説明

表面に図示記号を有する超吸収性発泡体

超吸収性発泡体は、乾燥発泡体の総重量に対して、少なくとも1質量%の無機粉末固体を含み、少なくとも1つのその表面に図示記号を有する。前記発泡体は、対応する量の無機固体を含有する発泡モノマー混合物を、少なくとも1つのその内壁表面に図示記号を有する成形型の中で重合することを特徴とする方法により得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に図柄を有する超吸収性発泡体、その製造方法及びその使用に関する。
【0002】
超吸収性物質は既知である。そのような物質には、「高膨張性ポリマー」、「ヒドロゲル」(多くの場合に乾燥形態としても使用される)、「ヒドロゲル形成ポリマー」、「吸水性ポリマー」、「吸収性ゲル形成物質」、「膨張性樹脂」、「吸水性樹脂」等の名称も使用される。当該の物質は、架橋親水性ポリマー、特に(共)重合親水性モノマーのポリマー、適切なグラフトベース上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋セルロースエーテル若しくはデンプンエーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋ポリアルキレンオキシド又は水溶液において膨張性である天然生成物、例えばグアー誘導体であり、このうち部分中和アクリル酸を基礎とする吸水性ポリマーが最も広く行き渡っている。超吸収性物質の本質的な特性は、水溶液において自重の数倍吸収する能力であり、特定圧力下においても液体を再び放出しない能力である。通常は乾燥粉末の形態で使用されるが、発泡体の形態でも知られている超吸収性物質は、液体を吸収するとゲルに変換し、したがって水を吸収するとヒドロゲルに変換する(この場合は、まさにヒドロゲルである)。架橋は、合成超吸収性物質にとっては必須であり、ポリマーに水中での不溶性をもたらすので、慣用の純粋な増粘剤と比較して大きく異なる。可溶性物質は、超吸収性物質として使用することができない。超吸収性物質の最も重要な使用分野は、体液の吸収である。超吸収性物質は、例えば、乳児用おむつ、成人用失禁用品又は女性用衛生用品に使用される。他の使用分野は、例えば、市場園芸用保水剤、火災からの保護用の水の貯蔵、食品包装における液体吸収又は極めて一般的に吸湿である。
【0003】
超吸収性発泡体、すなわち、酸性基を含む架橋モノマーを基礎とする又は架橋塩基性ポリマーを基礎とする吸水性発泡体も同様に既知である。超吸収性発泡体を、例えば衛生用品の液体貯蔵層として又は一般的に水性液体の吸収、誘導又は貯蔵のために使用することができる。
【0004】
超吸収性物質の製造方法も既知である。アクリル酸を基礎とする超吸収性物質は、市場において最も一般的であり、架橋剤(「内部架橋剤」)の存在下でのアクリル酸のフリーラジカル重合により製造され、アクリル酸は、典型的にはアルカリ、通常は水酸化ナトリウム水溶液の添加により重合の前、後又は前に部分的にそして後で部分的に、特定の程度中和される。内部架橋剤は、典型的には、重合においてアクリル酸モノマーから形成される異なるポリマー鎖に重合され、故にポリマー鎖が互いに架橋される少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。このようにして得られたポリマーゲルを粉砕し(使用する重合反応器に従う。これは重合と同時に行うことができる)、乾燥する。このようにして得られた乾燥粉末(「ベースポリマー」)は、典型的には、粒子内部と比較してより高度に架橋された表面層を得るために、ポリマーの異なる官能基の間に結合を形成することができる更なる架橋剤、例えば有機架橋剤又は多価カチオン、例えばアルミニウム(通常は、硫酸アルミニウムの形態で使用される)との反応により粒子の表面が架橋される。
【0005】
超吸収性発泡体の製造方法も同様に既知である。典型的には、モノマーを含む混合物が発泡される。これは、ガス気泡の機械的分散により、例えばダイの中でガスを泡立てる又はダイを通してガスを注入し、減圧することにより、また、モノマー溶液中のガス形成発泡剤の分解により実施することができる。このようにして発泡した混合物を、次に重合し、場合により後処理する。
【0006】
Fredric L. Buchholz及びAndrew T. Graham(編)は、"Modern Superabsorbent Polymer Technology", J. Wiley & Sons, New York, U.S.A./Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 1997, ISBN 0−471−19411−5において、超吸収性物質及び超吸収性発泡体を製造する既知の方法についての包括的概説を示している。
【0007】
超吸収性発泡体及びそれらの製造方法の例は、例えば、WO97/17397A1、WO97/31971A1、WO99/44648A1及びWO00/52087A1である。これらの発泡体は、酸性基を含み、かつ少なくとも50mol%の程度まで中和されているモノエチレン性不飽和モノマーと、架橋剤と、少なくとも1つの界面活性剤とを含む重合性水性混合物を発泡させ、続く発泡混合物の重合によって製造される。重合性混合物は、フリーラジカルに対して不活性であるガスの微細気泡を分散することにより又はそのようなガスを高圧下で重合性混合物に溶解し、混合物を減圧することにより発泡する。発泡体の含水量は、1〜60質量%に調整される。発泡体は、場合により、発泡物質上に架橋剤を噴霧することにより又は発泡体を架橋剤の中に浸け、架橋剤を積載した発泡体を高温で加熱することにより、表面後架橋に付すことができる。発泡体を、例えば、体液の取得、分配及び貯蔵のための衛生用品に使用する。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロース混合エーテルがこれらの出願において増粘剤として開示されている。微細超吸収性粒子を添加することによって発泡体を固めることも既知である。発泡体は、多くの場合、繊維を添加することによって割れは裂けに対して安定化される。
【0008】
WO03/066716A1は、ポリビニルアミンのような少なくとも1つの塩基性ポリマー及びグルシジルエーテルのような少なくとも1つの架橋剤を含む水性混合物を発泡し、続いて発泡混合物を架橋することによって得られる吸水性の塩基性ポリマーから形成される発泡体を開示する。
【0009】
WO03/066717A2は、アミノ基を含有するポリマーの添加によって、超吸収性発泡体の湿潤強度が増加し、残留モノマー含有量が低下する方法を開示する。
【0010】
WO2004/007598A1は、表面に微細化親水性二酸化ケイ素及び/又は界面活性剤を有する吸水性発泡体を開示する。WO2006/106108A1は、膨張遅延剤による処理の結果として、従来の発泡体よりもゆっくりと吸収する発泡体を開示する。
【0011】
WO2004/035668A2は、超吸収性繊維又は果実繊維、特にリンゴ繊維を含む吸水性発泡体を開示する。WO2006/094977A2は、木質繊維又は古紙繊維を含む吸水性発泡体を記載する。
【0012】
無機固体を粒状超吸収性物質に充填剤として添加できることも既知である。特に粘土鉱物がこの目的に使用される。
【0013】
GB2082614Aは、超吸収性粉末と、非架橋セルロース誘導体、デンプン、粒状粘土及び鉱物又はこれらの混合物から選択される充填剤とのブレンドを開示する。混合物は、構成成分の算出合計よりも高い吸収能力を有する。US4500670は、無機粉末が膨張ゲルの剛性を改善する、超吸収性物質及び無機不溶性粉末の混合物を教示する。US4735987により教示される懸濁重合法において、高度に膨張し、ガス透過性の超吸収性物質は、超吸収性粒子を懸濁液中で互いに架橋することによって得られ、無機充填剤、例えばハイドロタルサイト、モンモリロナイト、タルク、葉ろう石又はカオリナイトの存在が必要である。US4914066は、0.5〜15質量%の超吸収性物質を含むベントナイトから構成される造形体を開示する。
【0014】
WO91/12029A1、WO91/12031A1又はEP799861A1の教示によると、水不溶性ゼオライト又は活性炭は、不快臭の発生を閉じ込めるために、超吸収性物質への添加剤として使用される。WO01/13965A1によると、ケイ素が豊富なゼオライトがこの目的に使用される。
【0015】
US5419956は、液体分布を改善するために、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン又は粘土等の無機粉末、例えばカオリン若しくはモンモリロナイトが添加される超吸収性物質を含む、吸収性物品を開示する。WO01/68156A1は、液体伝導性も改善し、不快臭も結合するために、ケイ酸アルミナ、特にサポナイト又はモンモリロナイトのような層状構造のものが添加される超吸収性物質を記載する。
【0016】
US3900378は、電離放射線を用いる可溶性ポリマーの架橋による超吸収性物質の製造において、ポリマー粒子への充填剤の分散剤としての添加を教示する。充填剤の例には、パーライト、ケイソウ土、粘土、フライアッシュ及びケイ酸マグネシウム等の鉱物も挙げられている。US5733576の教示によると、そのような充填剤を、架橋ポリアクリレート及び多糖の混合物である超吸収性物質の製造において、添加することができる。
【0017】
US6124391は、超吸収性物質のケーキング傾向を打ち消す手段として、無機粉末、特にカオリンのような粘土の使用を開示する。
