へ回転させる(ステップS102)。
【0037】
次に、距離センサ3は、揺動しつつ障害物Qの距離データ点列Piを検出する(ステップS103)。その後、距離センサ3は、検出した障害物Qの距離データ点列Piから路面データを除去し(ステップS104)、その距離データ点列Piを揺動制御部7及び移動経路設定部5に対して出力する。
【0038】
揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にあるか否かを判断する(ステップS105)。
【0039】
揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にあると判断したとき(ステップS105のYES)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、下記(条件1)と、下記(条件2)と、に基づいて、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させるか否かを判定する(ステップS106)。一方、揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にないと判断したとき(ステップS105のNO)、下記(ステップS107)の処理に移行する。
【0040】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させると判定したとき(ステップS106のYES)、下記(ステップS108)の処理に移行する。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させないと判定したとき(ステップS106のNO)、下記(ステップS107)の処理に移行する。
距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が所定角度以上であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0041】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が所定角度以上であると判断したとき(ステップS107のYES)、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ(ステップS108)、上記(ステップS102)の処理に戻る。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が所定角度以上でないと判断したとき(ステップS107のNO)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させることなく、上記(ステップS102)の処理に戻る。
【0042】
ここで、揺動制御部7は、さらに、移動経路設定部5により設定された移動体2の移動経路Iと、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、を考慮して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向以外から障害物Qが出現し(図6(a))、障害物迂回の移動経路Iの方向に対して障害物Qの検出を行うこと無く揺動方向を反転させる場合(図6(b))や、移動経路Iの方向において障害物Qの検出を行う前に揺動方向に障害物Qが出現し(図7(a))、移動経路Iの方向の障害物Qの検出を行わずに揺動方向を反転させる場合(図7(b))、などを防止し、より最適に障害物Qを検知できる。
【0043】
例えば、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、略放射状の検出領域Aの揺動方向側の端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがあるか否かの判断(条件1)と、移動経路設定部5により設定された移動経路Iと所定半径Riの円との交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して左右どちら側にあるかの判断(条件2)と、に基づいて、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図8(a))。
【0044】
ここで、(条件1)において、障害物Qの距離データ点列Piのうち1点でも検出領域Aの端辺L上にある場合、揺動した先で障害物Qが初めて検出されたことになり、本(条件1)を満たすものとする。また、(条件2)において、揺動制御部7は、例えば、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあるか否かを判断している。さらに、揺動制御部7は、移動経路Iが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあるか否かを判断してもよい。
【0045】
例えば、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがあり、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあると判断したとき(図8(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させない(図8(b))。
【0046】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがあり、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して左側にあると判断したとき(図9(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図9(b))。
【0047】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがなく、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあると判断したとき(図10(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させない(図10(b))。
【0048】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがなく、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して左側にあると判断したとき(図11(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図11(b))。
【0049】
なお、上記、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向の場合について、説明を行ったが、揺動方向が左方向の場合も、上記右方向の場合と略同一でるため、詳細な説明は省略する。図12は、距離センサ3の揺動方向、(条件1)、及び(条件2)と、揺動方向の反転と、の関係を示す図である。
【0050】
以上、本実施の形態1に係る自律移動システム1において、揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、その障害物Qが所定距離以内にあると判断したとき、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動範囲を適切に制限することができ不要な揺動を抑制できるため、最適に障害物Qを検知できる。
【0051】
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態2に係る自律移動システム20は、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内にあり、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線(正面の軸線)Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線と、の成す角度が最小となる障害物Qの距離データ点列Diの点Dを求め(図14)、求めた点Dと距離センサ3とを結んだ限界線NLと中心線Nとの成す角度から距離センサ3の視野角度θsの1/2を減算した角度を揺動の限界角度θTHとして算出する限界角度算出部25を更に備える点を特徴とする(図16)。
【0052】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTHになると、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0053】
