説明

衝突回避支援装置

【課題】 運転者の衝突回避行動に応じた適切な衝突回避支援を実現できる衝突回避支援装置を提供する。
【解決手段】 衝突回避支援装置は、自車速Vを検出する車速センサ1と、障害物のX方向(自車進行方向に対し横切る方向)への動きである障害物移動状態(移動速度Vp)を検出するレーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6と、自車速Vと障害物移動状態(移動速度Vp)とに基づいて、制動回避制御と操舵回避制御の重み付けを設定する重み付け設定部11aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突回避支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の衝突回避支援装置では、自車速と障害物との距離とに基づいて当該障害物との衝突可能性を予測し、衝突可能性が高い場合には制動制御による衝突回避支援を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−53384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、障害物の自車進行方向に対し横切る方向への動きを考慮しておらず、さらに制動制御のみの衝突回避支援であるため、特に自車前方を横切る歩行者等の障害物に対して、運転者の衝突回避行動に応じた適切な衝突回避支援を実現できないという問題があった。
本発明の目的は、運転者の衝突回避行動に応じた適切な衝突回避支援を実現できる衝突回避支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車前方の障害物に対し制動制御により衝突回避支援を行う制動回避制御と操舵制御により衝突回避支援を行う操舵回避制御との重み付けを、自車速と障害物の自車進行方向に対し横切る方向への動きとに基づいて設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、制動回避制御の重み付けと操舵回避制御の重み付けを自車速と障害物の動きとに応じて最適化できるため、運転者の衝突回避行動に応じた適切な衝突回避支援を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の衝突回避支援装置のシステム構成図である。
【図2】実施例1の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施例2の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例3の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例4の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例4の衝突回避支援制御作用を示す説明図である。
【図7】実施例5の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例6の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例6の(a)自車速Vに応じた制御ゲインGB設定マップ、(b)移動速度Vpに応じた制御ゲインGθ設定である。
【図10】実施例6の(a)自車速Vに応じた制御介入閾値B1設定マップ、(b)自車速Vに応じた制御介入閾値θ1設定マップである。
【図11】実施例6の(a)移動速度Vpに応じた制御介入閾値B1設定マップ、(b)移動速度Vpに応じた制御介入閾値θ1設定マップである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の衝突回避支援装置を実施するための形態を、図面に示す各実施例に基づいて説明する。
【0009】
〔実施例1〕
[システム構成]
図1は、実施例1の衝突回避支援装置のシステム構成図である。
実施例1の衝突回避支援装置は、車速センサ(車速検出手段)1、操舵角センサ2、ブレーキペダルセンサ3、レーザレーダ4、カメラ5、画像処理装置6、照度センサ(照度検出手段)7、リモコンキー(運転者年齢検出手段)8、操舵アクチュエータ9、ブレーキアクチュエータ10および車両制御コントローラ11を備える。
【0010】
車速センサ1は、自車の走行速度(自車速)を検出する。操舵角センサ2は、ハンドルの操舵角を検出する。ブレーキペダルセンサ3は、運転者のブレーキペダル操作量を検出する。レーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6は、自車前方の所定範囲内に存在する障害物を検出すると共に、当該障害物の状態(自車進行方向および自車進行方向に対し横切る方向における相対位置、相対速度等)を検出および演算する。レーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6は、障害物の自車進行方向に対し横切る方向への動きである障害物移動状態を検出する障害物移動状態検出手段に相当する。以下、自車進行方向をY方向、自車進行方向に対し横切る方向(例えば、Y方向と直交する方向)をX方向とも言う。
照度センサ7は、自車周囲の明るさ(照度)を検出する。リモコンキー8は、車両外部からドアのロックおよび解除、エンジン始動等を遠隔操作可能なステアリングキー兼用のリモコンスイッチである。
【0011】
操舵アクチュエータ9は、前輪を転舵する転舵機構に対して転舵トルクを出力し、前輪を転舵する。
ブレーキアクチュエータ10は、運転者のブレーキ操作と独立して各車輪に付与する制動力を調整する。
