説明

薄膜素子組立体

【課題】巻き取りを行っても傷や損傷が発生し難い構成、構造を有する薄膜素子組立体を提供する。
【解決手段】薄膜素子組立体にあっては、可撓性を有する基材20の第1面21上に複数の薄膜素子10が備えられており、基材20において、複数の薄膜素子10が備えられた第1領域の外側に、薄膜素子を備えていない第2領域が設けられており、基材20の第1面21の第2領域、又は、第2面22の第2領域、又は、第1面21及び第2面22の第2領域に凸部31が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薄膜素子組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)やマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ素子を備えた表示装置、あるいは、液晶表示装置といった種々の画像表示装置にあっては、可撓性を有する画像表示装置の実現が切望されている。可撓性を有する画像表示装置は、大画面でありながら、薄く、軽く、巻き取ることが可能となり、携帯して搬送することができる。しかしながら、一方で、巻き取り時、接触面における摩擦に起因した傷の発生、摩耗といった問題が発生し易い。
【0003】
このような問題に対処するために、例えば、特開2008−185853号公報には、フレキシブルな基体の上に発光素子が形成されており、収納の際に発光面側の表面と裏面側の表面とが接触するように巻き取られるフレキシブル表示装置において、発光面側の表面の硬さは、裏面側の表面の硬さより大きいことを特徴とするフレキシブル表示装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−185853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許公開公報に開示されたフレキシブル表示装置において、一層の耐久性の向上が望まれる。
【0006】
従って、本開示の目的は、一層の耐久性の向上を図ることができる構成、構造を有する薄膜素子組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の薄膜素子組立体にあっては、
可撓性を有する基材の第1面上に複数の薄膜素子が備えられており、
基材において、複数の薄膜素子が備えられた第1領域の外側に、薄膜素子を備えていない第2領域が設けられており、
基材の第1面の第2領域、又は、第2面の第2領域、又は、第1面及び第2面の第2領域に凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の薄膜素子組立体にあっては、基材の薄膜素子を備えていない第2領域に凸部が形成されているので、薄膜素子組立体の巻き取りを行っても、基材の第2面が第1面上に形成された複数の薄膜素子と接触することを確実に防止することができ、薄膜素子組立体に一層の耐久性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図、及び、薄膜素子組立体を第2面側から眺めた模式的な斜視図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の薄膜素子組立体を第1面側から眺めた模式的な斜視図、及び、実施例2の薄膜素子組立体を第2面側から眺めた模式的な斜視図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例3の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図、及び、薄膜素子組立体を第2面側から眺めた模式的な斜視図である。
【図4】図4の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例4の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図、及び、薄膜素子組立体を第1面側から眺めた模式的な斜視図である。
【図5】図5は、実施例5の薄膜素子組立体を第1面側から眺めた模式的な斜視図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例6及びその変形例の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図である。
【図7】図7の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例7及び実施例8の薄膜素子の模式的な一部断面図である。
【図8】図8の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例9及び実施例10の薄膜素子の模式的な一部断面図である。
【図9】図9は、実施例11の薄膜素子の模式的な一部断面図である。
【図10】図10の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例の薄膜素子組立体の変形の模式的な一部断面図、及び、実施例の薄膜素子組立体の製造方法を説明するための支持基板等の模式的な一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の薄膜素子組立体、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の薄膜素子組立体)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.実施例5(実施例4の変形)
7.実施例6(実施例1及び実施例4の変形)
8.実施例7(実施例1〜実施例6の変形)
9.実施例8(実施例1〜実施例6の別の変形)
10.実施例9(実施例1〜実施例6の別の変形)
11.実施例10(実施例1〜実施例6の別の変形)
12.実施例11(実施例1〜実施例6の別の変形)、その他
【0011】
[本開示の薄膜素子組立体、全般に関する説明]
本開示の薄膜素子組立体において、
基材は、対向する2辺が第1の方向に延び、対向する他の2辺が第2の方向に延びる矩形形状を有し、
凸部は、第1の方向に延びる2辺に沿った第2領域に形成されている構成とすることができる。そして、このような好ましい構成にあっては、基材は、第2の方向と平行な軸線を中心として巻くことが可能である、即ち、第1の方向に沿って巻くことが可能である。更には、これらの好ましい構成において、凸部のそれぞれには、第2の方向と平行に延びる切欠部が設けられている構成とすることができる。更には、これらの好ましい構成において、
基材の第2面の第2領域、又は、基材の第1面及び第2面の第2領域に凸部が形成されており、
基材の第2面の少なくとも第1領域には、第2の方向に延びる補強部材が形成されており、
補強部材の高さは、基材の第2面の第2領域に形成された凸部の高さよりも低い形態とすることができる。更には、これらの好ましい構成、形態を含む本開示の薄膜素子組立体にあっては、
基材の第1面の第2領域、又は、基材の第1面及び第2面の第2領域に凸部が形成されており、
凸部は、更に、第2の方向に延びる2辺に沿った基材の第1面の第2領域に形成されている形態とすることもできる。即ち、このような形態において、凸部は、基材の第1面において、第1領域を取り囲んで、第2領域に額縁状に設けられている。
【0012】
更には、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本開示の薄膜素子組立体において、凸部は、発泡材料、ゲル状材料及びゴム状材料から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましく、この場合、凸部には帯電防止剤が含まれていることが一層好ましい。
【0013】
