説明

製造システム内における堆積物形成の抑止方法

本方法は電極の冷却面上における堆積物の形成を抑止する。電極は担体上に材料を堆積する製造システムで使用される。冷却面は銅を含む。本システムはチャンバを画定する反応器を含む。電極は少なくとも部分的にチャンバ内に配置され、担体を支持する。電極と流体連通する循環装置は冷却面との間で冷却液組成物を行き来させる。冷却液組成物は冷却液および冷却面からの溶解銅を含む。濾過システムは循環装置と流体連通している。本方法では電極を加熱する。電極の冷却面は冷却液組成物と接触している。材料は担体上に堆積され、冷却液組成物は濾過システムで濾過され、溶解銅の少なくとも一部は冷却液組成物から除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に電極を含む製造システムおよび電極上の堆積物形成を抑止する方法に関する。より具体的には、本発明は材料を担体上に堆積するために使用され、冷却液組成物で冷却される電極を含む製造システムおよび電極と冷却液組成物との接触によってもたらされる電極上の堆積物形成を抑止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
担体上に材料を堆積する方法は当該技術分野において周知である。その1つの方法ではチャンバを画定する反応器を含む製造システムを使用する。電極はチャンバ内で担体を支持するためにチャンバ内に配置される。典型的には、電極は銅などの導電性の高い材料を含む。この製造システムはまた、電流が電極を通って担体に流れ込むように電流を電極に供給する電極に連結された電源を含む。電流の流れによって電極内に熱が発生し、担体が堆積温度まで加熱される。
【0003】
反応ガスと材料を含む前駆体がチャンバ内に導入される。担体が一旦堆積温度に到達すると、前駆体は反応ガスと反応して担体上に材料が堆積する。しかしながらこの材料は電極が堆積温度に到達すると電極上にも堆積する。よって電極が堆積温度に到達しないようにしながら担体が堆積温度に到達できるようにすることが望ましい。
【0004】
電極が堆積温度に到達しないようにする既知の方法がいくつかある。一実施形態では、電極は冷却面を有し、冷却面と接触して電極内で発生した熱を放熱させるために冷却液組成物が供給される。冷却液組成物と電極の冷却面との接触によって冷却面上に望ましくない堆積物が形成される。堆積物は冷却液組成物と電極との間の熱伝達速度を減少させる。
【0005】
電極上の堆積物形成は使用される冷却液組成物の種類によるものとされている。例えば、冷却液組成物が水道水である場合、鉱物が水道水に浮遊して冷却面に堆積する。冷却液組成物として水道水を使用することに関する問題に対して試みられた解決策としては脱イオン水の使用があり、これは冷却液組成物中に浮遊する鉱物が少ないが、脱イオン水の使用は電極上の堆積物形成をほんの僅かだけ遅らせるのみである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電極の汚染は、冷却面上の堆積物形成があまりにも広範囲に及んで冷却液組成物が電極の堆積温度への到達を防ぐことができずに材料が電極上に堆積すると発生する。電極の汚染が発生すると電極を交換しなくてはならず、生産費を増加させることとなる。一般に電極の寿命は、該電極の交換前に該電極の処理することのできる担体の数によって決まる。さらに、電極の汚染と交換が発生すると、冷却液組成物も交換されなくてはならず、さらに生産費がかさむこととなる。
【0007】
発電の技術分野において、冷却液組成物は熱を放熱させるためにも使用することができると理解されたい。発電において、冷却液組成物内の鉱物は冷却液組成物の導電性を増大し、発電装置の敏感な特性のために発電装置に損傷を与えて効率の低下をもたらす。さらに発電装置は大量の電気を処理し、このため、冷却液組成物の導電率を維持することによる電気の封じ込めが安全および効率の目的のために大変重要となる。従って発電において冷却液組成物内の鉱物の抑制は冷却液組成物の導電率の低下にとって重大であり、多くのメカニズムによる冷却液組成物内の鉱物を除去するための手段がとられてきた。
【0008】
従って、電極の冷却面上の堆積物形成を抑止する方法をさらに開発するのは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
担体上に材料を堆積する製造システムで使用される電極の冷却面上における堆積物形成を抑止する方法を開示する。製造システムはチャンバを画定する少なくとも一つの反応器を含む。少なくとも一つの電極は、チャンバ内で担体を支持するためにチャンバ内に少なくとも部分的に配置され、電極の冷却面は銅を含む。製造システムは冷却液と溶解銅を含む冷却液組成物も含む。循環装置は電極に連結され、冷却液組成物を含み、冷却液組成物を電極の冷却面との間で行き来させる。システムは循環装置と流体連通する濾過システムをさらに含む。本方法は担体を支持する電極を加熱するステップと電極の冷却面を冷却液組成物と接触させるステップとを含む。本方法は電極によって支持される担体上に材料を堆積するステップと冷却液組成物を濾過システムで濾過して冷却液組成物から溶解銅の少なくとも一部を除去するステップも含む。
【0010】
冷却液組成物と銅を含む冷却面との接触の結果、銅は冷却液組成物内に溶解する。溶解銅は冷却面上の堆積物形成の主な原因であることが分かっている。従って、冷却液組成物を濾過する一つの利点は、冷却面上の堆積物形成を抑止して電極内の熱の放熱を可能にして電極の汚染を遅らせることである。電極の汚染を遅らせることによって電極の寿命と生産性が延びる。冷却液組成物の濾過のもう一つの利点は、濾過によって冷却液組成物の寿命が延びることである。電極および冷却液組成物の寿命が延びると製造システムの生産性が増え、生産費が減少する。
【0011】
添付の図面と合わせて以下の詳細な説明を参照することによって本発明のその他の利点はより良く理解されるので、それらは容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】担体上に材料を堆積する製造システムの略図であり、該製造システムは濾過システムに連結された少なくとも一つの反応器を有する。
【図2】反応器の部分断面図である。
【図3】図1の反応器内で使用される電極の断面図である。
