説明

複素環の重水素化方法

重水素化された溶媒中、活性化された、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒より選ばれる触媒の存在下、複素環を有する化合物を密封還流下に置くことを特徴とする、複素環の重水素化方法を開示する。本発明の方法によれば、重水素化反応温度を、溶媒の沸点より高い温度に保つことが出来るため、複素環を有する化合物の複素環の水素原子を、非常に効率よく重水素化することが可能となる。 また、本発明の重水素化方法は、超臨界条件或いは酸性条件で分解するような種々の複素環を有する化合物等の重水素化にも広く利用でき、複素環を有する化合物を工業的且つ効率的に重水素化し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、活性化された触媒を用いて行われる複素環の重水素化方法に関する。
【背景技術】
重水素化(ジュウテリウム化及びトリチウム化)された化合物は、種々の目的に有用であるとされている。例えば、ジュウテリウム化された化合物は、反応機構及び物質代謝などの解明に非常に有用であり、標識化合物として広く利用されており、更に該化合物は、その同位体効果によって化合物自体の安定性や性質が変化することから、医薬品、農薬品、有機EL材料等としても有用であるとされている。また、トリチウム化された化合物は、医薬品等の吸収、分布、血中濃度、排泄、代謝等を動物実験等で調査する際の標識化合物として有用であるとされている。そのため、近年、これらの分野に於いても重水素化(ジュウテリウム化及びトリチウム化)された化合物を用いた研究が盛んに行われている。
従来、このような重水素化された化合物を得るために様々な方法が用いられているが、中でも複素環を重水素化する技術は未だ問題が多く、重水素化された複素環を有する化合物を効率的且つ工業的に得ることは困難であった。
従来の技術としては、例えば、重水、重塩酸及びメルカプト酢酸を用いて複素環を有する化合物を重水素化する方法(Tetrahedron Letters 43(2002)2389−2392)、超臨界重水及び重水素化アニオンを使用し、超臨界条件下で複素環を有する化合物を重水素化する方法(Chemical Society Reviews,1997,volume26 401−406)、予め水素ガスで還元したパラジウム触媒を用い、100℃で複素環を有する化合物を重水素化する方法(Chem.Commun.,2001,367−368)等が挙げられる。
しかしながら、反応系に酸を添加する方法では、酸性条件下で分解するような複素環を有する化合物の重水素化は不可能であり、たとえ酸性条件下で分解しない化合物を基質として使用した場合でも、反応液の液性が中性ではないため、該方法によって重水素化された化合物を単離するためには、煩雑な精製操作が必要になるという問題点を有している。
また、超臨界重水を用いる方法では、超臨界水の反応性が非常に高いことから反応基質となる化合物が分解され易く、反応自体も超臨界条件という過酷な条件下で行う必要があるという問題点を有している。
更に、予め水素ガスにより還元されたパラジウム触媒及び重水を用い、100℃で重水素化反応を行う方法では、水素ガスにより還元したパラジウム触媒は重水素化反応に使用する前に繰り返し凍結脱気(freeze−pump)するという煩雑な操作が必要であった。
上記した如き状況から、置換基の有無や種類に拘わらず、効率的且つ工業的に複素環を有する化合物を重水素化する方法の開発が望まれている。
【発明の開示】
本発明は、重水素化された溶媒中、活性化された、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒より選ばれる触媒の存在下、複素環を有する化合物を密封還流下に置くことを特徴とする、複素環の重水素化方法の発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に於いて、重水素とはジュウテリウム(D)又はトリチウム(T)のことを意味し、重水素化とはジュウテリウム化及びトリチウム化のことを意味する。また、本明細書に於いては、複素環を有する化合物が有する水素原子のうちの重水素原子に置換された比率を重水素化率とする。
本発明の重水素化方法に於いて重水素化される複素環を有する化合物としては、ヘテロ原子が1個以上、好ましくは1〜3個含む複素環を有し、且つ該複素環上に水素原子が1つ以上存在しているものが挙げられる。
複素環が有するヘテロ原子としては、通常、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、中でも窒素原子が好ましい。
上記した如き複素環としては、芳香族性を有していてもよい通常3〜20員、好ましくは3〜14員、より好ましくは5〜10員の単環式複素環又は多環式複素環が挙げられ、単環式複素環の場合には更に5〜6員のものが好ましく、多環式複素環の場合には、更に9〜10員、特に9員のものが好ましく、それらは鎖状、分枝状或いは環状に環が縮合して、それらが平面構造をとっていても或いは立体構造をとっていてもよい。
また、該複素環は、通常1〜5個、好ましくは1〜2個、より好ましくは1個の置換基を有していてもよい。
単環式複素環としては、例えばオキシラン環、アジリジン環等のヘテロ原子1つを有する3員複素環、例えばフラン環,チオフェン環,ピロール環,2H−ピロール環,ピロリン環,2−ピロリン環,ピロリジン環等のヘテロ原子を1つ有する5員複素環、例えば1,3−ジオキソラン環,オキサゾール環,イソオキサゾール環,1,3−オキサゾール環,チアゾール環,イソチアゾール環,1,3−チアゾール環,イミダゾール環,イミダゾリン環,2−イミダゾリン環,イミダゾリジン環,ピラゾール環,ピラゾリン環,3−ピラゾリン環,ピラゾリジン環等のヘテロ原子を2つ有する5員複素環、例えばフラザン環,トリアゾール環,チアジアゾール環,オキサジアゾール環等のヘテロ原子を3つ有する5員複素環、例えばピラン環,2H−ピラン環,ピリジン環,ピペリジン環等のヘテロ原子を1つ有する6員複素環、例えばチオピラン環,ピリダジン環,ピリミジン環,ピラジン環,ピペラジン環,モルホリン環等のヘテロ原子を2つ有する6員複素環、1,2,4−トリアジン環等のヘテロ原子を3つ有する6員複素環等が挙げられる。
多環式複素環としては、2〜3個の単環式複素環同士が縮合したもの或いは単環式複素環と例えばベンゼン環,ナフタレン環等の芳香族環1〜2個が縮合して成る、二環系複素環、三環系複素環等が挙げられる。
二環系複素環としては、例えばベンゾフラン環,イソベンゾフラン環,1−ベンゾチオフェン環,2−ベンゾチオフェン環,インドール環,3−インドール環,イソインドール環,インドリジン環,インドリン環,イソインドリン環,2H−クロメン環,クロマン環,イソクロマン環,1H−2−ベンゾピラン環,キノリン環,イソキノリン環,4H−キノリジン環等のヘテロ原子を1つ有する複素環、例えばベンゾイミダゾール環,ベンゾチアゾール環,1H−インダゾール環,1,8−ナフチリジン環,キノキサリン環,キナゾリン環,キナゾリジン環,シンノリン環,フタラジン環等のヘテロ原子を2つ有する複素環、例えばプリン環,プテリジン環等のヘテロ原子を4つ有する複素環等が挙げられる。
三環系複素環としては、例えばカルバゾール環,4aH−カルバゾール環,キサンテン環,フェナントリジン環,アクリジン環等のヘテロ原子を1つ有する複素環、例えばβ−カルボリン環,ペリミジン環,1,7−フェナントロリン環,1,10−フェナントロリン環,チアントレン環,フェノキサチイン環,フェノキサジン環,フェノチアジン環,フェナジン環等のヘテロ原子を2つ有する複素環等が挙げられる。
上記した如き複素環が有していてもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、オキソ基、チオキソ基、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ホスフィノ基、ホスフィノイル基、ホルミル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等、例えば更に置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルホスフィノ基、アリールホスフィノ基、アルキルホスフィノイル基、アリールホスフィノイル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロウンデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロイコシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、上記アルキル基のうち炭素数が2以上のものの鎖中に炭素−炭素二重結合が1つ以上含まれている、通常炭素数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1,3−ペンタジエニル基、2,4−ペンタジエニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1−メチル−1−ブテニル基、5−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−ヘキセニル基、1−メチル−1−ヘキセニル基、2−メチル−2−ヘキセニル基、3−メチル−1,3−ヘキサジエニル基、1−ヘプテニル基、2−オクテニル基、3−ノネニル基、4−デセニル基、1−ドデセニル基、1−テトラデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−オクタデセニル基、1−イコセニル基、1−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、2,4−シクロペンタジエニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、2−シクロヘプテニル基、2−シクロノネニル基、3−シクロデセニル基、2−シクロトリデセニル基、1−シクロヘキサデセニル基、1−シクロオクタデセニル基、1−シクロイコセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、通常炭素数6〜14、好ましくは6〜10のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、上記アルキル基に上記アリール基が置換した通常炭素数7〜34、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、フェニルノニル基、フェニルデシル基、フェニルドデシル基、フェニルウンデシル基、フェニルトリデシル基、フェニルテトラデシル基、フェニルペンタデシル基、フェニルヘキサデシル基、フェニルヘプタデシル基、フェニルオクタデシル基、フェニルノナデシル基、フェニルイコシル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基、ナフチルペンチル基、ナフチルヘキシル基、ナフチルヘプチル基、ナフチルオクチル基、ナフチルノニル基、ナフチルデシル基、ナフチルドデシル基、ナフチルウンデシル基、ナフチルトリデシル基、ナフチルテトラデシル基、ナフチルペンタデシル基、ナフチルヘキサデシル基、ナフチルヘプタデシル基、ナフチルオクタデシル基、ナフチルノナデシル基、ナフチルイコシル基、アントリルエチル基、アントリルプロピル基、アントリルブチル基、アントリルペンチル基、アントリルヘキシル基、アントリルヘプチル基、アントリルオクチル基、アントリルノニル基、アントリルデシル基、アントリルドデシル基、アントリルウンデシル基、アントリルトリデシル基、アントリルテトラデシル基、アントリルペンタデシル基、アントリルヘキサデシル基、アントリルヘプタデシル基、アントリルオクタデシル基、アントリルノナデシル基、アントリルイコシル基、フェナントリルエチル基、フェナントリルプロピル基、フェナントリルブチル基、フェナントリルペンチル基、フェナントリルヘキシル基、フェナントリルヘプチル基、フェナントリルオクチル基、フェナントリルノニル基、フェナントリルデシル基、フェナントリルドデシル基、フェナントリルウンデシル基、フェナントリルトリデシル基、フェナントリルテトラデシル基、フェナントリルペンタデシル基、フェナントリルヘキサデシル基、フェナントリルヘプタデシル基、フェナントリルオクタデシル基、フェナントリルノナデシル基、フェナントリルイコシル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロデシルオキシ基、シクロノナデシルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、通常炭素数6〜14、好ましくは6〜10のものが挙げられ、具体的には、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、上記アルコキシ基の酸素原子が硫黄原子に置き換わった、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基、イコシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロデシルチオ基、シクロヘプタデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、上記アルキルチオ基のアルキル基部分が上記アリール基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントリルチオ基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、tert−ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ノニルスルホニル基、デシルスルホニル基、ウンデシルスルホニル基、テトラデシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、ヘプタデシルスルホニル基、ノナデシルスルホニル基、イコシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、シクロオクチルスルホニル基、シクロデシルスルホニル基、シクロノナデシルスルホニル基等が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、通常炭素数6〜14、好ましくは6〜10のものが挙げられ、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、アントリルスルホニル基等が挙げられる。
アルキルスルフィニル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、イソヘキシルスルフィニル基、tert−ヘキシルスルフィニル基、ヘプチルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、ノニルスルフィニル基、デシルスルフィニル基、ウンデシルスルフィニル基、テトラデシルスルフィニル基、ヘキサデシルスルフィニル基、ヘプタデシルスルフィニル基、ノナデシルスルフィニル基、イコシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、シクロオクチルスルフィニル基、シクロデシルスルフィニル基、シクロノナデシルスルフィニル基等が挙げられる。
アリールスルフィニル基としては、上記アルキルスルフィニル基のアルキル基部分が上記アリール基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、アントリルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキルホスフィノ基としては、ホスフィノ基の水素原子の1つ又は2つが独立して上記した如きアルキル基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばメチルホスフィノ基、エチルホスフィノ基、n−プロピルホスフィノ基、イソプロピルホスフィノ基、n−ブチルホスフィノ基、イソブチルホスフィノ基、tert−ブチルホスフィノ基、ペンチルホスフィノ基、ヘキシルホスフィノ基、ヘプチルホスフィノ基、オクチルホスフィノ基、ノニルホスフィノ基、デシルホスフィノ基、ドデシルホスフィノ基、テトラデシルホスフィノ基、ペンタデシルホスフィノ基、ヘキサデシルホスフィノ基、ヘプタデシルホスフィノ基、ノナデシルホスフィノ基、イコシルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロヘキシルホスフィノ基、シクロヘプチルホスフィノ基、ジメチルホスフィノ基、エチルメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、メチルプロピルホスフィノ基、ジプロピルホスフィノ基、エチルヘキシルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基、ヘプチルメチルホスフィノ基、メチルオクチルホスフィノ基、デシルメチルホスフィノ基、ドデシルエチルホスフィノ基、メチルペンタデシルホスフィノ基、エチルオクタデシルホスフィノ基、シクロペンチルメチルホスフィノ基、シクロヘキシルメチルホスフィノ基、シクロヘキシルエチルホスフィノ基、シクロヘキシルプロピルホスフィノ基、シクロヘキシルブチルホスフィノ基、ジシクロヘキシルホスフィノ基等が挙げられる。
アリールホスフィノ基としては、ホスフィノ基の水素原子の1つ又は2つが上記した如きアリール基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、ナフチルホスフィノ基、アントリルホスフィノ基等が挙げられる。
