説明

表面形状測定用触針式段差計を用いた段差測定方法及び装置

【課題】触針式段差計を用いて表面形状を測定する際に、表面形状における段差部での応答性の良さと雑音の小ささを両立させることができる測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】カットオフ周波数70Hzの低域通過フィルタを備え、探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧に基づき横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを出力する検出回路と、dz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、平坦部領域データ部分をさらに13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、そして処理した平坦部領域データ部分を立上り領域データ部分及び立下り領域データ部分とに結合して段差形状データを得るコンピュータ装置とを有して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の表面形状を測定する触針式段差計を用いた段差測定方法及び装
置に関するものである。
【0002】
本明細書において、用語“試料の表面形状”は試料の段差、膜厚、表面粗さの概念を包含して意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
この種の触針式段差計としては従来、支点に揺動可能に取付けられた支持体の一端に探針を取付け、この一端に隣接して探針の垂直方向変位を検出する変位センサの磁性体コアを取付け、支持体の他端には探針に針圧を加える針圧発生装置の磁性体コアを取付け、探針が捉えた試料の表面形状を支持体の支点回りの回転運動により変位センサで測定するようにしたものが提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−226964公開特許公報
【特許文献2】特開2007−003317公開特許公報
【0004】
この種の触針式段差計を用いた段差形状測定では、探針を試料に対して相対的に一定の速さで掃引し、差動トランス等の変位センサの出力電圧を一定の時間間隔で計測器により測定し、そのデータをコンピュータに送ってモニターに表示するようにされ、モニター上には横軸がx方向の距離(時間に比例)、縦軸が変位zのデータが得られる。
【0005】
添付図面の図1には、本発明において使用され得る触針式段差計の一形態を示し、1は固定支持台で、その上に支点2を介して揺動支持棒3が設けられ、この揺動支持棒3の一端には探針4が下向きに取り付けられている。探針4はその先端はダイヤモンドで構成され、また先端の半径は一般的には2.5μmであるが、それより大きくても小さくてもよい。また、揺動支持棒3の他端には探針4に垂直下方の力すなわち針圧を加える力を発生する針圧発生装置5が設けられている。この針圧発生装置5は、揺動支持棒3の他端から上方へのびる磁性体コアから成る作動子5aと作動子5aを受ける穴をもつコイル5bとで構成されている。揺動支持棒3の一端における探針4より支点2側において、探針4の垂直方向の変位を検出する変位センサ6が設けられ、この変位センサ6は揺動支持棒3に一端を固定した磁性体コアから成る測定子6aと測定子6aの他端すなわち自由端を受けるコイル6bとを備えた差動トランスで構成されている。
【0006】
また、図1において7は試料ホルダーで、その上に走査ステージ8が探針4に対して予定の走査速度で移動できるように設けられ、この走査ステージ8上には被測定試料9が取り付けられ得る。針圧発生装置5及び探針4の垂直方向の変位を検出する変位センサ6は制御手段10に接続され、この制御手段は検出手段を成す変位センサ6からの出力信号に基いて針圧発生装置5の動作を制御するように構成されている。なお、図1の装置において試料9を固定して探針側を走査するように構成することも可能である。
【0007】
図2には図1に示す制御手段10の構成の一例を示している。図2において、11はコンピュータ装置で、このコンピュータ装置11はアナログ入出力ボード12を介して、針圧発生装置5におけるコイル5bに接続された針圧発生装置用電源13及び走査ステージ8の駆動装置14にそれぞれ接続されている。また、コンピュータ装置11は、汎用インターフェースボード15を介してデジタルロックイン増幅器及び発振器を備えた検出回路16に接続され、この検出回路16は変位センサ6を成す差動トランスの一次コイル及び二次コイルに接続されている。
【0008】
雑音を減らすために変位センサ6からの出力信号即ち測定データは、デジタルロックイン増幅器及び発振器を備えた検出回路16における低域通過フィルタ(LPF)に通され、高い周波数の雑音は低減される。コンピュータ装置11は、送られてきたデータをソフトのフィルタ、即ち、デジタルフィルタで同様のLPF処理をしてもよい。この処理は、計算によって高い周波数の雑音を低減する方法である。このようにして、それらのLPF処理によって高い周波数成分の雑音が除去され、雑音の小さい表面形状データが得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、低域通過フィルタ(LPF)を用いれば高い周波数の雑音は低減されるが、その分応答性が悪くなり、段差での立ち上がりや、下の段への下降時の、探針4の速い動きに、測定値がついて行けなくなる。
