説明

船舶用ナビゲーション方法および船舶用ナビゲーション装置

【目的】帰港地の天候が悪化する場合にも、安全に帰港できる時刻もしくは港を案内することができる「船舶用ナビゲーション方法および船舶用ナビゲーション装置」を提供することにある。
【構成】船舶が帰港すべき港の位置を記憶し、現在位置を算出し、該現在位置から該港の位置までの距離と所要時間を算出し、該港近辺の天候情報を取得し、該天候情報より該港近辺の天候の危険度を算出し、該危険度より該港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断し、該危険時間帯がある場合には、該危険時間帯がある旨の警告をすると共に、安全に帰港できるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用ナビゲーション方法および船舶用ナビゲーション装置に係り、特に、帰港すべき港の天候情報を取得して、該港までの経路案内を行う船舶用ナビゲーション方法および船舶用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶等の移動体に設置されたナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)衛星より受信した信号を利用して現在位置を算出し、該現在位置周辺の地図をLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部に表示し、かつ、該現在位置を該地図上に重畳表示し、ユーザに該現在位置および該現在位置周辺の地図を提示する。
【0003】
また、ユーザが出発地と目的地を設定すると、ナビゲーション装置は該出発地と該目的地の位置情報を用いて該目的地までの誘導経路を算出し、該表示部に該現在位置および該誘導経路を表示することにより、ユーザを該目的地まで確実に案内することができる。例えば、現在位置を出発地として帰港すべき港(帰港地)を目的地に設定すれば、該帰港地までの誘導経路を表示するからユーザは確実に該帰港地まで帰港することができる。また、ユーザが帰港予定時刻を設定することにより、該帰港予定時刻までに該帰港地に到着できるように出発時刻を設定して該現在地からの帰港開始案内を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、上記従来技術において、ユーザは帰港地を目的地として設定し、あるいは帰港地と帰港予定時刻を設定することで、例えば、該帰港予定時刻に該港に到着できるように案内することができる。ところで、ユーザが該目的地に到着する時刻に該目的地近辺の天候が悪化し波高が大きくなり、帰港途中や接岸中等に転覆するといったユーザが危険にさらされる状況が発生することがある。しかし、従来技術では、かかる状況について何も考慮していないという問題点がある。
【0005】
以上より、本発明の目的は、天候が悪化する場合でもユーザが安全にかつ確実に帰港地に帰港できるようにし、もしくは安全に接岸可能な港を探索し、該港をユーザに提示し、危険回避をユーザに促すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、帰港地近辺の天候が悪化する前にあるいは安全に帰港地へ到着できるように案内する船舶用ナビゲーション方法および船舶用ナビゲーション装置である。
・ 船舶用ナビゲーション方法
本発明の第一の船舶用ナビゲーション方法は、船舶が帰港すべき港の位置を記憶するステップ、現在位置を算出するステップ、該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出するステップ、前記港近辺の天候情報を取得するステップ、該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出するステップ、該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断するステップ、該危険時間帯がある場合には、警告するステップ、を備えている。
【0007】
本発明の第一の船舶用ナビゲーション方法は、前記危険時間帯がある場合には、更に、現在時刻と前記所要時間とに基づいて、該現在時刻より前記現在位置から前記港へ帰港すると危険であるか否か判断するステップ、該現在時刻より帰港すると危険でない場合には、帰港案内を開始するステップ、を備えている。
【0008】
本発明の第一の船舶用ナビゲーション方法は、前記現在時刻より帰港すると危険である場合には、更に、該現在時刻より帰港を開始することが危険である旨の警告をするステップ、前記天候情報より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断するステップ、前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港開始時刻を案内するステップ、を備えている。
【0009】
本発明の第一の船舶用ナビゲーション方法は、前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該別の港近辺の天候情報を取得するステップ、該別の港の位置情報と天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内するステップ、を備えている。
【0010】