アルキルホスフィノイル基としては、ホスフィノイル基の水素原子の1つ又は2つが独立して上記した如きアルキル基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばメチルホスフィノイル基、エチルホスフィノイル基、n−プロピルホスフィノイル基、イソプロピルホスフィノイル基、n−ブチルホスフィノイル基、イソブチルホスフィノイル基、tert−ブチルホスフィノイル基、ペンチルホスフィノイル基、ヘキシルホスフィノイル基、ヘプチルホスフィノイル基、オクチルホスフィノイル基、ノニルホスフィノイル基、デシルホスフィノイル基、ドデシルホスフィノイル基、テトラデシルホスフィノイル基、ペンタデシルホスフィノイル基、ヘキサデシルホスフィノイル基、ヘプタデシルホスフィノイル基、ノナデシルホスフィノイル基、イコシルホスフィノイル基、シクロペンチルホスフィノイル基、シクロヘキシルホスフィノイル基、シクロヘプチルホスフィノイル基、ジメチルホスフィノイル基、エチルメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、メチルプロピルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、エチルヘキシルホスフィノイル基、ジブチルホスフィノイル基、ヘプチルメチルホスフィノイル基、メチルオクチルホスフィノイル基、デシルメチルホスフィノイル基、ドデシルエチルホスフィノイル基、メチルペンタデシルホスフィノイル基、エチルオクタデシルホスフィノイル基、シクロペンチルメチルホスフィノイル基、シクロヘキシルメチルホスフィノイル基、シクロヘキシルエチルホスフィノイル基、シクロヘキシルプロピルホスフィノイル基、シクロヘキシルブチルホスフィノイル基、ジシクロヘキシルホスフィノイル基等が挙げられる。
アリールホスフィノイル基としては、ホスフィノイル基の水素原子の1つ又は2つが上記した如きアリール基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ナフチルホスフィノイル基、アントリルホスフィノイル基等が挙げられる。
アルキルアミノ基としては、アミノ基の水素原子の1つ又は2つが夫々独立して上記した如きアルキル基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、テトラデシルアミノ基、ペンタデシルアミノ基、ヘキサデシルアミノ基、ヘプタデシルアミノ基、ノナデシルアミノ基、イコシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、ジブチルアミノ基、ヘプチルメチルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、デシルメチルアミノ基、ドデシルエチルアミノ基、メチルペンタデシルアミノ基、エチルオクタデシルアミノ基、シクロペンチルメチルアミノ基、シクロヘキシルメチルアミノ基、シクロヘキシルエチルアミノ基、シクロヘキシルプロピルアミノ基、シクロヘキシルブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。
アリールアミノ基としては、アミノ基の水素原子の1つ又は2つが上記した如きアリール基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アントリルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、上記アルコキシ基の酸素原子に更にカルボニル基が結合した、通常炭素数2〜21、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、シクロヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、シクロデシルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、テトラデシルオキシカルボニル基、ヘプタデシルオキシカルボニル基、シクロヘプタデシルオキシカルボニル基、ノナデシルオキシカルボニル基、イコシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、シクロヘプタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、通常炭素数7〜15、好ましくは7〜11のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、アントリルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシスルホニル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、上記アルコキシ基の酸素原子に更にスルホニル基が結合した、通常炭素数2〜21、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、n−プロピルオキシスルホニル基、n−ブトキシスルホニル基、tert−ブトキシスルホニル基、ペンチルオキシスルホニル基、sec−ペンチルオキシスルホニル基、ネオペンチルオキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基、シクロヘキシルオキシスルホニル基、ヘプチルオキシスルホニル基、シクロヘプチルオキシスルホニル基、オクチルオキシスルホニル基、ノニルオキシスルホニル基、デシルオキシスルホニル基、シクロデシルオキシスルホニル基、ウンデシルオキシスルホニル基、テトラデシルオキシスルホニル基、ヘプタデシルオキシスルホニル基、シクロヘプタデシルオキシスルホニル基、ノナデシルオキシスルホニル基、イコシルオキシスルホニル基、シクロペンチルオキシスルホニル基、シクロヘキシルオキシスルホニル基、シクロオクチルオキシスルホニル基、シクロヘプタデシルオキシスルホニル基等が挙げられる。
アリールオキシスルホニル基としては、通常炭素数7〜15、好ましくは7〜11のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルオキシスルホニル基、ナフチルオキシスルホニル基、アントリルオキシスルホニル基等が挙げられる。
アシル基としては、カルボン酸由来或いはスルホン酸由来のものが挙げられ、カルボン酸由来のアシル基としては、脂肪族カルボン酸由来及び芳香族カルボン酸由来のものが挙げられ、スルホン酸由来のアシル基としては、脂肪族スルホン酸由来及び芳香族カルボン酸由来のものが挙げられる。
脂肪族カルボン酸由来のアシル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、また更に鎖中に二重結合を有していてもよく、通常炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イコサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基等が挙げられ、芳香族カルボン酸由来のアシル基としては、通常炭素数7〜15、好ましくは7〜11のものが挙げられ、具体的には、例えばベンゾイル基、ナフトイル基、アントイル基等が挙げられる。
また、脂肪族スルホン酸由来のアシル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基、トリデシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、イコシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、シクロデシルスルホニル基等が挙げられ、芳香族スルホン酸由来のアシル基としては、通常炭素数6〜14、好ましくは6〜10のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、アントリルスルホニル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、上記した如きカルボン酸由来のアシル基に−O−が結合したカルボン酸由来のアシルオキシ基及び上記した如きスルホン酸由来のアシル基に−O−が結合したスルホン酸由来のアシルオキシ基が挙げられる。カルボン酸由来のアシルオキシ基としては、脂肪族カルボン酸由来及び芳香族カルボン酸由来のアシルオキシ基が挙げられ、スルホン酸由来のアシルオキシ基としては、脂肪族スルホン酸由来及び芳香族スルホン酸由来のアシルオキシ基が挙げられる。
脂肪族カルボン酸由来のアシルオキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、また更に鎖中に二重結合を有していてもよく、通常炭素数2〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、イコサノイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、シクロヘキサノイルオキシ基、シクロデカノイルオキシ基等が挙げられ、芳香族カルボン酸由来のアシルオキシ基としては、通常炭素数7〜15、好ましくは7〜11のものが挙げられ、具体的には、例えばベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、アントイルオキシ基等が挙げられる。
また、脂肪族スルホン酸由来のアシルオキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n−プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、n−ブチルスルホニルオキシ基、イソブチルスルホニルオキシ基、tert−ブチルスルホニルオキシ基、n−ペンチルスルホニルオキシ基、n−ヘキシルスルホニルオキシ基、ヘプチルスルホニルオキシ基、オクチルスルホニルオキシ基、デシルスルホニルオキシ基、トリデシルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、イコシルスルホニルオキシ基、シクロペンチルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基等が挙げられ、芳香族スルホン酸由来のアシルオキシ基としては、通常炭素数6〜14、好ましくは6〜10のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基、アントリルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも塩素が好ましい。
