補強された両端部を有する複合材料ロッドを製造する方法
本発明は、複合材料接続ロッド(24)を製造する方法であって、複合材料から作成されたスリーブ(24)と、固い全体を構成するために、前記スリーブ(24)の両端部(35、40)に固く接続された複合材料の中実の挿入体(26、27)と含むマンドレル(22)を製造するステップと、繊維を編み組みする装置を用いて編み組みされた繊維の1又は複数の層を前記マンドレル(22)の周りに適用するステップと、補強された両端部(28、29)を有するロッド本体を接続する複合材料を形成するために、編み組みされた繊維の層(23)とマンドレル(22)の少なくとも両端部とを固く接合させる結合を確立する、編み組みされた繊維の1又は複数の層(23)に樹脂を注入するステップと、接続ロッド本体のそれぞれの端部(28、29)に、編み組みされた繊維の層と挿入体(26)とを貫通する孔(31、32)を作成するステップとを含む方法に関する。航空分野において、本発明を使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機降着装置のサイドブレース(contrefiche)用のロッドなどの複合材料のロッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されているように、降着装置は通常、航空機の構造体の要素に蝶着された頂端と車輪の組2を担持する底端とを具備した脚部1を有する。更には、図1に示されているように、展開した位置において組立体を固く保持するロックシステムも提供されている。
【0003】
ロックシステムは、一体的に蝶着された2つのロッド3及び4から構成されるサイドブレースを有し、ロッド3は脚部に蝶着され、その他のロッド4は、航空機の構造体に対して蝶着されており、2つのロッド3及び4を相互に整列した状態に保持する安定器部材も提供されている。
【0004】
安定器部材は、一体的に蝶着された2つのアーム6及び7を有し、アーム6は例えば、ロッド3及び4を一体的に接続しているヒンジに蝶着されている一方で、アーム7は航空機の構造体に蝶着されている。組立体が展開された際には、当接体及びスプリングのシステム(図示しない)が、相互に直線状になるようにアーム6及び7を保持する。更には、スプリングに抗してアクチュエータを引っ込めることによって組立体全体のロックを外すために、アーム6とロッド4との間にアンロックアクチュエータ8が介在している。
【0005】
着陸のとき又は地上走行の間に、整列した状態に保持されているロッド3及び4は、非常に突然に大きな力を受ける。例えば、車輪は、地面と接触すると、車輪自体の慣性に抗して即座に回転を開始する。
【0006】
図2に示されている既知のサイドブレースのロッドの構造においては、ロッド9は、通常はアルミニウムから作成された管状部分11を具備し、この管状部分は、その両端部に固定された2つの末端部12及び13を有しており、これらの末端部は、鋳造又は鍛造によって作成された中実の金属部品であって、この金属部品のそれぞれは、個別の耳金(une chape)を構成するように、開口部を有する。
【0007】
ロッド9の本体の管状構造は、良好な座屈機能をロッドに付与している一方で、末端部12及び13が大量の材料を含むならば、必要とされる衝撃強度を提供する。このような末端部は、末端部内に受け取られたピンに印加される力を均一に管状ロッドの本体に拡散させるように働く。
【0008】
このようなロッドの重量を低減するために、ロッド9の管状中央本体を、例えば炭素繊維を主原料とした複合材料から作成された管状中央本体に置換することが知られている。但し、この解決策は、末端部が有する材料の量を前提とするロッドの全体重量の決定において、金属製の末端部12及び13が支配的な位置を占めるという事実により、その使用は限定的なままである。
【0009】
特許文献1に開示されている構成において、図3に示されているように、参照符号14が付与されたロッドは、(末端部を無視すれば)略管状の構造を有しており、この構造は、開放又は溝区域の2つの薄壁部分16及び17によって構成され、これら2つの薄壁部分は、一方が他方の内部に係合して一体的に接着接合されている。このようなロッドのそれぞれの端部は、一対の耳金(chape double)又は「U字鉤」18又は19を形成するように形作られたその部分のうちの1つの薄壁の2つの延長部を担持しており、それぞれの耳金は、これらの構成部分のうちの1つの薄壁の端部部分から構成されている。
【0010】
このロッドにおける耳金の相対的な薄さを前提とするこれらの耳金の衝撃強度は、サイドブレースのロッドとして利用するために必要とされるものをかなり下回った状態に留まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2009/000925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の欠点を改善する解決策を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、補強された両端部を有する複合材料のロッドを製造する方法であって、
・スリーブと、固い全体を構成するためにこのスリーブの両端部に固定された補強挿入体とを具備するマンドレルを製造するステップと、
・補強繊維を編み組みする装置によって編み組みされた繊維の1又は複数の層をマンドレルの周りに適用するステップと、
・補強された両端部を有するロッド本体を形成するために、編み組みされた繊維の層とマンドレルの少なくとも両端部とを一体的に固く接合させる結合を確立するために、編み組みされた繊維の1又は複数の層に樹脂を注入して重合させるステップと、
・ロッド本体のそれぞれの端部に貫通穴を作成するように穿孔するステップであって、それぞれの穴は、編み組みされた繊維の層と対応する挿入体とを貫通している、ステップと、
を含む方法を提供する。
【0014】
マンドレルは、2つの機能を実行する。すなわち、マンドレルは、繊維が好適な形状に編み組みされる支持部を構成し、かつその補強された両端部に起因して、マンドレルは、外力が導入されるロッドの領域内に必要とされる衝撃強度を提供する。
【0015】
したがって、本発明は、同程度の厚さの一連の層を形成するために、マンドレル上における編み組みの技法を使用しつつ、補強された両端部を有する一体のロッドを製造可能である。