【0018】
WO00/72958A1は、超吸収性物質の相乗的充填剤としての粘土の使用を記載する。WO01/32117A1は、塩化ナトリウムに対する耐性を増加するため、僅かに酸性の超吸収性物質における塩基性充填剤としてのハイドロタルサイトの使用を教示する。
【0019】
本発明の目的は、表面に図柄を有する超吸収性発泡体及びその製造方法を見出すことである。したがって、乾燥発泡体の総重量に対して少なくとも1質量%の無機粉状固体を含み、少なくとも1つのその表面に図柄を有する、超吸収性発泡体が見出された。本発明の発泡体は、完成乾燥超吸収性発泡体の総重量に対して少なくとも1質量%の無機粉状固体を含む発泡モノマー混合物を、少なくとも1つの内壁面に図柄を有する成形型において重合する方法によって得られる。
【0020】
本発明の文脈において、発泡体の「表面」は、発泡体成形の幾何学的表面を意味し、例えば吸着等温線を測定する既知の方法により決定しうる発泡体の全ての気孔の全ての内部表面積を意味しないことが理解される。
【0021】
図柄は、点、線、領域、充填パターン又は他の図柄模様要素、特に字、文字、図、幾何学模様、具象的又は抽象的パターン及び文様により実質的な平面又は平面に描写することができる、全種類の記号及びパターンを意味することが理解される。発泡体が重合される成形型の対応する三次元幾何学図柄模様により簡単な方法で得ることができる発泡体成形における真の三次元図柄模様は、それが何を意味するかということではない。実質的な平面とは何を意味するかというと、表面が実質的に平坦な外観を伝えることであるが、図柄が、発泡体の表面から少し後ろに後退するか又は表面から突出することができるということである。したがって、三次元性がまるで紙への印刷工程のように典型的には最小限であっても、記号を感触により知覚することが全く可能でありうる。
【0022】
超吸収性発泡体は、従来技術から既知である。本発明によると、超吸収性発泡体は、少なくとも3g/g、好ましくは少なくとも4g/g、より好ましくは少なくとも5g/g、特に少なくとも6g/gの遠心分離保持能力(「CRC」、試験方法は、下記の「決定方法」のセクションに記載されている)を有する発泡体を意味することが理解される。
【0023】
本発明の超吸収性発泡体は、乾燥発泡体の総重量に対して少なくとも1質量%の無機粉状固体を含む。超吸収性発泡体に関して、これは、多くの場合に「充填剤」と呼ばれる。充填剤を含む超吸収性発泡体は既知である。
【0024】
粒状超吸収性発泡体のように、超吸収性発泡体も通常限定された含水量を有する。測定不能になる残留含水量まで乾燥することは、費用がかかり、不都合であり、超吸収性物質は環境から水分を取り込む。多くの場合に、発泡体の含水量は、特定の所望の値に、それぞれの場合に湿潤発泡体の総重量に対して、一般に少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも2質量%、より好ましくは少なくとも3質量%に意図的に調整される。含水量の上限は、吸収能力は含水量が上昇すると対応して下降するので、最終的には液体を吸収する発泡体の典型的な使用に関する単なる経済的考慮によって生じる。通常、液体吸収の使用前の発泡体の含水量の50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下(全て湿潤発泡体の総重量に基づく)が確立される。発泡体の典型的な含水量は、各場合、湿潤発泡体の総重量に対して、例えば5質量%又は10質量%である。しかし、超吸収性物質は、高含水量の場合であっても乾燥した感触がある。吸水は可逆性である。率を計算する確定された基礎を作り出すために、本出願の文脈における定量データは、特記しない限り、乾燥超吸収性発泡体、すなわち水を含まない超吸収性発泡体に基づいている。特定の含水量を有する実際の発泡体では、変換は対応して行われるべきである。含水量(「水分含有量」又は「残留水分」とも呼ばれる)は、下記の「決定方法」に規定された方法によって決定される。
【0025】
本発明の文脈において、質量%のデータは、常に、そして水以外の構成成分も、特に個別の場合に明確に記述されていない限り、乾燥超吸収性発泡体の総重量に基づいている。
【0026】
無機粉状固体は、重合の際に表面に図柄を形成するその能力が本発明の方法の成功に必須であり、モノマー混合物の適合性にとって必須である、充填剤である。原則的に、あらゆる無機粉末が適している。
【0027】
粉末における個別の粒子の大きさは、典型的には、一般に少なくとも1μm、好ましくは少なくとも5μm、より好ましくは少なくとも10μmであり、一般に最大1000μm、好ましくは最大900μm、より好ましくは最大850μmである。粉末粒子は、より小型の一次粒子の凝集体又は凝集塊であることもできる。例えば、粉塵形成又は吸引性粉塵の形成の問題を回避するために、モノマー混合物の製造のときだけより小型の粒子に分解する凝集塊の使用も等しく可能である。
【0028】
無機粉末は粒状固体である。そのような固体の例は、酸化物、粘土、ゼオライト、無機顔料、鉱物又は一般的に固体で化学的に不活性な物質(すなわち、重合又は発泡体の使用を有意に妨げない物質)である。
【0029】
適切な酸化物は、ランタニド及びアクチニドを含む元素周期表の2〜14族の金属酸化物である。特に適した金属酸化物の例は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化モリブデン及び酸化タングステン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化スズ、酸化鉛、酸化ランタン又は酸化セリウムである。説明:これらの一般名称の使用は、酸化物における金属の原子価に関する、すなわち酸化物の化学量論的組成に関する確定的な記述をすることを意図しない。元素の2つ以上の酸化物が既知である場合、全ての既知の酸化物の使用が一般に可能である。選択は、個別の場合の特定の考慮に従って、例えば、酸化物の価格又はその毒性、安定性、あるいは色に従って行われる。非常に適切な酸化物の例は、特にルチル若しくはアナターゼ多形体の二酸化チタン又は沈殿若しくは熱分解手段により製造された二酸化ケイ素である。
【0030】
粘土は、典型的には堆積岩として分解し、幾つかの場合にでは後処理される、水膨張性ケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩の鉱物である。しかし、これらを合成的に製造することもできる。例は、特にカオリンの形態の特にカオリナイト、イライト、アタパルジャイト(別名:パリゴルスカイト)、海泡石、特にベントナイトの形態のモンモリロナイト、葉ろう石、サポナイト又はタルクである。他の層状ケイ酸塩又は層状アルミノケイ酸塩、例えばバーミキュライト又はハイドロタルサイトを使用することもできる。
【0031】
他の有用な無機固体の例は、硫酸マグネシウム若しくは硫酸バリウムのような硫酸塩、炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウム若しくはドロマイトのような炭酸塩、ケイ酸カルシウム若しくはケイ酸マグネシウムのようなケイ酸塩、パーライト若しくは炭化ケイ素のような炭化物、ケイソウ土又はフライアッシュである。
【0032】
これらの固体の2つ以上の混合物の使用も可能である。
【0033】
アクリル酸を含むモノマー混合物からの超吸収性発泡体の製造において、幾つかの固体、特に炭酸カルシウムのような酸により分解されうる炭酸塩を発泡体形成に同時に使用することもできる。この場合、反応パラメーター及び物質の混合物の組成は、発泡体形成による炭酸塩の分解にもかかわらず、十分な量の粒状固体が残るように選択することを確実にするべきである。
【0034】
超吸収性発泡体における無機粉末の含有量は、一般に少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも2質量%、より好ましくは少なくとも5質量%であり、一般に最大50質量%、好ましくは最大40質量%、より好ましくは最大20質量%である。しかし、上限は、当然のことながら発泡体における非超吸収性画分により低下する、液体に対する発泡体の所望の吸収能力よりも、図柄を形成する発泡体の能力に対するあらゆる影響によって決定されることのほうが少ない。発泡体の比較的低い吸収能力が許容されるか、更には望ましい場合、無機粉末の割合は、規定の上限を超えることもできる。発泡体が図柄を形成する能力にとって最適な粉末含有量は、特定の粉末によって左右され、僅かな日常的な試験によって容易に決定することができる。例えば、カオリンを含む発泡体が図柄を形成する能力は、少なくとも10質量%のカオリン含有量で最適であり、少なくとも20質量%では更に良好であり、タルク含有発泡体の場合では、少なくとも20質量%のタルク含有量で最適であり、少なくとも40質量%では更に良好であり、二酸化チタン含有発泡体では、少なくとも1質量%の二酸化チタン含有量で最適であり、少なくとも5質量%では更に良好である。
【0035】
本発明の超吸収性発泡体は、架橋剤、無機粉状固体、少なくとも1つの界面活性剤及び場合により添加剤又は助剤、例えば可溶化剤、増粘剤、安定剤、充填剤、繊維及び/又はセル成核剤、並びに酸性基を含み、かつ場合により(部分的)に中和されている重合性及び架橋性のモノエチレン性不飽和モノマーを含む水性混合物を発泡させ、続いて発泡混合物を重合及び/又は架橋することによって都合良く得られる。
【0036】