記憶部24は、記憶手段の一具体例であり、例えば、上記ROMやRAMから構成されている。また、地図情報24aは、障害物Qの位置情報などを含んでいる。
【0054】
ここで、上記点Dの導出方法について詳細に説明する。移動体2の進行方向の中心線Nから距離センサ3の検出領域Aの揺動方向へθ度回転させた直線をVとして、限界角度算出部25は、記憶部24に記憶された地図情報24aに含まれる障害物Qの位置情報に基づいて、移動体2を中心とした所定半径RTH以内にあり、そのY座標が揺動方向側にある障害物Qの距離データ点列Diの点を求める(図15(a))。このように、予め記憶した地図情報24aに含まれる障害物Qの位置情報を用いることで、例えば、距離センサ3からの送出波を透過するガラス壁等の障害物Qの誤検知を防止することができる。
【0055】
限界角度算出部25は、直線Vの回転角度θを0度から徐徐に増加させつつ、直線Vと距離データ点列Diの各点との距離riを夫々算出し、算出した距離riが所定閾値rTHより小さくなる点D(ri<rTH(≒0))を算出する(図15(b))。ここで、直線Vの回転角度θが90度以上となっても、算出した距離riが所定閾値rTHより小さくなる点Dが存在しない場合、限界角度算出部25は、限界角度に90度を設定する。
【0056】
さらに、上記のように求めた点D=(X、Y、Z)とし、距離センサ3の視野角度をθsとすると、揺動の限界角度θTHは、下記(1)式により算出することができる(図16)。
θTH=arctan(X/Y)±θs/2 (1)式
【0057】
なお、上記(1)式において、Y≧0の場合、−θs/2とし、Y<0の場合、+θs/2とする。また、一次元距離計測を行う距離センサ3を用いた場合に、下記(2)式を用いて揺動の限界角度θTHを算出する。
θTH=arctan(Y/X) (2)式
【0058】
揺動制御部7は、(距離センサ3の揺動角度|θ|>揺動の限界角度θTH)を満足したと判断したとき、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0059】
本実施の形態2に係る自律移動システム20において、他の構成は上記実施の形態1に係る自律移動システム1と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
図17は、本実施の形態2に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0061】
揺動制御部7は、距離センサ3の初期揺動方向を決定し(ステップS201)、距離センサ3をヨー方向へ回転させる(ステップS202)。
【0062】
限界角度算出部25は、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内であり、距離センサ3の揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線と、の成す角度が最小となる障害物Qの距離データ点列Diの中の点Dを求め(ステップS203)、その点Dを用いて揺動の限界角度θTHを算出し(ステップS204)、算出した揺動の限界角度θTHを揺動制御部7に対して出力する。
【0063】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTH以上であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0064】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTH以上であると判断すると(ステップS205のYES)、下記(ステップS207)の処理に移行する。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTH以上でないと判断すると(ステップS205のNO)、距離センサ3の揺動角度が所定角度以上であるか否かを判断する(ステップS206)。
【0065】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が所定角度以上であると判断したとき(ステップS206のYES)、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ(ステップS207)、上記(ステップS202)の処理に戻る。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が所定角度以上でないと判断したとき(ステップS206のNO)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させることなく、上記(ステップS202)の処理に戻る。
【0066】
以上、本実施の形態2に係る自律移動システム20において、記憶部24に記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内であり、距離センサ3の揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線との成す角度が最小となる障害物Q上の点Dを求め、求めた点Dと距離センサ3とを結んだ限界線NLと中心線Nとの成す角度から距離センサ3の視野角度の1/2を減算した角度を限界角度θTHとして算出し、距離センサ3の揺動角度が算出された揺動の限界角度θTHになると、距離センサ3の揺動方向を反転させる。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動範囲を適切に制限することができ不要な揺動を抑制できるため、最適に障害物Qを検知できる。
【0067】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る自律移動システム30は、上記実施の形態1及び2に係る自律移動システム1、20の構成を組み合わせた点を特徴としており、そのハードウェア構成は、上記実施の形態2に係る自律移動システム20と略同一となる。
【0068】
自律移動システム30は、まず、上記実施の形態2に示すように、距離センサ3の限界角度θTHを算出して距離センサ3の揺動範囲を限定し、その揺動範囲内において、上記実施の形態1に示すような距離センサ3の揺動制御を行う。本実施の形態3において、他の構成は上記実施の形態1及び2と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
図18は、本実施の形態3に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。まず、揺動制御部7は、距離センサ3の初期揺動方向を決定し(ステップS301)、距離センサ3をヨー方向へ回転させる(ステップS302)。
【0070】
限界角度算出部25は、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内であり、距離センサ3の揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線と、の成す角度が最小となる障害物Qの距離データ点列Diの中の点Dを求め(ステップS303)、揺動の限界角度θTHを算出し(ステップS304)、算出した揺動の限界角度θTHを揺動制御部7に対して出力する。
【0071】
次に、距離センサ3は、揺動しつつ障害物Qの距離データ点列Diを検出する(ステップS305)。その後、距離センサ3は、検出した障害物Qの距離データ点列Diから路面データを除去し(ステップS306)、その距離データ点列Diを揺動制御部7、移動経路設定部5に対して出力する。
【0072】
揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Diの水平距離Riが所定距離RTH以内にあるか否かを判断する(ステップS307)。
【0073】
揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にあると判断したとき(ステップS307のYES)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、上記(条件1)と、上記(条件2)と、に基づいて、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させるか否かを判定する(ステップS308)。一方、揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にないと判断したとき(ステップS307のNO)、下記(ステップS309)の処理に移行する。