【0016】
金属の末端部を具備するアルミニウムのロッドと比較した場合の重量の節約は大きなものであり、このようにして得られるロッドは、粗さや凹みのない全体的な形状を有しており、これにより、ロッドの周りを流れる空気からの空力学的騒音の低減に寄与する。
【0017】
また、本発明は、スリーブ及び挿入体が、マンドレルを取り囲む層に注入された樹脂と同一のタイプの樹脂を含む複合材料から製造される、先程定義された方法も提供する。
【0018】
この方法は、挿入体と編み組みされた外側の層との間の良好な結合を提供し、これにより、挿入体に印加された力がロッドの残りの部分に良好に伝達されることを保証する。
【0019】
また、本発明は、スリーブ及び挿入体が、マンドレルを取り囲む層の繊維と同一のタイプの繊維を含む複合材料から作成される、先程定義された方法も提供する。
【0020】
また、本発明は、挿入体がスリーブの両端部内において少なくとも部分的に延びている、先程定義された方法も提供する。
【0021】
また、本発明は、それぞれの挿入体又はそれぞれの挿入体部分が、挿入体とスリーブとの間に最適な結合を提供するように、スリーブの全体又は一部分と一体的に製造される、先程定義された方法も提供する。
【0022】
また、本発明は、マンドレルの第1及び第2の端部が製造され、それぞれの端部が挿入体とスリーブの一部分とを具備し、これら2つの端部が、マンドレルを形成するように一体的に組み立てられる、先程定義された方法も提供する。
【0023】
また、本発明は、端部の第1の半体を構成するために第1の挿入体半体と第1の殻状体を一体的に製造すると共に端部の第2の半体を構成するために第2の挿入体半体と第2の殻状体を一体的に製造し、この後に、マンドレルの端部を形成するために2つの半体を一体的に組み立てることにより、マンドレルのそれぞれの端部が得られる、先程定義された方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】上述の降着装置の全体図である。
【図2】上述の図1の降着装置用の既知のサイドブレースロッドの斜視図である。
【図3】複合材料から作成された既知のロッドの斜視図である。
【図4】本発明の完成したロッドの図であり、ロッドが長手方向の断面において示されている図である。
【図5】本発明の完成したロッドの斜視図である。
【図6】本発明のロッドのマンドレルの半体端部の斜視図である。
【図7】本発明のロッドのマンドレルの端部の斜視図である。
【図8】本発明のロッドのマンドレルの本体の斜視図である。
【図9】本発明のロッドのマンドレル全体の斜視図である。
【図10】本発明のロッドのマンドレルの周りにおける炭素繊維の編組作用を示す斜視図である。
【図11】マンドレルの端部を切断して形作る前の本発明のロッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の基礎をなす概念は、両端部を有するマンドレルの周りに繊維を編み組みすることによって複合材料からロッドを製造するというものであり、これらの両端部は、全体として考えた際にロッドの両端部の機械的な強度を増大させるように補強されている。
【0026】
したがって、マンドレルは、2つの機能を実行する。すなわち、マンドレルは、繊維の層が適切な幾何学的形状をなすために編み組みされる支持部を構成すること、及びその両端部に位置する中実の挿入体が、その耳金に衝撃強度を提供するのに必要とされるさらなる材料を提供することである。
【0027】
図4及び図5において見ることができるように、軸線AXに沿って長手方向に延在する本発明のロッドは、マンドレルの周りに編み組みされた炭素繊維などの補強繊維の1又は複数の層23を具備する複合材料のマンドレル22から作成されている。
【0028】
マンドレル22は、中空の管状本体24を有し、この中空の管状本体は、スリーブを形成しており、このスリーブは、スリーブに固定された2つの挿入体26及び27を具備し、これらの挿入体は、中空の管状本体の両端部に係合している。この図において見ることができるように、ロッド21のそれぞれの端部28、29は、単独の耳金を構成するように挿入体の周りで編み組みされた複合材料の層23と一体的に、対応する挿入体26、27を貫通する孔31、32を含んでおり、これにより、必要とされる衝撃強度を付与する相当な厚さを有している。
【0029】
マンドレルのそれぞれの端部は2つの半体33及び34から製造されており、2つの半体33及び34は、軸線AXを含むロッドの対称平面Pを中心として互いに対称であり、かつ部分的な焼成の前に一方が他方に接するように配置される。
【0030】
図6は、半体33を示しており、この半体は、この目的のために特別に設計された形状の半体金型(図示されてはいない)内において製造され、すなわちこの場合には、中空部分は、矩形の形状から半円の形状に変化する断面を有している。
【0031】
まず、殻状体36を構成するために、掛けられた(drape)複合材料の1又は複数の層が半体金型の底部表面の全体にわたって適用される。次いで、中実体の形で挿入体26の半分を構成するように、掛けられた複合材料の更なる層37が、矩形断面を有する領域内の殻状体36の内側に互いに一連の形で適用される。
【0032】
この掛けられた複合材料は、予め樹脂が含浸された炭素繊維布帛であり、この樹脂は、十分に低い温度において維持される限り凝固しない。樹脂は、焼成されることによって凝固する。
【0033】
図6において見ることができるように、追加の複数の層は、平面Pと一致する最後の層38まで積層するように適用される。これらの層は、互いに異なる輪郭を有しており、これらの輪郭は、層38の1つの縁部から殻状体36の内側面39まで拡がる接続表面Rが、殻状体36の内側面に対して傾斜するように画定されている。
【0034】
この構成により、挿入体から殻状体の内側面に向かう機械的な力の伝達が、応力集中の効果を伴うことなしに、実行される。
【0035】
これらの図に示されている例においては、この接続表面Rは、半回転楕円体の端部にほぼ対応した形状のものである。この接続表面Rと、軸線AXを含むと共に平面Pに対して垂直である平面との間の交差部は、楕円の4分の1を構成する湾曲した湾曲した弧Cを形成している。
【0036】
