説明

複数の孔を備えた部品の一部孔を閉塞して被覆する方法と被覆された孔の開孔方法

【課題】冷却空気孔付き部品の被覆時、被覆された冷却空気孔を再加工する際、冷却空気孔列(10)の正しい配列位置を求めることが問題となる。
【解決手段】これは、被覆工程時に少なくとも2個の冷却空気孔がマスキング材料で覆われ、冷却空気孔列(10)の配列位置がこの2個の被覆されなかった冷却空気孔(13)を基に求められることによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の孔を備えた部品の被覆時にすべての孔が閉塞されない被覆方法と閉塞された孔を開孔する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスタービンのタービン翼のような部品は複数の冷却空気孔を有している。かかる冷却空気孔は新製造時に被膜を付ける前に基材に直接設けられるか、被再加工部品に既に存在しており、後者では被膜が交換される。いずれの場合も「被覆閉塞(Coat down)」問題、即ち、被覆材料が冷却空気孔の中に侵入しその孔を不本意に閉塞するという問題がある。
【0003】
冷却空気孔を閉塞する方法はあるが、その場合、孔を完全に覆うことは、特に被覆工程中においては、常には保証されない。
【0004】
冷却空気孔から「被覆閉塞」を後で除去する場合には、冷却空気孔列の配列が所望の幾何学形状からずれているために、冷却空気孔から被覆閉塞を除去する装置において冷却空気孔列への正しいアラインメントに問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公告第1204776号明細書
【特許文献2】欧州特許第1306454号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1319729号明細書
【特許文献4】国際公開第99/67435号パンフレット
【特許文献5】国際公開第00/44949号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6024792号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0892090号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公告第0486489号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公告第0786017号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公告第0412397号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は上述の問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は特許請求の範囲の請求項1に記載の被覆方法および請求項8に記載の孔の開放方法によって解決される。即ち、請求項1によれば、少なくとも一列(10′、10″、10″′、・・・)の孔(4、13′、13″、15′、15″、・・・)を有する部品(1、120、130、155)の被覆方法であって、被覆時に少なくとも2個の孔(13′、13″、13″′、・・・)がその内部を閉塞されないように、被覆工程前に少なくとも一列(10′、10″、10″′)の少なくとも2個の孔(13′、13″、13″′・・・)で、かつ全部(15′、15″、・・・)ではない孔にマスキング材料が着けられ、部品(1、120、130、155)の被覆工程が一部孔(13′、13″、・・・)を閉塞し残りの孔(15′、15″・・・)を開けた状態で実施され、被覆工程後に前記閉塞された孔(13′、13″、・・・)からマスキング材料が除去されることを特徴とする。
また、請求項8によれば、部品(1、120、130、155)の複数の冷却空気孔列(10、10′、10″、10″′、・・・)の複数の被覆された冷却空気孔(15′、15″、・・・)を開孔する方法であて、被覆するために請求項1ないし7のいずれか1つに記載の方法が利用され、加工機械によって、被覆により閉塞された冷却空気孔(15′、15″、・・・)が再び開孔されることを特徴とする。
【0008】
有利な実施態様が従属請求項に記載されており、さらなる利点を得るために各請求項に記載の特徴事項を互いに任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】冷却空気孔列を備えた部品の概略側面図。
【図2】本発明に基づく被覆方法に対する部品の概略側面図。
【図3】本発明に基づく被覆方法に対する部品の概略側面図。
【図4】本発明に基づく被覆方法に対する部品の概略側面図。
【図5】本発明に基づく被覆方法に対する部品の概略側面図。
【図6】本発明に基づく被覆方法に対する部品の概略側面図。
【図7】ガスタービンの概略構成図。
【図8】タービン翼の斜視図。
【図9】燃焼器の概略斜視図。
【図10】超合金の組成表。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。これらの図と説明は単に本発明の実施例を示したものにすぎない。
【0011】