【0074】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させると判定したとき(ステップS308のYES)、下記(ステップS310)の処理に移行する。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させないと判定したとき(ステップS308のNO)、下記(ステップS309)の処理に移行する。
【0075】
距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が限界角度θTH以上であるか否かを判断する(ステップS309)。
【0076】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が限界角度θTH以上であると判断したとき(ステップS309のYES)、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ(ステップS310)、上記(ステップS302)の処理に戻る。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が限界角度θTH以上でないと判断したとき(ステップS309のNO)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させることなく、上記(ステップS302)の処理に戻る。
【0077】
以上、本実施の形態3に係る自律移動システム30において、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて距離センサ3の揺動範囲を限定し、さらに、その揺動範囲内において、距離センサ3により検出された障害物Qの距離データに基づいて距離センサ3の揺動範囲を制限する。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動範囲をより適切に制限することができ、不要な揺動を効果的に抑制できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0079】
また、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、図5、図17、又は図18に示す処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0080】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。
【0081】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0082】
1 自律移動システム
2 移動体
3 距離センサ
4 センサ揺動装置
5 移動経路設定部
6 駆動制御部
7 揺動制御部
24 記憶部
24a 地図情報
25 限界角度算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離センサを揺動させて障害物を検出する自律移動システム、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、距離検出手段を揺動させることで検出領域内の障害物などを検知して、自律的に移動体を移動させる技術が知られている。
【0003】
例えば、移動体の移動速度が高い場合には回転周期を短くして、解像度は低くなるが短時間で3次元距離データを取得し、一方、移動体の移動速度が低い場合には回転周期を長くして、時間をかけて解像度の高い3次元距離データを取得する3次元測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−225342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す3次元測定装置においては、例えば、距離検出手段の回転周期が長くなると、距離検出手段が向いていない方向に障害物が出現した場合、その検知が遅れることとなり、一方、距離検出手段の回転周期を短くすると、詳細に障害物を検知できるだけの解像度を得ることができないという問題が生じる。また、距離検出手段の揺動範囲を狭くし過ぎると障害物を検知できない死角が増えることとなるため、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる自律移動システム、その制御方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、移動体に設けられ、検出領域内の障害物の距離を検出する距離検出手段と、前記距離検出手段の検出領域をヨー方向へ揺動させる揺動手段と、前記揺動手段の揺動を制御する揺動制御手段と、を備える自律移動システムであって、前記揺動制御手段は、障害物の位置に応じて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動範囲を制限する、ことを特徴とする自律移動システムである。この一態様によれば、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる。
【0008】
この一態様において、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により前記検出領域内の障害物が検出されたとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。これにより、距離検出手段の不要な揺動を抑え、揺動範囲を適切に制限することができる。
【0009】
この一態様において、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された前記検出領域内の障害物の距離が所定距離以内であると判断したとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。これにより、距離検出手段の不要な揺動を抑え、揺動範囲を適切に制限することができる。
【0010】
この一態様において、前記距離検出手段により検出された前記障害物の距離に基づいて、前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段を更に備え、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された障害物の位置と、前記移動経路設定手段により設定された前記移動体の移動経路と、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、に基づいて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。これにより、移動体の移動経路も考慮して、距離検出手段の揺動範囲をより適切に設定することができる。
【0011】
この一態様において、前記距離検出手段は、略放射状に形成された検出領域内の障害物を検出し、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、前記略放射状の検出領域の前記揺動方向側の端辺上に前記障害物があるか否かの判断と、前記移動経路設定手段により設定された移動経路と所定半径の円との交点が前記障害物に対して左右どちら側にあるかの判断と、に基づいて、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0012】
この一態様において、障害物の位置情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と前記距離検出手段とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と距離検出手段とを結んだ限界線と前記中心線との成す角度から前記距離検出手段の視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出する限界角度算出手段と、を更に備え、前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の揺動角度が前記限界角度算出手段により算出された前記揺動の限界角度になると、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0013】
この一態様において、前記限界角度算出手段は、前記移動体の進行方向の中心線を前記距離検出手段の検出領域の揺動方向に回転させ、該回転させた中心線と前記障害物との距離が所定閾値以下となる限界線を求め、該限界線と前記進行方向の中心線との成す角度を、前記揺動の限界角度として算出してもよい。
【0014】
この一態様において、前記移動体を駆動し移動させる駆動手段と、前記移動体が自律的に移動するように前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、を更に備えていてもよい。
【0015】