他方の端部半体34は、別の半体金型内において類似した方式によって作成される。次いで、平面Pを介して互いに係止するように、2つの半体金型を対向した状態に配置する。次いで、殻状体を構成する層が適用される半体金型の壁に殻状体の自由部分を押圧するために、コアを殻状体の自由部分同士の間に挿入する。
【0037】
この後に、金型が収容している複合材料に対して部分的な焼成サイクルを実施するように、加熱金型である金型を作動させる。この焼成サイクルが終了すると、マンドレルの第1の端部35の製造が完了する。マンドレル40の別の端部は、場合により、同一の金型を使用し、同一の方式によって製造される。
【0038】
また、半体端部同士が一体的に接着接合される前に、それぞれの半体端部を別個に予め焼成しておくことも可能である。このような状況において、フィルムを複合材料の層の組立体に押圧すると共に、層を圧縮するために前述のフィルムと金型の壁との間を真空にすることにより、圧縮作用を予め実行することができる。
【0039】
別の工程において、別の金型を使用し、マンドレルの中空の中央部分を構成する2つの側部を製造する。図8において見ることができるように、参照符号41が付与された1つのこのような側部は、この目的のために構成された金型内に掛けられた複合材料の1又は複数の層を適用することによって製造される。
【0040】
この側部41は、軸線AXに対して垂直の中央平面を中心としてほぼ対称である形状の中空壁である。これは、半円筒形の中央部分42と2つの端部部分43、44とを有し、これらの端部部分のそれぞれは、U字の形状に対応した形状の断面を有する終端を有し、それぞれの端部は、U字形状の断面から半円筒形の部分42の半円形の断面に向かって変形する断面を有している。
【0041】
この側部を構成する層を金型内の定位置に配置すると、これらの層上にフィルムを配置してこれらを金型の壁に押圧するために真空にし、次いで、この側部用の部分的な焼成サイクルを行うために金型を加熱する。部分的な焼成は、任意選択には、樹脂を注入する動作が先行する。
【0042】
別の側部46は、場合により同一の金型を使用し、同一の方式によって製造される。次いで、側部41及び46と2つの端部35及び40とによって構成されたその4つの構成要素からマンドレル22を組み立てる。
【0043】
具体的には、第1の端部35は側部41の端部44に位置決めされて端部44に係合し、端部40は側部41の端部44に位置決めされて端部44に同様に係合する。この段階において、第2の側部46の端部が端部35及び40に係合するように、かつ他の側部41と一体的に第2の側部が中央領域内において管状部分を画定するように、第2の側部46をこの組立体に取り付けることができる。
【0044】
いずれもが部分的な焼成サイクルを受けているこれら4つのコンポーネントを、接着剤によるか、又は実際には樹脂によって相互に組み立てることにより、後続の編組作用を可能にするための十分な剛性を有する全体を構成可能である。更には、2つの側部41及び46の相互の結合を改善するように、掛けられた複合材料の追加の層47をマンドレルの中央部分の周りに全体的に適用することも可能である。
【0045】
この結果、図9において見ることができるように、マンドレルが準備され、このマンドレルは、複合材料から製造され、両端部の殻状体と側部41及び46とによって構成されたスリーブ24を有し、かつその両端部のそれぞれの内部にそれぞれの中実の挿入体を収容している。
【0046】
次いで、図10に全体的に参照符号51が付与されて概略的に示されている編組装置内にマンドレルを取り付けることができるように、軸線AXに沿ってマンドレルを延長させる2つのロッド48及び49にマンドレルを固定できるようにするために、軸線AXに沿ってそれぞれの端部を介して孔が形成される。
【0047】
次いで、マンドレル22はキャリアリング52を本質的に備える編組装置51内に導入され、キャリアリングは、その後面に取り付けられると共に炭素繊維などの繊維を担持する一連の繊維のボビン(bobines)を有する。ボビンは、回転可能な支持部上に取り付けられている。これらの繊維53は、キャリアリング52の平面に対して軸線AXに沿ってオフセットされつつ、軸線AX上に実質的に位置した領域に集まる。
【0048】
図10において見ることができるように、キャリアリング52は、軸線AXに対して垂直の平面内において延在しつつ、軸線AXに中心合わせされている。編み組みサイクルが作動すると、マンドレル22は、キャリアリング52に対して軸線AXに沿って移動し、これにより、靴下状の繊維(une chaussette de fibres)がマンドレル24の外側面上に編み組みされる。
【0049】
作動する際には、リングに対するマンドレルの速度は、マンドレルの周りにおいて編み組みされる繊維がロッドの両端部において軸線AXに対して60°に配向されるように調節され、この速度は、同じ繊維がロッドの中間領域内おいて軸線AXに対して45°に傾斜するように調節される。
【0050】
次いで、マンドレルを取り囲む複数の編み組みされた繊維層を形成するように、この工程を複数回にわたって実行する。
【0051】
一般に、それぞれの層は、実質的に一定の厚さを有しているが、その厚さは、軸線AXに対する繊維の向きが変わるのに伴ってある程度変わり、この繊維の配向は前述のように対象となっているロッドの領域に依存している。
【0052】
更には、それぞれの編み組みされた層の厚さは、使用される繊維のサイズと、利用されるボビンの数に応じて変えることも可能である。この結果、堆積される材料の量が増減することになる。
【0053】
また、編み組みされた繊維の層を、例えば耳金などのロッドの長さの一部分のみにわたって延在させることにより、これらの領域内においてロッドを局所的に補強することも可能である。
【0054】
したがって、例えば所与の機械的負荷状態においてロッドに印加される機械的応力の均一性を最適化させるように、マンドレルを取り囲む様々な層によって構成される組立体の局所的な厚さを調節可能である。
【0055】
様々な編み組みされた層の製造が完了したら、このようにして構成された未加工部分、すなわち様々な繊維の層によって取り囲まれたマンドレルを具備する部分を金型内に配置する。
【0056】
次いで、編み組みされた繊維の周辺の層への挿入体のそれぞれのものに印加される力の伝達を最適化するために、マンドレルと層との間の可能な最良の結合を保証するように、編み組みされた繊維の様々な層に完全に含浸させてマンドレルの外側面に到達させるように樹脂を注入する。
