説明

被覆層成形方法

【課題】部品に被覆層を形成するときの塗料液を最小にするとともに、被覆層の成形面の寸法精度を良好にする被覆層成形機を提供する。
【解決手段】被覆層成形機は、回転支持装置2と、供給部15と、層形成装置20と、塗料除去手段30とを有し、被覆層を成形する塗着形成部21の傾斜角を被覆面Dの塗料の回転接線方向に対し30°〜70°に保持するとともに、塗料除去手段30で塗着形成部21に付着した余剰塗料液を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の被覆面に被覆層を成形する被覆層成形機およびその成形方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、ピストン等の摺動面の寸法精度および摺動面の潤滑作用が向上した被覆層を形成する被覆層成形機およびその成形方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特開平8−173893号公報は被覆層成形機およびその成形方法を開示する。図1を参照して特開平8−173893号公報に開示されている塗布装置について述べる。
【0004】
図1に図解された塗布装置100は、基材104の上部に塗布容器101が設けられている。塗布容器101には塗布液102が収容されている。塗布容器101の下部には、基材104を回動可能に支持する軸受付支持プレート103が基材104の両端に配置されている。軸受付支持プレート103には、図示省略の駆動用モータが取付られている。この駆動用モータにより基材104を図示する時計周りの矢印方向Rへ回転させる。
【0005】
図解しない駆動用モータにより回転させられる基材104の被覆面105には、塗布容器101のノズルから塗布液102が流下されるので基材104の回転とともに被覆面105の全面に巻付けられるようにして塗布液102が塗布される。被覆面105に塗布された塗布液102の厚さを一定にするために被覆面105には、基材104の回転する接線方向に対し傾斜角θを135°に設定されたブレード体106が設けられている。
【0006】
ブレード体106の先端部106aは、被覆面105から100μmの間隙に保持されている。ブレード体106の先端部106aは薄肉になるように段部に形成されている。ブレード体106はブロック107に固定されている。図解しない駆動モータにより基材104を200rpmで5〜6回転させながら基材104に塗布された余剰の塗布液102をブレード体106の傾斜面を介してブレード体106で集め下方へ流下させる。ブレード体106の後端から流れ落ちる余剰の塗布液を収容する液受け機構108が設けられている。
【0007】
上述した塗布装置100は簡単構成をしており、単純な原理で動作するが、下記の不具合を有する。
【0008】
塗布容器101に収容された塗布液102を自然落下方式で塗布容器101のノズルから、回転している基材104の被覆面105に滴下させているから、収容されている塗布液102の量、粘度に応じて滴下量が変化する。そのため、塗布不足を防止するため、多量の塗布液102を基材104の被覆面105に滴下させて、余剰の塗布液をブレード体106で除去して、液受け機構108に収容しているが、塗布液102の消費が多量になり不経済である。
【0009】
多量の塗布液102が基材104の被覆面105に付着していると、ブレード体106で充分に除去できず、均一な厚さの塗膜が形成できず、基材104の回転数を少なくして、塗膜の品質を高めることが難しい。基材104の回転数を多くすると、塗膜形成時間が長くなり、生産性が低下する。
【0010】
ブレード体106は余剰の塗布液102をその面に沿って液受け機構108に導くよう傾斜して取り付けられているから、ブレード体106は基材104の回転被覆面105と鈍角θ=135に向いている。すなわち、ブレード体106は基材104の被覆面105の表面の余剰の塗布液102をすくい取っているにすぎない。しかしながら、塗布液102は粘度があるから、ブレード体106で除去される塗布液は粘度に応じて変化するし、残った塗布液も粘度に応じて被覆面105における厚さが変化する。このように、塗布膜の品質は粘度依存性が大きい。
【0011】
上述した被覆層成形機とは別の装置として、たとえば、特開平10−26081号公報、特開平5−147189号公報に、ピストン等の部材にコーティング材料をスクリーン印刷するものが開示されている。しかし、スクリーン印刷する装置では、コーティング材料の被覆の厚さが薄く、十分な摺動機能を得るための被膜を形成するためには、重ね塗りが必要となる。このため、多重塗りしなければならず、工数の増加とともに、塗装設備の増設が必要となり、生産方法が高価になる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、塗布する塗料液の量を最小にし、しかも、塗料液による被覆層の厚さ精度を向上させ得る被覆層成形機およびその成形方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、部品の被覆面に塗料液を塗布する塗布精度が不十分でも塗着ブレードにより被覆層の品質および寸法精度を向上させ得る被覆層成形機およびその成形方法を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、塗料液の粘性に関係なく、被覆層の厚さ精度および品質を向上させる被覆層成形機およびその成形方法を提供することにある。
【0015】
また本発明のさらに他の目的は、被覆層成形の生産能率を向上させるとともに、塗料液使用量を最小にして製造コストを低減する被覆層成形機およびその成形方法を提供することにある。更に本発明の目的は、被覆層成形機の構成を簡単にできる被覆層成形機およびその成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の観点による被覆層成形機は、被覆層が形成される部品の両端を芯出自在に着脱するとともに回転可能に保持する支持部と、支持部に支持された部品を回転させる回転駆動部とを有する回転支持装置、該回転支持装置に支持された部品の被覆面に塗料液を塗布供給する供給部、該供給部から被覆面に供給された塗料液の回転接線方向に対し30°〜70°の傾斜角に傾斜させるとともに被覆面に対し先端が被覆層厚さの間隙に保持された塗着形成部を有する層形成装置および層形成装置の塗着形成部に付着した塗料液を塗着形成部から除去する塗料除去手段を具備する。
【0017】
上述した本発明の被覆層成形機は、層形成装置が被覆面に塗布された塗料液を塗着しながら、被覆層の外径を均一になるように成形する。このとき、被覆面に不均一に塗料液が塗布されても塗着形成部と部品の被覆面との三角形状の空間部に余剰塗料液として溜る塗料液が不足している被覆面に流れるので、被覆層は均一に塗布されることになる。更に、塗着形成部により被覆面に塗料液を圧着することができるので、被覆層の外径寸法精度が向上する。しかも、供給部から塗布される被覆面の塗料液が不均一であっても塗着形成部が余剰塗料液をならして均一にするから、塗料液を供給ノズルを介してリング状に塗布することもできるし、塗料液が入れられた浸漬槽を介して塗布しても高精度の被覆層を形成することができる。
【0018】
また本発明の被覆層成形機では、塗料除去手段は層形成装置の塗着形成部が塗料液を被覆層の厚さに形成した後に塗着形成部に付着する余剰塗料液を除去する。
【0019】