車両制御コントローラ11は、例えば、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成される。車両制御コントローラ11は、各センサ等から自車速、操舵角、ブレーキペダル操作量、障害物の状態、照度を入力する。また、あらかじめリモコンキー8に記憶されたID情報に含まれる運転者の年齢を読み込む。
【0012】
車両制御コントローラ11は、自車前方に存在する障害物に対する自車の衝突予測時間(車間時間)が第1の所定値を下回った場合、運転者のブレーキペダル操作量または操舵角がそれぞれの制御介入閾値を超えたとき、運転者が当該障害物に対する衝突回避行動を開始したと判断し、ブレーキアクチュエータ10または操舵アクチュエータ9に対して衝突回避制御指令を出力することで運転者の衝突回避行動を支援する。具体的には、ブレーキペダル操作量が制御介入閾値を超えた場合には、ブレーキペダル操作量に応じて発生する制動力よりも大きな制動力が発生するようにブレーキアクチュエータ10を駆動する(ブレーキアシスト制御)。また、ハンドルの操舵角が制御介入閾値を超えた場合には、操舵角に応じた前輪の転舵角よりも大きな転舵角が得られるように操舵アクチュエータ9を駆動する(操舵アシスト制御)。
【0013】
また、車両制御コントローラ11は、衝突予測時間が第1の所定値を下回った後、運転者が衝突回避行動を開始しない場合、衝突予測時間が第2の所定値(<第1の所定値)を下回ったとき、ブレーキアクチュエータ10または操舵アクチュエータ9に対して衝突回避制御指令を出力することで障害物との衝突を回避する(自動ブレーキ制御,自動操舵制御)。ブレーキアシストと自動ブレーキは、制動制御により衝突回避支援を行う制動回避である。操舵アシストと自動は、操舵制御により衝突回避支援を行う操舵回避制御である。
実施例1の車両制御コントローラ11は、障害物(特に自車進行方向に対し横切る方向に移動する障害物)に対する運転者の衝突回避行動に応じた適切な衝突回避支援の実現を狙いとし、重み付け設定部(重み付け設定手段)11aと、制御介入調整部(制御介入調整手段)11bと、旋回方向選択部(旋回方向選択手段)11cとを備え、以下に示すような衝突回避支援制御を実行する。
【0014】
[衝突回避支援制御処理]
図2は、実施例1の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。この処理は、所定の演算周期、例えば33msec毎に連続的に実行される。
【0015】
ステップS1では、車速センサ1からの自車速Vとレーザレーダ4からのY方向における自車と障害物との相対距離Lとに基づき下記の式(1)を用いて障害物に対する衝突予測時間(車間時間)TTTCを算出する。
TTTC = L/V …(1)
ステップS2では、衝突予測時間TTTCが所定値T1(例えば、2sec)よりも小さいか否かを判定し、YESの場合にはステップS3へ進み、NOの場合にはステップS1へ戻る。
ステップS3では、重み付け設定部11aにおいて、自車速Vが所定値V1(例えば、60km/h)よりも小さいか否かを判定し、YESの場合にはステップS4へ進み、NOの場合にはステップS5へ進む。
ステップS4では、重み付け設定部11aにおいて、衝突回避制御としてブレーキ(制動回避制御)を選択する。つまり、制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくする。
【0016】
ステップS5では、重み付け設定部11aにおいて、画像処理装置6からの障害物のX方向への移動速度(障害物移動状態)Vpが所定値Vp1(例えば、歩行者の駆け足相当の速度であって、2m/s)よりも大きいか否かを判定し、YESの場合にはステップS6へ進み、NOの場合にはステップS4へ進む。
ステップS6では、旋回方向選択部11cにおいて、画像処理装置6からの障害物の横方向の位置変化に基づき、障害物が右から左に移動しているか否かを判定し、YESの場合にはステップS7へ進み、NOの場合(左から右に移動、背面通行、対面通行、停止中)にはステップS8へ移行する。
ステップS7では、重み付け設定部11aにおいて、衝突回避制御として左操舵(操舵回避制御)を選択する。つまり、操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。
ステップS8では、重み付け設定部11aにおいて、衝突回避制御として右操舵(操舵回避制御)を選択する。つまり、操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。
【0017】
ステップS9では、制御介入調整部11bにおいて、ステップS4、S7またはS8のいずれかのステップで選択された衝突回避制御に対する制御介入閾値B1,θ1を調整する。ステップS3からステップS4に進んでブレーキによる衝突回避が選択された場合、ブレーキペダル操作量Bの制御介入閾値B1を左操舵または右操舵による衝突回避制御が選択されたときの制御介入閾値である初期値B0よりも小さくする。ステップS6からステップS7に進んで左操舵による衝突回避が選択された場合、左操舵における操舵角θの制御介入閾値θ1を制動または右操舵による衝突回避制御が選択されたときの制御介入閾値である初期値θ0よりも小さくし、ステップS6からステップS8に進んで右操舵による衝突回避が選択された場合、右操舵における操舵角θの制御介入閾値θ1を制動または左操舵による衝突回避制御が選択されたときの制御介入閾値である初期値θ0よりも小さくする。
【0018】
ステップS10では、ブレーキペダルセンサ3からのブレーキペダル操作量Bと操舵角センサ2からの操舵角θを読み込む。