【0057】
樹脂を注入した後に、マンドレルを取り囲む複合材料の層の完全な焼成と、マンドレルを構成する要素の焼成の仕上げとの両方として働く焼成サイクルを実行するように金型を制御する。
【0058】
この焼成が完了すると、ロッドの耳金を形成するように、挿入体のそれぞれと編み組みされた複合材料の周辺の層とを貫通する孔31及び32を形成するために、結果的に得られた部品がそれぞれの端部で穿孔される。
【0059】
更には、これらの孔を中心とした同心状の半円筒形の形状を耳金に付与することによってロッドの外側形状を決定するために、ロッドの両端部において切削作用及び鋸引き作用の両方又は一方を実行する。
【0060】
次いで、それぞれの耳金のためのベアリングを形成する金属リングをそれぞれの孔31、32内に取り付ける。
【0061】
これらの図の例においては、結果的に得られるロッドは、その内部においてベアリング31及び32が互いに平行に配向されている2つの単独の耳金を具備したロッドである。但し、この方法は、その内部において耳金が軸線AXを中心として互いに対して回転するロッドを製造するためにも好適である。
【0062】
例えば、これらの図に示されているものと同一のタイプのスリーブを製造することにより、互いに対して直角に配向された2つの耳金を具備するが、両端部が互いに対して一回転の4分の1だけ回転するこの種のロッドを製造可能である。
【0063】
したがって、任意の形状のマンドレルに対して適合する編組作用の能力を前提として、耳金が互いに対してほとんど任意の角度で配向されたロッドを製造可能である。
【0064】
更には、これらの図に示されている例においては、挿入体は、掛けることにより、すなわち樹脂を予め含浸させた布の層を適用することにより、製造されているが、挿入体は、樹脂中に埋め込まれることによってランダムな方向において混合された短い不織布からなる複合材料から同様に良好に製造することもできる。
【0065】
マンドレルは、外側層との良好な結合を得るために、編み組みされた外側層に注入されるものと同一のタイプの樹脂を含む複合材料から製造されており、挿入体は、有利には、高い機械的強度を有するために、編み組みされた外側層内のものと同一のタイプの繊維を有する。
【0066】
ただし、スリーブ及び補強挿入体の両方に関して、これらの要素が、それぞれの機械的強度と、これら自体と編み組みされた外側の層との間の良好な結合を保証する能力とに関して必要とされる特性を有するならば、マンドレルをいくつかの他の材料から製造することもできる。
【0067】
スリーブの管状中央領域には、有利には、ロッドの耐用期間内のサイクルの間に発生する結露又は類似の現象を回避するために、アルゴンなどの不活性ガスを充填することができる。
【0068】
更には、本発明の方法は、有利には、複合材料からのヘリコプタブレード及びジェットエンジンブレードの製造と、更に一般的には、補強される必要のある端部を有する複合材料の本体を具備する任意の構成要素の製造と、に有利に適用可能であることが認識されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機降着装置のサイドブレース(contrefiche)用のロッドなどの複合材料のロッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されているように、降着装置は通常、航空機の構造体の要素に蝶着された頂端と車輪の組2を担持する底端とを具備した脚部1を有する。更には、図1に示されているように、展開した位置において組立体を固く保持するロックシステムも提供されている。
【0003】
ロックシステムは、一体的に蝶着された2つのロッド3及び4から構成されるサイドブレースを有し、ロッド3は脚部に蝶着され、その他のロッド4は、航空機の構造体に対して蝶着されており、2つのロッド3及び4を相互に整列した状態に保持する安定器部材も提供されている。
【0004】
安定器部材は、一体的に蝶着された2つのアーム6及び7を有し、アーム6は例えば、ロッド3及び4を一体的に接続しているヒンジに蝶着されている一方で、アーム7は航空機の構造体に蝶着されている。組立体が展開された際には、当接体及びスプリングのシステム(図示しない)が、相互に直線状になるようにアーム6及び7を保持する。更には、スプリングに抗してアクチュエータを引っ込めることによって組立体全体のロックを外すために、アーム6とロッド4との間にアンロックアクチュエータ8が介在している。
【0005】
着陸のとき又は地上走行の間に、整列した状態に保持されているロッド3及び4は、非常に突然に大きな力を受ける。例えば、車輪は、地面と接触すると、車輪自体の慣性に抗して即座に回転を開始する。
【0006】
図2に示されている既知のサイドブレースのロッドの構造においては、ロッド9は、通常はアルミニウムから作成された管状部分11を具備し、この管状部分は、その両端部に固定された2つの末端部12及び13を有しており、これらの末端部は、鋳造又は鍛造によって作成された中実の金属部品であって、この金属部品のそれぞれは、個別の耳金(une chape)を構成するように、開口部を有する。
【0007】
ロッド9の本体の管状構造は、良好な座屈機能をロッドに付与している一方で、末端部12及び13が大量の材料を含むならば、必要とされる衝撃強度を提供する。このような末端部は、末端部内に受け取られたピンに印加される力を均一に管状ロッドの本体に拡散させるように働く。
【0008】
このようなロッドの重量を低減するために、ロッド9の管状中央本体を、例えば炭素繊維を主原料とした複合材料から作成された管状中央本体に置換することが知られている。但し、この解決策は、末端部が有する材料の量を前提とするロッドの全体重量の決定において、金属製の末端部12及び13が支配的な位置を占めるという事実により、その使用は限定的なままである。
【0009】
特許文献1に開示されている構成において、図3に示されているように、参照符号14が付与されたロッドは、(末端部を無視すれば)略管状の構造を有しており、この構造は、開放又は溝区域の2つの薄壁部分16及び17によって構成され、これら2つの薄壁部分は、一方が他方の内部に係合して一体的に接着接合されている。このようなロッドのそれぞれの端部は、一対の耳金(chape double)又は「U字鉤」18又は19を形成するように形作られたその部分のうちの1つの薄壁の2つの延長部を担持しており、それぞれの耳金は、これらの構成部分のうちの1つの薄壁の端部部分から構成されている。