【図4】電極と接触する冷却液組成物を含有する循環装置および濾過システムの略図である。
【図5】逆浸透処理装置を備える濾過システムを有する製造システムの略図である。
【図6】循環装置と流体連通する脱気装置を備える製造システムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図を参照すると、いくつかの図内において数字は同じ部分または対応する部分を示しており、担体22上に材料を堆積する製造システム20が開示されている。下記に追加的に説明する一例示的実施形態において、材料はシリコンである。しかしながら本発明の範囲から逸脱することなく、本技術分野で周知のその他の材料を担体22上に堆積することができると理解されたい。材料がシリコンの場合、担体22は典型的にはシリコンスリムロッドである。
【0014】
図1および図2を参照すると、製造システム20はチャンバ26を画定する少なくとも一つの反応器24を含む。反応器24は化学堆積反応器などの、担体22上に材料を堆積するのに適切な任意の種類とすることができる。反応器24はチャンバ26へのアクセスを可能にする入口28および出口30も画定する。
【0015】
材料を含む前駆体は材料をチャンバ26へ運ぶために使用される。具体的には、材料は前駆体と反応ガスの反応における結果として、担体22上に堆積される。担体22上に堆積される材料は使用される前駆体の種類による。
【0016】
例として、前駆体がトリクロロシランなどのハロシランを含む場合、本用途においてそれ自身がガスであるトリクロロシランは、熱分解や水素還元によって水素などの反応ガスと反応してシリコンを生成する。シリコンは担体22上に堆積され、担体22のシリコンと反応して多結晶シリコンを形成する(この場合、例えば担体22は上述のシリコンスリムロッドである)。本実施形態では、材料はさらにシリコンと定義される。しかしながら、前駆体はトリクロロシランに限定されず、シリコンを含む他の化合物を含むことができると理解されたい。例えば、前駆体は四塩化ケイ素および/またはトリブロモシランを含むことができる。さらにシリコン以外の材料またはシリコンに加えた材料も担体22上に堆積することができると理解されたい。その場合、その他の前駆体を代わりに使用することができる。
【0017】
前駆体は入口28を通ってチャンバ26に入り、未反応の前駆体、反応ガスおよび前駆体と反応ガスの反応による副産物は出口30を通ってチャンバ26から排出される。
【0018】
図2に示すように、製造システム20はチャンバ26内で担体22を支持するために、反応器24のチャンバ26内に少なくとも部分的に配置された少なくとも一つの電極36も含む。言い換えれば、電極36は反応器24のチャンバ26内に全体または部分的に配置することができる。電極36は担体22を支持して材料の堆積中に担体22が反応器24に対して動かないようにする。電極36は例えば平頭電極、二電極または図3に示すようなカップ電極などの当技術分野で周知の任意の種類の電極36とすることができると理解されたい。
【0019】
一実施形態では、担体22は互いに間隔を空けて配置された第1端部32および第2端部34を有するU字状の構造である。担体22がU字状の場合、2つの電極36は電極36の各々が担体22の端部32および34の内の一つを支えるように使用される。
【0020】
必要なわけではないが、ソケット40は典型的には担体22と電極36との間に配置されて、材料が担体22上に堆積された後に担体22が電極36から簡単に分離できるようにする。担体22がU字状の場合、一対のソケット40は片方のソケット40が端部32および34の内の一つに配置され、もう片方のソケット40が端部32および34のうちのもう片方に配置されるように使用される。当業者であれば、担体22を電極36に接続する方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、使用される電極36の種類と担体22の構成によるものであると理解されたい。
【0021】
図3を参照すると、電極36は下端部44および上端部46を有する一般に円筒形の軸42を有する。電極36が上述のように反応器24のチャンバ26内に部分的に配置される場合、軸42の上端部46はチャンバ26内に配置される。軸42は本発明の範囲から逸脱することなく、円筒形以外の異なる形状として、以下のものに限定しないが、四角形、長方形または三角形を含むと理解されたい。
【0022】
一実施形態では、電極36は軸42の上端部46に配置されたヘッド48を含む。ヘッド48および軸42はそれぞれ径D1およびD2を有する。典型的には、ヘッド48の径D1は軸42の径D2よりも大きい。軸42の径D2に比例するヘッド48の径D1のため、担体22はチャンバ26内で支持されることができる。ヘッド48は担体22を支えるためにチャンバ26内に配置される。
【0023】
電極36は室温での最小導電率が約44×10ジーメンス毎メートル(S/m)である導電性材料を含む。一実施形態では、電極36は銅を含み、銅は電極36の重量に基づき、典型的には約100重量%からの量で存在する。しかしながら電極36は最小導電率を満たすその他の材料、例えば銀や金を含むこともできる。
【0024】
電極36は反応器24のチャンバ26から雰囲気的に隔離された冷却面38を有する。冷却面38をチャンバ26から雰囲気的に隔離することにより、担体22上への材料の堆積に影響を与える汚染物質のチャンバ26内への導入を防ぐ。一実施形態では、冷却面38は電極36内にチャネル50を画定し、軸42の下端部44はチャネル50にアクセスするための穴52を画定する。チャネル50は電極36内で距離Dに亘って延在し、距離Dは電極36の長さLよりも短い。 言い換えれば、チャネル50は電極36全体に亘っては延在しない。別の予定される実施形態では、冷却面38は電極36の外面である。
【0025】
冷却面38は銅を含む。典型的には、銅は冷却面38に約100重量%の量で存在する。電極36および冷却面38の両方に適切な銅の一例として無酸素電気銅グレードUNS10100がある。冷却面38の銅は冷却面38に優れた熱伝達特性を与える。電極36および冷却面38が各々銅を含む場合、冷却面38は電極36と一体である。しかしながら冷却面38および電極36は異なる種類の銅を含むことができ、その場合は冷却面38を電極と一体にすることはできない。さらに電極36が上述のように銅を含まない場合、冷却面38は電極36と一体ではない。冷却面38が電極36と一体でない場合、冷却面38は電気めっきなどの既知の任意の受け入れ可能な方法により、電極36に隣接して設置することができる。