図1に、孔の例として1つの冷却空気孔列すなわち孔列10に複数の冷却空気孔4(図1参照)、13′、13″、・・・、15′、15″(図2〜図4参照)を有する部品1、120、130、155が示されている。その部品120、130、155は複数のかかる冷却空気孔列10′、10″、10″′を有することもある(図5参照)。冷却空気孔列は直線(図1参照)ないし僅かな屈曲直線(図5参照)に沿って延び、ないしは非湾曲形状(図示せず)を有している。
【0012】
部品1はここでは例えばガスタービン100のタービン翼120、130(図7参照)であり、その基礎材料(基材)は超合金特にニッケル基超合金(図10参照)である。部品120、130の翼形部(羽根部)406は少なくとも一列(10、10′、10″、・・・)の冷却空気孔(4、13′、13″、15′、15″)を有している。図1には一列の冷却空気孔列10しか示されていないが、これに限定されない。
【0013】
冷却空気孔列10の複数の冷却空気孔4は線7の上に位置し、特に翼後縁412あるいは翼前縁409に対して所定間隔を有する直線7の上に位置するか、あるいはこれらの孔4は相互に所定の配列を構成している。部品1、120、130、155に冷却空気孔列10を形成するように孔4をあける際、破線で図示した縁線412と孔列線7との相対位置が不本意にずれてしまうことがある。これは許容され、部品120、130の最初の採用に何ら制限を加えない。
【0014】
しかし新たに被覆する時あるいは補修時のように冷却空気孔4から材料が除去されねばならないとき、その加工装置特にレーザ装置は縁線412および孔列線7の理想的な配列を目標とする。
【0015】
理想的な配列と実際の配列が一致しないことがあるので、実際の状態を考慮すべく加工装置は新たにプログラミングされねばならない。これは被覆工程前に冷却空気孔4の冷却空気孔列10の少なくとも2個の冷却空気孔13′、13″、・・・がマスキングされ閉塞されることによって行われる。これは従来知られているような種々の方式で行うことができる。その場合、好適には50%までの冷却空気孔が、特に40%までの冷却空気孔が閉塞される。
【0016】
そして基材の被覆が行われる。これは金属結合層(特にMCrAlY層)であり、あるいは金属結合層とその上のセラミック層であるか、一層、二層又は多層のセラミック層とすることができる。
【0017】
一層設けられるかあるいは二層設けられるかに無関係に、閉塞されていない冷却空気孔15′、15″が被覆され、少なくとも部分閉塞されるかあるいは完全閉塞される。これらの孔15′、15″内における被覆材料は被覆工程後に除去されねばならない。一方で予め閉塞されていた冷却空気孔13′、13″はその孔内に被覆材料は存在せず、後加工する必要はない。
【0018】
被覆閉塞された冷却空気孔15′、15″、・・・の後加工前に、冷却空気孔13′、13″からマスキング材料が取り除かれ、特に手作業で開孔される。そして被覆されなかった複数の冷却孔によって仮想の孔列直線7が描かれる。加工装置(図示せず)は閉塞されていない孔13′、13″を認識し、冷却空気孔13′、13″′間を通る孔列線7に照準を合わせ、これにより、加工装置特にレーザ装置は冷却空気孔10の孔列線7が、縁線412とは無関係に、どのように与えられているかを認識する。
【0019】
従って、孔列線7あるいは既知形状(長さ、湾曲角)の孔列線が形成されるようにするために、常に少なくとも2個の冷却空気孔13′、13″が閉塞され再び開孔されねばならない。どの冷却空気孔が閉塞されるかは重要でない。これは上部冷却空気孔と中間部冷却空気孔又は最上部冷却空気孔と最下部冷却空気孔とすることができ(図4参照)、あるいは2個の中間部冷却空気孔とすることができる(図3参照)。これは好適には最上部孔と最下部孔である(図6参照)。
【0020】
好適には少なくとも2個の閉塞された冷却空気孔13′、13″間に少なくとも1個の冷却空気孔15′、15″が存在し、特に少なくとも複数の閉塞されていない冷却空気孔15′、15″が存在しているのが好ましい。
【0021】
あるいはまた互いに並んで位置する2個の冷却空気孔13′、13″を閉塞することもでき、その場合、孔列線10に沿って複数の閉塞されない冷却空気孔15′、15″が続き、それに被覆工程前に閉塞された1個あるいは2個のマスキングされた冷却空気孔13′、13″が続いている。
【0022】
図5は本発明の異なった実施例を示している。ここでは冷却空気孔列10は複数の冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′から成り、これらの冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′は翼前縁409に対して互いに異なった配列を構成し、あるいは1つの直線上に位置し、そのディフューザ形状に関し異なった特性を有している(各冷却空気孔列区分域は1つの冷却空気孔列に相当する)。即ち、冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′は例えば好適には直線10の上に存在し、それぞれの冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′における冷却空気孔が異なった大きさを有するか、あるいは作動媒体流れ方向19又は翼形部406の長手軸線22に対して異なった向き/ディフューザ形状を有する。