覚醒支援装置
【課題】覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を図ること。
【解決手段】眠気度合いがThd1以上かを判定する(S210)。判定された眠気度合いがThd1以上と判定すると(S210YES)、覚醒支援開始について許可または不許可を示す情報をユーザに入力させるための画面を、タッチパネル画面に表示する(S225)。許可または不許可を示す情報の何れかが運転者によって選択されたかを、タッチパネル画面に入力された情報に基づいて判定する(S235)。許可または不許可を示す情報の何れが選択されたと判定すると(S235YES)、覚醒支援開始の許可が選択されたかを判定する(S250)。覚醒支援開始の許可が選択されたと判定すると(S250YES)、覚醒支援を開始する(S295)。覚醒支援開始の不許可が選択されたと判定すると(S250NO)覚醒支援を開始しない。
【解決手段】眠気度合いがThd1以上かを判定する(S210)。判定された眠気度合いがThd1以上と判定すると(S210YES)、覚醒支援開始について許可または不許可を示す情報をユーザに入力させるための画面を、タッチパネル画面に表示する(S225)。許可または不許可を示す情報の何れかが運転者によって選択されたかを、タッチパネル画面に入力された情報に基づいて判定する(S235)。許可または不許可を示す情報の何れが選択されたと判定すると(S235YES)、覚醒支援開始の許可が選択されたかを判定する(S250)。覚醒支援開始の許可が選択されたと判定すると(S250YES)、覚醒支援を開始する(S295)。覚醒支援開始の不許可が選択されたと判定すると(S250NO)覚醒支援を開始しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ユーザの覚醒を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居眠りを避けたい状況(自動車の運転中など)におけるユーザに対して、警告音を発したり、冷風を顔に当てたりすることで、覚醒を支援する(眠気を覚ます)覚醒支援装置が既に知られている。このような覚醒支援装置は、覚醒支援の開始タイミングが課題となることが多い。なぜなら、覚醒支援の適切な開始タイミングというのは、ユーザの個人差や体調に起因するところが大きいからである。
【0003】
すなわち、ユーザの表情などから推定された眠気度合いが基準値を超えた場合に覚醒支援を開始するようになっているとして、ユーザは、その眠気度合いにおける覚醒支援の開始は早すぎると不快感(違和感)を覚える場合もあれば、開始タイミングが遅すぎて既に強い眠気を感じている場合もあると考えられる。
【0004】
このような課題に関する技術として、例えば特許文献1には、どの程度の眠気を感じた場合に覚醒支援をするかを、ユーザが調整できるようにした技術が記載されている。ユーザは、このような調整によって、覚醒支援開始のタイミングをユーザの好みに合わせることで、不快感の軽減を図ることができる。
【0005】
また、特許文献2には、覚醒支援としての警告と、その他、自動車の運転に関して行う警告(例えば、シートベルト未着用に対する警告)とをする装置において、安全に関わる警告については、ユーザが停止できないようにする一方で、安全に関わらない警告については、ユーザが停止できるようにした技術が記載されている。この技術によれば、安全に関わらない警告について、ユーザが感じる不快感を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−40481号公報
【特許文献2】特開2007−320451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先述した従来技術の課題は、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立が図れていないことである。特許文献1に記載の技術の場合、ユーザが覚醒している場合に覚醒支援を受けたときは、覚醒支援開始の眠気の基準値をユーザが下げることができるので、不快感を軽減することはできる。しかし、逆に覚醒支援が必要なのに覚醒支援が開始されないような基準値が設定されている場合は、覚醒支援が必要な状況を見逃してしまい、覚醒支援を適切なタイミングで開始できないことになる。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術は、安全に関わらない場合について、不快感を軽減することはできる。しかし、肝心の安全に関わる覚醒支援の場合は、上記課題について考慮されていない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1の発明は、眠気度合い測定手段と、質問手段と、回答取得手段と、覚醒支援手段とを備えることを特徴とする覚醒支援装置である。
眠気度合い測定手段は、ユーザの眠気度合いを測定する。そして、質問手段は、眠気度合い測定手段の測定結果が基準値に達した場合に、覚醒支援の開始を希望するかをユーザに質問する。また、回答取得手段は、質問手段の質問に対する回答を、ユーザから取得する。そして、覚醒支援手段は、回答取得手段によって取得された回答が覚醒支援の開始の希望だった場合、ユーザの覚醒支援を開始する。
【0011】
この発明によれば、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を図ることができる。なぜなら、ユーザの眠気を検出した場合に直ぐ覚醒支援を行うのではなく、質問およびその回答によってユーザの希望を確認して、その確認に基づいて覚醒支援を開始するからである。つまり、眠気度合いの基準値を覚醒側(安全側)に設定することで覚醒支援が必要な状況の見逃しを防ぐようにしても、ユーザが希望しない(不快感を覚える)覚醒支援を避けることができるので、上記効果が得られることになる。
【0012】
ところで、ユーザが強い眠気を感じている場合は、質問してもユーザから回答がなかなか得られない場合も考えられる。このような場合、覚醒支援を早く開始すべきであるにもかかわらず、開始が遅れてしまいかねない。そこで、次のようにすると良い。
【0013】
請求項2に記載の覚醒支援装置が備える覚醒支援手段は、眠気度合い測定手段の測定結果が、請求項1に記載の基準値よりも強い眠気度合いに対応する第2基準値に達した場合には、回答取得手段によって回答が取得されるのを待たずに、ユーザの覚醒支援を開始する。
【0014】
この発明によれば、眠気度合いが第2基準値に達した場合は、ユーザの希望の確認を省いて直ぐに覚醒支援を行うことにより、適切なタイミングを逃さず覚醒支援を開始できる。また、第2基準値を強い眠気に対応させておけば、眠気度合いが第2基準値に達した場合は、「眠気を感じていないのに覚醒支援をされた」として不快感を覚えるユーザは、ほとんどいないと考えられるので、回答を待たずに覚醒支援を行っても支障は無い。なお、眠気度合いが第2基準値に達した場合は回答を待たずに覚醒支援を開始するので、質問手段は質問をする必要がない。
【0015】
ところで、覚醒支援ほどではないにせよ、眠気を感じていないのに質問されることに対して、不快感を覚えるユーザがいることも考えられる。よって、ユーザに与える不快感をより低減するには、質問のタイミングを適切にすることが望ましい。そこで次のようにすると良い。
【0016】
請求項3に記載の覚醒支援装置は、質問手段が質問してから回答取得手段が回答を取得するまでの時間である反応時間に基づいて、請求項1に記載の基準値(以下、第2基準値と区別するために、[発明が解決しようとする課題]においては「第1基準値」という。)を変更する変更手段を備える。
【0017】
この発明によれば、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を一層向上させることができる。すなわち、この発明の覚醒支援装置は、質問から回答までの時間を質問のタイミングが適切だったかの指標とし、この指標に基づいて第1基準値を変更することによって、質問のタイミングを変更する構成になっている。このようにして質問のタイミングを適切化することにより、ユーザが覚醒支援の開始を望んでいるタイミングに、質問のタイミングを近付けることができるので、上記効果が得られることになる。
【0018】
ところで、上記請求項3に記載の発明は、具体的には次のようにすると良い。
請求項4に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援の開始を希望しないという回答が回答取得手段によって取得された場合に、反応時間が所定の引上げ基準時間未満だったときは、第1基準値を引上げる。
【0019】
覚醒支援の開始を希望していない場合に反応時間が短いということは、ユーザは眠気を感じていないと考えられる。そして、眠気を感じていないユーザに質問すると、不快感を与えかねない。このような場合は、質問のタイミングが早かったことになる。そこで、この発明は、このような場合において第1基準値を引上げることによって、次回からの質問のタイミングを遅くするようになっている。
【0020】
ところで、上記請求項3又は請求項4に記載の発明は、具体的には次のようにすると良い。
請求項5に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援の開始を希望するという回答が回答取得手段によって取得された場合に、反応時間が所定の引下げ基準時間以上だったときは、第1基準値を引下げる。
【0021】
覚醒支援の開始を希望している場合に反応時間が長いということは、「ユーザが既に強い眠気を感じており、質問の認知や、回答のための判断・動作に時間がかかっている」ことが考えられる。このような場合は、質問のタイミングが遅かったことになる。そこで、この発明の覚醒支援装置は、このような場合において第1基準値を引下げることによって、次回からの質問のタイミングを早くするようになっている。
【0022】
