説明

表示装置、表示装置の製造方法および電子機器

【課題】低コストかつ簡易なプロセスで製造することが可能な表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】表示装置1は、酸化物半導体よりなる半導体層12上の選択的な領域(チャネル領域12A)に、ゲート絶縁膜13を介してゲート電極14が設けられ、そのチャネル領域12Aに隣接する領域(ソース・ドレイン接続領域12B)にソース・ドレイン電極層16が電気的に接続される。半導体層12では、これらのチャネル領域12Aおよびソース・ドレイン接続領域12Bとは異なる領域(画素電極部12C)がアノードとして利用される。製造プロセスにおいて、フォトマスク、フォトレジストなどの使用部材を減らし、工程数を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタが配設された表示装置およびその製造方法ならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置や、有機EL(Electro Luminescence)表示装置などのフラットパネルディスプレイの駆動素子として、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)が実用化されている。このTFTは、基板上にアモルファスシリコン(非晶質シリコン)または多結晶シリコンなどの半導体材料を用いて作製されるのが一般的である。ところが、アモルファスシリコンを用いた場合、パネルの大面積化に対応し易い反面、電界効果移動度が低くなり、多結晶シリコンを用いた場合には、電界効果移動度は高いものの大面積化に適応しにくくなる。
【0003】
これに対し、亜鉛、インジウム、ガリウム、スズ、あるいはそれらの混合物からなる酸化物(酸化物半導体)は、低温での成膜が可能で、優れた半導体特性を示すことが知られている。具体的には、酸化物半導体を用いたTFTでは、アモルファスシリコンを用いたTFTと比べて10倍以上の電子移動度を示し、かつ良好なオフ特性を示す。
【0004】
そのため、近年では、このような酸化物半導体をアクティブマトリクス型の表示装置へ応用するべく、様々な研究開発がなされている(例えば、特許文献1,2)。特許文献1では、いわゆるトップゲート構造のTFTにおけるソース電極を、有機EL表示装置の電極として利用できるようにパターニングすることにより製造工程を簡易化する手法が提案されている。また、特許文献2では、酸化物半導体を有機EL表示装置の電極として用いた構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−192876号公報
【特許文献2】特開2009−271527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL表示装置の製造工程では、駆動用基板を作製する際、基板上にまずTFTやキャパシタなどを形成した後、これらを平坦化膜によってコートし、この平坦化膜上に更に有機EL素子よりなる画素を形成する。この際、いわゆるフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ法により各層のパターニングを行う必要がある。そのため、各層のパターニング毎に異なるフォトマスクが必要であり、また、フォトレジストなどの使用材料が増え、塗布、露光、現像、ポストベークといった多くの工程を経るため、工程数が増え、コスト高となる。このため、生産コストの低減、歩留まり向上の観点から工程数削減が望まれている。
【0007】
上記特許文献1の手法のように、トップゲート構造において、TFTのソース電極を有機EL表示装置の電極として用いる場合、それらを別個に形成する場合に比べ、工程数を削減できるが、この場合であっても少なくとも5層(枚)のフォトマスクを必要とする(5回のフォトリソグラフィプロセスを要する)。そのため、更なる工程数削減、低コスト化が望まれている。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、低コストかつ簡易なプロセスで製造することが可能な表示装置およびその製造方法ならびに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、基板上に設けられると共に、酸化物半導体よりなる半導体層と、半導体層の選択的な第1領域上にゲート絶縁膜を介して配設されたゲート電極と、ソースまたはドレインとして機能すると共に、半導体層の第1領域に隣接する第2領域に電気的に接続されたソース・ドレイン電極層と、半導体層の第1領域および第2領域とは異なる第3領域上に設けられると共に、半導体層の第3領域に対応する部分を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子とを備えたものである。
【0010】
本発明の表示装置の製造方法は、基板上に酸化物半導体よりなる半導体層を形成する工程と、半導体層の選択的な第1領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、半導体層の第1領域に隣接する第2領域に電気的に接続されるように、ソースまたはドレインとして機能するソース・ドレイン電極層を形成する工程と、半導体層の第1領域および第2領域とは異なる第3領域上に、半導体層の第3領域に対応する部分を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子を形成する工程とを含むものである。
【0011】
本発明の表示装置および表示装置の製造方法では、酸化物半導体よりなる半導体層の選択的な第1領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、その第1領域に隣接する第2領域においてソース・ドレイン電極層が半導体層に電気的に接続される。半導体層の第3領域上に、この第3領域を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子が形成される。即ち、トランジスタのチャネルを形成する半導体層を、有機電界発光素子の電極として利用することにより、製造工程において、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングの工程数が削減される。また、これにより、必要となるフォトマスクやフォトレジストなどの使用部材も少なくなる。