また、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ホスフィノ基及びホスフィノイル基としては、それらの基が有する水素原子が、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属原子に置換されたものも含む。
上記した如き、複素環が有する置換基の中でも、例えばアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基等の酸性条件で分解され易い置換基を有する化合物を本発明の方法によって重水素化すれば、これら置換基が分解されることはない。
置換基を有していてもよい複素環の置換基である、上記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルホスフィノ基、アリールホスフィノ基、アルキルホスフィノイル基、アリールホスフィノイル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アシル基及びアシルオキシ基が有していてもよい置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基等が挙げられ、それらは芳香環の置換基に通常1〜6個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜2個存在していてもよい。
複素環が有していてもよい置換基の置換基であるアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基及びアルコキシカルボニル基は、前記複素環が有する置換基と同様のものが挙げられる。
複素環が有する置換基の置換基であるアルキニル基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、上記アルキル基のうち炭素数が2以上のものの鎖中に炭素−炭素三重結合が1つ以上含まれている、通常炭素数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばエテニル基、2−プロピニル基、2−ペンチニル基、2−ノニル−3−ブチニル基、シクロヘキシル−3−イニル、4−オクチニル基、1−メチルデシル−5−イニル基等が挙げられる。
複素環が有する置換基の置換基であるアルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の水素原子の1つ又は2つが独立して上記した如きアルキル基に置き換わったものが挙げられ、具体的には、例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−プロピルカルバモイル基、イソプロピルカルバモイル基、n−ブチルカルバモイル基、イソブチルカルバモイル基、tert−ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、ヘプチルカルバモイル基、オクチルカルバモイル基、ノニルカルバモイル基、デシルカルバモイル基、ドデシルカルバモイル基、テトラデシルカルバモイル基、ペンタデシルカルバモイル基、ヘキサデシルカルバモイル基、ヘプタデシルカルバモイル基、ノナデシルカルバモイル基、イコシルカルバモイル基、シクロペンチルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基、シクロヘプチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、メチルプロピルカルバモイル基、ジプロピルカルバモイル基、エチルヘキシルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ヘプチルメチルカルバモイル基、メチルオクチルカルバモイル基、デシルメチルカルバモイル基、ドデシルエチルカルバモイル基、メチルペンタデシルカルバモイル基、エチルオクタデシルカルバモイル基、シクロペンチルメチルカルバモイル基、シクロヘキシルメチルカルバモイル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロヘキシルブチルカルバモイル基、ジシクロヘキシルカルバモイル基等が挙げられる。
本発明の重水素化方法に係る複素環を有する化合物としては、上記した如き、置換基を有していてもよい複素環そのもの、或いは該複素環に、例えば糖鎖をはじめ種々の化合物或いはポリマー等が結合してなるものも含まれ、後者の具体例としては、例えばアデノシン、デオキシアデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、イノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン等のヌクレオシド、例えばトリプトファン等のアミノ酸等が挙げられる。
本発明の重水素化方法に於いて、複素環を重水素化する重水素源として使用される重水素化された溶媒としては、重水素がジュウテリウムである場合には、例えば、重水(DO)、例えば重メタノール、重エタノール、重イソプロパノール、重ブタノール、重tert−ブタノール、重ペンタノール、重ヘキサノール、重ヘプタノール、重オクタノール、重ノナノール、重デカノール、重ウンデカノール、重ドデカノール等の重アルコール類、例えば重ギ酸、重酢酸、重プロピオン酸、重酪酸、重イソ酪酸、重吉草酸、重イソ吉草酸、重ピバル酸等の重カルボン酸類、例えば重アセトン、重メチルエチルケトン、重メチルイソブチルケトン、重ジエチルケトン、重ジプロピルケトン、重ジイソプロピルケトン、重ジブチルケトン等の重ケトン類、重ジメチルスルホキシド等の有機溶媒等が挙げられ、中でも重水、重アルコール類が好ましく、重水、重メタノールがより好ましいものとして挙げられ、また、環境面や作業性を考慮すれば重水が特に好ましいものとして挙げられ、重水素がトリチウムの場合には、例えば重水(TO)等が挙げられる。
重水素化された溶媒は、分子中の一つ以上の水素原子が重水素化されているものであればよく、例えば重アルコール類ではヒドロキシル基の水素原子、重カルボン酸類ではカルボキシル基の水素原子が重水素化されていれば本発明の重水素化方法に使用し得るが、分子中の水素原子全てが重水素化されたものが特に好ましい。
重水素化された溶媒の使用量は、多い程本発明の重水素化が進みやすくなるが、経済的な面を考慮すると、反応基質である複素環を有する化合物の重水素化可能な水素原子に対して、該溶媒中の重水素原子が、下限として通常等モル以上、順により好ましく10倍モル、20倍モル、30倍モル、40倍モル、上限として通常250倍モル、好ましくは150倍モル程度含まれる量である。
また、本発明の重水素化方法の基質である複素環を有する化合物が、固体であって重水素化された溶媒に溶解し難い場合は、必要に応じて反応溶媒を重水素化された溶媒と共に用いてもよい。
必要に応じて用いられる反応溶媒の具体例としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、オキシラン、1,4−ジオキサン、ジヒドロピラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等の重水素ガスにより重水素化されない有機溶媒、例えば水、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等のアルコール類、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸等のカルボン酸類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン等のケトン類、例えばジメチルスルホキシド等の重水素ガスにより重水素化されても本発明の重水素源として使用し得る有機溶媒等が挙げられる。
本発明に於ける、活性化された、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒より選ばれる触媒(以下、活性化された触媒と略記することがある。)とは、所謂パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒或いはコバルト触媒(「活性化されていない触媒」或いは単に「触媒」と略記することがある。)が水素ガス或いは重水素ガスと接触することにより活性化されたものをいう。
本発明の重水素化方法においては、予め活性化させておいた触媒を使用して重水素化を行ってもよく、また、活性化されていない触媒を重水素化の反応系で水素ガス或いは重水素ガスと共存させ、触媒の活性化と反応基質の重水素化を同時に行ってもよい。
予め水素ガス或いは重水素ガスによって活性化された触媒を用いて重水素化を行う場合、重水素化の反応容器の気層部分は例えば窒素アルゴン等の不活性ガスにより置換されていてもよい。尚、重水素化反応の基質が水素ガス等で還元され難いものであれば、反応容器の気層部分は上記の不活性ガスの他水素ガス或いは重水素ガス等で置換されていてもよい。
