説明

被収容物移替システム

【課題】貴重なクリーンルーム内の床面積に対する占有面積を小さくすることが可能な被収容物移替システムを提供する。
【解決手段】被収容物移替システムは、被収容物移載装置及び保管庫を備える。被収容物移載装置は、被収容物を収容する容器を載置する複数の載置部と、載置部の各々に載置された各容器同士の間で被収容物の移し替えを行う被収容物移載装置とを有する。保管庫は、容器を載置する棚と、棚と載置部との間で容器の移載を行う容器移載装置とを有する。被収容物移載装置において、各載置部は被収容物移替装置の高さ方向に配列されている。また、保管庫において、その高さ方向に配列された一群の棚は、被収容物移替装置と保管庫の配列方向に且つ容器移載装置を挟む位置に夫々配置されている。これらの構成により、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替システムの占有面積を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の容器と他の容器との間において、半導体ウェーハ等の被収容物を移し替える被収容物移替システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する半導体製造工場では、半導体ウェーハ等の被収容物を収容する容器として、例えばFOSB(Front Opening Shipping Box)と称される容器が用いられている。一方、その被収容物に対し各種の処理を施したり、或いは各種処理の施された被収容物を用いてIC(Integrated Circuit)等の製造を行う半導体デバイス工場では、被収容物を収容する容器として、例えばFOUP(Front Open Unified Pod)と称される容器が用いられている。
【0003】
このように、半導体製造工場と半導体デバイス工場とでは、半導体ウェーハを収容する容器が異なる。このため、半導体デバイス工場では、通常、半導体製造工場からFOSBを受け入れた際に、半導体ウェーハ移し替え装置を用いてFOSB内に収容されている半導体ウェーハを取り出し、その取り出した半導体ウェーハをFOUP内へ移し替える作業を行う。このような半導体ウェーハ移し替え装置では、FOUP載置用のステージ(半導体ウェーハ移し替え用のステージ)が、その設置面の水平方向に並列に複数配置されて構成される。例えば、特許文献1には、半導体ウェーハ移し替え装置に関する技術が開示されている。
【0004】
そして、移し替えられた半導体ウェーハを収容するFOUPは、半導体デバイス工場内において、OHT(Over head Hoist Transport)などの搬送車を用いて、各種の処理装置等に向けて搬送される。その後、FOUP内に収容された半導体ウェーハは、各種の処理装置等において所定の処理(洗浄、成膜、レジスト、CVD、検査等)が行われる。
【0005】
また、かかる半導体ウェーハ移し替え装置は、大型の保管庫(一般に、「ストッカ」と称される)に組み込まれた状態で用いられることがある。この種の保管庫は、例えば搬送車が走行する軌道に隣接する位置に配置されると共に、半導体ウェーハ移し替え装置に隣接する位置に配置される。かかる保管庫は、縦横高さ方向に複数の列をなし且つFOUP等の容器を載置する複数の棚と、搬送車によって搬送されてきたFOUPを所定の棚等へ移載したりする移載装置(一般に、「スタッカロボット」や「スタッカクレーン」等と称される)と、を備えている。
【0006】
特に、半導体ウェーハ移し替え装置を大型の保管庫に組み込まれた状態で用いる場合には、移載装置を用いて、保管庫の棚に載置されているFOUPを、半導体ウェーハ移し替え装置に設けられたFOUP載置用のステージへ移載したり、或いは、半導体ウェーハの移し替えが終了したFOUPを、FOUP載置用のステージから保管庫内の棚へ移載したりすること等が行われる。
【0007】
なお、特許文献2及び3には、搬送車が走行する軌道に隣接して敷設され、搬送車との間でFOUPの入出庫を行う保管庫が開示されている。この保管庫内には、スタッカロボット等の搬送装置が設けられ、かかる搬送装置により縦横無尽に広がる多数の棚部分を含む保管庫内における搬送が可能とされている。
【0008】
また、特許文献4には、鉛直方向に多数段並べられた棚部分の脇に沿って昇降可能な昇降台上に直接、天井吊り下げ型の搬送車からFOUPが移載される比較的小型の保管庫が開示されている。この保管庫では、出庫の際には、昇降台上から直接、FOUPが搬送車へと移載される。
【0009】
【特許文献1】特表2003−533015号公報
【特許文献2】特開2006−049454号公報
【特許文献3】特開2003−182815号公報
【特許文献4】特開2004−238191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したように、半導体ウェーハ移し替え装置は、通常、大型の保管庫と組み合わされて用いられる。しかも、半導体ウェーハ移し替え装置では、FOUP載置用のステージが、その設置面の水平方向に並列に複数配置されて構成される。
【0011】
これらの構成により、クリーンルーム内の床面積に対する、大型の保管庫付き半導体ウェーハ移し替え装置の占有面積が大きくなり、その結果、貴重なクリーンルーム内の床面積を奪ってしまうといった課題がある。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する占有面積を小さくすることが可能な被収容物移替システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの観点では、被収容物移替システムは、被収容物を収容する容器を載置する複数の載置部と、前記載置部の各々に載置された各々の前記容器同士の間で前記被収容物の移し替えを行う被収容物移載装置と、を有する被収容物移替装置と、前記容器を載置する棚と、前記棚と前記載置部との間で前記容器の移載を行う容器移載装置と、を有する保管庫と、を備え、前記載置部の各々は、前記被収容物移替装置の高さ方向に配列されている。
【0014】
上記の被収容物移替システムは、被収容物移載装置と保管庫とを備える。被収容物移載装置は、被収容物を収容する容器を載置する複数の載置部と、載置部の各々に載置された各容器同士の間で被収容物の移し替えを行う被収容物移載装置と、を有する。具体的に、被収容物移載装置は、複数の載置部のうち任意の1つの載置部に載置された容器内から被収容物を取り出し、取り出した被収容物を他の載置部に載置された容器内へ移し替える。ここで、容器としては、例えばFOUP、FOSBなどが挙げられる。また、被収容物としては、例えば、半導体ウェーハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の各種の基板が挙げられる。保管庫は、容器を載置する棚と、棚と載置部との間で容器の移載を行う容器移載装置と、を有する。
【0015】
特に、この被収容物移替システムにおいて、載置部の各々は、被収容物移替装置の高さ方向(被収容物移替システムの設置面に対する鉛直方向)に配列されている。これにより、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替装置の占有面積を小さくすることができる。