本発明の第二の船舶用ナビゲーション方法は、帰港予定時刻を入力するステップ、船舶が帰港すべき港の位置を記憶するステップ、現在位置を算出するステップ、該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出するステップ、前記港近辺の天候情報を取得するステップ、該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出するステップ、該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断するステップ、該危険時間帯がある場合には、前記帰港予定時刻が該危険時間帯内であるか否か判断するステップ、前記帰港予定時刻が該時間帯内である場合には、警告するステップ、を備えている。
【0011】
本発明の第二の船舶用ナビゲーション方法は、前記帰港予定時刻が前記危険時間帯内である場合には、前記天候情報と前記所要時間より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断するステップ、前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港開始時刻を案内するステップ、を備えている。
【0012】
本発明の第二の船舶用ナビゲーション方法は、前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該別の港周辺の天候情報を取得するステップ、該別の港の位置情報と天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内するステップ、を備えている。
【0013】
・ 船舶用ナビゲーション装置
本発明の第一の船舶用ナビゲーション装置は、船舶が帰港すべき港の位置を記憶する帰港位置記憶部と、現在位置を算出する現在位置算出部と、該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出する距離算出部と、天候情報を取得する天候情報取得部と、ユーザへの警告を行う警告部と、該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出し、該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断し、該危険時間帯がある場合には、該危険時間帯がある旨の警告をするように前記警告部を制御する制御部と、を備えている。
【0014】
本発明の第一の船舶用ナビゲーション装置の制御部は、前記危険時間帯がある場合には、更に、現在時刻と前記所要時間とに基づいて、該現在時刻より前記現在位置から前記港へ帰港すると危険であるか否か判断し、該現在時刻より帰港すると危険でない場合には、帰港案内を開始するように制御する。
【0015】
本発明の第一の船舶用ナビゲーション装置の制御部は、前記現在時刻より帰港すると危険である場合には、更に、該現在時刻より帰港を開始することが危険である旨の警告をするように制御し、前記天候情報より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断し、前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港案内開始時刻を案内する。
【0016】
本発明の第一の船舶用ナビゲーション装置の制御部は、前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該港周辺の天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内するように制御する。
【0017】
本発明の第二の船舶用ナビゲーション装置は、港への帰港予定時刻を入力する帰港時刻入力部と、船舶が帰港すべき港の位置を記憶する港位置記憶部と、現在位置を算出する現在位置算出部と、該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出する距離算出部と、ユーザへの警告を行う警告部と、前記港の位置の天候情報を取得する天候情報取得部と、該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出し、該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる時間帯があるか否か判断し、危険な状態になる時間帯がある場合には、更に、前記帰港予定時刻が該危険時間帯内であるか否か判断し、前記帰港予定時刻が該危険時間帯内である場合には、警告するように前記警告部を制御する制御部と、を備えている。
【0018】
本発明の第二の船舶用ナビゲーション装置の制御部は、前記帰港予定時刻が該危険時間帯内である場合には、前記天候情報と前記所要時間より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断し、前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港案内開始時刻を案内する。
【0019】
本発明の第二の船舶用ナビゲーション装置の制御部は、前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該別の港周辺の天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内するように制御する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、帰港地近辺の天候情報を取得し、該天候情報に基づき、該帰港地の危険度を算出し、該帰港地が危険である場合には、その旨をユーザに警告し、かつ、安全に帰港できるように案内するようにしたので、ユーザに危険回避を促すことができる。
また、本発明によれば、安全に出発地、すなわち出発港に帰港できない場合には現在位置より近い安全な港を探索し、該港へ案内し、更に、帰港時刻を設定した場合、該設定時刻に安全かつ確実に帰港地に帰港できるようにし、もしくは安全に接岸可能な港を探索し、該港をユーザに提示し案内するようにしたので、ユーザに危険回避を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
・ 本発明の概要
図1は本発明の概略説明図であり、1は船舶用ナビゲーション装置の表示画面、2は自船舶の現在位置を示すマーク、3は自船舶が帰港すべき帰港地、4は自船舶が帰港地3から現在位置2に到達するまでの航跡、5は方角を示すマーク、6は地図の縮尺を示すマーク、7a〜7fはユーザへの案内表示および警告を促す表示、8は船舶マーク2から帰港地3までの誘導経路、9は帰港地3の天候情報、10は帰港地3への到着予想時刻である。
【0022】
・ 本発明の第1の船舶用ナビゲーション方法の概略
GPS信号より現在位置を算出し、帰港地および現在位置近辺の地図情報を読み出し、図1(a)に示すように、表示画面1に、現在位置2、帰港地3、航跡4、マーク5およびマーク6を表示する。このとき、現在位置2から帰港地3までの距離および帰港地3までの所要時間、該帰港地への到達予想時刻を算出しておく((到達予想時刻)=(現在時刻)+(船舶マーク2から帰港地3までの所要時間))。その後、帰港地3および船舶マーク2近辺の港の天候情報を取得し、該天候情報により帰港地3近辺が危険である時間帯があるか判断し、該危険時間帯がある場合には図1(b)に示すように表示画面1に表示7aを表示し、該到達予想時刻と該危険時間帯を比較することにより該現在時刻からの帰港が危険であるか判断し、危険である場合には、図1(c)に示すように表示画面1に表示7bを表示する。次に、安全な帰港開始時刻があるか判断し、該安全な帰港開始時刻がある場合には図1(d)に示すように表示画面1に表示7cを表示する。また、現在時刻からの帰港判断において、帰港地3近辺が危険でない場合には図1(e)に示すように、表示画面1に現在位置2、帰港地3、マーク5、マーク6、誘導経路8、帰港地3の天候情報9、到着予想時刻10を表示し、帰港地3へ案内する。安全な帰港開始時刻があるか否かの判断において、安全な帰港開始時刻がない場合には、図1(f)に示すように表示画面1に表示7dを表示すると同時に、現在位置2近辺の港情報および天候情報より安全に帰港できる港を探索し、図1(g)に示すように表示画面1に表示7eを表示し、該港を案内する。
【0023】
・ 本発明の第2の船舶用ナビゲーション方法の概略
第2の船舶用ナビゲーション方法は、ユーザが帰港地3への帰港予定時刻を図示しない帰港予定時刻入力部より入力している場合である。
GPS信号より現在位置を算出し、帰港地および現在位置近辺の地図情報を読み出し、図1(a)に示すように、表示画面1に、船舶マーク2、帰港地3、航跡4、マーク5およびマーク6を表示する。このとき、船舶マーク2から帰港地3までの距離および帰港地3までの所要時間、該帰港地への到達予想時刻を算出しておく((到達予想時刻)=(現在時刻)+(船舶マーク2から帰港地3までの所要時間))。その後、帰港地3および船舶マーク2近辺の港の天候情報を取得し、該天候情報により帰港地3近辺が危険であるか判断し、危険である場合には該帰港予定時刻が該危険時間帯内であるか判断し、該危険時間帯内である場合には図1(h)に示すように表示画面1に表示7fを表示する。その後、安全な案内帰港開始時刻がある場合には、図1(d)に示すように表示画面1に表示7cを表示する。また、該帰港予定時刻が該危険時間帯でない場合には前記到達予想時刻に基づいた帰港開始時刻を案内する。安全な帰港開始時刻があるか否かの判断において、安全な案内帰港開始時刻がない場合には、図1(f)に示すように表示画面1に表示7dを表示すると同時に、現在位置2近辺の港情報および天候情報より安全に帰港できる港を探索し、図1(g)に示すように表示画面1に表示7eを表示し、該港を案内する。
【0024】
以上より、帰港地の天候を考慮して、案内を開始するようにしたので、ユーザに危険回避を促すことができる。
【0025】
・ 第1実施例
図2は本発明の第1実施例の船舶用ナビゲーション装置を含むシステム構成図であり、例えば帰港地に存在する天候情報送信部40と、ナビゲーション装置20から構成されている。天候情報送信部40から送信される情報については、後述する。
