説明

血液像分析装置

【課題】装置が停止した場合にも、処理中であった装置内の所定のスライド標本に対して使用者が迅速に対応することが可能な血液像分析装置を提供する。
【解決手段】この血液像分析装置3は、スライドガラス100を撮像するための撮像部30と、スライドガラス100のIDを取得するバーコード読取部20と、外部から受け入れたスライドガラス100をバーコード読取部20および撮像部30に移動させるスライド搬送機構10およびスライドチャック31とを備える。表示部2bには、スライドガラス100の移動経路上の所定位置においてスライドガラス100を検出するためのセンサ39a〜39c、45、61および62の検出結果に基づいて、所定位置に位置するスライドガラス100のIDが所定位置と関連付けて表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血液像分析装置に関し、特に、標本を撮像して得られた血液像を分析する血液像分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、標本を撮像して得られた血液像を分析する血液像分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の血液像分析装置では、分析対象のスライド標本が複数収納されたカセットが装置にセットされることにより、各スライド標本に対して分析が行われるように構成されている。また、この血液像分析装置では、装置にセットされたカセットに収納されている各スライド標本が表示画面に模式的にマトリックス表示される。また、各スライド標本を表すセルが各スライド標本の処理状況(「未処理」、「スライド無し」、「カウント中」、「レビュー中」、「処理済み」、「カウント終了」および「エラー」)に対応して色分け表示されることによって、ユーザは、各スライド標本の処理状況を表示画面により把握することが可能に構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−83726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の血液像分析装置では、表示画面を見ても、装置による処理中の所定のスライド標本が装置内のどの位置に位置するのかを認識することができない。このため、エラーなどによって装置が停止した場合などには、装置内で所定のスライド標本を探すのに時間がかかるため、処理中であった装置内の所定のスライド標本に対して迅速に対応することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置が停止した場合にも、処理中であった装置内の所定のスライド標本に対して使用者が迅速に対応することが可能な血液像分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による血液像分析装置は、標本を撮像して得られた血液像を分析する血液像分析装置であって、標本を撮像するための撮像部と、標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、外部から受け入れた標本を識別情報取得部および撮像部に移動させる移動部と、移動部による標本の移動経路上の所定位置において標本を検出するための検出部と、表示部と、検出部の検出結果に基づいて、所定位置に位置する標本の識別情報を所定位置と関連付けて表示する識別情報表示領域を含む表示画面を表示するように表示部を制御する制御部とを備える。
【0008】
この第1の局面による血液像分析装置では、上記のように、検出部の検出結果に基づいて、所定位置に位置する標本の識別情報を所定位置と関連付けて表示する識別情報表示領域を含む表示画面を表示部に表示することによって、エラーなどによって装置が停止した場合に、使用者は、所定位置に関連付けて表示された識別情報を表示画面の識別情報表示領域において確認することにより、所定位置に位置する標本の識別情報を認識することができる。これにより、停止した装置内において、目的の標本を即座に探し出すことができる。したがって、装置が停止した場合にも、処理中であった装置内の所定のスライド標本に対して使用者が迅速に対応することができる。
【0009】
上記第1の局面による血液像分析装置において、好ましくは、識別情報表示領域は、移動経路における複数の所定位置の配置と対応する位置に複数表示され、制御部は、複数の所定位置にそれぞれ位置する複数の標本の各識別情報を、それぞれ、複数の所定位置に対応する位置の複数の識別情報表示領域に表示するように表示部を制御する。このように構成すれば、移動経路における複数の所定位置の配置と表示画面上における複数の識別情報表示領域の配置とが対応しているので、使用者は、目的の標本がどの所定位置に位置しているかを表示画面上で容易に認識することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、複数の所定位置は、少なくとも、識別情報取得部により標本の識別情報の取得が行われる識別情報取得位置と、撮像部により標本の撮像が行われる撮像位置とを含む。このように構成すれば、識別情報取得位置および撮像位置に位置する標本の識別情報が表示画面上の識別情報取得位置および撮像位置に対応する位置に表示される。これにより、使用者は、表示画面において、目的の標本が識別情報取得位置に位置するか撮像位置に位置するかを認識することができる。
【0011】
上記複数の所定位置が少なくとも識別情報取得位置と撮像位置とを含む構成において、好ましくは、撮像部において撮像された後の標本を収納するための収納具がセットされる収納具セット部と、前記収納具セット部にセットされた収納具に収納された標本を検出するための収納検出部をさらに備え、複数の所定位置は、収納具セット部にセットされた収納具内に位置する収納位置をさらに含む。このように構成すれば、収納位置に位置する標本の識別情報が表示画面上の収納位置に対応する位置に表示されるので、使用者は、表示画面において、目的の標本が収納具に収納されていることを認識することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、収納具は、1つの標本を収納可能な収納部を複数含み、制御部は、収納具の複数の収納部にそれぞれ収納された複数の標本の各識別情報を、表示部の識別情報表示領域に表示される各識別情報の配置がそれぞれ収納具における複数の収納部の配置と対応するように表示するように表示部を制御する。このように構成すれば、使用者は、表示画面において、目的の標本が収納具のどの収納部に収納されているのかを容易に認識することができる。
【0013】
上記収納具がセットされる収納具セット部を備える構成において、好ましくは、移動部は、収納具に前記標本を収納するために収納具の手前に位置する収納待機位置で標本を待機させるように構成されており、複数の所定位置は、収納待機位置をさらに含む。このように構成すれば、収納待機位置に位置する標本の識別情報が表示画面上の収納待機位置に対応する位置に表示されるので、使用者は、表示画面において、目的の標本が収納待機位置に位置することを認識することができる。
【0014】
上記所定位置が、識別情報取得位置と、撮像位置とを含む構成において、好ましくは、表示画面は、標本の撮像画像を表示する撮像画像表示領域を含み、撮像位置における撮像部による撮像中に、制御部は、撮像された標本の撮像画像データを取得するとともに、撮像部から取得した標本の撮像画像を撮像画像表示領域に表示するように表示部を制御する。このように構成すれば、使用者は、表示画面において、撮像中の標本の撮像画像を視認することができる。
【0015】
上記所定位置が、識別情報取得位置と、撮像位置とを含む構成において、好ましくは、表示画面は、標本の分析結果を表示する分析結果表示領域を含み、撮像位置における撮像部による撮像中に、制御部は、撮像された標本の撮像画像データを取得するとともに、撮像画像データに基づいて標本を分析し、かつ、標本の分析結果を分析結果表示領域に表示するように表示部を制御する。このように構成すれば、使用者は、表示画面において、撮像中の標本の分析結果を確認することができる。
【0016】
上記第1の局面による血液像分析装置において、好ましくは、識別情報取得部による標本の識別情報の取得が失敗した場合に、制御部は、識別情報に代えて、識別情報の取得が失敗したことを示す取得エラー情報を表示画面の識別情報表示領域に表示するように表示部を制御する。このように構成すれば、使用者は、表示画面において、識別情報の取得が失敗した標本がどの所定位置に位置するのかを認識することができる。
【0017】
上記第1の局面による血液像分析装置において、好ましくは、検出部の検出結果に基づいて、標本が所定位置に到達していないことを検出する異常検出手段をさらに備え、異常検出手段によって標本が所定位置に到達していないことを検出した場合に、制御部は、標本の識別情報に代えて、所定位置に到達していないことを示す標本未到達表示を表示画面の識別情報表示領域に表示するように表示部を制御する。このように構成すれば、使用者は、表示画面において、標本が所定の位置に到達していないことを認識することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による血液像分析装置は、標本を撮像して得られた血液像を分析する血液像分析装置であって、標本を撮像するための撮像部と、撮像部により撮像された標本を収納する収納具をセットするための収納具セット部と、外部から受け入れた標本を所定の中継位置に搬送するための第1搬送部と、標本を中継位置から撮像部による撮像が行われる撮像領域内に搬送するとともに、再び撮像領域内から中継位置に搬送するための第2搬送部と、撮像部により撮像された標本を中継位置から収納部セット部にセットされた収納具に搬送するための第3搬送部と、第1搬送部、第2搬送部および第3搬送部において標本を検出するための標本検出手段と、表示部と、標本検出手段の検出結果に基づいて、標本が第1搬送部の搬送経路、第2搬送部の搬送経路および第3搬送部の搬送経路のいずれかに位置することを表示する標本位置表示領域を含む表示画面を表示するように表示部を制御する制御部とを備える。