ステップS11では、ブレーキペダル操作量Bが制御介入閾値B1を超えたか否か、または操舵角θが制御介入閾値θ1を超えたか否かを判定し、YESの場合にはステップS12へ進み、NOの場合にはステップS13へ進む。
ステップS12では、ステップS11において運転者の操作量が制御介入閾値を超えた衝突回避制御について、当該制御に用いる操舵アクチュエータ9またはブレーキアクチュエータ10に対し、運転者の操作量(B,θ)に応じた制御量を得る衝突回避制御指令を出力し、操舵アシストまたはブレーキアシストを行う。ここで、運転者の操作量(B,θ)に応じた衝突回避制御の制御量とは、運転者の操作量(B,θ)に応じた前輪の転舵角、減速度に対し、所定の制御ゲインGB,Gθ(GB>1,Gθ>1)を乗算した前輪の転舵角、減速度とする。
ステップS13では、衝突予測時間TTTCが所定値T2(例えば、0.6sec)よりも小さいか否かを判定し、YESの場合にはステップS13へ進み、NOの場合にはステップS10へ戻る。
ステップS14では、ステップS4、S7またはS8のいずれかのステップで選択された衝突回避制御について、当該制御に用いる操舵アクチュエータ9またはブレーキアクチュエータ10に対し、障害物との衝突回避可能な制御量を得る衝突回避制御指令を出力し、自動操舵または自動ブレーキを実行する。ここで、障害物との衝突回避可能な制御量は、レーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6により得られる障害物とのXおよびY方向の相対位置および相対速度、障害物の大きさ等に基づいて設定する。
【0019】
次に、作用を説明する。
運転者は、自車前方を横切る歩行者や自転車等の障害物に遭遇したとき、障害物との衝突を回避するために、衝突回避行動として制動操作または操舵操作のどちらか一方のみを行う傾向が強い。ここで、運転者の衝突回避行動は、障害物遭遇時の自車速Vと障害物のX方向における移動速度Vpとに依存している。
そこで、実施例1の衝突回避支援装置では、自車前方の障害物に対する衝突予測時間TTTCが所定値T1を下回ったとき、すなわち、障害物との衝突の可能性があるとき、自車速Vと移動速度Vpとに基づいて、制動回避制御と操舵回避制御との重み付けを行い、重み付けの大きな衝突回避制御の制御介入閾値(B1またはθ1)を小さくする。つまり、自車速Vと移動速度Vpとから運転者の衝突回避行動を予測し、予測した衝突回避行動に対応した衝突回避制御が早期に実行されるようにすることで、運転者の制動回避行動に応じた適切な衝突回避支援を実現できる。
このとき、重み付けの小さな衝突回避制御、すなわち、運転者が行う可能性の低い衝突回避制御については、制御介入閾値(B1またはθ1)を不変とすることで、運転者の制動回避行動に合致しない衝突回避制御が早期に実行されるのを抑制できる。このため、運転者の意図しない衝突回避制御が実行されることで車両に予期せぬ挙動変化が発生し、運転者に違和感を与えるのを抑制できる。
【0020】
以下、図2に示した衝突回避支援制御処理の具体的な動きについて説明する。
ステップS2で衝突予測時間TTTCが所定値T1よりも小さいと判定された場合、まず、ステップS3で自車速Vと所定値V1とを比較し、自車速Vが所定値V1よりも低い場合は、ステップS4で制動回避制御を選択し、続くステップS9でブレーキペダル操作量Bの制御介入閾値B1を操舵回避制御が選択されたときの制御介入閾値(初期値B0)よりも小さくする。運転者は、自車前方を横切る歩行者に対し、自車速Vが低い場合、衝突回避行動として制動操作を選択する傾向にある。よって、自車速Vが低い場合には制動回避制御の制御介入閾値B1を小さくすることで、運転者がブレーキペダルの踏み込みを開始したとき、より早い段階でブレーキアクチュエータ10による衝突回避支援を開始できる。よって、低車速域における運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0021】
ステップS3で自車速Vが所定値V1以上の場合、ステップS5で障害物のX方向における移動速度Vpと所定値Vp1とを比較し、VpがVp1以下である場合は、ステップS4で制動回避制御を選択し、続くステップS9でブレーキペダル操作量Bの制御介入閾値B1を操舵回避制御が選択されたときの制御介入閾値(初期値B0)よりも小さくする。運転者は、自車前方を横切る歩行者に対し、自車速Vが低い場合であっても、障害物のX方向における移動速度Vpが低い場合、衝突回避行動として制動操作を選択する傾向にある。よって、障害物の移動速度が低い場合には制動回避制御の制御介入閾値B1を小さくすることで、運転者がブレーキペダルの踏み込みを開始したとき、より早い段階でブレーキアクチュエータ10による衝突回避支援を開始できる。よって、障害物の移動速度Vpが低い場合における運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0022】
ステップS3で自車速Vが所定値V1以上であって、ステップS5で障害物のX方向における移動速度Vpが所定値Vp1よりも大きい場合、ステップS6で障害物が右から左に移動しているか否かを判定する。障害物が右から左に移動していると判定された場合には、ステップS7で左操舵による操舵回避制御を選択し、続くステップS9で左操舵時の操舵角θの制御介入閾値θ1を制動回避制御または右操舵による操舵回避制御が選択されたときの制御介入閾値(初期値θ0)よりも小さくする。一方、ステップS6で障害物が右から左に移動していないと判定された場合には、ステップS8で右操舵による操舵回避制御を選択し、続くステップS9で右操舵時の操舵角θの制御介入閾値θ1を制動回避制御または左操舵による操舵回避制御が選択されたときの制御介入閾値(初期値θ0)よりも小さくする。運転者は、障害物のX方向における移動速度Vpが高い場合、衝突回避行動として操舵操作を選択する傾向にある。よって、障害物の移動速度Vpが高い場合には操舵回避制御の制御介入閾値θ1を小さくすることで、運転者がハンドル操作を開始したとき、より早い段階で操舵アクチュエータ9による衝突回避支援を開始できる。よって、高車速域で障害物の移動速度Vpが高い場合における運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0023】