ところで、これまでに述べた覚醒支援装置の用途としては、車両搭載用が一例として考えられる。つまり、運転者に対して覚醒支援をし、居眠り運転を予防するという用途である。この用途において、指などによる接触操作によって回答をする構成を前提にした場合、運転者はステアリングホイールの操作中に質問されると手が塞がっているので、眠気を感じていなくても回答するまでに時間がかかってしまう場合も考えられる。このように、反応時間が長くなる原因が眠気以外にもあることを考慮して、次のようにすると良い。
【0023】
請求項6に記載の覚醒支援装置は、車両に搭載されるものであり、回転角測定手段と、操作判定手段とを備える。回転角測定手段は、車両のステアリングホイールの回転角を測定する。また、操作判定手段は、回転角測定手段によって測定された回転角に基づいて、ステアリングホイールの操作中であるかを判定する。そして、回答取得手段は、ユーザの接触操作に基づいて回答を取得する。また、変更手段は、質問手段が質問してから回答取得手段が回答を取得するまでにおいてステアリングホイールが操作されたと操作判定手段によって判定された場合は、反応時間に関わらず第1基準値を引下げない。
【0024】
この発明によれば、質問手段が質問してから回答取得手段が回答を取得するまでにおいて、運転者がステアリングホイールの操作をしている場合は第1基準値が変更されないので、質問のタイミングの変更が適切に行われることになる。なお「ステアリングホイールが操作されている」か否かの判定方法は、例えば、質問時および回答時の回転角の比較に基づいたり、質問時から回答時までの回転角の履歴に基づいたりする方法が考えられる。また、運転者の手によって操作されることが担保されている装置の操作についても、第1基準値を引下げるか否かの判定基準に加味しても良い。例えば、助手席に同乗者がいない場合おける、エアコンやナビゲーション装置などの車載装置の操作が考えられる。
【0025】
ところで、覚醒支援を実行していない期間に眠気度合いが増大している場合には、現在設定されている第1基準値に達するまで待機せず、早目に覚醒支援を開始した方が良いことも考えられる。そこで次のようにすると良い。
【0026】
請求項7に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが増大傾向にある場合は、第1基準値を引下げる。
【0027】
この発明によれば、眠気度合いが増大している場合において、覚醒支援の開始タイミングが遅れるのを防止できる。
ところで、覚醒支援を実行していない期間に眠気度合いが減少している場合は、覚醒支援が不要であると考えられる。このような場合に、眠気度合いの測定誤差等で覚醒支援を開始してしまうと、ユーザに不快感を与えてしまう場合も考えられる。そこで次のようにすると良い。
【0028】
請求項8に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが減少傾向にある場合は、第1基準値を引上げる。
【0029】
この発明によれば、眠気度合いが減少している場合において、不要な覚醒支援を開始することを防止できる。
ところで、覚醒支援を終了してから直ぐに再開すると、ユーザが不快感を覚えたり、覚醒支援に対して慣れてしまい効果が薄くなったりする場合がある。そこで次のようにすると良い。
【0030】
請求項9に記載の覚醒支援装置が備える覚醒支援手段は、覚醒支援を終了してから所定時間が経過するまでは、覚醒支援を再開しない。
この発明によれば、覚醒支援を終了した後は、所定時間が経つまでは覚醒支援を再開しないようになっているので、ユーザが不快感を覚えたり、覚醒支援に対して慣れてしまい効果が薄くなったりすることを防止できる。
【0031】
ところで、覚醒支援の終了タイミングは、例えば「覚醒支援の開始から所定時間の経過後」とすることもできるが、必ずしも適切なタイミングになるとは限らない。そこで次のようにすると良い。
【0032】
請求項10に記載の覚醒支援装置は、覚醒支援手段によって覚醒支援が行われている期間に、その覚醒支援の終了を希望する旨をユーザから取得する終了希望取得手段を備える。そして、覚醒支援手段は、覚醒支援の終了を希望する旨が終了希望取得手段によって取得されると、覚醒支援を終了する。
【0033】
この発明によれば、ユーザが希望するタイミングで覚醒支援を終了するので、必要以上に長くなりすぎないタイミングで覚醒支援を終了できる。なお、覚醒支援手段が覚醒支援の終了は、終了希望の旨が取得された場合だけとした構成でもよいし、その場合に加えて、先述したように「覚醒支援の開始から所定時間の経過後」に終了したり、「覚醒支援の開始時に対して、眠気度合いが低くなった場合」に終了したりする構成にしてもよい。
【0034】
ところで、覚醒支援の種類が1種類のみだと、ユーザの好みに合わなかったり、何度か実行している期間にユーザが慣れてしまったりする場合が考えられる。よって、覚醒支援の種類は、複数種類の中から選択できるのが望ましいが、このような選択ができる場合は、その選択の方法を決める必要がある。例えばユーザに選択させることもできるが、覚醒支援を開始する度に選択するのは煩わしい。そこで次のようにすると良い。
【0035】
請求項11に記載の覚醒支援装置が備える覚醒支援手段は、実行可能な複数種類の覚醒支援の中から、何れかを選択して実行する。また、この覚醒支援装置は、複数種類の覚醒支援それぞれを、その覚醒支援それぞれの開始から、終了希望取得手段が終了希望の旨を取得するまでの時間である実行時間に基づいて評価する評価手段を備える。そして、覚醒支援手段は、評価手段による評価が高い覚醒支援を優先的に選択する。
【0036】
この発明によれば、ユーザに選択させなくても、覚醒支援装置が自動的に選択するので、ユーザに煩わしさを感じさせることがない。さらに、この発明によれば、実行時間によって定まる評価に基づいて、適切な覚醒支援の選択ができる。
【0037】
ところで、上記請求項11に記載の覚醒支援装置は、具体的には次のようにすると良い。
請求項12に記載の覚醒支援装置が備える評価手段は、覚醒支援の実行時間が閾値未満だった場合、その覚醒支援の評価を、その覚醒支援の開始前よりも低くする。
【0038】
このような評価をする理由は、実行時間が閾値未満(短時間)だったということは、ユーザが不快感を覚えることで、開始から直ぐに終了を希望したと考えられるからである。このようにして、本発明の覚醒支援装置は、適切な覚醒支援の選択が行えるようになる。
【0039】
ところで、覚醒支援の評価は、実行時間だけでなく、他にも基準がある方が望ましい。そこで次のようにすると良い。
請求項13に記載の覚醒支援装置が備える評価手段は、覚醒支援の開始時における眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いに対して、その覚醒支援の終了時における眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いの方が低かった場合、その覚醒支援を、その覚醒支援の開始前よりも高く評価する。
【0040】
この発明によれば、眠気度合いも指標とすることで、より適切に評価ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】覚醒支援システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】覚醒支援システムを搭載した自動車の車室内を示した図。
【図3】覚醒支援処理を示すフローチャート。
【図4】眠気度合い判定処理を示すフローチャート。
【図5】目の開度および瞬き時間についての図。
【図6】開始処理を示すフローチャート。
【図7】回答アイコンを示す図。
【図8】終了処理を示すフローチャート。
【図9】作動している覚醒支援機器が特定可能な情報および終了アイコンを示す図。
【図10】第2終了処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[1.ハードウェア構成]
図1は、本発明が適用された覚醒支援システム1の概略構成を示したブロック図である。この覚醒支援システム1は、自動車に搭載され、運転者の眠気度合いに応じて運転者の覚醒を支援する。図2は、覚醒支援システム1を構成する各部が車室内に配置された様子を示した図である。図1、図2に示すように、覚醒支援システム1は、覚醒支援制御装置10、スピーカ16、振動装置17、送風装置18、カメラ20、眠気判定装置21及びタッチパネル画面30を備える。
【0043】
カメラ20は、インストルメントパネル内に配置され、運転者の顔面を含む画像(具体的には、肩付近から上側の部位の画像)を撮影する。タッチパネル画面30は、ナビゲーション装置や、他の車載機器(エアコン等)に関する情報表示および情報入力のためのユーザインターフェイスとして機能し、さらに、後述する覚醒支援の開始や終了を希望するかについての質問の表示や、回答の入力のために用いられる(詳細後述)。
【0044】
スピーカ16は、音楽やナビゲーション機能のための音声、さらに、覚醒支援のための警告音等を出力するために用いられる。振動装置17は、覚醒支援のために、運転者の臀部付近および背中に振動を与えるものであり、運転席の座面内部に設置されている。送風装置18は、運転者の背中に風を当てるものであり、運転席の背もたれの表面部に設置されている。
【0045】
覚醒支援制御装置10や眠気判定装置21は、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイコンである。眠気判定装置21は、カメラ20によって撮影された画像に基づいて、運転者の眠気度合いを判定(推定)する。覚醒支援制御装置10は、眠気判定装置21によって判定された眠気度合いと、タッチパネル画面30に入力された情報とに基づきスピーカ16、振動装置17、及び送風装置18を制御することによって、覚醒支援を実現する。なお、覚醒支援のための刺激を与えるスピーカ16、振動装置17、及び送風装置18を総称して「覚醒支援機器」と呼ぶ。覚醒支援制御装置10や眠気判定装置21が覚醒支援のために実行する処理を、次から説明する。