【0019】
この第2の局面による血液像分析装置では、上記のように、標本検出手段の検出結果に基づいて、標本が第1搬送部の搬送経路、第2搬送部の搬送経路および第3搬送部の搬送経路のいずれかに位置することを表示する標本位置表示領域を含む表示画面を表示部に表示することによって、エラーなどによって装置が停止した場合に、使用者は、表示画面を見ることにより、標本が第1搬送部の搬送経路、第2搬送部の搬送経路および第3搬送部の搬送経路のいずれに位置するのかを認識することができる。これにより、停止した装置内において、目的の標本を即座に探し出すことができる。したがって、装置が停止した場合にも、処理中であった装置内のスライド標本に対して使用者が迅速に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による血液像分析装置を含む標本画像撮像システムの全体構成を示した斜視図である。図2〜図16は、図1に示した一実施形態による血液像分析装置の標本画像撮像装置の詳細構造を説明するための図である。まず、図1〜図16を参照して、本発明の一実施形態による血液像分析装置3の構成について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態による、標本画像撮像装置1および制御装置2から構成される血液像分析装置3は、自動で血液標本を作製するとともに、血液像を撮像して分析を行なう標本画像撮像システムに含まれている。この標本画像撮像システムは、図1に示すように、標本画像撮像装置1および制御装置2から構成される血液像分析装置3と、血液塗抹標本作製装置4と、検体搬送装置5と、標本搬送装置6とを備えている。なお、標本画像撮像システムは、血液塗抹標本作製装置4において検体搬送装置5から取り込んだ検体(血液)について作製された血液標本(スライドガラス)を標本搬送装置6により標本画像撮像装置1に搬送し、搬送された血液標本(スライドガラス)の画像を標本画像撮像装置1において撮像するとともに、撮像画像を制御装置2によりデジタル画像処理して自動的に血球の分類を行うシステムである。
【0023】
また、血液塗抹標本作製装置4は、標本画像撮像装置1により分析することが可能な自動分析用の標本をスライドガラス100上に作製する装置である。なお、血液塗抹標本作製装置4は、標本が作製されたスライドガラス100を1時間あたり120枚作製する処理能力を有している。また、図4に示すように、血液塗抹標本作製装置4において作成されたスライドガラス100のフロスト部(情報表示領域)100aには、血液塗抹標本作製装置4に内蔵される熱転写プリンタ(図示せず)によって、検体番号(ID)、日付、受付番号および氏名などの標本情報が蓄積された2次元バーコード100bと、標本情報に含まれる属性情報としての日付100c(図4では、07/06/04)、患者氏名100d(図4では、○○××)および検体番号(ID)の一部100e(図4では、BA15617)が印字される。
【0024】
また、図1に示すように、血液塗抹標本作製装置4は、タッチパネルからなる表示操作部4aと、起動スイッチ4bと、電源スイッチ4cと、カバー4dとを含んでいる。また、血液塗抹標本作製装置4には、血液が収容された試験管151を検体搬送装置5側から血液塗抹標本作製装置4側に搬送するためのハンド部材4eが設けられている。血液が収容された試験管151には、ゴム栓151aが装着されている。また、検体搬送装置5は、図1に示すように、血液が収容された試験管151を収納する検体ラック150を血液塗抹標本作製装置4に自動的に搬送するために設けられている。
【0025】
標本搬送装置6は、図1に示すように、血液塗抹標本作製装置4から受け取ったカセット110(図5参照)に収容されているスライドガラス100を標本画像撮像装置1に搬送するために設けられている。また、標本搬送装置6は、図1に示すように、表示部6aと、電源スイッチ6bと、カバー6cとを含んでいる。図5に示すように、この標本搬送装置6は、受け渡し口6dを介して、標本画像撮像装置1に撮像対象のスライドガラス100を受け渡すように構成されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、標本画像撮像装置1は、標本搬送装置6から受け取ったスライドガラス100の標本作製領域100f(図4参照)に形成された標本を撮像する機能を有している。なお、標本画像撮像装置1は、スライドガラス100の標本を1時間あたり90枚撮像する処理能力を有している。また、標本画像撮像装置1は、図1に示すように、電源スイッチ1aと、開閉可能なカバー部1bと、筐体の側面に開閉可能に設けられる蓋部1cとを含んでいる。また、標本画像撮像装置1には、制御装置2が電気的に接続されている。
【0027】
また、標本画像撮像装置1は、図2および図3に示すように、スライド搬送機構10と、バーコード読取部20と、撮像部30と、マガジン搬送機構部40と、制御部50とを備えている。また、スライドガラス100は、標本画像撮像装置1内の搬送路60に沿って搬送されるように構成されている。
【0028】
スライド搬送機構10は、図5〜図7に示すように、標本搬送装置6において水平に配置されたカセット110から標本搬送装置6の受け渡し口6dを介してスライドガラス100を取り出すとともに、取り出したスライドガラス100をバーコード読取部20に搬送する機能を有する。さらに、スライド搬送機構10は、スライドガラス100をX1方向に搬送する機能も有している。スライド搬送機構10は、ステッピングモータ11と、ステッピングモータ11に接続されるプーリ12と、プーリ12と所定の間隔を隔てて設けられるプーリ13と、プーリ12およびプーリ13に装着される駆動伝達ベルト14と、駆動伝達ベルト14に伴って移動する移動機構部15と、移動機構部15をX方向に移動させる直動ガイド(スライドレール)16と、2つの遮光センサ17aおよび17bとから構成されている。これにより、ステッピングモータ11が駆動することによって、プーリ12を介して、駆動伝達ベルト14が駆動するので、駆動伝達ベルト14に連結される移動機構部15がX方向に移動される。
【0029】
また、図5および図8に示すように、移動機構部15は、駆動伝達ベルト14に連結される連結部材15aと、連結部材15aに取り付けられるソレノイド支持部材15bと、ソレノイド支持部材15bに支持されるソレノイド15cと、連結部材15aに取り付けられるとともに上記した直動ガイド(スライドレール)16に沿って移動可能な移動部材15dと、移動部材15dに回転可能に取り付けられる支持シャフト15eと、ソレノイド15cのロッド15fとともに上下方向(Z方向)に移動する下側チャック部15gと、支持シャフト15eに取り付けられるとともに下側チャック部15gに連動して矢印A方向および矢印B方向(図8参照)に回動する上側チャック部15hと、支持シャフト15eに取り付けられる押圧部15i(図5参照)および15j(図5参照)とによって構成されている。したがって、ソレノイド15cのロッド15fがZ方向に延びることにより、下側チャック部15gがZ方向に移動して、搬送路60のスライドガラス100の下面が支持される。この際、下側チャック部15gのZ方向(上方向)の移動に連動して上側チャック部15hが支持シャフト15eとともに矢印A方向に回動して、搬送路60上のスライドガラス100の下面が支持される。このようにして、下側チャック部15gおよび上側チャック部15hにより、搬送路60のスライドガラス100が把持される。また、押圧部15iおよび15jも支持シャフト15eに取り付けられているので、上側チャック部15hの矢印A方向および矢印B方向への回動に連動して、押圧部15i(図5参照)および15j(図5参照)も矢印A方向および矢印B方向へ回動する。また、図5に示すように、移動部材15dには、2つの遮光センサ17aおよび17bを遮光する検出片15kが設けられており、2つの遮光センサ17aおよび17bにより、移動機構部15の位置が検出される。
【0030】
また、図5および図6に示すように、上側チャック部15hおよび下側チャック部15gは、搬送路60の導入位置60aに配置されたスライドガラス100を把持するとともに、バーコード読取部20によるバーコード読取位置60bまでスライドガラス100をX1方向に搬送する機能を有している。また、下側チャック部15gは、上側チャック部15hおよび下側チャック部15gが導入位置60aに位置するスライドガラス100を把持して矢印X1方向に移動する際に、バーコード読取位置60bに位置しているスライドガラス100の矢印X2方向側の端面と接触して矢印X1方向に押し出すことにより、バーコード読取位置60bに位置するスライドガラス100をバーコード読取位置60bから引き込み位置60cに搬送する機能を有する。また、押圧部15iは、矢印A方向(図8参照)に回動した状態で、移動機構部15が矢印X1方向に移動する際に、引き込み位置60cに位置するスライドガラス100の矢印X2方向側の端面と接触部15kとが接触することにより、スライドガラス100を矢印X1方向に押し出すように構成されている。この押圧部15iにより、スライドガラス100は、引き込み位置60cからマガジン収納待機位置60dに搬送されるように構成されている。また、押圧部15jは、矢印A方向(図8参照)に回動した状態で、移動機構部15が矢印X1方向に移動する際に、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100の矢印X2方向側の端面と接触部15lとが接触することにより、スライドガラス100を矢印X1方向に押し出すように構成されている。この押圧部15jにより、スライドガラス100は、マガジン収納待機位置60dからマガジン搬送機構部40にセットされたマガジン300(図12および図13参照)内に収納されるように構成されている。