ナビゲーション装置20において、GPS受信部21は衛星航法システムを利用しており、衛星より受信した信号を現在位置算出部22に入力する。現在位置算出部22は、入力された信号に基づいて現在位置を算出する。記録媒体23は地図データを記憶する地図記憶媒体であり、読出部24は現在位置算出部22で算出した現在位置に基づいて、記録媒体23に記憶されている現在地周辺の地図データおよび現在位置近辺の港の位置情報(経緯度)を読み出し、地図データ記憶部24aは該地図データおよび位置情報を一時的に記憶する。地図画像発生部24bは地図データ記憶部24aが記憶している地図データに応じた地図画像を発生する。帰港地記憶部25は船舶が帰港すべき港を記憶しており、例えばユーザが帰港地として設定する。距離算出部26は、現在位置算出部22が算出した現在位置と、帰港地記憶部25が記憶している帰港地の位置とに基づいて現在位置から帰港地までの距離および所要時間を算出する。尚、所要時間は通常速度(例えば、10km/h)で航行しているものとして計算する。天候情報受信部27は、天候情報送信部40から送信される帰港地および現在位置近辺の港の天候情報(情報内容については後述する)を受信する。
【0026】
制御部28は、ナビゲーション装置20全体を制御すると共に、後述する本発明の帰港地近辺および現在位置近辺の港の天候情報による危険度の算出や、危険な場合のユーザへの警告制御、安全な港探索制御、等を行う。ROM29は各種ソフトウェアを記憶するものであり、上記制御用のソフトウェアのほかに、(1)誘導経路探索用ソフトウェア、(2)経路誘導ソフトウェア等さまざまな制御プログラムが記憶されている。RAM30は誘導経路データ、各種処理結果を一時的に記憶する。
誘導経路発生部31は誘導経路を探索し、該誘導経路を画像合成部32に入力する。画像合成部32は、地図画像発生部24bが発生した地図画像や誘導経路発生部31から入力された誘導経路等を合成し、合成画像や警告メッセージを表示部33に入力し、表示部33は画像合成部32から入力された画像やメッセージを表示する。警告部34は、制御部28による警告制御に基づいてユーザへの警告表示を画像合成部32に入力したり、警告音声や案内音声を発生し、図示しないスピーカを介して、ユーザへの警告およびユーザの案内を行う。
【0027】
図3は、天候情報送信部40より送信され、天候情報受信部27により受信される天候情報の詳細説明図である。
送受信される天候情報は、帰港地記憶部25に記憶されている船舶が帰港すべき港の天候情報と、現在位置近辺の港のうち少なくとも一つの港の天候情報(図3では三つ)が含まれている。例えば、図3では、帰港地と、現在位置近辺の港A〜Cの天候情報が含まれており、港A〜Cのそれぞれの位置の所定時間後までの時刻毎の天気、風向・風速、波高が含まれており、これに基づいて制御部28はそれぞれの港の危険度を算出し、安全な港を探索し、ユーザを案内する。例えば、風速Sと、波高Hとに基づいて、危険度dを算出する。危険度dは例えば、次式
d=w1S+w2H (1)
により、風速Sと波高Hに重みw1、w2を乗算して求める。
尚、雨量Rも考慮して、次式
d=w1S+w2H+w3R (2)
により求めることもできる。但し、w3<w1<w2とする。
【0028】
図4は本発明の第1実施例のナビゲーション装置の処理フローである。以下、図4を用いて、説明を行う。既に、ユーザによって帰港すべき港は帰港地として設定されており、帰港地記憶部25に記憶されているものとする。
【0029】
まず、GPS受信部21は受信したGPS信号より現在位置を算出し、読出部24は現在位置周辺の地図データおよび現在位置近辺の港の位置情報を記録媒体23より読み出して地図データ記憶部24aに保存し、地図画像発生部24bは該地図データを用いて図1(a)に示すような地図画像を発生し制御部28の制御で表示部33の表示画面1に、船舶マーク2、帰港地3、航跡4、マーク5およびマーク6を表示する(ステップS401)。
【0030】
次に、距離算出部26は、S401において算出した現在位置および読み出した帰港地の位置情報より、該現在位置から該帰港地までの距離および所要時間を算出し、該帰港地への到達予想時刻を算出し(ステップS402)、天候情報受信部27は、天候情報送信部40から送信された帰港地および現在位置近辺の港の天候情報を受信する(ステップS403)。
【0031】
しかる後、制御部28は、天候情報受信部27が受信した帰港地の天候情報に基づいて各時間帯における帰港地の天候の危険度dを算出する(ステップS404)。危険度算出は、上記したように、例えば、風速と、波高とに基づいて、(1)式により危険度を算出する。
【0032】
ついで、S404において算出した危険度dが設定値dthより大きいかに基づいて帰港地近辺の天候が危険な状態になる時間帯があるか否かの判断を行い(ステップS405)、危険時間帯がない場合にはS401に戻り、所定時間後にS401以降の処理を繰り返す。危険時間帯がある場合にはS406に進む。
【0033】
S405において、危険時間帯がある場合には、制御部28は表示部33に図1(b)に示す表示7aを表示するように指示し、また、警告部34に警告音声を発生するように指示し、ユーザに危険である旨の警告をする(ステップS406)。
【0034】
次に、制御部28は、前記所要時間と前記帰港地の天候情報に基づいて、現在時刻からの帰港が危険であるか否かの判断を行い(ステップS407)、該現在時刻からの帰港が危険である場合はS408に進み、該現在時刻からの帰港が危険でない場合にはS411に進む。
【0035】
S407において、該現在時刻からの帰港が危険である場合には、制御部28は表示部33に図1(c)に示す表示7bを表示するように指示し、また警告部34に警告音声を発生するように指示し、ユーザに危険である旨の警告をし(ステップS408)、ついで、制御部28は安全な帰港開始時刻があるか否かの判断を行い(ステップS409)、該安全な帰港開始時刻がある場合にはS410に進み、該安全な帰港開始時刻がない場合にはS412に進む。