【0010】
例えば、測定すべき表面形状に図3に示すような段差がある場合には、100μm/sで探針4を掃引して、低域通過フィルタ(LPF)による処理をカットオフ周波数13Hzで行った結果を示すのが図4である。これは計算結果であり、雑音は乱数で発生させている。低域通過フィルタもデジタルフィルタであり、無限インパルス応答の、4次のバタワース特性フィルタでの計算結果である。実際に測定を行っても同様の振る舞いが得られる。
【0011】
探針4が図3に示す段差形状どおりに動いたとしても、低域通過フィルタによる処理では図4に示すようになる。つまり、立ち上がりと下降部の形状がなまり、立ち上がり時と下降時に50ms(x方向5μm相当)程度遅れている(図4の1sと3s付近での振る舞い)。従って、この例では、上の段のx方向の長さが5μm短く測定されてしまう。またオーバーシュートも見られ、正しい形状が得られていない。
【0012】
ところで、低域通過フィルタのカットオフ周波数を上げれば、応答性はよくなるが、雑音が大きくなり、この場合でも良い形状測定結果は得られない。例えば、図5に示す測定例では、図4と同様だが、低域通過フィルタのカットオフ周波数を70Hzに設定した時の計算結果であり、雑音が大きいことが分かる。
【0013】
従って、表面形状を正確に測定するには、段差部での追従性と平坦部での雑音低減とを満足させる必要がある。そこで、本発明は、触針式段差計を用いて表面形状を測定する際に、表面形状における段差部での応答性の良さ(正しい形状を得ること)と雑音の小ささを両立させることができる測定方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明によれば、支点に揺動可能に取り付けられた支持体の一端に探針を取付け、この一端に隣接して探針の垂直方向変位を検出する変位センサの磁性体コアを取付け、支持体の他端には探針に針圧を加える針圧発生装置の磁性体コアを取付け、探針が捉えた試料の表面形状を支持体の支点回りの回転運動により変位センサで測定する触針式段差計を用いた段差測定方法において、
探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧を計測する検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数を高く設定して横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを得、
得られた応答性の良いデータを横軸方向の距離x又は時間tで微分してdz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、
平坦部領域データ部分をさらに検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数より低い1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、
こうして処理した平坦部領域データ部分を立上り領域データ部分及び立下り領域データ部分とに結合して段差形状データを得る
ことを特徴としている。
【0015】
本発明の方法においては、応答性の良いデータを得るのに用いる検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数は好ましくは70Hzに設定され得る。
【0016】
また、平坦部領域データ部分の処理は、上の段でのz(t)の平均値zmを求め、z(t)−zmを1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、これにより得られたF[z(t)−zm]にzmを加えることにより行われ得る。
【0017】
本発明の第2の発明によれば、支点に揺動可能に取り付けられた支持体の一端に探針を取付け、この一端に隣接して探針の垂直方向変位を検出する変位センサの磁性体コアを取付け、支持体の他端には探針に針圧を加える針圧発生装置の磁性体コアを取付け、探針が捉えた試料の表面形状を支持体の支点回りの回転運動により変位センサで測定する触針式段差計を用いた段差測定装置において、
カットオフ周波数70Hzの低域通過フィルタを備え、探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧に基づき横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを出力する検出回路と、
検出回路で得られた応答性の良いデータを横軸方向の距離x又は時間tで微分してdz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、平坦部領域データ部分をさらに13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、そして処理した平坦部領域データ部分を立上り領域データ部分及び立下り領域データ部分とに結合して段差形状データを得るコンピュータ装置と