【0031】
また、バーコード読取部20は、2次元バーコードリーダからなり、スライドガラス100のフロスト部100aに印字された2次元バーコード100b(図4参照)を読み取る機能を有する。この2次元バーコード100bがバーコード読取部20において読み取られることにより、スライドガラス100のIDが制御装置50に認識される。また、本実施形態では、搬送路60のバーコード読取位置60bを挟むように取り付けられた発光部61aおよび受光部61bから構成される透過型のセンサ(後述する第1センサ)61が設けられている。このセンサ(第1センサ)61により、バーコード読取位置60bに位置するスライドガラス100が検知されるように構成されている。
【0032】
撮像部30は、図5、図7および図9に示すように、スライドガラス100の標本作製領域100f(図4参照)に形成された標本画像(図示せず)を撮像するために設けられている。この撮像部30は、図9に示すように、Y方向に移動可能なスライドチャック31と、対物レンズ32と、複数のレンズ33と、ハーフミラー34と、CCDカメラ35と、ラインセンサ36〜38と、3つの透過型のセンサ39a〜39c(図7、図10および図11参照)とを含んでいる。
【0033】
また、図10および図11に示すように、スライドチャック31は、上側チャック31aおよび下側チャック31bから構成されている。また、下側チャック31bは、回動軸31cを中心に上側チャック31aに対して回動可能である。また、下側チャック31bの矢印X2方向側の後端には、後方(矢印Y1方向)側に突出する2つの検知片31dおよび31eが設けられている。また、下側チャック31bの矢印X1方向側の後端には、後方(矢印Y1方向)側に突出する1つの検知片31fが設けられている。スライドチャック31は、前方(矢印Y2方向)に移動した状態で下側チャック31bが回動されることにより、搬送路60の引き込み位置60cに搬送されたスライドガラス100を把持した後、後方(矢印Y1方向)に移動して対物レンズ32の下方の位置に配置する機能を有している。また、図7および図10に示すように、センサ39aおよび39bは、検知片31dおよび31eに対応した位置に設けられている。また、図7および図11に示すように、センサ39cは、検知片31fに対応した位置に設けられている。これらのセンサ39a、39bおよび39cから構成される第2センサが、それぞれ、下側チャック31bの回動に伴って検知片31d、31eおよび31fを検知することによって、下側チャック31bの回動角度が制御部50に認識されるように構成されている。
【0034】
具体的には、センサ39aがONの状態(センサ39aが検知片31dを検知した状態)では、センサ39bおよびセンサ39cのON/OFFに関わらず、下側チャック31bは、開状態であると制御部50に認識されるように構成されている。すなわち、スライドガラス100がスライドチャック31にチャックされていないと制御部50に認識される。また、センサ39aがOFFの状態(センサ39aが検知片31dを検知しない状態)であり、かつ、センサ39bおよびセンサ39cがONの状態である時は、スライドチャック31がスライドガラス100を把持した状態で閉状態であると制御部50に認識されるように構成されている。すなわち、スライドガラス100がスライドチャック31にチャックされている(スライドガラス100が撮像位置に位置している)と制御部50に認識される。また、センサ39a〜39cがいずれもOFFの状態(センサ39a〜39cが検知片31d〜31fを検知しない状態)では、スライドチャック31がスライドガラス100を把持しない状態で閉状態であると制御部50に認識されるように構成されている。すなわち、スライドガラス100がスライドチャック31にチャックされていないと制御部50に認識される。センサ39a、39bおよび39cから構成される第2センサとしては、スライドガラス100が撮像位置に位置している(スライドガラス100がスライドチャック31にチャックされている)場合にONとなり、スライドガラス100がスライドチャック31にチャックされていない場合にOFFとなる。このように、第2センサにより、撮像位置に位置するスライドガラス100が検知される。
【0035】
また、スライドガラス100をチャックしたスライドチャック31が矢印Y2方向に移動されることにより、スライドガラス100の標本作製領域100fが対物レンズ32の下方に移動されるように構成されている。これにより、対物レンズ32の下方の位置に配置されたスライドガラス100の標本作製領域100fの標本が複数のレンズ33を介してCCDカメラ35により撮像されるように構成されている。なお、ラインセンサ36は、特異的に青色に染色される白血球を検出する機能を有している。また、ラインセンサ37および38は、CCDカメラ35のフォーカス調整用に用いられる。
【0036】
また、本実施形態では、図5〜図7に示すように、搬送路60の矢印X1方向側の端部には、搬送路60のマガジン収納待機位置60dを挟むようにして取り付けられた発光部62aおよび受光部62bから構成される透過型のセンサ(後述する第3センサ)62が設けられている。このセンサ(第3センサ)62により、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100が検知されるように構成されている。
【0037】
マガジン搬送機構部40は、図12に示すように、マガジン貯留部41およびマガジン貯留部42と、マガジン移送部43と、マガジン送り込み部44とにより構成されている。そして、マガジン搬送機構部40は、筐体の側面に開閉可能に設けられる蓋部4c(図1参照)を開けることによりマガジン貯留部41に補充される空のマガジン300を搬送路60からスライドガラス100を受け入れ可能なスライド受入位置に搬送するとともに、スライドガラス100を受け入れたマガジン300をスライド受入位置からマガジン貯留部42に搬送する機能を有している。
【0038】
また、図12に示すように、マガジン貯留部41は、複数の空のマガジン300を貯留するために設けられている。このマガジン貯留部41は、マガジン300をY2方向に搬送するための一対の搬送ベルト41aを含んでいる。また、マガジン貯留部42は、スライドガラス100が収容された複数のマガジン300を貯留するために設けられている。なお、マガジン貯留部41および42は、それぞれ、マガジン300を最大8個収容可能である。
【0039】
また、マガジン移送部43は、空のマガジン300を下方のマガジン貯留部41からスライド受入位置を通過させて上方のマガジン貯留部42まで搬送するように構成されている。このマガジン移送部43は、図12に示すように、ステッピングモータ43aと、ステッピングモータ43aの軸に接続されるプーリ43bと、プーリ43bと所定の間隔を隔てた上方に配置されるプーリ43cと、プーリ43bおよびプーリ43bに装着される駆動伝達ベルト43dと、駆動伝達ベルト43dに連結される搬送部材43eとを含んでいる。これにより、ステッピングモータ43aが駆動することにより、プーリ43bを介して、駆動伝達ベルト43dが駆動されるので、駆動伝達ベルト43dに連結される搬送部材43eがZ方向に移動される。そして、マガジン300を載置可能な搬送部材43eを上方(矢印Z1方向)に移動させることが可能となる。図13に示すように、この搬送部材43eに載置された空のマガジン300がスライド受入位置まで上方に搬送された状態で、搬送路60のマガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100がスライド搬送機構10の押圧部15jにより矢印X1方向に押圧されることによって、スライドガラス100がマガジン300に挿入されるように構成されている。
【0040】
このマガジン300は、図14に示すように、中空の縦長の箱状に形成されており、スライドガラス100の搬送方向に貫通するように2つの開口300aおよび300bが形成されている。また、一対の内側面には、内側に突出するとともに、開口300aから開口300bまで延びるように形成された一対の棚状部301が設けられている。この一対の棚状部301は、スライドガラス100の側端部近傍を支持するために設けられている。この一対の棚状部301は、上下方向に所定の間隔を隔てて25個設けられており、25個の棚状部301が、それぞれ、1つのスライドガラス100を収納する収納部300cとして機能する。本実施形態では、スライド受入位置に位置するマガジン300がマガジン移送部43により所定の距離(収納部300c1つ分)ずつ上方に搬送されるとともに、搬送路60と同じ高さに位置する収納部300cに順次スライドガラス100が挿入されて、収納されるように構成されている。すなわち、スライドガラス100は、マガジン300の25個の収納部300cに、上から順番に収納されていくように構成されている。また、搬送路60から開口300bを介して収納部300cに挿入されたスライドガラス100は、フロスト部100aを含む部分が突出するように収納部300cに収納される。