【0036】
S409において、該安全な帰港開始時刻がある場合には、制御部28は表示部33に図1(d)に示す表示7cを表示するように指示し、また警告部34に案内音声を発生するように指示し、ユーザに安全な帰港開始時刻を案内する(ステップS410)。
【0037】
S409において、前記安全な帰港開始時刻がない場合には、制御部28は表示部33に図1(f)に示す表示7dを表示するように指示し、また警告部34に警告音声を発生するように指示する。その後、制御部28は図1(g)に示す表示7eを表示するように指示し、それと同時に受信した現在位置近辺の天候情報より安全な港を探索し、ユーザへ該安全な港を案内する(ステップS412)。
【0038】
S407において、前記現在時刻からの帰港が危険でない場合には、制御部28は図1(e)に示すように、表示部33の表示画面1に、船舶マーク2、帰港地3、誘導経路8、帰港地近辺の天候情報9、帰港地3への到達予想時刻、マーク5、マーク6を表示するように制御し、ユーザへ経路誘導を開始する(ステップS411)。
【0039】
以上、本実施例によれば、帰港地近辺の天候情報を取得し、該天候情報に基づき、該帰港地の危険度を算出し、該帰港地が危険である場合には、その旨をユーザに警告し、かつ、安全に帰港できるように案内するようにしたので、ユーザに危険回避を促すことができる。
【0040】
・ 第2実施例
図5は本発明の第2実施例の船舶用ナビゲーション装置の構成図であり、第1実施例の構成図と同一の部分には同一の符号を付している。違う点は、ユーザが帰港予定時刻を入力する帰港時刻入力部51を追加した点であり、制御部52は、第1実施例の処理に加え、ユーザが帰港時刻入力部51により入力した帰港予定時刻と、天候情報受信部27が受信した天候情報と、に基づき帰港地または現在位置近辺の港へ案内する処理を行う。
【0041】
図6は本発明の第2実施例のナビゲーション装置の処理フローである。以下、図6を用いて説明を行う。既に、ユーザによって帰港すべき港は帰港地として設定されており、帰港地記憶部25に記憶されている。また、ユーザは帰港時刻入力部51により帰港予定時刻を入力しているものとする。
【0042】
まず、GPS受信部21は受信したGPS信号より現在位置を算出し、読出部24は現在位置周辺の地図データおよび現在位置近辺の港の位置情報を記録媒体23より読み出して地図データ記憶部24aに保存し、地図画像発生部24bは該地図データを用いて、図1(a)に示すような地図画像を発生し制御部52の制御で表示部33の表示画面1に、船舶マーク2、帰港地3、航跡4、マーク5およびマーク6を表示する(ステップS601)。
【0043】
次に、距離算出部26は、S601において算出した現在位置および読み出した帰港地の位置情報より、該現在位置から該帰港地までの距離および所要時間を算出し、(ステップS602)、天候情報受信部27は、天候情報送信部40から送信された帰港地および現在位置近辺の港の天候情報を受信する(ステップS603)。
【0044】
しかる後、制御部52は、天候情報受信部27が受信した帰港地の天候情報に基づいて各時間帯における帰港地の天候の危険度dを算出する(ステップS604)。危険度算出は、上記第1実施例と同様に、例えば、風速と、波高とに基づいて、(1)式により危険度を算出する。
【0045】
ついで、S604において算出した危険度dが設定値dthより大きいかに基づいて帰港地近辺の天候が危険な状態になる時間帯があるか否かの判断を行い(ステップS605)、危険時間帯がない場合にはS601に戻り、所定時間後にS601以降の処理を繰り返す。危険時間帯がある場合にはS606に進む。
【0046】
S605において、該危険時間帯がある場合には、制御部52はユーザが帰港予定時刻入力部51より設定した帰港予定時刻が該危険時間帯内か否かの判断を行い(ステップS606)、該帰港予定時刻が該危険時間帯内である場合にはS607に進み、該帰港予定時刻が該危険時間帯内でない場合にはS610に進む。
【0047】
S606において、該帰港予定時刻が該危険時間帯内である場合には、制御部52は表示部33に図1(h)に示す表示7fを表示するように指示し、また警告部34に警告音声を発生するように指示し、ユーザに危険である旨の警告をし(ステップS607)、制御部52は安全な帰港開始時刻があるか否かの判断を行い(ステップS608)、該安全な帰港開始時刻がある場合にはS609に進み、該安全な帰港開始時刻がない場合にはS611に進む。
【0048】
S608において、該安全な帰港開始時刻がある場合には、制御部52は表示部33に図1(d)に示す表示7cを表示するように指示し、また警告部34に案内音声を発生するように指示し、ユーザに安全な帰港開始時刻を案内する(ステップS609)。
【0049】
S608において、該安全な帰港開始時刻がない場合には、制御部52は表示部33に図1(f)に示す表示7dを表示するように指示し、また警告部34に警告音声を発生するように指示する。その後、制御部52は図1(g)に示す表示7eを表示するように指示し、それと同時に受信した現在位置近辺の港の天候情報により安全な港を探索し、ユーザへ該安全な港を案内する(ステップS611)。
【0050】