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本開示の薄膜素子組立体(以下、これらを総称して、単に、『本開示の薄膜素子組立体』と呼ぶ)において、基材は可撓性を有するが、ここで、「基材が可撓性を有する」とは、基材厚さが1mm以下の場合には半径5cm、基材厚さが1mm以上の場合には半径20cmの円柱に巻きつけても折れない性質を有することことを意味する。また、本開示の薄膜素子組立体、全体としても可撓性を有するが、ここで、「薄膜素子組立体が可撓性を有する」とは、半径20cmの円柱に巻きつけても折れない性質を有することことを意味する。
【0014】
本開示の薄膜素子組立体において、発泡材料として、ウレタンフォームやアクリルフォームを挙げることができるし、ゲル状材料として、シリコーンゲルやアクリルゲルを挙げることができるし、ゴム状材料として、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、NBR、SBR、イソプレンゴム(IR)、天然ゴムを挙げることができるし、帯電防止剤として、カーボン、酸化チタン、カーボンナノチューブ、銅、アルミニウム、界面活性剤、イオン導電機構、電子導電機構を挙げることができる。但し、凸部を構成する材料は、上記の材料に限定するものではなく、後述する基材を構成するプラスチック材料とすることもでき、この場合、基材を構成するプラスチック材料と凸部を構成するプラスチック材料とは同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。補強部材を構成する材料として、上記の材料を挙げることができるし、あるいは又、後述する基材を構成するプラスチック材料とすることもでき、この場合、基材を構成するプラスチック材料と補強部材を構成するプラスチック材料とは同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。あるいは又、補強部材を構成する材料として、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、エチレン酢酸ビニル・コポリマー(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、フェノール樹脂、TPEを挙げることができる。
【0015】
凸部や補強部材の作製方法として、シート状にした部材を型で抜く方法、射出成形法、押出成形法といった方法を挙げることができる。そして、作製された凸部や補強部材を、基材に、接着剤を用いて接着すればよいし、あるいは又、作製された凸部や補強部材を、基材に、熱融着法や、光硬化法、テープによる固定といった方法に基づき固定することもできる。あるいは又、凸部や補強部材を、直接、基材に形成してもよい。また、凸部と補強部材とを一体に形成することもできるし、凸部や補強部材を基材と一体に形成することもできる。凸部の形状として、帯状の形状、線分が集合した形状、点が集合した形状を挙げることができる。第1の方向に延びる1つの辺に沿った第2領域における凸部の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。尚、基材の第1面の第2領域に形成された凸部を、便宜上、『第1凸部』と呼び、基材の第2面の第2領域に形成された凸部を、便宜上、『第2凸部』と呼ぶ場合がある。
【0016】
本開示の薄膜素子組立体において、基材を構成する材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホンイミドから成る群から選択された少なくとも1種類の樹脂(プラスチック材料、プラスチックフィルム)、あるいは又、薄膜ガラスや、ステンレス鋼箔、アルミニウム箔といった金属箔、合金箔を挙げることができる。
【0017】
本開示の薄膜素子組立体において、凸部の高さをH、基材の第1の方向と平行な対向する2辺の間の距離をWとしたとき、Hの値はWの値よりも十分に小さいことが望ましい。また、本開示の薄膜素子組立体において、補強部材の高さをH3とし、第2凸部の高さをH2としたとき、H3<H2を満足することが望ましい。また、薄膜素子の厚さをH0、第1凸部の高さをH1としたとき、H0<H1,H0<H2を満足する必要がある。
【0018】
本開示の薄膜素子組立体において、薄膜素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)から成る構成とすることができるし、あるいは又、マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ素子、半導体発光素子(半導体レーザ素子やLED)から成る構成とすることができるし、あるいは又、液晶表示装置から成る構成とすることができる。尚、有機EL素子、マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ素子、半導体発光素子、液晶表示装置は、周知の構成、構造とすることができる。
【0019】
あるいは又、本開示の薄膜素子組立体において、薄膜素子は、
第1電極及び第2電極、
第1電極と第2電極との間に形成された能動層、並びに、
絶縁層を介して能動層と対向した制御電極、
を備えている形態とすることができ、この場合、具体的には、
薄膜素子は、有機トランジスタ、より具体的には、薄膜トランジスタ(TFT)を含む電界効果トランジスタ(FET)といった3端子デバイスから成る形態とすることができ、
第1電極及び第2電極はソース/ドレイン電極に該当し、
制御電極はゲート電極に該当し、
絶縁層はゲート絶縁層に該当し、
能動層はチャネル形成領域に該当する構成とすることができる。あるいは又、薄膜素子は、
第1電極及び第2電極、並びに、
第1電極と第2電極との間に形成された能動層、
を備えている形態とすることができ、この場合、より具体的には、薄膜素子は、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー、光センサーを含む各種センサーといった2端子デバイスから成る形態とすることができる。尚、これらの場合、能動層は、例えば、有機半導体材料から成る構成とすることができる。
【0020】
本開示の薄膜素子組立体が組み込まれた画像表示装置として、所謂デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、ノートブック型のパーソナルコンピュータ、モバイル型のパーソナルコンピュータ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスト)、携帯電話、ゲーム機、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカード等のカード表示部、電子広告、電子POP等の各種画像表示装置を挙げることができる。また、各種照明装置を挙げることもできる。
【0021】
薄膜素子をボトムゲート・ボトムコンタクト型の薄膜トランジスタから構成する場合、係る薄膜トランジスタは、
(a)基材上にゲート電極を形成した後、全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(b)ゲート絶縁層上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(c)少なくとも、ソース/ドレイン電極の間に位置するゲート絶縁層の上に、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域を形成する、
各工程から製造することができる。ボトムゲート・ボトムコンタクト型薄膜トランジスタは、
(A)基材上に形成されたゲート電極、
(B)ゲート電極及び基材上に形成されたゲート絶縁層、
(C)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極の間であってゲート絶縁層上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域、
を備えている。
【0022】
また、薄膜素子をボトムゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタから構成する場合、係る薄膜トランジスタは、