【0046】
[2.覚醒支援処理]
図3は、覚醒支援処理を示すフローチャートである。この覚醒支援処理は、自動車が走行可能な期間(原動機(エンジンやモータ)の作動時)に常時、実行される処理である。図3に示すように覚醒支援処理は、眠気度合い判定処理(S100)、開始処理(S200)、S300〜S340、及び終了処理(S400)から構成されており、眠気度合い判定処理の実行主体は眠気判定装置21、開始処理(S200)、S300〜S340、及び終了処理(S400)の実行主体は、覚醒支援制御装置10である。
【0047】
[2−1.眠気度合い判定処理]
眠気度合い判定処理は、公知の技術を用いて、運転者の眠気度合いを判定するためのものである。なお、本実施例では、特開2008−167806号公報(本願と同一出願人の公開公報)に掲載されている技術を用いる。
【0048】
眠気度合い判定処理を説明するために、図4に移る。図4は、眠気度合い判定処理を示すフローチャートである。眠気判定装置21が眠気度合い判定処理を開始すると、カメラ20から、運転者の顔面を含む画像を取得する(S110)。そして、その画像から、運転者の顔面の輪郭によって囲まれる領域(顔面領域)を抽出する(S120)。
【0049】
さらに、その抽出された顔面領域から、運転者の上まぶた及び下まぶたを含む目の周辺領域を抽出する(S130)。そして、S130で抽出された目の周辺領域に基づき、運転者の目の開度を測定する(S140)。具体的には、S130で抽出された目の周辺領域の画像に基づいて、図5(A)に示すように、目の周辺領域中の眼球とまぶたとの輝度差に基づき、上まぶたの最上点と下まぶたの最下点との距離を算出する。上記「目の開度」とは、この距離を規格化した値のことである。なお、この規格化は、運転者が覚醒している運転開始直後の所定時間内での最大の距離を測定・記憶し、その距離を100%として行う。
【0050】
そして、S140で算出された目の開度と時間との関係(図5(B)参照)に基づき、運転者の眠気度合い(SL)を判定する(S150)。目の開度と時間との関係とは、S140を実行する度に算出される目の開度を、時間軸に沿って並べることによって得られる関係のことである。
【0051】
そして、眠気度合いの判定基準は、「一回の瞬き時間において、目が閉じられている時間が占める割合が大きい程、眠気度合いが大きい」となっており、判定結果は、0(最も覚醒した状態)〜5(最も眠気を感じている状態)の整数によって、6段階で表される。なお「一回の瞬き時間」とは、目の開度が所定値以下になっている時間で定義される。一方「目が閉じられている時間」は、目の開度が別の所定値(「一回の瞬き時間」についての所定値よりも小さい値)以下になっている時間で定義される。
【0052】
眠気度合いは、目を閉じているような強い眠気から、それに気づいて運転者自身が意識的に目を見開いて強い眠気を回避するといったように、時々刻々大きく変化する。これから説明するステップ(S200からS400)がその変化の影響をじかに受けると、運転者が不快感を覚えてしまう可能性がある。その大きい変化を回避するために、眠気度合いは過去一定時間(例えば5秒)の移動平均をとり、小数点以下1位まで定義し、出力する。しかし、強い眠気の場合(眠気度合いが4と5)にはすぐに覚醒支援したほうがよいため、移動平均値ではなく瞬時の眠気度合いを出力する。
【0053】
S150を実行すると、眠気度合い判定処理を終える。ここで図3に戻る。図3に示すように、眠気度合い判定処理を終えると、開始処理を実行する(S200)。
[2−2.開始処理]
図6は、開始処理を示すフローチャートである。眠気判定装置21による眠気度合い判定処理の実行が終了すると、覚醒支援制御装置10は、開始処理を開始して、眠気度合い判定処理のS150において判定された眠気度合いが、Thd1(Threshold(基準値)1)以上かを判定する(S210)。眠気度合いがThd1未満と判定すると(S210NO)、開始処理を終える。この場合、覚醒支援を開始しないことになる。なお、Thd1は、1≦Thd1≦3.5の範囲の変数であり、小数点以下1位まで定義されている。また、デフォルト値は、本実施例では2に設定される。眠気度合いが2の場合、一回の瞬き時間は長いが、目の閉じられている時間がない。つまり、目をすこし閉じている状態が続くときであり、運転者の弱い眠気を検知していることになる。このとき、眠気を自覚しているかどうかは個人差があるため、先述した範囲で運転者ごとにThd1を変化させて不快感の軽減を図っている。
【0054】
一方、判定された眠気度合いがThd1以上と判定すると(S210YES)、判定された眠気度合いがThd2以上かを判定する(S220)。Thd2は、本実施例では4(定数)に設定される。Thd2は、運転者が強い眠気を感じているか否かを判定するための閾値であり、眠気度合いが4以上というのは、一回の瞬き時間において目が閉じられている時間の占める割合が大きく、運転者自身も目を閉じていたと認識できるくらい強い眠気に相当する。また、常にThd1<Thd2の関係を満たすことになる。
【0055】
そして、判定された眠気度合いがThd2未満と判定すると(S220NO)、覚醒支援開始について許可または不許可を示す情報を運転者に入力させるための画面を、タッチパネル画面30に表示する(S225)。具体的には「覚醒支援を開始しますか?」という文字を表示すると共に「Yes」「No」という文字によるタッチ入力用アイコン(以下、2つをまとめて「回答アイコン」と言う。)を表示し(図7参照)、さらに、回答アイコンを選ぶように運転者に促すための音声(例えば「覚醒支援を開始しますか?」)を、スピーカ16を介して出力する。
【0056】
次に、変数t0(S225からの経過時間を計測するために定義された変数)に、車内ネットワーク(図示なし)を介して取得した現時刻を格納する(S227)。そして、自動車のステアリングホイールの回転角(以下「ステア角」と言う。)の情報を、車内ネットワーク(図示なし)を介して取得すると共に、変数St0(ステア角を格納するために定義された変数)に格納する(S230)。なお、S225〜S230は、ごく短い時間で行われるので、順番に重要な技術的意義はなく、入れ替えてもよい。
【0057】
そして、回答アイコンが運転者によって選択されたかを、タッチパネル画面30に入力された情報に基づいて判定する(S235)。まだ選択されていないと判定すると(S235NO)、S225(質問の表示開始)の時点から10秒が経った(現時刻−t0≧10秒)かを判定する(S240)。10秒は経っていないと判定すると(S240NO)、S235に戻る。
【0058】
そして、S225で質問した時点から10秒以内に、回答アイコンがタッチされたと判定すると(S235YES)、選択されたのは「Yes」(つまり、覚醒支援開始の許可)かを判定する(S250)。選択されたのは「Yes」であると判定すると(S250YES)、現在のステア角の情報を車内ネットワークから取得して、そのステア角が直進に対応する角度であること、及びSt0から変化が無いことの少なくとも一方が満たされるかを判定する(S255)。
【0059】
この判定の目的は、運転者がステアリングホイールを操作中であることにより、タッチパネル画面30を操作できない状態にあるかを把握するためである。つまり、質問時点と回答時点とでステア角が異なる場合は、運転者はステアリング操作によって手が塞がっていることを原因として、回答までに時間が掛かっている可能性が考えられるので、その場合は、タッチパネル画面30を操作できない状態であったとする。ただし、その場合であっても、回答時点においてステア角が直進に対応していたときは、ステアリング操作に余裕があった可能性が高いので、タッチパネル画面30を操作できる状態であったとする。
【0060】
そして、ステア角が直進に対応する角度であること、及びSt0から変化が無いことの少なくとも一方が満たされると判定すると(S255YES)、反応時間(現時刻−t0)が所定時間Ta(例えば8秒)以上かを判定する(S260)。所定時間Ta未満と判定すると(S260NO)、S285に進む。一方、所定時間Ta以上と判定すると(S260YES)、Thd1を所定値(例えば、0.1)引下げて(S265)、S285に進む。
【0061】
このように、反応時間が長かった場合にThd1を引下げるのは、Thd1が大きすぎたと考えられるからである。すなわち、覚醒支援開始を運転者が希望しているのに、タッチパネル画面30を操作するまでに時間が掛かっていることということは、質問の認知や、回答のための判断・操作に支障を来すほどに眠気を感じている可能性が考えられる。つまり、もっと眠気度合いが低いうちにS225を実行すべきであったと言うことになるので、次回からそうするために、Thd1を引下げるのである。
【0062】
S285に進むと、順位付けポイントが最大の覚醒支援機器を1つ選択する。この順位付けポイントとは、後述する終了処理のS433やS465において上下するようになっているもので、優先して作動させたい覚醒支援機器ほど、順位付けポイントが高くなるようになっている。なお、デフォルト値は、全て0である。詳しくは、終了処理で後述する。なお、順位付けポイントが最大のものが複数ある場合は、その中からランダムに選択する。
【0063】
S285で覚醒支援機器を選択した後は、変数SL0(覚醒支援開始前の眠気度合いを格納するために定義された変数)に、直前の眠気度合い判定処理において判定された眠気度合いSLを格納する(S290)。そして、選択した覚醒支援機器を作動させることで、覚醒支援を開始する(S295)。そして、変数t1(覚醒支援の実行時間を測定するために定義された変数)に、車内ネットワークを介して取得した現時刻を格納して(S297)、開始処理を終える。なお、変数t1は、後述する終了処理において用いられる。
【0064】