触媒の活性化と反応基質の重水素化を同時に行う場合には、反応容器の気層部分を水素ガス或いは重水素ガスで置換するか或いは反応液に直接水素ガス或いは重水素ガスを通過させてから反応を行えばよい。即ち、活性化されていない触媒は、重水素化の反応系内に存在させた水素ガス又は重水素ガスによって活性化される。
尚、本発明の重水素化方法に於いては、反応容器を密封状態或いはそれに近い状態(以下、単に「密封状態」と略記することがある。)となるようにして、反応系が結果的に加圧状態となっていることが好ましい。密封に近い状態とは、例えば所謂連続反応の様に、反応基質が連続的に反応容器に投入され、連続的に生成物が取り出されるような場合を含む。
上記の如く、本発明の重水素化方法では、反応容器が密封状態となっているため、反応系の温度を容易に上昇させることができ、重水素化を効率よく行うことが可能となる。
また、触媒の活性化と反応基質の重水素化同時に行う場合では、予め触媒を活性化するという煩雑な工程を要さず、また、Chem.Commun.,2001,367−368に記載されているような凍結脱気(freeze−pump)を繰り返すといった煩雑な操作も必要としない。
更にまた、予め水素ガス或いは重水素ガスで活性化した触媒を密封状態で重水素化に用いれば、重水素化の反応系に水素ガス又は重水素ガスが存在しないので、一般的に水素ガス等で還元されやすい基質であっても、全く還元されることなく、基質の重水素化のみが進行する。
本発明に於ける、活性化された触媒としては、上記した如きパラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒が挙げられ、中でもパラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒が好ましく、更にはパラジウム触媒及び白金触媒が好ましく、特にパラジウム触媒が好ましい。これら触媒は、単独でも或いは適宜組み合わせて用いても本発明の重水素化方法に有効に使用し得る。
パラジウム触媒としては、パラジウム原子の原子価が通常0〜4価、好ましくは0〜2価、より好ましくは0価のものが挙げられる。
白金触媒としては、白金原子の原子価が通常0〜4価、好ましくは0〜2価、より好ましくは0価のものが挙げられる。
ロジウム触媒としては、ロジウム原子の原子価が通常0又は1価、好ましくは0価のものが挙げられる。
ルテニウム触媒としては、ルテニウム原子の原子価が通常0〜2価、好ましくは0価のものが挙げられる。
ニッケル触媒としては、ニッケル原子の原子価が通常0〜2価、好ましくは0価のものが挙げられる。
コバルト触媒としては、コバルト原子の原子価が通常0又は1価、好ましくは1価のものが挙げられる。
上記した如き触媒は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル又はコバルトの金属そのものでも、それら金属の酸化物、ハロゲン化物、酢酸塩でも、或いは配位子が配位しているものでもよく、また、それら金属、金属酸化物、ハロゲン化物、酢酸塩或いは金属錯体が種々の担体に担持されて成るものでもよい。以下、担体に担持されている触媒を「担体担持金属触媒」、担体に担持されていない触媒を「金属触媒」と略記することがある。
本発明の重水素化方法に係る触媒のうち、配位子が配位していてもよい金属触媒の配位子としては、1,5−シクロオクタジエン(COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリジン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニトリル(PhCN)、イソシアニド(RNC)、トリエチルアルシン(As(Et))、アセチルアセトナト(acac)、例えばジメチルフェニルホスフィン(P(CHPh),ジフェニルホスフィノフェロセン(DPPF),トリメチルホスフィン(P(CH),トリエチルホスフィン(PEt),トリtert−ブチルホスフィン(PBu),トリシクロヘキシルホスフィン(PCy),トリメトキシホスフィン(P(OCH),トリエトキシホスフィン(P(OEt)),トリtert−ブトキシホスフィン(P(OBu)),トリフェニルホスフィン(PPh),1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE),トリフェノキシホスフィン(P(OPh))、o−トリルホスフィン(P(o−tolyl))等の有機ホスフィン配位子等が挙げられる。
パラジウム金属触媒の具体例としては、例えばPd、例えばPd(OH)等の水酸化パラジウム触媒、例えばPdO等の酸化パラジウム触媒、例えばPdBr、PdCl、PdI等のハロゲン化パラジウム触媒、例えばパラジウムアセテート(Pd(OAc)),パラジウムトリフルオロアセテート(Pd(OCOCF)等のパラジウム酢酸塩触媒、例えばPd(RNC)Cl,Pd(acac),ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(OAc)(PPh],Pd(PPh,Pd(dba),Pd(NHCl,Pd(CHCN)Cl,ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム[Pd(PhCN)Cl],Pd(dppe)Cl,Pd(dppf)Cl,Pd[PCyCl,Pd(PPhCl,Pd[P(o−tolyl)Cl,Pd(cod)Cl,Pd(PPh)(CHCN)Cl等の配位子に配位されたパラジウム金属錯体触媒等が挙げられる。
白金金属触媒の具体例としては、例えばPt、例えばPtO等の酸化白金触媒、例えばPtCl、PtCl、KPtCl等のハロゲン化白金触媒、例えばPtCl(cod)、PtCl(dba)、PtCl(PCy、PtCl(P(OEt)、PtCl(P(OBu)、PtCl(bpy)、PtCl(phe)、Pt(PPh、Pt(cod)、Pt(dba)、Pt(bpy)、Pt(phe)等の配位子に配位された白金金属錯体触媒等が挙げられる。
ロジウム金属触媒の具体例としては、例えばRh、例えばRhCl(PPh等の配位子に配位されたロジウム金属錯体触媒等が挙げられる。
ルテニウム金属触媒の具体例としては、例えばRu、例えばRuCl(PPh等の配位子に配位されたルテニウム金属錯体触媒等が挙げられる。
ニッケル金属触媒の具体例としては、例えばNi、例えばNiO等の酸化ニッケル触媒、例えばNiCl等のハロゲン化ニッケル触媒、例えばNiCl(dppe)、NiCl(PPh、Ni(PPh、Ni(P(OPh)、Ni(cod)等の配位子に配位されたニッケル金属錯体触媒等が挙げられる。
コバルト金属触媒の具体例としては、例えばCo(C){P(OCH等の配位子に配位されたコバルト金属錯体触媒等が挙げられる。
上記した如き金属触媒が、担体に担持されたものである場合の担体としては、例えばカーボン、アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブス、イオン交換樹脂、ポリマー等が挙げられ、中でもカーボンが好ましい。
担体として用いられるイオン交換樹脂としては、本発明の重水素化に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換樹脂としては、例えば弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられ、陰イオン交換樹脂としては、例えば弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂等が挙げられる。
イオン交換樹脂は一般に骨格ポリマーとして二官能性モノマーで架橋したポリマーを含んでおり、これに酸性基又は塩基性基が結合され、夫々種々の陽イオン又は陰イオン(対イオン)で交換されている。
弱酸性陽イオン交換樹脂の具体例としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのポリマーを加水分解して得られるもの等が挙げられる。
強酸性陽イオン交換樹脂の具体例としては、例えばスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーをスルホン化したものが挙げられる。
強塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えばスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーの芳香環にアミノ基が結合したものが挙げられる。
塩基性陰イオン交換樹脂の塩基性の強さは、結合しているアミノ基が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩になるに従って順に強くなる。
尚、市販のイオン交換樹脂も上記した如きイオン交換樹脂と同様に本発明の重水素化に係る触媒の担体として使用可能である。
また、担体として用いられるポリマーとしては、本発明の重水素化に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、その様なポリマーの例として、例えば下記一般式[1]で示されるモノマーが重合或いは共重合して得られるもの等が挙げられる。
一般式[1]