【0010】
このロッドにおける耳金の相対的な薄さを前提とするこれらの耳金の衝撃強度は、サイドブレースのロッドとして利用するために必要とされるものをかなり下回った状態に留まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2009/000925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の欠点を改善する解決策を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、補強された両端部を有する複合材料のロッドを製造する方法であって、
・スリーブと、固い全体を構成するためにこのスリーブの両端部に固定された補強挿入体とを具備するマンドレルを製造するステップと、
・補強繊維を編み組みする装置によって編み組みされた繊維の1又は複数の層をマンドレルの周りに適用するステップと、
・補強された両端部を有するロッド本体を形成するために、編み組みされた繊維の層とマンドレルの少なくとも両端部とを一体的に固く接合させる結合を確立するために、編み組みされた繊維の1又は複数の層に樹脂を注入して重合させるステップと、
・ロッド本体のそれぞれの端部に貫通穴を作成するように穿孔するステップであって、それぞれの穴は、編み組みされた繊維の層と対応する挿入体とを貫通している、ステップと、
を含む方法を提供する。
【0014】
マンドレルは、2つの機能を実行する。すなわち、マンドレルは、繊維が好適な形状に編み組みされる支持部を構成し、かつその補強された両端部に起因して、マンドレルは、外力が導入されるロッドの領域内に必要とされる衝撃強度を提供する。
【0015】
したがって、本発明は、同程度の厚さの一連の層を形成するために、マンドレル上における編み組みの技法を使用しつつ、補強された両端部を有する一体のロッドを製造可能である。
【0016】
金属の末端部を具備するアルミニウムのロッドと比較した場合の重量の節約は大きなものであり、このようにして得られるロッドは、粗さや凹みのない全体的な形状を有しており、これにより、ロッドの周りを流れる空気からの空力学的騒音の低減に寄与する。
【0017】
また、本発明は、スリーブ及び挿入体が、マンドレルを取り囲む層に注入された樹脂と同一のタイプの樹脂を含む複合材料から製造される、先程定義された方法も提供する。
【0018】
この方法は、挿入体と編み組みされた外側の層との間の良好な結合を提供し、これにより、挿入体に印加された力がロッドの残りの部分に良好に伝達されることを保証する。
【0019】
また、本発明は、スリーブ及び挿入体が、マンドレルを取り囲む層の繊維と同一のタイプの繊維を含む複合材料から作成される、先程定義された方法も提供する。
【0020】
また、本発明は、挿入体がスリーブの両端部内において少なくとも部分的に延びている、先程定義された方法も提供する。
【0021】
また、本発明は、それぞれの挿入体又はそれぞれの挿入体部分が、挿入体とスリーブとの間に最適な結合を提供するように、スリーブの全体又は一部分と一体的に製造される、先程定義された方法も提供する。
【0022】
また、本発明は、マンドレルの第1及び第2の端部が製造され、それぞれの端部が挿入体とスリーブの一部分とを具備し、これら2つの端部が、マンドレルを形成するように一体的に組み立てられる、先程定義された方法も提供する。
【0023】
また、本発明は、端部の第1の半体を構成するために第1の挿入体半体と第1の殻状体を一体的に製造すると共に端部の第2の半体を構成するために第2の挿入体半体と第2の殻状体を一体的に製造し、この後に、マンドレルの端部を形成するために2つの半体を一体的に組み立てることにより、マンドレルのそれぞれの端部が得られる、先程定義された方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】上述の降着装置の全体図である。
【図2】上述の図1の降着装置用の既知のサイドブレースロッドの斜視図である。
【図3】複合材料から作成された既知のロッドの斜視図である。
【図4】本発明の完成したロッドの図であり、ロッドが長手方向の断面において示されている図である。
【図5】本発明の完成したロッドの斜視図である。
【図6】本発明のロッドのマンドレルの半体端部の斜視図である。
【図7】本発明のロッドのマンドレルの端部の斜視図である。
【図8】本発明のロッドのマンドレルの本体の斜視図である。
【図9】本発明のロッドのマンドレル全体の斜視図である。
【図10】本発明のロッドのマンドレルの周りにおける炭素繊維の編組作用を示す斜視図である。
【図11】マンドレルの端部を切断して形作る前の本発明のロッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の基礎をなす概念は、両端部を有するマンドレルの周りに繊維を編み組みすることによって複合材料からロッドを製造するというものであり、これらの両端部は、全体として考えた際にロッドの両端部の機械的な強度を増大させるように補強されている。
【0026】
したがって、マンドレルは、2つの機能を実行する。すなわち、マンドレルは、繊維の層が適切な幾何学的形状をなすために編み組みされる支持部を構成すること、及びその両端部に位置する中実の挿入体が、その耳金に衝撃強度を提供するのに必要とされるさらなる材料を提供することである。
【0027】
図4及び図5において見ることができるように、軸線AXに沿って長手方向に延在する本発明のロッドは、マンドレルの周りに編み組みされた炭素繊維などの補強繊維の1又は複数の層23を具備する複合材料のマンドレル22から作成されている。
【0028】
マンドレル22は、中空の管状本体24を有し、この中空の管状本体は、スリーブを形成しており、このスリーブは、スリーブに固定された2つの挿入体26及び27を具備し、これらの挿入体は、中空の管状本体の両端部に係合している。この図において見ることができるように、ロッド21のそれぞれの端部28、29は、単独の耳金を構成するように挿入体の周りで編み組みされた複合材料の層23と一体的に、対応する挿入体26、27を貫通する孔31、32を含んでおり、これにより、必要とされる衝撃強度を付与する相当な厚さを有している。