ここで、運転者は、障害物が右から左に移動している場合には衝突回避行動として左操舵を行う傾向にあり、それ以外の場合(左から右に移動、背面通行、対面通行、停止中)には右操舵を行う傾向にある。よって、障害物が右から左に移動している場合には左操舵による操舵回避制御を選択し、それ以外の場合には右操舵による操舵回避制御を選択することで、障害物の移動方向に対する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0024】
実施例1では、衝突予測時間TTTCが所定値T1を下回った後、所定値T2を下回るまでの間に運転者のブレーキペダル操作量Bまたは操舵角θが制御介入閾値B1またはθ1を超えない場合、すなわち、障害物との衝突可能性が高くなっても運転者が衝突回避行動を行わない場合には、ステップS14で操舵アクチュエータ9による自動操舵またはブレーキアクチュエータ10による自動ブレーキを実行する。これにより、運転者の衝突回避行動が遅れた場合であっても、障害物との衝突を回避できる。
【0025】
このとき、ステップS14における自動操舵または自動ブレーキの選択および自動操舵の操舵方向の選択は、ステップS4、S7またはS8で選択されたものを用いる。つまり、自車速Vが低い場合、および障害物のX方向における移動速度が低い場合には自動ブレーキによる衝突回避支援を実行し、自車速Vが高く、障害物のX方向における移動速度が高い場合であって、障害物が右から左に移動しているときには左自動操舵を実行し、障害物が右から左に移動していないときには右自動操舵を実行する。つまり、操舵アシストまたはブレーキアシストと同様に、自車速Vと障害物の移動速度Vpとを考慮して自動操舵または自動ブレーキを選択することで、当該衝突回避支援により発生する車両の挙動変化を、仮に運転者が衝突回避行動を行ったときに発生する車両挙動変化に近づけることができる。これにより、運転者の予期せぬ車両挙動変化の発生を抑制でき、運転者に与える違和感を軽減できる。
【0026】
次に、効果を説明する。
実施例1の衝突回避支援装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 自車速Vを検出する車速センサ1と、障害物のX方向(自車進行方向に対し横切る方向)への動きである障害物移動状態(移動速度Vp)を検出するレーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6と、自車速Vと障害物移動状態(移動速度Vp)とに基づいて、制動回避制御と操舵回避制御の重み付けを設定する重み付け設定部11aと、を備えた。これにより、運転者の衝突回避行動に応じた適切な衝突回避支援を実現できる。
(2) 重み付け設定部11aは、自車速Vが所定値V1よりも低いときは制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、自車速Vが所定値V1以上であるときは操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくするため、自車速Vに応じて変化する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した衝突回避支援を実現できる。
【0027】
(3) レーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6は、障害物のX方向における移動速度Vpを検出し、重み付け設定部11aは、移動速度Vpが所定値Vp1以下のときには制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、移動速度Vpが所定値Vp1よりも大きいときは操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。これにより、障害物の移動速度Vpに応じて変化する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した衝突回避支援を実現できる。
(4) レーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6は、障害物のX方向における移動方向を検出し、移動方向に基づいて、操舵回避制御における自車の衝突回避方向を選択する旋回方向選択部11cを設けた。これにより、障害物の移動方向に応じて変化する運転者の衝突回避操舵の操舵方向の傾向に合致した衝突回避支援を実現できる。
(5) 重み付けが大きい場合には小さい場合よりも当該衝突回避制御の制御介入開始タイミングをより早める制御介入調整部11bを設けたため、自車速Vと障害物の状況(移動速度Vp)とに応じた適切なタイミングで衝突回避支援を開始できる。
【0028】
〔実施例2〕
実施例2は、自車の走行環境の明るさに基づいて制動回避制御と操舵回避制御とを選択する例である。
[衝突回避支援制御処理]
図3は、実施例2の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2に示した実施例1と異なる部分のみ説明する。