他方、上記目的を達成するための本発明の一態様は、検出領域内の障害物の距離を検出するステップと、前記検出領域をヨー方向へ揺動させるステップと、障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限するステップと、を含む、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法であってもよい。
【0016】
この一態様において、前記検出された検出領域内の障害物の距離が所定距離以内にあるとき、前記検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0017】
この一態様において、障害物の位置情報を含む地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と移動体とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と移動体とを結んだ限界線と、前記中心線と、の成す角度から視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出するステップを更に含み、前記検出領域の揺動角度が前記算出された揺動の限界角度になると、前記検出領域の揺動方向を反転させてもよい。
【0018】
さらに、上記目的を達成するための本発明の一態様は、検出領域内の障害物の距離を検出する処理と、前記検出領域をヨー方向へ揺動させるように制御する処理と、障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする自律移動システムのプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、距離検出手段の揺動範囲を適切に設定し、最適に障害物を検知できる自律移動システム、その制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る自律移動システムの概略的な構成を示す斜視図である。
【図3】距離センサの揺動方向を反転させるタイミングを説明するための図である。
【図4】距離センサの揺動方向を反転させるタイミングを説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る自律移動システム1の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図7】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図8】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図9】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図10】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図11】(a)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。(b)距離センサの揺動方向を反転させる条件を説明するための図である。
【図12】距離センサの揺動方向、(条件1)、及び(条件2)と、揺動方向の反転と、の関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【図14】揺動の限界角度の導出方法を説明するための図である。
【図15】(a)点Dの詳細な導出方法を説明するための図である。(b)点Dの詳細な導出方法を説明するための図である。
【図16】揺動の限界角度の導出方法を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態3に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。また、図2は、本実施の形態1に係る自律移動システムの概略的な構成を示す斜視図である。
【0022】
本実施の形態1に係る自律移動システム1は、自律的に移動可能な移動体2と、移動体2に搭載された距離センサ3と、距離センサ3を揺動させるセンサ揺動装置4と、移動体2の移動経路を設定する移動経路設定部5と、移動体2の駆動を制御する駆動制御部6と、センサ揺動装置4の揺動を制御する揺動制御部7と、を備えている。
【0023】
移動体2は、例えば、移動体本体21と、移動体本体21に回転可能に設けられた左右一対の駆動輪22と、駆動手段の一具体例であり各駆動輪22を回転駆動するモータなどの車輪駆動部23と、を有している。移動体2は、各駆動輪22を回転駆動させて任意の方向及び速度で移動することができるように構成されている。なお、移動体2は、車輪を有する車両として構成されているが、これに限らず、例えば、歩行型ロボットとして構成されてもよく、移動可能な任意の移動体として構成してもよい。
【0024】
距離センサ3は、距離検出手段の一具体例であり、例えば、移動体2の前面にヨー方向(左右方向)へ揺動可能なように設けられ、障害物の距離を検出できるセンサである。距離センサ3は、例えば、超音波センサ、ミリ波センサ、レーザーセンサ、レーザーレンジファインダーなどから構成されており、送出波を略放射状に出力し、その略放射状(略扇形状)の検出領域A内にある障害物(人、動物、物など)Qから反射された反射波に基づいて、その障害物Qを検出し、その障害物Qとの距離データを検出することができる(図3)。
【0025】
距離センサ3は、例えば、3次元距離計測が可能なように構成されており、例えば、1秒間に障害物Qにおける複数の距離データを取得することができる。距離センサ3は、各距離データに幾何学的な変換を施すことにより、障害物Qの3次元の距離データ点列Pi=(Xi、Yi、Zi)(i=1、2、3、・・・)を取得することができる。なお、距離センサ3は、一次元距離計測が可能なように構成されていてもよい。
【0026】
距離センサ3は、取得した距離データ点列Piのうち路面データ(路面の凹凸情報など)を除去することで、障害物Qの距離データをより高精度に検出することができる。具体的には、距離センサ3は、各距離データ点列Piの中で、座標Ziの大きさが閾値ZTH以下となる点(|Zi|≦ZTH)を全て路面データとして除去する。距離センサ3は、移動経路設定部5及び揺動制御部7に接続されており、検出した障害物Qの距離データ点列Piを移動経路設定部5及び揺動制御部7に対して出力する。
【0027】
センサ揺動装置4は、揺動手段の一具体例であり、距離センサ3の検出領域Aをヨー方向へ所定周期で揺動させる。これにより、距離センサ3は、障害物Qの距離データを取得できる略放射状の検出領域Aをヨー方向に揺動させることで、広範囲にわたって障害物Qを検出できる。センサ揺動装置4は、例えば、距離センサ3を揺動させるサーボモータなどのアクチュエータと、アクチュエータの回転駆動力を距離センサ3に伝達する伝達機構と、を有している。
【0028】
移動経路設定部5は、移動経路設定手段の一具体例であり、距離センサ3から出力された障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、移動体2の移動経路Iを設定する。移動経路設定部5は、距離センサ3から出力された障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、例えば、距離センサ3により検出された障害物Qを安全に回避でき、かつ最短となるような移動経路Iを設定する。
【0029】
駆動制御部6は、駆動制御手段の一具体例であり、移動経路設定部5により設定された移動経路Iに従って移動体2が自律的に移動するように、移動体2の車輪駆動部23を制御し、各駆動輪22の回転駆動を制御する。
【0030】
揺動制御部7は、揺動制御手段の一具体例であり、センサ揺動装置4の揺動を制御する。揺動制御部7は、距離センサ3からの距離データ点列Piに基づいて、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向、揺動速度などを制御する。
【0031】
なお、移動経路設定部5、駆動制御部6、及び揺動制御部7は、例えば、制御処理や演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUによって実行される制御プログラムや演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)と、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、を有するマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。また、これらCPU、ROM、及びRAMは、データバスによって相互に接続されている。
【0032】