【0029】
マンドレルのそれぞれの端部は2つの半体33及び34から製造されており、2つの半体33及び34は、軸線AXを含むロッドの対称平面Pを中心として互いに対称であり、かつ部分的な焼成の前に一方が他方に接するように配置される。
【0030】
図6は、半体33を示しており、この半体は、この目的のために特別に設計された形状の半体金型(図示されてはいない)内において製造され、すなわちこの場合には、中空部分は、矩形の形状から半円の形状に変化する断面を有している。
【0031】
まず、殻状体36を構成するために、掛けられた(drape)複合材料の1又は複数の層が半体金型の底部表面の全体にわたって適用される。次いで、中実体の形で挿入体26の半分を構成するように、掛けられた複合材料の更なる層37が、矩形断面を有する領域内の殻状体36の内側に互いに一連の形で適用される。
【0032】
この掛けられた複合材料は、予め樹脂が含浸された炭素繊維布帛であり、この樹脂は、十分に低い温度において維持される限り凝固しない。樹脂は、焼成されることによって凝固する。
【0033】
図6において見ることができるように、追加の複数の層は、平面Pと一致する最後の層38まで積層するように適用される。これらの層は、互いに異なる輪郭を有しており、これらの輪郭は、層38の1つの縁部から殻状体36の内側面39まで拡がる接続表面Rが、殻状体36の内側面に対して傾斜するように画定されている。
【0034】
この構成により、挿入体から殻状体の内側面に向かう機械的な力の伝達が、応力集中の効果を伴うことなしに、実行される。
【0035】
これらの図に示されている例においては、この接続表面Rは、半回転楕円体の端部にほぼ対応した形状のものである。この接続表面Rと、軸線AXを含むと共に平面Pに対して垂直である平面との間の交差部は、楕円の4分の1を構成する湾曲した湾曲した弧Cを形成している。
【0036】
他方の端部半体34は、別の半体金型内において類似した方式によって作成される。次いで、平面Pを介して互いに係止するように、2つの半体金型を対向した状態に配置する。次いで、殻状体を構成する層が適用される半体金型の壁に殻状体の自由部分を押圧するために、コアを殻状体の自由部分同士の間に挿入する。
【0037】
この後に、金型が収容している複合材料に対して部分的な焼成サイクルを実施するように、加熱金型である金型を作動させる。この焼成サイクルが終了すると、マンドレルの第1の端部35の製造が完了する。マンドレル40の別の端部は、場合により、同一の金型を使用し、同一の方式によって製造される。
【0038】
また、半体端部同士が一体的に接着接合される前に、それぞれの半体端部を別個に予め焼成しておくことも可能である。このような状況において、フィルムを複合材料の層の組立体に押圧すると共に、層を圧縮するために前述のフィルムと金型の壁との間を真空にすることにより、圧縮作用を予め実行することができる。
【0039】
別の工程において、別の金型を使用し、マンドレルの中空の中央部分を構成する2つの側部を製造する。図8において見ることができるように、参照符号41が付与された1つのこのような側部は、この目的のために構成された金型内に掛けられた複合材料の1又は複数の層を適用することによって製造される。
【0040】
この側部41は、軸線AXに対して垂直の中央平面を中心としてほぼ対称である形状の中空壁である。これは、半円筒形の中央部分42と2つの端部部分43、44とを有し、これらの端部部分のそれぞれは、U字の形状に対応した形状の断面を有する終端を有し、それぞれの端部は、U字形状の断面から半円筒形の部分42の半円形の断面に向かって変形する断面を有している。
【0041】
この側部を構成する層を金型内の定位置に配置すると、これらの層上にフィルムを配置してこれらを金型の壁に押圧するために真空にし、次いで、この側部用の部分的な焼成サイクルを行うために金型を加熱する。部分的な焼成は、任意選択には、樹脂を注入する動作が先行する。
【0042】
別の側部46は、場合により同一の金型を使用し、同一の方式によって製造される。次いで、側部41及び46と2つの端部35及び40とによって構成されたその4つの構成要素からマンドレル22を組み立てる。
【0043】
具体的には、第1の端部35は側部41の端部44に位置決めされて端部44に係合し、端部40は側部41の端部44に位置決めされて端部44に同様に係合する。この段階において、第2の側部46の端部が端部35及び40に係合するように、かつ他の側部41と一体的に第2の側部が中央領域内において管状部分を画定するように、第2の側部46をこの組立体に取り付けることができる。
【0044】
いずれもが部分的な焼成サイクルを受けているこれら4つのコンポーネントを、接着剤によるか、又は実際には樹脂によって相互に組み立てることにより、後続の編組作用を可能にするための十分な剛性を有する全体を構成可能である。更には、2つの側部41及び46の相互の結合を改善するように、掛けられた複合材料の追加の層47をマンドレルの中央部分の周りに全体的に適用することも可能である。
【0045】
この結果、図9において見ることができるように、マンドレルが準備され、このマンドレルは、複合材料から製造され、両端部の殻状体と側部41及び46とによって構成されたスリーブ24を有し、かつその両端部のそれぞれの内部にそれぞれの中実の挿入体を収容している。
【0046】
次いで、図10に全体的に参照符号51が付与されて概略的に示されている編組装置内にマンドレルを取り付けることができるように、軸線AXに沿ってマンドレルを延長させる2つのロッド48及び49にマンドレルを固定できるようにするために、軸線AXに沿ってそれぞれの端部を介して孔が形成される。
【0047】
次いで、マンドレル22はキャリアリング52を本質的に備える編組装置51内に導入され、キャリアリングは、その後面に取り付けられると共に炭素繊維などの繊維を担持する一連の繊維のボビン(bobines)を有する。ボビンは、回転可能な支持部上に取り付けられている。これらの繊維53は、キャリアリング52の平面に対して軸線AXに沿ってオフセットされつつ、軸線AX上に実質的に位置した領域に集まる。
【0048】
