説明

複合材成形品の製造方法

【課題】 離型フィルムを簡単且つ効率的に剥離することができ、複合材成形品を製造する効率が向上する複合材成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】 プリプレグ体100を加工する複合材成形品200の製造方法において、第1の離型フィルム111連続的に繰り出す工程と、前記第1の離型フィルム111上に前記プリプレグ体100を所定間隔をおいて搭載する工程と、前記第1の離型フィルム111との間に前記プリプレグ体100を挟むように前記第1の離型フィルム111の上方に第2の離型フィルム121を連続的に繰り出す工程と、前記第1の離型フィルム111と前記第2の離型フィルム121との間に挟まれた前記プリプレグ体100に対して加熱加圧成形する工程とを含む複合材成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材成形品の製造方法に関し、特に、プリプレグからなる複合材成形品を連続的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材成形品は、樹脂含浸炭素繊維紙など、樹脂含浸繊維からなるプリプレグ材料で製造され、強度が高く、軽量で、耐酸性・耐塩基性及び耐候性が共に優れていることが知られている。それゆえ、複合材形成品は、釣竿、ゴルフクラブヘッド、ラケット、プリント配線基板、飛行機の部品などに一般的に使用されている。
【0003】
従来の複合材成形品の製造方法として、プリプレグ材料を切断したり積層してプリプレグ体を形成してから、熱成形装置の金型中で加熱加圧成成形することにより、所定形状の複合材成形品を製造する方法がある。
【0004】
しかしながら、プリプレグに含浸した樹脂は、硬化後に金型の内表面に付着しやすいため、加熱加圧成形する工程において、製造された複合材成形品が、硬化した樹脂により金型に付着し、金型から取り出しにくくなることがある。更に、硬化した樹脂を金型から取り除く工程が必要となる。
【0005】
このような問題を解決するため、従来の方法においては、加熱加圧成形する工程の前に2枚の離型フィルムをプリプレグ体の上下表面に貼り付けている。
【0006】
これにより、加熱加圧成形する工程の後、樹脂が漏れて金型の内表面に付着することを防ぎ、複合材成形品を簡単に金型から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾特許公開公報200427741明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の離型フィルムを用いた方法は、各プリプレグ体に、その形状に合わせて切断した2枚の離型フィルムを貼り付け、また、加熱加圧成形する工程の後、離型フィルムを剥離する必要がある。
【0009】
このような、離型フィルムの切断、貼り付け、剥離の工程には時間がかかり、複合材成形品を連続的に製造するには不都合である。よって、従来の離型フィルムを使用したプリプレグからなる複合材成形品の製造方法における生産効率は低く、尚も改善の余地がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、プリプレグからなる複合材成形品を連続的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る複合材成形品の製造方法は、プリプレグ体を加工する複合材成形品の製造方法において、第1の離型フィルムを連続的に繰り出す工程と、前記第1の離型フィルム上に前記プリプレグ体を所定間隔をおいて搭載する工程と、前記第1の離型フィルムとの間に前記プリプレグ体を挟むように前記第1の離型フィルムの上方に第2の離型フィルムを連続的に繰り出す工程と、前記第1の離型フィルムと前記第2の離型フィルムとの間に挟まれた前記プリプレグ体に対して加熱加圧成形する工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複合材成形品の製造方法によれば、離型フィルムを簡単且つ効率的に剥離することができ、複合材成形品を製造する効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における複合型成形品の製造方法を説明する図面である。
【図2】本発明の第1の実施形態における複合型成形品の製造方法を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における複合型成形品の製造方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態における複合型成形品の製造方法は、下記の工程によって薄型の複合型成形品200が連続的に製造されるように、プリプレグ体100を運搬するために、離型フィルム111、121を使用するものである。なお、ここで各プリプレグ体100はプリプレグ材料から構成され、加工工程を経て複合型成形品となるものを指す。以下、図2に示した各工程を説明する。
【0016】
(ステップ21)
ステップ21は、第1の離型フィルム111を連続的に繰り出す工程である。