を有することを特徴としている。
【0018】
本発明の装置において、コンピュータ装置は、上の段でのz(t)の平均値zmを求め、z(t)−zmを1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、得られたF[z(t)−zm]にzmを加える機能を備えて構成され得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の発明の方法によれば、探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧を計測する検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数を高く設定して横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを得ていることにより、応答が速く、段差形状を損ねることがなく、段差部での応答性の良さすなわち正しい形状を得ることができ、また得られたデータを横軸方向の距離x又は時間tで微分してdz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、平坦部領域データ部分をさらに検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数より低い1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理していることにより、平坦部における雑音を低減することができる。その結果、試料の表面形状の測定において段差形状を損なわず、雑音の小さい測定結果を得ることができるようになる。
【0020】
また、本発明の第1の発明の方法において、平坦部領域データ部分の処理が、上の段でのz(t)の平均値zmを求め、z(t)−zmを1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、これにより得られたF[z(t)−zm]にzmを加えることにより行われることにより、有限値への立上り出のなまりの発生を防止することができる。
【0021】
また、本発明の第2の発明による装置では、カットオフ周波数70Hzの低域通過フィルタを備え、探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧に基づき横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを出力する検出回路を設けたことにより、平坦部から段差部への変位及び段差部から平坦部への変位に対する追従性が良くなる。また、検出回路で得られた応答性の良いデータを横軸方向の距離x又は時間tで微分してdz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、平坦部領域データ部分をさらに1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、そして処理した平坦部領域データ部分を立上り領域データ部分及び立下り領域データ部分とに結合して段差形状データを得るコンピュータ装置を設けたことにより、平坦部での雑音を低減できる。段差部と平坦部の切り分けや、平坦部での低域通過フィルタ処理は、ソフトにより計算で短時間で処理されるので、煩わしい作業や、余計な時間は一切不要となり、カットオフ周波数などパラメータの変更も簡単にできる。それにより、触針式段差計の測定結果を正確に反映した段差形状を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面の図6〜図10を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図6には、本発明を実施している装置構成を示し、20は図1及び図2に示すような差動トランスの一次コイル及び二次コイルを備えた変位センサであり、21はデジタルロックイン増幅器及び発振器を備えた検出回路であり、この検出回路は70Hzのカットオフ周波数に設定できる低域通過フィルタであり、22はコンピュータ装置であり、1〜13Hz程度のカットオフ周波数をもつ低域通過フィルタの機能をもつソフトウエアがインストールされている。またこのコンピュータ装置22は、変位センサ20で測定した出力電圧に基き、検出回路21により計測した測定データにおける試料表面形状の段差部及び平坦部に相当する領域データ部分の切り分け処理を行うようにプログラミングされている。
【0024】
図6の装置構成において、検出回路21における低域通過フィルタのカットオフ周波数は例えば70Hzと高めに設定してデータを取る。図3のパターンを例えば100μm/sで測定する。カットオフ周波数が70Hzとは、この種の測定では十分速い応答であり、また探針4の掃引の速さ100μm/sは、一般的な速さである。それにより、検出回路21は図5に示すようなデータ、即ち変位zの時間tに対する関数z(t)をコンピュータ装置22に出力する。コンピュータ装置22では受信したデータを次のように計算処理する。
【0025】