図10において見ることができるように、キャリアリング52は、軸線AXに対して垂直の平面内において延在しつつ、軸線AXに中心合わせされている。編み組みサイクルが作動すると、マンドレル22は、キャリアリング52に対して軸線AXに沿って移動し、これにより、靴下状の繊維(une chaussette de fibres)がマンドレル24の外側面上に編み組みされる。
【0049】
作動する際には、リングに対するマンドレルの速度は、マンドレルの周りにおいて編み組みされる繊維がロッドの両端部において軸線AXに対して60°に配向されるように調節され、この速度は、同じ繊維がロッドの中間領域内おいて軸線AXに対して45°に傾斜するように調節される。
【0050】
次いで、マンドレルを取り囲む複数の編み組みされた繊維層を形成するように、この工程を複数回にわたって実行する。
【0051】
一般に、それぞれの層は、実質的に一定の厚さを有しているが、その厚さは、軸線AXに対する繊維の向きが変わるのに伴ってある程度変わり、この繊維の配向は前述のように対象となっているロッドの領域に依存している。
【0052】
更には、それぞれの編み組みされた層の厚さは、使用される繊維のサイズと、利用されるボビンの数に応じて変えることも可能である。この結果、堆積される材料の量が増減することになる。
【0053】
また、編み組みされた繊維の層を、例えば耳金などのロッドの長さの一部分のみにわたって延在させることにより、これらの領域内においてロッドを局所的に補強することも可能である。
【0054】
したがって、例えば所与の機械的負荷状態においてロッドに印加される機械的応力の均一性を最適化させるように、マンドレルを取り囲む様々な層によって構成される組立体の局所的な厚さを調節可能である。
【0055】
様々な編み組みされた層の製造が完了したら、このようにして構成された未加工部分、すなわち様々な繊維の層によって取り囲まれたマンドレルを具備する部分を金型内に配置する。
【0056】
次いで、編み組みされた繊維の周辺の層への挿入体のそれぞれのものに印加される力の伝達を最適化するために、マンドレルと層との間の可能な最良の結合を保証するように、編み組みされた繊維の様々な層に完全に含浸させてマンドレルの外側面に到達させるように樹脂を注入する。
【0057】
樹脂を注入した後に、マンドレルを取り囲む複合材料の層の完全な焼成と、マンドレルを構成する要素の焼成の仕上げとの両方として働く焼成サイクルを実行するように金型を制御する。
【0058】
この焼成が完了すると、ロッドの耳金を形成するように、挿入体のそれぞれと編み組みされた複合材料の周辺の層とを貫通する孔31及び32を形成するために、結果的に得られた部品がそれぞれの端部で穿孔される。
【0059】
更には、これらの孔を中心とした同心状の半円筒形の形状を耳金に付与することによってロッドの外側形状を決定するために、ロッドの両端部において切削作用及び鋸引き作用の両方又は一方を実行する。
【0060】
次いで、それぞれの耳金のためのベアリングを形成する金属リングをそれぞれの孔31、32内に取り付ける。
【0061】
これらの図の例においては、結果的に得られるロッドは、その内部においてベアリング31及び32が互いに平行に配向されている2つの単独の耳金を具備したロッドである。但し、この方法は、その内部において耳金が軸線AXを中心として互いに対して回転するロッドを製造するためにも好適である。
【0062】
例えば、これらの図に示されているものと同一のタイプのスリーブを製造することにより、互いに対して直角に配向された2つの耳金を具備するが、両端部が互いに対して一回転の4分の1だけ回転するこの種のロッドを製造可能である。
【0063】
したがって、任意の形状のマンドレルに対して適合する編組作用の能力を前提として、耳金が互いに対してほとんど任意の角度で配向されたロッドを製造可能である。
【0064】
更には、これらの図に示されている例においては、挿入体は、掛けることにより、すなわち樹脂を予め含浸させた布の層を適用することにより、製造されているが、挿入体は、樹脂中に埋め込まれることによってランダムな方向において混合された短い不織布からなる複合材料から同様に良好に製造することもできる。
【0065】
マンドレルは、外側層との良好な結合を得るために、編み組みされた外側層に注入されるものと同一のタイプの樹脂を含む複合材料から製造されており、挿入体は、有利には、高い機械的強度を有するために、編み組みされた外側層内のものと同一のタイプの繊維を有する。
【0066】
ただし、スリーブ及び補強挿入体の両方に関して、これらの要素が、それぞれの機械的強度と、これら自体と編み組みされた外側の層との間の良好な結合を保証する能力とに関して必要とされる特性を有するならば、マンドレルをいくつかの他の材料から製造することもできる。
【0067】
スリーブの管状中央領域には、有利には、ロッドの耐用期間内のサイクルの間に発生する結露又は類似の現象を回避するために、アルゴンなどの不活性ガスを充填することができる。
【0068】
更には、本発明の方法は、有利には、複合材料からのヘリコプタブレード及びジェットエンジンブレードの製造と、更に一般的には、補強される必要のある端部を有する複合材料の本体を具備する任意の構成要素の製造と、に有利に適用可能であることが認識されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強された両端部(28、29)を有する複合材料ロッド(21)を製造する方法であって、
・スリーブ(24)と、固い全体を構成するために、前記スリーブ(24)の両端部(35、40)に固定された補強挿入体(26、27)とを具備するマンドレル(22)を製造するステップと、
・補強繊維(53)を編み組みする装置(51)によって編み組みされた繊維の1又は複数の層(23)を前記マンドレル(22)の周りに適用するステップと、
・補強された両端部(28、29)を有するロッド本体を形成するために、前記編み組みされた繊維の層(23)と前記マンドレル(22)の少なくとも前記両端部(35、40)とを一体的に固く接合させる結合を確立するために、前記編み組みされた繊維の1又は複数の層(23)に樹脂を注入して重合させるステップと、
・前記ロッド本体のそれぞれの端部(28、29)に貫通穴(31、32)を作成するように穿孔するステップであって、それぞれの穴は、前記編み組みされた繊維の層と前記対応する挿入体(26、27)とを貫通している、ステップと、