(a)基材上にゲート電極を形成した後、全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(b)ゲート絶縁層上に、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(c)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から製造することができる。ボトムゲート・トップコンタクト型薄膜トランジスタは、
(A)基材上に形成されたゲート電極、
(B)ゲート電極及び基材上に形成されたゲート絶縁層、
(C)ゲート絶縁層上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、並びに、
(D)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
を備えている。
【0023】
更には、薄膜素子をトップゲート・ボトムコンタクト型の薄膜トランジスタから構成する場合、係る薄膜トランジスタは、
(a)基材上にソース/ドレイン電極を形成し、次いで、
(b)全面に、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域を形成した後、
(c)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、チャネル形成領域の上のゲート絶縁層の部分にゲート電極を形成する、
各工程から製造することができる。トップゲート・ボトムコンタクト型薄膜トランジスタは、
(A)基材上に形成されたソース/ドレイン電極、
(B)ソース/ドレイン電極の間の基材上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域、
(C)チャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(D)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0024】
また、薄膜素子をトップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタから構成する場合、係る薄膜トランジスタは、
(a)基材上に、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成し、次いで、
(b)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(c)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、チャネル形成領域の上のゲート絶縁層の部分にゲート電極を形成する、
各工程から製造することができる。トップゲート・トップコンタクト型薄膜トランジスタは、
(A)基材上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、
(B)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
(C)ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(D)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0025】
薄膜素子においては、制御電極に印加される電圧によって、第1電極から第2電極に向かって能動層に流れる電流が制御される形態とすることができる。具体的には、薄膜素子は、上述したとおり、制御電極がゲート電極に相当し、第1電極及び第2電極がソース/ドレイン電極に相当し、絶縁層がゲート絶縁層に相当し、能動層がチャネル形成領域に相当する電界効果トランジスタ(薄膜トランジスタを含む)から成る構成とすることができる。あるいは又、制御電極、第1電極及び第2電極への電圧の印加によって能動層が発光する発光素子(有機発光素子、有機発光トランジスタ)から成る構成とすることができる。ここで、発光素子において、能動層を構成する有機半導体材料は、制御電極に印加される電圧に基づく変調による電荷の蓄積や、注入された電子と正孔(ホール)との再結合に基づく発光機能を有する。能動層を構成する有機半導体材料として、広くは、p型導電性を有する有機半導体材料あるいはノン・ドープ有機半導体材料を用いることができる。p型導電性を有する有機半導体材料から能動層が構成された発光素子(有機発光トランジスタ)において、発光強度は、ドレイン電流の絶対値に比例し、ゲート電圧とソース/ドレイン電極間の電圧によって変調することができる。尚、薄膜素子が、電界効果トランジスタとしての機能を発揮するか、発光素子として機能するかは、第1電極及び第2電極への電圧印加状態(バイアス)に依存する。先ず、第2電極からの電子注入が起こらない範囲のバイアスを加えた上で制御電極を変調することにより、第1電極から第2電極へ電流が流れる。これがトランジスタ動作である。一方、正孔が十分に蓄積された上で第1電極及び第2電極へのバイアスが増加されると電子注入が始まり、正孔との再結合によって発光が起こる。あるいは又、能動層への光の照射によって第1電極と第2電極との間に電流が流れる光電変換素子から成る構成とすることができる。薄膜素子から光電変換素子を構成する場合、光電変換素子によって、具体的には、太陽電池やイメージセンサーを構成することができ、この場合、制御電極への電圧の印加は行わなくともよいし、行ってもよく、後者の場合、制御電極への電圧の印加によって、流れる電流の変調を行うことが可能となる。尚、薄膜素子を発光素子や光電変換素子とする場合、発光素子や光電変換素子の構成、構造は、例えば、上述した4種類の薄膜トランジスタの構成、構造のいずれかと同様とすることができる。
【0026】
有機半導体材料として、ポリチオフェン、ポリチオフェンにヘキシル基を導入したポリ−3−ヘキシルチオフェン[P3HT]、ペンタセン[2,3,6,7−ジベンゾアントラセン]、ペリキサンテノキサンテン等を含むジオキサアンタントレン系化合物、ポリアントラセン、ナフタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセン、ベンゾピレン、ジベンゾピレン、トリフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフラン、ポリインドール、ポリビニルカルバゾール、ポリセレノフェン、ポリテルロフェン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィド、ポリチエニレンビニレン、ポリナフタレン、ポリピレン、ポリアズレン、銅フタロシアニンで代表されるフタロシアニン、メロシアニン、ヘミシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ピリダジン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]、キナクリドンを例示することができる。あるいは又、有機半導体材料として、縮合多環芳香族化合物、ポルフィリン系誘導体、フェニルビニリデン系の共役系オリゴマー、及び、チオフェン系の共役系オリゴマーから成る群から選択された化合物を挙げることができる。具体的には、例えば、アセン系分子(ペンタセン、テトラセン等)といった縮合多環芳香族化合物、ポルフィリン系分子、共役系オリゴマー(フェニルビニリデン系やチオフェン系)を挙げることができる。
【0027】