加えて、超吸収性発泡体は、少なくとも1つの架橋性の塩基性ポリマー、架橋剤、無機粉状固体、少なくとも1つの界面活性剤及び場合により添加剤又は助剤、例えば可溶化剤、増粘剤、安定剤、充填剤、繊維及び/又はセル成核剤を混合物として発泡し、次に発泡混合物に存在する塩基性ポリマーを架橋して、発泡性ヒドロゲルを形成することによって、都合良く製造することができる。
【0037】
発泡体は、場合により続いて錯化剤及び/又は膨張遅延剤により処理される。簡素化のために、架橋性の塩基性ポリマー又は酸性基を有する重合性及び架橋性モノマーを含む混合物、さらには架橋性の塩基性ポリマーを含むが、酸性基を有する重合性及び架橋性モノマーを含まない混合物に特有ではない手段又は特性の記述において、用語「重合性の水性混合物」又は単に「モノマー混合物」も使用される。
【0038】
超吸収性発泡体の表面に図柄を得るために、少なくとも1つの内壁面に図柄を有する成形型において重合される。この内壁面において、これらの図柄は、異なる化学組成又は異なる物理的表面特性により、内壁面の残りの領域と異なっている。成形型の内壁面は、その表面が、超吸収性発泡体が得られるモノマー混合物の重合の際にモノマー混合物又は発泡体と接触する成形型の表面である。「成形型」は、重合が実施される容量の任意の空間限界を意味することが理解される。これは、必ずしも密閉成形型である必要はなく、むしろ、例えば重合のベルト式反応器の場合のように、一時的に材料を運搬するものであることもできる。成形型の「内壁表面」は、重合している発泡体と接触し、その結果、接触表面に特定の幾何学形状を付与する任意の表面である。
【0039】
成形型の内壁表面に形成されたこれらの図柄は、対応する図柄が発泡体に可視的に形成され、成型品の取り出し及び超吸収性発泡体の全体重合の際にその状態を維持するような局所的に限定された程度で、発泡体の重合に影響を与えると推定される。しかし、インク又は塗料により成形型に適用された図柄も、流れ出さない限り、発泡体において再現される。
【0040】
本発明の方法の簡単な実施態様において、モノマー混合物は、少なくとも1つの内壁面に、残りの内壁面と異なる粗さを有する、すなわち異なる物理的表面特性を有する内壁面の場所に形成された図柄を有する成形型において重合される。
【0041】
別の実施態様において、モノマー混合物は、少なくとも1つの内壁面に、インク又は塗料の適用により得られた図柄を有する、すなわち成形型の残りの内壁面と異なる化学組成の表面を有する成形型において重合される。更なる実施態様において、モノマー混合物は、少なくとも1つの内壁面に、表面の化学修飾により、例えばエッチングにより得られるが、ガス相からの化合物のイオン注入又は付着のような物理的又は物理化学的方法によっても得られる図柄を有する成形型において重合される。
【0042】
本発明の方法の好都合な実施態様において、成形型の内壁側面は、インク又は塗料により印刷又は塗布されている。印刷された図柄は、対応して発泡体に再現される。典型的には、成形型から発泡体への色の移転は起こらない。比較的薄い圧延物質を製造するために、発泡体を、例えば一方又は両方が印刷又は塗布されている2枚の膜の間で重合することができる。重合は、連続的に又はバッチ様式に実施することができる。
【0043】
本発明の例示的な実施態様において、下記:
a)10〜80質量%の、酸性基を含み、かつ少なくとも50mol%の程度まで中和されているモノエチレン性不飽和モノマー又は塩基性の架橋性ポリマー、
b)酸性基を有するモノエチレン性不飽和モノマーが使用される場合、場合により追加的に50質量%までの他のモノエチレン性不飽和モノマー、
c)0.001〜10質量%の架橋剤、
d)モノエチレン性不飽和モノマーが使用される場合、追加的な開始剤、
e)0.1〜20質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
f)場合により可溶化剤、
g)場合により、増粘剤、発泡体安定剤、重合調節剤、充填剤、繊維及び/又はセル成核剤
(各場合において、水性混合物の総重量に基づく)、並びに
h)最終乾燥発泡体の重量に対して1〜50質量%の無機固体
(ここで、水を含む混合物の個別の成分の総量は合計で100質量%となる)を含む水性混合物が形成される。
【0044】
無機固体は、典型的には、少なくとも0.5質量%及び最大30質量%の程度で水性混合物に存在する。
【0045】
水性混合物は、例えば、フリーラジカルに対して不活性なガスの微細気泡を混合物に分散することにより又は2〜400バールの圧力下でそのようなガスを架橋性混合物に溶解し、次に大気圧に減圧することにより発泡することができる。自由流動性発泡体が得られ、それを成形型に充填することができるか又はベルト上で硬化することができる。酸性基を含むモノマー、並びに場合により他のモノエチレン性不飽和モノマー及び架橋剤を使用する場合、硬化は重合により実施され、塩基性ポリマーを使用する場合、架橋により実施される。
【0046】
酸性基を含む架橋ポリマーを基礎とする超吸収性発泡体は、とりわけ、引用された従来技術文献EP858478B1、2頁55行目から18頁22行目、WO99/44648A1及びWO00/52087A1、5頁23行目から41頁18行目(これらは全て本明細書において明確に参照される)によって既知である。酸性基を含む有用なモノエチレン性不飽和モノマーは、顆粒状超吸収性物質の製造に使用されるモノマー及びモノマー混合物である。好ましいモノマーは、アクリル酸及びその塩である。更なるモノエチレン性不飽和モノマーも、顆粒状超吸収性物質の製造に関する文献によって同様に既知である。
【0047】
一実施態様において、吸水性の酸性ポリマーの発泡体が使用される。使用される吸水性の酸性ポリマーは、以降、酸性超吸収性物質とも呼ばれ、例えばWO00/63295A1、2頁27行目から9頁16行目に記載されている全てのヒドロゲルであることができる。これらは本質的に、少なくとも部分的に中和されている形態で、高い吸水能力を有する酸性モノマーの軽度に架橋されているポリマーである。それぞれの場合に軽度に架橋されているそのようなポリマーの例は、架橋ポリアクリル酸、デンプンのアクリロニトリルの架橋加水分解グラフトポリマー、デンプンのアクリル酸の架橋グラフトポリマー、酢酸ビニルとアクリル酸エステルの加水分解架橋コポリマー、架橋ポリアクリルアミド、加水分解架橋ポリアクリルアミド、エチレンと無水マレイン酸の架橋コポリマー、イソブチレンと無水マレイン酸の架橋コポリマー、架橋ポリビニルスルホン酸、架橋ポリビニルホスホン酸及び架橋スルホン化ポリスチレンである。酸性超吸収性物質としての、(部分)中和、軽度架橋ポリアクリル酸のポリマーの使用が好ましい。酸性超吸収性物質の酸性基の(部分)中和は、好ましくは水酸化ナトリウム溶液、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムにより実施される。しかし中和は、水酸化カリウム溶液、アンモニア、アミン又はエタノールアミン、ジエタノールアミン若しくはトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンにより実行することもできる。
【0048】
酸性超吸収性物質は、本明細書において明確に参照されるWO00/63295A1、2頁27行目から9頁16行目を含む上記の参考文献によって既知である。これらは場合により表面後架橋されることができ、これを達成するために、例えば軽度に架橋されたポリアクリル酸を、カルボキシル基に対して反応性のある少なくとも2つの基を有する化合物と反応させる。これらは既知の架橋剤である。表面後架橋剤としての用途において特に興味深いものは、例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール−1,4又はヘキサンジオール−1,6のような多価アルコール、エチレングリコールのグリシジルエーテル、モル質量が200〜1500、好ましくは300〜400ダルトンのポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンの、モル比が1:1〜25、好ましくは1:3〜15のトリメチロールプロパンとエチレンオキシドの反応生成物の、モル比が1:30、好ましくは1:4〜20のペンタエリスリトールとエチレンオキシドの反応生成物の完全にアクリル化又はメタクリル化された反応生成物である。実施される場合、アニオン性超吸収性物質の表面の後架橋は、例えば、220℃までの温度、例えば好ましくは120〜190℃の温度で実施される。
【0049】
架橋性の塩基性ポリマー
架橋性の塩基性ポリマーからの超吸収性発泡体の製造は、本明細書において明確に参照されるWO03/066716A1によって既知である。
【0050】
更なるモノマー
重合性水性混合物、並びに酸性基を有するモノマーも、更なるエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。適切なエチレン性不飽和モノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート及びジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0051】
架橋剤
ここで、モノマー混合物の重合に関して(あるいは塩基性ポリマーの架橋に関して)、「架橋剤」は、典型的には顆粒状超吸収性物質の場合における「内部架橋剤」として知られおり、超吸収性物質のポリマー鎖を互いに架橋して、典型的には、ポリマー鎖の架橋重合又は架橋の際に架橋剤の拡散の効果と別に、超吸収性物質の容量にわたって実質的に均一の程度の架橋を達成する架橋剤を意味することが理解される。しかし超吸収性物質は、また多くの場合に、容積に対して表面の架橋の程度を増大する表面架橋剤により表面が後架橋される。