【0041】
また、図13に示すように、本実施形態では、搬送路60と同じ高さで、かつ、収納部300cに収納されたスライドガラス100のフロスト部100aを挟むような位置に、発光部45aと受光部45bとから構成される透過型のセンサ(後述する第4センサ)45が設けられている。スライドガラス100が収納部300cに収納されると、収納部300cから突出したフロスト部100aをセンサ(第4センサ)45が検知することにより、制御部50は、スライドガラス100が収納部300cに収納されたことを検知するように構成されている。
【0042】
また、図12に示すように、マガジン送り込み部44は、マガジン移送部43によって上方に移送されたスライドガラス100を収容したマガジン300をマガジン貯留部42側に送り出す機能を有している。このマガジン送り込み部44は、押出し部材44aと、移動可能なスライドレール44bと、スライドレール44bを移動可能に支持するスライドレール支持部材44cと、アーム44dと、モータ44eとによって構成されている。押出し部材44aは、スライドレール44bに取り付けられているとともに、スライドレール44bは、Y方向に沿って延びるように配置されている。また、アーム44dの一方の端部は、長穴を介してスライドレール44bに取り付けられているとともに、他方の端部は、モータ44eの回転軸に連結されている。これにより、モータ44eが駆動することにより、アーム44dの一方の端部が回動されることによって、スライドレール44bがスライドレール支持部材44cに対してY1方向に移動される。これにより、押出し部材44aがY1方向に沿って移動される。したがって、マガジン移送部43によって上方に移送されたマガジン300は、押出し部材44aに押圧されてマガジン貯留部42側に押し出される。
【0043】
また、図3に示すように、制御部50は、スライド搬送機構10、バーコード読取部20、撮像部30およびマガジン搬送機構部40の動作を制御する機能を有する。また、制御部50は、撮像部30において撮像された標本画像のデジタルデータを取得するとともに、そのデータを制御装置2の制御部2aに順次送信する機能を有する。また、制御部50は、バーコード読取部20において読み取られたバーコードの情報(スライドIDなど)を取得するとともに、その情報を制御装置2の制御部2aに送信する機能を有する。また、本実施形態では、制御部50は、撮像部30のセンサ39a〜39cからなる第2センサ、搬送路60のセンサ(第1センサ)61および(第3センサ)62およびマガジン搬送機構部40のセンサ(第4センサ)45から信号を受信することにより、スライドガラス100の搬送が正常に行なわれているか否かを監視している。
【0044】
制御装置2は、標本画像撮像装置1の撮像部30において撮像されたスライドガラス100の標本の撮像画像をデジタル画像処理するとともに、血球の分類を自動で行う機能を有している。また、制御装置2は、図3に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)201などからなり、制御部2aと、表示部2bと、キーボード2cとを含んでいる。この制御部2aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、制御部2aは、標本画像撮像装置1の制御部50に標本画像撮像装置1の各機構(スライド搬送機構10など)の処理を行わせるように指示を行なう機能を有する。また、制御部2aは、制御部50が撮像部30から取得した撮像画像のデジタルデータを制御部50から受信するとともに、受信したデータに基づいて、撮像部30で撮像された標本画像(図15参照)を分析するための機能を有している。
【0045】
次に、制御装置2の構成について詳細に説明する。制御部2aは、図3に示すように、CPU201aと、ROM201bと、RAM201cと、ハードディスク201dと、読出装置201eと、入出力インタフェース201fと、通信インタフェース201gと、画像出力インタフェース201hとから主として構成されている。CPU201a、ROM201b、RAM201c、ハードディスク201d、読出装置201e、入出力インタフェース201f、通信インタフェース201g、および画像出力インタフェース201hは、バス201iによって接続されている。
【0046】
CPU201aは、ROM201bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM201cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム204aをCPU201aが実行することにより、コンピュータ201が制御装置2として機能する。
【0047】
ROM201bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU201aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0048】
RAM201cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM201cは、ROM201bおよびハードディスク201dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201aの作業領域として利用される。また、RAM201cにおいて、バーコード読取部20により取得されたスライドガラス100の2次元バーコード100bの内容(IDなど)と撮像部30で撮像された標本画像とが関連付けて記憶される。また、RAM201cにおいて、バーコード読取部20により取得されたスライドガラス100の2次元バーコード100bの内容(IDなど)とマガジン300に収納された標本(スライドガラス100)の位置(収納部300cの位置)とが関連付けて記憶される。
【0049】
ハードディスク201dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU201aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施形態に係る血球の分類を行なうためのアプリケーションプログラム204aも、このハードディスク201dにインストールされている。
【0050】
読出装置201eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体204に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体204には、本実施形態に係るアプリケーションプログラム204aが格納されており、コンピュータ201がその可搬型記録媒体204からアプリケーションプログラム204aを読み出し、そのアプリケーションプログラム204aをハードディスク201dにインストールすることが可能である。
【0051】
なお、上記アプリケーションプログラム204aは、可搬型記録媒体204によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ201と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム204aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ201がアクセスして、そのアプリケーションプログラム204aをダウンロードし、これをハードディスク201dにインストールすることも可能である。
【0052】
また、ハードディスク201dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム204aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0053】
入出力インタフェース201fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース201fには、キーボード2cが接続されており、ユーザがそのキーボード2cを使用することにより、コンピュータ201にデータを入力することが可能である。
【0054】
通信インタフェース201gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ201は、その通信インタフェース201gにより、所定の通信プロトコルを使用して制御部50との間でデータの送受信が可能である。
【0055】
画像出力インタフェース201hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部2bに接続されており、CPU201aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部2bに出力するようになっている。表示部2bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0056】