あるいは又、有機半導体材料として、例えば、ポルフィリン、4,4’−ビフェニルジチオール(BPDT)、4,4’−ジイソシアノビフェニル、4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル、2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン、2,5−ビス(5’−チオアセトキシル−2’−チオフェニル)チオフェン、4,4’−ジイソシアノフェニル、ベンジジン(ビフェニル−4,4’−ジアミン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、テトラチアフルバレン(TTF)−TCNQ錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体に代表される電荷移動錯体、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、デンドリマー、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン、1,4−ジ(4−チオフェニルエチニル)−2−エチルベンゼン、2,2”−ジヒドロキシ−1,1’:4’,1”−テルフェニル、4,4’−ビフェニルジエタナール、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジイソシアネート、1,4−ジアセチニルベンゼン、ジエチルビフェニル−4,4’−ジカルボキシレート、ベンゾ[1,2−c;3,4−c’;5,6−c”]トリス[1,2]ジチオール−1,4,7−トリチオン、アルファ−セキシチオフェン、テトラチオテトラセン、テトラセレノテトラセン、テトラテルルテトラセン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルホン酸)、ポリ(N−アルキルピロール)ポリ(3−アルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルキルピロール)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)、ポリ(ジベンゾチオフェンスルフィド)を例示することができる。
【0028】
能動層やチャネル形成領域(有機半導体材料層)には、必要に応じてポリマーが含まれていてもよい。ポリマーは有機溶剤に溶解すればよい。具体的には、ポリマー(有機結合剤、バインダー)として、ポリスチレン、ポリアルファメチルスチレン、ポリオレフィンを例示することができる。更には、場合によっては、添加物(例えば、n型不純物やp型不純物といった、所謂ドーピング材料)を加えることもできる。
【0029】
有機半導体材料溶液を調製するための溶媒として、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、デカリン等の炭化水素類等を例示することができる。なかでも、メシチレン、テトラリン、デカリン等の沸点が比較的高い溶媒を用いることが、トランジスタ特性の観点から、また、有機半導体材料層の成膜時に有機半導体材料層が急激に乾燥することを防止するといった観点から、好ましい。
【0030】
能動層、チャネル形成領域、あるいは、チャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部の形成方法として、塗布法を挙げることができる。ここで、塗布法は、一般的な塗布法をいずれも問題なく使用することができ、具体的には、例えば、以下の各種の塗布法を挙げることができる。即ち、塗布法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、反転オフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、凸版印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクト法といった各種印刷法;スピンコート法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、キャスティング法、キャピラリーコーター法、バーコーター法、浸漬法といった各種コーティング法;スプレー法;ディスペンサーを用いる方法:スタンプ法といった、液状材料を塗布する方法を挙げることができる。
【0031】
制御電極や第1電極、第2電極、ゲート電極、ソース/ドレイン電極を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、不純物を含有したポリシリコン等の導電性物質を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。更には、制御電極や第1電極、第2電極、ゲート電極、ソース/ドレイン電極を構成する材料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]やポリアニリンといった有機材料(導電性高分子)を挙げることもできる。制御電極や第1電極、第2電極、ゲート電極、ソース/ドレイン電極を構成する材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0032】
制御電極や第1電極、第2電極、ゲート電極、ソース/ドレイン電極の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、上述した各種の塗布法、物理的気相成長法(PVD法)、パルスレーザ堆積法(PLD)、アーク放電法、MOCVD法を含む各種の化学的気相成長法(CVD法)、リフト・オフ法、シャドウマスク法、及び、電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。尚、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着、ルツボを加熱する方法等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。レジストパターンを形成する場合、例えば、レジスト材料を塗布してレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術、レーザ描画技術、電子線描画技術あるいはX線描画技術等を用いてレジスト膜をパターニングする。レジスト転写法等を用いてレジストパターンを形成してもよい。制御電極や第1電極、第2電極、ゲート電極、ソース/ドレイン電極をエッチング方法に基づき形成する場合、ドライエッチング法やウェットエチング法を採用すればよく、ドライエッチング法として、例えば、イオンミリングや反応性イオンエッチング(RIE)を挙げることができる。また、制御電極や第1電極、第2電極、ゲート電極、ソース/ドレイン電極を、レーザアブレーション法、マスク蒸着法、レーザ転写法等に基づき形成することもできる。
【0033】
絶縁層あるいはゲート絶縁層(以下、これらを総称して、『ゲート絶縁層等』と呼ぶ場合がある)は、単層であってもよいし、多層であってもよい。ゲート絶縁層等を構成する材料として、酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、酸化アルミニウム(Al23)やHfO2等の金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤)、オクタデカンチオール、ドデシルイソシアネイト等の一端に制御電極やゲート電極と結合可能な官能基を有する直鎖炭化水素類にて例示される有機系絶縁材料(有機ポリマー)にて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。ここで、酸化ケイ素系材料として、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiO2系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0034】
ゲート絶縁層等の形成方法として、上述した塗布法以外にも、リフト・オフ法、ゾル−ゲル法、電着法、及び、シャドウマスク法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。
【0035】