【0052】
発泡体それ自体のような超吸収性発泡体を製造する塩基性ポリマーのための架橋剤は、とりわけ、本明細書において明確に参照されるWO03/066716A1によって既知である。
【0053】
酸性基を有するモノマーを基礎とするポリマーのための架橋剤も、同様に既知である。顆粒状超吸収性物質の製造においても知られている架橋剤が使用される。これらは、フリーラジカル機構を介してポリマー網状組織に重合されうる少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。適切な架橋剤は、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、ジ−及びトリアクリレート、またアクリレート基と更なるエチレン性不飽和基を含む混合アクリレート、又は架橋剤混合物である。
【0054】
適切な架橋剤は、特に、N、N’−メチレンビスアクリルアミド及びN,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ジアクリレート又はトリアクリレートのようなポリオールの不飽和モノ−又はポリカルボン酸のエステル、例えばブタンジオールジアクリレート若しくはジメタクリレート又はエチレングリコールジアクリレート若しくはジメタクリレート、また、トリメチロールプロパントリアクリレート、並びにアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸及びビニルホスホン酸誘導体のアリルエステルのようなアリル化合物である。更なる適切な架橋剤b)は、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリルジアリルエーテル及びグルセリルトリアリルエーテル、ソルビトールを基礎とするポリアリルエーテル、並びにこれらのエトキシル化変種である。本発明の方法によると、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、300〜1000の分子量を有する使用したポリエチレングリコールを使用することが可能である。
【0055】
しかし特に有利な架橋剤は、3〜15回エトキシル化したグリセロールの、3〜15回エトキシル化したトリメチロールプロパンの、3〜15回エトキシル化したトリメチロールエタンのジ−及びトリアクリレート、特に2〜6回エトキシル化したグリセロール又はトリメチロールプロパンの、3回プロポキシル化したグリセロール又はトリメチロールプロパンの、3回混合エトキシル化又はプロポキシル化したグリセロール又はトリメチロールプロパンの、15回エトキシル化したグリセロール又はトリメチロールプロパンの、40回エトキシル化したグリセロール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレートである。
【0056】
とりわけ好ましい架橋剤は、例えばWO03/104301A1に記載されている、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化されてジ−及びトリアクリレートを与えるポリエトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールである。特に有利なものは、3〜10回エトキシル化したグリセロールのジ−及び/又はトリアクリレートである。とりわけ好ましいものは、1〜5回エトキシル化及び/又はプロポキシル化したグリセロールのジ−又はトリアクリレートである。最も好ましいものは、3〜5回エトキシル化及び/又はプロポキシル化したグリセロールのトリアクリレートである。
【0057】
開始剤
重合反応に使用される開始剤は、重合条件下でフリーラジカルに分解する全ての化合物、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物及びいわゆるレドックス開始剤であり、また、フリーラジカルを生成する他の任意の方法、例えば高エネルギー放射線、例はUV光線であることができる。水溶性開始剤又はUV光線の使用が好ましい。幾つかの場合において、異なる重合開始剤の混合物、例えば過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムの混合物の使用が有利である。過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムの混合物は、任意の比率で使用することができる。適切な有機過酸化物は、例えばアセチルアセトン過酸化物、メチルエチルケトン過酸化物、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−アミルペルピバレート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルネオヘキサノエート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルイソノナノエート、tert−ブチルペルマレエート、tert−ブチルペルベンゾエート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジアセチルペルオキシジカーボネート、アリルペルエステル、クミルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペル−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド及びtert−アミルペルネオデカノエートである。更に適切な重合開始剤は、アゾ開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[2−(2’−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド及び4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)である。記述された重合開始剤は、慣用の量、例えば、重合されるモノマーに対して、一般に少なくとも0.01mol%、好ましくは少なくとも0.05mol%、より好ましくは少なくとも1mol%の量、一般に最大5mol%、好ましくは最大2mol%の量で使用される。
【0058】
レドックス開始剤は、酸化成分として、化合物あたり少なくとも1つの上記に特定したもの及び還元成分、例えばアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、アンモニウム亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩若しくは硫化物又はアルカリ金属亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩若しくは硫化物、鉄(II)イオン若しくは銀イオンのような金属塩又はナトリウムヒドロキシメチルスルホキシレートを含む。レドックス開始剤の還元成分としての、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリム又はピロ亜硫酸ナトリウムの使用が好ましい。重合に使用されるモノマーの量に対して、一般に少なくとも3・10-6mol%、好ましくは少なくとも1・10-5〜1mol%の、レドックス開始剤の還元成分、一般に少なくとも1・10-5、好ましくは少なくとも1・10-3〜5mol%の酸化成分が使用される。酸化成分に代わりに又はそれに加えて、1つ以上の水溶性アゾ開始剤を使用することも可能である。
【0059】
本発明の一実施態様において、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム及びアスコルビン酸から構成されるレドックス開始剤が使用される。例えば、これらの成分は、モノマーに対して、1・10-2mol%の過酸化水素、0.084mol%のペルオキソ二硫酸ナトリウム及び2.5・10-3mol%のアスコルビン酸の濃度で使用される。
【0060】
しかし重合は、上記に特定された種類の開始剤の不在下であっても、光開始剤の存在下での高エネルギー放射線の作用によって引き起こすことができる。これらは、例えば、いわゆるα−スプリッター、H−抽出系、あるいはアジ化物であることができる。そのような開始剤の例は、ミヒラーケトンのようなベンゾフェノン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、アントラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾインエーテル及びその誘導体、上記フリーラジカル形成剤のようなアゾ化合物、置換ヘキサアリールビスイミダゾール又はアシルホスフィンオキシドである。アジ化物の例は、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル4−アジドシンナメート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル4−アジドナフチルケトン、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル4−アジドベンゾエート、5−アジド−1−ナフチル2’−(N,N−ジメチルアミノ)エチルスルホン、N−(4−スルホニルアジドフェニル)マレイミド、N−アセチル−4−スルホニルアジドアニリン、4−スルホニルアジドアニリン、4−アジドアニリン、4−アジドフェナシルブロミド、p−アジド安息香酸、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン及び2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノンである。光開始剤は、使用される場合、重合されるモノマーの重量に対して、典型的には0.01〜5質量%の量で用いられる。