被覆準備に対して図2、図3、図4又は図6に相当した処置が講じられ、即ち、ここでは各冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′に対して図2、図3、図4又は図6における閉塞孔/非閉塞孔パターンおよび孔仕様が利用され、即ち、各冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′の少なくとも2個の冷却空気孔13′、13″が閉塞され、被覆工程後に開孔される。各冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′の内部における冷却空気孔4が一様であると好適である。これらの冷却空気孔列区分域10′、10″、10″′はいわば1つの冷却空気孔列となっている。
【0023】
図7は例としてガスタービン100を縦断面図で示している。ガスタービン100は内部に回転軸線102を中心に回転可能に支持されたロータ103を有し、このロータ103はタービンロータとも呼ばれる。ロータ103に沿って順々に、吸込み室104、圧縮機105、例えばトーラス状の燃焼器特に同軸的に配置された複数のバーナ107を備えた環状燃焼器110、タービン装置108および排気室109が続いている。
【0024】
環状燃焼器110は例えば環状の燃焼ガス路111に連通している。そこで例えば直列接続された4つのタービン段112がタービン装置108を形成している。各タービン段112は2つの翼輪(翼列)で形成されている。作動媒体113の流れ方向に見て、燃焼ガス路111内において各静翼列115に続いて、多数の動翼120から成る翼列125が続いている。
【0025】
静翼130はステータ143の内部車室138に固定され、これに対して、翼列125の動翼120は例えばタービン円板133によってロータ103に設けられている。ロータ103に発電機あるいは作業機械(図示せず)が連結されている。
【0026】
ガスタービン100の運転中に圧縮機105によって吸込み室104を通して空気が吸い込まれて圧縮される。圧縮機105のタービン側端に導かれた圧縮空気はバーナ107に送られ、そこで燃料と混合される。その混合気は燃焼器110で燃焼されて作動媒体113を発生する。この作動媒体113はそこから燃焼ガス路111に沿って静翼130および動翼120を洗流して流れる。作動媒体113は膨張して動翼120に衝撃を伝達し、これによって、動翼120がロータ103を駆動し、これに連結された作業機械を駆動する。
【0027】
ガスタービン100の運転中に高温作動媒体113に曝される部品は熱負荷を受ける。環状燃焼器110に内張りされた遮熱要素のほかに、作動媒体113の流れ方向に見て最初のタービン段112の静翼130と動翼120が、環状燃焼器110を覆う熱遮蔽要素と共に、最も強く熱負荷される。そこで生ずる高温に耐えるために、それらの遮熱要素は冷却材によって冷却することができる。
【0028】
また部品の基材は方向性凝固構造を有し、即ち、単結晶粒構造(SX構造)あるいは柱状結晶粒構造(DS構造)を有することができる。部品特にタービン翼120、130の材料としておよび燃焼器110の部品の材料として例えば鉄基、ニッケル基あるいはコバルト基超合金が利用される。かかる超合金は例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5で知られている。
【0029】
静翼130は、タービン装置108の内部車室138の側の静翼脚(図示せず)と、この静翼脚とは反対の側の静翼頭部とを有している。この静翼頭部はロータ103の側に面し、ステータ143の取付け輪140に固定されている。
【0030】
図8は流体機械の動翼120あるいは静翼130を斜視図で示し、これらの翼120、130は長手軸線121に沿って延びている。
【0031】
その流体機械は航空機や発電所のガスタービン、蒸気タービン、あるいは圧縮機である。
【0032】
翼120、130は長手軸線121に沿って順々に、取付け部400とこれに続く翼台座403と翼形部406と翼先端415とを有している。翼130は静翼130としてその先端415にもう1つの翼台座(図示せず)を有することもある。
【0033】
ロータ軸あるいはタービン円板(図示せず)に動翼120を取り付けるための翼脚183が取付け部400に形成されている。
【0034】
翼脚183は例えば断面ハンマ状に形成されている。断面クリスマスツリー状脚あるいはダブテール状脚として形成することもできる。翼120、130は、翼形部406を洗流する媒体に対して、翼前縁409と翼後縁412を有している。
【0035】
通常の翼120、130の場合、翼120、130の全部位400、403、406に例えば中実の金属材料、特に超合金が利用されている。かかる合金は例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5で知られている。この場合、翼120、130は、方向性凝固による鋳造法、鍛造法、切削加工法あるいはそれらの組合せで製造される。
【0036】
