説明

衝撃吸収部材

【課題】取付部材を小型かつ低廉に製造するようにすることでコストを抑える。
【解決手段】ブロック体20に一面が露出するように埋め込まれる取付部材30は、取付孔34が貫通形成された本体部32に、該取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出する第1係止部36および第2係止部38を有する。第1係止部36は、突出端36aが本体部32の第1壁面32aから第2壁面32b側にずらして形成され、第2係止部38は、突出端38aが第2壁面32bから第1壁面32a側にずらして形成される。第1係止部36は、第2係止部38の第2壁面32b側から外して設けられると共に、第2係止部38は、第1係止部36の第1壁面32a側から外して設けられている。第1係止部36および第2係止部38は、本体部32の第1壁面32aに沿う面および第2壁面32bに沿う面の間に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発泡体からなるブロック体と、前記ブロック体に一面が露出するように埋め込まれる取付部材とを有する衝撃吸収部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体には、乗員室に座った乗員に対する様々な安全対策が施されており、例えば特許文献1に開示されるように、車体構成部材であるドアパネルと該ドアパネルの乗員室側に取り付けられるトリム(ドアトリム)との間に、車外からドアパネルに加わった衝撃を吸収するEA材(ブロック体)を備えた衝撃吸収部材が配設されている。前記EA材は、硬質ポリウレタン発泡体等からなり、ドアパネルとトリムとが対向する方向に貫通する取付孔を備え、トリムのドアパネル側に突設した樹脂製の各ロッド(取付棒)を対応する各取付孔へ挿通させ、該ロッドの先端を変形させて拡大部(取着部)を形成することで、当該EA材がトリムに固定される。なお、特許文献1に開示の衝撃吸収部材は、トリムに対するEA材の締結力の向上を図り、がたつきや異音が発生するのを防止するため、EA材とは別体に形成された筒状体(取付部材)を備えている。この筒状体は、EA材をトリムにセットした際に、前記ロッドに外装されると共に前記取付孔に内装され、前記拡大部に係着されるようになっている。
【0003】
また、図14および図15は、前記特許文献1に開示された筒状体とは別形態に構成された取付部材110が、EA材であるブロック体100に埋め込まれて装着された衝撃吸収部材EAを示している。取付部材110は、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる合成樹脂部品であって、取付孔112aを有する円筒状の筒体部112と、この筒体部112の両端に夫々設けられたフランジ部114,116とから構成される。そして取付部材110は、ブロック体100を発泡成形する際にインサート成形により該ブロック体100に装着され、ドアトリム12に臨む側に位置する一方のフランジ部116がブロック体100の内部に埋め込まれるのに対し、ドアパネル10に臨む側に位置する他方のフランジ部114がブロック体100の外部に露出するようになっている。そして、取付部材110の取付孔112aに取付棒14を挿通させてブロック体100をドアトリム12に仮セットし、取付棒14の先端を拡径変形して取着部16を形成して、取付棒14の取着部16を取付部材110のフランジ部114に係着させることで、衝撃吸収部材EAがドアトリム12に固定される。なお衝撃吸収部材EAは、取付部材110がブロック体100に予め装着されているので、前記特許文献1の衝撃吸収部材の如くブロック体100と取付部材110とを取付棒14へ別々にセットする必要がないから、ドアトリム12に対する固定作業を簡易に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−236319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された衝撃吸収部材は、EA材をトリムに固定する際に、該EA材と筒状体とをロッドへ別々にセットすることから、トリムに対する衝撃吸収部材の装着作業が面倒で煩わしい問題を内在している。しかも、筒状体をEA材の取付孔に内装する際に、筒状体によりEA材の該取付孔の周辺を破損させるおそれがあり、該EA材の一部が破片として脱落する虞がある。一方、図15に示す取付部材110は、筒体部112および該筒体部112より大径に成形されてブロック体100に埋め込まれるフランジ部116を備えた形状とすることで、相互接着性が低いブロック体100に対して脱落不能に装着される。しかし取付部材110は、筒状部112の両端に設けた各フランジ部114,116が該筒状部112の貫通方向で重なった所謂アンダーカット形状となるから、取付部材110を成形する成形型はスライド構造をなす複雑な型構成とならざるを得ない。取付部材110を成形する成形型の構造が複雑になると、該成形型の製作費用およびメンテナンス費用が大幅に嵩むため、該取付部材110のコストが高くなる。そして前記衝撃吸収部材EAは値段が高い取付部材110を複数個使用するから、該衝撃吸収部材EAのコストもアップしてしまう。更に、特許文献1に開示された筒状体および図15に示す取付部材110は、筒状部を有するためにサイズが大きくなり、成形に必要とされる樹脂材料の量が多くなって製造単価が高くなることも無視できない。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る衝撃吸収部材に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたもので、コストを抑え得る衝撃吸収部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、
発泡体からなるブロック体と、前記ブロック体に一面が露出するように埋め込まれる取付部材とを有する衝撃吸収部材において、
前記取付部材は、