一方、ステア角が直進に対応する角度であること、及びSt0から変化が無いことの両方ともが満たされないと判定すると(S255NO)、S285に進む。このように、反応時間に関わらずThd1を引下げないのは、先述したように、眠気が原因ではなく、ステアリング操作が原因で反応時間が長くなっている可能性が高いからである。
【0065】
一方、S225で質問した時点から10秒以内に選択されたのは「No」(つまり、覚醒支援開始の不許可)であると判定すると(S250NO)、反応時間が所定時間Tb(例えば2秒)以上かを判定する(S275)。反応時間が所定時間Tb以上と判定すると(S275YES)、覚醒支援を開始せずに、開始処理を終える。一方、反応時間が所定時間Tb未満と判定すると(S275NO)、Thd1を所定値(例えば、0.1(ただしS265と同じである必要はない))引上げて(S280)、覚醒支援を開始せずに、開始処理を終える。
【0066】
このように、反応時間が短かった場合にThd1を引上げるのは、運転者が不快感を覚えている可能性が考えられるからである。つまり、十分に覚醒しているにもかかわらず、S225において質問をされて、回答を求められていることに対して不快感を覚え、即座に反応したことによって反応時間が短くなった可能性があると言うことである。よって、もっと眠気度合いが高くなってからS225に進むべきであったことになるので、次回からそうするために、Thd1を引上げるのである。
【0067】
一方、眠気がThd2以上と判定すると(S220YES)、S285に進む。既に強い眠気を感じているので、質問によって運転者の意思を確認するまでもなく、直ぐに覚醒支援を開始するのが望ましいからである。
【0068】
一方、S225(質問開始)の時点から未回答のまま10秒が経ったと判定すると(S240YES)、S285に進む。このように、10秒間未回答の場合に覚醒支援を開始するのは、運転者が強い眠気を感じていることにより回答ができなかった可能性があるからである。そこで、安全のため覚醒支援を開始する。
【0069】
以上に述べたように、開始処理においては、運転者の眠気度合いや、質問(スピーカ16からの音声およびタッチパネル画面30の表示)に対する運転者の反応を加味して、覚醒支援を開始するかを判定する。さらに、運転者の反応に基づいて、質問のタイミングが適切だったかを判定し、適切でなかったと判定した場合にはThd1を適正化するようになっている。
【0070】
[2−3.覚醒支援処理のS300〜S340]
図3に戻る。開始処理を終えると、覚醒支援の実施中かを判定する(S300)。つまり、直前の開始処理において、S295を実行したかを判定する。覚醒支援の実施中でないと判定すると(S300NO)、眠気度合いが増大傾向かを判定する(S310)。具体的には、直前に実行された開始処理のS150において測定された眠気度合いと、更にその前に実行された眠気度合い判定処理(覚醒支援処理は繰り返し実行されるので、眠気度合い判定処理も繰り返し実行される)のS150において測定された眠気度合いとを比べて、前者の方が高ければ、眠気度合いが増大傾向であると判定する。
【0071】
そして、眠気度合いが増大傾向であると判定すると(S310YES)、Thd1を所定値(例えば0.1)引下げる(S320)。このようにする目的は、眠気度合いが増大傾向の場合は、覚醒支援の開始を早くした方が良いからである。S320の後は、眠気度合い判定処理に戻る。
【0072】
一方、眠気度合いが増大傾向でないと判定すると(S310NO)、眠気が減少傾向かを判定する(S330)。減少傾向の判定も、増大傾向の判定と同様な方法で行う。眠気が減少傾向であると判定すると(S330YES)、Thd1を引上げる(S340)。このようにする目的は、眠気度合いが減少傾向の場合は、覚醒支援が不要であると考えられるので、眠気度合いの測定誤差などによって誤って覚醒支援を開始しないようにするためである。S340の後は、眠気度合い判定処理に戻る。
【0073】
一方、眠気が減少傾向でないと判定すると(S330NO)、Thd1を変更せずに、眠気度合い判定処理に戻る。一方、覚醒支援の実施中であると判定すると(S300YES)、終了処理を実行する(S400)。
【0074】
[2−4.終了処理]
図8は、終了処理を示すフローチャートである。まず、作動している覚醒支援機器が特定可能な情報と終了アイコンとをタッチパネル画面30に表示する(S402)(図9参照)。終了アイコンとは、「OFF」という文字によるタッチ入力用アイコンであり、運転者が覚醒支援の終了を希望した場合にタッチするものである。なお、図9は、送風装置18(運転者の背中に風を当てる装置)が作動していることを図示したものである。
【0075】
そして、終了アイコンがタッチされたかを判定する(S405)。タッチされていないと判定すると(S405NO)、覚醒支援開始から10秒経ったか(現時刻−変数t1≧10s)を判定する(S410)。10秒は経っていないと判定すると(S410NO)、S405に戻る。つまり、終了アイコンがタッチされない限り、10秒間は覚醒支援を実施する。
【0076】
一方、10秒経ったと判定すると(S410YES)、覚醒支援開始から30秒経ったか(現時刻−変数t1≧30s)を判定する(S415)。30秒は経っていないと判定すると(S415NO)、眠気判定装置21が眠気度合い判定処理を実行する(S420)。内容はS100として既に説明したものと同じなので、ここでは説明を省く。
【0077】
そして、S420で判定された眠気度合い(SL)が、S100で判定された眠気度合い(SL0)よりも低い(SL−SL0<0)かを判定する(S430)。つまり、覚醒支援の効果が出たのかを判定している。そして、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低くない(つまり、同じ或いは高くて、効果が出ていない)と判定すると(S430NO)、S405に戻る。
【0078】
一方、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低い(効果が出た)と判定すると(S430YES)、現在実施している覚醒支援機器の順位付けポイントを1引上げる(S433)。そして、覚醒支援を終了し(S435)、変数t2(覚醒支援終了からの時間を計測するために定義された変数)に、車内ネットワークを介して取得した現時刻を格納し(S440)、S442に進む。
【0079】
S442では、タッチパネル画面30の表示を、開始処理以前(正確にはS225以前)の状態に戻す。そして、覚醒支援終了から30秒が経った(現時刻−変数t2≧30s)かを判定する(S445)。30秒は経っていないと判定すると(S445NO)、S445を繰り返し、30秒経ったと判定すると(S445YES)、終了処理を終える。
【0080】
このように、30秒待機するのは、覚醒支援終了から再開までのインターバルを確保するためである。連続して覚醒支援を実施することにより不快感や慣れが運転者に生じることを、このインターバルによって避けている。
【0081】
一方、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低くないという判定(S430NO)を繰り返している間に、覚醒支援開始から30秒経ったと判定すると(S415YES)、S420・S430・S433を飛ばして、S435に進む。つまり、順位付けポイントを変更することなく、終了処理を終えることになる。このように覚醒支援を終了するのは、効果がなかなか現れないので、一旦打ち切るためである。
【0082】
一方、終了アイコンがタッチされたと判定すると(S405YES)、覚醒支援を終了し(S450)、変数t2に、車内ネットワークを介して取得した現時刻を格納する(S455)。そして、覚醒支援の実行時間(S295で覚醒支援を開始してから、S450で終了するまでの時間)が10秒以上(変数t2−変数t1≧10s)かを判定する(S460)。10秒未満だったと判定すると(S460NO)、実行していた覚醒支援機器の順位付けポイントを1ポイント引下げて(S465)、S442に進む。
【0083】
このように、覚醒支援の実行時間が短かった場合に順位付けポイントを1引下げるのは、運転者が不快感を覚えている可能性が考えられるからである。つまり、開始した覚醒支援の種類が運転者の好みに合わないことが原因で不快感を覚え、開始から直ぐに(10秒未満で)終了を希望したという可能性が考えられるということである。
【0084】
一方、覚醒支援の実行時間は10秒以上だったと判定すると(S460YES)、順位付けポイントを変更せずに、S442に進む。つまり、覚醒支援を開始から10秒以上運転者が終了させないということは、その覚醒支援を運転者が甘受している可能性があり、不快感は少ないと考えられるからである。終了処理を終えると、図3に示すように、眠気度合い判定処理を再び実行する。
【0085】
[3.効果]
[3−1.覚醒支援の開始タイミングの適切化]
これまでに説明したように覚醒支援のトリガは、眠気度合いがThd1以上であること、かつ、次の<1>〜<3>の何れか1つが満たされることである。<1>質問に対する回答によって、覚醒支援を希望するという運転者の意思が確認できたこと、<2>質問をしてから10秒経っても回答が得られなかったこと、<3>眠気度合いがThd2以上であること。
【0086】
上記<1>によって得られる効果は、運転者の望まない覚醒支援を防止することで運転者に与える不快感を軽減しつつ、覚醒支援を適切なタイミングで開始できるようになることである。すなわち、覚醒支援をした方が良いか否か、判定が難しい微妙な眠気度合いを測定した場合、装置側で覚醒支援の開始を判断するのではなく、運転者に判断してもらうことによって、上記効果が得られる。
【0087】
上記<2>によって得られる効果は、必要な覚醒支援を見逃がすのを防止できることである。すなわち、眠気度合いがThd1に達した場合に、強い眠気が原因となって回答できない場合も考えられる。このような場合を考慮して、質問から10秒経過後に覚醒支援を開始することによって、必要な覚醒支援を見逃がさないようになっている。上記<3>によって得られる効果は、上記<2>と同様、必要な覚醒支援を見逃がすのを防止できることである。