また、図15および図16に示すように、本実施形態では、制御装置2は、分析時に、分析状況を表示する分析状況表示画面210を表示部2bに表示するように構成されている。この分析状況表示画面210は、バーコード読取位置60bに位置するスライドガラス100のIDを表示する第1ID表示領域211と、撮像位置に位置する(スライドチャック31にチャックされている)スライドガラス100のIDを表示する第2ID表示領域212と、撮像部30による撮像画像を表示する画像表示領域213と、分析結果を表示する分析結果表示領域214と、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100のIDを表示する第3ID表示領域215と、マガジン300に収納されたスライドガラス100のIDを表示する第4ID表示領域216とを含んでいる。
【0057】
図7および図15に示すように、これらの第1ID表示領域211、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216の分析状況表示画面210における配置の位置関係は、標本画像撮像装置1におけるバーコード読取位置60b、撮像位置60c、マガジン収納待機位置60dおよびマガジン300の配置の平面的な位置関係と対応している。また、画像表示領域213には、撮像中の標本(スライドガラス100)の撮像画像が順次表示されるように構成されている。また、分析結果表示領域214には、撮像画像に基づいて分析した分析結果が表示されるように構成されている。
【0058】
また、第4ID表示領域216は、マガジン300の25個の収納部300cのそれぞれを示す番号が表示される収納位置表示領域216aと、マガジン300に収納されたスライドガラス100のIDが表示されるID表示領域216bと、そのスライドガラス100がマガジン300に収納された時間を表示する収納時間表示領域216cと、そのスライドガラス100の撮像状態を表示する撮像状態表示領域216dとを含んでいる。
【0059】
収納位置表示領域216aには、マガジン300における25個の収納部300cの配置の上下方向の位置に対応して、25個の収納部番号が表示される。具体的には、マガジン300の一番上に位置する収納部300c(第1収納部)に対応する収納部番号(図15では、000000−01)は、収納位置表示領域216aにおいて、一番上の段に表示される。また、マガジン300の上から二番目に位置する収納部300c(第2収納部)に対応する収納部番号(図15では、000000−02)は、収納位置表示領域216aにおいて、上から2段目に表示される。
【0060】
また、ID表示領域216bには、収納位置表示領域216aに表示された収納部番号に対応する収納部300cに収納されたスライドガラス100のIDが表示される。また、撮像状態表示領域216dには、スライドガラス100に作製された血液塗抹標本が不完全である場合であって、撮像が十分に行なわれなかった場合に、そのスライドガラス100のIDと対応する段にエラーが表示される。
【0061】
次に、図1、図2および図4〜図6、図8、図9、図12および図13を参照して、本実施形態による標本画像撮像システムの動作について説明する。
【0062】
まず、血液塗抹標本作製装置4による吸引分注動作として、図1に示すように、起動スイッチ102が押されて血液塗抹標本作製装置400が起動した状態で、血液検体が収容された試験管151が収納された検体ラック150を検体搬送装置5にセットする。そして、表示操作部1aに表示された自動吸引のスタートスイッチを押す。これにより、検体ラック150が血液塗抹標本作製装置4のハンド部材1eが把持可能な位置まで搬送されるとともに、ハンド部材1eにより検体ラック150の血液が収容された試験管151が血液塗抹標本作製装置4内に搬送される。そして、血液塗抹標本作製装置4内において、試験管151から採取した血液の塗抹標本(スライドガラス100)が作製される。
【0063】
また、血液塗抹標本作製装置4内において作製された塗抹標本(スライドガラス100)には、図4に示すように、スライドガラス100のフロスト部100aに、検体番号(ID)、日付、受付番号、氏名などの標本情報が蓄積された2次元バーコード100bと、日付100cや患者氏名100dなどが印字される。また、この後、スライドガラス100は、カセット110に収納されて、標本搬送装置6に移動される。
【0064】
また、スライドガラス100を収納したカセット110は、標本搬送装置6によって、所定の位置まで搬送されるとともに、受け渡し口6d(図1および図5参照)からスライドガラス100が突出するように配置される。その後、図5に示すように、標本画像撮像装置1のスライド搬送機構10の上側チャック部15hおよび下側チャック部15gが把持可能な導入位置60aまで送り出される。
【0065】
次に、標本画像撮像装置1のスライド搬送機構10の上側チャック部15hおよび下側チャック部15gが把持可能な導入位置60aまで送り出されたスライドガラス100は、図5および図6に示すように、スライド搬送機構10において、カセット110からスライドガラス100が取り出されるとともに、そのスライドガラス100がバーコード読取部20による読取位置60bに搬送される。具体的には、図8に示すように、ソレノイド15cのロッド15fがZ方向に延びることにより、下側チャック部15gがZ方向に移動して、搬送路60のスライドガラス100の下面が支持される。この際、下側チャック部15gのZ方向(上方向)の移動に連動して上側チャック部15hが支持シャフト15eとともに矢印A方向(図8参照)に回動して、搬送路60のスライドガラス100の下面が支持される。これにより、下側チャック部15gおよび上側チャック部15hにより、導入位置60aに位置するスライドガラス100が把持される。そして、スライドガラス100が把持された状態で、ステッピングモータ11が所定のパルス分駆動されることにより、プーリ12および駆動伝達ベルト14が駆動するので、図6に示すように、駆動伝達ベルト14に連結される移動機構部15が所定の距離分X1方向に移動される。これにより、上側チャック部15hおよび下側チャック部15gにより把持されたスライドガラス100が読取位置60bまで搬送される。この後、上側チャック部15hが矢印B方向(図8参照)に回動するとともに、下側チャック部15gが下方に移動した状態で、移動機構部15が矢印X2方向に移動されて、図5に示す位置に戻される。
【0066】
そして、図5に示すように、バーコード読取部20による読取位置60bまで搬送されたスライドガラス100は、バーコード読取部20において、スライドガラス100のフロスト部100aに印字された2次元バーコード100bが読み取られる。そして、バーコード読取部20によって読み取られたスライドガラス100の検体番号(ID)が制御部50に記憶される。
【0067】
その後、バーコード読取部20によって読み取られたスライドガラス100は、図6に示すように、下側チャック部15gが上方に移動した状態で移動機構部15が矢印X1方向に所定の距離分移動されることにより、下側チャック部15gと接触して、矢印X1方向に押し出される。そして、下側チャック部15gに押し出されたスライドガラス100は、スライドチャック31が把持可能な引き込み位置60cまで搬送される。この後、移動機構部15は、矢印X2方向に移動されて、図5に示す状態に戻される。
【0068】
次に、図5に示すように、引き込み位置60cに配置されたスライドガラス100は、スライドガラス100が引き込み位置60cに移動するのと同期して前方(矢印Y2方向)に移動されたスライドチャック31により把持された後、スライドチャック31が後方(矢印Y1方向)に移動して撮像部30の内部に引き込まれる。これにより、図9に示すように、対物レンズ32の下方の位置に配置される。そして、撮像部30のCCDカメラ35により、スライドチャック31に把持されるスライドガラス100の標本を、複数のレンズ33およびハーフミラー34を介して撮像する。このようにして、スライドガラス100の標本画像(図15参照)が複数取得される。その後、撮像部30のCCDカメラ35によって撮像された標本画像が制御部50を介して制御装置2の制御部2aに順次送られる。
【0069】
また、制御装置2の制御部2aに送られた標本画像(図15参照)は、制御部2aにおいて、画像処理されるとともに、血球の分類が自動的に行われる。
【0070】
そして、撮像済みのスライドガラス100は、スライドチャック31により前方(矢印Y2方向)に移動されて、引き込み位置60cに戻される。そして、引き込み位置60cに戻されたスライドガラス100は、押圧部15iが矢印A方向(図8参照)に回動した状態で移動機構部15が矢印X1方向に所定の距離分移動されることにより、図6に示すように、接触部15kと接触して矢印X1方向に押し出される。これにより、スライドガラス100が引き込み位置60cからマガジン収納待機位置60dまで搬送される。この後、移動機構部15は、押圧部15iが矢印B方向(図8参照)に回動した状態で矢印X2方向に移動されて、図5に示す状態に戻される。
【0071】
また、この時、図12および図13に示すように、マガジン搬送機構部40のマガジン貯留部41から空のマガジン300が上方に搬送されて、マガジン300の収納部300c(図13では、上から3段目の収納部300c)が搬送路60と同じ高さ(スライド受入位置)に配置されている。この状態において、押圧部15jが矢印A方向(図8参照)に回動した状態で移動機構部15が矢印X1方向に所定の距離分移動されることにより、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100が接触部15lと接触して矢印X1方向に押し出される。これにより、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100は、開口300bを介してマガジン300の収納部300cに収納される。また、収納部300cにスライドガラス100が収納された後、マガジン300は、収納部300cの1段分上方に移動される。これにより、マガジン300は、新しいスライドガラス100を収納可能な状態となる。このようにして、マガジン300の25個の収納部300cに、上から順番にスライドガラス100が順次収納されていく。