第1壁面および該第1壁面と表裏の関係にある第2壁面に亘って貫通形成された取付孔を有する本体部と、
前記取付孔の貫通方向と交差する方向に突出するように前記本体部に設けられ、少なくとも突出端が第1壁面から第2壁面側へ該貫通方向にずらして形成された第1係止部と、
前記取付孔の貫通方向と交差する方向に突出するように前記本体部に設けられ、少なくとも突出端が第2壁面から第1壁面側へ該貫通方向にずらして形成された第2係止部とを備え、
前記第1係止部は、前記第2係止部の第2壁面側から外して設けられると共に、前記第2係止部は、前記第1係止部の第1壁面側から外して設けられ、
前記第1壁面が露出するように前記ブロック体に設けられた前記取付部材は、第1係止部の第1壁面側に位置する発泡体と該第1係止部とが前記貫通方向で重なるように該ブロック体に埋め込まれ、
前記第2壁面が露出するように前記ブロック体に設けられた前記取付部材は、第2係止部の第2壁面側に位置する発泡体と該第2係止部とが前記貫通方向で重なるように該ブロック体に埋め込まれることを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、第1壁面が露出するように取付部材がブロック体に埋め込まれた場合では、第1係止部が該第1係止部より第1壁面側に形成された発泡体と取付孔の貫通方向で重なるので、取付部材はブロック体から脱落することなく該ブロック体に装着される。また、第2壁面が露出するように取付部材がブロック体に埋め込まれた場合では、第2係止部が該第2係止部より第2壁面側に形成された発泡体と取付孔の貫通方向で重なるので、取付部材はブロック体から脱落することなく該ブロック体に装着される。従って取付部材は、第1壁面を露出させた状態でも第2壁面を露出させた状態でも、ブロック体に適切に装着した状態で保持される。そして、取付部材が予めブロック体に装着されるので、当該衝撃吸収部材の装着作業の簡易化を可能とする。また取付部材は、第1係止部および第2係止部が取付孔の貫通方向で重ならないので、該貫通方向で開閉する簡単な構成の成形型での成形が可能であり、取付部材のコストが抑えられることで衝撃吸収部材のコストを抑えることが可能である。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記第1係止部および第2係止部は、前記本体部における前記第1壁面に沿う面および第2壁面に沿う面の間に形成されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、第1係止部および第2係止部が、本体部における第1壁面に沿う面および第2壁面に沿う面より外方へ突出しないので、取付部材をコンパクトに構成することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記第1係止部および第2係止部は、前記取付孔の周方向に交互に配置されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、第1係止部および第2係止部が、取付孔の周方向に交互に配置されているので、ブロック体に対して取付部材を安定的に装着することができる。また、第1係止部および第2係止部が、取付孔の周方向に交互に配置されているので、該取付孔の貫通方向で重ならないようにすることができ、これにより本体部の厚みを小さくして取付部材の小型化が可能である。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記本体部は、前記取付孔の貫通方向を厚み方向とする板状に形成されたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、取付部材が板状に形成されるので、該取付部材を成形するのに必要な材料の量が少なくて済み、材料費が抑えられてコストを低減し得る。また、ブロック体の取付部材が埋め込まれた部分では、該取付部材の厚みが小さい分だけ発泡体の厚みが大きくなるから、取付部材の装着による該ブロック体の衝撃吸収効果の低下が小さく抑えられる。
【0012】
請求項5に係る発明は、
前記第1係止部は、前記本体部の外周縁から前記取付孔の貫通方向と交差する外方向へ、第1壁面側と比べて第2壁面側が突出するよう形成され、
前記第2係止部は、前記本体部の外周縁から前記取付孔の貫通方向と交差する外方向へ、第2壁面側と比べて第1壁面側が突出するよう形成されたことを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、第1係止部および第2係止部が、本体部の外周縁から取付孔の貫通方向と交差する外方向へ突出して設けられているので、本体部の外周縁がブロック体に保持され、取付部材は該ブロック体に適切に保持される。また、第1係止部および第2係止部が本体部の外周縁に形成されているので、本体を摘んで取り上げる際に外周部を把持しても滑り難く、よって取付部材が摘み易くなる。
【0013】
請求項6に係る発明は、
前記第1係止部は、前記取付孔の貫通方向に沿って前記本体部に貫通形成された孔の壁面を画成し、第1壁面側と比べて第2壁面側が孔の内側に向けて突出するよう形成され、
前記第2係止部は、前記取付孔の貫通方向に沿って前記本体部に貫通形成された孔の壁面を画成し、第2壁面側と比べて第1壁面側が孔の内側に向けて突出するよう形成されたことを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、第1係止部および第2係止部が、取付孔の貫通方向に沿って本体部に貫通形成された孔の壁面に該孔の内側に向けて突出するように形成されているので、取付部材がブロック体に適切に保持される。また、第1係止部および第2係止部が本体部の外側へ突出していないので、本体部が大型化することが防止される。
【0014】
請求項7に係る発明は、