あるいは又、ゲート絶縁層は、制御電極やゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、制御電極やゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。制御電極やゲート電極の表面を酸化する方法として、制御電極やゲート電極を構成する材料にも依るが、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、制御電極やゲート電極の表面を窒化する方法として、制御電極やゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、Au電極に対しては、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、制御電極やゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的に制御電極やゲート電極表面を被覆することで、制御電極やゲート電極の表面にゲート絶縁層を形成することもできる。あるいは又、制御電極やゲート電極の表面をシラノール誘導体(シランカップリング剤)により修飾することで、ゲート絶縁層を形成することもできる。
【実施例1】
【0036】
実施例1は、本開示の薄膜素子の組立体に関する。実施例1の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図を図1の(A)に示し、薄膜素子組立体を第2面側から眺めた模式的な斜視図を図1の(B)に示し、薄膜素子組立体を第1面側から眺めた模式的な斜視図を図2の(A)に示す。
【0037】
実施例1の薄膜素子組立体にあっては、可撓性を有する基材20の第1面21上に複数の薄膜素子10が備えられている。そして、基材20において、複数の薄膜素子10が備えられた第1領域の外側に、薄膜素子10を備えていない第2領域が設けられている。また、実施例1にあっては、第2面22の第2領域に凸部(第2凸部31)が形成されている。
【0038】
ここで、基材20は、ポリイミド樹脂から成り、対向する2辺20A,20Cが第1の方向に延び、対向する他の2辺20B,20Dが第2の方向に延びる矩形形状を有する。辺20A,20Cの長さを140mm、辺20B,20Dの長さ(基材20の第1の方向と平行な対向する2辺20A,20Cの間の距離W)を76mmとした。第2凸部31は、シート状にした部材を型で抜く方法で作製されており、第2凸部31は、第1の方向に延びる2辺20A,20Cに沿った第2領域に形成されている。第2凸部31は帯状の形状を有し、その幅は5mmであり、長さは辺20A,20Cの長さと同じである。また、第2凸部の31高さH2を0.05mmとした。即ち、H/W=H2/W=0.05/76である。第2凸部31は、基材20に、アクリル系接着剤から成る接着剤(図示せず)を用いて接着されている。第2凸部31には帯電防止剤が含まれていてもよい。
【0039】
そして、基材20は、第2の方向と平行な軸線を中心として巻くことが可能である、即ち、第1の方向に沿って巻くことが可能である。実施例1の薄膜素子組立体にあっては、基材の薄膜素子を備えていない第2領域に凸部が形成されているので、薄膜素子組立体の巻き取りを行っても、基材の第2面が第1面上に形成された複数の薄膜素子と接触することを確実に防止することができ、薄膜素子に傷や損傷が発生することが無く、薄膜素子組立体に一層の耐久性を付与することができる。尚、特開2008−185853号公報に開示されたフレキシブル表示装置において、繰り返し、巻き取り試験を行ったところ、発光面側の表面と裏面側の表面との接触に起因して発光面側の表面に傷や損傷が発生することが皆無ではないことが、本発明者らの検討によって判明した。
【実施例2】
【0040】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の薄膜素子組立体にあっては、薄膜素子組立体を第2面側から眺めた模式的な斜視図を図2の(B)に示すように、凸部(第2凸部32)のそれぞれには、第2の方向と平行に延びる切欠部33が設けられている。この点を除き、実施例2の薄膜素子組立体の構成、構造は、実施例1において説明した薄膜素子組立体の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、凸部が切欠部を有する実施例2の薄膜素子組立体の構成、構造を、以下に説明する各種実施例に適用することができる。
【実施例3】
【0041】
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3の薄膜素子組立体にあっては、薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図を図3の(A)に示し、薄膜素子組立体を第2面側から眺めた模式的な斜視図を図3の(B)に示すように、
基材20の第2面22の少なくとも第1領域には(実施例3にあっては、第1領域及び第2領域には)、第2の方向に延びる補強部材34が形成されており、
補強部材34の高さH3は、基材20の第2面22の第2領域に形成された凸部(第2凸部31)の高さH2よりも低い。具体的には、H3/H2=1/3である。補強部材34は、金属材料から成り、基材20に、アクリル系接着剤から成る接着剤(図示せず)を用いて接着されている。補強部材34と第2凸部31の組み合わされた形状は梯子状であり、2つの第2凸部31が梯子の枠に相当し、補強部材34が格(こ)又は段に相当する。
【0042】
以上の点を除き、実施例3の薄膜素子組立体の構成、構造は、実施例1において説明した薄膜素子組立体の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、補強部材が基材の第2面に設けられた実施例3の薄膜素子組立体の構成、構造を、以下に説明する、基材の第2面に凸部が設けられた各種実施例に適用することができる。
【実施例4】
【0043】
実施例4も、実施例1の変形である。実施例4の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図を図4の(A)に示し、薄膜素子組立体を第1面側から眺めた模式的な斜視図を図4の(B)に示す。実施例4の薄膜素子組立体にあっては、基材20の第1面21の第2領域に凸部(第1凸部41)が形成されている。この点を除き、実施例4の薄膜素子組立体の構成、構造は、実施例1において説明した薄膜素子組立体の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、第1凸部41は、第1の方向に延びる2辺20A,20Cに沿った第2領域に形成されている。
【実施例5】
【0044】
実施例5は、実施例4の変形である。実施例5の薄膜素子組立体を第1面側から眺めた模式的な斜視図を図5に示すように、実施例5の薄膜素子組立体にあっては、凸部(第1凸部42)は、更に、第2の方向に延びる2辺20B,20Dに沿った基材20の第1面21の第2領域にも形成されている。即ち、実施例5において、(第1凸部42)は、基材20の第1面21において、第1領域を取り囲んで、第2領域に額縁状に設けられている。この点を除き、実施例5の薄膜素子組立体の構成、構造は、実施例4において説明した薄膜素子組立体の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0045】
実施例6は、実施例1及び実施例4の変形、あるいは、実施例3及び実施例4の変形である。実施例6の薄膜素子組立体を第1の方向から眺めた模式的な側面図を図6の(A)あるいは図6の(B)に示すように、実施例6の薄膜素子組立体にあっては、凸部は、実施例4の第1凸部41及び実施例1の第2凸部31から構成されている。この点を除き、実施例6の薄膜素子組立体の構成、構造は、実施例1、実施例3、実施例4において説明した薄膜素子組立体の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例7】
【0046】
実施例7、及び、後述する実施例8〜実施例11にあっては、薄膜素子についての説明を行う。
【0047】
模式的な一部断面図を図7の(A)に示すように、実施例7において、薄膜素子10Aは、