【0061】
モノマー水溶液は、溶解又は分散形態の開始剤を含むことができる。しかし、開始剤をモノマー溶液と別個に重合反応器に投入することもできる。
【0062】
界面活性剤
重合性又は架橋性の水性混合物は、更なる成分として、0.1〜20質量%の少なくとも1つの界面活性剤を含む。界面活性剤は、発泡体の製造及び安定化において重要な意味がある。互いに適合性のある、アニオン性、カチオン性又は非イオン性の界面活性剤又は界面活性剤混合物を使用することが可能である。低分子量のあるいはポリマーの界面活性剤を使用することが可能であり、異なる種類、あるいは同じ種類の界面活性剤の組み合わせが有利であることが見出されている。有用な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと、アルコール、アミン、フェノール、ナフトール又はカルボン酸との付加生成物である。有利には、使用される界面活性剤は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、少なくとも10個の炭素原子を含むアルコールとの付加生成物、アルコール1molあたり3〜200molが付加されたエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含む付加生成物である。付加生成物は、ブロック又はランダム分布の形態でアルキレンオキシド単位を含む。有用な非イオン性界面活性剤の例は、7molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの付加生成物、9molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの反応生成物及び80molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの付加生成物である。更なる有用な市販の非イオン性界面活性剤は、オキソアルコール又はチーグラーアルコールとアルコール1molあたり5〜12molのエチレンオキシド、特に7molのエチレンオキシドの反応生成物から構成される。更なる有用な市販の非イオン性界面活性剤は、ヒマシ油をエトキシル化することによって得られる。例えば、12〜80molのエチレンオキシドをヒマシ油1mol毎に加える。更なる有用な市販の生成物は、例えば、18molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの反応生成物、10molのエチレンオキシドと1molのC13/C15オキソアルコールとの付加生成物又は7〜8molのエチレンオキシドと1molのC13/C15オキソアルコールとの反応生成物である。更なる有用な非イオン性界面活性剤は、フェノールアルコキシレートであり、例えば、9molのエチレンオキシドと反応するp−tert−ブチルフェノール又は1molのC12〜C18アルコール及び7.5molのエチレンオキシドから形成される反応生成物のメチルエーテルである。
【0063】
上記記載の非イオン性界面活性剤を、例えば硫酸を用いるエステル化によって対応する硫酸モノエステルに変換することができる。硫酸モノエステルは、アルカリ金属又はアンモニウム塩の形態でアニオン性界面活性剤として使用される。適切なアニオン性界面活性剤は、例えば、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと脂肪アルコールとの付加生成物の硫酸モノエステルのアルカリ金属又はアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸の又はアルキルフェノールエーテルスルフェートのアルカリ金属又はアンモニウム塩である。記述された種類の生成物は、市販されている。例えば、106molのエチレンオキシドと反応させたC13/C15オキソアルコールの硫酸モノエステルのナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリエタノールアミン塩、アルキルフェノールエーテルスルフェートのナトリウム塩及び106molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの反応生成物の硫酸モノエステルのナトリウム塩は、商業的に使用可能なアニオン性界面活性剤である。更なる適切なアニオン性界面活性剤は、C13/C15オキソアルコールの硫酸モノエステル、C15−アルキルスルホネートのようなパラフィンスルホン酸、アルキル置換ベンゼンスルホン酸、並びにドデシルベンゼンスルホン酸及びジ−n−ブチルナフタレンスルホン酸のようなアルキル置換ナフタレンスルホン酸、またC15/C18脂肪アルコールホスフェートのような脂肪アルコールホスフェートである。重合性の水性混合物は、アニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の組み合わせ又はアニオン性界面活性剤の組み合わせ又はアニオン性界面活性剤の組み合わせを含むことができる。カチオン性界面活性剤も適している。その例は、6.5molのエチレンオキシドと1molのオレイルアミン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド及び硫酸ジメチルで四級化したステアリン酸トリエタノールアミンエステルとの、硫酸ジメチルで四級化した反応生成物である(好ましくはカチオン性界面活性剤として使用される)。
【0064】
水性混合物の界面活性剤含有量は、好ましくは0.5〜10質量%である。多くの場合、水性混合物は、1.5〜8質量%の界面活性剤含有量を有する。
【0065】
可溶化剤
架橋性の水性混合物は、場合により少なくとも1つの可溶化剤を更なる成分として含むことができる。これは、水混和性有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、一価アルコール、グルコール、ポリエチレングルコール又はそれらから誘導されるモノエーテル(ここでモノエーテルは分子において二重結合を何も含まない)を意味することが理解される。適切なエーテルは、メチルグルコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、メチルジグリコール、ブチルトリグリコール、3−エトキシ−1−プロパノール及びグリセリルモノメチルエーテルである。
【0066】
水性混合物は、0〜50質量%の少なくとも1つの可溶化剤を含む。可溶化剤が使用される場合、水性混合物におけるそれらの含有量は、好ましくは1〜25質量%である。
【0067】
増粘剤、発泡体安定剤、繊維、セル成核剤
架橋性の水性混合物は、場合により、増粘剤、発泡体安定剤、繊維及び/又はセル成核剤を含むことができる。増粘剤は、例えば、発泡体構造を最適化するため及び発泡体安定性を改善するために使用される。これは、発泡体が重合の際に僅かしか縮まない効果を達成する。有用な増粘剤には、水性系の粘度を著しく増加し、塩基性ポリマーのアミノ基と反応しない、この目的において既知の全ての天然及び合成ポリマーが含まれる。これらは、水膨張性又は水溶性の合成及び天然ポリマーであることができる。増粘剤の包括的な概説は、例えばR.Y. Lochhead and W.R. Fron, Cosmetics & Toiletries, 108, 95−135 (May 1993)及びM.T. Clarke, "Rheological Additives" in D. Laba (ed.) "Rheological Properties of Cosmetics and Toiletries", Cosmetic Science and Technology Series, Vol. 13, Marcel Dekker Inc., New York 1993において見出される。
【0068】
増粘剤として有用な水膨張性又は水溶性の合成ポリマーは、例えば、高分子量ポリエチレングリコール又はエチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、またデンプン、グアー粉、イナゴマメ粉のような高分子量多糖類又はカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロース混合エーテルのような天然物質の誘導体である。更なる増粘剤の群は、微細化セルロース粉末又は架橋セルロースの他の微細化粉末のような水不溶性生成物のものである。水性混合物は、増粘剤を30質量%までの量で含むことができる。仮にそのような増粘剤が使用される場合、これらは0.1、好ましくは0.5〜20質量%の量で水性混合物に存在する。
【0069】