【0012】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表示装置および表示装置の製造方法によれば、酸化物半導体よりなる半導体層の選択的な第1領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設け、その第1領域に隣接する第2領域においてソース・ドレイン電極層を半導体層に電気的に接続する。半導体層の、これらの第1領域および第2領域とは異なる第3領域上には、この第3領域に対応する部分を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子を設ける。これにより、製造工程において、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングの工程数を削減し、フォトマスク、フォトレジストなどの使用部材を減らすことができる。よって、低コストかつ簡易なプロセスでの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を表す断面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】図4に続く工程を表す断面図である。
【図6】図5に続く工程を表す断面図である。
【図7】図6に続く工程を表す断面図である。
【図8】図7に続く工程を表す断面図である。
【図9】図8に続く工程を表す断面図である。
【図10】比較例に係る表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図10に続く工程を表す断面図である。
【図12】図11に続く工程を表す断面図である。
【図13】図12に続く工程を表す断面図である。
【図14】各実施の形態に係る表示装置の周辺回路を含む全体構成を表す図である。
【図15】図14に示した画素の回路構成を表す図である。
【図16】図14に示した表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図17】適用例1の外観を表す斜視図である。
【図18】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図19】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図20】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図21】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(トップゲート構造を有するTFTの半導体層を、表示用の画素電極として利用した有機EL表示装置の例))
2.適用例(モジュール,電子機器の例)
【0016】
<実施の形態>
[表示装置1の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の断面構造を表すものである。表示装置1は、例えばアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイであり、マトリクス状に配列する複数の画素を有する。但し、図1には、1つの画素(例えばR,G,Bのいずれかのサブピクセル)に対応する領域のみを示している。表示装置1は、駆動基板11A上に、有機EL層を含む機能層18、共通電極19および保護層20を備え、保護層20上には封止基板21が図示しない接着層によって貼り合わせられている。この表示装置1の発光方式は、いわゆるトップエミッション方式(上面発光方式)であってもよいし、ボトムエミッション方式(下面発光方式)であってもよい。
【0017】
駆動基板11Aでは、基板11上に、画素駆動用のトランジスタ部10Bが配設されている。トランジスタ部10Bは、詳細は後述するが、トップゲート構造の薄膜トランジスタ(TFT)であり、チャネル(活性層)に酸化物半導体を用いたものである。本実施の形態では、詳細は後述するが、この駆動基板11Aにおいて、トランジスタ部10Bにおける半導体層12の一部を、画素電極(例えばアノード)として機能させた(利用した)積層構造を有している。
【0018】
機能層18は、駆動電流の印加によって発光を生じる有機EL層(発光層)を含むものである。機能層18は、例えば基板11側から順に正孔注入層,正孔輸送層,有機EL層および電子輸送層(いずれも図示せず)等を積層したものである。有機EL層は、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。この有機EL層の構成材料は、一般的な低分子または高分子有機材料であればよく、特に限定されない。また、例えば赤、緑、青の各色の発光層が画素毎に塗り分けられていてもよいし、各画素に共通して白色発光層(例えば、赤、緑、青の各色発光層を積層させたもの)が設けられていてもよい。正孔注入層は、正孔注入効率を高めると共に、リークを防止するために設けられる。正孔輸送層は、有機EL層への正孔輸送効率を高めるためのものである。これらの有機EL層以外の層は必要に応じて設けられていればよい。尚、必要に応じて、機能層18と共通電極19との間に、更に電子注入層(図示せず)が設けられていてもよい。
【0019】
このような機能層18は、例えば基板11の全面に渡って設けられるが、実際に発光を生じるのは、後述の層間絶縁膜15の開口H2(第2開口)に対応する領域(発光部10A)となっている。
【0020】
共通電極19は、例えばカソードとして機能するものであり、金属導電膜により構成されている。例えば、表示装置1がボトムエミッション方式である場合には、反射性を有する金属膜、具体的には、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),銀(Ag)およびナトリウム(Na)のうちの少なくとも1種からなる単体金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金よりなる単層膜、あるいはそれらのうちの2種以上を積層した多層膜からなる。あるいは、表示装置1がトップエミッション方式である場合には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜が用いられる。この共通電極19は、アノード(本実施の形態では、半導体層12における後述の画素電極部12C)と絶縁された状態で機能層18上に形成され、各画素に共通して設けられている。尚、この共通電極19をアノードとして機能させるようにしてもよい。