この構成のように、塗料液が塗着形成部に付着するときには、塗料除去手段により除去されるから被覆層の寸法精度が向上するとともに、被覆層の表面に突部を形成させるようなことが防止できる。しかも、成形中に塗着形成部に余剰な塗料液を確保するとともに、塗料液を圧着させることができるから、被覆層の寸法精度とともに品質を向上させることができる。
【0020】
さらに、本発明の被覆層成形機は、塗料除去手段が層形成装置に設けた塗着形成部の層形成部分側に有する流出口により構成される。
【0021】
この構成のように、塗料除去手段を塗着形成部に直接形成することにより、余剰塗料液は流出口より流出されることができるから、略一定の余剰塗料液を確保して被覆面に塗布するとともに、余剰塗料液は段階的に少なくなるので、被覆層の表面を精度良く仕上げることができる。
【0022】
また本発明の被覆層成形機において、層形成装置は第1の塗着形成部と略平行な第2の塗着形成部を有するとともに第2の塗着形成部には流出口を有する。
【0023】
この構成のように、第1の塗着形成部の他に流出口を設けた第2の塗着形成部を設けることにより、塗料液を2段階に成形して被覆層の精度を向上させることができる。更に、第1の塗着形成部に余剰塗料液が一定量以上になると第1の塗着形成部を引込めて塗料除去手段で除去する。この間、第2の塗着形成部が塗料液を被覆層に形成する。このように第1と第2の塗着形成部に付着した余剰塗料液を交互に除去することにより被覆層の表面を精度良く仕上げることができる。
【0024】
さらに本発明の第2の観点による被覆層成形機は、被覆層が形成される部品の両端を芯出自在に着脱するとともに回転可能に保持する支持部と支持部に支持された部品を回転させる回転駆動部とを有する回転支持装置、回転支持装置に支持された部品の被覆面に塗料液を供給する供給部、供給部から被覆面に供給された塗料液の回転接線方向に対し30°〜70°の角度範囲に傾斜するとともに被覆面に対し被覆層厚さの間隙に形成されたブレード状の塗着形成部を回転体に周方向に沿って複数個設けられている回転層形成装置および回転層形成装置の下部に塗着形成部が洗浄される洗浄槽を具備し、回転層形成装置の回転方向が部品の回転と逆回転する構成に成されている。
【0025】
この被覆層成形機は、回転体に第1、第2、第3と多数の塗着形成部を傾斜させて設けるとともに、塗着形成部が洗浄槽で洗浄されるように構成されているから、塗着形成部に付着した塗料液を洗浄しながら、又は、1成形完了ごとに洗浄して被覆層を仕上成形することができる。このため、高精度の被覆層を形成することができる。
【0026】
また本発明の被覆層成形機では、回転層形成装置は複数の塗着形成部が塗料液を被覆層に形成する第1成形工程ごとに順次間欠に回転する。
この構成のように、塗着形成部が被覆層を形成して塗着形成部に余剰の塗料液が付着するようになると、層形成装置が回動して次の塗着形成部により被覆層を仕上げ成形する。
【0027】
さらに本発明の被覆層成形機では、回転支持装置の回転駆動部は1成形工程中に前記部品を毎分5〜200回範囲に回転させるとともに塗着形成部を前記被覆層から離脱させる前に、回転数を大きくさせる。
【0028】
この構成のように、被覆面に塗料液を塗布するときには、低回転数で部品を回転するとともに、被覆層を形成して仕上げるときには、被覆層の表面に突起が形成されないように第1回の低回転より高い回転にして塗着形成部を被覆層表面から引きはなす。
【0029】
本発明の他の観点の被覆層成形方法は、回転支持装置により部品の両端を芯出し支持して被覆面を回転させ、被覆面に供給部より塗料液を塗布し、被覆面に塗布した塗料液の回転接線方向に対して30°〜70°の傾斜角度に傾斜させるとともに被覆面に対し被覆層厚さの間隙に保持された塗着形成部により被覆層を形成し、塗着形成部に付着する余剰塗料液を塗料除去手段を介して除去し、次の成形工程の被覆層を形成する。
【0030】
この本発明の被覆層成形方法は、塗着成形部を塗料液の回転接線方向に対して30°〜70°の範囲内に傾斜配置して塗着形成部に余剰塗料液を介在させながら被覆層を形成するとともに、余剰塗料液が必要以上に付着したとき、又は次の成形工程へ移行するとき、塗着形成部を塗料除去手段を介して除去し、被覆層の外表面を仕上げ成形する。
また本発明の被覆層成形方法では、塗布液は塗料温度が25°Cで剪断速度が100S−1(シェアレート)のとき粘度が100CPから20000CPである。
【0031】
このようにすることにより、広範囲の粘性を有する塗料液に対して表面精度の良い被覆層を成形することが可能になる。
【0032】
また前記塗料液は、水又は有機溶剤中に溶解又は分散されたバインダーの有機系樹脂と固体潤滑剤のPTFE粉末とを有し、前記バインダー100重量部に対してPTFE粉末を10〜100重量部含有する。
【0033】
このようにすることにより、PTFE粉末は優れた潤滑作用を成して塗料液に対し表面精度の良い被覆層を形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、塗料液の消費が少なくてすむ。また、本発明によれば、膜厚を均一にすることができる。また、本発明によれば、作業時間が短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は従来の被覆層成形機の側面図である。
【図2】図2は本発明の第1実施の形態としての被覆層成形機の図3に示すH−H矢視側断面図である。
【図3】図3は図2の図解した被覆層成形機の平面図である。
【図4】図4は本発明の第1実施の形態の塗着形成部と部品の被覆面との側面図である。
【図5】図5は図2に図解した回転支持装置の拡大正面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施の形態に係る部品の正面図である。
【図7】図7は図6に図解した部品に被覆層を形成した正面図である。
【図8】図8〜図10は本発明の実施の形態のノズルの正面図である。
【図9】図8〜図10は本発明の実施の形態のノズルの正面図である。
【図10】図8〜図10は本発明の実施の形態のノズルの正面図である。
【図11】図11A、図11Bは本発明に係る実施の形態の塗着形成部を示す図であり、図11Aは平面図であり、図11Bは図11Aの側面図である。
【図12】図12A、図12Bは本発明に係る他の実施の形態の塗着形成部を示す図であり、図12Aは平面図であり、図12Bは図12Aの側面図である。
【図13】図13は図4に示す状態で部品に被覆層を形成した断面図である。
【図14】図14は図2の制御部と塗料タンクと供給部との関係図である。
【図15】図15A〜図15Cは本発明の第2実施の形態としての被覆層成形機およびその成形方法を示す図であり、図15Aは第2実施の形態の塗着形成部に塗料除去手段を設けた平面図であり、図15Bは図15AのH−H矢視断面図であり、図15Cは図15Aの側面図である。
【図16】図16は本発明の第3実施の形態としての被覆層成形装置の側断面図である。
【図17】図17は本発明の第4実施の形態としての被覆層成形装置の側断面図である。
【図18】図18は本発明の第5実施の形態としての被覆層成形装置の側断面図である。
【図19】図19は本発明の第6実施の形態としての被覆層成形装置の側断面図である。
【図20】図20は本発明のスプレーコーティング塗装機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の被覆層成形機およびその成形方法の実施の形態を添付図面を参照して述べる。