【0016】
上記の被収容物移替システムの一つの態様では、前記保管庫は、前記棚及び前記容器移載装置を収容すると共に前記被収容物移替装置に対向する面に開口を有する筐体を有し、前記被収容物移替装置は前記保管庫に対し移動可能な状態で連結されていると共に、前記複数の載置部は前記開口を通じて前記保管庫内に配置されている。これにより、被収容物移替装置と保管庫とが部分的に重なり合うことになり、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替システムの占有面積を小さくすることができる。
【0017】
上記の被収容物移替システムの他の態様では、前記棚は、前記筐体内に複数設けられ、前記筐体内の略中央部には、前記容器移載装置が配置されており、前記被収容物移替装置と前記保管庫との配列方向であって、且つ前記容器移載装置を挟む位置には、前記保管庫の高さ方向に配列された一群の前記棚が夫々配置されている。これにより、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、保管庫の占有面積を小さくすることができる。
【0018】
上記の被収容物移替システムの他の態様では、前記容器は、前記被収容物を収容すると共に一側面が開放された開放部を有する容器本体と、前記容器本体の前記開放部に対して開閉自在に取り付けられる蓋と、を有し、前記蓋は、前記開放部に対する当該蓋の開閉を行うロック機構を有し、前記被収容物移替装置は、前記載置部に載置された前記容器に対して、当該容器の前記蓋の前記ロック機構を施錠又は解錠するための施解錠装置と、前記施解錠装置により解錠された前記蓋を移動させて、前記容器本体の前記開放部を開放し又は前記開放された前記開放部を閉塞させる開閉機構と、を有する蓋開閉装置を備える。
【0019】
この態様では、容器は、被収容物を収容すると共に一側面が開放された開放部を有する容器本体と、容器本体の開放部に対して開閉自在に取り付けられる蓋と、を有する。そして、蓋は、開放部に対する当該蓋の開閉を行うロック機構を有する。また、被収容物移替装置は蓋開閉装置を備える。蓋開閉装置は、施解錠装置と開閉機構とを有する。施解錠装置は、載置部に載置された容器に対して、当該容器の蓋のロック機構を施錠又は解錠する役割を果たす。開閉機構は、施解錠装置により解錠された蓋を移動させて、容器本体の開放部を開放し又は開放された開放部を閉塞させる。
【0020】
好適な例では、前記開閉機構は、前記載置部の各々に載置された各々の前記容器の前記蓋の前記ロック機構を前記施解錠装置によって解錠する場合、前記各々の前記容器の前記蓋を同一の方向に又は相互に異なる方向に移動させて、前記容器本体の各々の前記開放部を開放させる。これにより、各々の載置部同士の距離を小さくすることが可能となる。このため、被収容物移替装置の高さ方向の移動量を小さくすることができるので、その分、各々の容器の間における被収容物の移し替え時間を短縮することができる。
【0021】
上記の被収容物移替システムの他の態様では、前記被収容物移載装置は、前記被収容物を支持する支持部と、前記被収容物移替装置の高さ方向に対する水平一方向(例えば、被収容物移替装置と保管庫との配列方向)に前記支持部を往復移動可能な第1の駆動部と、当該高さ方向に前記支持部を往復移動可能な第2の駆動部と、前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を夫々駆動制御する制御部と、を備える。
【0022】
この態様によれば、支持部を、被収容物移替装置の高さ方向と略直交する方向であって、且つ被収容物移替装置と保管庫との配列方向と略直交する方向に沿って移動させるための駆動軸を設けることなく、載置部の各々に載置された各々の容器同士の間で被収容物の移し替えを行うことができる。よって、支持部を当該駆動軸に沿って移動させる必要がないので、その分、被収容物の移し替え時間を短縮することができる。加えて、当該駆動軸を省くことができるので、その分、被収容物移替装置のコストを下げることができる。
【0023】
上記の被収容物移替システムの他の態様では、前記容器移載装置は、前記容器を支持する他の支持部と、前記保管庫の高さ方向に対する水平一方向(例えば、保管庫と被収容物移替装置との配列方向)に前記他の支持部を往復移動可能な他の第1の駆動部と、当該高さ方向に前記他の支持部を往復移動可能な他の第2の駆動部と、前記他の第1の駆動部及び前記他の第2の駆動部を夫々駆動制御する他の制御部と、を備える。
【0024】
この態様によれば、他の支持部を、保管庫の高さ方向と略直交する方向であって、且つ被収容物移替装置と保管庫との配列方向と略直交する方向に沿って移動させるための駆動軸を設けることなく、複数の棚同士の間で、或いは保管庫の棚と被収容物移替装置の載置部との間で容器を移載することができる。よって、他の支持部を当該駆動軸に沿って移動させる必要がないので、その分、容器の移載時間を短縮することができる。加えて、当該駆動軸を省くことができるので、その分、保管庫のコストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
[被収容物移替システム]
まず、図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態に係る被収容物移替システム100の構成について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る被収容物移替システム100の外観構成を模式的に示す斜視図である。図2は、被収容物移替システム100の高さ方向に沿った一断面図を示す。図3は、図2に対応する被収容物移替システム100の一断面図であり、特に、被収容物移替装置1をストッカ(保管庫)2から切り離した状態の被収容物移替システム100の断面構成を示す。図4(a)は、図2の切断線A−A’に沿った被収容物移替システム100の平面図である。図4(b)は、図4(a)に示す被収容物移替装置1の平面図である。図4(c)は、図4(a)に示す保管庫2の平面図である。なお、図4(a)及び(c)では、便宜上、容器移載装置23の図示を省略している。図5(a)は、容器5の外観構成を示す斜視図である。図5(b)は、図3の破線領域A1付近に対応する被収容物移替装置1の要部斜視図を示す。
【0028】
被収容物移替システム100は、半導体工場や液晶工場等のクリーンルーム内に設置され、被収容物移替装置1と、保管庫2と、搬送装置7と、コントローラ8と、を備える。
【0029】
(被収容物移替装置の構成)
まず、被収容物移替装置1の構成は次の通りである。
【0030】
被収容物移替装置1は、平坦性及び通気性を有する床9の上に設置されると共に、保管庫2に対し、図2の矢印Y3に示すように移動自在に連結された状態で用いられる。なお、被収容物移替装置1のメインテナンス等を行う場合には、被収容物移替装置1は、図3に示すように、保管庫2から退避させられ、或いは切り離された状態で用いられる。
【0031】