【0021】
保護層20は、絶縁性材料または導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、例えばアモルファスシリコン(a−Si),アモルファス炭化シリコン(a−SiC),アモルファス窒化シリコン(a−Si1-xx)、アモルファスカーボン(a−C)等が挙げられる。
【0022】
封止基板21は、例えば、石英、ガラス、金属箔、シリコンまたはプラスチックなどの板材である。但し、トップエミッション方式の場合には、ガラスやプラスチックなどの透明基板により構成され、また図示しないカラーフィルタや遮光膜などが設けられていてもよい。
【0023】
[駆動基板11Aの詳細構成]
駆動基板11Aでは、基板11上に、上述のようにトランジスタ部10Bが配設されると共に、このトランジスタ部10Bの一部が各画素を駆動するための電極として機能している。
【0024】
基板11は、例えば、石英、ガラス、金属箔、シリコンまたはプラスチック等の板材からなる。但し、ボトムエミッション方式の場合には、ガラスやプラスチックなどの透明基板により構成されている。
【0025】
トランジスタ部10Bは、例えば後述の画素駆動回路50aにおけるサンプリング用トランジスタ5Aまたは駆動トランジスタ5Bに相当するものであり、スタガ構造を有する(いわゆるトップゲート型の)TFTである。トランジスタ部10Bでは、基板11上の所定の領域に半導体層12が設けられ、この半導体層12上の選択的な領域(チャネル領域12A(第1領域))に、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14がこの順に配設されている。これらの半導体層12、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14は、基板11上において、層間絶縁膜15によって覆われている。
【0026】
半導体層12は、ゲート電圧の印加によりチャネルを形成するものであり、例えばインジウム(In),ガリウム(Ga),亜鉛(Zn),シリコン(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を含む酸化物半導体よりなる。このような酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO,InGaZnO)が挙げられる。この酸化物半導体膜14の厚みは、例えば20nm〜100nmである。
【0027】
ゲート絶縁膜13は、例えばシリコン酸化膜(SiOX)、シリコン窒化膜(SiN)およびシリコン窒化酸化膜(SiON)のうちの1種よりなる単層膜、またはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。
【0028】
ゲート電極14は、トランジスタ部10Bに印加されるゲート電圧(Vg)によって半導体層12中のキャリア密度を制御すると共に、電位を供給する配線としての機能を有するものである。このゲート電極14は、例えばモリブデン(Mo),チタン(Ti),アルミニウム(Al),銀(Ag)および銅(Cu)のうちの1種からなる単体もしくは合金、もしくはこれらのうちの2種以上からなる積層膜である。具体的には、アルミニウムや銀などの低抵抗材料よりなる金属層を、モリブデンまたはチタンにより挟み込んだ積層構造や、アルミニウムとネオジウム(Nd)との合金(AlNd合金)が挙げられる。このゲート電極14は、あるいはITO(酸化インジウム錫)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の透明導電膜から構成されていてもよい。
【0029】
層間絶縁膜15は、例えばポリイミド,ノボラック樹脂またはアクリル系樹脂などの有機絶縁膜、またはシリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコン酸窒化物などの無機絶縁膜により構成されている。但し、望ましくは、層間絶縁膜15は、例えばフォトレジストとして使用される感光性樹脂から構成されている。感光性樹脂を用いることにより、層間絶縁膜15(詳細にはその開口部分)になだらかなテーパを形成可能となり、その上に成膜される機能層18の成膜不良(いわゆる段切れなど)を防止することができる。また、感光性樹脂を用いることにより、パターニングの際にエッチング工程が不要となり、成膜プロセスが簡易化する点においても他の絶縁膜を用いる場合に比べ有利である。
【0030】
本実施の形態では、この層間絶縁膜15に、半導体層12に対向して、コンタクトホールH1(第1開口)と開口H2(第2開口)とが設けられている。コンタクトホールH1は、後述のソース・ドレイン電極層16と半導体層12との電気的接続を確保するためのものであり、半導体層12のチャネル領域12Aに隣接する領域(ソース・ドレイン接続領域12B(第2領域))に対向して設けられている。層間絶縁膜15上には、このコンタクトホールH1を埋め込むように、ソース・ドレイン電極層16が配設されている。
【0031】
層間絶縁膜15の開口H2は、各画素における発光部10Aを区画する(画素を分離する)役割を有している。この開口H2は、半導体層12の、上記チャネル領域12Aおよびソース・ドレイン領域12Bとは異なる領域(画素電極部12C(第3領域))に対向して設けられている。上記のように層間絶縁膜15として感光性樹脂を用いた場合には、この開口H2の表面形状(側面形状)が、なだらかなテーパ形状(丸みを帯びた形状)となっている。
【0032】