【0026】
再び図2を参照すると、製造システム20は電極36に連結されて電極36に電流を供給する電源54も含むことができる。電極36を電流が通ることによって電極36内に熱が発生する。このような加熱はジュール加熱として当業者に知られている。さらに電流は電極36を通って担体22へと流れ、ジュール加熱によって担体22内に発熱をもたらす。シリコンが担体22上に堆積された材料であり、水素が反応ガスとして使用される場合、 担体22を堆積温度に加熱すると、前駆体と水素の反応からシリコンが生成されて担体上に堆積され、そして担体22と反応する可能性がある。一般にシリコンは堆積温度に到達する反応器24のチャンバ26内の任意の構造物に堆積される。
【0027】
図4を参照すると、冷却液組成物56は製造システム20内で発生した熱を放熱させるために製造システム内で使用される。例えば、冷却液組成物56は電極36の冷却面38と接触して電極36内で発生した熱を放熱させる。冷却液組成物56は製造システム20の他の部分とも接触して発生した熱を放熱させることがあると理解されたい。他の部分としては以下のものに限定しないが、電源54およびケーブルなどのその他の電気部品がある。冷却面38がチャネル50を画定すると、冷却液組成物はチャネル50内を循環する。あるいは、 冷却面38が電極36の外面である場合、冷却液組成物56は電極36の外面と単に接触するたけである。電極36内で熱が放熱されると、電極36が堆積温度に到達するのを防ぎ、よって材料は電極36上に堆積しない。循環装置58は電極36に連結され、冷却液組成物56を含み、冷却液組成物56を冷却面38との間で行き来させる。循環装置58は冷却液組成物56を運んで電極36の冷却面38と接触させる。上記に示唆したように、製造システム20は複数の反応器24を含み、各反応器内には複数の電極36を有し、この際に循環装置58は電極36の各々と連結されると理解されたい。
【0028】
再び図1を参照すると、循環装置58は少なくとも一つの主貯蔵タンク60を含み、このタンクは冷却液組成物56を保持するために典型的には大気に開放されている。循環装置58は主分岐部62も含み、主分岐部は主貯蔵タンク60を電極36と流体接続して冷却液組成物56を反応器24内において主貯蔵タンク60と電極36との間で運ぶ。主分岐部62は冷却液組成物56を運ぶのに適切な複数の構造要素、例えばパイプ、チューブ、導管などを含む。ポンプ64は主分岐部62と流体連通し、冷却液組成物56を循環装置58内で循環させる。ポンプ64は冷却液組成物56を循環装置58内で循環させるのに適切な任意の種類のものとすることができる。
【0029】
冷却液組成物56は循環装置58に典型的には全容量で存在し、循環装置58を通る。存在する冷却液組成物56の全容量は冷却面38の表面積などの種々の要因によるもであってもよく、異なる製造システム20では異なる全容量となると理解されたい。典型的には、冷却液組成物56は約4,300以下、より典型的には約2,200〜4,300ガロン/分(GPM)の流量で循環装置58を循環する。循環サイクルは循環装置58に存在する冷却液組成物56の全容量に等しいポンプ64を通る冷却液組成物56の通過量によって定められる。
【0030】
冷却液組成物56は冷却面38と冷却液組成物56との間の熱伝導によって電極36内の熱を放熱させる冷却液を含む。好適には、鉱物がないことから、冷却液は脱イオン水である。しかしながら、冷却液は不凍液、水道水などの熱伝導に使用されるその他の流体であってもよいと理解されたい。冷却液組成物56は溶存ガスも含むことができる、というのも循環装置58は典型的には大気に開放されており、このことによって酸素および二酸化炭素が大気から冷却液組成物56に溶け込むことができるからである。従って冷却液組成物56は溶存酸素および溶存二酸化炭素を含むことができる。しかしながら循環装置58を大気から隔離して溶存ガスが冷却液組成物56へ入らないようにしてもよい。循環装置58が大気から隔離されると、空気は濾過システム70内に捕捉される。例えば、空気は電極36が交換される際、または冷却液組成物56が循環装置58に添加される際に捕捉される。電極36にはパージ接続を設けて循環装置58内に捕捉された空気を取り除いてもよいと理解されたい。
【0031】
冷却液組成物56と電極36の冷却面38との接触の結果、冷却液組成物56内には第二銅(Cu2+)イオンの形で溶解銅が存在する。このように、冷却液組成物56が冷却面38と接触した後、冷却液組成物56は冷却液および溶解銅を含む。冷却液組成物56は製造システムの銅を含む他の部分と接触することがあると理解されたい。他の部分としては、以下のものに限定しないが、電源54およびケーブルなどのその他の電気部品があり、これも冷却液組成物56内の溶解銅の存在の一因となる。冷却面38の劣化の結果、溶解銅が冷却液組成物56に導入されると考えられている。さらに、溶解銅またはCu2+イオンは溶存酸素と反応して酸化銅CuOが形成され、CuOは冷却液組成物56から沈殿して電極36の冷却面38に堆積物を形成すると考えられている。
【0032】
冷却面38の劣化は冷却液組成物56のpHによる影響を受けると考えられている。冷却液組成物56内の溶存二酸化炭素は平衡反応によって重炭酸塩(HCO)を形成し、これは冷却液組成物56のpHを下げる傾向にある。従って冷却液組成物56内に存在する重炭酸塩の量は、冷却液組成物56のpHの変化および循環装置58内に存在する冷却液組成物56の全容量の関数として決定することができる。
【0033】
冷却面38の劣化は重炭酸塩が冷却面38の銅と反応する際に発生し、冷却面38の劣化および冷却液組成物56内における溶解銅の存在をもたらすと考えられている。溶解銅は冷却液組成物56内を浮遊し、循環装置58を循環し、上述のように電極36の冷却面38上に堆積物を形成することとなる。
【0034】