次に、上述のように構成された自律移動システム1の制御方法について詳細に説明する。揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、その障害物Qが所定距離以内にあると判断したとき、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0033】
揺動制御部7は、距離センサ3からの障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Ri=(Xi2+Yi2)1/2<所定距離RTHとなると判断したとき(図3)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図4)。ここで、移動体2に近い位置(その水平距離Riが所定距離RTH以内)にある障害物Qを初めて検出したときに、検出した障害物Qより揺動外側の領域Dの情報は、移動体2がその障害物Qの内側を移動する(障害物Qが移動経路Iの外側に位置する)為、必要とされない。したがって、揺動制御部7は、上述のように、所定距離RTH以内の障害物Qが検出されたときにセンサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ、反対側の障害物Qの検出を行う。
【0034】
なお、揺動制御部7は、距離センサ3により障害物Qが検出されず、かつ距離センサ3の揺動角度が所定角度以上になったと判断したときも、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0035】
図5は、本実施の形態1に係る自律移動システム1の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0036】
揺動制御部7は、距離センサ3の初期揺動方向を決定し(ステップS101)、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aをヨー方向へ回転させる(ステップS102)。
【0037】
次に、距離センサ3は、揺動しつつ障害物Qの距離データ点列Piを検出する(ステップS103)。その後、距離センサ3は、検出した障害物Qの距離データ点列Piから路面データを除去し(ステップS104)、その距離データ点列Piを揺動制御部7及び移動経路設定部5に対して出力する。
【0038】
揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にあるか否かを判断する(ステップS105)。
【0039】
揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にあると判断したとき(ステップS105のYES)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、下記(条件1)と、下記(条件2)と、に基づいて、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させるか否かを判定する(ステップS106)。一方、揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にないと判断したとき(ステップS105のNO)、下記(ステップS107)の処理に移行する。
【0040】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させると判定したとき(ステップS106のYES)、下記(ステップS108)の処理に移行する。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させないと判定したとき(ステップS106のNO)、下記(ステップS107)の処理に移行する。
距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が所定角度以上であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0041】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が所定角度以上であると判断したとき(ステップS107のYES)、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ(ステップS108)、上記(ステップS102)の処理に戻る。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が所定角度以上でないと判断したとき(ステップS107のNO)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させることなく、上記(ステップS102)の処理に戻る。
【0042】
ここで、揺動制御部7は、さらに、移動経路設定部5により設定された移動体2の移動経路Iと、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、を考慮して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向以外から障害物Qが出現し(図6(a))、障害物迂回の移動経路Iの方向に対して障害物Qの検出を行うこと無く揺動方向を反転させる場合(図6(b))や、移動経路Iの方向において障害物Qの検出を行う前に揺動方向に障害物Qが出現し(図7(a))、移動経路Iの方向の障害物Qの検出を行わずに揺動方向を反転させる場合(図7(b))、などを防止し、より最適に障害物Qを検知できる。
【0043】
例えば、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、略放射状の検出領域Aの揺動方向側の端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがあるか否かの判断(条件1)と、移動経路設定部5により設定された移動経路Iと所定半径Riの円との交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して左右どちら側にあるかの判断(条件2)と、に基づいて、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図8(a))。
【0044】
ここで、(条件1)において、障害物Qの距離データ点列Piのうち1点でも検出領域Aの端辺L上にある場合、揺動した先で障害物Qが初めて検出されたことになり、本(条件1)を満たすものとする。また、(条件2)において、揺動制御部7は、例えば、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあるか否かを判断している。さらに、揺動制御部7は、移動経路Iが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあるか否かを判断してもよい。
【0045】
例えば、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがあり、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあると判断したとき(図8(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させない(図8(b))。
【0046】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがあり、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して左側にあると判断したとき(図9(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図9(b))。
【0047】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがなく、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して右側にあると判断したとき(図10(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させない(図10(b))。
【0048】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向であり、検出領域Aの端辺L上に障害物Qの距離データ点列Piがなく、交点Mが障害物Qの距離データ点列Piに対して左側にあると判断したとき(図11(a))、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる(図11(b))。
【0049】