【0037】
第1実施の形態
図2〜図14を参照して本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第1実施の形態を述べる。
【0038】
図2および図3は本発明の第1実施の形態の被覆層成形機を示しており、図2は図3におけるH−H矢視を示す被覆層成形機の側面図であり、図3は図2の平面図である。図4は図3のH−H矢視方向からみた円筒状部品Aの被覆面Dに対する塗着形成部21の配置関係を示す図である。図5は図2の回転支持装置の正面図である。図6は図5の円筒状部品の正面図である。図7は図6の円筒状部品の被覆面に被覆層を形成した正面図である。
【0039】
図2と図3に図解した被覆層成形機1は、主要部として、被覆層が成形される円筒状の部品Aを回転する回転支持装置2と、塗料液Bを円筒状部品Aに塗布する供給部15と、塗料液Bを被覆層Cに形成する層形成装置20と、層形成装置20により塗料液Bを円筒状部品Aの被覆面Dに成形しているとき余剰塗料液Eとして塗着形成部21に付着するのを除去する塗料除去手段30と、これらの各部を制御する制御部40とから構成されている。
【0040】
回転支持装置2は図5に示すように構成されている。
【0041】
図3と図5において、円筒状部品Aは図6に示すように形成されている。円筒状部品Aは、ピストンの摺動面に潤滑被覆層C´を形成するためのテストピースである。テストピースとしての円筒状部品Aの被覆面Dには、図6に示すように被覆層C´が形成される。被覆層C´は上述のようにして成形した後、本発明の後工程である乾燥工程、焼成工程により製造される。被覆層C´の材質等については後述する。
【0042】
円筒状部品Aは両端に円錐状の芯出穴Fが設けられており、この芯出穴Fに回転支持装置2の位置決定部5が嵌合して円筒状部品Aの取付装置を決定する。位置決定部5は、支持部4、4Aの対向する両端面6、6Aに設けられている。又、一方の支持部4の端面6には、円筒状部品Aを圧接して回転させる回動部材4bが設けられている。一方の支持部4には、位置決定部5と回動部材4bとを回転させる、例えばモーターである回転駆動部7が設けられている。
【0043】
他方の支持部4Aは、支持台3に取付けられたガイドレール8を介してエアーシリンダである移動手段9により水平方向に移動できるように移動自在に構成されている。このエアーシリンダ9により支持部4AをX1方向へ移動させて開き、位置決定部5、5間に円筒状部品Aをセットして支持部4AをX2方向へ戻して閉じることにより簡単に円筒状部品Aは回転支持部2に取付けられる。そして、円筒状部品Aの被覆面Dに被覆層Cが成形されると、エアーシリンダ9により支持部4、4A間を開いて円筒状部品Aは取り出される。
【0044】
図2と図4において、塗着形成部21は、支持部4,4Aに取り付けられた円筒状部品Aの軸に直交する位置に配置されている。塗着形成部21は案内部22を介してスライド自在に取付けられているとともに、第1の駆動部23(例えば、エアーシリンダ又はスクリューねじを回動するモーター)により円筒状部品Aに対し相対移動可能に構成されている。案内部22と第1の駆動部23はフレーム24に固定されており、フレーム24は支持部4に回動自在になるように軸13を介して取付けられている。この回動は、エアーシリンダ又はスクリューねじの第2の駆動部25を移動又は回動して図4に図解した円筒状部品Aの被覆面Dに対する塗着形成部21の傾斜角θを調整できるように成されている。
【0045】
傾斜角θは、円筒状部品Aの回転接線方向Pに対する塗着形成部21の向きが鋭角、たとえば20°〜80°の範囲に正確に調整できるように成されている。傾斜角θは、好ましくは30°〜70°の範囲にすると良い。傾斜角θは、この範囲内で塗料液Bの粘性等に対応して設定される。
【0046】
更に、フレーム24は、支持部4に設けられた長孔10に沿って上下方向に微調整できる。この微調整により、塗着形成部21の先端と被覆面Dとの距離を調整できる。
【0047】
塗着形成部21で成形される塗料液Bは、円筒状部品Aの上方に配置された供給部15のノズル16から被覆面Dに塗布される。供給部15には電磁弁17が設けられている。図2,図3および図14に示すように塗料タンク50には塗料液Bが投入されて蓄えられている。塗料タンク50内の塗料液Bは、エアータンク51と連結された配管52を介してエアータンク51から導入される圧縮空気により圧送される。圧送される塗料液Bは、塗料タンク50と電磁弁17とを連通するチューブ53を通って供給部15へ供給される。
【0048】
供給部15に供給された塗料液Bは、制御部40により電磁弁17を制御してノズル16から塗布される。このとき、供給部15は、たとえば、図9に示すように形成された5本のノズル16により被覆面Dを軸方向にカバーしているので、被覆面Dを回転することにより、塗料液Bが被覆面Dに対し5本のリング状に塗布される。被覆面Dの軸方向の幅が供給部15のノズル16全体の幅より長い場合には、供給部15を第3の駆動部(エアーシリンダ等)11により円筒状部品Aの軸方向に移動させて被覆面Dに対しスパイラル状に塗布する。供給部15は円筒状部品Aに遠近自在になるように第4の駆動部12により移動させられる。
【0049】
図8は図2の塗料液を供給するノズルの正面図である。図9は図8の他の実施の形態を示すノズルの正面図である。図10は図8の更に他の実施の形態を示すノズルの正面図である。
【0050】
ノズル16の形状は、本実施の形態では、図8〜図10に示すものが採用されている。図8に図解したノズル16は1本であるため、第3の駆動部11により供給部15を被覆面Dの軸方向に移動しながら円筒状部品Aも回転させるので、円筒状部品Aの表面にスパイラル状に塗布液Bが塗布されることになる。又、円筒状部品Aを回転せずに塗布液Bを塗布すると直線状になる。
【0051】
図9のノズルは上述した。
【0052】
図10に示すノズル16は、断面が矩形状に形成されているとともに、塗料液Bの流出口も断面が矩形状に形成されているので、円筒状部品Aの被覆面Dに対し帯状に全面へ塗布される。このノズル16の流出口の幅が被覆面Dの幅より小さい場合には、第3の駆動部11により被覆面Dの軸方向へ移動しながら全面へ帯状に塗布する。
【0053】
層形成装置20に於ける塗着形成部21の好ましい実施の形態としては、図11A、図11B、および、図12A、図12Bに示すものが良い。
【0054】
図11Aは塗着形成部の平面図であり、図11Bは図11AのH−H矢視の断面図である。図12Aは図11A、図11Bに図解した被覆層成形機の他の実施の形態の塗着形成部の平面図であり、図12Bは図12AのV−V矢視の断面図である。
【0055】
図11A、図11Bに図解した塗着形成部21は、層形成部35と、層形成部35の先端に勾配面36でくさび状に形成された先端部35aと、この塗着形成部21を取付部28を介して層形成部35に固定するネジが通る取付孔38とを有する。先端部35aが円筒状部品Aの被覆層Dと接近して配置されることにより、被覆層Dに塗布された塗料の厚さを均一にする。勾配面36は円筒状部品Aと先端部35aが面対する側に位置している。
【0056】
図12A、図12Bに図解した塗着形成部21は、層形成部35と、層形成部35の先端に円弧状の断面36Aで切り欠いた先端部35bと、取付孔38とを有する。円弧状の断面36Aは円筒状部品Aと先端部35aが面対する裏側に位置しており、先端部35bの幅Wと円弧状の断面36aは、円筒状部品Aの被覆面Dに形成される塗着層に波打ちが発生することを防止する。