発光部10Aでは、この開口H2において、半導体層12の画素電極部12Cが、機能層18と接して設けられており、各画素の画素電極(ここではアノード)として機能するようになっている。即ち、半導体層12の一部と、ソース電極(またはドレイン電極)と、表示用の画素電極(アノード)とが、一体化した構造となっている。換言すると、半導体層12の一部が、ソース電極(またはドレイン電極)と画素電極(アノード)とを兼ねた構造となっている。この画素電極部12Cは、例えばチャネル領域12Aおよびソース・ドレイン接続領域12B以外の領域に所定の面積で形成されている。ここで、半導体層12としては上記のような酸化物半導体が用いられるが、この酸化物半導体が、可視光に対して透明性を有し、かつ仕事関数が大きいことから、表示用の電極としても機能させることが可能となっている。
【0033】
上記のように、半導体層12は、互いに機能の異なる3つの領域(チャネル領域12A、ソース・ドレイン接続領域12Bおよび画素電極部12C)を有している。これらの3つの領域のうち、ソース・ドレイン接続領域12Bおよび画素電極部12Cでは、チャネル領域12Aに比べ、電気抵抗率が低くなっている。これにより、半導体層12では、チャネル領域12Aにおいて半導体特性を示す一方、ソース・ドレイン接続領域12Bおよび画素電極部12Cでは、電極や配線として機能するようになっている。尚、このようなソース・ドレイン接続領域12Bおよび画素電極部12Cにおける低抵抗化は、半導体層12を構成する酸化物半導体に例えばプラズマ処理を施すことにより実現可能である。
【0034】
ソース・ドレイン電極層16は、トランジスタ部10bにおけるソースまたはドレインとして機能するものであり、上記ゲート電極14において列挙したものと同等の金属または透明導電膜により構成されている。層間絶縁膜15上には、このソース・ドレイン電極層16を覆うように、保護膜17が形成されている。
【0035】
保護膜17は、例えばポリイミド,ノボラック樹脂またはアクリル系樹脂などの有機絶縁膜、またはシリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコン酸窒化物などの無機絶縁膜により構成されている。但し、望ましくは、保護膜17は、例えばフォトレジストとして使用される感光性樹脂から構成されている。感光性樹脂を用いることにより、ソース・ドレイン電極層16のパターニングの際に使用したフォトレジストをそのままソース・ドレイン電極層16上に残存させて(除去せずに)リフローさせることにより、ソース・ドレイン電極層16の側面(端部)を被覆するように、保護膜17を形成することができる。これにより、ソース・ドレイン電極層16の機能層18への電気的接触を防ぎ、ソース・ドレイン電極層16と機能層18との間の絶縁性を高めることが可能となる。
【0036】
[製造方法]
上記のような表示装置1は、例えば次のようにして作製することができる。まず、駆動基板11Aを、フォトリソグラフィ技術を用いてパターン形成する。例えば、各膜材料を成膜した後、フォトレジストの塗布、プリベーク、フォトマスクを用いた露光、現像、ポストベーク、エッチング(ウェットまたはドライ)およびフォトレジスト剥離等の各工程を経て、各膜のパターニングを行う。具体的には、以下のような手順で駆動基板11Aを作製する。
【0037】
即ち、まず、基板11の所定の領域に半導体層12をパターン形成する。具体的には、基板11上の全面に渡って、上述した酸化物半導体よりなる半導体層12を例えばスパッタ法により成膜する。この際、酸化物半導体として例えばIGZOを用いる場合には、例えばIGZOのセラミックをターゲットとした反応性スパッタを行う。この際、例えばDCスパッタ装置において、チャンバー内を所定の真空状態となるまで排気した後、ターゲットおよび基板11を対向配置させ、例えばアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを導入してプラズマ放電させる。
【0038】
この後、フォトリソグラフィ法により半導体層12のパターニングを行う。具体的には、図2(A)に示したように、半導体層12上に、フォトレジスト121aを塗布形成し、形成したフォトレジスト121aを、開口M1aを有するフォトマスクM1を使用してパターン露光する。尚、ここでは、フォトレジスト121aとしてポジ型のものを使用する場合を例に挙げて説明するが、フォトレジスト121aとしては、ネガ型のものであってもよい(以下、同様)。
【0039】
これにより、図2(B)に示したように、半導体層12上の所定の領域(開口M1aに対応する領域)に、フォトレジスト121aが残存する。この後、例えばウェットエッチングを施すことにより、半導体層12のうちフォトレジスト121aから露出したが部分が除去される。エッチング後、フォトレジスト121aを剥離(除去)することにより、図2(C)に示したように、半導体層12がパターン形成される。尚、この後、ゲート絶縁膜13の成膜前に、半導体層12に対してN2Oプラズマ処理を施し、酸化物半導体中に酸素を導入する。
【0040】
続いて、半導体層12上の選択的な領域にゲート絶縁膜13およびゲート電極14を形成する。即ち、まず、基板11上の全面に渡って、上述した材料よりなるゲート絶縁膜13を例えばCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法により成膜した後、続けて上述した材料よりなるゲート電極14を例えばスパッタ法により成膜する。尚、ゲート絶縁膜13としてシリコン窒化膜を成膜する際には、原料ガスとして、シラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、窒素を含む混合ガスを用いる。あるいは、シリコン酸化膜を成膜する際には、シランおよび一酸化二窒素(N2O)を含む混合ガスを用いる。
【0041】
この後、フォトリソグラフィ法を用いて、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14を一括してパターニングする。具体的には、図3(A)に示したように、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14よりなる積層膜上に、フォトレジスト121bを塗布形成し、形成したフォトレジスト121bを、開口M2aを有するフォトマスクM2を使用してパターン露光する。これにより、図3(B)に示したように、ゲート電極14上の所定の領域(開口M2aに対応する領域)に、フォトレジスト121bが残存する。この後、例えばドライエッチングを施すことにより、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14のうちフォトレジスト121bに非対向の部分が除去される。エッチング後、フォトレジスト121bを除去することにより、図3(C)に示したように、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14がパターン形成される。