なお、上記、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向が右方向の場合について、説明を行ったが、揺動方向が左方向の場合も、上記右方向の場合と略同一でるため、詳細な説明は省略する。図12は、距離センサ3の揺動方向、(条件1)、及び(条件2)と、揺動方向の反転と、の関係を示す図である。
【0050】
以上、本実施の形態1に係る自律移動システム1において、揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Piに基づいて、その障害物Qが所定距離以内にあると判断したとき、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動範囲を適切に制限することができ不要な揺動を抑制できるため、最適に障害物Qを検知できる。
【0051】
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2に係る自律移動システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態2に係る自律移動システム20は、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内にあり、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線(正面の軸線)Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線と、の成す角度が最小となる障害物Qの距離データ点列Diの点Dを求め(図14)、求めた点Dと距離センサ3とを結んだ限界線NLと中心線Nとの成す角度から距離センサ3の視野角度θsの1/2を減算した角度を揺動の限界角度θTHとして算出する限界角度算出部25を更に備える点を特徴とする(図16)。
【0052】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTHになると、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0053】
記憶部24は、記憶手段の一具体例であり、例えば、上記ROMやRAMから構成されている。また、地図情報24aは、障害物Qの位置情報などを含んでいる。
【0054】
ここで、上記点Dの導出方法について詳細に説明する。移動体2の進行方向の中心線Nから距離センサ3の検出領域Aの揺動方向へθ度回転させた直線をVとして、限界角度算出部25は、記憶部24に記憶された地図情報24aに含まれる障害物Qの位置情報に基づいて、移動体2を中心とした所定半径RTH以内にあり、そのY座標が揺動方向側にある障害物Qの距離データ点列Diの点を求める(図15(a))。このように、予め記憶した地図情報24aに含まれる障害物Qの位置情報を用いることで、例えば、距離センサ3からの送出波を透過するガラス壁等の障害物Qの誤検知を防止することができる。
【0055】
限界角度算出部25は、直線Vの回転角度θを0度から徐徐に増加させつつ、直線Vと距離データ点列Diの各点との距離riを夫々算出し、算出した距離riが所定閾値rTHより小さくなる点D(ri<rTH(≒0))を算出する(図15(b))。ここで、直線Vの回転角度θが90度以上となっても、算出した距離riが所定閾値rTHより小さくなる点Dが存在しない場合、限界角度算出部25は、限界角度に90度を設定する。
【0056】
さらに、上記のように求めた点D=(X、Y、Z)とし、距離センサ3の視野角度をθsとすると、揺動の限界角度θTHは、下記(1)式により算出することができる(図16)。
θTH=arctan(X/Y)±θs/2 (1)式
【0057】
なお、上記(1)式において、Y≧0の場合、−θs/2とし、Y<0の場合、+θs/2とする。また、一次元距離計測を行う距離センサ3を用いた場合に、下記(2)式を用いて揺動の限界角度θTHを算出する。
θTH=arctan(Y/X) (2)式
【0058】
揺動制御部7は、(距離センサ3の揺動角度|θ|>揺動の限界角度θTH)を満足したと判断したとき、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させる。
【0059】
本実施の形態2に係る自律移動システム20において、他の構成は上記実施の形態1に係る自律移動システム1と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
図17は、本実施の形態2に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0061】
揺動制御部7は、距離センサ3の初期揺動方向を決定し(ステップS201)、距離センサ3をヨー方向へ回転させる(ステップS202)。
【0062】
限界角度算出部25は、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内であり、距離センサ3の揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線と、の成す角度が最小となる障害物Qの距離データ点列Diの中の点Dを求め(ステップS203)、その点Dを用いて揺動の限界角度θTHを算出し(ステップS204)、算出した揺動の限界角度θTHを揺動制御部7に対して出力する。
【0063】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTH以上であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0064】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTH以上であると判断すると(ステップS205のYES)、下記(ステップS207)の処理に移行する。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が限界角度算出部25により算出された揺動の限界角度θTH以上でないと判断すると(ステップS205のNO)、距離センサ3の揺動角度が所定角度以上であるか否かを判断する(ステップS206)。
【0065】
揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が所定角度以上であると判断したとき(ステップS206のYES)、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ(ステップS207)、上記(ステップS202)の処理に戻る。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の揺動角度が所定角度以上でないと判断したとき(ステップS206のNO)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させることなく、上記(ステップS202)の処理に戻る。
【0066】
以上、本実施の形態2に係る自律移動システム20において、記憶部24に記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内であり、距離センサ3の揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線との成す角度が最小となる障害物Q上の点Dを求め、求めた点Dと距離センサ3とを結んだ限界線NLと中心線Nとの成す角度から距離センサ3の視野角度の1/2を減算した角度を限界角度θTHとして算出し、距離センサ3の揺動角度が算出された揺動の限界角度θTHになると、距離センサ3の揺動方向を反転させる。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動範囲を適切に制限することができ不要な揺動を抑制できるため、最適に障害物Qを検知できる。
【0067】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る自律移動システム30は、上記実施の形態1及び2に係る自律移動システム1、20の構成を組み合わせた点を特徴としており、そのハードウェア構成は、上記実施の形態2に係る自律移動システム20と略同一となる。
【0068】
自律移動システム30は、まず、上記実施の形態2に示すように、距離センサ3の限界角度θTHを算出して距離センサ3の揺動範囲を限定し、その揺動範囲内において、上記実施の形態1に示すような距離センサ3の揺動制御を行う。本実施の形態3において、他の構成は上記実施の形態1及び2と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
図18は、本実施の形態3に係る自律移動システムの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。まず、揺動制御部7は、距離センサ3の初期揺動方向を決定し(ステップS301)、距離センサ3をヨー方向へ回転させる(ステップS302)。