第1電極及び第2電極、
第1電極と第2電極との間に形成された能動層、並びに、
絶縁層を介して能動層と対向した制御電極、
を備えている。より具体的には、
薄膜素子10Aは、電界効果トランジスタ(FET)、具体的には、薄膜トランジスタ(TFT)から成り、
第1電極及び第2電極はソース/ドレイン電極53に該当し、
制御電極はゲート電極51に該当し、
絶縁層はゲート絶縁層52に該当し、
能動層はチャネル形成領域54に該当する。そして、制御電極に印加される電圧によって、第1電極から第2電極に向かって能動層に流れる電流が制御される。
【0048】
ここで、TFTから成る薄膜素子10Aは、より具体的には、ボトムゲート・ボトムコンタクト型のTFTから構成されており、
(A)基材20上に形成されたゲート電極51(制御電極に相当する)、
(B)ゲート電極51及び基材20上に形成されたゲート絶縁層52(絶縁層に相当する)、
(C)ゲート絶縁層52上に形成されたソース/ドレイン電極53(第1電極及び第2電極に相当する)、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極53の間であってゲート絶縁層52上に形成され、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54(能動層に相当する)、
を備えている。
【0049】
実施例7〜実施例10において、制御電極(ゲート電極51)、第1電極及び第2電極(ソース/ドレイン電極53)は、金(Au)から成り、絶縁層(ゲート絶縁層52)はSiO2から成り、能動層(チャネル形成領域54)は、TIPS(triisopropylsilyl,トリイソプロピルシリル)−ペンタセンから成る。
【0050】
以下、実施例7の薄膜素子の製造方法、画像表示装置の製造方法を説明するが、以下の説明において、制御電極とゲート電極とを総称してゲート電極と呼び、第1電極及び第2電極並びにソース/ドレイン電極を総称してソース/ドレイン電極と呼び、絶縁層及びゲート絶縁層を総称してゲート絶縁層と呼び、能動層及びチャネル形成領域を総称してチャネル形成領域と呼ぶ。
【0051】
[工程−700]
先ず、基材20の上にゲート電極51を形成する。具体的には、基材20上に、ゲート電極51を形成すべき部分が除去されたレジスト層(図示せず)を、リソグラフィ技術に基づき形成する。その後、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ゲート電極51としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフト・オフ法に基づき、ゲート電極51を得ることができる。
【0052】
[工程−710]
次に、全面に、具体的には、ゲート電極51を含む基材20上に、ゲート絶縁層52を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層52を、スパッタリング法に基づきゲート電極51及び基材20上に形成する。ゲート絶縁層52の成膜を行う際、ゲート電極51の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極51の取出部(図示せず)をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0053】
[工程−720]
その後、ゲート絶縁層52の上に、金(Au)層から成るソース/ドレイン電極53を形成する。具体的には、密着層としての厚さ約0.5nmのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極53として厚さ約25nmの金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。これらの層の成膜を行う際、ゲート絶縁層52の一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極53をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0054】
[工程−730]
次いで、少なくとも、ソース/ドレイン電極53の間に位置するゲート絶縁層52の上に、有機半導体材料溶液を塗布、乾燥することで、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54を形成する。ここで、予め、有機半導体材料溶液を調製しておく。具体的には、有機半導体材料としてTIPS−ペンタセン1グラムを、有機溶剤である1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン100グラムに溶解しておく。そして、この有機半導体材料溶液を用いてスピンコート法にて有機半導体材料層を成膜した後、90゜C、1時間といった条件にて、成膜された有機半導体材料層を乾燥する。こうして、チャネル形成領域54(能動層)を得ることができる。
【0055】
あるいは又、上述した有機半導体材料溶液を用いて、インクジェット印刷法にて有機半導体材料層を成膜した後、90゜C、1時間といった条件にて、成膜された有機半導体材料層を乾燥することで、チャネル形成領域54(能動層)を得ることもできる。
【0056】
[工程−740]
その後、全面にパッシベーション膜(図示せず)を形成し、ゲート電極51及びソース/ドレイン電極53に接続された配線(図示せず)を形成する。こうして、ボトムゲート・ボトムコンタクト型のFET(具体的には、TFT)を得ることができる(図7の(A)参照)。
【0057】
尚、画像表示装置の製造にあっては、この工程に引き続き、薄膜素子10Aの上あるいは上方に、画像表示部(具体的には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子あるいはマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ素子、半導体発光素子から成る画像表示部)を、周知の方法に基づき形成すればよい。
【実施例8】
【0058】
実施例8は、実施例7の変形である。実施例8にあっては、薄膜素子10Bを、ボトムゲート・トップコンタクト型のFET(具体的には、TFT)とした。実施例8の電界効果トランジスタは、図7の(B)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)基材20上に形成されたゲート電極51(制御電極に相当する)、
(B)ゲート電極51及び基材20上に形成されたゲート絶縁層52(絶縁層に相当する)、
(C)ゲート絶縁層52上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54(能動層に相当する)及びチャネル形成領域延在部55、並びに、
(D)チャネル形成領域延在部55上に形成されたソース/ドレイン電極53(第1電極及び第2電極に相当する)、
を備えている。
【0059】
以下、実施例8の薄膜素子の製造方法の概要を説明する。
【0060】
[工程−800]
先ず、実施例7の[工程−700]〜[工程−710]と同様にして、基材20上に、ゲート電極51及びゲート絶縁層52を形成する。
【0061】
[工程−810]
次いで、実施例7の[工程−730]と同様にして、ゲート絶縁層52上に、有機半導体材料溶液を塗布、乾燥することで、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54及びチャネル形成領域延在部55を形成する。
【0062】
[工程−820]
その後、チャネル形成領域延在部55の上に、チャネル形成領域54を挟むようにソース/ドレイン電極53を形成する。具体的には、実施例7の[工程−720]と同様にして、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極53としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。これらの層の成膜を行う際、チャネル形成領域延在部55の一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極53をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0063】