具体的に、被収容物移替装置1は、筺体11と、台座12と、複数の載置部(本例では、第1の載置部13a及び第2の載置部13b)と、空気供給装置14と、蓋開閉装置15と、被収容物移載装置16と、被収容物整列装置(アライナー装置)17と、を有する。
【0032】
被収容物移替装置1は、コントローラ8の指示に従い、第1の載置部13a及び第2の載置部13bのうち何れか1つの載置部の上方に載置された容器5内から被収容物6を取り出し、取り出した被収容物6を他の載置部の上方に載置された容器5内へ移し替える役割を果たす。ここで、容器5としては、例えばFOUP、FOSBなどが挙げられる。また、被収容物6としては、例えば、半導体ウェーハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の各種の基板が挙げられる。なお、以下では、第1の載置部13aと第2の載置部13bとを、特に区別しない場合には単に「載置部13」と称する。
【0033】
なお、被収容物移替装置1による複数の容器5間における被収容物6の移し替え例としては、次のような作業が挙げられる。
【0034】
例えば、半導体デバイス工場において、半導体製造工場からFOSBを受け入れた際には、被収容物移替装置1を用いてFOSB内に収容されている被収容物6の一例たる半導体ウェーハを取り出し、その取り出した半導体ウェーハをFOUPへ移し替える作業を行う。
【0035】
或いは、半導体デバイス工場において、被収容物6の一例たる半導体ウェーハに対してある程度の処理が終了した場合には、その処理の終えた半導体ウェーハ(以下、「半処理済半導体ウェーハ」と呼ぶ)を次工程又は他の工場へ送る場合に、被収容物移替装置1を用いて、容器5内に収容されている半処理済半導体ウェーハを取り出し、取り出した半処理済半導体ウェーハをFOSBへ移し替えるための作業を行う。
【0036】
或いは、半導体デバイス工場では、半導体ウェーハに対し各種の処理装置において所定の処理が適切に行われているか否かについて、半導体ウェーハの抜き取り検査等を実施することがある。この場合には、被収容物移替装置1を用いて、所定の処理を終えた半導体ウェーハを収容するFOUPから検査用の半導体ウェーハを数枚抜き取り、その抜き取った半導体ウェーハを検査用のFOUPに移し替える作業を行う。
【0037】
容器5は、容器本体5aと、蓋5bと、フランジ部5cと、を有する。容器本体5aは、複数の被収容物6を多段状に間隔を開けて収容すると共に、一側面が開放された開放部(開口)5abを有する。蓋5bは、容器本体5aの開放部5abに対して開閉自在に取り付けられ、容器5内を密閉しパーティクル(微細な塵)から被収容物6を保護する機能等を有する。蓋5bには、図5(a)に示すように、当該蓋5bを容器本体5aの開放部5abに対して開閉、或いは取り付け又は取り外すためのロック機構(鍵機構)5baが設けられている。本例では、ロック機構5baは、一対の雌鍵5kyを有して構成される。フランジ部5cは、板形状を有し、容器本体5aの上面側に配置される。フランジ部5cは、搬送車3による容器5の搬送の際に、後述する搬送車3の把持部31dによって把持される部位である。
【0038】
筺体11は、箱状の形状を有し、床9と対向する上面の少なくとも一部に設けられた開口11aを有する。筺体11は、台座12、被収容物移載装置16及び空気供給装置14を収容している。台座12は、筺体11内に配置され、被収容物移載装置16を支持する。第1の載置部13a及び第2の載置部13bは、それぞれ、後述する位置決めステージ装置15eを介して容器5を載置する載置台であり、保管庫2と対向する蓋開閉装置15の側面から保管庫2に向けて突出するように設けられている。第1の載置部13aと第2の載置部13bとは、床9に対する被収容物移替装置1の高さ方向(床9に対する鉛直方向)に一列状に配置されている。第2の載置部13bは、第1の載置部13aの上方に配置されていると共に第1の載置部13aに対して少なくとも容器5の高さ以上の間隔をあけて配置されている。
【0039】
空気供給装置14は、筺体11の上面側に配置され、ファン(送風機)14aと、空気中に含まれる粉塵等を除去するフィルター14bと、を有し、筺体11内の空気を常時清浄に保つ役割を有する。具体的には、ファン14aが回転することにより外部から取り入れられた空気がフィルター14bを通過することにより、筺体11内に清浄な空気が導入され、さらに、その導入された空気が筺体11に設けられる排気孔(図示略)を通じて外部へ排出される。こうして、筺体11内の空気が常時清浄に保たれる。
【0040】
蓋開閉装置15は、容器5の蓋5bを開閉する装置(或いは取り付け又は取り外す装置)であり、筺体11において保管庫2と対向する側の面に配置されている。蓋開閉装置15は、開閉機構15aと、施解錠装置15bと、吸着部15cと、収容部15dと、位置決めステージ装置15eと、を有する。開閉機構15aは、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの夫々に対応して設けられた、収容部15dの各開口15daを閉塞する位置に設けられる。開閉機構15aは、収容物移替装置1の高さ方向及び当該高さ方向とは逆方向(床9に近づく方向又は床9から離隔する方向)に移動可能に構成される。例えば、容器5の蓋5bを取り外す場合には、開閉機構15aは、図2の矢印Y2に示すように、容器5の蓋5bを収容部15d内に引っ張り込んで、さらに、引っ張り込んだ容器5の蓋5bを自身と共に収容物移替装置1の下方向(床9に近づく方向)に移動する。一方、収容部15dに収容されている蓋5bを容器5に取り付ける場合には、開閉機構15aは、図2の矢印Y2に示すように、容器5の蓋5bを取り外す場合と逆の動作を行う。
【0041】
施解錠装置15bは、各開閉機構15aに設けられ、容器5の蓋5bに設けられたロック機構5baを施錠又は解錠する機能を有する。本例では、施解錠装置15bは、図5(b)に示すように、一対の雄鍵15kyと、一対の雄鍵15kyを時計回り及び反時計回りへ回転させる回転駆動部(図示略)と、を有して構成される。本例では、一対の雄鍵15kyを容器5の一対の雌鍵5kyに挿入して、一対の雄鍵15kyを反時計回りに回転させることにより、容器5のロック機構5baを解錠する(即ち、容器5から蓋5bを取り外す)ことができる。一方、その状態から一対の雄鍵15kyを時計回りに回転させることにより、容器5のロック機構5baを施錠する(即ち、容器5に蓋5bを取り付ける)ことができる。
【0042】
吸着部15cは、図5(b)に示すように、各開閉機構15aに設けられ、容器5の蓋5bの開閉時に、真空引きなどの方法により容器5の蓋5bを各開閉機構15aに吸着させる。
【0043】
収容部15dは、箱形状を有し、容器5の蓋5bを取り外す場合に、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの夫々に対応して設けられた各開閉機構15aを収容する。収容部15dは、図5(b)に示すように、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの夫々に対応して設けられた開口15daを備える。
【0044】