前記第1係止部は、その突出端が前記第2壁面に沿う平面に揃えて設けられると共に、前記第2係止部は、その突出端が前記第1壁面に沿う平面に揃えて設けられることを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、第1係止部は、その突出端が本体部の第2壁面に沿う平面に揃えて設けられ、第2係止部は、その突出端が本体部の第1壁面に沿う平面に揃えて設けられているから、本体部の第1壁面と第2壁面との幅を小さくすることができ、取付部材の小型化を図りする。
【0015】
請求項8に係る発明は、
前記本体部の第1壁面および第2壁面における前記取付孔の外周部に、該取付孔に挿通された棒状の固定部材の先端に形成される取着部とかみ合い可能な嵌合部が設けられたことを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、固定部材に形成された取着部と取付部材に形成された嵌合部とがかみ合うので、固定部材と取付部材とが適切に固定される。
【0016】
請求項9に係る発明は、
前記取付部材は、前記第1壁面側と第2壁面側とが同じ形状になるように前記第1係止部および第2係止部が設けられることを要旨とする。
従って、請求項9に係る発明によれば、取付部材は、第1壁面側と第2壁面側とが同じ形状となっているから、第1壁面が露出するようにブロック体に埋め込まれても、第2壁面が露出するようにブロック体に埋め込まれても、全く同じ形態でブロック体に保持され、ブロック体への装着向きによる装着力の違いが発生しない。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る衝撃吸収部材によれば、取付部材が小型かつ低廉に製造されるので、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ブロック体および取付部材からなる第1実施例の衝撃吸収部材を示す斜視図である。
【図2】第1実施例の衝撃吸収部材における取付部材を装着した部分を示す部分正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】第1実施例における取付部材の全体形状を示す斜視図である。
【図5】(a)は、第1実施例における取付部材を示す正面図であり、(b)は、(a)のVb−Vb線断面図であり、(c)は、(a)のVc−Vc線断面図である。
【図6】第1実施例における取付部材を成形する成形型を示す説明図である。
【図7】(a)は、ブロック体を発泡成形する発泡型の第1発泡型に取付部材をセットする状態を示す説明図であり、(b)は、第1発泡型と第2発泡型を型閉めして取付部材を保持したもとでブロック体を発泡成形する状態を示す説明図である。
【図8】第2実施例の衝撃吸収部材における取付部材を装着した部分を示す部分正面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】第2実施例における取付部材の全体形状を示す斜視図である。
【図11】(a)は、第2実施例における取付部材を示す正面図であり、(b)は、(a)のXIb−XIb線断面図、(c)は、(a)のXIc−XIc線断面図である。
【図12】取付部材に設けられる第1係止部および第2係止部の別形態例を示す説明断面図であって、(a)は、凸面状としたものを示し、(b)は、凹面状としたものを示し、(c)は、階段状としたものを示している。
【図13】取付部材に設けられる第1係止部および第2係止部の別形態例を示す説明図である。
【図14】ドアパネルとドアトリムとの間に配設された従来の衝撃吸収部材を示す平断面図である。
【図15】従来の衝撃吸収部材に装着した取付部材を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る衝撃吸収部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0020】
(第1実施例)
図3に示すように、第1実施例に係る衝撃吸収部材EA1は、図14に示す従来の衝撃吸収部材EAと同様に、ドアトリム(車両内装部材)12の外面に取り付けられて、ドアトリム12と該ドアトリム12の外側に配置されたドアパネル(車体構成部材)10との間に配置される。第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、発泡体からなるブロック体20と、このブロック体20に外面から露出するように装着され、ドアトリム12に対してブロック体20を安定的に固定させる取付部材30とから基本的に構成されている。第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、ブロック体20における上側の両角部とブロック体20における下側の中央部の合計3つの挿通孔22が形成されており、各挿通孔22のドアパネル10側に取付部材30が配設されている(図1参照)。なお取付部材30は、ブロック体20の発泡成形と同時に該ブロック体20に装着される。
【0021】
ブロック体20を構成する発泡体としては、ポリウレタンやオレフィン系等の発泡体を用いることができ、実施例では硬質ポリウレタンが採用されている。また衝撃吸収部材EA1は、ブロック体20におけるドアトリム12に対向する面(内面)が略平坦に形成される一方、ブロック体20における挿通孔22の形成部分がドアパネル10に対向する側から凹むように形成されている。従って各取付部材30は、ブロック体20のドアパネル10に対する側から凹んだ部位に取り付けられている(図2、図3参照)。なおブロック体20には、ドアパネル10に対向する面(外面)に金属製の薄い板部材(図示せず)が取り付けられ、ドアパネル10の外側から衝撃吸収部材EAに加わった荷重を、板部材を介してブロック体20の全体で受容するようになっている。
【0022】