S606において、該帰港予定時刻が該危険時間帯内でない場合には、制御部52はS602において導出した所要時間を用いて該予定時刻に帰港できる帰港開始時刻をユーザに案内するように警告部34に指示する(ステップS610)。
【0051】
以上、本実施例によれば、帰港時刻を設定した場合、該設定時刻に安全に帰港地に帰港できない場合には安全に接岸可能な出発時刻あるいは別の港を探索し、該出発時刻や港をユーザに提示し案内するようにしたので、ユーザに危険回避を促すことができる。
【0052】
尚、第1実施例の船舶用ナビゲーション装置と第2実施例の船舶用ナビゲーション装置とを同時に実施するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の概略説明図である。
【図2】本発明の第1実施例の船舶用ナビゲーション装置の構成図である。
【図3】天候情報の詳細説明図である。
【図4】本発明の第1実施例のナビゲーション装置の処理フローである。
【図5】本発明の第2実施例の船舶用ナビゲーション装置の構成図である。
【図6】本発明の第2実施例のナビゲーション装置の処理フローである。
【符号の説明】
【0054】
1 船舶用ナビゲーション装置の表示画面
2 船舶の現在位置
3 船舶が帰港すべき帰港地
4 帰港地3から現在位置2に到達するまでの航跡
5 方角を示すマーク
6 地図の縮尺を表すマーク
7a〜7f ユーザへの案内および警告を促す表示
8 現在位置2から帰港地3までの誘導経路
9 帰港地3の天候情報
10 帰港地3への到着予想時刻
20 ナビゲーション装置
21 GPS受信部
22 現在位置算出部
23 記録媒体
24 読出部
24a 地図データ記憶部
24b 地図画像発生部
25 帰港地記憶部
26 距離算出部
27 天候情報受信部
28 制御部
29 ROM
30 RAM
31 誘導経路発生部
32 画像合成部
33 表示部
34 警告部
40 天候情報送信部
51 帰港時刻入力部
52 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶が進むべき経路を算出し、得られた経路を含む情報を出力する船舶用ナビゲーション方法において、
船舶が帰港すべき港の位置を記憶するステップ、
現在位置を算出するステップ、
該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出するステップ、
前記港近辺の天候情報を取得するステップ、
該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出するステップ、
該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断するステップ、
該危険時間帯がある場合には、警告するステップ、
を備えたことを特徴とする船舶用ナビゲーション方法。
【請求項2】
前記危険時間帯がある場合には、更に、現在時刻と前記所要時間とに基づいて、該現在時刻より前記現在位置から前記港へ帰港すると危険であるか否か判断するステップ、
該現在時刻より帰港すると危険でない場合には、帰港案内を開始するステップ、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の船舶用ナビゲーション方法。
【請求項3】
前記現在時刻より帰港すると危険である場合には、更に、該現在時刻より帰港を開始することが危険である旨の警告をするステップ、
前記天候情報より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断するステップ、
前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港開始時刻を案内するステップ、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の船舶用ナビゲーション方法。
【請求項4】
前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該別の港近辺の天候情報を取得するステップ、
該別の港の位置情報と天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内するステップ、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の船舶用ナビゲーション方法。
【請求項5】
船舶が進むべき経路を算出し、得られた経路を含む情報を出力する船舶用ナビゲーション方法において、
帰港予定時刻を入力するステップ、
船舶が帰港すべき港の位置を記憶するステップ、
現在位置を算出するステップ、
該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出するステップ、
前記港近辺の天候情報を取得するステップ、
該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出するステップ、
該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断するステップ、
該危険時間帯がある場合には、前記帰港予定時刻が該危険時間帯内であるか否か判断するステップ、
前記帰港予定時刻が該危険時間帯内である場合には、警告するステップ、
を備えたことを特徴とする船舶用ナビゲーション方法。
【請求項6】