位置決めステージ装置15eは、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの上に夫々配置される。但し、本発明では、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの上に位置決めステージ装置15eを設けることは必須ではない。位置決めステージ装置15eの上面には、図5(b)に示すように、被収容物移替装置1の高さ方向に向けて突出すると共に容器5の底面に形成される嵌合部(図示略)に嵌合する嵌合部15eaが設けられる。これにより、容器5の嵌合部と位置決めステージ装置15eの嵌合部15eaとを嵌合させた状態で、当該容器5を位置決めステージ装置15e上に載置することにより、位置決めステージ装置15eに対する当該容器5の位置規制が行われる。さらに、位置決めステージ装置15eは、図5(b)の矢印に示すように、第1の載置部13a及び第2の載置部13bに対して開閉機構15a側及び開閉機構15a側とは逆側に移動可能に構成され、主に、容器5の蓋5bに設けられたロック機構5ba(例えば一対の雌鍵5ky)と、開閉機構15aに設けられた一対の雄鍵15kyとの相対的な位置合わせを行う役割を有する。
【0045】
なお、施解錠装置15bによる容器5の蓋5bの開閉方法(或いは取り外し又は取り付け方法)については後述する。
【0046】
被収容物移載装置16は、例えば、第1の載置部13aの上方に載置された容器(以下、「容器5s」と称する)内から被収容物6を取り出し、取り出した被収容物6を、第2の載置部13b上に載置された容器(以下、「容器5t」と称する)内に移し替えて収容する。なお、本発明では、被収容物移載装置16は、第2の載置部13b上に載置された容器5t内から被収容物6を取り出し、取り出した被収容物6を、第1の載置部13a上に載置された容器5s内に移し替えて収容する構成でもよい。
【0047】
具体的に、被収容物移載装置16は、支持部16aと、第1の駆動部16bと、第2の駆動部16cと、制御部16dと、を備える。
【0048】
支持部16aは、第1の駆動部16bの一端に設けられ、被収容物6を移載する際に当該被収容物6を支持する。
【0049】
第1の駆動部16bは、被収容物移替装置1の高さ方向に対する水平一方向(容器5s、5tに対し近づく方向又は離隔する方向)に支持部16aを往復移動可能に構成される。本例では、第1の駆動部16bは、複数のアーム部と、複数のアーム部を当該水平一方向に伸縮させる複数のモータ(図示略)と、を備えて構成される。
【0050】
第2の駆動部16cは、被収容物移替装置1の高さ方向及び当該高さ方向とは逆方向(床9に近づく方向及び床9から離隔する方向)に第1の駆動部16b及び支持部16aを昇降可能又は往復移動可能に構成されている。本例では、第2の駆動部16cは、制御部16dから被収容物移替装置1の高さ方向に延在する案内部16caと、第1の駆動部16bの他端を案内部16caに沿って昇降自在に移動させる移動機構16cbと、を備える。
【0051】
制御部16dは、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等に代表されるメモリなどを備え、第1の駆動部16b及び第2の駆動部16cを夫々駆動制御する。
【0052】
被収容物整列装置17は、筐体11内の所定の位置、例えば図4(a)及び(b)に示すように、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの各々に近接する位置に設けられる。被収容物整列装置17は、容器5内に対し同じ方向に向けて収容するために、各被収容物6の方向を一定の方向に揃えるための装置である。
【0053】
(保管庫の構成)
次に、保管庫2の構成は次の通りである。
【0054】
保管庫2は、クリーンルーム内の床9の上に設置され、コントローラ8の指示に従い、搬送車3等によって搬送されてくる容器5を一時的に保管する倉庫としての役割を果たす。具体的に、保管庫2は、筺体21と、少なくとも1つ(本例では複数)の棚22と、筐体21内の略中央部に配置された容器移載装置23と、を有する。
【0055】
筺体21は、箱状の形状を有し、複数の棚22、及び容器移載装置23を夫々収容している。筺体21は、床9と対向する上面に設けられた開口21aと、被収容物移替装置1に対向する側の面に設けられた開口21bと、を有する。本例では、開口21aは、最上段の複数の棚22のうち、軌道4に対して交差する棚22pに対応する位置に設けられており、開口21aの大きさは容器5の外形より大きい。一方、開口21bは、被収容物移替装置1と保管庫2とを連結させた場合に、少なくとも第1の載置部13a及び第2の載置部13bを保管庫2内に配置させることが可能な大きさに形成されている。
【0056】
棚22は、容器5を載置する役割を有する。なお、棚22の上面には、図示を省略するが、容器5の底面に形成される嵌合部(図示略)に嵌合して容器5の位置規制を行うための他の嵌合部(例えば、周知のキネマティックカップリング機構等)が形成される。また、本例では、棚22は、筐体21内に複数設けられている。具体的には、被収容物移替装置1と保管庫2との配列方向であって、且つ容器移載装置23を挟む位置には、床9に対する保管庫2の高さ方向(床9に対する鉛直方向)に一列状に配列された一群の棚22が夫々配置されている。
【0057】
容器移載装置23は、支持部23aと、第1の駆動部23bと、第2の駆動部23cと、制御部23dと、を備える。
【0058】
支持部23aは、第1の駆動部23bの一端に設けられ、容器5を移載する際に当該容器5を支持する。第1の駆動部23bは、保管庫2の高さ方向に対する水平一方向(保管庫2と被収容物移替装置1の配列方向)に支持部23aを往復移動可能な構成を有する。例えば、第1の駆動部23bは、複数のアーム部と、複数のアーム部を当該水平一方向に伸縮させる複数のモータ(図示略)と、を備えて構成される。第2の駆動部23cは、保管庫2の高さ方向及び当該高さ方向とは逆方向(床9から離隔する方向及び床9に近づく方向)に第1の駆動部23b及び支持部23aを昇降可能又は往復移動可能に構成されている。本例では、第2の駆動部23cは、制御部23dから保管庫2の高さ方向に延在する案内部23caと、第1の駆動部23bの他端を案内部23caに沿って昇降自在に移動させる移動機構23cbと、を備える。制御部23dは、図示しないCPUや、図示しないROM及びRAM等のメモリなどを備え、第1の駆動部23b及び第2の駆動部23cを夫々駆動制御する。
【0059】
(搬送装置の構成)
次に、搬送装置7の構成は次の通りである。
【0060】
搬送装置7は、軌道(レール)4と、例えばリニアモータなどの駆動方式により軌道4に沿って走行する搬送車3と、を備える。
【0061】
軌道4は、被収容物移替システム100が設置された工場内の天井(図示略)側に設置され、少なくとも保管庫2の最上段の棚22pと交差する方向に延在するように設けられている。
【0062】