(式中、Rは水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキルオキシカルボニル基、シアノ基又はホルミル基を表し、Rは水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキルオキシカルボニル基、シアノ基又はハロゲン原子をし、Rは水素原子、低級アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアリール基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキルオキシカルボニル基、スルホ基、シアノ基、含シアノアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルデヒド基、アミノ基、アミノアルキル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、ヒドロキシアルキル基、また、RとRとが結合し、隣接する−C=C−と一緒になって脂肪族環を形成していてもよい。)
一般式[1]に於いて、R〜Rで示される低級アルキル基としては、直鎖状、分枝状、環状の何れにてもよく、例えば炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
及びRで示されるカルボキシアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がカルボキシル基に置換されたもの等が挙げられ、具体的には例えばカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等が挙げられる。
〜Rで示されるアルキルオキシカルボニル基としては、例えば炭素数2〜11のものが好ましく、具体的には例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
〜Rで示されるヒドロキシアルキルオキシカルボニル基としては、上記した如き炭素数2〜11のアルキルオキシカルボニル基の水素原子の一部がヒドロキシル基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシメチルオキシカルボニル基、ヒドロキシエチルオキシカルボニル基、ヒドロキシプロピルオキシカルボニル基、ヒドロキシブチルオキシカルボニル基、ヒドロキシペンチルオキシカルボニル基、ヒドロキシヘキシルオキシカルボニル基、ヒドロキシヘプチルオキシカルボニル基、ヒドロキシオクチルオキシカルボニル基、ヒドロキシのニルオキシカルボニル基、ヒドロキシデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
及びRで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
で表されるハロアルキル基としては、例えばR〜Rで表される上記低級アルキル基がハロゲン化(例えばフッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化等)された、炭素数1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばクロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4−クロロブチル基、5−クロロペンチル基、6−クロロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられ、また、該置換基としては、例えばアミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。置換アリール基の具体例としては、例えばアミノフェニル基、トルイジノ基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、カルボキシフェニル基等が挙げられる。
脂肪族ヘテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、異性原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいるもの等が好ましく、具体的には、例えばピロリジル−2−オン基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基等が挙げられる。
芳香族ヘテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、異性原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいるもの等が好ましく、具体的には、例えばピリジル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピラニル基等が挙げられる。
含シアノアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がシアノ基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばシアノメチル基、2−シアノエチル基、2−シアノプロピル基、3−シアノプロピル基、2−シアノブチル基、4−シアノブチル基、5−シアノペンチル基、6−シアノヘキシル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、例えば炭素数2〜20のカルボン酸由来のものが挙げられ、具体的には、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
アミノアルキル基としては、上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がアミノ基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基等が挙げられる。
N−アルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の水素原子の一部がアルキル基で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばN−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−n−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−n−ブチルカルバモイル基、N−t−ブチルカルバモイル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシル基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
また、RとRとが結合し、隣接する−C=C−と一緒になって脂肪族環を形成している場合の脂肪族環としては、例えば炭素数5〜10の不飽和脂肪族環が挙げられ、環は単環でも多環でもよい。これら環の具体例としては、例えばノルボルネン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シクロデセン環等が挙げられる。
一般式[1]で示されるモノマーの具体例としては、例えばエチレン,プロピレン,ブチレン,イソブチレン等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和脂肪族炭化水素類、例えばスチレン,4−メチルスチレン,4−エチルスチレン,ジビニルベンゼン等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族炭化水素類、例えばギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロペニル等の炭素数3〜20のアルケニルエステル類、例えば塩化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレン等の炭素数2〜20の含ハロゲンエチレン性不飽和化合物類、例えばアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸,クロトン酸,ビニル酢酸,アリル酢酸,ビニル安息香酸等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和カルボン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等、塩の形になっているものでもよい。)