第1実施例の取付部材30は、図4および図5に示すように、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる合成樹脂部品であって、円形で板状の平ワッシャ形態をなす本体部32を主体としている。この本体部32は、厚み方向に貫通する取付孔34が中央に形成されて、厚み方向で表裏の関係にある第1壁面32aおよび第2壁面32bに該取付孔34が開口している。この取付孔34には、図2および図3に示すように、ドアトリム12に設けた取付棒14が挿通し得るようになっている。そして、第1実施例の取付部材30は、第1壁面32a側と第2壁面32b側とが同じ形状となるように形成されており、厚み方向において周方向へ45°ずれて対称となる同じ形状に形成されている。なお取付孔34は、前記挿通孔22より小径に設定されている(図3参照)。
【0023】
第1実施例の取付部材30は、図4および図5に示すように、本体部32の外周縁において、取付孔34の貫通方向で対向する第1壁面32aと第2壁面32bとの間に、第1係止部36および第2係止部38が設けられている。第1係止部36は、取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部32に設けられ、最大に突出する突出端36aが、少なくとも貫通方向で第1壁面32aから第2壁面32b側にずらして形成されている。すなわち第1係止部36は、本体部32の外周縁において該本体部32の周方向へ延在し、第1壁面32aから第2壁面32bに近づくにつれて取付孔34から離間する径方向外側(外方向)へ傾斜し、突出端36aを第2壁面32bに沿う平面に揃えた傾斜状に形成されている。また第2係止部38は、取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部32に設けられ、最大に突出する突出端38aが、少なくとも貫通方向で第2壁面32bから第1壁面32a側にずらして形成されている。すなわち第2係止部38は、本体部32の外周縁において該本体部32の周方向へ延在し、第2壁面32bから第1壁面32aに近づくにつれて取付孔34から離間する径方向外方側(該方向)へ傾斜し、突出端38aが第1壁面32aに沿う平面に揃えた傾斜状に形成されている。従って、第1係止部36および第2係止部38は、取付孔34の貫通方向において第1壁面32aに沿う面および第2壁面32bに沿う面の間に位置し、第1壁面32aおよび第2壁面32bから外方へ突出していない(図5(b),(c)参照)。
【0024】
前記第1係止部36および第2係止部38は、図4および図5(a)に示すように、本体部32の外周縁において周方向へ交互に設けられており、第1実施例では4つの第1係止部36と4つの第2係止部38とが取付孔34を囲んで交互に設けられている。そして、各第1係止部36は、各第2係止部38の第2壁面32b側から外して設けられていると共に、各第2係止部38は、各第1係止部36の第1壁面32a側から外して設けられている。従って、第1実施例の取付部材30は、各第1係止部36および各第2係止部38が取付孔34の貫通方向で重なっておらず、該貫通方向で第1壁面32a側においてアンダーカット形状となる部分がないと共に、第2壁面32b側においてもアンダーカット形状となる部分がない。
【0025】
また、第1実施例の取付部材30は、図4および図5に示すように、本体部32における第1壁面32aの取付孔34に隣接する部位に、該第1壁面32aの外面から凹む4個の嵌合部40が、周方向へ90°毎に形成されている。更に、本体部32における第2壁面32bの取付孔34に隣接する部位に、該第2壁面32bの外面から凹む4個の嵌合部40が、周方向へ90°毎に形成されている。第1壁面32aに設けた各嵌合部40および第2壁面32bに設けた各嵌合部40は、取付孔34に貫通された前記取付棒14の先端を拡径変形して形成される前記取着部16とかみ合い可能となっている。なお、第1壁面32aに設けられる嵌合部40および第2壁面32bに設けられる嵌合部40の配設数は、4個に限定されるものではなく、少なくても各壁面32a,32bに1個以上ずつあればよい。
【0026】
なお、第1実施例の取付部材30は、例えば本体部32の外径が20mm、本体部32の厚みが2〜3mm、取付孔34の直径が8mm、本体部32の径方向での第1係止部36および第2係止部38の幅が2〜3mmに設定されている。
【0027】
第1実施例の取付部材30は、前述した如く、取付孔34の貫通方向において、第1壁面32a側においてアンダーカット形状となる部分がないと共に第2壁面32b側においてもアンダーカット形状となる部分がないから、図6(a)に示すような相互に開閉可能な第1成形型82および第2成形型84からなる簡単な構成の成形型80でインジェクション成形が可能である。すなわち成形型80は、取付部材30の成形後に取付孔34の貫通方向で型開きが可能であるから、複雑で製作費用が嵩むスライド構造をなす複雑な型構成とする必要がない。従って取付部材30は、安価に製作された前記成形型80で成形し得るので、コストが抑えられて低廉に成形され得る。しかも取付部材30は、平ワッシャ形態の板状に形成されるため、成形に必要とされる樹脂材料の使用量も少なくて済み、これにより材料費が抑えられて更にコストが抑えられる。また、第1係止部36と第2係止部38とが取付孔34の貫通方向で重なっていないので、該本体部32の厚みを最小限とすることができる。更に、第1係止部36および第2係止部38が、取付孔34の貫通方向で本体部32の第1壁面32aおよび第2壁面32bより外方へ突出しないので、取付部材30がコンパクトに構成される。
【0028】
第1実施例の取付部材30は、図7に示すように、ブロック体20の発泡成形に際し、該ブロック体20を成形する発泡型90における第1発泡型92に形成された下型面92Aおよび第2発泡型94に形成した上型面94Aで挟持された状態でセットされる。すなわち取付部材30は、発泡型90の下型面92Aに突設したピン状のセット部92Bを取付孔34に挿通してセットされ(図7(a))、前記挿通孔22を形成するために上型面94Aに突設した突部94Bで支持される(図7(b))。なお、前述したように、第1実施例の取付部材30は、図7のように第1壁面32aを下型面92Aに対向させた姿勢でセットしてもよいし、第2壁面32bを下型面92Aに対向させた姿勢でセットしてもよいから、セット部92Bに対するセット時に向きを確認する必要がなくて発泡型90へのセット作業を簡易に行ない得る。また、第1係止部36および第2係止部38が本体部32の外周縁に形成されているので、前記発泡型90に取付部材30をセットする際に本体部32の外周縁を把持することで、第1係止部36および第2係止部38が指先に引掛かるので滑り難くて摘み易い。そして、第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、ブロック体20の発泡成形と同時に取付部材30を該ブロック体20に予め装着できるので、ドアトリム12に対する当該衝撃吸収部材EA1の装着作業の簡易化を可能とする。