【0072】
上記のようにして、標本画像撮像システムの分析が行われる。
【0073】
なお、上記した説明では、1つのスライドガラス100に対して行われる処理の流れを説明したが、標本画像撮像装置1においては、4つのスライドガラス100が同期的に処理される。すなわち、導入位置60aに位置するスライドガラス100をバーコード読取位置60bに搬送する動作と、バーコード読取位置60bに位置するスライドガラス100を引き込み位置60cを介して撮像位置(スライドチャック31にチャックされた状態)に搬送する動作と、撮像位置に位置する撮像後のスライドガラス100を引き込み位置60cを介してマガジン収納待機位置60dに搬送する動作と、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100をマガジン300に収納する動作とが同期的に行われる。そして、4つのスライドガラス100が同期的に搬送されながら、4つのスライドガラス100の各位置におけるバーコードの読取、標本の撮像およびマガジン300への収納が同期的に行われる。
【0074】
図17は、本実施形態による、標本画像撮像装置および制御装置から構成される血液像分析装置の制御の概略について説明するためのフローチャートである。次に、図17を参照して、標本画像撮像装置1および制御装置2から構成される血液像分析装置3の制御の概略について説明する。
【0075】
まず、標本画像撮像装置1および制御装置2の電源がONにされることにより、血液像分析装置3が起動される。そして、標本画像撮像装置1においては、ステップS1において、初期化が行われる。具体的には、移動機構部15やスライドチャック31などの位置が初期位置に配置される。
【0076】
次に、標本画像撮像装置1においては、ステップS2において、標本の撮像などのスライドガラス100の処理が行われる。この処理については、後に詳細に説明する。
【0077】
また、標本画像撮像装置1においては、ステップS3において、制御装置2によるシャットダウン信号を受信したか否かが判断される。シャットダウン信号を受信しない場合には、ステップS2へ処理が戻される。また、シャットダウン信号を受信した場合には、ステップS4において、標本画像撮像装置1のシャットダウンが実行されて、標本画像撮像装置1の電源が自動的にOFFにされる。このようにして、標本画像撮像装置1および制御装置2から構成される血液像分析装置3の動作が終了する。
【0078】
また、制御装置2においては、ステップS101において、初期化が行われる。具体的には、制御部2aに記憶されているプログラムなどの初期化が行われる。また、制御装置2においては、ステップS102において、標本画像撮像装置1において行われる処理の状況が表示される。この表示については、後に詳細に説明する。
【0079】
また、ユーザは、スライドガラス100の処理が終了した後、制御装置2において、シャットダウンの指示を行なう。また、制御装置2においては、ステップS103において、ユーザによるシャットダウンの指示が行なわれたか否かが判断される。シャットダウンの指示が行なわれていない場合には、ステップ102へ処理が戻される。また、シャットダウンの指示が行なわれた場合には、制御装置2は、ステップS104において、標本画像撮像装置1にシャットダウン信号を送信するとともに、ステップS105において、制御装置2のシャットダウンが実行されて、制御装置2の電源がOFFにされる。
【0080】
図18は、図17のステップS2における標本画像撮像装置によるスライドガラスの処理動作、および、図17のステップS102における制御装置によるスライドガラスの処理状況の表示動作を説明するためのフローチャートである。図19および図20は、スライドガラスの位置とスライドガラスに付与されるシーケンス番号とを対応して記憶するための記憶テーブルを示す図である。次に、図11、図12、図15、図16および図18〜図20を参照して、標本画像撮像装置1によるスライドガラス100の処理動作、および、制御装置2によるスライドガラス100の処理状況の表示動作を説明する。
【0081】
標本画像撮像装置1においては、上記のように、4つのスライドガラス100が同期的に搬送されて、バーコードの読取、標本の撮像およびマガジン300への収納などが同期的に行われる。この同期的な処理動作が行われるに当たって、標本画像撮像装置1においては、まず、ステップS11において、第1センサ(センサ61)がONであるか否かが判断される。第1センサ(センサ61)がOFFである場合には、制御部50はバーコード読取位置60bに搬送されているはずのスライドガラス100がバーコード読取位置60bに搬送されていないと判断して、搬送動作のエラーを認識するとともに、搬送動作を停止する。そして、ステップS17において、制御部50は制御装置2に対して搬送エラー信号を送信し、処理を終了する。なお、ステップS14、S15、S16においても、前述した処理が同様に行われる。
【0082】
また、第1センサ(センサ61)がONである場合には、ステップS12において、バーコード読取位置60bに搬送されてきたスライドガラス100にシーケンス番号が付与される。このシーケンス番号は、順次搬送されてくるスライドガラス100に互いに重複しないように付与される。このシーケンス番号により、制御部50は、個々のスライドガラス100を管理する。また、このシーケンス番号は、制御部50において、図19に示すように、スライドガラス100の位置とスライドガラス100のシーケンス番号とを対応させた記憶テーブルに記憶される。たとえば、図19に示すように、バーコード読取位置60bに位置するスライドガラス100を検知する第1センサ(センサ61)と対応して、シーケンス番号「000006」が記憶される。また、図19では、撮像位置に位置するスライドガラス100を検知する第2センサ(スライドチャック31にスライドガラス100がチャックされているか否かを見るセンサ39a〜39c)と対応して、シーケンス番号「000005」が記憶されている。また、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100を検知する第3センサ(センサ62)と対応して、シーケンス番号「000004」が記憶されている。また、マガジン300にスライドガラス100が収納されたことを検知する第4センサ(センサ45)と対応して、シーケンス番号「000003」が記憶されている。また、第1収納部(マガジン300の一番上に位置する収納部300c)と対応して、シーケンス番号「000002」が記憶されており、第2収納部(マガジン300の上から2番目に位置する収納部300c)には、シーケンス番号「000001」が記憶されている。
【0083】
次に、標本画像撮像装置1においては、ステップS13において、バーコード読取位置60bに搬送されてきたスライドガラス100の2次元バーコードが読み取られる。そして、読み取られたバーコードの内容(ID)は、シーケンス番号と対応して制御部50に記憶される。また、バーコードの読取が失敗した場合には、制御部50は、読取が失敗したスライドガラス100のシーケンス番号と対応して、IDに代えてエラー番号を付与する。
【0084】
次に、標本画像撮像装置1においては、ステップS14において、第2センサ(センサ39a〜39c)がONであるか否か(スライドチャック31にスライドガラス100がチャックされているか否か)(図11および図12参照)が判断される。第2センサがOFFである(スライドチャック31にスライドガラス100がチャックされていない)場合には、制御部50はバーコード読取位置60bから引出し位置60cを介して撮像位置に搬送されているはずのスライドガラス100が撮像位置に搬送されていないと判断して、搬送動作のエラーを認識するとともに、搬送動作が停止される。そして、ステップS17において、制御装置2に対して搬送エラー信号を送信する。
【0085】
また、第2センサがONである場合には、ステップS15において、第3センサ(センサ62)がONであるか否かが判断される。第3センサがOFFである場合には、制御部50は撮像位置から引き出し位置60cを介してマガジン収納待機位置60dに搬送されているはずのスライドガラス100がマガジン収納待機位置60dに搬送されていないと判断して、搬送動作のエラーを認識するとともに、搬送動作が停止される。そして、ステップS17において、制御装置2に対して搬送エラー信号を送信する。
【0086】
また、第3センサがONである場合には、ステップS16において、第4センサ(センサ45)がONであるか否かが判断される。第4センサがOFFである場合には、制御部50はマガジン収納待機位置60dからマガジン300の収納部300cに搬送されているはずのスライドガラス100が収納部300cに収納されていないと判断して、搬送動作のエラーを認識するとともに、搬送動作が停止される。そして、ステップS17において、制御装置2に対して搬送エラー信号を送信する。また、第4センサがONである場合には、制御部50は、搬送動作が正常に行なわれたと判断して、ステップS18に進む。
【0087】