運転中に大きな機械的、熱的および/又は化学的負荷を受ける機械における部品として、1つあるいは複数の単結晶構造の部材が利用される。かかる単結晶構造の部材の製造は、例えば溶融物からの方向性凝固によって行われる。それは、液状金属合金が単結晶構造の形に、即ち、単結晶部材に凝固されるか方向性凝固される鋳造法である。そのデンドライト結晶(樹状晶)は、熱流束に沿って方向づけられ、柱状結晶粒構造(柱状構造(Columnar)、即ち、部材の全長にわたって延び、ここでは一般的に方向性凝固と呼ばれる結晶粒)を形成するか、あるいは単結晶構造を形成し、即ち、部材全体が単結晶から成っている。この方法において、無指向性成長によって必然的に方向性凝固部品あるいは単結晶部品の良好な特性を損なう横方向粒界と縦方向粒界が生ずるので、球状(多角結晶)凝固への移行は避けねばならない。従って、一般に方向性凝固構造というとき、それは、粒界が存在しないかたかだか小角粒界(Kleinwinkelkorngrenzen)しか存在しない単結晶と、縦方向に延びる粒界が存在するが横方向に延びる粒界が存在しない柱状結晶粒構造とを意味する。後者の結晶構造の場合、方向性凝固構造(directionally solidified structures)とも呼ばれる。かかる方法は特許文献6および特許文献7で知られている。
【0037】
同様に翼120、130は防食被覆あるいは酸化防止被覆例えばMCrAlX層(ここで、Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群における少なくとも1つの元素、Xは活性元素でありイットリウム(Y)および/又は珪素および/又は少なくとも1つの希土類元素ないしハフニウム(Hf)である)を有している。かかる合金は、それら合金の化学組成について開示する特許文献8、特許文献9、特許文献10あるいは特許文献2で知られている。その密度は好適には理論密度の95%である。MCrAlX層の上に(中間層あるいは最外層として)防護用の酸化アルミニウム層(TGO=熱成長酸化物層)が形成されている。
【0038】
その層組成は好適にはCo−30Ni−28Cr−8Al−0.6Y−0.7Si又は
Co−28Ni−24Cr−10Al−0.6Yを有している。またこのコバルト基保護被覆のほかに、好適にはNi−10Cr−12Al−0.6Y−3ReやNi−12Co−21Cr−11Al−0.4Y−2ReやNi−25Co−17Cr−10Al−0.4Y−1.5Reのようなニッケル基保護層も利用される。
【0039】
MCrAlX層の上に断熱層を形成することもでき、これは好適には最外層であり、例えばZrO2、Y23−ZrO2から成り、即ち、酸化イットリウムおよび/又は酸化カルシウムおよび/又は酸化マグネシウムにより、部分的にも全体的にも安定化されていない。この断熱層はMCrAlX層全体を覆っている。例えば電子ビーム蒸着法(EB−PVD)のような適切な被覆方法によって、断熱層内に柱状粒子が発生される。他の被覆方法も考えられ、例えば気中プラズマ溶射(APS)、LPPS(低圧プラズマ溶射)、VPS(真空プラズマ溶射)あるいはCVD(化学気相蒸着法)が考えられる。この断熱層は良好な熱衝撃強度のために多孔性、ミクロ割れ性あるいはマクロ割れ性の結晶粒を有する。即ち、その断熱層は好適にはMCrAlX層より多孔性を有する。
【0040】
翼120、130は空洞あるいは中実に形成することができる。翼120、130はこれが冷却されるようにするとき空洞とされ、場合によっては複数の膜冷却用孔418(破線で図示)を有する。
【0041】
図9はガスタービン100の燃焼器110を示している。燃焼器110は例えばいわゆる環状燃焼器として形成され、回転軸線102を中心として円周方向に分布して複数のバーナ107が火炎を発生する共通燃焼室に連通している。そのために燃焼器110は全体として回転軸線102の周りに位置された環状構造物として形成されている。
【0042】
高い効率を得るために、燃焼器110は作動媒体の例えば1000℃〜1600℃の非常に高い温度に対して設計されている。材料に対して不利なこの運転パラメータにおいても長い寿命を可能とするために、燃焼器壁153はその作動媒体の側の面に遮熱要素155で形成された内張りが設けられている。
【0043】
また燃焼器110の内部における高温のために、遮熱要素155ないしその保持要素に対して冷却系を設けることができる。その場合、遮熱要素155は例えば空洞にされ、場合によっては燃焼室に開口する冷却孔(図示せず)も有する。
【0044】
合金から成る各遮熱要素155はその作動媒体側が特別な耐熱保護層(MCrAlX層および/又はセラミック被膜)で形成され、あるいは耐熱性材料(中実セラミック)で作られている。この保護層はタービン翼に類似し、即ち、例えばMCrAlX層である。ここで、Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群における少なくとも1つの元素、Xは活性元素でありイットリウム(Y)および/又は珪素および/又は少なくとも1つの希土類元素ないしハフニウム(Hf)である。かかる合金は、それらの合金の組成について開示する特許文献8、特許文献9、特許文献10あるいは特許文献2で知られている。
【0045】
MCrAlX層の上に例えばセラミック断熱層も存在し、これは例えばZrO2、Y23−ZrO2から成り、即ち、酸化イットリウムおよび/又は酸化カルシウムおよび/又は酸化マグネシウムにより、部分的にも全体的にも安定化されていない。例えば電子ビーム蒸着法(EB−PVD)のような適切な被覆方法によって、断熱層内に柱状粒子が発生されている。他の被覆方法も考えられ、例えばエアプラズマ溶射(APS)、LPPS(低圧プラズマ溶射)、VPS(真空プラズマ溶射)あるいはCVD(化学気相蒸着法)が考えられる。この断熱層は良好な熱衝撃強度のために多孔性、ミクロ割れ性あるいはマクロ割れ性の結晶粒を有している。