[工程−830]
次いで、パッシベーション膜(図示せず)の形成、配線(図示せず)の形成を、実施例7と同様に行うことで、実施例8の薄膜素子10Bを完成させることができる。
【実施例9】
【0064】
実施例9も、実施例7の変形である。実施例9にあっては、薄膜素子10Cを、トップゲート・ボトムコンタクト型のFET(具体的には、TFT)とした。実施例9の電界効果トランジスタは、図8の(A)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)基材20上に形成されたソース/ドレイン電極53(第1電極及び第2電極に相当する)、
(B)ソース/ドレイン電極53の間の基材20上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54(能動層に相当する)、
(C)チャネル形成領域54上に形成されたゲート絶縁層52(絶縁層に相当する)、並びに、
(D)ゲート絶縁層52上に形成されたゲート電極51(制御電極に相当する)、
を備えている。
【0065】
以下、実施例9の薄膜素子の製造方法の概要を説明する。
【0066】
[工程−900]
先ず、実施例7の[工程−720]と同様にして、基材20上にソース/ドレイン電極53を形成した後、実施例7の[工程−730]と同様にして、全面に、具体的には、ソース/ドレイン電極53を含む基材20上に、有機半導体材料溶液を塗布、乾燥することで、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域(能動層)54を形成する。
【0067】
[工程−910]
次いで、全面に、ゲート絶縁層52を、実施例7の[工程−710]と同様の方法で形成する。その後、チャネル形成領域54の上のゲート絶縁層52の部分に、実施例7の[工程−700]と同様の方法で、ゲート電極51を形成する。
【0068】
[工程−920]
次いで、パッシベーション膜(図示せず)の形成、配線(図示せず)の形成を、実施例7と同様に行うことで、実施例9の薄膜素子10Cを完成させることができる。
【実施例10】
【0069】
実施例10も、実施例7の変形である。実施例10にあっては、薄膜素子10Dを、トップゲート・トップコンタクト型のFET(具体的には、TFT)とした。実施例10の電界効果トランジスタは、図8の(B)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)基材20上に形成された、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54(能動層に相当する)及びチャネル形成領域延在部55、
(B)チャネル形成領域延在部55上に形成されたソース/ドレイン電極53(第1電極及び第2電極に相当する)、
(C)ソース/ドレイン電極53及びチャネル形成領域54上に形成されたゲート絶縁層52(絶縁層に相当する)、並びに、
(D)ゲート絶縁層52上に形成されたゲート電極51(制御電極に相当する)、
を備えている。
【0070】
以下、実施例10の薄膜素子の製造方法の概要を説明する。
【0071】
[工程−1000]
先ず、実施例7の[工程−730]と同様にして、基材20上に、有機半導体材料溶液を塗布、乾燥することで、有機半導体材料層から成るチャネル形成領域54及びチャネル形成領域延在部55を形成する。
【0072】
[工程−1010]
次いで、実施例7の[工程−720]と同様の方法で、チャネル形成領域延在部55上にソース/ドレイン電極53を形成する。
【0073】
[工程−1020]
その後、全面にゲート絶縁層52を実施例7の[工程−710]と同様の方法で形成する。次いで、チャネル形成領域54の上のゲート絶縁層52の部分に、実施例7の[工程−700]と同様の方法でゲート電極51を形成する。
【0074】
[工程−1030]
次いで、パッシベーション膜(図示せず)の形成、配線(図示せず)の形成を、実施例7と同様に行うことで、実施例10の薄膜素子10Dを完成させることができる。
【実施例11】
【0075】
実施例11も、実施例7の変形であるが、実施例11において、薄膜素子10Eは、具体的には2端子デバイスから成り、より具体的には、模式的な一部断面図を図9に示すように、
第1電極61及び第2電極62、並びに、
第1電極61と第2電極62との間に形成された能動層63、
を備えている。尚、能動層63は有機半導体材料から成る。そして、能動層63への光の照射によって電力が生成する。即ち、実施例11の薄膜素子10Eは、光電変換素子あるいは太陽電池として機能する。あるいは又、第1電極61及び第2電極62への電圧の印加によって能動層63が発光する発光素子として機能する。
【0076】
以上の点を除き、実施例11の薄膜素子の構成、構造は、基本的に、実施例7において説明した薄膜素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。実施例11の薄膜素子は、第1電極61、能動層63及び第2電極62の形成を、実施例7の[工程−720]、[工程−730]、[工程−720]と実質的に同様に行い、更に、実施例7の[工程−740]と同様にして配線の形成を行うことで得ることができる。
【0077】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。薄膜素子組立体の構造や構成、形成条件、製造条件は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、薄膜素子を、専ら、3端子デバイスあるいは2端子デバイスから構成したが、例えば、周知の構成、構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子やマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ素子、半導体発光素子から構成することもでき、これらの有機エレクトロルミネッセンス素子やマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ素子、半導体発光素子の製造方法、それ自体も、周知の製造方法とすればよい。
【0078】
実施例にあっては、基材を1層構成としたが、基材の第2面に別種の材料(例えば、凸部を構成する材料と同じ材料)から成る第2の基材、更には、第3の基材、第4の基材、・・・を貼り合わせてもよい。場合によっては、基材の第2面に別種の材料(例えば、凸部を構成する材料と同じ材料)から成る第2の基材を貼り合わせ、この第2の基材に対して、例えば、エッチング加工を施すことで、基材の第2面に凸部を形成してもよい。
【0079】
あるいは又、実施例の薄膜素子組立体の変形の模式的な一部断面図、及び、実施例の薄膜素子組立体の変形例の製造方法を説明するための支持基板等の模式的な一部断面図を、それぞれ、図10の(A)及び(B)に示すように、凸部に対応する凹部が形成された支持基板25を準備しておく。そして、
支持基板25上に樹脂材料から成る第1基材23を塗布法にて形成した後、
第1基材23上に、熱によって又はエネルギー線の照射によって硬化する樹脂から成る第2基材24を形成し、次いで、
第2基材24上に薄膜素子10A〜10D(あるいは薄膜素子10,10E)を形成し(図10の(B)参照)、その後、
支持基板25を第1基材23から剥離する(図10の(A)参照)、