、例えばメタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル,イタコン酸メチル,イタコン酸エチル,マレイン酸メチル,マレイン酸エチル,フマル酸メチル,フマル酸エチル、クロトン酸メチル,クロトン酸エチル、3−ブテン酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル類、例えばアクリロニトリル,メタクリロニトリル,シアン化アリル等の炭素数3〜20の含シアノエチレン性不飽和化合物類、例えばアクリルアミド,メタクリルアミド等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アミド化合物類、例えばアクロレイン,クロトンアルデヒド等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アルデヒド類、例えばビリルスルホン酸,4−ビニルベンゼンスルホン酸等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和スルホン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩等、塩の形になっていているものでもよい。)、例えばビニルアミン,アリルアミン等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和脂肪族アミン類、例えばビニルアニリン等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族アミン類、例えばN−ビニルピロリドン,ビニルピペリジン等の炭素数5〜20のエチレン性不飽和脂肪族ヘテロ環状アミン類、例えばアリルアルコール,クロチルアルコール等の3〜20のエチレン性不飽和アルコール類、例えば4−ビニルフェノール等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和フェノール類等が挙げられる。
上記した如きポリマー等を担体として使用する場合には、本発明の重水素化により担体自体が重水素化され難いものを使用することが望ましいが、それ自体重水素化され得る担体に担持された触媒も本発明の重水素化に用いることが出来る。
本発明の重水素化方法に於いては、上記した如き担体担持金属触媒の中でも、パラジウムカーボン、水酸化パラジウムカーボン又は白金カーボンを使用することが好ましく、更にその中でもパラジウムカーボン及び水酸化パラジウムカーボンは工業的にも取り扱い易く且つ優れた触媒活性を有しており、特にパラジウムカーボンを用いれば更に効率よく重水素化反応を行える場合が多い。
担体に担持された触媒に於いて、触媒金属であるパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル又はコバルトの割合は、通常全体の1〜99重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
本発明の重水素化方法に於いて、活性化された触媒或いは活性化されていない触媒の使用量は、それが担体等に担持されているか否かに拘わらず、反応の基質として用いられる複素環を有する化合物に対して、通常所謂触媒量、次いで順に好ましく0.01〜200重量%、0.01〜100重量%、0.01〜50重量%、0.01〜20重量%、0.1〜20重量%、1〜20重量%、10〜20重量%となる量であり、また、該触媒全体に含まれる触媒金属量の上限が、順に好ましく20重量%、10重量%、5重量%、2重量%であり、下限が、順に好ましく0.0005重量%、0.005重量%、0.05重量%、0.5重量%となる量である。
尚、複素環を有する化合物を重水素化する際、上記した如き種々の触媒を2種以上適宜組み合わせて使用することも可能である。
触媒を2種以上組み合わせて使用する場合の触媒使用量は、触媒の合計が上記した如き触媒の使用量となるように設定すればよい。
活性化されていない触媒を本発明の反応に用いる場合であって、触媒を活性化させる為に反応系に水素ガスを存在させる場合の該水素ガスの使用量は、多すぎると重水素源となる重水素化された溶媒が水素化され本発明の重水素化反応に悪影響を及ぼす可能性もあるが、触媒の活性化に必要な程度の量より多少多い方が、触媒の活性化を効率的に行うことが出来、そのような水素ガスの量は、通常触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量である。
また、触媒を活性化させる為に反応系に重水素を存在させる場合の重水素の使用量は、触媒の活性化に必要な程度の量であればよく、その量は、通常触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量であるが、反応系中で該重水素は重水素化された溶媒に接触しているため、該溶媒を更に重水素化させる効果もあり、使用量が多くても問題なく本発明の重水素化を行うことが出来る。
本発明の重水素化方法は、通常、溶媒の沸点(常圧)より高い温度で還流状態になるように設定すればよく、そのような反応温度の下限は、順に好ましく、溶媒の沸点+3℃、+5℃、+10℃、+20℃であり、上限は、順に好ましく、溶媒の沸点+100℃、+80℃、+70℃、+60℃である。
密封状態の反応容器内が上記した如き反応温度になるよう設定するには、加温及び/又は加圧すればよく、それによって結果的に系内が加圧状態になっていればよい。
反応系を加圧するには、触媒を活性化するための水素ガスを用いて行えばよいが、例えば窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを更に用いて行ってもよい。
本発明の重水素化の反応時間は、通常30分〜100時間、好ましくは1〜50時間、より好ましくは1〜30時間、更に好ましくは3〜30である。
本発明の重水素化方法を、重水素源として重水を用い、活性化されていない触媒としてパラジウムカーボン(Pd10%)を用いた場合を例にとって説明する。
即ち、例えば複素環を有する化合物(基質)及びパラジウム触媒を、重水素化された溶媒に加え、反応系を密封し、系内を水素ガスで置換した後、油浴中約103〜200℃で約30分〜100時間撹拌反応させる。反応終了後、生成物が重水素化された溶媒に可溶な場合は、反応液を濾過して触媒を除き、濾液をそのままH−NMR、H−NMR及びMassスペクトル測定して構造解析を行う。生成物が重水素化された溶媒に難溶な場合は、反応液からこれを単離してからH−NMR、H−NMR及びMassスペクトルを測定して構造解析を行う。
生成物が重水素化された溶媒に難溶な場合に、反応液から生成物を単離するには、例えば生成物が溶解する有機溶媒等により反応液から生成物を抽出し、更に濾過により触媒を除くといった公知の精製方法に従ってこれを行えばよい。
また、活性化された触媒として予め活性化させておいた触媒を用い、且つ重水素源として重水素化された溶媒を用いて本発明の重水素化方法を行うことにより、複素環を有する化合物がハロゲン原子を置換基として有している場合でも、該ハロゲン原子は水素原子或いは重水素原子に置換されることなく、複素環のみの重水素化が行われ、また、複素環を有する化合物が例えばニトロ基、シアノ基等の置換基を有している場合でも、それら置換基が還元されることなく複素環のみの重水素化が行われる。
上記した如く、重水素化された溶媒中、活性化された触媒の存在下、複素環を有する化合物を密封還流下に置くという本発明の重水素化方法によれば、重水素化反応温度を、溶媒の沸点より高い温度に保つことが出来るため、複素環を有する化合物の複素環の水素原子を、非常に効率よく重水素化することが可能である。
更にまた、本発明の重水素化によれば、複素環上に存在する水素原子以外にも、複素環が有する置換基中に存在する炭素原子(例えばアルキル基由来のもの、アルケニル基由来のもの、アラルキル基由来のもの、アルコキシ基由来のもの、アルキルチオ基由来のもの、アルキルスルホニル基由来のもの、アルキルスルフィニル基由来のもの、アルキルホスフィノ基由来のもの、アルキルホスフィノイル基由来のもの、アルキルアミノ基由来のもの、アルコキシカルボニル基由来のもの、アルコキシスルホニル基由来のもの、アシル基由来のもの等)や、複素環と結合している糖鎖をはじめとする種々の化合物或いはポリマー中に存在する炭素原子に結合している水素原子をも重水素化することが可能となる場合がある。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
尚、以下の実施例に於いて、単離収率とは、重水素化されたか否かに拘わらず、反応終了後に単離された化合物の収率であり、重水素化率とは、反応終了後に単離された化合物に於ける水素原子の重水素化率である。以下の実施例では、単離された化合物の、各位置の水素原子の重水素化率を示した。
【実施例】
【実施例1】
イミダゾール500mg、パラジウムカーボン(Pd10%)50mgを重水(DO)17mLに懸濁させ、密封した反応系を水素ガスで置換した後、油浴中160℃で約24時間反応させた。反応終了後、反応液をエーテルで抽出して得られた抽出液から触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮して、重水素化された化合物500mgを得た(単離収率95%)。得られた化合物のH−NMR、H−NMR及びMassスペクトルを測定して構造解析を行ったところ、得られた化合物の各水素原子の重水素化率は、下記式で示される(1)の位置の総水素原子に対する重水素化率が99%、(2)の位置の水素原子に対する重水素化率は99%であった。