搬送車3としては、例えばOHT(Over head Hoist Transport)などが挙げられる。搬送車3は、被収容物6を収容する容器5を、保管庫2、各種処理装置、各種製造装置又は各種検査装置等に向けて搬送する。搬送車3は、容器5を収容可能な筐体31aと、懸垂ベルト31bと、懸垂ベルト31bの巻き取り又は巻き戻しを行う懸垂機構31cと、懸垂ベルト31bの一端に設けられ、懸垂機構31cにより昇降され、容器5のフランジ部5cを把持又は開放する把持部31dと、を備える。この搬送車3では、把持部31dにより容器5のフランジ部5cが把持された状態で、懸垂機構31cを通じて懸垂ベルト31bの巻き取り又は巻き戻しを行うことにより、図2の矢印Y1方向に把持部31dが昇降し、これにより容器5の昇降が行われる。本例では、搬送車3は、後述するコントローラ8による指示の下、複数の棚22のうち入出庫ポートとして機能する棚22pの位置で停止して、コントローラ8による入庫指示に従い、容器5を棚22pの上に載置して保管庫2へ入庫したり、或いは、コントローラ8による出庫指示に従い、棚22pの上に載置された出庫待ちの容器5を保管庫2から出庫したりする役割を有する。
【0063】
(コントローラの構成)
次に、コントローラ8の構成は次の通りである。
【0064】
コントローラ8は、CPU(図示略)、メモリ(図示略)などを備え、半導体等の工程スケジュールに基づいて、被収容物移替装置1、保管庫2及び搬送車3に対して各種の制御を行う。例えば、コントローラ8は、半導体等の工程スケジュールに基づいて、保管庫2及び搬送車3に対して容器5の搬送及び入出庫を指示したり、或いは保管庫2に対して当該保管庫2と被収容物移替装置1との間において容器5の移載を指示したり、或いは、被収容物移替装置1に対して、第1の載置部13aの上方に載置された容器5sと、第2の載置部13bの上方に載置された容器5tとの間において被収容物6の移し替えを指示したりする。
【0065】
(被収容物移替システムの動作)
次に、図1乃至図5を参照して、本実施形態に係る被収容物移替システム100の主要な動作の一例について説明する。
【0066】
まず、保管庫2の制御部23dは、コントローラ8の指示の下、容器移載装置23を駆動制御して、保管庫2の棚22或いは入出庫ポートとして機能する棚22pから、移し替え対象となる複数の容器5(本例では、容器5s、5t)を、被収容物移替装置1における第1の載置部13a及び第2の載置部13bの上に夫々設けられた各位置決めステージ装置15e上に順次載置する。この際、容器移載装置23は、位置決めステージ装置15e上に設けられた嵌合部15eaと、容器5の底面に設けられた嵌合部(図示略)とを嵌合させて、各位置決めステージ装置15eに対する容器5s、5tの位置規制を行った状態で、容器5s、5tを当該各位置決めステージ装置15e上に順次載置する。なお、本発明では、各位置決めステージ装置15eに対する容器5s、5tの載置する順序に特に限定はない。
【0067】
次に、各位置決めステージ装置15eは、第1の載置部13a及び第2の載置部13bに対して自身を開閉機構15a側及び開閉機構15a側とは逆側へ適宜移動させつつ、容器5s、5tの各蓋5bに設けられたロック機構5ba(例えば一対の雌鍵5ky)と、開閉機構15aに設けられた一対の雄鍵15kyとの相対的な位置合わせを行い、さらに一対の雄鍵15kyをロック機構5ba(例えば一対の雌鍵5ky)に挿入する。次に、蓋開閉装置15の吸着部15cは、容器5s、5tの各蓋5bを吸着しつつ、蓋開閉装置15の施解錠装置15bは、一対の雄鍵15kyを反時計回りに回転させて容器5のロック機構5baを解錠する。これにより、容器5s、5tの各蓋5bが取り外される。
【0068】
次に、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、図2の矢印Y2及び一点鎖線領域に示すように、当該各開閉機構15aに吸着する容器5s、5tの各蓋5bを収容部15d内に引き込みつつ、収容物移替装置1の高さ方向とは逆方向(床9に近づく方向)に移動する。これにより、当該各開閉機構15a及び当該各開閉機構15aに夫々吸着する容器5s、5tの各蓋5bが収容部15d内に収容され、容器5s、5tの各開放部5abが開放される。
【0069】
次に、被収容物移載装置16は、コントローラ8による指示の下、制御部16dを通じて支持部16a、第1の駆動部16b及び第2の駆動部16cを駆動制御することにより、容器5s内から容器5t内へ指定の数だけ被収容物6を移し替える。具体的には、まず、被収容物移載装置16は、第1の載置部13aの上方に載置された容器5s内から被収容物6を取り出す。次に、被収容物移載装置16は、その取り出した被収容物6を収容物移替装置1内に設けられた被収容物整列装置17の上に載置する。
【0070】
次に、被収容物整列装置17は、例えば被収容物6を水平な方向に回転させつつ、被収容物6に設けられたノッチ(切り欠き)を検出し、これに基づいて、被収容物6を容器5t内の適正な位置に収容するために当該被収容物6を一定の方向に揃えるための位置合わせを行う。但し、本発明では、被収容物整列装置17による各被収容物6の位置合わせ方向はこの方法に限定されない。
【0071】
ここで、被収容物整列装置17を用いて被収容物6を一定の方向に揃える位置合わせを行う理由は、図示しないプロセス装置が各被収容物6のノッチが揃っていることを要求するからである。例えば、搬送車3等を用いて容器5を搬送していると、その搬送時に生じる振動等により、被収容物6の位置が当該容器5内の適正な収容位置からずれてくる。そこで、例えば容器5sから容器5tへ被収容物6を移し替える前に、容器5t内において位置ずれの生じている被収容物6を、被収容物整列装置17を用いて一定の方向に揃えてやれば、容器5t内に移し替えられる被収容物6を全て同じ方向に揃えた状態で容器5t内に収容することができるからである。
【0072】
次に、被収容物移載装置16は、位置合わせを終えた被収容物6を被収容物整列装置17から取り出し、その取り出した被収容物6を第2の載置部13bの上方に載置された容器5t内に収容する。以上に述べた被収容物6の移し替え作業は、コントローラ8による指示に基づき、指定の数だけ繰り返し行う。
【0073】
そして、容器5sと容器5tとの間で被収容物6の移し替え作業を全て終えると、続いて、収容部15d内に収容された状態にある、蓋開閉装置15の各開閉機構15aは、図2の矢印Y2及び一点鎖線領域に示すように、容器5s、5tの各蓋5bと共に収容物移替装置1の高さ方向(床9と離隔する方向)に移動し、さらに容器5s、5tの各蓋5bを、それぞれ容器5s、5tの各開放部5abを閉塞させる位置に戻す。この際、各開閉機構15aに設けられた一対の雄鍵15kyは、容器5s、5tの各蓋5bに設けられたロック機構5ba(例えば一対の雌鍵5ky)に挿入される。続いて、施解錠装置15bは、一対の雄鍵15kyを時計回りに回転させて容器5s、5tの各ロック機構5baを施錠する。こうして、容器5s、5tの各開放部5abが各蓋5bにより閉塞される。
【0074】
次に、保管庫2は、コントローラ8の指示の下、制御部23dを通じて支持部23a、第1の駆動部23b及び第2の駆動部23cを駆動制御することにより、第1の載置部13aの上方に載置された容器5s及び第2の載置部13bの上方に載置された容器5tを、この順に又はこの順とは逆順に保管庫2の棚22或いは入出庫ポートとして機能する棚22pへ順次移載する。なお、最上段の棚22pに移載された容器5t又は5sは、コントローラ8による指示に基づき、搬送車3によって保管庫2から出庫され、各種の処理装置、各種の製造装置、或いは各種の検査装置などに向けて搬送される。