【0057】
円筒状部品Aの表面に塗布された塗料液Bは、塗着形成部21により、図4、図13に図示したように被覆層Cに成形される。被覆層Cの厚さtは、0.01mmから0.50mmの範囲にすると良い。そして、この被覆層Cの厚さの好ましい厚さは、0.02から0.30mmにすると良いことが実験により判明した。被覆層Cの厚さtが0.30mm以上にすると、乾燥や焼成時の発泡を防ぐため、ある程度の時間の乾燥工程が必要となる。更に、厚さtが0.50mm以上になると塗料液Bのたれや、乾燥、焼成時の発泡が惹起し、乾燥、焼成後に得られた被覆層C´を一様な厚さに形成することが困難になる。
【0058】
被覆層Cの下限の厚さtを0.01mm以下にすると、円筒状部品Aをピストンに用いる場合、乾燥、焼成工程後に完了する潤滑用の被覆層C´としては、潤滑作用が不向となる。
【0059】
本発明は、円筒状部品Aをピストンに用いる場合、被覆面Dとして焼成完了後の潤滑用被覆層C´を得ることも1つの目的とするものである。
【0060】
なお、被覆層の厚さは、支持部4に設けられた長孔に沿ってフレーム24を上下に調整して円筒状部品Aの表面と塗着形成部21の先端部との距離を調整し、塗料液の粘度によって塗着形成部21の傾斜角θを調整するなどによって調整できる。
【0061】
被覆層Cを成形する塗着形成部21は、被覆面Dの回転接線方向Pに対し塗着形成部21の接近点で20°から80°の傾斜角θに調整できるように構成されている。塗着形成部21の傾斜角θを20°より小さな角度にすると、塗料液Bとの接触面積が増大して被覆層Cの一部に盛り上がりが増大することになる。傾斜角θを80°以上にすると、塗料液Bが塗着形成部21により掻き取られる量を増大させることになり、塗料液Bの供給を過剰にしなければならなくなる。品質上から好ましい塗着形成部21の傾斜角θとしては30°から70°にすると被覆層Cの寸法精度を向上させることが認められた。
【0062】
回転支持装置2により円筒状部品Aは毎分30から200回転数にすると良い結果が得られることも認められる。回転数を30rpm以下にすると、被覆層Cの表面に盛り上がりが極端に増大することになるからである。又、回転数を200rpm以上にすると、被覆層Cに気泡が混じるとともに、遠心力による塗料液Bの飛散や波打ちが発生し、被覆層Cの表面が不均一になる。
【0063】
図2および図3において、塗着形成部21の移動方向と直交する方向に往復移動する塗料除去手段30が設けられている。この塗料除去手段30には、案内部22に形成された凹部34に沿って案内される塗料除去具31を往復移動させる第5の駆動部(エアーシリンダ)14が設けられている。この塗料除去具31は矩形板状に形成されて後端が第5の駆動部14に連結されている。そして、先端部が塗着形成部21の上面に摺接して余剰塗料液Eを除去するように形成されている。
【0064】
被覆層成形機1に用いる実施の形態の塗料液Bは、熱硬化型摺動性塗料であり、水又は有機溶剤中に溶解又は分散された、バインダーとしての有機系樹脂と固体潤滑剤としてPTFE粉末とからなり、前記バインダー100重量部に対してPTFE粉末10〜100重量部を含有されたものである。この範囲内の塗料液Bは潤滑被覆層として優れるものである。
【0065】
潤滑被覆層としては、耐摩耗能力、摺動能力およびシール能力が必要であるが、この能力を上記の成分は備えている。PTFE粉末が10重量%以下であると摺動能力が不足することになる。又、PTFE粉末が50重量%以上であると乾燥、焼成後の被覆層C´の強度が低下する。
【0066】
バインダーの有機樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を利用した。これらは、1種又は2種以上の混合物である。この他の配合剤としては、塗料の粘度特性を調整するためにレオロジーコントロール剤を利用する。尚、固体潤滑剤として、PTFE粉末の他にグラファイト、2硫化モリブデン、添加剤として顔料、消泡剤、界面活性剤などを用いることができる。
【0067】
塗料液Bの粘度は100CPから20000CPの範囲が好適である。特に、1000CPから10000CPの範囲は更に良好である。それは、1000CP以下では塗料液Bの被覆面Dからのたれが生じ易く、被膜層Cの厚さを厚くすることが困難になる。又、10000CP以上であるとレベリング性が悪化するので、これを解決するために塗布時間が長くなり生産性を低下させることになる。
【0068】
粘性特性は、コーンプレート型の回転粘度計を用いて測定し、塗料粘度は25°Cで剪断速度が100S−1(シェアレート)の点でのものである。
【0069】
図14は図2に図解した制御部と塗料タンクと供給部との接続関係を示す図である。制御部40と、エアタンク51と、電磁弁(作動弁)17と、供給部15と、塗着形成部21と、ノズル16と、塗料タンク50とが図示のごとく接続されている。図14に図解した構成の詳細は後述する。
【0070】
上述した被覆層成形機を用いた本発明に係る一実施の形態の被覆層成形方法を述べる。
【0071】
図6又は図7に示すようなピストンに用いる円筒状部品Aを機械加工により形成する。
【0072】
この円筒状部品Aを図5に示すように回転支持装置2にセットする。このセットは、移動手段9により移動自在に移動する他方の支持部4Aを開いて円筒状部品Aを回転支持装置2に取付けるとともに、他方の支持部4Aを閉じる(図5の状態)。このとき、円筒状部品Aは位置決定部5により位置決定状態に取付けられる。この取付けられた円筒状部品Aの被覆層成形機1における取付状態は図2に示す通りとなる。これが取付工程である。
【0073】
次に、制御部40の指令により、図14に示すように、エアタンク51と電磁弁(作動弁)17が作動して被覆液Bが供給部15のノズル16より円筒状部品Aの被覆面Dに塗布される。同時に、回転駆動部7も制御部40の指令により円筒状部品Aを回転させる。円筒状部品Aの回転は、回転駆動部7の動力を回動部材4bを介して円筒状部品Aに伝動して回転させる。回転数は30rpmから200rpmの範囲であって、第1回の回転数が50rpmで回転させ、層形成装置20の塗着形成部21を被覆層Cから離脱する直前の第2回の回転数を100rpmに2段階変速で行う。これが円筒状部品Aの被覆面Dに塗料液Bを塗布する塗布工程である。
【0074】
円筒状部品Aの被覆面Dに塗料液Bが塗布された状態では被覆層Cはむら面となっているので、第1の駆動部23が制御部40の指令により作動し、塗着形成部21を円筒状部品Aに向かって前進させる。そして、塗着形成部21の層形成部35の先端面が円筒状部品Aの被覆面Dとの間隙29を0.02mmから0.50mmの範囲に接近させる。
【0075】
この状態で円筒状部品Aは50rpmで回転させられながら塗着形成部21により塗料液Bを被覆層Cに成形する。この実施の形態では、塗着形成部21と被覆面Dとの間隙29は0.1mmに保持されて被覆層Cが成形される。この工程が被覆層成形工程である。なお、余剰の塗料は塗着形成部21により被覆層Cから除去される。
【0076】
尚、塗着形成部21は、第2の駆動部25により、傾斜角θが調整される。この傾斜角θは20°から80°の範囲に調整されるが、本実施の形態では45°にセットして行われた。又、軸13を長孔10に沿って図示省略の調整ねじにより移動させ、塗着形成部21の層形成部35と被覆面Dとの位置関係(Y方向の位置)を微調整する。