【0088】
[3−2.質問のタイミングの適切化]
覚醒支援システム1においては、質問のタイミングはThd1の値で決まるので、Thd1がより適切になるように、運転者の反応時間(質問〜回答の時間)及び眠気度合いの変化の傾向に基づいて、Thd1を変更するようになっている。ただし、反応時間が長くても、ステアリングホイール操作中であればThd1を変更しない(引下げない)ようになっており、変更がより適切になるよう配慮されている。このように質問のタイミングが適切化されることで、「眠くないのに、覚醒支援を開始するかの質問をされた」として運転者が不快感を覚えることを防止できる。
【0089】
[3−3.覚醒支援の終了タイミングの適切化]
覚醒支援の終了のトリガは、<4>終了アイコンがタッチされたこと、<5>覚醒支援開始から10〜30秒経過時点において眠気度合いが低下(覚醒)したこと、<6>覚醒支援開始から30秒が経過したこと、の何れか1つが満たされることである。
【0090】
上記<4>によって得られる効果は、運転者が覚醒支援に不快感を覚えたら直ぐに終了できることである。上記<5>によって得られる効果は、必要以上に長く覚醒支援を実行することによって運転者に与える不快感や慣れを軽減できることである。また、覚醒支援開始から10秒未満では終了しない理由は、あまりに短い時間で覚醒支援が終了することによる違和感を軽減することである。例えば、1〜2秒で覚醒支援機器の動作が終了すると運転者は「何か装置が作動したが、すぐに終わってしまい何がやりたかったのだろうか」或いは「作動したにもかかわらず直ぐに止まってしまったので、故障しているのではないか」等といった疑問をもつことにより、違和感を覚える可能性がある。そこで少なくとも10秒以上は作動させて覚醒支援機器の動作目的を運転者に理解させる必要がある。 上記<6>によって得られる効果は、不必要に覚醒支援を継続することを防止できることである。すなわち、効果が現れない覚醒支援を長々と続けると、眠気度合いが上昇(より眠くなる)したり、或いは、不快感や慣れを与えたりすることが考えられる。そこで、30秒経過しても効果が現れない場合は、それ以上の継続は不必要であると考えて、覚醒支援を終了する。
【0091】
[3−4.覚醒支援の種類選択の適切化]
覚醒支援システム1においては、過去の覚醒支援の実行結果によって定まる評価に基づいて、実行する覚醒支援を複数種類の中から1つ選択するようになっている。このような選択によって、適切な覚醒支援の種類を選択できるようになっている。
【0092】
[4.特許請求の範囲との対応]
実施例と特許請求の範囲との対応を述べる。S100が眠気度合い測定手段、S225が質問手段、S235/S250が回答取得手段、S295が覚醒支援手段、S265/S280が変更手段、S230が回転角測定手段、S255が操作判定手段、S405が終了希望取得手段、S460/S465が評価手段、のソフトウェアに対応する。
【0093】
[5.他の形態]
[5−1.第2終了処理]
図10は、第2終了処理を示すフローチャートである。第2終了処理は先述した終了処理に替えて実行されるものであり、終了処理の一部が変更されたものである。ここでは、その変更された一部だけについて説明する。
【0094】
その変更は、S460をS461に置換したこと、並びに、S470及びS480の追加である。S461では、覚醒支援の実行時間が5秒以上(変数t2−変数t1≧5s)かを判定する。つまり、S460に対する変更点は、10秒を5秒にしたことである。
【0095】
そして、S461YESと判定すると、S470に進んで、S420で判定された眠気度合い(SL)が、S100で判定された眠気度合い(SL0)よりも低い(SL−SL0<0)かを判定する。S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低いと判定すると(S470YES)、現在実施している覚醒支援機器の順位付けポイントを1引上げて(S480)、S442に進む。
【0096】
一方、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低くないと判定すると(S470NO)、順位付けポイントを変更することなく、S442に進む。
【0097】
上記変更点は、終了アイコンがタッチされた場合にも、順位付けポイントを引上げるパターンを追加するためのものである。つまり「覚醒支援による効果が現れたのであれば、順位付けポイントに反映させる」という考えに基づく。
【0098】
なお、S460をS461に変更して、判定基準を5秒とした理由は、10秒のままだと、S480を実行する場合が存在しないからである。なぜなら、覚醒支援開始から10秒経過後に眠気度合いが改善した場合は、S430YESを経てS435と進んで覚醒支援が終了してしまい、運転者が終了アイコンをタッチする(S405YESと進む)機会がないからである。
【0099】
[5−2.回答が遅い場合のThd1の取り扱い]
開始処理のS255においては、質問時のステア角および回答時のステア角の比較、並びに回答時において直進か否かに基づいて、運転者の手が塞がっていたかを判定するようになっていた。この判定を、質問時から回答時までのステア角の履歴に基づくようにしても良い。例えば、質問時と回答時とでステア角は同じであっても、質問時から回答時においてステア角が変化した場合は、運転者の手が塞がっていたとして、Thd1を引下げないようにするということである。
【0100】
また、質問時〜回答時において、エアコンやナビゲーション装置が操作されていた場合は、Thd1を引下げないようにしてもよい。ただし、同乗者によって操作されている場合は、引下げないようするべきではないので、助手席に乗員がいることを検知して場合分けをする等の対処が必要となる。
【0101】
[5−3.終了希望取得手段をメインとした発明]
また、次の発明も考えられる。ユーザの眠気度合いを測定する眠気度合い測定手段と、前記眠気度合い測定手段の測定結果が基準値に達した場合に、ユーザの覚醒支援を開始する覚醒支援手段と、前記覚醒支援手段によって覚醒支援が行われている期間に、その覚醒支援の終了を希望する旨をユーザから取得する終了希望取得手段とを備え、前記覚醒支援手段は、覚醒支援の終了を希望する旨が前記終了希望取得手段によって取得されると、覚醒支援を終了することを特徴とする覚醒支援装置。
【0102】
上記発明は、請求項1のみを引用する請求項9に対して、質問手段と回答取得手段を除くと共に、覚醒支援手段が覚醒支援を開始するトリガを、眠気度合いが基準値に達したことに変更したものである。
【0103】
さらに、上記発明に、請求項11〜請求項13の記載内容を従属させた発明も考えられる。記載内容とは、上記発明と同様、質問手段と回答取得手段を除くと共に、覚醒支援手段が覚醒支援を開始するトリガを、眠気度合いが基準値に達したことに変更したものである。
【0104】
[5−4.その他]
眠気度合いの判定方法は、実施例で説明したものでなくても、他の方法でも構わない。また、実施例で述べた種々の設定値(Thd1の範囲、Thd2等)は、変更しても構わない。また、自動車搭載用でなくても、二輪車もしくは他の機械の操作者、又は、その他の居眠りを避けたい状況にあるユーザなどを対象として、本発明を適用しても良い。また、覚醒支援開始についての回答は、タッチパネル画面30の操作によらなくても、例えば、音声入力によって行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0105】
1…覚醒支援システム、10…覚醒支援制御装置、16…スピーカ、17…振動装置、18…送風装置、20…カメラ、21…眠気判定装置、30…タッチパネル画面
【技術分野】
【0001】
ユーザの覚醒を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居眠りを避けたい状況(自動車の運転中など)におけるユーザに対して、警告音を発したり、冷風を顔に当てたりすることで、覚醒を支援する(眠気を覚ます)覚醒支援装置が既に知られている。このような覚醒支援装置は、覚醒支援の開始タイミングが課題となることが多い。なぜなら、覚醒支援の適切な開始タイミングというのは、ユーザの個人差や体調に起因するところが大きいからである。
【0003】
すなわち、ユーザの表情などから推定された眠気度合いが基準値を超えた場合に覚醒支援を開始するようになっているとして、ユーザは、その眠気度合いにおける覚醒支援の開始は早すぎると不快感(違和感)を覚える場合もあれば、開始タイミングが遅すぎて既に強い眠気を感じている場合もあると考えられる。
【0004】
このような課題に関する技術として、例えば特許文献1には、どの程度の眠気を感じた場合に覚醒支援をするかを、ユーザが調整できるようにした技術が記載されている。ユーザは、このような調整によって、覚醒支援開始のタイミングをユーザの好みに合わせることで、不快感の軽減を図ることができる。
【0005】
また、特許文献2には、覚醒支援としての警告と、その他、自動車の運転に関して行う警告(例えば、シートベルト未着用に対する警告)とをする装置において、安全に関わる警告については、ユーザが停止できないようにする一方で、安全に関わらない警告については、ユーザが停止できるようにした技術が記載されている。この技術によれば、安全に関わらない警告について、ユーザが感じる不快感を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−40481号公報