【0070】
限界角度算出部25は、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて、移動体2を中心として所定半径RTH以内であり、距離センサ3の揺動方向側にあり、かつ、移動体2の進行方向の中心線Nと、その点Dと距離センサ3とを結んだ線と、の成す角度が最小となる障害物Qの距離データ点列Diの中の点Dを求め(ステップS303)、揺動の限界角度θTHを算出し(ステップS304)、算出した揺動の限界角度θTHを揺動制御部7に対して出力する。
【0071】
次に、距離センサ3は、揺動しつつ障害物Qの距離データ点列Diを検出する(ステップS305)。その後、距離センサ3は、検出した障害物Qの距離データ点列Diから路面データを除去し(ステップS306)、その距離データ点列Diを揺動制御部7、移動経路設定部5に対して出力する。
【0072】
揺動制御部7は、距離センサ3により検出された検出領域A内の障害物Qの距離データ点列Diの水平距離Riが所定距離RTH以内にあるか否かを判断する(ステップS307)。
【0073】
揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にあると判断したとき(ステップS307のYES)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向と、上記(条件1)と、上記(条件2)と、に基づいて、センサ揺動装置4を制御して距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させるか否かを判定する(ステップS308)。一方、揺動制御部7は、障害物Qの距離データ点列Piの水平距離Riが所定距離RTH以内にないと判断したとき(ステップS307のNO)、下記(ステップS309)の処理に移行する。
【0074】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させると判定したとき(ステップS308のYES)、下記(ステップS310)の処理に移行する。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させないと判定したとき(ステップS308のNO)、下記(ステップS309)の処理に移行する。
【0075】
距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が限界角度θTH以上であるか否かを判断する(ステップS309)。
【0076】
揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が限界角度θTH以上であると判断したとき(ステップS309のYES)、センサ揺動装置4を制御して、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させ(ステップS310)、上記(ステップS302)の処理に戻る。一方、揺動制御部7は、距離センサ3の検出領域Aの揺動角度が限界角度θTH以上でないと判断したとき(ステップS309のNO)、距離センサ3の検出領域Aの揺動方向を反転させることなく、上記(ステップS302)の処理に戻る。
【0077】
以上、本実施の形態3に係る自律移動システム30において、記憶部24に予め記憶された地図情報24aに基づいて距離センサ3の揺動範囲を限定し、さらに、その揺動範囲内において、距離センサ3により検出された障害物Qの距離データに基づいて距離センサ3の揺動範囲を制限する。これにより、距離センサ3の検出領域Aの揺動範囲をより適切に制限することができ、不要な揺動を効果的に抑制できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0079】
また、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、図5、図17、又は図18に示す処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0080】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。
【0081】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0082】
1 自律移動システム
2 移動体
3 距離センサ
4 センサ揺動装置
5 移動経路設定部
6 駆動制御部
7 揺動制御部
24 記憶部
24a 地図情報
25 限界角度算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられ、検出領域内の障害物の距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段の検出領域をヨー方向へ揺動させる揺動手段と、
前記揺動手段の揺動を制御する揺動制御手段と、を備える自律移動システムであって、
前記揺動制御手段は、障害物の位置に応じて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動範囲を制限する、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項2】
請求項1記載の自律移動システムであって、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により前記検出領域内の障害物が検出されたとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項3】
請求項2記載の自律移動システムであって、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された前記検出領域内の障害物の距離が所定距離以内であると判断したとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の自律移動システムであって、
前記距離検出手段により検出された前記障害物の距離に基づいて、前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段を更に備え、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された障害物の位置と、前記移動経路設定手段により設定された前記移動体の移動経路と、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、に基づいて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項5】
請求項4記載の自律移動システムであって、
前記距離検出手段は、略放射状に形成された検出領域内の障害物を検出し、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、前記略放射状の検出領域の前記揺動方向側の端辺上に前記障害物があるか否かの判断と、前記移動経路設定手段により設定された移動経路と所定半径の円との交点が前記障害物に対して左右どちら側にあるかの判断と、に基づいて、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項6】
請求項1記載の自律移動システムであって、
障害物の位置情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と前記距離検出手段とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と距離検出手段とを結んだ限界線と前記中心線との成す角度から前記距離検出手段の視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出する限界角度算出手段と、を更に備え、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の揺動角度が前記限界角度算出手段により算出された前記揺動の限界角度になると、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項7】
請求項6記載の自律移動システムであって、
前記限界角度算出手段は、前記移動体の進行方向の中心線を前記距離検出手段の検出領域の揺動方向に回転させ、該回転させた中心線と前記障害物との距離が所定閾値以下となる限界線を求め、該限界線と前記進行方向の中心線との成す角度を、前記揺動の限界角度として算出する、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の自律移動システムであって、