特定の理論に拘束されるものではないが、冷却液組成物56内の溶解銅の量および冷却液組成物56のpHを制御することによって、電極36の冷却面38上における堆積物形成が抑止されると考えられている。例えば、冷却面38上の堆積物の形成速度は銅の冷却液組成物56への溶解限度に達した時およびpHが7.0を下回る時に上がると考えられている。また冷却面38上の堆積物の形成速度は冷却液組成物内の溶解銅の濃度が増え、pHが7.0を上回る時に上がると考えられている。また電極36上の堆積物形成の抑止は、冷却液組成物56を大気から隔離して酸化銅の形成を防ぐ脱気システムを利用して冷却液組成物56内の溶存酸素の量を制御することによっても達成することができると考えられている。このようなシステムでは、溶存酸素が存在せずに溶解銅が存在すると、電極36上の堆積物形成はもたらされない。しかしながら一般には、脱気システムを使用するよりも冷却液組成物56内の溶解銅の量を制御する方がより効果的であると考えられている。
【0035】
堆積物形成の抑止は電極36の寿命と冷却液組成物56の寿命を延ばして生産費を減少させる、というのも電極36および冷却液組成物は頻繁に交換する必要がないからである。さらに材料を担体22上に堆積させる製造時間も減少する、というのも冷却液組成物56により多くの溶解銅が存在する場合と比較して、電極36の交換頻度は少ないからである。さらに電極36の冷却面38上への堆積物形成の減少は反応器24のチャンバ26内の冷却を向上させる付加的な恩恵を持ち、これは生産性に恩恵を与え、反応器24の寿命を延ばす。具体的には冷却面38上の堆積物形成の減少により電極36はより効率的に冷却されることができ、チャンバ26から熱を奪い、反応器24が不必要に高い温度で動作されるのを防ぐ。
【0036】
上述のように、冷却液組成物56内の重炭酸塩の存在は冷却液組成物56のpHを下げる。一般にpHがより下がる、すなわちより酸性になると冷却面38の劣化が早くなり、冷却液組成物56内に存在する溶解銅の濃度が高くなる。冷却面38の劣化は冷却液組成物56のpHを最大にすることによって最小限に抑えることができると考えられている。典型的には、冷却液組成物56のpHは7.0を上回る。しかしながら冷却液組成物56のpHがアルカリ性になると、冷却液組成物56の導電率が上がる。高い導電率は電気アーキングをもたらし、電極36に損傷を与える。一般に冷却液組成物56の高い導電率は大きな問題ではないが、電極36を保護するために監視することができる。典型的には、冷却液組成物56のpHが9.5を上回るのであれば導電率は高すぎであり、電極36の損傷をもたらすことがある。上述を考慮して、製造システム20は3層制御手法(a three-layer control strategy)を採用して電極36上の堆積物形成を抑止する。一般に3層制御手法の第1層は冷却液組成物56を濾過して冷却液組成物56内の溶解銅の少なくとも一部を除去する濾過システム70を含む。3層制御手法の第2層は冷却液組成物56の所望のpHを維持して冷却面38の劣化を最小限に抑えることを含む。3層制御手法の第3層は冷却液組成物56の所望の導電率を維持して電気アーキングを防ぐことを含む。3層制御手法の一つの利点は冷却面38上の堆積物の形成に影響を与える要因を認識して制御することである。堆積物の形成に影響を与える要因を制御することによって電極の寿命が最大となり、これによって費用や交換のためのダウンタイムが減少する。3層制御手法は自動または手動で実行することができると理解されたい。
【0037】
濾過システム70は循環装置58と流体連通して冷却液組成物56から溶解銅を除去する。上述のように、冷却液組成物56内の溶解銅は冷却面38上の堆積物形成をもたらす。より具体的には、冷却液組成物56と冷却面38との間の接触点における冷却液組成物56内の溶解銅の量は冷却面38上の堆積物形成に最大の影響を持つ。従って電極36の冷却面38に隣接する冷却液組成物56内の溶解銅の量を制御するのが好適である。言い換えれば、冷却液組成物56が冷却面38と接触する前に冷却液組成物56内の溶解銅の量を制御することが好適である。典型的には、冷却液組成物56内に存在する溶解銅の平均濃度は約100以下であり、より典型的には約50以下であり、最も典型的には約25ppb以下である。溶解銅の上限および下限はそれぞれ独立して選択することができると理解されたい。濾過システム70は冷却液組成物56から溶解銅を除去して、冷却液組成物56内の溶解銅の平均濃度が上述の許容範囲内となるようにする。本発明の濾過システム70がない場合、 冷却液組成物56内の溶解銅の平均濃度は1000ppbを超えるだろう。
【0038】
一般に冷却液組成物のpHが高くなると溶液から酸化銅が沈殿し、冷却液組成物56から濾過されることができる。濾過システム70は冷却液組成物56から酸化銅も除去することができると理解されたい。さらに製造システム20が脱気システムを採用する場合、脱気システムは冷却液組成物56から溶解銅を除去するための濾過システム70を含むことができる。
【0039】
一実施形態では、濾過システム70は主分岐部62と流体連通する濾過分岐部72と、濾過システム70と、主貯蔵タンク60とを含む。濾過分岐部72はパイプ、チューブ、導管などの冷却液組成物56を運ぶのに適切な複数の構造要素を含む。濾過分岐部72は製造システム20の操作を停止せずに濾過システム70のメンテナンスが行えるようにする。濾過システム70を主分岐部62と流体連通させて循環装置58から濾過分岐部72を取り除くことが可能であると理解されたい。
【0040】
濾過分岐部弁は冷却液組成物56の一部を主分岐部62から濾過分岐部72に向け、冷却液組成物56の一部が濾過システム70を通るようにする。典型的には冷却液組成物56は濾過分岐部72を約20GPM以下、より典型的には約6〜10GPMで通る。濾過分岐部72は冷却液組成物56における全容積の溶解銅の含有物をさらに効率的に制御しながら、主分岐部62内の流量と比べてより少ない流量の処理を可能にする。さらに、冷却液組成物56をより少ない流量で処理すると、濾過システム70の作業コストが減少する、というのも主分岐部62に濾過システムを設けた場合と比べて、循環サイクルあたりの冷却液組成物56の濾過が少なくなるため、濾過システム70の寿命が延びるからである。濾過システム70内の冷却液組成物56の流量は、冷却液組成物56内に存在する溶解銅の平均濃度、循環装置58内に存在する冷却液組成物56の全容積および溶解銅を除去する濾過システム70の有効性によるものであると理解されたい。