【0042】
次いで、図4(A)に示したように、半導体層12に対して例えばアルゴンプラズマ処理を施す。この際、先の工程において形成したゲート絶縁膜13およびゲート電極14をマスクとしてプラズマ処理を行う。この結果、半導体層12のうち、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14に非対向の領域(ゲート絶縁膜13およびゲート電極14から露出した領域)において、電気抵抗を低減させることができる。これにより、図4(B)に示したように、半導体層12を3つの領域(チャネル領域12A,ソース・ドレイン接続領域12Bおよび画素電極部12C)に機能的に分割する。
【0043】
この後、基板11上に層間絶縁膜15をパターン形成する。即ち、まず、図5(A)に示したように、層間絶縁膜15を例えばスピンコート法またはスリットコート法などにより、基板11の全面にわたって塗布形成する。尚、ここでは、層間絶縁膜15として上述したような感光性樹脂を用いる場合について説明する。続いて、このようにして成膜した層間絶縁膜15を、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする。即ち、所定の開口M3a1,M3a2を有するフォトマスクM3を使用して、層間絶縁膜15をパターン露光する。これにより、図5(B)に示したように、半導体層12のソース・ドレイン接続領域12Bに対向してコンタクトホールH1を、画素電極部12Cに対向して開口H2をそれぞれ形成し、半導体層12の表面の一部を露出させる。層間絶縁膜15として感光性樹脂を用いることにより、エッチング工程が不要になると共に、パターン露光後の開口H2付近の表面になだらかなテーパ形状が形成されるので、後の工程において成膜する機能層18の段切れ等を防ぐことができる。
【0044】
続いて、ソース・ドレイン電極層16をパターン形成する。即ち、まず、層間絶縁膜15上の全面に渡って、例えばスパッタ法により上述した導電膜材料を堆積させることにより、ソース・ドレイン電極層16を成膜する。この後、フォトリソグラフィ法によりソース・ドレイン電極層16のパターニングを行う。具体的には、図6に示したように、ソース・ドレイン電極層16上の全面に渡って、上述した感光性樹脂よりなる保護膜17を塗布形成する(ソース・ドレイン電極層16のパターニングに使用するフォトレジストを、保護膜17として利用する)。この後、成膜した保護膜17を、開口M4aを有するフォトマスクM4を使用してパターン露光する。これにより、図7に示したように、保護膜17がパターニングされ、ソース・ドレイン電極層16上の所定の領域(コンタクトホールH1に対応する領域)にのみ保護膜17が残存する。
【0045】
続いて、図8に示したように、例えばウェットエッチングを施すことにより、ソース・ドレイン電極層16のうち、保護層17から露出したが部分が選択的に除去される。上記のようにして、層間絶縁膜15上に、コンタクトホールH1を埋め込み、半導体層12(詳細にはソース・ドレイン接続領域12B)と電気的に接続されたソース・ドレイン電極層16がパターン形成される。尚、このエッチングによって、保護膜17は、ソース・ドレイン電極層16の側面から外側に向けて張り出した形状(いわゆるオーバーハング形状)となる。
【0046】
この後、ソース・ドレイン電極層16に残存した保護膜17を剥離せずに、これを加熱してリフローさせた後、硬化させる。これにより、図9に示したように、ソース・ドレイン電極層16の側面を含む全体を被覆する保護膜17を形成する。この保護膜17により、後の工程において成膜される機能層18とソース・ドレイン電極層16との電気的接触を防止し、それらの絶縁性を高める。
【0047】
尚、保護層17は、ソース・ドレイン電極層16の側面を完全に覆っていなくともよい。即ち、上記ソース・ドレイン電極層16のエッチング後、保護膜17をリフローさせずにオーバーハング形状のまま残存させてもよい。このような状態であっても、機能層18の成膜時には、保護膜17がマスクとなり、ソース・ドレイン電極層16の側面に有機材料が付着しにくくなるため、ソース・ドレイン電極層16と機能層18との絶縁性を確保することは可能である。ここでは、絶縁性をより高めるために、上述のように保護膜17をリフローさせてソース・ドレイン電極層16全体を覆うことが望ましい。
【0048】
この後、駆動基板11A上に機能層18を例えば真空蒸着法により成膜した後、上述した材料よりなる共通電極19を例えばスパッタ法により成膜する。続いて、保護層20を成膜した後、この保護層20上に封止基板21を貼り合わせることにより、図1に示した表示装置1を完成する。
【0049】
[作用、効果]
表示装置1では、R,G,Bの各画素に、各色の映像信号に応じた駆動電流が印加されると、画素電極部12C(アノード)および共通電極19(カソード)を通じて、機能層18に電子および正孔が注入される。これらの電子および正孔は、機能層18に含まれる有機EL層においてそれぞれ再結合され、発光光を生じる。このようにして、表示装置1では、R,G,Bのフルカラーの映像表示がなされる。
【0050】
本実施の形態では、このような表示装置1(駆動基板11A)において、酸化物半導体よりなる半導体層12上の選択的な領域(チャネル領域12A)に、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14が設けられ、そのチャネル領域12Aに隣接する領域(ソース・ドレイン接続領域12B)においてソース・ドレイン電極層16が半導体層12に電気的に接続される。半導体層12では、これらのチャネル領域12Aおよびソース・ドレイン接続領域12Bとは異なる領域(画素電極部12C)がアノードとして利用される。
【0051】