関数z(t)はtで微分され、その微分値の大きさからtについて5つの領域a、b、c、d、eに分けられる。微分値が大きくなり始めるのが領域データ部分bの始めで、微分値が小さくなるのが領域データ部分bの終わりである。同様にして領域データ部分dの始めと終わりも求められる。つまり、データは(ti,zi(iはi番目のデータの意味))の配列であるが、aからeに分けられる。
【0026】
試料の表面形状における段差部に相当する領域データ部分b及びdでは、それのデータ部分をそのまま用いる。それにより段差部での応答が速いデータとなる。またそこでの雑音は実際には問題にならない。
【0027】
試料の表面形状における平坦部に相当する領域データ部分a、c、eについてはコンピュータ装置22においてソフトウエアの低域通過フィルタ、例えばそのカットオフ周波数を13Hzに設定して雑音を低減する。すなわち領域データ部分a、eにおけるzが0付近のデータは、そのまま低域通過フィルタ処理される。すなわち、領域データ部分a、eにおいてはレベリング(水平出し)し、そのzを0とすれば、上記の処理が可能である。
【0028】
領域データ部分cについては、図5の例ではzが100nm程度の有限の値であり、これをいきなり低域通過フィルタ処理すると、0から有限への立ち上がりのなまりが発生する。これを避けるために、領域データ部分cの始まりの例えば100点の平均を求める。それをzmとし、データのzからそれを引き、(ti,zi−zm)としてzを小さくしておき、それを13Hzに設定されたカットオフ周波数で低域通過フィルタ処理し、処理後のデータにzmを加える。
【0029】
そして、コンピュータ装置22において、これら処理を施した平坦部に相当する領域データ部分a、c、eと、元のままの段差部に相当する領域データ部分b及びdとの五つの配列を元の順番通りに並べることにより、段差部での応答が速く、平坦部での雑音が小さい段差形状測定結果が得られる。時間軸をx方向への距離に換算すれば、段差形状となる。
【0030】
図7は、この方法による計算結果の一例を示している。図5に示すカットオフ周波数70Hzで低域通過フィルタ処理したデータを、コンピュータ装置22において上述の方法で計算処理したものであり、平坦部に相当する領域データ部分にはカットオフ13Hzのカットオフ周波数で低域通過フィルタ処理(無限インパルス応答、4次バタワース特性処理)を施している。図5に示すデータの1.5から2秒の間でのzの標準偏差は2.72nmであるが、処理後の図7ではそれは1.02nmになっている。段差部での速い応答と平坦部での雑音の小ささが両立していることがわかる。
【0031】
コンピュータ装置22における低域通過フィルタ処理のカットオフ周波数を変えた例を以下に示す。段差形状、掃引速度は前述と同じである。
【0032】
図8には、従来の方法に従って、低域通過フィルタ(検出回路21における低域通過フィルタでも、コンピュータ装置22における低域通過フィルタでもよい)において、カットオフ周波数を4Hzに設定したときの計算結果を示す。フィルタはバタワース、4次で前述と同じである。従来の方法では、低域通過フィルタ処理しただけであるため、段差部形状がかなり損なわれていることが分かる。
【0033】
図9には、本発明の方法による計算結果を示す。段差部に相当する領域データ部分については前述と同じカットオフ周波数70Hzで処理したデータをそのまま採用し、平坦部に相当する領域データ部分についてはコンピュータ装置22においてカットオフ周波数を4Hzに設定して低域通過フィルタ処理した結果である。図中の1.5sから2sの間のzの標準偏差は、2.68nm(カットオフ周波数70Hzのとき)から0.40nmに減少している。
【0034】
段差測定において、試料の表面粗さが十分に小さい場合、平坦部に見えるのは実質的には雑音が支配的であり、試料表面の微細な形状をそれに追随して測定する意図はないので、低域通過フィルタ処理におけるカットオフ周波数を前記のように下げても問題ない。
【0035】
同様に、図10及び図11には、カットオフ周波数を1Hzに設定したときの、従来の方法と本発明の方法とを比較して示している。図中の1.5sから2sの間のzの標準偏差は、2.68nm(カットオフ70Hzのとき)から0.15nmに減少している。本発明の方法により段差部での速い立ち上がりと、平坦部での雑音の低減が両立できていることがわかる。
【0036】
ところで図示実施例では、コンピュータ装置22においてカットオフ周波数を1Hz、4Hz、13Hzに設定した場合について説明してきたが、これらのカットオフ周波数以外の周波数例えば2Hz、3Hz、5Hz〜12Hzでも同様な結果が得られることは認められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を実施するのに使用する触針式段差計の構成を示す概略部分断面図。
【図2】従来の計測制御系の構成例を示すブロック線図。
【図3】測定することになる表面形状における段差の例を示すグラフ。
【図4】従来の方法による段差測定結果を計算で再現した例を示すグラフ。
【図5】従来の方法による段差測定結果を計算で再現した別の例を示すグラフ。
【図6】本発明を実施している装置構成を示すブロック線図。