【0041】
図1に示す一実施形態では、濾過システム70は冷却液組成物56から溶解銅を除去するためにカチオン樹脂を含有するカチオン床フィルタを含む。冷却液組成物56から銅を除去するために、適切な任意の種類のカチオン樹脂を使用することができると理解されたい。典型的には、カチオン樹脂は表面に水酸化ナトリウム反応基が結合したゼオライト樹脂やスチレンビーズ樹脂などのナトリウム塩基である。濾過システム70がカチオン床フィルタ74である場合、上述のように、冷却液組成物56を中性または僅かにアルカリ性のpHに維持することの付加的な恩恵は、カチオン床フィルタ74内のカチオン樹脂の寿命が延びることである。さらに濾過システム70がカチオン床フィルタ74である場合には、冷却液組成物56の一部のみを濾過分岐部72に通してカチオン樹脂の寿命を保つのは有利である。
【0042】
濾過システム70は、濾過分岐部72と流体連通する混合樹脂を含有する少なくとも一つの混合床フィルタ76も含むことができる。混合床フィルタ76は冷却液組成物56から重炭酸塩を除去し、よってpHを上述の許容範囲内にするために冷却液組成物56に添加しなければならない塩基性物質の量を減らす。本発明では本技術分野において周知である任意の種類の混合樹脂を使用することができると理解されたい。典型的には、混合樹脂はカチオンとアニオンのビーズが混合されたものを含む。一般に、混合床フィルタ76は冷却液組成物56内に浮遊する鉱物を除去するためにも使用することができる。例えば、冷却液が水道水の場合、混合床フィルタ76は水道水に浮遊するどんな鉱物も除去する。
【0043】
図5を参照すると、濾過システム70は冷却液組成物56から溶解銅を引っ張るように構成された膜を有する逆浸透処理装置77を含む。逆浸透処理装置77はカチオン床フィルタ74と共に使用され、逆浸透処理装置77はカチオン床フィルタ74の代わりに使用することができると理解されたい。
【0044】
3層制御手法の第2層は典型的には冷却液組成物56のpHを約7.0〜9.5、より好適には約7.5〜9.5、最も好適には約7.5〜9.5に維持する。冷却液組成物のpH範囲の点から、冷却液組成物56に導入される溶解銅の量は時間が経つにつれて最小限に抑えられる。好適なpH範囲を考慮すると、冷却液組成物56は好適には約80以下、より好適には約10〜80マイクロジーメンスの導電率を有する。
【0045】
冷却液組成物56のpHは冷却液組成物56のpHを維持するのに適切な当技術分野において周知の任意の方法によって維持することができると理解されたい。一実施形態では、塩基性物質を冷却液組成物56に添加して冷却液組成物56のpHへの重炭酸塩の作用と中和させる。塩基性物質は水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの強塩基を含むことができると理解されたい。冷却液組成物56の一部を循環装置58から除去して流体と交換し、冷却液組成物56のpHを上述の範囲内にすることができると理解されたい。混合床フィルタ76を塩基性物質と共に使用して冷却液組成物56のpHを制御することができると理解されたい。場合によってはこの混合床は塩基性物質を添加する代わりに全て使用することができる。
【0046】
さらに図1を参照すると、一実施形態では、pH維持分岐部66は主分岐部62および主貯蔵タンク60と流体連通する。冷却液組成物56のpHを上述の範囲内に維持することはpH維持分岐部66を除く主分岐部62内で達成されると理解されたい。存在する場合、pH維持分岐部66は、パイプ、チューブ、導管などの冷却液組成物56を運ぶのに適切な複数の構造要素を備える。維持分岐部弁は冷却液組成物56の一部を主分岐部62からpH維持分岐部66に向け、冷却液組成物56を処理して冷却液組成物56のpHを維持する。典型的には、冷却液組成物56は約20GPM以下、より典型的には約6〜約10GPMでpH維持分岐部66を通る。pH維持分岐部66は冷却液組成物56の全容量を続けて効率的に処理しながら主分岐部62の流量と比べてより少ない流量の処理を可能にする。
【0047】
pH維持分岐部66は反応器24の上流または下流の何れかに位置させることができると理解されたい。塩基性物質貯蔵タンク68はpH維持分岐部66と流体連通して塩基性物質を貯蔵する。塩基性物質貯蔵タンク68からの塩基性物質はpH維持分岐部66内の冷却液組成物56に添加され、冷却液組成物56の全容量のpHを効率的に制御する。冷却液組成物56に添加される苛性アルカリ溶液の量および添加速度は冷却液組成物56内に存在する重炭酸塩の量および冷却液組成物56の所望のpHによるものであることを理解されたい。
【0048】
主貯蔵タンク60内の冷却液組成物56のpHを試験して、冷却液組成物56のpHが好適な範囲内であることを確認することができる。塩基性物質の添加速度は主貯蔵タンク60内の冷却液組成物56のpHの試験結果に基づいて調整することができる。しかしながら、冷却液組成物56のpHの範囲は導電率によって制御される上限があるので、冷却液組成物56のpHのみの制御では冷却面38の劣化は完全に防止されない、または冷却液組成物56から溶解銅は完全に除去されない。
【0049】
図4を参照すると、主貯蔵タンク60、電極36および濾過システム70間の流体接続が示されている。図4は略図であり、サイズ、構成、実際の濃度または冷却液組成物56内における溶解銅の分布を示すものではないと理解されたい。冷却液組成物56内の溶解銅の濃度は、冷却液組成物56が冷却面38と接触するにつれて冷却面38の劣化によって増える。冷却液組成物56内における溶解銅の最大濃度は冷却液組成物56が電極36のチャネル50を離れる際に電極36の下端部44の近くで起こる。しかしながら、銅の溶解は時間が経つにつれて発生し、冷却液組成物56の循環装置58を通る通常の流れにおける冷却面38での溶解銅の濃度が無視できるほど比較的ゆっくりしたプロセスであることを理解されたい。濾過分岐部72は典型的には電極36の下流に位置し、溶解銅の量が最大の時に冷却液組成物56を濾過する。上述のように、冷却液組成物56のほとんどは主分岐部62を通って主貯蔵タンク60に戻り続け、冷却液組成物の一部は濾過分岐部72に向けられて濾過システム70を通る。冷却液組成物56が濾過システム70を通過した後、溶解銅の濃度は著しく減少する。濾過システム70からの冷却液組成物56が主分岐部62から主貯蔵タンク60に戻った冷却液組成物56と混合されると、溶解銅の濃度は上述のような受け入れ可能な範囲内となる。