発泡体構造を最適化するために、場合により、少なくとも5個の炭素原子を分子に有する炭化水素を水性反応混合物に加えることが可能である。適切な炭化水素は、例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン及びドデカンである。有用な脂肪族炭化水素は、直鎖、分岐鎖又は環状であることができ、発泡の際に水性混合物の温度よりも高い沸点を有することができる。脂肪族炭化水素は、未だ重合されていない発泡水性反応混合物の寿命を伸ばす。このことは、未だ重合されていない発泡体の取り扱いを容易にし、加工信頼性を増大する。炭化水素は、例えば、セル成核剤として作用し、同時に、既に形成された発泡体を安定化する。加えて、モノマー発泡体の重合の際に、混合物の更なる発泡をもたらすことができる。この場合、発泡剤の機能を有することもできる。炭化水素又はその混合物の代わりに、場合により、セル成核剤及び/又は発泡体安定剤として、塩素化又はフッ素化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロフルオロメタン又は1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンを使用することも可能である。炭化水素が使用される場合、これらは、重合性の水性混合物に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量で使用される。
【0070】
発泡体の特性は、場合により、更なる繊維を用いて改質することもできる。これらは、天然又は合成の繊維又は繊維混合物、例えば、セルロース、羊毛、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル又はポリアミドの繊維であることができる。繊維が使用される場合、これらは、例えば200質量%まで、好ましくは25質量%までの量で水性混合物に存在することができる。充填剤及び繊維は、場合により、既に発泡している混合物に加えることもできる。繊維の追加的な使用は、完成発泡体の湿潤強度のような強度特性の増加をもたらす。超吸収性発泡体における繊維の使用は既知である。
【0071】
特に塩含有水溶液の吸収のための発泡体
塩含有水溶液のためにも高い吸収能力を有する発泡体を製造するために、塩基性及び酸性の超吸収性物質が、好ましくは非中和形態で混合物に使用される。酸性の吸水性ポリマーの中和の程度は、例えば、0〜100mol%、好ましくは0〜75mol%、通常は0〜50mol%である。遊離塩基の形態の吸水性の塩基性ポリマーは、酸で中和されている形態よりも高い、塩含有水溶液、特に酸性水溶性の吸収能力を有する。塩基性ポリマーが単独の吸収性ポリマーとして使用される場合、中和の程度は、例えば、0〜100mol%、好ましくは060〜mol%である。
【0072】
発泡体の製造
モノマー又は塩基性ポリマー、架橋剤、無機粉末及び界面活性剤、並びに場合により更なる成分を含有する上記記載の架橋性の水性混合物が、最初に発泡される。例えば、不活性ガスを例えば2〜400バールの圧力で架橋性の水性混合物に溶解し、次に大気圧に減圧することが可能である。ダイを通した減圧は、自由流動性発泡体を形成する。架橋性の水性混合物を、不活性ガスの微細気泡を分散する別の方法により発泡させることもできる。架橋性の水性混合物を、針金製泡立て器を備えたフードプロセッサーにおいて水性混合物を発泡させることによって、実験室で発泡させることができる。発泡体の製造は、好ましくは不活性ガス雰囲気下、不活性ガスを用いて、例えば、窒素又は希ガスと標準圧下又は例えば25バールまでの高圧下で混合し、続いて減圧することによって実施される。発泡体の稠度、ガス気泡の大きさ及び発泡体におけるガス気泡の分布は、例えば、界面活性剤、可溶化剤、発泡体安定剤、セル成核剤、増粘剤及び充填剤の選択によって広範囲に変わることができる。これは、密度、発泡体の開放セル含有量及び発泡体の壁厚を容易に調整することを可能にする。水性混合物は、好ましくは水性混合物の構成成分の沸点よりも低い温度、例えば室温から100℃まで、好ましくは20〜50℃で発泡する。しかし、混合物を耐圧密閉容器で発泡させることにより、最低沸点によって成分の沸点よりも高い温度で処理することも可能である。架橋性混合物は、自由流動性であり長期間安定している発泡体の形態で得られる。20℃の温度での発泡架橋製混合物の密度は、例えば0.01〜0.9g/cm3である。
【0073】
発泡混合物の重合及び/又は架橋
プロセスの第2段階において、モノマーを重合して及び/又は塩基性ポリマーを架橋して、吸水性の塩基性ポリマーを形成する。重合では、例えばエチレン性不飽和二重結合を含む少なくとも2つの化合物が架橋剤として使用される。重合は、慣用のフリーラジカル形成開始剤の存在下で実施される。その結果、超吸収性物質である架橋されたポリマーが得られる。
【0074】
最初は水溶性であった塩基性ポリマーは、架橋によって水不溶性になる。塩基性ポリマーのヒドロゲルが得られる。架橋性発泡体混合物を、例えば適切な成形型に移し、モノマーが重合するように又は架橋剤が塩基性ポリマーと反応するように、その中で加熱する。発泡物質を、例えば、有利には付着防止被覆を備えた一時的な担体物質に所望の厚さで適用することができる。例えば、発泡体をドクターブレードにより基材に適用することができる。別の可能性は、水性発泡体混合物を、好ましくは同様に付着防止被覆を有する成形型に充填することから構成される。超吸収性発泡体の表面に図柄を生じるために、成形型は少なくとも1つの内壁面に図柄を有し、この内壁面は、異なる化学組成又は異なる物理的表面特性によって内壁面の残りの領域と異なる。
【0075】
発泡水性混合物は長い寿命を有するので、この混合物は、複合材料の製造にも適している。例えば、永久担体物質、例えばポリマーの膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリアミドの膜)又はアルミニウムのような金属に適用することができる。発泡水性混合物を、不織布、綿毛、ティッシュ、織布、天然若しくは合成繊維、又は他の発泡体に適用することもできる。複合材料の製造では、幾つかの状況において、発泡体を特定構造の形態又は異なる層厚の支持物質に適用することが有利でありうる。しかし、発泡体を綿毛層又は不織物質に適用し、綿毛が、架橋後、発泡体の不可欠な部分になるように、これらの物質を含浸させることも可能である。プロセスの第1段階で得られる発泡水性混合物を、大型のブロックに造形し、架橋することもできる。架橋後、ブロックを切断又はのこで挽いて小型の造形体にすることができる。発泡水性混合物を基材に適用し、発泡層を膜若しくは不織布、ティッシュ、織布、繊維又は他の発泡体で覆い、サンドイッチ型構造を加熱により架橋することによって、サンドイッチ型構造を製造することも可能である。しかし、架橋の前又は後に、発泡した架橋性層の少なくとも1つの更なる層を適用し、場合によりそれを更なる膜、不織布、ティッシュ、織布、繊維又は他の物質で覆うことも可能である。プロセスの第2段階において、次に複合体を架橋に付す。しかし、同じ又は異なる密度の更なる発泡体層によりサンドイッチ型構造を製造することも可能である。
【0076】
約1ミリメートルまでの厚を有する本発明の発泡体層を、例えば発泡した重合性又は架橋性の水性混合物の一面を加熱することにより又は特に一面を照射することにより製造する。発泡体のより厚い層が製造される場合、例えば、数センチメートルの厚さを有する発泡体では、マイクロ波による架橋性発泡物質の加熱が特に有利であり、それは、この方法によって比較的均一な加熱を達成することが可能であるからである。架橋は、例えば20〜180℃の温度、好ましくは40〜160℃の範囲、特に65〜140℃の温度で実施される。架橋されるより厚い発泡体層の場合では、発泡混合物には、例えば接触加熱又は照射により、両面の熱処理を行う。ヒドロゲル発泡体の密度は、実質的に架橋性の水性混合物の密度に対応する。したがって、発泡体は、例えば0.01〜0.9g/cm3、好ましくは0.1〜0.7g/cm3の密度の吸水性ポリマーから得られる。ポリマー発泡体は、開放セルである。開放セル含有量は、例えば、少なくとも80%であり、好ましくは90%を超える。特に好ましいものは、開放セル含有量が100%の発泡体である。発泡体における開放セル含有量は、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて決定される。
【0077】
好ましいものは、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液で少なくとも50%の程度に中和されたアクリル酸と、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を含む架橋剤と、開始剤と、加水分解され、続いて架橋された、イソブテンと無水マレイン酸のコポリマーから構成される超吸収性繊維と、少なくとも1つの界面活性剤とを含む重合性の水性混合物からの処理によって得られる発泡体である。超吸収性発泡体の更なる例は、ビニルアミン単位を含むポリマー、ビニルグアニジン単位を含むポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド単位を含むポリマー、ポリエチレンイミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドの群からの少なくとも1つの塩基性ポリマーを含む、重合性の水性混合物を発泡することによって得られる。
【0078】
特に高い吸水能力を有し、電解質含有水溶液の改善された吸収能力を有する発泡体は、ポリマー混合物に対して10〜90質量%の微細化した吸収性の酸性ポリマーを含む塩基性ポリマーの発泡水性混合物を架橋することによって得られる。酸性ヒドロゲルは、本発明の発泡体において、固体粒状ポリマーとして又は例えば10〜2000μmの粒径を有する発泡粒状ポリマーとして存在することができる。