そして、標本画像撮像装置1においては、ステップS18において、制御部50は、上記した記憶テーブル(図19参照)に記憶されたデータ(スライドガラス100の位置とシーケンス番号とIDとの対応関係)を制御装置2に対して送信する。また、バーコードの読取が失敗したスライドガラス100については、データ(スライドガラス100の位置とシーケンス番号とエラー番号との対応関係)を送信する。
【0088】
また、標本画像撮像装置1においては、ステップS19において、制御装置2からオーダ情報を受信したか否かが判断される。なお、オーダ情報とは、撮像部30がスライドガラス100の撮像を行なうために必要な撮像条件などの情報である。オーダ情報を受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、オーダ情報を受信した場合には、ステップS20において、受信したオーダ情報に基づいて、撮像位置に位置する標本の撮像が行われる。そして、ステップS21において、撮像部30において撮像された撮像画像のデータ(撮像画像データ)が制御装置2に対して送信される。
【0089】
また、標本画像撮像装置1においては、ステップS22において、スライドガラス100の搬送が行われる。すなわち、導入位置60aに位置するスライドガラス100をバーコード読取位置60bに搬送する動作と、バーコード読取位置60bに位置するスライドガラス100を引き込み位置60cを介して撮像位置に搬送する動作と、撮像位置に位置する撮像後のスライドガラス100を引き込み位置60cを介してマガジン収納待機位置60dに搬送する動作と、マガジン収納待機位置60dに位置するスライドガラス100をマガジン300に収納する動作とが同期的に行われる。
【0090】
その後、ステップS23において、制御部50に記憶されている記憶テーブルが上記ステップS22における搬送後のスライドガラス100の配置に対応して更新される。すなわち、図19に示した記憶テーブルのシーケンス番号が一段ずつずらされることにより、図20に示す状態に更新され、処理がリターンされる。この後、シャットダウンが行われない場合(図17参照)、ステップS2の処理が行われることにより、標本画像撮像装置1によるスライドガラス100の処理が継続される。
【0091】
また、制御装置2においては、ステップS111において、制御部50から搬送エラー信号を受信したか否かが判断される。搬送エラー信号を受信した場合には、ステップS112において、表示部2bに搬送エラーを表示して、制御装置2の処理状況の表示が終了される。
【0092】
また、制御装置2においては、ステップS113において、データを受信したか否かが判断される。データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、データを受信した場合には、ステップS114において、オーダ情報を作成する。そして、ステップS115において、作成したオーダ情報を標本画像撮像装置1の制御部50に送信する。
【0093】
また、制御装置2は、ステップS116において、上記ステップS113で受信したデータ(記憶テーブル)に基づいて、図15に示す分析状況表示画面210の第1ID表示領域211、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216に、各位置(バーコード読取位置、撮像位置など)に位置するスライドガラス100と対応する各IDを表示する。また、バーコードの読取が失敗したスライドガラス100については、IDに代えて、エラー番号(図15に示す「ERR0…01」)を表示する。
【0094】
また、制御装置2においては、ステップS117において、標本画像撮像装置1から撮像画像データを受信したか否かが判断される。撮像画像データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、撮像画像データを受信した場合には、表示部2bの分析状況表示画面210の画像表示領域213に撮像画像が表示される。また、制御装置2においては、ステップS119において、撮像画像データに基づいて、分析(血球の分類)が行われる。また、ステップS120において、上記ステップS119における分析の分析結果が表示部2bの分析状況表示画面210の分析結果表示領域214に表示され、処理がリターンされる。この後、標本画像撮像装置1においてスライドガラス100が搬送される毎に、制御装置2において、シャットダウンが行われない場合(図17参照)、ステップS102の処理が行われる。
【0095】
血液像分析装置3では、図15に示した分析状況表示画面210から、ステップS11〜ステップS23およびステップS111〜ステップS120の処理を1回経ると、たとえば、図16に示す分析状況表示画面210となる。すなわち、1回の搬送動作により、4つのスライドガラス100が同期的に搬送されると、図15において第1ID表示領域211、第2ID表示領域212および第3ID表示領域215に表示されていたIDまたはエラー番号が、それぞれ、図16に示すように、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216に同期的に移動して表示される。また、図16においては、第1ID表示領域211に新たにバーコードを読み取られたスライドガラス100のIDが表示されている。このように、標本画像撮像装置1内のスライドガラス100の搬送状況に合わせて、制御装置2の表示部2bに標本画像撮像装置1内の4つのスライドガラス100のIDがそれぞれのスライドガラス100の位置と関連付けられてリアルタイムで表示される。
【0096】
本実施形態では、上記のように、センサ39a〜39c、45、61および62の検出結果に基づいて、バーコード読取位置60b、撮像位置、マガジン収納待機位置60dおよびマガジン300内にそれぞれ位置するスライドガラス100のIDが、それぞれ、分析状況表示画面210の第1ID表示領域211、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216に表示される。これによって、エラーなどによって装置が停止した場合に、ユーザは、各位置に関連付けて表示されたIDを分析状況表示画面210において確認することにより、各位置に位置するスライドガラス100のIDを認識することができる。これにより、停止した装置内において、目的のスライドガラス100を即座に探し出すことができる。したがって、装置が停止した場合にも、処理中であった装置内の所定のスライドガラス100に対してユーザが迅速に対応することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、バーコード読取位置60b、撮像位置、マガジン収納待機位置60dおよびマガジン300内にそれぞれ位置する4つのスライドガラス100の各IDが表示される第1ID表示領域211、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216の分析状況表示画面210における配置を、それぞれ、標本画像撮像装置1における各位置の平面的な配置と対応させることによって、ユーザは、目的のスライドガラス100がどの位置に位置しているかを分析状況表示画面210上で容易に認識することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、マガジン300に収納された複数のスライドガラス100の各IDの第4ID表示領域216における配置を、各スライドガラス100が収納されている収納部300cのマガジン300における配置と対応させることによって、ユーザは、分析状況表示画面210において、目的のスライドガラス100がマガジン300のどの収納部300cに収納されているのかを容易に認識することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、バーコード読取部20によるスライドガラス100のIDの取得が失敗した場合、IDに代えて、エラー番号を分析状況表示画面210の第1ID表示領域211、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216に表示することによって、ユーザは、分析状況表示画面210において、IDの取得が失敗したスライドガラス100がどの位置に位置するのかを認識することができる。
【0100】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0101】
たとえば、上記実施形態では、搬送路60に沿って設けられたスライド搬送機構10からなる1つの搬送部により、スライドガラス100を導入位置60aからバーコード読取位置60b、引き込み位置60c、マガジン収納待機位置60dおよびマガジン300内に移動させるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、導入位置から引き込み位置までスライドガラスを搬送するための搬送部と、引き込み位置からマガジン収納待機位置およびマガジン内に搬送するための搬送部との2つの搬送部を設けてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、搬送動作がエラーとなった場合に、表示部2bに搬送エラー表示を行なう例を示したが、本発明はこれに限らず、第1ID表示領域211、第2ID表示領域212、第3ID表示領域215および第4ID表示領域216に個別に搬送エラー表示を行なってもよい。たとえば、バーコード読取位置60bにスライドガラス100が到達せずに搬送エラーとなった場合には、バーコード読取位置60bに対応する第1ID表示領域211に搬送エラー表示を行なうようにしてもよい。このように構成すれば、ユーザは、分析状況表示画面210において、どの位置にスライドガラス100が搬送されていないために搬送エラーとなったのかを認識することができる。