【0077】
次に、被覆層成形工程中に塗着形成部21の層形成部35に余剰塗料液Eが溜ることになるが、この余剰塗料液Eが多くなるにつれて被覆層Cの周面は精度が悪化するから、塗着形成部21が後退した段階で塗料除去手段30により塗着形成部21に付着している余剰塗料液Eを除去し、次の成形工程に於ける成形時の層形成部35の成形仕上作業を高める。この工程が塗料除去工程である。
【0078】
このような各工程を経て被覆層Cの成形工程が完了する。この成形工程の完了とともに、被覆層Cが成形された円筒状部品Aは、回転支持装置2から取り出される。この被覆層Cが成形された円筒状部品Aは乾燥工程から焼成工程を経過して完了する。この乾燥工程と焼成工程は塗料の各種設備により行うことができる。これが最終工程である。
【0079】
尚、他の実施の形態として塗着形成部21に付着する余剰塗料液Eが設定量より多くなると、図示省略のセンサが働き第1の駆動部23を作動させて案内部22に戻して塗料除去手段30により除去させることもできる。この除去された塗着形成部21は、又前進して被覆層Cを成形する。
【0080】
第2実施の形態
図15を参照して本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第2実施の形態を述べる。
【0081】
図15は本発明の第2の実施の形態を示す塗着形成部21に設けた塗料除去手段30Bを図解する。
【0082】
図15Aは、この塗料除去手段30Bを設けた塗着形成部21の平面図である。図15Bは図15AのV−V矢視を示す断面図である。図15Cは図15Aの塗着形成部21の側面図である。
【0083】
この図15A〜図15Cに図解した塗着形成部を後述する第2の塗着形成部21aとして採用すると良い。
【0084】
図15A〜図15Cにおいて、塗着形成部21は、ブレード状に形成されており、後端の取付け部28には層形成装置20のホルダ37に取付けられる取付孔38が設けられている。後端と反対の先端には層形成部35が傾斜面に形成されている。層形成部35側には両端側から中央に向かって傾斜面27に形成された凹部には、底面に矩形状の流出口26が形成されている。傾斜面27の両側は段面に形成されているが、この段面も両側から急な傾斜面に形成しても良い。塗料除去手段30Bは多数の孔を設けた流出口26にしても良い。
【0085】
上述のように塗着形成部21に設けられた塗料除去手段30Bは、図2に示すホルダー37に取付けられる。塗着形成部21により塗料液Bが被覆層Cに形成しているとき余剰塗料液Eは塗料除去手段30Bの流出口26に流れて除去されることになる。
【0086】
塗料除去手段30Bを設けた場合は、図2に示す塗料除去手段30は不用であるが、両者を併用して作動させることも可能である。その他の構成は、図2と同様である。
【0087】
第3実施の形態
図16を参照して本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第3実施の形態を述べる。
【0088】
図16は本発明の第3の実施の形態の形態の被覆層成形機1の側断面図である。
【0089】
図16において、図2と相違する点は、層形成装置20が回転層形成装置20Aに相当する機能に形成されているとともに、回転層形成装置20Aの塗着形成部21に付着する余剰塗料液Eを洗浄槽30Aに満たされている溶剤により洗浄する。供給配管48から洗浄液が供給される洗浄槽30Aには、ジェットノズル32を設け、このジェットノズル32から溶剤を層形成部35に当接して洗浄しても良い。
【0090】
第3の実施の形態では、前述の層形成装置20が回転層形成装置20Aとなる。回転層形成装置20Aにおいて、円筒体39の両端に円板状のフランジ18を溶接するとともに、フランジ18間に6枚のブレード状の塗着形成部を等間隔に溶接した構造である。6枚の塗着形成部21であるブレードは、必要に応じ、2枚、4枚、6枚、8枚と設定することができる。
【0091】
回転層形成装置20Aは、被覆層Cを成形する1工程完了ごとに1枚の塗着形成部21が1回動するものであるが、1工程中に2枚の塗着形成部21の回動により荒(粗)成形と精密成形とを行うようにしても良い。更には、必要に応じ複数枚を1工程中に回動するようにしても良い。これらは、制御部40からの指令により作動する。
【0092】
洗浄槽30Aは、図2の塗料除去手段30に相当する。洗浄槽30Aは、図示省略されているが、回転層形成装置20Aに対し遠近移動自在に構成されて洗浄液の深さが調整できるように成されている。符号48は洗浄液の供給配管である。その他の構成は図2に示すものと同様である。
【0093】
第4実施の形態
図17を参照して本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第4実施の形態を述べる。
【0094】
図17は本発明の第4の実施の形態の被覆層成形機1の側面図である。
【0095】
図17に図解した第4の実施の形態の被覆層成形機1において、図16に図解した第3の実施の形態と相違する点は、ブレード状の塗着形成部21に第2の実施の形態で説明した(図15参照)流出口26を複数個図示するように設けたものである。流出口26により洗浄槽30A内での洗浄効果を向上させるものである。その他の構成は、第3の実施の形態と略同様である。
【0096】
第5実施の形態
図18を参照して本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第5実施の形態を述べる。
【0097】
図18は本発明の第5の実施の形態の被覆層成形機1の側面図である。
【0098】
図18において、図2に示す被覆層成形機1と相違する点は、塗料液の供給部15が浸漬槽15Aに形成されている点である。浸漬槽15Aには、塗料液Bが満たされている。浸漬槽15Aは、回転支持装置2の下側に設置されており、円筒状部品Aが回転することにより被覆面Dに塗布するように構成されている。浸漬槽15Aと円筒状部品Aとは相対的にY方向に遠近移動可能に構成されている。このY方向の移動は第6の駆動部33により成される。第6の駆動部33は、浸漬槽15A内に設けられたレベルセンサ49により制御部40へ発信される。そして、制御部40から第6の駆動部33へ指令が出されて作動させるように成されている。その他の構成は、図2に示す被覆層成形機1と略同様である。円筒状部品Aの塗料液Bに浸漬される深さにより塗布量を加減する。
【0099】
第6実施の形態
図19を参照して本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第6実施の形態を述べる。
【0100】
図19は本発明の第6の実施の形態の被覆層成形機1の側面図である。
【0101】
図19において、図2の被覆層成形機1と相違する点は、層形成装置20の塗着形成部が第1の塗着形成部21と第2の塗着形成部21aにより構成されている点である。この構成は、図19に示す通りの2段階の構成のものである。
【0102】
この塗着形成部は、二枚の第1の塗着形成部21を平行に2段に構成する場合と、第1の塗着形成部21と図15に示す形状の第2の塗着形成部21aを2段に構成する場合とがある。
【0103】