前記移動体を駆動し移動させる駆動手段と、
前記移動体が自律的に移動するように前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、を更に備える、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項9】
検出領域内の障害物の距離を検出するステップと、
前記検出領域をヨー方向へ揺動させるステップと、
障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限するステップと、を含む、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法。
【請求項10】
請求項9記載の自律移動システムの制御方法であって、
前記検出された検出領域内の障害物の距離が所定距離以内にあるとき、前記検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法。
【請求項11】
請求項9記載の自律移動システムであって、
障害物の位置情報を含む地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と移動体とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と移動体とを結んだ限界線と、前記中心線と、の成す角度から視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出するステップを更に含み、
前記検出領域の揺動角度が前記算出された揺動の限界角度になると、前記検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法。
【請求項12】
検出領域内の障害物の距離を検出する処理と、
前記検出領域をヨー方向へ揺動させるように制御する処理と、
障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする自律移動システムのプログラム。
【請求項1】
移動体に設けられ、検出領域内の障害物の距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段の検出領域をヨー方向へ揺動させる揺動手段と、
前記揺動手段の揺動を制御する揺動制御手段と、を備える自律移動システムであって、
前記揺動制御手段は、障害物の位置に応じて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動範囲を制限する、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項2】
請求項1記載の自律移動システムであって、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により前記検出領域内の障害物が検出されたとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項3】
請求項2記載の自律移動システムであって、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された前記検出領域内の障害物の距離が所定距離以内であると判断したとき、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の自律移動システムであって、
前記距離検出手段により検出された前記障害物の距離に基づいて、前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段を更に備え、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段により検出された障害物の位置と、前記移動経路設定手段により設定された前記移動体の移動経路と、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、に基づいて、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項5】
請求項4記載の自律移動システムであって、
前記距離検出手段は、略放射状に形成された検出領域内の障害物を検出し、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向と、前記略放射状の検出領域の前記揺動方向側の端辺上に前記障害物があるか否かの判断と、前記移動経路設定手段により設定された移動経路と所定半径の円との交点が前記障害物に対して左右どちら側にあるかの判断と、に基づいて、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項6】
請求項1記載の自律移動システムであって、
障害物の位置情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記距離検出手段の検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と前記距離検出手段とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と距離検出手段とを結んだ限界線と前記中心線との成す角度から前記距離検出手段の視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出する限界角度算出手段と、を更に備え、
前記揺動制御手段は、前記距離検出手段の揺動角度が前記限界角度算出手段により算出された前記揺動の限界角度になると、前記揺動手段を制御して前記距離検出手段の検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項7】
請求項6記載の自律移動システムであって、
前記限界角度算出手段は、前記移動体の進行方向の中心線を前記距離検出手段の検出領域の揺動方向に回転させ、該回転させた中心線と前記障害物との距離が所定閾値以下となる限界線を求め、該限界線と前記進行方向の中心線との成す角度を、前記揺動の限界角度として算出する、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の自律移動システムであって、
前記移動体を駆動し移動させる駆動手段と、
前記移動体が自律的に移動するように前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、を更に備える、ことを特徴とする自律移動システム。
【請求項9】
検出領域内の障害物の距離を検出するステップと、
前記検出領域をヨー方向へ揺動させるステップと、
障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限するステップと、を含む、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法。
【請求項10】
請求項9記載の自律移動システムの制御方法であって、
前記検出された検出領域内の障害物の距離が所定距離以内にあるとき、前記検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法。
【請求項11】
請求項9記載の自律移動システムであって、
障害物の位置情報を含む地図情報に基づいて、前記移動体を中心として所定半径以内であり、前記検出領域の揺動方向側にあり、かつ、前記移動体の進行方向の中心線と、その点と移動体とを結んだ線と、の成す角度が最小となる前記障害物上の点を求め、該求めた点と移動体とを結んだ限界線と、前記中心線と、の成す角度から視野角度の1/2を減算した角度を限界角度として算出するステップを更に含み、
前記検出領域の揺動角度が前記算出された揺動の限界角度になると、前記検出領域の揺動方向を反転させる、ことを特徴とする自律移動システムの制御方法。
【請求項12】
検出領域内の障害物の距離を検出する処理と、
前記検出領域をヨー方向へ揺動させるように制御する処理と、
障害物の位置に応じて、前記揺動範囲を制限する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする自律移動システムのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−247400(P2012−247400A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121943(P2011−121943)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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