【0046】
再生処理(補修)は、タービン翼120、130および遮熱要素155がその使用後に場合によっては保護層を(例えばサンドブラストで)除去されねばならないことを意味する。その後、腐食層および/又は酸化層ないし酸化生成物が除去される。場合によってはタービン翼120、130あるいは遮熱要素155のクラック(割れ)も補修される。その後、タービン翼120、130および遮熱要素155の再被覆が行われ、そのタービン翼120、130および遮熱要素155が再利用される。
【符号の説明】
【0047】
1、120、130、155:部品
4、13′、13″、15′、15″、・・・:孔
10、10′、10″、10″′、・・・:孔列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一列(10′、10″、10″′、・・・)の孔(4、13′、13″、15′、15″、・・・)を有する部品(1、120、130、155)の被覆方法であって、被覆時に少なくとも2個の孔(13′、13″、13″′、・・・)がその内部を閉塞されないように、被覆工程前に少なくとも一列(10′、10″、10″′)の少なくとも2個の孔(13′、13″、13″′・・・)で、かつ全部(15′、15″、・・・)ではない孔にマスキング材料が着けられ、部品(1、120、130、155)の被覆工程が一部孔(13′、13″、・・・)を閉塞し残りの孔(15′、15″・・・)を開けた状態で実施され、被覆工程後に前記閉塞された孔(13′、13″、・・・)からマスキング材料が除去されることを特徴とする部品(1、120、130、155)の被覆方法。
【請求項2】
前記孔(13′、13″、13″′)が冷却空気孔であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスキングされた部品(1、120、130、155)の孔列(10′、10″、10″′、・・・)において、マスキングされた複数の冷却空気孔(13′、13″)間に少なくとも1個の閉塞されていな冷却空気孔(15′、15″、・・・)が存在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記被覆工程前に少なくとも3個の冷却空気孔(13′、13″)がマスキングされ、その場合、マスキングされた冷却空気孔(13′、13″、13″′)が直接並んで位置し、その孔列(10′、10″、10″′、・・・)においてマスキングされた他の複数の冷却空気孔(13′、13″、13″′)間に少なくとも1個の閉塞されていない冷却空気孔(15′、15″、・・・)が位置していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも50%までの冷却空気孔が、閉塞されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
孔列(10、10′、10″、10″′、・・・)の最上部孔および最下部孔が閉塞されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
孔列(10、10′、10″、10″′、・・・)の複数の冷却空気孔(13′、13″、13″′)が異なって形成され、あるいは孔列(10)が複数の区分域(10′、10″、10″′)に分けられ、それらの区分域(10′、10″、10″′)の冷却空気孔(13′、13″、13″′)の配列が異なり、各区分域(10′、10″、10″′)において少なくとも2個の冷却空気孔(13′、13″、13″′)が閉塞されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
部品(1、120、130、155)の複数の冷却空気孔列(10、10′、10″、10″′、・・・)の複数の被覆された冷却空気孔(15′、15″、・・・)を開孔する方法であて、被覆するために請求項1ないし7のいずれか1つに記載の方法が利用され、加工機械によって、被覆により閉塞された冷却空気孔(15′、15″、・・・)が再び開孔されることを特徴とする部品(1、120、130、155)の冷却孔列(10′、10″、10″′、・・・)における冷却空気孔(15′、15″、・・・)の開孔方法。
【請求項9】
列(10′、10″、10″′、・・・)に配置された冷却空気孔(13′、13″、・・・15′、15″、・・・)の実際の配置位置(7)を求めるために、孔列(10′、10″、10″′、・・・)の被覆工程時に被覆されなかった冷却空気孔(13′、13″、13″′)が、被覆された冷却空気孔(15′、15″)の位置を求めるために利用されることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−106448(P2011−106448A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248659(P2010−248659)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】