被覆層C形成の1工程中を図19の状態で行う場合と、第1の塗着形成部21で被覆層Cを成形中に第2の塗着形成部21aに連結した第1の駆動部23の一方を作動させて後退させるとともに、塗料除去手段30を利用して層形成部35に付着している余剰塗料液Eを除去する。次に、第2の塗着形成部21aを前進させて塗料液Bを被覆層Cに高精度に成形中に、第1の塗着形成部21を後退させて塗料除去手段30により余剰塗料液Eを除去する。つまり交互に第1の塗着形成部21と第2の塗着形成部21aとを作動させて被覆層Cを形成する。
【0104】
特に、第2の塗着形成部21aを2段目に設ける構成により、余剰塗料液Eの発生を防止して、被覆層Cの表面に盛り上がりによる突起が惹起するものを防止する。
【0105】
第7実施の形態
本発明の被覆層成形機およびその成形方法の第7実施の形態を述べる。
【0106】
本発明の第7の実施の形態の被覆層成形機1は、図3において、回転駆動部7は、制御部40の指令により、被覆層Cの成形中の初期には低回転で成形する。次に、被覆層Cが最終期に近くなると初期の回転数より高くして塗着形成部21を後退させ、被覆層Cの成形工程を完了する。この高速回転を行うことにより、被覆層Cの表面に塗着形成部21に付着の余剰塗料液による盛り上がり突起を防止するとともに、高精度の寸法精度を得ようとするものである。
【0107】
第7の実施の形態の円筒状部品Aの回転を2段階の回転数にする構成は、制御部40により回転駆動部7を制御することにより行われる。そして、この2段階の回転の被覆層成形機1は、第1の実施の形態から第6の実施の形態に採用することができる。この回転数は、前述したように30rpmから200rpmの範囲内で行うと良い。例えば、第1の回転数を30rpmとし、第2回の回転数を100rpmとする。或は、第1回目を60rpmとし、第2回の回転数を150rpmとする。
【0108】
実験例
次に、上述した実施の形態の実験例実施について述べる。
【0109】
実験に用いた円筒状部品Aは、図6に示すものを用いた。又、塗着形成部21は、図11に示すものを第1の塗着形成部21とするとともに、図15に示すものを第2の塗着形成部21aとして2段の図19に示す状態で実験を行った。
【0110】
第1実験例
図6に示す円筒状部品Aを本発明の被覆層成形機1にセットし、円筒状部品Aを第1回の回転数として60rpmで回転しながら、図8に示すノズル16を用いて被覆面Dの軸方向へ3等配の各点に順番に1秒間づつリング状に塗料液Bを塗布した。
【0111】
次に、層形成装置20の塗着形成部21の傾斜角θ=45°にして層形成部35を被覆面Dに対し間隙29を0.2mmに保持して被覆層Cの成形を行った。塗料液Bの塗布終了後に円筒状部品Aの回転数を60rpmから100rpmに上昇させて塗着形成部21を被覆層Cから離脱した。その後に、円筒状部品Aを回転支持装置2から取り外して設定された乾燥と焼成条件の電気炉にて乾燥と焼成を実施した。円筒状部品Aには均一な焼成完了後の被覆層C´が形成されたことが認められた。尚、塗料液Bは乾燥、焼成後の塗料液成分中にPTFE粉末を30重量%含有させ、粘度を3000CPにした。
【0112】
第2実験例
第2実験例は第1実験例と同様に行ったが、第1実験例と相違する点は下記の通りである。
【0113】
(1)円筒状部品Aの回転数を30rpmとした。
(2)円筒状部品Aの被覆面Dの軸方向に5等配された5点の位置に各ノズルが配置された図9に示すノズル16を用いた。
(3)ノズル16から2秒間塗料液Bを被覆面Dに対し5条のリング状になるように塗布した。
【0114】
第3実験例
第3実験例は第1実験例と同様に行ったが、第1実験例と相違する点は下記の通りである。
【0115】
(1)円筒状部品Aの回転数を30rpmとした。
(2)図10に示す被覆面Dの軸方向長さと同じ口を有するノズル16を用いた。
(3)ノズル16から2秒間塗料液Bを被覆面Dに対し帯状に塗布した。
【0116】
第4実験例
第4実験例は第1実験例と同様に行ったが、第1実験例と相違する点は下記の通りである。
【0117】
(1)円筒状部品Aの回転数を30rpmとした。
(2)塗料液Bを浸漬槽15Aから被覆面Dの全面に対し浸漬塗布した。
【0118】
第5実験例
第5実験例は第1実験例と同様に行ったが、第1実験例と相違する点は下記の通りである。
【0119】
(1)実施の形態1と同じノズル16を用いて円筒状部品Aの被覆面Dの軸方向に対し直線状に塗料液Bを塗布した。
(2)その後に円筒状部品Aを回転して塗着形成部21により被覆層Cの成形を行った。
【0120】
第6実験例
第6実験例は第1実験例と同様に行ったが、第1実験例と相違する点は下記の通りである。
【0121】
(1)円筒状部品Aの回転数を30rpmとした。
(2)円筒状部品Aの被覆面Dの軸方向へ5等配された5点の位置に各ノズルが配置された図9に示すノズル16を用いた。
(3)2秒間塗料液Bを被覆面Dに対しリング状に塗布した。
【0122】
比較例1
図20に示すように、円筒状部品Aを縦方向に回転台110に設置し、スプレーガン110を用いてスプレーコーティングにより被覆面の表面に各実施の形態と同一の塗料液Bを塗布して、実施の形態と同一条件で乾燥、焼成を行った。
【0123】
比較例2
第3実験例と同様に行ったが、回転数を10rpmにし、ノズル16から塗料液Bの塗布時間を6秒とした。ただし、塗着形成部の傾斜角度は第3実験例とは反対に先端側が45°に上方へ傾斜させた。
【0124】
比較例3
第6実験例と同様に行った。ただし、第6実施の形態とは異なり、塗着形成部の余剰塗料液の除去は行わなかった。
【0125】
以上の本発明の第1〜第6実験例と比較例1〜6との比較結果を表1に示す。
【0126】
【表1】

【0127】
表1の結果から明らかなように、比較例の場合は1回の被覆層工程において塗料液Bの使用料が多い。潤滑用被覆層の塗料は高価であるため、円筒状部品Aが大量である場合は、円筒状部品Aのコストを上昇させることになる。
【0128】
又、同一条件で塗着形成部21の余剰塗料液Eの除去の有無が異なる第6実験例と比較例3とを対比すると、塗着形成部21が被覆面Dより離脱するとき、余剰塗料液Eにより形成される被覆面の盛り上がりは、実験本数が増えるごとに大きくなることが認められた。
【0129】
【表2】

【0130】
上述したように、本発明の被覆層成形機は、塗着成形部の傾斜角の設定とともに、塗料除去手段の作用により、最小の塗料液で被覆層を成形することが可能となり、高価な塗料液の使用量を低減して部品のコストを低減できる。
【0131】
本発明によれば、被覆層の表面に盛り上がりや波打ちを防止して高精度の摺動面を形成できるという効果を奏する。
【0132】
本発明によれば、塗料液の供給部の塗布方法が簡単であっても、被覆層を良好に形成することができ、供給部の装置をコスト的に低減できるという効果を奏する。
【0133】
本発明の被覆層成形機は、層形成装置が回転層形成装置に構成されて塗料除去装置が洗浄槽により余剰塗料液を除去するように構成されているため、被覆層の成形を短時間に行うことが可能になり、生産を向上させる。
【0134】
本発明によれば、塗着形成部に付着する余剰塗料液をたえず除去することが可能になるので、高精度の周囲を形成できる。
【0135】
本発明の成形方法は、塗料液の使用量を減少させて部品コストを低減することができる。
【0136】
本発明の成形方法によれば、被覆層の外周面の寸法精度を向上させて品質の管理を容易にするとともに、潤滑被覆層のような成形困難な塗料液でも、高精度な成形を可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の被覆層成形機およびその成形方法は、ピストンの被覆など種々の被覆に使用できる。