ここで、図10に、本実施の形態の比較例として、ソース電極(またはドレイン電極)を表示用の画素電極として利用した表示装置(表示装置100)の断面構造について示す。また、図11〜図13には、その表示装置100における駆動用基板の作製方法の一部について工程順に示す。
【0052】
表示装置100では、基板101上の所定の領域に半導体層102が設けられ、この半導体層102上の選択的な領域にゲート絶縁膜104およびゲート電極105がこの順に配設されている。基板101上には、これらの半導体層102、ゲート絶縁膜104およびゲート電極105を覆って層間絶縁膜103が形成されている。この層間絶縁膜103は、シリコン酸化物などの無機絶縁膜よりなり、半導体層102に対向する領域にコンタクトホールH100を有している。層間絶縁膜103上には、それらのコンタクトホールH100を埋め込むように、ソース電極10Aおよびドレイン電極106Bが配設されている。これらのソース電極10Aおよびドレイン電極106Bのうちの一方(ここでは、ドレイン電極106B)が、発光部100Aに対応する領域まで延在して設けられている。即ち、比較例では、ドレイン電極106Bが各画素のアノードを兼ねた構造となっている。このドレイン電極106Bの発光部100Aに対応する領域には、絶縁膜107の開口H101を介して、有機EL層を含む機能層108および共通電極109がこの順に積層されている。共通電極109上には保護層110が設けられ、この上に封止基板111が貼り合わせられている。
【0053】
このような構造を有する表示装置100の駆動用基板は、例えば次のようにして作製される。即ち、まず、フォトマスクM101(図示せず)を使用したフォトリソグラフィ法を用いて、基板101上に半導体層102を形成した後、この半導体層102上に、フォトマスクM102(図示せず)を使用してゲート絶縁膜104およびゲート電極105を一括してパターン形成する。
【0054】
続いて、図11(A)に示したように、基板101の全面にわたって、層間絶縁膜103を例えばCVD法により成膜した後、フォトレジスト1021aを塗布形成し、所定の領域に開口M103aを有するフォトマスクM103を用いて、フォトレジスト1021aをパターン露光する。この後、層間絶縁膜103をエッチングし、フォトレジスト1021aを剥離することにより、図11(B)に示したように、コンタクトホールH100を形成する。
【0055】
次いで、図12(A)に示したように、層間絶縁膜103上の全面にわたって、ソース電極106Aおよびドレイン電極106Bとなる電極層106を例えばスパッタ法により成膜した後、フォトレジスト1021bを塗布形成する。このフォトレジスト1021bを、所定の領域に開口M104aを有するフォトマスクM104を用いて、パターン露光する。この後、電極層106をエッチングし、フォトレジスト1021bを剥離することにより、図12(B)に示したように、ソース電極106Aおよびドレイン電極106Bをそれぞれ形成する。
【0056】
続いて、図13(A)に示したように、例えば感光性樹脂よりなる絶縁膜107を、基板101の全面にわたって形成した後、この絶縁膜107を、所定の領域に開口M105aを有するフォトマスクM105を用いて、パターン露光する。これにより、図13(B)に示したように、ドレイン電極106B上に開口H101を形成する。このようにして、比較例に係る駆動用基板を作製する。
【0057】
上記のように、ドレイン電極をアノードとして利用した比較例では、駆動用基板を作製する際、フォトリソグラフィプロセスにおいて使用するフォトマスクの層数が5層である。フォトリソグラフィプロセスは、フォトマスクやフォトレジストなどの部材を要するため、コスト高となり易く、またフォトレジストの塗布、露光、剥離などの多工程を経るために、成膜工程数が増えてしまう。このため、できるだけフォトリソグラフィ法によるパターニング工程は少ない方が望ましい。
【0058】
そこで、本実施の形態では、トランジスタ部10Bにおける半導体層12を機能的に分割し、一部を画素電極部12Cとして機能させる(半導体層12をアノードとして利用する)ことにより、上述のように、フォトリソグラフィプロセスを削減できる。また、これにより、駆動用基板の作製時に使用するフォトマスクの層数が4層で済み、フォトレジストなどの使用部材も少なくなる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態では、酸化物半導体よりなる半導体層12上の選択的な領域(チャネル領域12A)に、ゲート絶縁膜13およびゲート電極14が設けられ、そのチャネル領域12Aに隣接する領域(ソース・ドレイン接続領域12B)にソース・ドレイン電極層16が電気的に接続される。半導体層12では、これらのチャネル領域12Aおよびソース・ドレイン接続領域12Bとは異なる領域(画素電極部12C)がアノードとして利用される。これにより、製造プロセスにおいて、フォトマスク、フォトレジストなどの使用部材を減らし、工程数を削減することができる。よって、低コストかつ簡易なプロセスでの製造が可能となる。
【0060】
また、半導体層12において、ソース・ドレイン接続領域12Bおよび画素電極部12Cにプラズマ処理を施すことにより、電気抵抗率が低減され、酸化物半導体材料における電極や電気的な接続領域としての機能を高めることができる。
【0061】
更に、ソース・ドレイン電極層16のパターニングに用いたフォトレジストを保護膜17として残存させることにより、ソース・ドレイン電極層16と機能層18との絶縁性を確保することができる。また、残存した保護膜17をリフローさせ、ソース・ドレイン電極層16の全体を被覆させることにより、その絶縁性をより高めることができる。
【0062】
[表示装置の構成、画素回路構成]
次に、上記実施の形態に係る表示装置1の全体構成および画素回路構成について説明する。図14は、有機ELディスプレイとして用いられる表示装置の周辺回路を含む全体構成を表すものである。このように、例えば基板11上には、有機EL素子を含む複数の画素PXLCがマトリクス状に配置されてなる表示領域50が形成され、この表示領域50の周辺に、信号線駆動回路としての水平セレクタ(HSEL)51と、走査線駆動回路としてのライトスキャナ(WSCN)52と、電源線駆動回路としての電源スキャナ(DSCN)53とが設けられている。