【0050】
図6を参照すると、製造システム20は循環装置58と流体連通し、冷却液組成物56から溶存ガスを除去する脱気装置78も含む。例えば、脱気装置78は冷却液組成物56から溶存二酸化炭素と溶存酸素を除去する。冷却液組成物56から溶存二酸化炭素を除去することによって重炭酸塩の形成を減少させて冷却液組成物56のpHを維持する。さらに、冷却液組成物56から溶存酸素を除去することによって電極36上の堆積物形成を抑止する、というのも溶解銅と反応して酸化銅を形成する冷却液組成物56内の溶存酸素が少なくなるからである。脱気装置78は任意の適切な脱気装置とすることができ、これには、以下のものに限定しないが、強制通気式脱気装置、膜接触器などがある。脱気装置78として使用する適切な脱気装置の例としてLIQUI−CEL(登録商標)膜接触器がある。脱気装置78は濾過システム70から独立させることができる、または脱気装置78は濾過システム70に組み込むことができる。必要なわけではないが、脱気装置78は典型的には濾過システム70の下流に位置し、冷却液組成物が脱気装置78に入る前に溶解銅の冷却液組成物56からの除去を可能にする。
【0051】
冷却液組成物56内に存在する溶存酸素はその他の適切なメカニズムや方法によって制御することができると理解されたい。例えば亜硫酸ナトリウム処理は溶存酸素の化学的スカベンジングのために使用することができる。このスカベンジングは硫酸イオンの形成をもたらし、硫酸イオンはその後冷却液組成物56から除去される。
【0052】
冷却液組成物56内に存在する溶解銅の平均濃度はその他の適切な方法によって制御することができると理解されたい。例えば、腐食抑制剤を冷却液組成物56に添加して冷却面38の劣化を防止することができる。腐食抑制剤は不活性化層として溶解銅に付着し、冷却液組成物56内の酸化銅の形成を防止する。さらにキレート剤を冷却液組成物56に添加して溶解銅と反応させて酸化銅の形成を防止することができる。
【0053】
担体22上に材料を堆積する製造システム20で使用される電極36の冷却面38上における堆積物形成を抑止する典型的な方法を以下に説明する。この方法はチャンバ26内の電極36と接触させて担体22を設置するステップと、チャンバ26をシールするステップとを含む。その後の担体22および電極36を加熱するステップは電源54によって生成された電流を電極36および担体22に通すことによって行われる。本方法は前駆体をチャンバ26に導入するステップと担体22が堆積温度に到達した際に材料を担体22に堆積するステップも含む。一実施形態では、材料を担体22に堆積するステップはさらにシリコンを担体22に堆積するステップとして定義される。さらに、担体22上にシリコンを堆積するステップは担体22上への多結晶シリコンの形成をもたらす。
【0054】
本方法は電極36の冷却面38を冷却液組成物56と接触させて電極36内の熱を放熱させるステップと冷却液組成物56を濾過システム70で濾過して溶解銅の少なくとも一部を冷却液組成物から除去するステップとをさらに含む。一実施形態では、冷却液組成物56を濾過するステップは濾過システム70に冷却液組成物を約20GPM以下で通すステップとしてさらに定義される。冷却液組成物56を濾過システム70で濾過するステップは、濾過システムに入る冷却液組成物56に存在する溶解銅を上述のパーセンテージで除去する。
【0055】
一実施形態では、濾過システム70はカチオン床フィルタ74であり、冷却液組成物56を濾過するステップは冷却液組成物の少なくとも一部をカチオン床フィルタ74に通すステップとしてさらに定義される。別の実施形態では、濾過システム70は逆浸透処理装置77であり、冷却液組成物56を濾過するステップは冷却液組成物の少なくとも一部を逆浸透処理装置77に通すステップとしてさらに定義される。本方法は脱気装置78を使って冷却液組成物56から溶存ガスの少なくとも一部を除去するステップをさらに含むことができる。
【0056】
本方法は上述の範囲内に冷却液組成物56のpHを維持するステップと冷却液組成物56の導電率を維持するステップも含むことができる。冷却液組成物56のpHを維持するステップは冷却液組成物56に塩基性物質を添加するステップとしてさらに定義されると理解されたい。処理された担体22はその後除去され、新しい担体22が製造システム20に設置される。
【0057】
上述の教示に照らして、本発明の多数の変更および変形が可能であることは明らかである。上述の発明は関連する法定基準に従って説明されたものである。よって本説明は本質的に説明のためのものであって、制限するものではない。開示された実施形態に対する変形や変形は当業者に明らかとなるであろうし、本発明の範囲内のものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体上に材料を堆積する製造システムで使用される電極の冷却面上の堆積物形成を抑止する方法であって、前記冷却面は銅を含み、前記製造システムはチャンバを画定する少なくとも一つの反応器であって、前記電極が少なくとも部分的に前記チャンバ内に配置されて前記チャンバ内で前記担体を支持する反応器と、前記電極と流体連通して冷却液組成物を前記冷却面との間で行き来させる循環装置であって、前記冷却液組成物は冷却液と前記電極の冷却面からの溶解銅を含む循環装置と、該循環装置と流体連通する濾過システムとを含み、前記方法は、
前記担体を支持する前記電極を加熱するステップと、
前記電極の前記冷却面を前記冷却液組成物と接触させるステップと、
前記材料を前記電極によって支持される前記担体上に堆積するステップと、