【0079】
発泡混合物の架橋の後で又は架橋の間に、ヒドロゲル発泡体が乾燥する。これにより、架橋ヒドロゲル発泡体から水及び他の揮発性構成成分を除去する。乾燥は、好ましくはヒドロゲル発泡体の架橋後に実施される。適切な乾燥方法の例は、熱対流乾燥、例えばトレー乾燥、チャンバー乾燥、ダクト乾燥、平板乾燥、パン乾燥、回転ドラム乾燥、フリーフォールタワー乾燥、多孔ベルト乾燥、フロー乾燥、移動層乾燥、パドル乾燥及びボールベッド乾燥、ホットプレート乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥、多孔ドラム乾燥、スクリュー乾燥、タンブル乾燥及び接触ディスク乾燥のような熱接触乾燥、放射乾燥、例えば赤外線乾燥、誘電乾燥、例えばマイクロ波乾燥、並びに凍結乾燥である。望ましくない分解及び架橋反応を防止するために、乾燥を減圧下、保護ガス雰囲気下及び/又は生成物の温度が120℃、好ましくは100℃を超えない穏やかな熱条件下で実施することが有利でありうる。特に適した乾燥法は、(真空)ベルト乾燥及び(粉砕発泡体が望ましいか又は許容される場合)パドル乾燥である。
【0080】
乾燥工程の後、ヒドロゲル発泡体は、通常、水を含むことはない。しかし発泡物質の含水量は、発泡体を水又は水蒸気で湿潤して望ましいように調整することができる。通常、ゲル発泡体の含水量は、1〜60質量%、好ましくは2〜10質量%である。含水量により、ヒドロゲル発泡体の柔軟性を調整することができる。完全に乾燥したヒドロゲル発泡体は、硬質で脆性であるが、例えば5〜20質量%の含水量を有する発泡物質は、柔軟性がある。発泡ヒドロゲルを膜若しくは顆粒の形態で直接使用することができるか、或いは個別のスラブ又は膜を厚い発泡体ブロックから切り取ることができる。
【0081】
しかし上記ヒドロゲル発泡体を、発泡物質の表面が後架橋されるように改質することもできる。このことは、発泡ヒドロゲルの造形体のゲル安定性の改善を可能にする。表面後架橋を実施するために、発泡ヒドロゲルの造形体の表面を、通常は溶液の形態の少なくとも1つの架橋剤(「表面架橋剤」、「後架橋剤」又は「表面後架橋剤」)で処理し、そのように処理された造形体を、これらの架橋剤が未だ後架橋されていない超吸収性発泡体と反応する温度で加熱する。
【0082】
適切な後架橋剤は、例えば下記である:
・ ジ−又はポリエポキシド、例えばホスホン酸ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はポリアルキレングリコールのビスクロロヒドリンエーテルのようなジ−又はポリグリシジル化合物、
・ アルコキシシリル化合物、
・ アジリジン単位を含み、ポリエーテル又は置換炭化水素を基礎とするポリアジリジン化合物、例えばビス−N−アジリジノメタン、
・ ポリアミン又はポリアミドアミン及びそれらのエピクロロヒドリンとの反応生成物、
・ エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、メチルトリグリコール、平均分子量Mwの200〜10000を有するポリエチレングリコール、ジ−及びポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトールのようなポリオール、これらのポリオールのオキシエチレート及びカルボン酸とのそのエステル又は炭酸エチレン若しくは炭酸プロピレンのような炭酸のオキシエチレート、
・ 尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン及びその誘導体、ビスオキサゾリン、ポリオキサゾリン、ジ−及びポリイソシアネートのような炭酸誘導体、
・ 例えばメチレンビス(N−メチロールメタクリルアミド)又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂のようなジ−及びポリ−N−メチロール化合物、
・ 2つ以上のブロックイソシアネート基を有する化合物、例えば2,2,3,6−テトラメチル−4−ピペリジノンでキャップされているトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート。
【0083】
必要な場合は、酸性触媒、例えばp−トルエンスルホン酸、ホスホン酸、ホウ酸又はリン酸二水素アンモニウムを加えることができる。
【0084】
特に適切な後架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテルのようなジ−又はポリグリシジル化合物、ポリアミドアミンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、2−オキサゾリジノン及びN−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノンである。
【0085】
表面後架橋(多くの場合、単に「後架橋」)は、典型的には、表面後架橋剤(多くの場合、単に「後架橋剤」)の溶液を発泡体の表面に噴霧する方法で実施される。
【0086】
表面後架橋剤は、好ましくは、水溶液の形態で発泡体表面に適用される。水溶液は、水混和性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール及び/若しくはi−プロパノールのようなアルコール又はアセトンのようなケトンを含むことができる。ヒドロゲル発泡体の表面に適用される架橋剤の量は、例えば、0.1〜5質量%、好ましくは1〜2質量%である。ヒドロゲル発泡体の表面後架橋は、少なくとも1つの架橋剤で処理したヒドロゲル発泡体を例えば60〜120℃、好ましくは70〜100℃の温度で加熱することによって実施される。表面架橋後、表面を後架橋した発泡ヒドロゲルの含水量も同様に、1〜60質量%の値に調整することができる。
【0087】
錯化剤及び/又は膨張遅延剤による発泡体の後処理
錯化剤
本発明の一実施態様において、発泡体、好ましくは酸性基を有するモノマーを含む重合性混合物から得られた発泡体の安定性は、発泡体表面に錯体を形成することによって増加する。発泡体における錯体は、少なくとも1つの錯化剤による処理によって形成される。錯化剤は、錯化カチオンを含む作用物質である。これは、好ましくは二価又は多価カチオンの溶液を噴霧することによってもたらされ、この場合、カチオンは官能基、例えばポリマー発泡体の酸性基と反応して、錯体を形成することができる。二価又は多価カチオンの例は、公式には、そのアミン基が常に、非常に高いpHであっても、アンモニウム基又はMg2+、Ca2+、Al3+、Sc3+、Ti4+、Mn2+、Fe2+/3+、CO2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Y3+、Zr4+、La3+、Ce4+、Hf4+及びAu3+のような金属カチオンに部分的にプロトン化している、部分的又は完全に加水分解したポリビニルアミド(「ポリビニルアミン」として知られている)のようなビニルアミンモノマーから、完全に又は部分的に形成されたポリマーである。好ましい金属カチオンは、Mg2+、Ca2+、Al3+、Ti4+、Zr4+及びLa3+であり、特に好ましい金属カチオンは、Al3+、Ti4+及びZr4+である。金属カチオンを単独で又は互いの混合物として使用することができる。アニオンは大きな制限を受けることはなく、記述された金属カチオンのうち、適切な金属塩は、使用される溶媒に十分な可溶性を有するもの全てである。特に適した金属カチオンは、弱錯化アニオン、例えば塩化物、硝酸塩及び硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、並びに酢酸塩及び乳酸塩のようなカルボン酸塩である。硫酸アルミニウムAl2(SO43の使用が特に好ましい。金属塩に使用される溶媒は、水、アルコール、DMF、DMSO及びこれらの成分の混合物であることができる。特に好ましいものは、水及び水/アルコール混合物、例えば水/メタノール、水/1,2−プロパンジオール及び水/1,3−プロパンジオールである。非常に好ましいものは、水である。
【0088】
水溶液中の多価金属イオンの濃度は、一般に少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも2質量%であり、一般に最大20質量%、好ましくは最大10質量%である。錯化剤又は膨張遅延剤の適用前の乾燥発泡体に対して、一般に少なくとも0.05質量%、好ましくは少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.2質量%、例えば少なくとも0.8質量%、一般に最大10質量%、好ましくは最大8質量%、より好ましくは最大5質量%、例えば最大3.2質量%の多価金属イオンが使用される。本発明の文脈において、5質量%の水を含む発泡体は「乾燥」している。硫酸アルミニウムを使用する場合、0.8質量%のカチオンの含有量は、Al2(SO43の5質量%の含有量に相当し3.2質量%のカチオンの含有量は、Al2(SO43の20質量%の含有量に相当する。
【0089】
膨張遅延剤
場合により、発泡体を少なくとも1つの膨張遅延剤で処理する。膨張遅延剤は、湿潤又は乾燥状態(発泡体中<10質量%の水)の超吸収性発泡体の表面に適用され、液体吸収の遅延をもたらす物質を意味すると理解され、幾つかの用途において有利でありうる。膨張遅延剤による超吸収性物質の処理は既知である。
【0090】
発泡体の使用