【0063】
表示領域50において、列方向には複数(整数n個)の信号線DTL1〜DTLnが配置され、行方向には、複数(整数m個)の走査線WSL1〜WSLmおよび電源線DSL1〜DSLmがそれぞれ配置されている。また、各信号線DTLと各走査線WSLとの交差点に、各画素PXLC(R、G、Bに対応する画素のいずれか1つ)が設けられている。各信号線DTLは水平セレクタ51に接続され、この水平セレクタ51から各信号線DTLへ映像信号が供給されるようになっている。各走査線WSLはライトスキャナ52に接続され、このライトスキャナ52から各走査線WSLへ走査信号(選択パルス)が供給されるようになっている。各電源線DSLは電源スキャナ53に接続され、この電源スキャナ53から各電源線DSLへ電源信号(制御パルス)が供給されるようになっている。
【0064】
図15は、画素PXLCにおける具体的な回路構成例を表したものである。各画素PXLCは、有機EL素子5Dを含む画素回路50aを有している。この画素回路50aは、サンプリング用トランジスタ5Aおよび駆動用トランジスタ5Bと、保持容量素子5Cと、有機EL素子5Dとを有するアクティブ型の駆動回路である。これらのうち、トランジスタ5A(またはトランジスタ5B)が、上記実施の形態等のトランジスタ部10Bに相当する。
【0065】
サンプリング用トランジスタ5Aは、そのゲートが対応する走査線WSLに接続され、そのソースおよびドレインのうちの一方が対応する信号線DTLに接続され、他方が駆動用トランジスタ5Bのゲートに接続されている。駆動用トランジスタ5Bは、そのドレインが対応する電源線DSLに接続され、ソースが有機EL素子5Dのアノードに接続されている。また、この有機EL素子5Dのカソードは、接地配線5Hに接続されている。なお、この接地配線5Hは、全ての画素PXLCに対して共通に配線されている。保持容量素子5Cは、駆動用トランジスタ5Bのソースとゲートとの間に配置されている。
【0066】
サンプリング用トランジスタ5Aは、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応じて導通することにより、信号線DTLから供給される映像信号の信号電位をサンプリングし、保持容量素子5Cに保持するものである。駆動用トランジスタ5Bは、所定の第1電位(図示せず)に設定された電源線DSLから電流の供給を受け、保持容量素子5Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流を有機EL素子5Dへ供給するものである。有機EL素子5Dは、この駆動用トランジスタ5Bから供給された駆動電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光するようになっている。
【0067】
このような回路構成では、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応じてサンプリング用トランジスタ5Aが導通することにより、信号線DTLから供給された映像信号の信号電位がサンプリングされ、保持容量素子5Cに保持される。また、上記第1電位に設定された電源線DSLから駆動用トランジスタ5Bへ電流が供給され、保持容量素子5Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流が有機EL素子5D(赤色、緑色および青色の各有機EL素子)へ供給される。そして、各有機EL素子5Dは、供給された駆動電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。これにより、表示装置において、映像信号に基づく映像表示がなされる。
【0068】
<適用例>
以下、上記のような表示装置1の電子機器への適用例(モジュールおよび適用例1〜5)について説明する。電子機器としては、例えばテレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラ等が挙げられる。言い換えると、上記表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0069】
(モジュール)
表示装置1は、例えば図16に示したようなモジュールとして、後述の適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板11の一辺に、封止用基板60から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、水平セレクタ51、ライトスキャナ52および電源スキャナ53の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0070】
(適用例1)
図17は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有している。この映像表示画面部300が上記表示装置1に相当する。
【0071】
(適用例2)
図18は、デジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有している。この表示部420が上記表示装置1に相当する。
【0072】
(適用例3)
図19は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有している。この表示部530が上記表示装置1に相当する。
【0073】
(適用例4)
図20は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。この表示部640が上記表示装置1に相当する。
【0074】
(適用例5)
図21は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、上記表示装置1に相当する。