生産ライン1は、生産ライン1の下側に設けられた第1の駆動装置11と、生産ライン1の上側に設けられた第2の駆動装置12と、熱成形装置13とを備えている。第1の駆動装置11は、第1の離型フィルム111が繰り出される第1の繰り出しローラー112と、第1の離型フィルム111を巻き取る第1の巻き取りローラー113とを備えている。
【0017】
このような構造により、ステップ21は、第1の離型フィルム111が、第1の繰り出しローラー112から連続的に繰り出され、第1の巻き取りローラー113によって巻き取られることにより、図中のXの方向に連続的に繰り出されて行われる。
【0018】
なお、熱成形装置13は、第1の繰り出しローラー112の下流側と、第1の巻き取りローラー113の上流側との間に配置されており、第1の繰り出しローラー112から繰り出された第1の離型フィルム111は、熱成形装置13を通過して、第1の巻き取りローラー113によって巻き取られることが好ましい。
【0019】
(ステップ22)
ステップ22は、第1の離型フィルム111上にプリプレグ体100を等間隔をおいて連続的に搭載する工程である。
【0020】
第1の離型フィルム111に搭載されたプリプレグ体100は、第1の離型フィルム111が図中のXの方向に繰り出されることによって、プリプレグ体100が第2の駆動装置12の下方及び熱成形装置13を通過するように運搬される。
【0021】
(ステップ23)
ステップ23は、第1の離型フィルム111との間にプリプレグ体100を挟むように第1の離型フィルム111の上方に第2の離型フィルム121を連続的に繰り出す工程である。
【0022】
第2の駆動装置12は、第2の繰り出しローラー122と、第2の巻き取りローラー123とを備えている。第2の繰り出しローラー122は、熱成形装置13の上流側から第2の離型フィルム121を繰り出し、第2の巻き取りローラー123は、熱成形装置13の下流側において第2の離型フィルム121を巻き取る。
【0023】
このような構造により、ステップ23は、第2の離型フィルム121が、第2の繰り出しローラー122から連続的に繰り出され、第2の巻き取りローラー123によって巻き取られることにより行われる。即ち、第2の離型フィルム121が、第1の離型フィルム111の上方で、図中におけるXの方向に沿って連続的に繰り出すことにより行われる。
【0024】
また、第2の繰り出しローラー122は、第1の繰り出しローラー112の下流側に配置され、第2の巻き取りローラー123は、第1の巻き取りローラー113の上流側に配置されることが好ましい。
【0025】
なお、それぞれのプリプレグ体100は、第2の繰り出しローラー122から第2の巻き取りローラー123の間を通過しているとき、第1の離型フィルム111と第2の離型フィルム121との間に挟まれた状態にある。
【0026】
(ステップ24)
ステップ24は、第1の離型フィルム111と第2の離型フィルム121との間に挟まれたプリプレグ体100に対して加熱加圧成形する工程である。
【0027】
熱成形装置13は、第1の離型フィルム11及び第2の離型フィルム12の上方に設けられた第1の金型131と、第1の離型フィルム11及び第2の離型フィルム12の下方に設けられた第2の金型132とを有する。
【0028】
このような構造により、ステップ24は、第1の離型フィルム111と第2の離型フィルム121との間に挟まれたそれぞれのプリプレグ体100が熱成形装置13を通過するとき、熱成形装置13が、第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム12を通じて、所定温度及び所定圧力で、それぞれのプリプレグ体100を加熱加圧成形することにより行われる。このとき、プリプレグ体100に含まれる樹脂が、溶解、成形された後、硬化、冷却され、複合型成形品200が製造されると共に、複合型成形品200が熱成形装置13から出される。
【0029】
ステップ24の後、第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム121が第1の駆動装置11及び第2の駆動装置12により巻き取られるので、複合材成形品200は、自動的且つ簡単に第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム121から分けられる。
【0030】
[第2の実施形態]
図3に示すように、本発明の第2実施形態における複合型成形品の製造方法は第1の実施形態と類似する構成を有しており、以下はその相違点について詳しく説明する。
図示されているように、第2の実施形態の複合型成形品の製造方法は、生産ライン1が更に、冷却装置34を有し、第1の離型フィルム111と第2の離型フィルム121とに挟まれた加熱加圧成形する工程を経たプリプレグ体100を、当該生産ライン1上の冷却装置34によって冷却する工程を更に含んでいる。
【0031】
なお、冷却装置34は、熱成形装置13の下流側、且つ第1の巻き取りローラー113及び第2の巻き取りローラー123の上流側に設けられることが好ましい。
第2の実施形態における複合型成形品の製造方法によれば、冷却装置34により、プリプレグ体100中に含まれる樹脂を冷却するのに必要な時間を短縮させることができ、複合材成形品200を製造する効率がより向上する。