ステップS15では、重み付け設定部11aにおいて、照度センサ7からの照度が所定照度よりも小さいか否かを判定し、YESの場合にはステップS4へ進み、NOの場合にはステップS6へ進む。つまり、照度が所定照度よりも小さい場合には制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、照度が所定照度以上である場合には操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。所定照度は、自車の周囲が十分に明るく、ヘッドランプの点灯が不要な照度とする。ここで、照度センサ7に代えてヘッドランプのON/OFF信号を入力し、ヘッドランプがONのときステップS4へ進み、OFFのときステップS6へ進む構成としてもよい。また、照度センサ7に代えてワイパースイッチのON/OFF信号を入力し、ワイパーがONのときステップS4へ進み、OFFのときステップS6へ進む構成としてもよい。
【0029】
次に、作用を説明する。
実施例2では、ステップS15で自車周囲の照度を所定照度と比較し、照度が所定照度よりも小さい場合にはステップS4で制動回避制御を選択し、照度が所定照度以上である場合にはステップS7またはS8で操舵回避制御を選択する。運転者は、自車前方を横切る歩行者に対し、自車の周囲が明るい場合、衝突回避行動として操舵操作を選択する傾向にある。一方、自車の周囲が暗い場合、制動操作を選択する傾向にある。よって、自車の周囲が明るい場合には操舵回避制御の制御介入閾値θ1を小さくし、暗い場合には制動回避制御の制御介入閾値B1を小さくすることで、走行環境の明るさに応じて変化する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を行うことができる。
【0030】
次に、効果を説明する。
実施例2の衝突回避支援装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(5)に加え、以下の効果を奏する。
(6) 自車の走行環境の明るさを検出する照度センサ7を備え、重み付け設定部11aは、照度センサ7から得られる自車周囲の照度が所定照度よりも小さいときは制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、照度が所定照度以上であるときは操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。これにより、走行環境条件(昼夜、天候等)に応じて変化する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0031】
〔実施例3〕
実施例3は、運転者の年齢に基づいて制動回避制御と操舵回避制御とを選択する例である。
[衝突回避支援制御処理]
図4は、実施例3の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2に示した実施例1と異なる部分のみ説明する。
ステップS16では、リモコンキー8に記憶されたID情報に含まれる運転者の年齢が所定年齢(例えば、65歳)よりも高いか否かを判定し、YESの場合にはステップS4へ進み、NOの場合にはステップS6へ進む。つまり、運転者の年齢が所定年齢を超える場合には制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、運転者の年齢が所定年齢以下である場合は操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。
【0032】
次に、作用を説明する。
実施例3では、重み付け設定部11aにおいて、ステップS16で運転者年齢と所定年齢とを比較し、運転者年齢が所定年齢よりも高い場合にはステップS4で制動回避制御を選択し、運転者年齢が所定年齢以下の場合にはステップS7またはステップS8で操舵回避制御を選択する。自車前方を横切る歩行者に対し、運転者が高齢であるほど衝突回避行動としてブレーキを選択し、高齢でない場合には操舵操作を選択する傾向にある。よって、高齢運転者の場合には制動回避制御の制御介入閾値B1を小さくし、高齢運転者でない場合には操舵回避制御の制御介入閾値θ1を小さくすることで、運転者の年齢に応じて変化する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を行うことができる。
【0033】
次に、効果を説明する。
実施例3の衝突回避支援装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(5)に加え、以下の効果を奏する。
(7) 運転者の年齢を検出するリモコンキー8を備え、重み付け設定部11aは、運転者の年齢が65歳を超える場合は制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、65歳以下の場合は操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。これにより、運転者の年齢に応じて変化する運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0034】
〔実施例4〕
実施例4は、障害物のX方向における位置に基づいて操舵回避制御の操舵方向を選択する例である。
[衝突回避支援制御処理]
図5は、実施例4の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2に示した実施例1と異なる部分のみ説明する。