【0029】
第1実施例の取付部材30は、第1壁面32aがブロック体20の外面に露出した姿勢で該ブロック体20に装着した状態と、第2壁面32bがブロック体20の外面に露出した姿勢で該ブロック体20に装着した状態とが、全く同じ形態となる。すなわち取付部材30は、図2および図3に示すように、第1壁面32aがブロック体20の外面に露出した姿勢で該ブロック体20に埋め込まれると、第1係止部36が該第1係止部36より第1壁面32a側に形成された発泡体と取付孔34の貫通方向で重なっているから、該取付部材30がブロック体20から脱落し難くなる。また取付部材30は、第2壁面32bがブロック体20の外面に露出した姿勢で該ブロック体20に埋め込まれると、第2係止部38が該第2係止部38より第2壁面32b側に形成された発泡体と取付孔34の貫通方向で重なっており、該取付部材30がブロック体20から脱落し難い。従って、第1実施例の取付部材30は、第1壁面32aが露出するようにブロック体20に埋め込まれても、第2壁面32bが露出するようにブロック体20に埋め込まれても、全く同じ形態でブロック体20に保持され、装着時の向きによる装着力の違いが発生しない。しかも、第1係止部36および第2係止部38が本体部32の外周縁に周方向へ交互に設けられているので、本体部32の外周縁の全体が均等にブロック体20に保持されて、取付部材30はブロック体20に適切に保持される。また、各第1係止部36の突出端36aが第2壁面32bに沿う平面に揃えて設けられると共に各第2係止部38の突出端38aが第1壁面32aに沿う平面に揃えて設けられており、第1係止部36および第2係止部38が取付孔34の周方向に交互に配置されて該取付孔34の貫通方向で重なっていないので、本体部32の厚みを小さくして取付部材30の小型化が可能である。
【0030】
前記取付部材30をブロック体20に装着して構成された第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、該取付部材30が板状に形成されて厚みが小さいから、図3から明らかなように、ブロック体20の取付部材30が装着された部分においても発泡体の厚みが充分に確保されており、取付部材30の装着による該ブロック体20の衝撃吸収効果の低下が最小限に抑えられる。すなわち、第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、ブロック体20に外力が加わった際に、取付部材30が装着された部分においても適切な衝撃吸収性能が発揮され得る。
【0031】
第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、次のようにしてドアトリム12の外面に固定される。先ず、ドアトリム12の外面に突設した各取付棒14を、ブロック体20に形成した各挿通孔22および取付部材30の取付孔34に挿通させ、該ブロック体20を該ドアトリム12の外面に仮セットする。そして、各取付棒14の取付部材30から突出した先端を、加熱しながら押し潰して拡径変形することで取着部16を形成し、取付孔34の内径より大径に形成された取着部16を取付部材30に係着する。ここで、第1係止部36および第2係止部38がブロック体20に楔状に食い込んでいると共に、本体部32に形成された前記嵌合部40と取着部16とが凹凸状にかみ合っているので、取付部材30は取付棒14を中心とする周方向への回転が規制され、第1実施例の衝撃吸収部材EA1はドアトリム12に対して堅固に保持される。また、前記取付孔34が前記挿通孔22に整合すると共に、該取付孔34が該挿通孔22より小径に形成されているので、取付棒14が挿通孔22の内壁に接触することが防止され、取付棒14とブロック体20との接触により該ブロック体20から粉や破片が脱落することが防止される。
【0032】
そして、第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、低廉に成形された前記取付部材30を複数使用するので、コストが抑えられる。しかも、第1実施例の衝撃吸収部材EA1は、ブロック体20の発泡成形と同時に取付部材30を該ブロック体20に予め装着するので、取付部材30を取付棒14に装着する作業を不要とし、ドアトリム12に対する当該衝撃吸収部材EA1の装着作業の簡易化を可能とする。
【0033】
(第2実施例)
図8は、第2実施例の衝撃吸収部材EA2における取付部材60を装着した部位を示す部分正面図であり、図9は、図8のIX−IX線断面図である。第2実施例の衝撃吸収部材EA2は、発泡体からなるブロック体50と、このブロック体50に外面から露出するように装着され、ドアトリム12に対してブロック体50を安定的に固定させる取付部材60とから基本的に構成されている。取付部材60は、ブロック体50の発泡成形と同時に該ブロック体50に装着される。なおブロック体50は、前記第1実施例の衝撃吸収部材EA1のブロック体20と同一であり、ここでは説明を省略する。
【0034】