場合により表面が後架橋された本発明のヒドロゲル発泡体を全ての目的に使用することができ、例えば、EP858478B1によって既知の架橋ポリアクリレートのような酸性基を含むポリマーを基礎とするヒドロゲル発泡体が使用される。本発明のヒドロゲル発泡体は、例えば、体液を吸収する衛生用品、創傷を覆う包帯材料、密封物質、包装材料、土壌改良剤、土壌代替品、脱水スラッジ、酸性の水性廃棄物の吸収、ラッカーの残量の廃棄のための水性ラッカーの増粘、水含有油若しくは炭化水素の脱水、又は換気系のフィルターの材料における使用に適している。
【0091】
本発明は、更に、おむつ、生理用ナプキン、失禁用品及び包帯材料のような本発明の発泡体を含む衛生用品を提供する。衛生用品において、例えば、本発明の発泡体は、幾つかの機能、特に体液の取得、分配及び/又は貯蔵を実現する。特に、これらはおむつ又は女性用衛生用品における貯蔵層として体液を貯蔵するのに適している。液体吸収の遅延によって、吸収される液体は、最初に衛生用品に均一に分配される。これによって、液体による第2又は多数の接触の場合、発泡体の全領域が依然として良好な程度で利用可能になるのに間に合うように補うことが可能になる。
【0092】
吸収性発泡体層を含む衛生用品の構造は、その製造と共に既知である。本発明の吸収性発泡体は、既知の吸収性発泡体と同じようにこれらの衛生用品に使用される。本発明のヒドロゲル発泡体の発泡体層は、例えば1〜5mmの厚さであり、例えばポリエチレン又はポリプロピレンのフィルムの上部液体透過性カバーシートと下部液体不透過性シートの間の吸収性コアとして、上記衛生用品のうちの1つの中に配置されうる。衛生用品の透過性層は、使用時に使用者の皮膚と直接接触する。この物質は、典型的には、セルロース繊維又は綿毛のような天然繊維から構成される不織布からなる。場合により、ティッシュ層も吸収性コアの上側及び/又は下側に配置される。衛生用品の下部層と吸収性コアの間に、場合により従来の粒状アニオン性超吸収性物質の貯蔵層が存在することも可能である。発泡塩基性ヒドロゲルがおむつの吸収性コアに使用される場合、発泡塩基性ヒドロゲルの開放セル構造のため、通常は個別の量で一度に適用される体液が急速に除去される。このことは、使用者におむつの表面の乾燥という心地よい感触を与える。
【0093】
測定方法
遠心分離保持能力([CRC」)
この方法において、超吸収性発泡体の保持能力を、超吸収性発泡体1gあたりの重力に対するティーバッグの液体のgによって測定した。CRCを測定するために、0.2000+/−0.0050gの試験する超吸収性発泡体を、60×85mmの大きさのティーバッグに導入し、続いて密閉した。残留水分は発泡体の吸水を低下させ、したがってCRCを低下させるため、理想的には、発泡体は乾燥、すなわち無水である。しかし、CRCは、典型的には少なくとも3g/gの値であり、多くの場合にそれよりも有意に高いので、発泡体の特定の含水量は、顕著な測定誤差をもたらさない。湿潤発泡体の重量に対して5質量%までの含水量は、通常はより高い含水量でも、問題なく許容される。測定されるCRC値は、必要であれば、発泡体の含水量により算術的に修正することもできる。
【0094】
ティーバッグを、過剰量の0.9質量%の塩化ナトリウム溶液(少なくとも0.83Lの塩化ナトリウム溶液/1gのポリマー)に30分間導入する。次にティーバッグを250gで3分間遠心分離する。吸収された及び重力に対して保持された液体の量も、遠心分離したティーバッグを計量することによって決定する。同じ方法で、超吸収性発泡体を充填しないティーバッグを使用して、空試験値を決定し、それを、超吸収性発泡体により決定した吸収された及び保持された液体の量から減じた。ここで使用した出発重量では、CRCは、空試験値でこのように修正した値を単に5倍することにより計算する。
【0095】
含水量
含水量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association, Avenue Eugene Plasky 157, 1030 Brussels, Belgium; www.edana.org)から得られる推奨方法430.2−0により決定する。
【0096】
実施例
実施例に使用される発泡体の製造
ビーカーの中で、磁気撹拌機を用いて、以下の成分を混合した:
209.13gのアクリル酸
81.31gの37.3質量%の、水中のアクリル酸ナトリウム溶液
16.8gのポリエチレングリコールジアクリレート−400
25.60gの、80molのエチレンオキシドと1molの直鎖飽和C16〜C18脂肪アルコールとの付加生成物の15%水溶液
26.62gの水、及び
下記の表において特定した量の下記に特定した無機固体粉末。
【0097】
この懸濁液に、氷冷しながら、240.54gのトリエタノールアミンをゆっくりと加え、次に混合物を15℃に冷却した。得られた溶液を圧力容器に移し、二酸化炭素流を300l/時間で25分間通して12バールの圧力により二酸化炭素で飽和した。圧力下、16gの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドの3質量%水溶液を加え、次に二酸化炭素を反応混合物の中にさらに5分間通した。次に反応混合物を1.0mmの直径のダイを通して12バールの圧力で加圧して、微細セルの容易な自由流動性発泡体を形成した。
【0098】
得られたモノマー発泡体を3mm高の端部を有するDIN A−3サイズのガラスプレートに適用し、最初に、シリコン処理ポリエステルフィルム(シリコン処理ポリエチレンテレフタレートフィルムHostaphan(登録商標)RN、厚さ36μm、Mitsubishi Polyester Film GmbH, Wiesbaden, Germanyから入手)で覆った。発泡体は、最上部を、プラスチック筆記用の市販のペン(「フィルムペン」)により図柄(パターン)を適用した同じ種類のフィルム片で覆う。上部フィルムを第2ガラスプレートで覆う。発泡体試料では、Dr. Hoenle AG, Graefelfing, GermanyからのUVASPOT 1000/T UV/VIS放熱器により上方から及び同じ製造者の2台のUVASPOT 400T UV/VIS放熱器により下方からUV光線により両面を同時に4分間照射した。
【0099】
得られた発泡体層を真空乾燥キャビネットにおいて80℃、窒素雰囲気下で完全に乾燥し、次に水を噴霧して水分含有量を5質量%に調整した。
【0100】
異なる充填剤及び充填剤の量による結果を以下の表にまとめる。発泡体における充填剤の量を、乾燥発泡体のために変換した。発泡体表面の図柄の出現は、視覚により評価した。「図柄」の列は、どれぐらい良好に図柄が再現されたかを記載している。
【0101】
nb 非検出
0 図柄の出現なし
0+ 図柄の不十分な出現
+ 図柄の良好な出現
++ 図柄の非常に良好な出現
【表1】

【0102】
実施例は、固体含有量及び固体の種類に応じて、表面に図柄を有する発泡体が得られることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥発泡体の総重量に対して、少なくとも1質量%の無機粉状固体を含み、少なくとも1つの表面に図柄を有する、超吸収性発泡体。
【請求項2】
乾燥発泡体の総重量に対して、少なくとも5質量%の無機固体を含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
酸性基を有するモノマーを基礎とする架橋ポリマーである、請求項1又は2に記載の発泡体。
【請求項4】
アクリル酸とアクリル酸ナトリウムの混合物を基礎とする架橋ポリマーである、請求項3に記載の発泡体。
【請求項5】
表面が後架橋された及び/又は錯化剤で処理された、請求項1から4までのいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項6】
無機粉状固体が二酸化チタンである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項7】
乾燥発泡体の総重量に対して、少なくとも1質量%の無機粉状固体を有し、少なくとも1つのその表面に図柄を有する超吸収性発泡体を製造する方法であって、乾燥発泡体の総重量に対して、少なくとも1質量%の無機粉状固体及び重合性の、及び架橋性の、場合により(部分的)に中和されている、酸性基を含むモノエチレン性不飽和モノマー又は少なくとも1つの架橋性の塩基性ポリマー、並びに架橋剤、無機微細充填剤及び少なくとも1つの界面活性剤を含む発泡モノマー混合物を、少なくとも1つの内壁面に図柄を有する成形型の中で重合させる前記方法。
【請求項8】
重合後に、表面後架橋剤及び/又は錯化剤により発泡体の表面の処理をする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
体液を吸収する衛生用品における請求項1から6までのいずれか1項に定義された超吸収性発泡体の使用。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項に定義された発泡体を含む、体液を吸収する衛生用品。

【公表番号】特表2011−505436(P2011−505436A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533549(P2010−533549)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065195
【国際公開番号】WO2009/062902
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】