前記冷却液組成物を前記濾過システムで濾過して前記冷却液組成物から前記溶解銅の少なくとも一部を濾過するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記担体上に前記材料を堆積するステップは前記担体上にシリコンを堆積するステップとしてさらに定義される方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記担体上にシリコンを堆積するステップは前記担体上に多結晶シリコンの形成をもたらす方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物を濾過するステップは前記冷却液組成物を約20GPM以下で前記濾過システムを通すステップとしてさらに定義される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物内に存在する前記溶解銅の平均濃度は約100ppb以下である方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記濾過システムはカチオン床フィルタとしてさらに定義され、前記冷却液組成物を濾過するステップは前記冷却液組成物の少なくとも一部を前記カチオン床フィルタに通すステップとしてさらに定義される方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記濾過システムは逆浸透処理装置としてさらに定義され、前記冷却液組成物を濾過するステップは前記冷却液組成物の少なくとも一部を前記逆浸透処理装置に通すステップとしてさらに定義される方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物のpHを約7.0〜9.5に維持するステップをさらに含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物の導電率を約80マイクロジーメンス以下に維持するステップをさらに含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記電極はヘッドと軸をさらに含み、これらの各々は径を有し、該ヘッドの径は該軸の径よりも大きく、前記電極の前記冷却面はチャネルを画定し、該チャネルは前記電極内で前記電極の長さLよりも小さい距離Dに延在し、前記電極の前記冷却面を前記冷却液組成物と接触させるステップは前記チャネル内で前記冷却液組成物を循環させるステップとしてさらに定義される方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液は脱イオン水である方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物は溶存ガスをさらに含み、前記方法は脱気装置を使って前記冷却液組成物から前記溶存ガスの少なくとも一部を除去するステップをさらに含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物に腐食抑制剤を添加して前記冷却面の劣化を防止するステップをさらに含む方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記冷却液組成物にキレート剤を添加して前記溶解銅と反応させて前記冷却液組成物内で酸化銅の形成を防止するステップをさらに含む方法。
【請求項15】
担体上に材料を堆積する製造システムであって、該システムは、
チャンバを画定する少なくとも一つの反応器と、
少なくとも部分的に前記チャンバ内に配置され、前記チャンバ内で前記担体を支持する少なくとも一つの電極であって、該電極は銅を含む冷却面を有する電極と、
冷却液および溶解銅を含む冷却液組成物であって、該冷却液組成物は前記電極の前記冷却面と接触して前記電極内に生じた熱を放散させ、前記電極が堆積温度に到達するのを防ぐ冷却液組成物と、
前記電極に連結され、前記冷却液組成物を含み、前記冷却液組成物を前記冷却面との間で行き来させる循環装置と、
前記循環装置と流体連通して前記冷却液組成物から前記溶解銅の少なくとも一部を除去する濾過システムと
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物内に存在する前記溶解銅の平均濃度は約100ppm以下であるシステム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物は前記濾過システムを20GPM以下で通るシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記濾過システムはカチオン床フィルタを備えるシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記濾過システムは逆浸透処理装置を備えるシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物は約7.0〜9.5のpHを有するシステム。
【請求項21】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物は約80マイクロジーメンス以下の導電率を有するシステム。
【請求項22】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記電極はヘッドと軸をさらに含み、これらの各々は径を有し、前記ヘッドの径は前記軸の径よりも大きく、前記電極の前記冷却面はチャネルを画定し、該チャネルは前記電極内で前記電極の長さLよりも小さい距離Dに延在するシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムにおいて、前記冷却面は無酸素電気銅グレードUNS10100を含むシステム。
【請求項24】
請求項15に記載のシステムにおいて、複数の電極を備え、前記循環装置は前記電極の各々の前記冷却面と流体連通して前記冷却液組成物を前記電極の各々の前記冷却面に運ぶシステム。
【請求項25】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記担体上に堆積された材料は前記担体上に多結晶シリコンを形成するシリコンであるシステム。
【請求項26】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物は溶存ガスをさらに含み、前記システムは前記循環装置と流体連通する脱気装置をさらに備え、前記冷却液組成物から前記溶存ガスの少なくとも一部を除去するシステム。
【請求項27】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物は前記冷却面の劣化を防止する腐食抑止剤をさらに含むシステム。