【特許文献2】特開2007−320451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先述した従来技術の課題は、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立が図れていないことである。特許文献1に記載の技術の場合、ユーザが覚醒している場合に覚醒支援を受けたときは、覚醒支援開始の眠気の基準値をユーザが下げることができるので、不快感を軽減することはできる。しかし、逆に覚醒支援が必要なのに覚醒支援が開始されないような基準値が設定されている場合は、覚醒支援が必要な状況を見逃してしまい、覚醒支援を適切なタイミングで開始できないことになる。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術は、安全に関わらない場合について、不快感を軽減することはできる。しかし、肝心の安全に関わる覚醒支援の場合は、上記課題について考慮されていない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1の発明は、眠気度合い測定手段と、質問手段と、回答取得手段と、覚醒支援手段とを備えることを特徴とする覚醒支援装置である。
眠気度合い測定手段は、ユーザの眠気度合いを測定する。そして、質問手段は、眠気度合い測定手段の測定結果が基準値に達した場合に、覚醒支援の開始を希望するかをユーザに質問する。また、回答取得手段は、質問手段の質問に対する回答を、ユーザから取得する。そして、覚醒支援手段は、回答取得手段によって取得された回答が覚醒支援の開始の希望だった場合、ユーザの覚醒支援を開始する。
【0011】
この発明によれば、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を図ることができる。なぜなら、ユーザの眠気を検出した場合に直ぐ覚醒支援を行うのではなく、質問およびその回答によってユーザの希望を確認して、その確認に基づいて覚醒支援を開始するからである。つまり、眠気度合いの基準値を覚醒側(安全側)に設定することで覚醒支援が必要な状況の見逃しを防ぐようにしても、ユーザが希望しない(不快感を覚える)覚醒支援を避けることができるので、上記効果が得られることになる。
【0012】
ところで、ユーザが強い眠気を感じている場合は、質問してもユーザから回答がなかなか得られない場合も考えられる。このような場合、覚醒支援を早く開始すべきであるにもかかわらず、開始が遅れてしまいかねない。そこで、次のようにすると良い。
【0013】
請求項2に記載の覚醒支援装置が備える覚醒支援手段は、眠気度合い測定手段の測定結果が、請求項1に記載の基準値よりも強い眠気度合いに対応する第2基準値に達した場合には、回答取得手段によって回答が取得されるのを待たずに、ユーザの覚醒支援を開始する。
【0014】
この発明によれば、眠気度合いが第2基準値に達した場合は、ユーザの希望の確認を省いて直ぐに覚醒支援を行うことにより、適切なタイミングを逃さず覚醒支援を開始できる。また、第2基準値を強い眠気に対応させておけば、眠気度合いが第2基準値に達した場合は、「眠気を感じていないのに覚醒支援をされた」として不快感を覚えるユーザは、ほとんどいないと考えられるので、回答を待たずに覚醒支援を行っても支障は無い。なお、眠気度合いが第2基準値に達した場合は回答を待たずに覚醒支援を開始するので、質問手段は質問をする必要がない。
【0015】
ところで、覚醒支援ほどではないにせよ、眠気を感じていないのに質問されることに対して、不快感を覚えるユーザがいることも考えられる。よって、ユーザに与える不快感をより低減するには、質問のタイミングを適切にすることが望ましい。そこで次のようにすると良い。
【0016】
請求項3に記載の覚醒支援装置は、質問手段が質問してから回答取得手段が回答を取得するまでの時間である反応時間に基づいて、請求項1に記載の基準値(以下、第2基準値と区別するために、[発明が解決しようとする課題]においては「第1基準値」という。)を変更する変更手段を備える。
【0017】
この発明によれば、覚醒支援を適切なタイミングで開始することと、ユーザに与える不快感の軽減との両立を一層向上させることができる。すなわち、この発明の覚醒支援装置は、質問から回答までの時間を質問のタイミングが適切だったかの指標とし、この指標に基づいて第1基準値を変更することによって、質問のタイミングを変更する構成になっている。このようにして質問のタイミングを適切化することにより、ユーザが覚醒支援の開始を望んでいるタイミングに、質問のタイミングを近付けることができるので、上記効果が得られることになる。
【0018】
ところで、上記請求項3に記載の発明は、具体的には次のようにすると良い。
請求項4に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援の開始を希望しないという回答が回答取得手段によって取得された場合に、反応時間が所定の引上げ基準時間未満だったときは、第1基準値を引上げる。
【0019】
覚醒支援の開始を希望していない場合に反応時間が短いということは、ユーザは眠気を感じていないと考えられる。そして、眠気を感じていないユーザに質問すると、不快感を与えかねない。このような場合は、質問のタイミングが早かったことになる。そこで、この発明は、このような場合において第1基準値を引上げることによって、次回からの質問のタイミングを遅くするようになっている。
【0020】
ところで、上記請求項3又は請求項4に記載の発明は、具体的には次のようにすると良い。
請求項5に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援の開始を希望するという回答が回答取得手段によって取得された場合に、反応時間が所定の引下げ基準時間以上だったときは、第1基準値を引下げる。
【0021】
覚醒支援の開始を希望している場合に反応時間が長いということは、「ユーザが既に強い眠気を感じており、質問の認知や、回答のための判断・動作に時間がかかっている」ことが考えられる。このような場合は、質問のタイミングが遅かったことになる。そこで、この発明の覚醒支援装置は、このような場合において第1基準値を引下げることによって、次回からの質問のタイミングを早くするようになっている。
【0022】
ところで、これまでに述べた覚醒支援装置の用途としては、車両搭載用が一例として考えられる。つまり、運転者に対して覚醒支援をし、居眠り運転を予防するという用途である。この用途において、指などによる接触操作によって回答をする構成を前提にした場合、運転者はステアリングホイールの操作中に質問されると手が塞がっているので、眠気を感じていなくても回答するまでに時間がかかってしまう場合も考えられる。このように、反応時間が長くなる原因が眠気以外にもあることを考慮して、次のようにすると良い。
【0023】
請求項6に記載の覚醒支援装置は、車両に搭載されるものであり、回転角測定手段と、操作判定手段とを備える。回転角測定手段は、車両のステアリングホイールの回転角を測定する。また、操作判定手段は、回転角測定手段によって測定された回転角に基づいて、ステアリングホイールの操作中であるかを判定する。そして、回答取得手段は、ユーザの接触操作に基づいて回答を取得する。また、変更手段は、質問手段が質問してから回答取得手段が回答を取得するまでにおいてステアリングホイールが操作されたと操作判定手段によって判定された場合は、反応時間に関わらず第1基準値を引下げない。
【0024】
この発明によれば、質問手段が質問してから回答取得手段が回答を取得するまでにおいて、運転者がステアリングホイールの操作をしている場合は第1基準値が変更されないので、質問のタイミングの変更が適切に行われることになる。なお「ステアリングホイールが操作されている」か否かの判定方法は、例えば、質問時および回答時の回転角の比較に基づいたり、質問時から回答時までの回転角の履歴に基づいたりする方法が考えられる。また、運転者の手によって操作されることが担保されている装置の操作についても、第1基準値を引下げるか否かの判定基準に加味しても良い。例えば、助手席に同乗者がいない場合おける、エアコンやナビゲーション装置などの車載装置の操作が考えられる。
【0025】
ところで、覚醒支援を実行していない期間に眠気度合いが増大している場合には、現在設定されている第1基準値に達するまで待機せず、早目に覚醒支援を開始した方が良いことも考えられる。そこで次のようにすると良い。
【0026】
請求項7に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが増大傾向にある場合は、第1基準値を引下げる。
【0027】
この発明によれば、眠気度合いが増大している場合において、覚醒支援の開始タイミングが遅れるのを防止できる。
ところで、覚醒支援を実行していない期間に眠気度合いが減少している場合は、覚醒支援が不要であると考えられる。このような場合に、眠気度合いの測定誤差等で覚醒支援を開始してしまうと、ユーザに不快感を与えてしまう場合も考えられる。そこで次のようにすると良い。
【0028】
請求項8に記載の覚醒支援装置が備える変更手段は、覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが減少傾向にある場合は、第1基準値を引上げる。
【0029】
この発明によれば、眠気度合いが減少している場合において、不要な覚醒支援を開始することを防止できる。
ところで、覚醒支援を終了してから直ぐに再開すると、ユーザが不快感を覚えたり、覚醒支援に対して慣れてしまい効果が薄くなったりする場合がある。そこで次のようにすると良い。
【0030】
請求項9に記載の覚醒支援装置が備える覚醒支援手段は、覚醒支援を終了してから所定時間が経過するまでは、覚醒支援を再開しない。
この発明によれば、覚醒支援を終了した後は、所定時間が経つまでは覚醒支援を再開しないようになっているので、ユーザが不快感を覚えたり、覚醒支援に対して慣れてしまい効果が薄くなったりすることを防止できる。
【0031】
ところで、覚醒支援の終了タイミングは、例えば「覚醒支援の開始から所定時間の経過後」とすることもできるが、必ずしも適切なタイミングになるとは限らない。そこで次のようにすると良い。
【0032】