【実施例2〜5】
下記表1に示した基質を使用した以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。重水素化された各化合物の単離収率及び重水素化率を表1にまとめて示す。尚、以下、各実施例に於ける重水素化率は、実施例1と同様にして算出されたものである。

【実施例6〜7】
基質としてアデニンを用い、下記表2に示した反応条件で反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率及び重水素化率を表2に併せて示す。


但し、表2に於ける重水素化率は、上記化学式に於ける(1)及び(2)の総水素原子に対する重水素化率である。
【実施例8〜9】
基質としてアデノシンを用い、下記表3に示した反応条件で反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率及び重水素化率を表3に併せて示す。


【実施例10〜12】
基質としてグアノシンを用い、下記表4に示した反応条件で反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率及び重水素化率を表4に併せて示す。


【実施例13〜14】
基質としてチミンを用い、下記表5に示した反応条件で反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率及び重水素化率を表5に併せて示す。


【実施例15】
基質としてシトシンを用い、160℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は98%、重水素化率は(1)96%、(2)96%であった。

【実施例16】
基質としてウラシルを用い、160℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は94%、重水素化率は(1)98%、(2)93%であった。

【実施例17】
基質としてウリジンを用い、160℃の密封状態で24時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は85%、重水素化率は(1)48%、(2)95%であった。

【実施例18〜19】
基質としてイノシンを用い、下記表6に示した反応条件で反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率及び重水素化率を表6に併せて示す。


【実施例20】
基質としてヒポキサンチンを用い、110℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は62%、(1)と(2)の総水素原子に対する重水素化率は95%であった。

【実施例21〜22】
基質として3−メチルインドールを用い、下記表7に示した反応条件で反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率及び重水素化率を表7に併せて示す。


但し、表7中、(2)+(5)は、(2)と(5)の総水素原子に対する重水素化率を表す。
【実施例23】
基質として5−メチルインドールを用い、140℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は65%、重水素化率は(2)100%、(3)90%、(4)27%、(5)95%、(6)99%、(7)38%であった。

【実施例24】
基質として7−メチルインドールを用い、140℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は79%、重水素化率は(2)96%、(3)95%、(4)95%、(5)+(6)59%、(7)96%であった。

【実施例25】
基質として3,5−ジメチルピラゾールを用い、140℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は55%、重水素化率は(3)+(5)96%、(4)95%であった。

【実施例26】
基質として5−メチルベンズイミダゾールを用い、140℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は99%、重水素化率は(2)98%、(4)98%、(5)95%、(6)19%、(7)98%であった。

【実施例27】
基質として7−アザインドールを用い、140℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は92%、重水素化率は(2)95%、(3)94%、(4)94%、(5)69%、(6)96%であった。

【実施例28】
基質としてL−トリプトファンを用い、160℃で48時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は93%、重水素化率は(1)45%、(2)47%、(3)+(4)22%、(5)0%であった。

【実施例29】
基質として2,3−ルチジンを用い、160℃で6時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は74%、(1)〜(5)の総水素原子に対する重水素化率は98%であった。

【実施例30】
基質として2−メチルイミダゾールを用い、120℃で24時間反応させた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は99%であり、重水素化率は(1)99%、(2)20%であった。

【実施例31】
重水の代わりに重メタノールを用いた以外は実施例30と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は88%であり、重水素化率は(1)86%、(2)9%であった。
実施例30及び31から明らかなように、重水素化された有機溶媒も重水と同様に本発明の重水素化方法に使用できることが分かる。
【実施例32】
基質として2−メチルイミダゾールを用い、パラジウムカーボンの代わりに白金カーボン(Pt5%)を用いた以外は実施例1と同様にして重水素化反応を行った。得られた化合物の単離収率は95%であり、重水素化率は(1)93%、(2)67%であった。

【産業上の利用の可能性】
重水素化された溶媒中、活性化された触媒の存在下、複素環を有する化合物を密封還流下に置くという本発明の重水素化方法によれば、重水素化反応温度を、溶媒の沸点以上に保つことが出来るため、複素環を有する化合物の複素環の水素原子を、非常に効率よく重水素化することが可能となる。
また、本発明の重水素化方法は、超臨界条件或いは酸性条件で分解するような種々の複素環を有する化合物等の重水素化にも広く利用でき、複素環を有する化合物を工業的且つ効率的に重水素化し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重水素化された溶媒中、活性化された、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒より選ばれる触媒の存在下、複素環を有する化合物を密封還流下に置くことを特徴とする、複素環の重水素化方法。
【請求項2】
活性化された、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒より選ばれる触媒が、活性化されたパラジウム触媒を含むものである請求項1に記載の重水素化方法。
【請求項3】
活性化されたパラジウム触媒が、活性化されたパラジウムカーボンである請求項2に記載の重水素化方法。
【請求項4】
活性化された、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒より選ばれる触媒が、重水素化の反応系内に存在させた水素ガス又は重水素ガスで活性化されたものである請求項1〜3の何れかに記載の重水素化方法。
【請求項5】
重水素化された溶媒が、重水(DO)である請求項1〜4の何れかに記載の重水素化方法。
【請求項6】
複素環を有する化合物の複素環が、3〜20員の環である請求項1〜5の何れかに記載の重水素化方法。

【国際公開番号】WO2004/046066
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【発行日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553148(P2004−553148)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014181
【国際出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】