【0103】
また、上記実施形態では、分析状況表示画面210に、標本画像撮像装置1内の4つの位置にそれぞれ位置するスライドガラス100のIDを表示した例を示したが、本発明はこれに限らず、5つ以上の位置、または、3つ以下の位置にそれぞれ位置するスライドガラス100のIDを表示するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態による血液像自動分析装置を含む標本画像撮像システムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した血液像自動分析装置の標本画像撮像装置を示す斜視図である。
【図3】図1に示した血液像自動分析装置を示すブロック図である。
【図4】図1に示した標本画像撮像システムに用いられるスライドガラスを示す平面図である。
【図5】図2に示した標本画像撮像装置の詳細を説明するための斜視図である。
【図6】図2に示した標本画像撮像装置の詳細を説明するための斜視図である。
【図7】図5に示した標本画像撮像装置を模式的に示す平面図である。
【図8】図5に示した標本画像撮像装置の側面図である。
【図9】図5に示した標本画像撮像装置の撮像部を模式的に示す斜視図である。
【図10】図9に示した撮像部のスライドチャックを矢印P方向から見た状態を示す側面図である。
【図11】図9に示した撮像部のスライドチャックを矢印Q方向から見た状態を示す側面図である。
【図12】図2に示した標本画像撮像装置のマガジン搬送機構部を示す斜視図である。
【図13】図12に示したマガジン搬送機構部の拡大斜視図である。
【図14】図13に示したマガジンおよびスライドガラスを示す斜視図である。
【図15】制御装置の表示部に表示される、標本画像撮像装置のスライドガラスの処理状況を表示するための分析状況表示画面を示す図である。
【図16】制御装置の表示部に表示される、標本画像撮像装置のスライドガラスの処理状況を表示するための分析状況表示画面を示す図である。
【図17】図1に示した血液像自動分析装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】図1に示した血液像自動分析装置のスライドガラスの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】記憶テーブルを示す概念図である。
【図20】搬送後の記憶テーブルを示す概念図である。
【符号の説明】
【0105】
2a 制御部
2b 表示部
3 血液像分析装置
10 スライド搬送機構(移動部)
20 バーコード読取部(識別情報取得部)
30 撮像部
31 スライドチャック(移動部)
39a〜39c、45、61、62 センサ(検出部)
40 マガジン搬送機構部(収納具セット部)
100 スライドガラス(標本)
210 分析状況表示画面(表示画面)
211 第1ID表示領域(識別情報表示領域)
212 第2ID表示領域(識別情報表示領域)
213 画像表示領域(撮像画像表示領域)
214 分析結果表示領域
215 第3ID表示領域(識別情報表示領域)
216 第4ID表示領域(識別情報表示領域)
300 マガジン(収納具)
300c 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を撮像して得られた血液像を分析する血液像分析装置であって、
前記標本を撮像するための撮像部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
外部から受け入れた前記標本を前記識別情報取得部および前記撮像部に移動させる移動部と、
前記標本の移動経路上の所定位置において前記標本を検出するための検出部と、
表示部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記所定位置に位置する前記標本の識別情報を前記所定位置と関連付けて表示する識別情報表示領域を含む表示画面を表示するように前記表示部を制御する制御部とを備える、血液像分析装置。
【請求項2】
前記識別情報表示領域は、前記移動経路における複数の前記所定位置の配置と対応する位置に複数表示され、
前記制御部は、前記複数の所定位置にそれぞれ位置する複数の前記標本の各識別情報を、それぞれ、前記複数の所定位置に対応する位置の前記複数の識別情報表示領域に表示するように前記表示部を制御する、請求項1に記載の血液像分析装置。
【請求項3】
前記複数の所定位置は、少なくとも、前記識別情報取得部により前記標本の識別情報の取得が行われる識別情報取得位置と、前記撮像部により前記標本の撮像が行われる撮像位置とを含む、請求項2に記載の血液像分析装置。
【請求項4】
前記撮像部において撮像された後の前記標本を収納するための収納具がセットされる収納具セット部と、
前記収納具セット部にセットされた前記収納具に収納された前記標本を検出するための収納検出部とをさらに備え、
前記複数の所定位置は、前記収納具セット部にセットされた前記収納具内に位置する収納位置をさらに含む、請求項3に記載の血液像分析装置。
【請求項5】
前記収納具は、1つの前記標本を収納可能な収納部を複数含み、
前記制御部は、前記収納具の複数の収納部にそれぞれ収納された複数の前記標本の各識別情報を、前記表示部の識別情報表示領域に表示される前記各識別情報の配置がそれぞれ前記収納具における前記複数の収納部の配置と対応するように表示するように前記表示部を制御する、請求項4に記載の血液像分析装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記収納具に前記標本を収納するために前記収納具の手前に位置する収納待機位置で前記標本を待機させるように構成されており、
前記複数の所定位置は、前記収納待機位置をさらに含む、請求項4または5に記載の血液像分析装置。
【請求項7】
前記表示画面は、前記標本の撮像画像を表示する撮像画像表示領域を含み、
前記撮像位置における前記撮像部による撮像中に、前記制御部は、撮像された前記標本の撮像画像データを取得するとともに、前記撮像部から取得した前記標本の撮像画像を前記撮像画像表示領域に表示するように前記表示部を制御する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の血液像分析装置。
【請求項8】
前記表示画面は、前記標本の分析結果を表示する分析結果表示領域を含み、
前記撮像位置における前記撮像部による撮像中に、前記制御部は、撮像された前記標本の撮像画像データを取得するとともに、前記撮像画像データに基づいて前記標本を分析し、かつ、前記標本の分析結果を分析結果表示領域に表示するように前記表示部を制御する、請求項3〜7のいずれか1項に記載の血液像分析装置。
【請求項9】
前記識別情報取得部による前記標本の識別情報の取得が失敗した場合に、前記制御部は、前記識別情報に代えて、前記識別情報の取得が失敗したことを示す取得エラー情報を前記表示画面の識別情報表示領域に表示するように前記表示部を制御する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の血液像分析装置。
【請求項10】
前記検出部の検出結果に基づいて、前記標本が前記所定位置に到達していないことを検出する異常検出手段をさらに備え、
前記異常検出手段によって前記標本が前記所定位置に到達していないことを検出した場合に、前記制御部は、前記標本の識別情報に代えて、前記所定位置に到達していないことを示す標本未到達表示を前記表示画面の識別情報表示領域に表示するように前記表示部を制御する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の血液像分析装置。
【請求項11】
標本を撮像して得られた血液像を分析する血液像分析装置であって、
前記標本を撮像するための撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記標本を収納する収納具をセットするための収納具セット部と、
外部から受け入れた前記標本を所定の中継位置に搬送するための第1搬送部と、
前記標本を前記中継位置から前記撮像部による撮像が行われる撮像領域内に搬送するとともに、再び前記撮像領域内から前記中継位置に搬送するための第2搬送部と、
前記撮像部により撮像された前記標本を前記中継位置から前記収納部セット部にセットされた前記収納具に搬送するための第3搬送部と、
前記第1搬送部、前記第2搬送部および前記第3搬送部において前記標本を検出するための標本検出手段と、
表示部と、
前記標本検出手段の検出結果に基づいて、前記標本が前記第1搬送部の搬送経路、前記第2搬送部の搬送経路および前記第3搬送部の搬送経路のいずれかに位置することを表示する標本位置表示領域を含む表示画面を表示するように前記表示部を制御する制御部とを備える、血液像分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−139117(P2008−139117A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324457(P2006−324457)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】