上述した実施例は、好適な例示として、ピストンへの被覆について述べたが、本発明は回転可能な円筒体、回転軸などのその他の物体の表面被覆に適用できる。
【符号の説明】
【0138】
1 被覆層成形機
2 回転支持装置
3 支持台
4 一方の支持部
4A 他方の支持部
4b 回動部材
5 位置決部
6 端面
6A 端面
7 回転駆動部
8 ガイドレール
9 移動手段(エアーシリンダ)
10 長孔
11 第3の駆動部
12 第4の駆動部
13 軸
14 第5の駆動部
15 供給部
15A 浸漬槽
16 ノズル
17 電磁弁(作動弁)
18 フランジ
19 回転体
20 層形成装置
20A 回転層形成装置
21 塗着形成部
21a 第2の塗着形成部
22 案内部
23 第1の駆動部
24 フレーム
25 第2の駆動部
26 流出口
27 傾斜面
28 取付部
29 間隙
30 塗料除去手段
30A 洗浄槽
30B 塗着除去手段
31 塗料除去具
32 ジェットノズル
33 第6の駆動部
34 凹部
35 層形成部分
36 勾配面
36A 段面
37 ホルダー
38 取付孔
39 円筒体
40 制御部
48 供給配管
49 レベルセンサ
50 塗料タンク
51 エアータンク
52 配管
53 チューブ
100 塗布装置
101 塗布容器
102 塗布液
103 軸受付支持プレート
104 基材
105 被覆面
106 ブレード体
107 ブロック
108 液受け機構
110 スプレーガン
111 回転台
A 部品
B 塗料液
C 被覆層
C´ 焼成完了後の被覆層
D 被覆面
E 余剰塗料液
F 芯出穴
θ 傾斜角
P 接線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に被覆層(C)が形成される円筒状部品(A)の両端を芯出自在に着脱自在に保持する支持部(4,4A)と、前記支持部(4,4A)に支持された前記円筒状部品(A)を回転させる回転駆動部(7)とを有する回転支持装置(2)と、
前記回転支持装置(2)に支持されて回転する円筒状部品(A)の表面(D)に塗料液(B)を塗布する塗料供給部(15)と、
前記円筒状部品(A)の表面の接線方向に対し鋭角な傾斜角(θ)で傾斜させ、かつ、その先端部が前記円筒状部品の表面と所定の間隙(29)に位置決めされる塗着形成部(21)を有する層形成装置(20)と、
前記層形成装置(20)の塗着形成部(21)に付着した余剰の塗料液(B)を前記塗着形成部(21)から除去する塗料除去手段(30)と
を具備する被覆層成形機。
【請求項2】
前記塗着形成部(21)の傾斜角は30〜80度の範囲にある、請求項1記載の被覆層成形機。
【請求項3】
前記塗着形成部(21)は、層形成部(35)と、該層形成部(35)の前記円筒状部品(A)の回転面と対向する先端部(35a)とを有し、該先端部が前記円筒状部品の回転方向に対して傾斜した形状をしている、請求項1または2記載の被覆層成形機。
【請求項4】
前記塗着形成部(21)は、層形成部(35)と、該層形成部(35)の前記円筒状部品(A)の回転面と対向する先端部(35b)とを有し、該先端部の前記円筒状部品の回転方向に対する面が平坦であり、先端部が所定の厚さ(W)を有し、前記平坦な面の裏側が円弧状に切り欠き状に形成されている、請求項1または2記載の被覆層成形機。
【請求項5】
前記塗着形成部(21)の前記先端部から所定距離処理離れた前記層形成部(35)に、前記余剰塗料除去手段を構成する、余剰塗料液を除去する部分が設けられている、請求項3または4記載の被覆層成形機。
【請求項6】
前記余剰塗料除去する部分は前記層形成部を貫通する孔(30B)である、請求項5記載の被覆層成形機。
【請求項7】
前記余剰塗料除去する部分は、前記塗着形成部の前記円筒状部品(A)の回転面に平行な位置に複数形成された前記層形成部を貫通する傾斜面を有する孔(30B:27,26)である、請求項6記載の被覆層成形機。
【請求項8】
前記層形成装置(20)は、前記塗着形成部(21)の回転後方に位置し、前記塗着形成部と実質的に同じ形状をしており、前記円筒状部品(A)の円周の接線方向に対して前記塗着形成部(21)と同じ角度で傾斜し、前記円筒状部品の表面に対して前記塗着形成部と同じ距離だけ離れている、少なくとも1つの第2の塗着形成部(21a)を有する、
請求項1〜4いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項9】
前記第2の塗着形成部(21a)の前記先端部から所定距離処理離れた前記層形成部(35)に、前記余剰塗料除去手段を構成する、余剰塗料液を除去する部分が設けられている、請求項8記載の被覆層成形機。
【請求項10】
前記余剰塗料除去する部分は前記層形成部を貫通する孔(30B)である、請求項9記載の被覆層成形機。
【請求項11】
前記余剰塗料除去する部分は、前記円筒状部品(A)の回転面に平行な位置に複数形成された、前記層形成部を貫通する傾斜面を有する孔である、請求項9記載の被覆層成形機。
【請求項12】
前記層形成装置(20)は、前記塗着形成部(21)の先端部と前記円筒状部品の表面との距離を調整する手段を有する、請求項1記載の被覆層成形機。
【請求項13】
前記回転支持装置の前記回転駆動部(7)は、前記円筒状部品(A)を50〜200rpmの範囲で回転させる、請求項1〜12いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項14】
前記回転駆動部(7)は、前記回転範囲において、前記円筒状部品の1回転ごとに、低速から高速に前記円筒状部品を回転させる、請求項13記載の被覆層成形機。
【請求項15】
前記層形成装置(20)は、
前記塗料供給部(15)からの塗料液が前記円筒状部品(A)の表面に塗布されるときは、前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の表面から離隔し、
前記円筒状部品の表面に塗料が塗布されたとき、前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の表面から被覆層を規定する距離に接近させ、
前記被覆層が形成された後、前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の表面から離隔させる、
請求項1〜12いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項16】
前記回転支持装置の前記回転駆動部(7)は、前記円筒状部品(A)を50〜200rpmの範囲で回転させ、
前記回転駆動部(7)は、
前記塗料供給部(15)からの塗料液が前記円筒状部品(A)の表面に塗布されるときは、前記回転範囲内の低速で前記円筒状部品を回転させ、
前記円筒状部品の表面に塗料が塗布されたとき、前記回転範囲内の所定の中程度の速度で前記円筒状部品を回転させ、
前記被覆層が形成された後、前記回転範囲内の高速度で前記円筒状部品を回転させる、
請求項15記載の被覆層成形機。
【請求項17】
前記塗料液(B)は塗料温度が25°Cで、剪断速度が100S−1のとき粘度が100CPから20000CPである、請求項1記載の被覆層成形機。
【請求項18】
前記塗料液(B)は水又は有機溶剤中に溶解又は分散されたバインダーの有機系樹脂と固体潤滑剤のPTFE粉末とを有し、