第2実施例の取付部材60は、図10および図11に示すように、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる合成樹脂部品であって、円形で板状の平ワッシャ形態をなす本体部62を主体としている。この本体部62は、厚み方向に貫通する取付孔64が中央に形成されて、厚み方向で表裏関係にある第1壁面62aおよび第2壁面62bに該取付孔64が開口している。この取付孔64には、ドアトリム12に設けた取付棒14が挿通し得るようになっている。そして、第2実施例の取付部材60は、第1壁面62a側と第2壁面62b側とが同じ形状に形成されており、厚み方向で周方向へ45°ずれて対称となる同じ形状に形成されている。なお取付孔34は、前記挿通孔22より小径に設定されている(図9参照)。
【0035】
第2実施例の取付部材60は、図10および図11に示すように、本体部62において、取付孔64の貫通方向で対向する第1壁面62aと第2壁面62bとの間に、第1係止部66および第2係止部68が設けられている。第1係止部66は、本体部62における取付孔64の周囲において該本体部62に貫通形成された孔の壁面を画成し、取付孔64の貫通方向と交差する方向に突出するように前記本体部62に設けられ、最大に突出する突出端66aが、少なくとも貫通方向で第1壁面62aから第2壁面62b側にずらして形成されている。すなわち第1係止部66は、第1壁面62a側に比べて第2壁面62b側が孔の内側に突出し、突出端66aが第2壁面62bに沿う平面に揃えて設けられ、第2壁面62bから第1壁面62aに向けて拡開する円錐状に形成されている。また第2係止部68は、本体部62における取付孔64の周囲において該本体部62に貫通形成された孔の壁面を画成し、取付孔64の貫通方向と交差する方向に突出するように前記本体部62に設けられ、最大に突出する突出端68aが、少なくとも貫通方向で第2壁面62bから第1壁面62a側にずらして形成されている。すなわち第2係止部68は、第2壁面62b側に比べて第1壁面62a側が孔の内側に突出し、突出端68aが第1壁面62aに沿う平面に揃えて設けられ、第1壁面62aから第2壁面62bに向けて拡開する円錐状に形成されている。従って、第1係止部66および第2係止部68は、取付孔64の貫通方向において第1壁面62aに沿う面および第2壁面62bに沿う面の間に位置し、第1壁面62aおよび第2壁面62bから外方へ突出していない(図11(b),(c)参照)。
【0036】
前記第1係止部66および第2係止部68は、図10および図11(a)に示すように、本体部62における取付孔64の周囲に、4つの第1係止部66および4つの第2係止部68が、該取付孔64を中心として周方向へ交互に設けられている。そして、各第1係止部66は、各第2係止部68の第2壁面62b側から外れて設けられていると共に、各第2係止部68は、各第1係止部66の第1壁面62a側から外れて設けられている(図11(a)参照)。従って、第2実施例の取付部材60は、各第1係止部66および各第2係止部68が取付孔64の貫通方向で重なっておらず、該貫通方向で第1壁面62a側においてアンダーカット形状となる部分がないと共に、第2壁面62b側においてもアンダーカット形状となる部分がない。
【0037】
また、第2実施例の取付部材60は、図4および図5に示すように、本体部62における第1壁面62aの取付孔64に隣接する部位に、該第1壁面62aの外面から突出する4個の嵌合部70が、周方向へ90°毎に形成されている。更に、本体部62における第2壁面62bの取付孔64に隣接する部位に、該第2壁面62bの外面から突出する4個の嵌合部70が、周方向へ90°毎に形成されている。第1壁面62aに設けた各嵌合部70および第2壁面62bに設けた各嵌合部70は、取付孔64に貫通された前記取付棒14の先端を拡径変形して形成される前記取着部16とかみ合い可能となっている。なお、第1壁面62aおよび第2壁面62bに設けられる嵌合部70の配設数は、4個に限定されるものではなく、少なくても各壁面62a,62bに1個以上ずつあればよい。
【0038】
なお、第2実施例の取付部材60は、例えば本体部62の外径が20mm、本体部62の厚みが2〜3mm、取付孔64の直径が8mm、第1係止部66の第1壁面62a側の開口が直径6mmで第2壁面62b側の開口が3mm、第2係止部68の第2壁面62b側の開口が直径6mmで第1壁面62a側の開口が3mmに設定されている。
【0039】
第2実施例の取付部材60は、前述した如く、取付孔64の貫通方向において、第1壁面62a側においてアンダーカット形状となる部分がないと共に第2壁面62b側においてもアンダーカット形状となる部分がないから、前記第1実施例の取付部材30と同様に、安価に製作された成形型で成形し得るので、コストが抑えられて低廉に成形され得る。しかも取付部材60は、平ワッシャ形態の板状に形成されるため、成形に必要とされる樹脂材料の使用量も少なくて済み、これにより材料費が抑えられて更にコストが抑えられる。また、第1係止部66と第2係止部68とが取付孔64の貫通方向で重なっていないので、該本体部62の厚みを小さくして取付部材60の小型化が可能である。更に、第1係止部66および第2係止部68が、取付孔64の貫通方向で本体部62より外方へ突出しないので、取付部材60がコンパクトに構成される。
【0040】
第2実施例の取付部材60は、第1壁面62aがブロック体50の外面に露出した姿勢で該ブロック体50に埋め込まれると、第1係止部66が該第1係止部66より第1壁面62a側に形成された発泡体と取付孔64の貫通方向で重なっているから、該取付部材60がブロック体50から脱落し難くなる。また取付部材60は、第2壁面62bがブロック体50の外面に露出した姿勢で該ブロック体50に埋め込まれると、第2係止部68が該第2係止部68より第2壁面62b側に形成された発泡体と取付孔64の貫通方向で重なっており、該取付部材60がブロック体50から脱落し難い。従って、第2実施例の取付部材60は、第1壁面62aが露出するようにブロック体50に埋め込まれても、第2壁面62bが露出するようにブロック体50に埋め込まれても、全く同じ形態でブロック体50に保持され、装着時の向きによる装着力の違いが発生しない。しかも、第1係止部66および第2係止部68が、本体部62における取付孔64の周囲において、該取付孔64を中心とした周方向へ交互に設けられているので、本体部62の全体が均等にブロック体50に保持されて、取付部材60はブロック体50に適切に保持される。そして、各第1係止部66の突出端66aが第2壁面62bに沿う平面に揃えて設けられると共に各第2係止部68の突出端68aが第1壁面62aに沿う平面に揃えて設けられており、第1係止部66および第2係止部68が取付孔64の周方向に交互に配置されて該取付孔64の貫通方向で重なっていないので、本体部62の厚みを小さくして取付部材60の小型化が可能である。特に、第2実施例の取付部材60は、第1係止部66および第2係止部68が本体部62に貫通した孔の壁面を画成するものであるから、外形サイズが大きくならない特有の効果がある。