を含む
方法。
【請求項2】
前記スリーブ(24)及び前記挿入体(26、27)は、前記マンドレル(22)を取り囲む前記層に注入された前記樹脂と同一のタイプの樹脂を含む複合材料から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スリーブ(24)及び挿入体(26、27)は、前記マンドレル(22)を取り囲む前記層の前記繊維と同一のタイプの繊維を含む複合材料から作成される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記挿入体(26、27)は、前記スリーブ(24)の前記両端部内において少なくとも部分的に延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの挿入体(26、27)又はそれぞれの挿入体部分は、前記挿入体(26、27)と前記スリーブ(24)との間の最適な結合を提供するように、前記スリーブ(24)の全体又は一部分(36)と一体的に製造される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マンドレル(22)の第1及び第2の端部(35、40)が製造され、それぞれの前記端部が挿入体とスリーブの一部分とを具備し、前記2つの端部は、前記マンドレル(22)を形成するように一体的に組み立てられる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記マンドレル(22)のそれぞれの端部(35、40)は、端部(35)の第1の半体(33)を構成するために第1の挿入体半体及び第1の殻状体(36)を一体的に製造すると共に端部(35)の第2の半体(34)を構成するために第2の挿入体半体と第2の殻状体を一体的に製造し、この後に、前記マンドレル(22)の端部(35)を形成するために前記2つの半体(34、35)を一体的に組み立てることにより得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
補強された両端部(28、29)を有する複合材料ロッド(21)を製造する方法であって、
・スリーブ(24)と、固い全体を構成するために、前記スリーブ(24)の両端部(35、40)に固定された補強挿入体(26、27)とを具備するマンドレル(22)を製造するステップと、
・補強繊維(53)を編み組みする装置(51)によって編み組みされた繊維の1又は複数の層(23)を前記マンドレル(22)の周りに適用するステップと、
・補強された両端部(28、29)を有するロッド本体を形成するために、前記編み組みされた繊維の層(23)と前記マンドレル(22)の少なくとも前記両端部(35、40)とを一体的に固く接合させる結合を確立するために、前記編み組みされた繊維の1又は複数の層(23)に樹脂を注入して重合させるステップと、
・前記ロッド本体のそれぞれの端部(28、29)に貫通穴(31、32)を作成するように穿孔するステップであって、それぞれの穴は、前記編み組みされた繊維の層と前記対応する挿入体(26、27)とを貫通している、ステップと、
を含む
方法。
【請求項2】
前記スリーブ(24)及び前記挿入体(26、27)は、前記マンドレル(22)を取り囲む前記層に注入された前記樹脂と同一のタイプの樹脂を含む複合材料から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スリーブ(24)及び挿入体(26、27)は、前記マンドレル(22)を取り囲む前記層の前記繊維と同一のタイプの繊維を含む複合材料から作成される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記挿入体(26、27)は、前記スリーブ(24)の前記両端部内において少なくとも部分的に延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの挿入体(26、27)又はそれぞれの挿入体部分は、前記挿入体(26、27)と前記スリーブ(24)との間の最適な結合を提供するように、前記スリーブ(24)の全体又は一部分(36)と一体的に製造される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マンドレル(22)の第1及び第2の端部(35、40)が製造され、それぞれの前記端部が挿入体とスリーブの一部分とを具備し、前記2つの端部は、前記マンドレル(22)を形成するように一体的に組み立てられる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記マンドレル(22)のそれぞれの端部(35、40)は、端部(35)の第1の半体(33)を構成するために第1の挿入体半体及び第1の殻状体(36)を一体的に製造すると共に端部(35)の第2の半体(34)を構成するために第2の挿入体半体と第2の殻状体を一体的に製造し、この後に、前記マンドレル(22)の端部(35)を形成するために前記2つの半体(34、35)を一体的に組み立てることにより得られる、請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−523973(P2012−523973A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505173(P2012−505173)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054990
【国際公開番号】WO2010/119111
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511154180)メシエ−ブガッティ−ドウティ (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054990
【国際公開番号】WO2010/119111
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511154180)メシエ−ブガッティ−ドウティ (26)
【Fターム(参考)】
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