【0075】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、有機EL層を挟み込む下部電極(画素電極)をアノード、上部電極(共通電極)をカソードとして機能させる場合を例に挙げて説明したが、これとは逆に、下部電極をカソード、上部電極をアノードとして機能させてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…表示装置、10A…発光部、10B…トランジスタ部、11A…駆動用基板、11…基板、12…半導体層、12A…チャネル領域、12B…ソース・ドレイン接続領域、12C…画素電極部、13…ゲート絶縁膜、14…ゲート電極、15…層間絶縁膜、16…ソース・ドレイン電極層、17…保護膜、18…機能層、19…共通電極、20…保護層、21…封止基板、H1…コンタクトホール、H2…開口、M1〜M4…フォトマスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられると共に、酸化物半導体よりなる半導体層と、
前記半導体層の選択的な第1領域上に、ゲート絶縁膜を介して配設されたゲート電極と、
ソースまたはドレインとして機能すると共に、前記半導体層の前記第1領域に隣接する第2領域に電気的に接続されたソース・ドレイン電極層と、
前記半導体層の前記第1領域および前記第2領域とは異なる第3領域上に設けられると共に、前記半導体層の前記第3領域に対応する部分を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記半導体層では、前記第2領域および前記第3領域における電気抵抗率が前記第1領域に比べて低くなっている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記半導体層上に、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極を覆い、かつ前記第2領域に対応して第1開口、前記第3領域に対応して第2開口をそれぞれ有する層間絶縁膜を備え、
前記ソース・ドレイン電極層は前記層間絶縁膜の前記第1開口に対応する領域、前記有機電界発光素子は、前記層間絶縁膜の前記第2開口に対応する領域にそれぞれ設けられている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記層間絶縁膜は感光性樹脂よりなる
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ソース・ドレイン電極層は、前記第1開口を埋め込むように前記層間絶縁膜上に配設され、
前記層間絶縁膜上において前記ソース・ドレイン電極層を覆う保護膜を更に備えた
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記保護膜は感光性樹脂よりなる
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
基板上に、酸化物半導体よりなる半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の選択的な第1領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層の前記第1領域に隣接する第2領域に電気的に接続されるように、ソースまたはドレインとして機能するソース・ドレイン電極層を形成する工程と、
前記半導体層の前記第1領域および前記第2領域とは異なる第3領域上に、前記半導体層の前記第3領域に対応する部分を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子を形成する工程と
を含む表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート電極を形成する工程の後にプラズマ処理を行い、前記半導体層の前記第2領域および前記第3領域における電気抵抗率を前記第1領域よりも低減させる
請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記プラズマ処理の後であって前記ソース・ドレイン電極層を形成する前に、
前記半導体層上に、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極を覆い、かつ前記第2領域に対応して第1開口、前記第3領域に対応して第2開口をそれぞれ有する層間絶縁膜を形成する工程を含み、
前記ソース・ドレイン電極層を前記層間絶縁膜の前記第1開口に対応する領域、前記有機電界発光素子を、前記層間絶縁膜の前記第2開口に対応する領域にそれぞれ形成する
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記層間絶縁膜として感光性樹脂を用いる
請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記ソース・ドレイン電極層を形成する工程において、
前記ソース・ドレイン電極層を、前記層間絶縁膜上に前記第1開口を埋め込むように成膜した後、
成膜したソース・ドレイン電極層を、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする
請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記ソース・ドレイン電極層のパターニングの際に使用した感光性樹脂を加熱しリフローさせることにより、前記層間絶縁膜上において前記ソース・ドレイン電極層を覆う保護膜を形成する
請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
基板上に設けられると共に、酸化物半導体よりなる半導体層と、
前記半導体層の選択的な第1領域上に、ゲート絶縁膜を介して配設されたゲート電極と、
ソースまたはドレインとして機能すると共に、前記半導体層の前記第1領域に隣接する第2領域に電気的に接続されたソース・ドレイン電極層と、
前記半導体層の前記第1領域および前記第2領域とは異なる第3領域上に設けられると共に、前記半導体層の前記第3領域に対応する部分を画素電極として表示駆動される有機電界発光素子と
を備えた表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−204077(P2012−204077A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66282(P2011−66282)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】