【0041】
前記取付部材60をブロック体50に装着して構成された第2実施例の衝撃吸収部材EA2は、該取付部材60が板状に形成されて厚みが小さいから、図9から明らかなように、ブロック体50の取付部材60が装着された部分においても発泡体の厚みが充分に確保されており、取付部材60の装着による該ブロック体50の衝撃吸収効果の低下が最小限に抑えられる。すなわち、第2実施例の衝撃吸収部材EA2は、ブロック体50に外力が加わった際には、取付部材60が装着された部分においても適切な衝撃吸収性能が発揮される。
【0042】
そして、第2実施例の衝撃吸収部材EA2は、低廉に成形された前記取付部材60を複数使用するので、コストが抑えられる。しかも、第2実施例の衝撃吸収部材EA2は、ブロック体50の発泡成形と同時に取付部材60を該ブロック体50に予め装着するので、取付部材60を取付棒14に装着する作業を不要とし、ドアトリム12に対する当該衝撃吸収部材EA2の装着作業の簡易化を可能とする。
【0043】
(変更例)
本発明は、前記各実施例の構成に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1)第1実施例および第2実施例では、第1係止部36,66を、前記第1壁面32a,62aから第2壁面32b,62bに近づくにつれて傾斜する傾斜状とした場合を例示したが、第1係止部36,66は、第1壁面32a,62aから第2壁面32b,62bに近づくにつれて外方へ湾曲する凸面状(図12(a))、第1壁面32a,62aから第2壁面32b,62bに近づくにつれて内方へ湾曲する凹面状(図12(b))、第1壁面32a,62aから第2壁面32b,62bに近づくにつれて段差を設けた階段状(図12(c))等に形成してもよい。同様に、第2係止部38,68は、第2壁面32b,62bから第1壁面32a,62aに近づくにつれて外方へ湾曲する凸面状、第2壁面32b,62bから第1壁面32a,62aに近づくにつれて内方へ湾曲する凹面状、第2壁面32b,62bから第1壁面32a,62aに近づくにつれて段差を設けた階段状等に形成してもよい。
【0044】
(2)第1係止部および第2係止部は、第1係止部を第2係止部の第2壁面側から外して設けると共に、第2係止部を第1係止部の第1壁面側から外して設けることを前提として、取付孔の周方向で重ならないようにすれば、図13(a)〜(c)に示すように、該取付孔の貫通方向で重ねて配置してもよい。
図13(a)に示す取付部材30では、第1係止部36が、取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部32に設けられ、少なくとも突出端36aが第1壁面32aから第2壁面32b側へ該貫通方向にずらした傾斜状に形成されている。また第2係止部38は、取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部32に設けられ、少なくとも突出端38aが第2壁面32bから第1壁面32a側へ該貫通方向にずらした傾斜状に形成されている。そして、第1係止部36は第2係止部38の第2壁面32b側から外して設けられると共に、第2係止部38は第1係止部36の第1壁面32a側から外して設けられている。
図13(b)に示す取付部材30では、第1係止部36が、取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部32に設けられ、少なくとも突出端36aが第1壁面32aから第2壁面32b側へ該貫通方向にずらした平坦状に形成されている。また第2係止部38は、取付孔34の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部32に設けられ、少なくとも突出端38aが第2壁面32bから第1壁面32a側へ該貫通方向にずらした平坦状に形成されている。そして、第1係止部36は第2係止部38の第2壁面32b側から外して設けられると共に、第2係止部38は第1係止部36の第1壁面32a側から外して設けられている。
図13(c)に示す取付部材60では、第1係止部66が、取付孔64の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部62に設けられ、少なくとも突出端66aが第1壁面62aから第2壁面62b側へ該貫通方向にずらした傾斜状に形成されている。また第2係止部68は、取付孔64の貫通方向と交差する方向に突出するように本体部62に設けられ、少なくとも突出端68aが第2壁面62bから第1壁面62a側へ該貫通方向にずらした傾斜状に形成されている。そして、第1係止部66は第2係止部68の第2壁面62b側から外して設けられると共に、第2係止部68は第1係止部66の第1壁面62a側から外して設けられている。
なお、図13(a)および図13(b)では、第1係止部36および第2係止部38を、本体部32の外周縁に断続的に形成した形態を例示しているが、第1係止部36および第2係止部38は、周方向で重なっていないので、外周縁全周に亘って形成することも可能である。
【0045】
(3)取付部材の本体部は、各実施例に示した円形の板状に限定されず、楕円形状や多角形状であってもよい。また本体部は、板状に限定されず、厚み方向(取付孔の貫通方向)の寸法を大きくしたブロック形状であってもよい。