ステップS17では、旋回方向選択部11cにおいて、レーザレーダ4、カメラ5および画像処理装置6により得られる障害物のX座標(X方向における相対位置)がゼロよりも大きいか否かを判定し、YESの場合にはステップS7へ進み、NOの場合にはステップS8へ進む。ここで、X座標は、自車の左右中心位置をY方向に延びる直線上をゼロとし、直線よりも自車の右側を正(+)、左側を負(-)とする。
【0035】
次に、作用を説明する。
実施例4では、ステップS17で障害物のX座標とゼロとを比較し、X座標がゼロよりも大きい場合にはステップS7で左操舵回避制御を選択し、X座標がゼロ以下である場合にはステップS8で右操舵回避制御を選択する。
図6(a)に示すように、障害物が右から左に移動している場合、運転者は、障害物が自車の左側に位置する場合には右操舵により衝突回避行動を行う傾向にある。一方、図6(b)に示すように、障害物が自車の右側に位置する場合には左操舵による衝突回避行動を行う傾向にある。よって、障害物が自車の右側に位置する場合には左操舵回避制御を選択し、障害物が自車の左側に位置する場合には右操舵回避制御を選択することで、障害物のX方向における位置に応じて変化する運転者の操舵方向の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を行うことができる。
【0036】
次に、効果を説明する。
実施例4の衝突回避支援制御装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(5)に加え、以下の効果を奏する。
(8) 旋回方向選択部11cは、障害物が自車の左側に位置する場合には右操舵回避制御を選択し、右側に位置する場合には左回避操舵を選択する。これにより、障害物のX方向における位置に応じて変化する運転者の操舵方向の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0037】
〔実施例5〕
実施例5は、自車速Vと障害物移動状態(移動速度Vp)とに基づいて制御ゲインGB,Gθを変更する例である。
[衝突回避支援制御処理]
図7は、実施例5の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2に示した実施例1と異なる部分のみ説明する。
ステップS18では、制御介入調整部11bにおいて、ステップS4、S7またはS8のいずれかのステップで選択された衝突回避制御に対する制御ゲインGB,Gθを調整する。ステップS3からステップS4に進んでブレーキによる衝突回避が選択された場合、制動回避制御の制御ゲインGBを左操舵または右操舵による衝突回避制御が選択されたときの制御ゲインである初期値GB0よりも大きくする。ステップS6からステップS7に進んで左操舵による衝突回避が選択された場合、左操舵回避制御の制御ゲインGθを制動または右操舵による衝突回避制御が選択されたときの制御ゲインである初期値Gθ0よりも大きくし、ステップS6からステップS8に進んで右操舵による衝突回避が選択された場合、右操舵回避制御の制御ゲインGθを制動または左操舵による衝突回避制御が選択されたときの制御ゲインである初期値Gθ0よりも大きくする。
なお、実施例5では、制御介入閾値B1,θ1は一定とする。
【0038】
次に、作用を説明する。
実施例5では、ステップS4で制動回避制御を選択した場合、続くステップS18で制動回避制御の制御ゲインGBを操舵回避制御が選択されたときの制御ゲイン(初期値GB0)よりも大きくする。運転者は、自車前方を横切る歩行者に対し、自車速Vが低い場合、衝突回避行動として制動操作を選択する傾向にある。よって、自車速Vが低い場合には制動回避制御の制御ゲインGBを大きくすることで、運転者のブレーキペダル操作量Bに対してより大きな制動力を発生させることができ、障害物との衝突をより確実に回避できる。また、低車速域における運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0039】
ステップS3で自車速Vが所定値V1以上の場合、ステップS5で障害物のX方向における移動速度Vpと所定値Vp1とを比較し、VpがVp1以下である場合は、ステップS4で制動回避制御を選択し、続くステップS18で制動回避制御の制御ゲインGBを操舵回避制御が選択されたときの制御ゲイン(初期値GB0)よりも大きくする。運転者は、自車前方を横切る歩行者に対し、自車速Vが低い場合であっても、障害物のX方向における移動速度Vpが低い場合、衝突回避行動として制動操作を選択する傾向にある。よって、障害物の移動速度が低い場合には制動回避制御の制御ゲインGBを大きくすることで、運転者のブレーキペダル操作量Bに対してより大きな制動力を発生させることができ、障害物との衝突をより確実に回避できる。また、障害物の移動速度Vpが低い場合における運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0040】
ステップS3で自車速Vが所定値V1以上であって、ステップS5で障害物のX方向における移動速度Vpが所定値Vp1よりも大きい場合、ステップS6で障害物が右から左に移動しているか否かを判定する。障害物が右から左に移動していると判定された場合には、ステップS7で左操舵による操舵回避制御を選択し、続くステップS18で左操舵回避制御の制御ゲインGθを制動回避制御または右操舵による操舵回避制御が選択されたときの制御ゲインGθ0よりも大きくする。一方、ステップS6で障害物が右から左に移動していないと判定された場合には、ステップS8で右操舵による操舵回避制御を選択し、続くステップS18で右操舵回避制御の制御ゲインGθを制動回避制御または左操舵による操舵回避制御が選択されたときの制御ゲインGθ0よりも大きくする。運転者は、障害物のX方向における移動速度Vpが高い場合、衝突回避行動として操舵操作を選択する傾向にある。よって、障害物の移動速度Vpが高い場合には操舵回避制御の制御ゲインGθを大きくすることで、操舵角θに対してより大きな操向輪の転舵角を発生させることができ、障害物との衝突をより確実に回避できる。また、障害物の移動速度Vpが高い場合における運転者の衝突回避行動の傾向に合致した違和感のない衝突回避支援を実現できる。