各工程に基づき薄膜素子組立体を製造することもできる。ここで、支持基板25を第1基材23から剥離したとき、支持基板25に設けられた凹部に対応して、第1基材23の第2面には凸部(第2凸部)が設けられる。また、第1基材23の第1面と第2基材24の第2面とが接合されており、第2基材24の第2面に薄膜素子が形成される。尚、第1基材23を構成する樹脂材料のガラス転移温度は180゜C以上であることが望ましく、あるいは又、第1基材23を構成する樹脂材料のガラス転移温度は、薄膜素子を形成するときのプロセス温度の最高温度よりも高いことが望ましい。例えば、ゲート電極及びソース/ドレイン電極に接続された配線を銀ペーストの印刷及び焼成に基づき形成するときの銀ペーストの焼成温度が、一連の薄膜素子あるいは画像表示装置の製造工程におけるプロセス温度の最高温度、具体的には、150゜Cである。あるいは又、
支持基板25上に非晶性熱可塑性樹脂から成る第1基材23を塗布法にて形成した後、
第1基材23上に、熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂から成る第2基材24を形成し、次いで、
第2基材24上に薄膜素子を形成し、その後、
支持基板25を第1基材23から剥離する、
各工程に基づき薄膜素子組立体を製造することもできる。
【0080】
このように、第1基材と第2基材の2層構成の基材の上に薄膜素子を形成した後、支持基板を第1基材から剥離すれば、大掛かりな製造装置を必要とすることなく、簡素、簡易な方法にて薄膜素子を製造することができる。また、後述する樹脂材料から第1基材を構成することで、支持基板から第1基材を確実に剥離することができる。しかも、第1基材が第2基材によって覆われ、保護された状態で、薄膜素子を第2基材上に形成するので、薄膜素子の形成時、第1基材に損傷が発生することを確実に防止することができる。また、支持基板上に第1基材を塗布法にて形成するので、第1基材を容易に形成することができるし、支持基板と第1基材との間に気泡等が発生し難い。
【0081】
尚、支持基板に対する剥離強度(具体的には、90度剥離接着強さ)は、1.0N/cm(0.1kgf/cm)乃至4.9N/m(0.5kgf/cm)であることが好ましい。90度剥離接着強さは、JIS K6854−1:1999によって規定されている。第1基材を構成する樹脂材料として、具体的には、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂又はポリスルホンイミド樹脂を挙げることができるし、第2基材を構成する材料として、例えばエポキシ系樹脂といった熱硬化型樹脂や、紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。即ち、(第1基材を構成する材料,第2基材を構成する材料)の好ましい組合せとして、具体的には、(ポリスルホン樹脂,エポキシ系樹脂)、(ポリエーテルスルホン樹脂,エポキシ系樹脂)、(ポリスルホンイミド樹脂,エポキシ系樹脂)を例示することができる。樹脂材料から成る第1基材を支持基板上に形成するために、樹脂材料を溶解した溶液を調製する必要があるが、溶媒として、水;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;PGMEA等の炭化水素類等を単独あるいは混合して適宜使用することができる。また、有機溶剤以外にも、界面活性剤、レベリング剤等の添加剤を添加してもよい。更には、塗布性能やその他の特性を付与する目的に応じて、高分子材料以外の材料を含有させてもよく、具体的には、シリカフィラー、ガラスファイバー等を挙げることができる。第1基材を構成する樹脂材料は、支持基板と化学的に反応しないことが望ましい。また、支持基板を第1基材から剥離するが、剥離は機械的に行うことができ、具体的には、機械を使用して、あるいは、人手によって、支持基板上の第2基材及び第1基材に切れ目を入れ、機械を使用して、あるいは、人手によって、支持基板を第1基材から剥離し、あるいは又、第1基材を支持基板から剥離することができる。あるいは又、機械を使用して、あるいは、人手によって、支持基板上の第2基材及び第1基材に切れ目を入れ、切れ目から水を侵入させることで、支持基板を第1基材から剥離し、あるいは又、第1基材を支持基板から剥離することもできる。第1基材の厚さとして、薄膜素子を確実に支持することができ、しかも、必要に応じて薄膜素子に可撓性(柔軟性)を付与することができる厚さであればよく、また、第2基材の厚さとして、第1基材をケトン系溶剤から確実に保護することができ、しかも、必要に応じて薄膜素子に可撓性(柔軟性)を付与することができる厚さであればよい。第2基材は、その上に薄膜素子を形成するので、絶縁性を有することが好ましい。第1基材上に第2基材を形成する方法として、前述した各種の塗布法を挙げることができるが、これに限定するものではなく、シート状の第2基材を予め作製しておき、第1基材に積層する方法を採用してもよい。支持基板(支持基材)として、各種ガラス基板や、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板、サファイヤ基板、ステンレス等の各種合金や各種金属から成る金属基板を挙げることができる。
【符号の説明】
【0082】
10,10A,10B,10C,10D・・・薄膜素子、20・・・基材、20A,20B,20C,20D・・・基材の辺、21・・・基材の第1面、22・・・基材の第2面、23・・・第1基材、24・・・第2基材、25・・・支持基板、31,32・・・凸部(第2凸部)、33・・・切欠部、34・・・補強部材、41,42・・・凸部(第1凸部)、51・・・ゲート電極、52・・・ゲート絶縁層、53・・・ソース/ドレイン電極、54・・・チャネル形成領域、55・・・チャネル形成領域延在部、61・・・第1電極、62・・・第2電極、63・・・能動層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基材の第1面上に複数の薄膜素子が備えられており、
基材において、複数の薄膜素子が備えられた第1領域の外側に、薄膜素子を備えていない第2領域が設けられており、
基材の第1面の第2領域、又は、第2面の第2領域、又は、第1面及び第2面の第2領域に凸部が形成されている薄膜素子組立体。
【請求項2】
基材は、対向する2辺が第1の方向に延び、対向する他の2辺が第2の方向に延びる矩形形状を有し、
凸部は、第1の方向に延びる2辺に沿った第2領域に形成されている請求項1に記載の薄膜素子組立体。
【請求項3】
基材は、第2の方向と平行な軸線を中心として巻くことが可能である請求項2に記載の薄膜素子組立体。
【請求項4】
凸部のそれぞれには、第2の方向と平行に延びる切欠部が設けられている請求項2又は請求項3に記載の薄膜素子組立体。
【請求項5】
基材の第2面の第2領域、又は、基材の第1面及び第2面の第2領域に凸部が形成されており、
基材の第2面の少なくとも第1領域には、第2の方向に延びる補強部材が形成されており、
補強部材の高さは、基材の第2面の第2領域に形成された凸部の高さよりも低い請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の薄膜素子組立体。
【請求項6】
基材の第1面の第2領域、又は、基材の第1面及び第2面の第2領域に凸部が形成されており、
凸部は、更に、第2の方向に延びる2辺に沿った基材の第1面の第2領域に形成されている請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の薄膜素子組立体。
【請求項7】
凸部は、発泡材料、ゲル状材料及びゴム状材料から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の薄膜素子組立体。
【請求項8】
凸部には帯電防止剤が含まれている請求項7に記載の薄膜素子組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−238753(P2012−238753A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107287(P2011−107287)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】