【0032】
以上のように本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の配列や形態も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の方法によれば、生産ライン1において、プリプレグ体100が、連続的に繰り出される第1の離型フィルム111上に所定間隔置きに搭載され、次に、連続的に繰り出される第1の離型フィルム111と第2の離型フィルム121との間に挟まれ、第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム121を通じて加熱加圧成形され、最後に第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム121から離れて、複合材成形品200が成形される。即ち、従来のような離型フィルムを切断する工程が不要となる。更に、本発明の方法において、プリプレグ体100は、連続的に繰り出される第1の離型フィルム111と第2の離型フィルム121との間に挟まれながら熱成形装置13中で成形され、その熱成形装置13から成形された複合型成形品200が連続的に出てくるため、簡単に第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム121から離れることができる。それゆえ、各金型と複合材成形品200から第1の離型フィルム111及び第2の離型フィルム121を、簡単且つ効率的に剥離することができ、複合材成形品200を製造する効率が著しく向上する。
【符号の説明】
【0034】
100…プリプレグ体、111…第1の離型フィルム、112…第1の繰り出しローラー、113…第1の巻き取りローラー、121…第2の離型フィルム、122…第2の繰り出しローラー、123…第2の巻き取りローラー、13…熱成形装置、200…複合材成形品、34…冷却装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグ体を加工する複合材成形品の製造方法において、
第1の離型フィルムを連続的に繰り出す工程と、
前記第1の離型フィルム上に前記プリプレグ体を所定間隔をおいて搭載する工程と、
前記第1の離型フィルムとの間に前記プリプレグ体を挟むように前記第1の離型フィルムの上方に第2の離型フィルムを連続的に繰り出す工程と、
前記第1の離型フィルムと前記第2の離型フィルムとの間に挟まれた前記プリプレグ体に対して加熱加圧成形する工程と
を含む複合材成形品の製造方法。
【請求項2】
前記加熱加圧成型する工程は、熱成型装置により行われることを特徴とする請求項1に記載の複合材成形品の製造方法。
【請求項3】
前記第1の離型フィルムを連続的に繰り出す工程は、前記第1の離型フィルムが、第1の繰り出しローラーから連続的に繰り出され、前記熱成形装置を通過して、第1の巻き取りローラーによって巻き取られることにより行われることを特徴とする請求項2に記載の複合材成形品の製造方法。
【請求項4】
前記第2の離型フィルムを連続的に繰り出す工程は、前記第2の離型フィルムが、第2の繰り出しローラーから連続的に繰り出され、前記熱成形装置を通過して、第2の巻き取りローラーによって巻き取られることにより行われることを特徴とする請求項2に記載の複合材成形品の製造方法。
【請求項5】
前記第2の離型フィルムを連続的に繰り出す工程は、前記第1の繰り出しローラーの下流側に配置された前記第2の繰り出しローラーから連続的に繰り出され、前記熱成形装置を通過して、前記第1の巻き取りローラーの上流側に配置された前記第2の巻き取りローラーによって巻き取られることにより行われることを特徴とする請求項3に記載の複合材成形品の製造方法。
【請求項6】
前記加熱加圧成形する工程は、前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムの上方に設けられた第1の金型と、前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムの下方に設けられた第2の金型と、を有する前記熱成形装置によって行われることを特徴とする請求項2に記載の複合材成形品の製造方法。
【請求項7】
前記複合材成形品の製造方法は更に、前記第1の離型フィルムと前記第2の離型フィルムとに挟まれた前記加熱加圧成形する工程を経た前記プリプレグ体を、前記熱成形装置の下流側、且つ前記第1の巻き取りローラー及び前記第2の巻き取りローラーの上流側に設けられた冷却装置によって、冷却する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の複合材成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−16939(P2012−16939A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231164(P2010−231164)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(501106263)明安國際企業股▲分▼有限公司 (12)
【Fターム(参考)】