前記帰港予定時刻が前記危険時間帯内である場合には、前記天候情報と前記所要時間より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断するステップ、
前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港開始時刻を案内するステップ、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の船舶用ナビゲーション方法。
【請求項7】
前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該別の港周辺の天候情報を取得するステップ、
該別の港の位置情報と天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内するステップ、
を備えたことを特徴とする請求項6記載の船舶用ナビゲーション方法。
【請求項8】
船舶が進むべき経路を算出し、得られた経路を含む情報を出力する船舶用ナビゲーション装置において、
船舶が帰港すべき港の位置を記憶する帰港位置記憶部と、
現在位置を算出する現在位置算出部と、
該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出する距離算出部と、
天候情報を取得する天候情報取得部と、
ユーザへの警告を行う警告部と、
該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出し、該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断し、該危険時間帯がある場合には、該時間帯がある旨の警告をするように前記警告部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする船舶用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記危険時間帯がある場合には、前記制御部は、更に、現在時刻と前記所要時間とに基づいて、該現在時刻より前記現在位置から前記港へ帰港すると危険であるか否か判断し、該現在時刻より帰港すると危険でない場合には、帰港案内を開始する、
ことを特徴とする請求項8記載の船舶用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記現在時刻より帰港すると危険である場合には、前記制御部は、更に、該現在時刻より帰港を開始することが危険である旨を警告するように前記制御部を制御し、前記天候情報より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断し、前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港案内開始時刻を案内する、
ことを特徴とする請求項9記載の船舶用ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、前記制御部は、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該港周辺の天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内する、
ことを特徴とする請求項10記載の船舶用ナビゲーション装置。
【請求項12】
船舶が進むべき経路を算出し、得られた経路を含む情報を出力する船舶用ナビゲーション装置において、
港への帰港予定時刻を入力する帰港時刻入力部と、
船舶が帰港すべき港の位置を記憶する港位置記憶部と、
現在位置を算出する現在位置算出部と、
該現在位置から該港までの距離と所要時間を算出する距離算出部と、
ユーザへの警告を行う警告部と、
前記港の位置の天候情報を取得する天候情報取得部と、
該天候情報より前記港近辺の天候の危険度を算出し、該危険度より前記港近辺の天候が危険な状態になる危険時間帯があるか否か判断し、該危険時間帯がある場合には、更に、前記帰港予定時刻が該危険時間帯内であるか否か判断し、前記帰港予定時刻が前記危険時間帯内である場合には、警告するように前記警告部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする船舶用ナビゲーション装置。
【請求項13】
前記帰港予定時刻が前記危険時間帯内である場合には、前記制御部は、前記天候情報と前記所要時間より安全な帰港開始時刻が存在するか否か判断し、前記安全な帰港開始時刻が存在する場合には、前記安全な帰港案内開始時刻を案内する、
ことを特徴とする請求項12記載の船舶用ナビゲーション装置。
【請求項14】
前記安全な帰港開始時刻が存在しない場合には、前記制御部は、更に、前記現在位置より近い一つ以上の別の港の位置情報と該別の港周辺の天候情報により安全に到達可能な港を探索し、該到達可能な港へ案内する、
ことを特徴とする請求項13記載の船舶用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−121947(P2010−121947A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293107(P2008−293107)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】