【0075】
次に、第1比較例と比較した、本実施形態に係る被収容物移替システム100の作用効果の一例について説明する。
【0076】
まず、図6を参照して、第1比較例に係る被収容物移替システム100zの構成及びその課題について述べる。
【0077】
図6(a)は、図4(b)に対応する、第1比較例に係る被収容物移替装置1zの平面図である。図6(b)は、図4(a)に対応する、被収容物移替システム100zの平面図を示す。なお、図6(b)では、被収容物移替装置1zの形体と保管庫2zの形体とを区別し易くするため、被収容物移替装置1zを破線で、また、保管庫2zを実線で夫々示すことにしている。
【0078】
本実施形態に係る被収容物移替システム100と、第1比較例に係る被収容物移替システム100zとを比較した場合、その両者は、被収容物移替装置及び保管庫の構成が異なり、それ以外は同様である。よって、以下では、本実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0079】
まず、本実施形態に係る被収容物移替装置1と、第1比較例に係る被収容物移替装置1zとを比較した場合、その両者は、主に、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの位置関係及び被収容物移載装置の構成が異なり、それ以外は同様である。具体的には、本実施形態に係る被収容物移替装置1では、第1の載置部13aと第2の載置部13bとは、床9に対する被収容物移替装置1の高さ方向(床9に対する鉛直方向)に一列状に配置されていた。
【0080】
これに対し、第1比較例に係る被収容物移替装置1zでは、第1の載置部13aと第2の載置部13bとは、被収容物移替装置1zの高さ方向と略直交する方向であって、且つ被収容物移替装置1zと保管庫2zとの配列方向と略直交する方向(以下、便宜上、「矢印Y4方向」とも呼ぶ)に並列して配置されている。また、第1比較例に係る被収容物移替装置1zでは、被収容物移載装置16zは、支持部16a、第1の駆動部16b、第2の駆動部16c及び制御部16dに加え、さらに第3の駆動部16eを備えている。第3の駆動部16eは、制御部16dにより駆動制御され、支持部16a、第1の駆動部16b及び第2の駆動部16cを矢印Y4方向に移動可能に構成される。
【0081】
次に、本実施形態に係る保管庫2と、第1比較例に係る保管庫2zとを比較した場合、その両者は、主に、棚22の配列状態及び容器移載装置の構成が異なり、それ以外は同様である。具体的には、本実施形態に係る保管庫2では、保管庫2の高さ方向(床9に対する鉛直方向)に一列状に配列された一群の棚22が、被収容物移替装置1と保管庫2との配列方向であって、且つ容器移載装置23を挟む位置に夫々配置されて構成されていた。 これに対し、第1比較例に係る保管庫2zでは、棚22の配列状態が本実施形態と同様の構成を採りつつ、さらに、保管庫2の高さ方向(床9に対する鉛直方向)に一列状に配列された一群の棚22が、矢印Y4方向にも複数並列して配置されている。また、第1比較例に係る保管庫2zでは、保管庫2z内の略中央部に配置される容器移載装置23zは、支持部23a、第1の駆動部23b、第2の駆動部23c及び制御部23dに加え、第3の駆動部23eを備える。第3の駆動部23eは、制御部23dにより駆動制御され、支持部23a、第1の駆動部23b及び第2の駆動部23cを矢印Y4方向に移動可能に構成される。
【0082】
以上の構成を有する第1比較例に係る被収容物移替システム100zでは、被収容物移替装置1zにおいて、第1の載置部13aと第2の載置部13bとが矢印Y4方向に並列して配置されていると共に、保管庫2zにおいて、保管庫2の高さ方向に一列状に配列された一群の棚22が矢印Y4方向にも複数並列して配置されている。このため、第1比較例では、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替装置1z及び保管庫2zの占有面積が大きくなってしまうといった課題がある。
【0083】
これに対して、本実施形態に係る被収容物移替システム100では、被収容物移替装置1において、第1の載置部13aと第2の載置部13bとが被収容物移替装置1の高さ方向に一列状に配置されていると共に、保管庫2において、その高さ方向に一列状に配列された一群の棚22が、被収容物移替装置1と保管庫2との配列方向であって、且つ容器移載装置23を挟む位置に夫々配置されている。これにより、本実施形態では、第1比較例と比較して、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替装置1及び保管庫2の占有面積を小さくすることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る被収容物移替システム100では、被収容物移替装置1は、保管庫2に対し移動可能な状態で連結されていると共に、第1の載置部13a及び第2の載置部13bは、保管庫2の開口21bを通じて保管庫2内に配置されている。これにより、被収容物移替装置1と保管庫2とが部分的に重なり合うことになり、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替システム100の占有面積をさらに小さくすることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る被収容物移替システム100では、被収容物移替装置1の被収容物移載装置16は、被収容物6を支持する支持部16aと、被収容物移替装置1の高さ方向に対する水平一方向(被収容物移替装置1と保管庫2の配列方向)に支持部16aを往復移動可能な第1の駆動部16bと、当該高さ方向に支持部16aを昇降可能な第2の駆動部16cと、第1の駆動部16b及び第2の駆動部16cを夫々駆動制御する制御部16dと、を備える。
【0086】
これによれば、支持部16aを、被収容物移替装置1の高さ方向と略直交する方向であって、且つ被収容物移替装置1と保管庫2との配列方向と略直交する方向に沿って移動させるための駆動軸を設けることなく、容器5s内から取り出した被収容物6を容器5t内へ移し替えることができる。よって、支持部16aを当該駆動軸に沿って移動させる必要がないので、その分、第1比較例と比較して、被収容物6の移し替え時間を短縮することができる。加えて、当該駆動軸を省くことができるので、その分、第1比較例と比較して、被収容物移替装置1のコストを下げることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る被収容物移替システム100では、保管庫2の容器移載装置23は、容器5を支持する支持部23aと、保管庫2の高さ方向に対する水平一方向(保管庫2と被収容物移替装置1の配列方向)に支持部23aを往復移動可能な第1の駆動部23bと、当該高さ方向に支持部23aを往復移動可能な第2の駆動部23cと、第1の駆動部23b及び第2の駆動部23cを夫々駆動制御する制御部23dと、を備える。