【図7】本発明の方法による段差測定結果を計算で再現した一例を示すグラフ。
【図8】従来の方法による段差測定結果を計算で再現したさらに別の例を示すグラフ。
【図9】本発明の方法による段差測定結果を計算で再現した別の例を示すグラフ。
【図10】従来の方法による段差測定結果を計算で再現したさらに別の例を示すグラフ。
【図11】本発明の方法による段差測定結果を計算で再現したさらに別の例を示すグラフ。
【符号の説明】
【0038】
1:固定支持台
2:支点
3:揺動支持棒
4:探針
5:針圧発生装置
6:変位センサ
7:試料ホルダー
8:走査ステージ
9:被測定試料
10:制御手段
11:コンピュータ装置
12:アナログ入出力ボード
13:針圧発生装置用電源
14:駆動装置
15:汎用インターフェースボード
16:検出回路
20:変位センサ
21:検出回路
22:コンピュータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支点に揺動可能に取り付けられた支持体の一端に探針を取付け、この一端に隣接して探針の垂直方向変位を検出する変位センサの磁性体コアを取付け、支持体の他端には探針に針圧を加える針圧発生装置の磁性体コアを取付け、探針が捉えた試料の表面形状を支持体の支点回りの回転運動により変位センサで測定する触針式段差計を用いた段差測定方法において、
探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧を計測する検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数を高く設定して横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを得、
得られた応答性の良いデータを横軸方向の距離x又は時間tで微分してdz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、
平坦部領域データ部分をさらに検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数より低い1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、
こうして処理した平坦部領域データ部分を立上り領域データ部分及び立下り領域データ部分とに結合して段差形状データを得る
ことを特徴とする触針式段差計を用いた段差測定方法。
【請求項2】
応答性の良いデータを得るのに用いる検出回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数を70Hzに設定することを特徴とする請求項1に記載の触針式段差計を用いた段差測定方法。
【請求項3】
平坦部領域データ部分の処理が、上の段でのz(t)の平均値zmを求め、z(t)−zmを1〜13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、これにより得られたF[z(t)−zm]にzmを加えることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の触針式段差計を用いた段差測定方法。
【請求項4】
支点に揺動可能に取り付けられた支持体の一端に探針を取付け、この一端に隣接して探針の垂直方向変位を検出する変位センサの磁性体コアを取付け、支持体の他端には探針に針圧を加える針圧発生装置の磁性体コアを取付け、探針が捉えた試料の表面形状を支持体の支点回りの回転運動により変位センサで測定する触針式段差計を用いた段差測定装置において、
カットオフ周波数70Hzの低域通過フィルタを備え、探針を試料に対して予定のx方向に一定の速度で掃引する際に変位センサで得られた測定電圧に基づき横軸x方向の距離と縦軸z方向の変位量とから成る応答性の良いデータを出力する検出回路と、
検出回路で得られた応答性の良いデータを横軸方向の距離x又は時間tで微分してdz/dx又はdz/dtの値に基づき、段差でのデータを立上り領域データ部分と、平坦部領域データ部分と、立下り領域データ部分とに分け、平坦部領域データ部分をさらに13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、そして処理した平坦部領域データ部分を立上り領域データ部分及び立下り領域データ部分とに結合して段差形状データを得るコンピュータ装置と
を有することを特徴とする触針式段差計を用いた段差測定装置。
【請求項5】
コンピュータ装置が、上の段でのz(t)の平均値zmを求め、z(t)−zmを13Hz程度のソフトの低域通過フィルタで処理し、得られたF[z(t)−zm]にzmを加える機能を備えて構成されていることを有することを特徴とする請求項4に記載の触針式段差計を用いた段差測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−133730(P2009−133730A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310323(P2007−310323)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】