請求項10に記載の覚醒支援装置は、覚醒支援手段によって覚醒支援が行われている期間に、その覚醒支援の終了を希望する旨をユーザから取得する終了希望取得手段を備える。そして、覚醒支援手段は、覚醒支援の終了を希望する旨が終了希望取得手段によって取得されると、覚醒支援を終了する。
【0033】
この発明によれば、ユーザが希望するタイミングで覚醒支援を終了するので、必要以上に長くなりすぎないタイミングで覚醒支援を終了できる。なお、覚醒支援手段が覚醒支援の終了は、終了希望の旨が取得された場合だけとした構成でもよいし、その場合に加えて、先述したように「覚醒支援の開始から所定時間の経過後」に終了したり、「覚醒支援の開始時に対して、眠気度合いが低くなった場合」に終了したりする構成にしてもよい。
【0034】
ところで、覚醒支援の種類が1種類のみだと、ユーザの好みに合わなかったり、何度か実行している期間にユーザが慣れてしまったりする場合が考えられる。よって、覚醒支援の種類は、複数種類の中から選択できるのが望ましいが、このような選択ができる場合は、その選択の方法を決める必要がある。例えばユーザに選択させることもできるが、覚醒支援を開始する度に選択するのは煩わしい。そこで次のようにすると良い。
【0035】
請求項11に記載の覚醒支援装置が備える覚醒支援手段は、実行可能な複数種類の覚醒支援の中から、何れかを選択して実行する。また、この覚醒支援装置は、複数種類の覚醒支援それぞれを、その覚醒支援それぞれの開始から、終了希望取得手段が終了希望の旨を取得するまでの時間である実行時間に基づいて評価する評価手段を備える。そして、覚醒支援手段は、評価手段による評価が高い覚醒支援を優先的に選択する。
【0036】
この発明によれば、ユーザに選択させなくても、覚醒支援装置が自動的に選択するので、ユーザに煩わしさを感じさせることがない。さらに、この発明によれば、実行時間によって定まる評価に基づいて、適切な覚醒支援の選択ができる。
【0037】
ところで、上記請求項11に記載の覚醒支援装置は、具体的には次のようにすると良い。
請求項12に記載の覚醒支援装置が備える評価手段は、覚醒支援の実行時間が閾値未満だった場合、その覚醒支援の評価を、その覚醒支援の開始前よりも低くする。
【0038】
このような評価をする理由は、実行時間が閾値未満(短時間)だったということは、ユーザが不快感を覚えることで、開始から直ぐに終了を希望したと考えられるからである。このようにして、本発明の覚醒支援装置は、適切な覚醒支援の選択が行えるようになる。
【0039】
ところで、覚醒支援の評価は、実行時間だけでなく、他にも基準がある方が望ましい。そこで次のようにすると良い。
請求項13に記載の覚醒支援装置が備える評価手段は、覚醒支援の開始時における眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いに対して、その覚醒支援の終了時における眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いの方が低かった場合、その覚醒支援を、その覚醒支援の開始前よりも高く評価する。
【0040】
この発明によれば、眠気度合いも指標とすることで、より適切に評価ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】覚醒支援システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】覚醒支援システムを搭載した自動車の車室内を示した図。
【図3】覚醒支援処理を示すフローチャート。
【図4】眠気度合い判定処理を示すフローチャート。
【図5】目の開度および瞬き時間についての図。
【図6】開始処理を示すフローチャート。
【図7】回答アイコンを示す図。
【図8】終了処理を示すフローチャート。
【図9】作動している覚醒支援機器が特定可能な情報および終了アイコンを示す図。
【図10】第2終了処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[1.ハードウェア構成]
図1は、本発明が適用された覚醒支援システム1の概略構成を示したブロック図である。この覚醒支援システム1は、自動車に搭載され、運転者の眠気度合いに応じて運転者の覚醒を支援する。図2は、覚醒支援システム1を構成する各部が車室内に配置された様子を示した図である。図1、図2に示すように、覚醒支援システム1は、覚醒支援制御装置10、スピーカ16、振動装置17、送風装置18、カメラ20、眠気判定装置21及びタッチパネル画面30を備える。
【0043】
カメラ20は、インストルメントパネル内に配置され、運転者の顔面を含む画像(具体的には、肩付近から上側の部位の画像)を撮影する。タッチパネル画面30は、ナビゲーション装置や、他の車載機器(エアコン等)に関する情報表示および情報入力のためのユーザインターフェイスとして機能し、さらに、後述する覚醒支援の開始や終了を希望するかについての質問の表示や、回答の入力のために用いられる(詳細後述)。
【0044】
スピーカ16は、音楽やナビゲーション機能のための音声、さらに、覚醒支援のための警告音等を出力するために用いられる。振動装置17は、覚醒支援のために、運転者の臀部付近および背中に振動を与えるものであり、運転席の座面内部に設置されている。送風装置18は、運転者の背中に風を当てるものであり、運転席の背もたれの表面部に設置されている。
【0045】
覚醒支援制御装置10や眠気判定装置21は、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイコンである。眠気判定装置21は、カメラ20によって撮影された画像に基づいて、運転者の眠気度合いを判定(推定)する。覚醒支援制御装置10は、眠気判定装置21によって判定された眠気度合いと、タッチパネル画面30に入力された情報とに基づきスピーカ16、振動装置17、及び送風装置18を制御することによって、覚醒支援を実現する。なお、覚醒支援のための刺激を与えるスピーカ16、振動装置17、及び送風装置18を総称して「覚醒支援機器」と呼ぶ。覚醒支援制御装置10や眠気判定装置21が覚醒支援のために実行する処理を、次から説明する。
【0046】
[2.覚醒支援処理]
図3は、覚醒支援処理を示すフローチャートである。この覚醒支援処理は、自動車が走行可能な期間(原動機(エンジンやモータ)の作動時)に常時、実行される処理である。図3に示すように覚醒支援処理は、眠気度合い判定処理(S100)、開始処理(S200)、S300〜S340、及び終了処理(S400)から構成されており、眠気度合い判定処理の実行主体は眠気判定装置21、開始処理(S200)、S300〜S340、及び終了処理(S400)の実行主体は、覚醒支援制御装置10である。
【0047】
[2−1.眠気度合い判定処理]
眠気度合い判定処理は、公知の技術を用いて、運転者の眠気度合いを判定するためのものである。なお、本実施例では、特開2008−167806号公報(本願と同一出願人の公開公報)に掲載されている技術を用いる。
【0048】
眠気度合い判定処理を説明するために、図4に移る。図4は、眠気度合い判定処理を示すフローチャートである。眠気判定装置21が眠気度合い判定処理を開始すると、カメラ20から、運転者の顔面を含む画像を取得する(S110)。そして、その画像から、運転者の顔面の輪郭によって囲まれる領域(顔面領域)を抽出する(S120)。
【0049】
さらに、その抽出された顔面領域から、運転者の上まぶた及び下まぶたを含む目の周辺領域を抽出する(S130)。そして、S130で抽出された目の周辺領域に基づき、運転者の目の開度を測定する(S140)。具体的には、S130で抽出された目の周辺領域の画像に基づいて、図5(A)に示すように、目の周辺領域中の眼球とまぶたとの輝度差に基づき、上まぶたの最上点と下まぶたの最下点との距離を算出する。上記「目の開度」とは、この距離を規格化した値のことである。なお、この規格化は、運転者が覚醒している運転開始直後の所定時間内での最大の距離を測定・記憶し、その距離を100%として行う。
【0050】
そして、S140で算出された目の開度と時間との関係(図5(B)参照)に基づき、運転者の眠気度合い(SL)を判定する(S150)。目の開度と時間との関係とは、S140を実行する度に算出される目の開度を、時間軸に沿って並べることによって得られる関係のことである。
【0051】
そして、眠気度合いの判定基準は、「一回の瞬き時間において、目が閉じられている時間が占める割合が大きい程、眠気度合いが大きい」となっており、判定結果は、0(最も覚醒した状態)〜5(最も眠気を感じている状態)の整数によって、6段階で表される。なお「一回の瞬き時間」とは、目の開度が所定値以下になっている時間で定義される。一方「目が閉じられている時間」は、目の開度が別の所定値(「一回の瞬き時間」についての所定値よりも小さい値)以下になっている時間で定義される。
【0052】
眠気度合いは、目を閉じているような強い眠気から、それに気づいて運転者自身が意識的に目を見開いて強い眠気を回避するといったように、時々刻々大きく変化する。これから説明するステップ(S200からS400)がその変化の影響をじかに受けると、運転者が不快感を覚えてしまう可能性がある。その大きい変化を回避するために、眠気度合いは過去一定時間(例えば5秒)の移動平均をとり、小数点以下1位まで定義し、出力する。しかし、強い眠気の場合(眠気度合いが4と5)にはすぐに覚醒支援したほうがよいため、移動平均値ではなく瞬時の眠気度合いを出力する。
【0053】
S150を実行すると、眠気度合い判定処理を終える。ここで図3に戻る。図3に示すように、眠気度合い判定処理を終えると、開始処理を実行する(S200)。
[2−2.開始処理]