【0088】
これによれば、支持部23aを、保管庫2の高さ方向と略直交する方向であって、且つ被収容物移替装置1と保管庫2との配列方向と略直交する方向に沿って移動させるための駆動軸を設けることなく、棚22同士の間で、或いは保管庫2の棚22と被収容物移替装置1の載置部13との間で容器5を移載することができる。よって、支持部23aを当該駆動軸に沿って移動させる必要がないので、その分、第1比較例と比較して、容器5の移載時間を短縮することができる。加えて、当該駆動軸を省くことができるので、その分、第1比較例と比較して、保管庫2のコストを下げることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る被収容物移替システム100では、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、図2の矢印Y2に示すように、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの各々の上方に載置された容器5s及び5tの各蓋5bのロック機構5baを施解錠装置15bによって解錠する場合、容器5s及び5tの各々の蓋5bを同一の方向(本例では床9に近づく方向)に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させる。これにより、以下に想定する第2比較例と比較して、次のような有利な効果が得られる。
【0090】
第2比較例として、第1の載置部13a及び第2の載置部13bの各々に対応して設けられた各開閉機構15aが相互に近接する方向に移動する構成を有する蓋開閉装置を想定する。ここに、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを適正に行うためには、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abが完全に開放するように、容器5s及び5tの各蓋5bを収容部15d内に収容する必要がある。そうした場合、第2比較例では、第1の載置部13aと第2の載置部13bとの間に位置する収容部15d内に容器5s及び5tの各蓋5bを収容する必要があるため、図3において第1の載置部13aと第2の載置部13bとの距離(間隔)d1を大きくする必要がある。そうすると、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、この第2比較例では、第1の載置部13aと第2の載置部13bとの距離d1が大きくなった分、容器5s内から取り出した被収容物6を容器5t内へ移し替える際の、被収容物移替装置1の高さ方向の移動量が大きくなってしまい、その分、当該移し替え時間が増大してしまう。
【0091】
これに対して、本実施形態では、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、容器5s及び5tの各々の蓋5bを共に同一の方向(本例では床9に近づく方向)に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させる。これによれば、第1の載置部13aと第2の載置部13bとの間に位置する収容部15d内には、容器5tの蓋5bのみを収容するだけでよいので、上記した第2比較例と比較して、第1の載置部13aと第2の載置部13bとの距離d1を小さくすることができる。このため、第2比較例と比較して、被収容物移替装置1の高さ方向の移動量を小さくすることができるので、その分、当該移し替え時間を短縮することができる。
【0092】
[変形例]
本発明では、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形をすることが可能である。 例えば、上記の実施形態では、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、図2の矢印Y2に示すように、容器5s及び5tの各蓋5bを共に同一の方向であって、且つ床9に近づく方向に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させるように構成した。
【0093】
これに限らず、本発明では、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、容器5s及び5tの各々の蓋5bを共に同一の方向であって、且つ床9から離隔する方向に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させるように構成してもよい。
【0094】
または、本発明では、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、容器5s及び5tの各蓋5bを相互に異なる方向(本変形例では、図7(a)に示すように、容器5sの蓋5bを床9に近づく方向に、また、容器5tの蓋5bを床9から離隔する方向に)に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させるように構成してもよい。ここで、図7(a)は、図3に対応する、本変形例に係る被収容物移替装置1sの断面図を示す。これにより、上記した本実施形態と比較して、第1の載置部13aと第2の載置部13bとの距離d2(<d1)をより小さくすることができる。その結果、上記した本実施形態と比較して、被収容物移替装置1sの高さ方向の移動量をより小さくすることができるので、その分、当該移し替え時間をより短縮することができる。
【0095】
または、本発明では、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、容器5s及び5tの各蓋5bを被収容物移替装置1tの高さ方向と略直交する方向であって、且つ被収容物移替装置1tと保管庫2(図示略)との配列方向と略直交する方向(本変形例では、図7(b)に示すように図の左側、但し、本発明では図の右側でもよい)に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させるように構成してもよい。ここで、図7(b)は、本変形例に係る被収容物移替装置1tを、保管庫2と連結される側から見た側面図を示す。これにより、上記した被収容物移替装置1sと同様の作用効果を得ることができる。
【0096】
または、本発明では、容器5sと容器5tとの間において被収容物6の移し替えを行う場合、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、容器5s及び5tの各蓋5bを相互に異なる方向であって、且つ、被収容物移替装置1uの高さ方向と略直交する方向に、且つ被収容物移替装置1uと保管庫2(図示略)との配列方向と略直交する方向(本変形例では、図7(c)に示すように、容器5sの蓋5bを図の右側に、また、容器5tの蓋5bを図の左側、但し、本発明では容器5sの蓋5bを図の左側に、また、容器5tの蓋5bを図の右側でもよい)に移動させて、容器5s及び5tの各容器本体5aの開放部5abを開放させるように構成してもよい。ここで、図7(c)は、本変形例に係る被収容物移替装置1uを、保管庫2と連結される側から見た側面図を示す。これにより、上記した被収容物移替装置1sと同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