(4)取付部材の本体部に形成した挿通孔は、各実施例に示した円形に限定されず、長円形や、四角形や五角形等の多角形であってもよい。
(5)第2実施例では、第1係止部および第2係止部を円錐形状で例示したが、これら第1係止部および第2係止部は、多角錐形状であってもよい。
(6)第1係止部および第2係止部は、本体部の外周縁または該本体部の取付孔の周囲において交互に配置しなくてもよく、例えば第1係止部および第2係止部を2個ずつ交互に配置するようにしてもよい。また、第1係止部および第2係止部の配設数は、各実施例に示した4個に限定されるものではなく、第1係止部および第2係止部の各々が1個以上ずつあれば、ブロック体に固定することができる。
(7)第1係止部および第2係止部は、取付部材が厚さ方向の寸法規制がなければ、取付孔の貫通方向で第1壁面に沿う面および第2壁面に沿う面から外方へ突出するように形成してもよい。
(8)取付部材は、第1実施例の第1係止部および第2係止部と第2実施例の第1係止部および第2係止部との両方を兼備したものであってもよい。
(9)第1実施例の取付部材に対して第2実施例の取付部材に実施した凸状の嵌合部を実施してもよいし、第2実施例の取付部材に対して第1実施例の取付部材に実施した凹状の嵌合部を実施してもよい。また、凸状の嵌合部および凹状の嵌合部の両方を併用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
14 取付棒、16 取着部、20,50 ブロック体、30,60 取付部材
32,62 本体部、32a,62a 第1壁面、32b,62b 第2壁面
34,64 取付孔、36,66 第1係止部、36a,66a 突出端
38,68 第2係止部、38a,68a 突出端、40,70 嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体からなるブロック体と、前記ブロック体に一面が露出するように埋め込まれる取付部材とを有する衝撃吸収部材において、
前記取付部材は、
第1壁面および該第1壁面と表裏の関係にある第2壁面に亘って貫通形成された取付孔を有する本体部と、
前記取付孔の貫通方向と交差する方向に突出するように前記本体部に設けられ、少なくとも突出端が第1壁面から第2壁面側へ該貫通方向にずらして形成された第1係止部と、
前記取付孔の貫通方向と交差する方向に突出するように前記本体部に設けられ、少なくとも突出端が第2壁面から第1壁面側へ該貫通方向にずらして形成された第2係止部とを備え、
前記第1係止部は、前記第2係止部の第2壁面側から外して設けられると共に、前記第2係止部は、前記第1係止部の第1壁面側から外して設けられ、
前記第1壁面が露出するように前記ブロック体に設けられた前記取付部材は、第1係止部の第1壁面側に位置する発泡体と該第1係止部とが前記貫通方向で重なるように該ブロック体に埋め込まれ、
前記第2壁面が露出するように前記ブロック体に設けられた前記取付部材は、第2係止部の第2壁面側に位置する発泡体と該第2係止部とが前記貫通方向で重なるように該ブロック体に埋め込まれる
ことを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記第1係止部および第2係止部は、前記本体部における前記第1壁面に沿う面および第2壁面に沿う面の間に形成される請求項1記載の衝撃吸収部材。
【請求項3】
前記第1係止部および第2係止部は、前記取付孔の周方向に交互に配置される請求項1または2記載の衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記本体部は、前記取付孔の貫通方向を厚み方向とする板状に形成された請求項1〜3の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項5】
前記第1係止部は、前記本体部の外周縁から前記取付孔の貫通方向と交差する外方向へ、第1壁面側と比べて第2壁面側が突出するよう形成され、
前記第2係止部は、前記本体部の外周縁から前記取付孔の貫通方向と交差する外方向へ、第2壁面側と比べて第1壁面側が突出するよう形成された請求項1〜4の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項6】
前記第1係止部は、前記取付孔の貫通方向に沿って前記本体部に貫通形成された孔の壁面を画成し、第1壁面側と比べて第2壁面側が孔の内側に向けて突出するよう形成され、
前記第2係止部は、前記取付孔の貫通方向に沿って前記本体部に貫通形成された孔の壁面を画成し、第2壁面側と比べて第1壁面側が孔の内側に向けて突出するよう形成された請求項1〜5の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項7】
前記第1係止部は、その突出端が前記第2壁面に沿う平面に揃えて設けられると共に、前記第2係止部は、その突出端が前記第1壁面に沿う平面に揃えて設けられる請求項1〜6の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項8】
前記本体部の第1壁面および第2壁面における前記取付孔の外周部に、該取付孔に挿通された棒状の固定部材の先端に形成される取着部とかみ合い可能な嵌合部が設けられた請求項1〜7の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項9】
前記取付部材は、前記第1壁面側と第2壁面側とが同じ形状になるように前記第1係止部および第2係止部が設けられる請求項1〜8の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−63002(P2012−63002A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210145(P2010−210145)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】