前記バインダーの有機系樹脂100重量部に対してPTFE粉末を10〜100重量部含有する
請求項17記載の被覆層成形機。
【請求項19】
表面に被覆層が形成される円筒状部品(A)の両端を芯出自在に着脱自在に保持する支持部(4,4A)と、前記支持部(4,4A)に支持された前記円筒状部品(A)を回転させる回転駆動部(7)とを有する回転支持装置(2)と、
前記回転支持装置(2)に支持されて回転する前記円筒状部品(A)の表面に塗料液(B)を塗布する塗料液供給部(15)と、
それぞれが、前記円筒状部品(A)の表面の接線方向に対し鋭角な傾斜角(θ)で傾斜させ、かつ、その先端部が前記円筒状部品の表面と所定の間隙(29)に位置決めされ、前記円筒状部品の円周方向に設けられ、それらの位置が前記円筒状部品の円周に沿って前記円筒状部品の回転方向は逆方向に回転される、複数の塗着形成部(21)を有する層形成装置(20A)と、
前記層形成装置の下部に設けられ、複数の塗着形成部のうち、下部に位置する塗着形成部に付着した塗料を洗浄する洗浄液が収容された洗浄槽(30A)と
を具備する被覆層成形機。
【請求項20】
前記各々の塗着形成部(21)の傾斜角は30〜80度の範囲にある、請求項19記載の被覆層成形機。
【請求項21】
前記回転層形成装置(20A)は複数の前記塗着形成部(21)が前記塗料液(B)を前記被覆層に形成する第1成形工程ごとに順次間欠に回転する、請求項20に記載の被覆層成形機。
【請求項22】
前記回転支持装置(2)の回転駆動部(7)は1成形工程中に前記円筒状部品(A)を50〜200rpmの範囲で回転させ、
前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の被覆層(C)から離隔させる前に回転数を高くする、
請求項19〜21いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項23】
前記塗着形成部(21)は、層形成部(35)と、該層形成部(35)の前記円筒状部品(A)の回転面と対向する先端部(35a)とを有し、該先端部が前記円筒状部品の回転方向に対して傾斜した形状をしている、請求項19〜22いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項24】
前記塗着形成部(21)は、層形成部(35)と、該層形成部(35)の前記円筒状部品(A)の回転面と対向する先端部(35b)とを有し、該先端部の前記円筒状部品の回転方向に対する面が平坦であり、先端部が所定の厚さ(W)を有し、前記平坦な面の裏側が円弧状に切り欠き状に形成されている、請求項19〜23いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項25】
前記層形成装置(20)は、前記塗着形成部(21)の先端部と前記円筒状部品の表面との距離を調整する手段を有する、請求項19記載の被覆層成形機。
【請求項26】
前記層形成装置(20)は、
前記塗料供給部(15)からの塗料液が前記円筒状部品(A)の表面に塗布されるときは、前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の表面から離隔し、
前記円筒状部品の表面に塗料が塗布されたとき、前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の表面から被覆層を規定する距離に接近させ、
前記被覆層が形成された後、前記塗着形成部(21)の先端部を前記円筒状部品の表面から離隔させる、
請求項19〜25いずれか記載の被覆層成形機。
【請求項27】
前記回転支持装置の前記回転駆動部(7)は、前記円筒状部品(A)を50〜200rpmの範囲で回転させ、
前記回転駆動部(7)は、
前記塗料供給部(15)からの塗料液が前記円筒状部品(A)の表面に塗布されるときは、前記回転範囲内の低速で前記円筒状部品を回転させ、
前記円筒状部品の表面に塗料が塗布されたとき、前記回転範囲内の所定の中程度の速度で前記円筒状部品を回転させ、
前記被覆層が形成された後、前記回転範囲内の高速度で前記円筒状部品を回転させる、
請求項26記載の被覆層成形機。
【請求項28】
前記塗料液(B)は塗料温度が25°Cで、剪断速度が100S−1のとき粘度が100CPから20000CPである、請求項17記載の被覆層成形機。
【請求項29】
前記塗料液(B)は水又は有機溶剤中に溶解又は分散されたバインダーの有機系樹脂と固体潤滑剤のPTFE粉末とを有し、
前記バインダーの有機系樹脂100重量部に対してPTFE粉末を10〜100重量部含有する
請求項28記載の被覆層成形機。
【請求項30】
円筒状部品(A)を第1の速度で回転させて、該円筒状部品の表面に塗料液を塗布し、
前記円筒状部品(A)を前記第1の速度より高い第2の速度で回転させ、かつ、前記円筒状部品(A)の表面の接線方向に対し鋭角な傾斜角(θ)で、前記円筒状部品の表面と被覆形成厚さを規定する所定の間隙(29)に塗着形成部の先端部を位置決めして、前記円筒状部品の表面に均一な塗料液のみを付着させ、
前記円筒状部品(A)を前記第2の速度より高い第3の速度で回転させた後、前記塗着形成部の先端部を前記円筒状部品の表面から隔離させ、前記円筒状部品(A)の回転を停止する、
被覆層成形方法。
【請求項31】
前記円筒状部品を50〜200rpmの範囲で回転させる、請求項30記載の被覆層成形方法。
【請求項32】
前記傾斜角は30〜80度の範囲にある、請求項30または31記載の被覆層成形方法。
【請求項33】
前記塗着形成部(21)は、層形成部(35)と、該層形成部(35)の前記円筒状部品(A)の回転面と対向する先端部(35b)とを有し、該先端部の前記円筒状部品の回転方向に対する面が平坦であり、先端部が所定の厚さ(W)を有し、前記平坦な面の裏側が円弧状に切り欠き状に形成されている、請求項30〜32いずれか記載の被覆層成形方法。
【請求項34】
前記塗着形成部(21)の前記先端部から所定距離処理離れた前記層形成部(35)に、余剰塗料液を除去する部分が設けられている、請求項33記載の被覆層成形方法。
【請求項35】
前記余剰塗料除去する部分は前記層形成部を貫通する孔(30B)である、請求項34記載の被覆層成形方法。
【請求項36】
前記塗料液(B)は塗料温度が25°Cで、剪断速度が100S−1のとき粘
度が100CPから20000CPである、請求項30記載の被覆層成形方法。
【請求項37】
前記塗料液(B)は水又は有機溶剤中に溶解又は分散されたバインダーの有機系樹脂と固体潤滑剤のPTFE粉末とを有し、
前記バインダーの有機系樹脂100重量部に対してPTFE粉末を10〜100重量部含有する
請求項36記載の被覆層成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−89090(P2010−89090A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272935(P2009−272935)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【分割の表示】特願2000−593421(P2000−593421)の分割
【原出願日】平成12年1月12日(2000.1.12)
【出願人】(000102670)NOKクリューバー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】