また、本発明では、被収容物移替装置1に設ける載置部13の数に限定はなく、被収容物移替装置1に対して載置部13は少なくとも2つ以上設けられていればよい。
【0098】
図8は、図7(a)に対応する、変形例に係る被収容物移替装置1vに対し3つの載置部13を設けた構成例を示す断面図である。
【0099】
この被収容物移替装置1vでは、第1の載置部13a及び第2の載置部13bに加え、さらに、第2の載置部13bの上方に第3の載置部13cが設けられている。以下、第3の載置部13cの上方に載置された容器を「容器5u」と称する。この被収容物移替装置1vでは、容器5sと容器5tと容器5uの間において被収容物6の移し替えを行う場合、例えば、蓋開閉装置15の開閉機構15aは、図8の矢印Y2に示すように、容器5s、5t及び5uの各蓋5bを共に同一の方向であって、且つ床9に近づく方向(本発明では床9から離隔する方向でもよい。)に移動させて、容器5s、5t及び5uの各容器本体5aの開放部5abを開放させる。
【0100】
これにより、貴重なクリーンルーム内の床面積に対する、被収容物移替装置1vの占有面積を大きくすることなく、容器5sと容器5tと容器5uとの間において被収容物6の移し替えを行うことができる。この構成例では、例えば、容器5sから容器5tへは再処理又は再検査等が必要な被収容物6が収容され、容器5sから容器5uへは適正な被収容物6のみが収容される。なお、これらの被収容物6の多目的及び選択的な移し替え作業は、コントローラ8からの指示に基づいて行われる。
【0101】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る被収容物移替システムの外観構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る被収容物移替システムの高さ方向に沿った一断面図。
【図3】被収容物移替装置と保管庫から切り離した状態における被収容物移替システムの高さ方向に沿った一断面図。
【図4】本実施形態に係る被収容物移替システム等の構成を示す一平面図。
【図5】本実施形態に係る容器及び蓋開閉装置の構成を示す各斜視図。
【図6】第1比較例に係る被収容物移替システム等の構成を示す一平面図。
【図7】各種変形例に係る被収容物移替システムの構成を示す断面図又は側面図。
【図8】他の変形例に係る被収容物移替システムの構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0103】
1、1s、1t、1u、1v 被収容物移替装置、 2 保管庫、 3 搬送車、 4 軌道、 5 容器、 5a 容器本体、 5ab 開放部、 5b 蓋、 6 被収容物、 7 搬送装置、 8 コントローラ、 9 床、 15 蓋開閉装置、 15a 開閉機構、 16 被収容物移載装置、 22 棚、 23 容器移載装置、 100 被収容物移替システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物を収容する容器を載置する複数の載置部と、前記載置部の各々に載置された各々の前記容器同士の間で前記被収容物の移し替えを行う被収容物移載装置と、を有する被収容物移替装置と、
前記容器を載置する棚と、前記棚と前記載置部との間で前記容器の移載を行う容器移載装置と、を有する保管庫と、を備え、
前記載置部の各々は、前記被収容物移替装置の高さ方向に配列されていることを特徴とする被収容物移替システム。
【請求項2】
前記保管庫は、前記棚及び前記容器移載装置を収容すると共に前記被収容物移替装置に対向する面に開口を有する筐体を有し、
前記被収容物移替装置は前記保管庫に対し移動可能な状態で連結されていると共に、前記複数の載置部は前記開口を通じて前記保管庫内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の被収容物移替システム。
【請求項3】
前記棚は、前記筐体内に複数設けられ、
前記筐体内の略中央部には、前記容器移載装置が配置されており、
前記被収容物移替装置と前記保管庫との配列方向であって、且つ前記容器移載装置を挟む位置には、前記保管庫の高さ方向に配列された一群の前記棚が夫々配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の被収容物移替システム。
【請求項4】
前記容器は、前記被収容物を収容すると共に一側面が開放された開放部を有する容器本体と、前記容器本体の前記開放部に対して開閉自在に取り付けられる蓋と、を有し、
前記蓋は、前記開放部に対する当該蓋の開閉を行うロック機構を有し、
前記被収容物移替装置は、前記載置部に載置された前記容器に対して、当該容器の前記蓋の前記ロック機構を施錠又は解錠するための施解錠装置と、前記施解錠装置により解錠された前記蓋を移動させて、前記容器本体の前記開放部を開放し又は前記開放された前記開放部を閉塞させる開閉機構と、を有する蓋開閉装置を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の被収容物移替システム。
【請求項5】
前記開閉機構は、前記載置部の各々に載置された各々の前記容器の前記蓋の前記ロック機構を前記施解錠装置によって解錠する場合、前記各々の前記容器の前記蓋を同一の方向に又は相互に異なる方向に移動させて、前記容器本体の各々の前記開放部を開放させることを特徴とする請求項4に記載の被収容物移替システム。
【請求項6】
前記被収容物移載装置は、前記被収容物を支持する支持部と、前記被収容物移替装置の高さ方向に対する水平一方向に前記支持部を往復移動可能な第1の駆動部と、当該高さ方向に前記支持部を往復移動可能な第2の駆動部と、前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を夫々駆動制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の被収容物移替システム。
【請求項7】
前記容器移載装置は、前記容器を支持する他の支持部と、前記保管庫の高さ方向に対する水平一方向に前記他の支持部を往復移動可能な他の第1の駆動部と、当該高さ方向に前記他の支持部を往復移動可能な他の第2の駆動部と、前記他の第1の駆動部及び前記他の第2の駆動部を夫々駆動制御する他の制御部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の被収容物移替システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−58937(P2010−58937A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228129(P2008−228129)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】