【0041】
次に、効果を説明する。
実施例5の衝突回避支援装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果を奏する。
(9) 重み付けが大きい場合には小さい場合よりも当該支援回避制御の制御ゲインを大きくする制御介入調整部11bを設けたため、自車速Vと障害物の移動速度Vpとに応じた適切な制御量で衝突回避支援を行うことができる。
【0042】
〔実施例6〕
実施例6は、自車速Vと障害物移動状態(X方向における移動速度Vp)とに基づいて、制動回避制御と操舵回避制御の制御介入閾値B,θと制御ゲインGB,Gθを共に調整する例である。
[衝突回避支援制御処理]
図8は、実施例6の衝突回避支援制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2に示した実施例1と異なる部分のみ説明する。
ステップS19では、制御介入調整部11bにおいて、自車速Vと障害物のX方向における移動速度Vpとに基づいて衝突回避制御に対する制御介入閾値B1,θ1および制御ゲインGB,Gθを調整する。以下に調整方法を列挙する。
制動回避制御の制御ゲインGBは、自車速Vに応じて調整する(図9(a))。制御ゲインGBは、初期値GBを下限値とし、自車速Vが高くなるほど大きくする。
操舵回避制御の制御ゲインGθは、障害物のX方向における移動速度Vpに応じて調整する(図9(b))。制御ゲインGθは、初期値Gθ0を下限値とし、移動速度Vpが高くなるほど大きくする。
【0043】
制動回避制御の制御介入閾値B1は、自車速Vに応じて調整する(図10(a))。制御介入閾値B1は、初期値B0を上限値とし、自車速Vが低くなるほど小さくする。
操舵回避制御の制御介入閾値θ1は、自車速Vに応じて調整する(図10(b))。制御介入閾値θ1は、初期値θ0を上限値とし、自車速Vが高くなるほど小さくする。
つまり、自車速Vが低いほど制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、自車速Vが高いほど操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。
【0044】
ここで、制御介入閾値B1およびθ1は、自車速Vに代えて、障害物のX方向における移動速度Vpに応じて調整してもよい(図11(a),(b))。調整方法は、自車速Vの場合と同様に、移動速度Vpが低くなるほどB1を小さくし、移動速度Vpが高くなるほどθ1を小さくする。
つまり、移動速度Vpが低いほど制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、移動速度Vpが高いほど操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする。
なお、図10(a)から求めた制御介入閾値B1と図11(a)から求めた制御介入閾値B1とを乗算した値を最終的な制御介入閾値B1とし、図10(b)から求めた制御介入閾値θ1と図11(b)から求めた制御介入閾値θ1とを乗算した値を最終的な制御介入閾値θ1としてもよい。
【0045】
次に、作用を説明する。
実施例6では、自車速Vが高いほど、制動回避制御の制御ゲインGBを大きくするため、自車速Vが高いほど障害物を回避するために大きな減速度が必要となるのに対し、自車速Vに応じた最適な制動力を発生させることができる。
また、障害物の移動速度Vpが高いほど、操舵回避制御の制御ゲインGθを大きくするため、移動速度Vpが高いほど障害物を回避するために大きな旋回量が必要となるのに対し、移動速度Vpに応じた最適な旋回量を発生させることができる。
【0046】
実施例6では、自車速Vが低いほど制御介入閾値B1を小さく、かつ、制御介入閾値θ1を大きくし、自車速Vが高いほど制御介入閾値B1を大きく、かつ、制御介入閾値θ1を小さくする。よって、自車速Vが低いほど運転者は衝突回避行動として制動操作を選択する傾向が高まるのに対し、制動回避制御を自車速Vに応じた適切なタイミングで行うことができる。一方、自車速Vが高いほど運転者は操舵操作を選択する傾向が高まるのに対し、操舵回避制御を自車速Vに応じた適切なタイミングで行うことができる。
【0047】
実施例6では、障害物の移動速度Vpが低いほど制御介入閾値B1を小さく、かつ、制御介入閾値θ1を大きくし、移動速度Vpが高いほど制御介入閾値B1を大きく、かつ、制御介入閾値θ1を小さくする。よって、移動速度Vpが低いほど運転者は衝突回避行動として制動操作を選択する傾向に高まるのに対し、制動回避制御を移動速度Vpに応じた適切なタイミングで行うことができる。一方、障害物の移動速度Vpが高いほど運転者は衝突回避行動として操舵操作を選択する傾向が高まるのに対し、操舵回避制御を移動速度Vpに応じた適切なタイミングで行うことができる。
よって、実施例6の衝突回避支援装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(5)および実施例5の効果(6)を得ることができる。