【請求項28】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記冷却液組成物は前記溶解銅と反応させて前記冷却液組成物内での酸化銅の形成を防止するキレート剤をさらに含むシステム。
【請求項29】
担体上に材料を堆積する製造システムであって、該システムは、
チャンバを画定する少なくとも一つの反応器と、
前記チャンバに少なくとも部分的に配置され、前記チャンバ内で前記担体を支持する少なくとも一つの電極であって、該電極は銅を含む冷却面を有する電極と、
前記電極と連結され、冷却液組成物を運んで前記冷却面と接触させる循環装置であって、前記冷却液組成物は冷却液と溶解銅を含み、前記冷却液組成物は前記電極の前記冷却面と接触して前記電極内で生じた熱を放熱させ、材料が前記担体上に堆積する堆積温度に前記電極が到達するのを防止する循環装置と、
前記循環装置と流体連通して前記冷却液組成物から前記溶解銅の少なくとも一部を除去する濾過システムと
を含むシステム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムにおいて、前記濾過システムはカチオン床フィルタを備えるシステム。
【請求項31】
請求項29に記載のシステムにおいて、前記濾過システムは逆浸透処理装置を備えるシステム。
【請求項32】
請求項29に記載のシステムにおいて、前記電極はヘッドと軸をさらに含み、これらの各々は径を有し、該ヘッドの該径は該軸の該径よりも大きく、前記電極の前記冷却面は前記電極の長さLよりも短い距離Dに前記電極内で延在するチャネルを画定するシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、前記冷却面の前記銅は無酸素電気銅グレードUNS10100としてさらに定義されるシステム。
【請求項34】
請求項29に記載のシステムにおいて、複数の電極を備え、前記循環装置は前記電極の各々の前記冷却面と流体連通して前記冷却液組成物を前記電極の各々の前記冷却面に運ぶシステム。
【請求項35】
請求項29に記載のシステムにおいて、前記担体上に堆積される前記材料は前記担体上に多結晶シリコンの形成をもたらすシリコンであるシステム。
【請求項36】
請求項29に記載のシステムにおいて、前記循環装置と流体連通して溶存ガスの少なくとも一部を前記冷却液組成物から除去する脱気装置をさらに備えるシステム。
【請求項37】
担体に材料を堆積する製造システムで使用される電極の冷却面上の堆積物形成を抑止する方法であって、前記冷却面は銅を含み、前記製造システムはチャンバを画定する少なくとも一つの反応器であって、前記電極が少なくとも部分的に前記チャンバ内に配置されて前記チャンバ内で前記担体を支持する反応器と、前記電極と流体連通して冷却液組成物を前記冷却面との間で行き来させる循環装置であって、前記冷却液組成物は冷却液と前記電極の冷却面からの溶解銅を含む循環装置と、該循環装置と流体連通する濾過システムとを含み、前記方法は、
前記担体を支持する前記電極を加熱するステップと、
前記電極の前記冷却面を前記冷却液組成物と接触させるステップと、
前記冷却液組成物を前記濾過システムで濾過して前記冷却液組成物から前記溶解銅の少なくとも一部を濾過するステップと、
前記冷却液組成物の所望のpHを維持して前記冷却面の劣化を最小限に抑えるステップと、
前記冷却液組成物の所望の導電率を維持して前記冷却液組成物と前記電極との間の電気アーキングを防止するステップと、
前記電極によって支持される前記担体上に材料を堆積するステップと
を含む方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記担体上に材料を堆積するステップは前記担体上にシリコンを堆積するステップとしてさらに定義される方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、前記担体上にシリコンを堆積するステップは前記担体上に多結晶シリコンの形成をもたらす方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法において、前記冷却液組成物を濾過するステップは前記冷却液組成物内に存在する溶解銅の平均濃度を100ppb以下にする方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法において、前記濾過システムはカチオン床フィルタとしてさらに定義され、前記冷却液組成物を濾過するステップは前記カチオン床フィルタに前記冷却液組成物の少なくとも一部を通らせるステップとしてさらに定義される方法。
【請求項42】
請求項37に記載の方法において、前記冷却液組成物の所望のpHを維持するステップは前記冷却液組成物のpHを約7.0から9.5に維持するステップとしてさらに定義される方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法において、前記冷却液組成物の所望の導電率を維持するステップは、前記冷却液組成物の導電率を約80マイクロジーメンス以下に維持するステップとしてさらに定義される方法。
【請求項44】
請求項37に記載の方法において、前記冷却液組成物は溶存ガスをさらに含み、該方法は脱気装置を使って前記冷却液組成物から前記溶存ガスの少なくとも一部を除去するステップをさらに含む方法。
【請求項45】
請求項37に記載の方法において、腐食抑止剤を前記冷却液組成物に添加して前記冷却面の劣化を防ぐステップをさらに含む方法。
【請求項46】
請求項37に記載の方法において、キレート剤を前記冷却液組成物に添加して溶解銅と反応させて前記冷却液組成物内で酸化銅の形成を防ぐステップをさらに含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533684(P2012−533684A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520747(P2012−520747)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/041961
【国際公開番号】WO2011/008849
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(503060684)ヘムロック・セミコンダクター・コーポレーション (17)
【Fターム(参考)】