【0048】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための形態を、各実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施例では、車速Vと障害物の移動速度Vpとに基づいてブレーキアシストと操舵アシストの制御介入開始タイミングおよび制御ゲインを変更する例を示したが、車速Vと移動速度Vpとに基づいて自動ブレーキと自動操舵の制御介入開始タイミングおよび制御ゲインを変更してもよい。
実施例6において、自車の走行環境が明るいほど操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくし、走行環境が暗いほど制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくする構成としてもよい。
実施例6において、運転者の年齢が高いほど制動回避制御の重み付けを操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、運転者の年齢が低いほど操舵回避制御の重み付けを制動回避制御の重み付けよりも大きくする構成としてもよい。
実施例2〜5の2つ以上の実施例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 車速センサ(車速検出手段)
4 レーザレーダ(障害物移動状態検出手段)
5 カメラ(障害物移動状態検出手段)
6 画像処理装置(障害物移動状態検出手段)
7 照度センサ(照度検出手段)
8 リモコンキー(運転者年齢検出手段)
11a 重み付け設定部(重み付け設定手段)
11b 制御介入調整部(制御介入調整手段)
11c 旋回方向選択部(旋回方向選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車前方の障害物に対し、制動制御により衝突回避支援を行う制動回避制御と操舵制御により衝突回避支援を行う操舵回避制御とを実行可能な衝突回避支援装置において、
自車速を検出する車速検出手段と、
前記障害物の自車進行方向に対し横切る方向への動きである障害物移動状態を検出する障害物移動状態検出手段と、
前記自車速と前記障害物移動状態とに基づいて、前記制動回避制御と前記操舵回避制御の重み付けを設定する重み付け設定手段と、
を備えたことを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衝突回避支援装置において、
前記重み付け設定手段は、前記自車速が低いときは前記制動回避制御の重み付けを前記操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、前記自車速が高いときは前記操舵回避制御の重み付けを前記制動回避制御の重み付けよりも大きくすることを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の衝突回避支援装置において、
前記障害物移動状態検出手段は、前記障害物の自車進行方向に対し横切る方向への移動速度を検出し、
前記重み付け設定手段は、前記移動速度が低いときは前記制動回避制御の重み付けを前記操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、前記移動速度が高いときは前記操舵回避制御の重み付けを前記制動回避制御の重み付けよりも大きくすることを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の衝突回避支援装置において、
前記障害物移動状態検出手段は、前記障害物の自車進行方向に対し横切る方向への移動方向を検出し、
前記移動方向に基づいて、前記操舵回避制御における自車の衝突回避方向を選択する旋回方向選択手段を備えたことを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の衝突回避支援装置において、
自車の走行環境の明るさを検出する照度検出手段を備え、
前記重み付け設定手段は、前記走行環境が暗いときは前記制動回避制御の重み付けを前記操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、前記走行環境が明るいときは前記操舵回避制御の重み付けを前記制動回避制御の重み付けよりも大きくすることを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の衝突回避支援装置において、
運転者の年齢を検出する運転者年齢検出手段を備え、
前記重み付け設定手段は、前記運転者の年齢が高いときは前記制動回避制御の重み付けを前記操舵回避制御の重み付けよりも大きくし、前記運転者の年齢が低いときは前記操舵回避制御の重み付けを前記制動回避制御の重み付けよりも大きくすることを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衝突回避支援装置において、
前記重み付けが大きい場合には小さい場合よりも当該支援回避制御の制御介入開始タイミングをより早める制御介入調整手段を設けたことを特徴とする衝突回避支援装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の衝突回避支援装置において、
前記重み付けが大きい場合には小さい場合よりも当該支援回避制御の制御ゲインを大きくする制御介入調整手段を設けたことを特徴とする衝突回避支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−1063(P2012−1063A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136702(P2010−136702)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】