図6は、開始処理を示すフローチャートである。眠気判定装置21による眠気度合い判定処理の実行が終了すると、覚醒支援制御装置10は、開始処理を開始して、眠気度合い判定処理のS150において判定された眠気度合いが、Thd1(Threshold(基準値)1)以上かを判定する(S210)。眠気度合いがThd1未満と判定すると(S210NO)、開始処理を終える。この場合、覚醒支援を開始しないことになる。なお、Thd1は、1≦Thd1≦3.5の範囲の変数であり、小数点以下1位まで定義されている。また、デフォルト値は、本実施例では2に設定される。眠気度合いが2の場合、一回の瞬き時間は長いが、目の閉じられている時間がない。つまり、目をすこし閉じている状態が続くときであり、運転者の弱い眠気を検知していることになる。このとき、眠気を自覚しているかどうかは個人差があるため、先述した範囲で運転者ごとにThd1を変化させて不快感の軽減を図っている。
【0054】
一方、判定された眠気度合いがThd1以上と判定すると(S210YES)、判定された眠気度合いがThd2以上かを判定する(S220)。Thd2は、本実施例では4(定数)に設定される。Thd2は、運転者が強い眠気を感じているか否かを判定するための閾値であり、眠気度合いが4以上というのは、一回の瞬き時間において目が閉じられている時間の占める割合が大きく、運転者自身も目を閉じていたと認識できるくらい強い眠気に相当する。また、常にThd1<Thd2の関係を満たすことになる。
【0055】
そして、判定された眠気度合いがThd2未満と判定すると(S220NO)、覚醒支援開始について許可または不許可を示す情報を運転者に入力させるための画面を、タッチパネル画面30に表示する(S225)。具体的には「覚醒支援を開始しますか?」という文字を表示すると共に「Yes」「No」という文字によるタッチ入力用アイコン(以下、2つをまとめて「回答アイコン」と言う。)を表示し(図7参照)、さらに、回答アイコンを選ぶように運転者に促すための音声(例えば「覚醒支援を開始しますか?」)を、スピーカ16を介して出力する。
【0056】
次に、変数t0(S225からの経過時間を計測するために定義された変数)に、車内ネットワーク(図示なし)を介して取得した現時刻を格納する(S227)。そして、自動車のステアリングホイールの回転角(以下「ステア角」と言う。)の情報を、車内ネットワーク(図示なし)を介して取得すると共に、変数St0(ステア角を格納するために定義された変数)に格納する(S230)。なお、S225〜S230は、ごく短い時間で行われるので、順番に重要な技術的意義はなく、入れ替えてもよい。
【0057】
そして、回答アイコンが運転者によって選択されたかを、タッチパネル画面30に入力された情報に基づいて判定する(S235)。まだ選択されていないと判定すると(S235NO)、S225(質問の表示開始)の時点から10秒が経った(現時刻−t0≧10秒)かを判定する(S240)。10秒は経っていないと判定すると(S240NO)、S235に戻る。
【0058】
そして、S225で質問した時点から10秒以内に、回答アイコンがタッチされたと判定すると(S235YES)、選択されたのは「Yes」(つまり、覚醒支援開始の許可)かを判定する(S250)。選択されたのは「Yes」であると判定すると(S250YES)、現在のステア角の情報を車内ネットワークから取得して、そのステア角が直進に対応する角度であること、及びSt0から変化が無いことの少なくとも一方が満たされるかを判定する(S255)。
【0059】
この判定の目的は、運転者がステアリングホイールを操作中であることにより、タッチパネル画面30を操作できない状態にあるかを把握するためである。つまり、質問時点と回答時点とでステア角が異なる場合は、運転者はステアリング操作によって手が塞がっていることを原因として、回答までに時間が掛かっている可能性が考えられるので、その場合は、タッチパネル画面30を操作できない状態であったとする。ただし、その場合であっても、回答時点においてステア角が直進に対応していたときは、ステアリング操作に余裕があった可能性が高いので、タッチパネル画面30を操作できる状態であったとする。
【0060】
そして、ステア角が直進に対応する角度であること、及びSt0から変化が無いことの少なくとも一方が満たされると判定すると(S255YES)、反応時間(現時刻−t0)が所定時間Ta(例えば8秒)以上かを判定する(S260)。所定時間Ta未満と判定すると(S260NO)、S285に進む。一方、所定時間Ta以上と判定すると(S260YES)、Thd1を所定値(例えば、0.1)引下げて(S265)、S285に進む。
【0061】
このように、反応時間が長かった場合にThd1を引下げるのは、Thd1が大きすぎたと考えられるからである。すなわち、覚醒支援開始を運転者が希望しているのに、タッチパネル画面30を操作するまでに時間が掛かっていることということは、質問の認知や、回答のための判断・操作に支障を来すほどに眠気を感じている可能性が考えられる。つまり、もっと眠気度合いが低いうちにS225を実行すべきであったと言うことになるので、次回からそうするために、Thd1を引下げるのである。
【0062】
S285に進むと、順位付けポイントが最大の覚醒支援機器を1つ選択する。この順位付けポイントとは、後述する終了処理のS433やS465において上下するようになっているもので、優先して作動させたい覚醒支援機器ほど、順位付けポイントが高くなるようになっている。なお、デフォルト値は、全て0である。詳しくは、終了処理で後述する。なお、順位付けポイントが最大のものが複数ある場合は、その中からランダムに選択する。
【0063】
S285で覚醒支援機器を選択した後は、変数SL0(覚醒支援開始前の眠気度合いを格納するために定義された変数)に、直前の眠気度合い判定処理において判定された眠気度合いSLを格納する(S290)。そして、選択した覚醒支援機器を作動させることで、覚醒支援を開始する(S295)。そして、変数t1(覚醒支援の実行時間を測定するために定義された変数)に、車内ネットワークを介して取得した現時刻を格納して(S297)、開始処理を終える。なお、変数t1は、後述する終了処理において用いられる。
【0064】
一方、ステア角が直進に対応する角度であること、及びSt0から変化が無いことの両方ともが満たされないと判定すると(S255NO)、S285に進む。このように、反応時間に関わらずThd1を引下げないのは、先述したように、眠気が原因ではなく、ステアリング操作が原因で反応時間が長くなっている可能性が高いからである。
【0065】
一方、S225で質問した時点から10秒以内に選択されたのは「No」(つまり、覚醒支援開始の不許可)であると判定すると(S250NO)、反応時間が所定時間Tb(例えば2秒)以上かを判定する(S275)。反応時間が所定時間Tb以上と判定すると(S275YES)、覚醒支援を開始せずに、開始処理を終える。一方、反応時間が所定時間Tb未満と判定すると(S275NO)、Thd1を所定値(例えば、0.1(ただしS265と同じである必要はない))引上げて(S280)、覚醒支援を開始せずに、開始処理を終える。
【0066】
このように、反応時間が短かった場合にThd1を引上げるのは、運転者が不快感を覚えている可能性が考えられるからである。つまり、十分に覚醒しているにもかかわらず、S225において質問をされて、回答を求められていることに対して不快感を覚え、即座に反応したことによって反応時間が短くなった可能性があると言うことである。よって、もっと眠気度合いが高くなってからS225に進むべきであったことになるので、次回からそうするために、Thd1を引上げるのである。
【0067】
一方、眠気がThd2以上と判定すると(S220YES)、S285に進む。既に強い眠気を感じているので、質問によって運転者の意思を確認するまでもなく、直ぐに覚醒支援を開始するのが望ましいからである。
【0068】
一方、S225(質問開始)の時点から未回答のまま10秒が経ったと判定すると(S240YES)、S285に進む。このように、10秒間未回答の場合に覚醒支援を開始するのは、運転者が強い眠気を感じていることにより回答ができなかった可能性があるからである。そこで、安全のため覚醒支援を開始する。
【0069】
以上に述べたように、開始処理においては、運転者の眠気度合いや、質問(スピーカ16からの音声およびタッチパネル画面30の表示)に対する運転者の反応を加味して、覚醒支援を開始するかを判定する。さらに、運転者の反応に基づいて、質問のタイミングが適切だったかを判定し、適切でなかったと判定した場合にはThd1を適正化するようになっている。
【0070】
[2−3.覚醒支援処理のS300〜S340]
図3に戻る。開始処理を終えると、覚醒支援の実施中かを判定する(S300)。つまり、直前の開始処理において、S295を実行したかを判定する。覚醒支援の実施中でないと判定すると(S300NO)、眠気度合いが増大傾向かを判定する(S310)。具体的には、直前に実行された開始処理のS150において測定された眠気度合いと、更にその前に実行された眠気度合い判定処理(覚醒支援処理は繰り返し実行されるので、眠気度合い判定処理も繰り返し実行される)のS150において測定された眠気度合いとを比べて、前者の方が高ければ、眠気度合いが増大傾向であると判定する。
【0071】
そして、眠気度合いが増大傾向であると判定すると(S310YES)、Thd1を所定値(例えば0.1)引下げる(S320)。このようにする目的は、眠気度合いが増大傾向の場合は、覚醒支援の開始を早くした方が良いからである。S320の後は、眠気度合い判定処理に戻る。
【0072】
一方、眠気度合いが増大傾向でないと判定すると(S310NO)、眠気が減少傾向かを判定する(S330)。減少傾向の判定も、増大傾向の判定と同様な方法で行う。眠気が減少傾向であると判定すると(S330YES)、Thd1を引上げる(S340)。このようにする目的は、眠気度合いが減少傾向の場合は、覚醒支援が不要であると考えられるので、眠気度合いの測定誤差などによって誤って覚醒支援を開始しないようにするためである。S340の後は、眠気度合い判定処理に戻る。
【0073】
一方、眠気が減少傾向でないと判定すると(S330NO)、Thd1を変更せずに、眠気度合い判定処理に戻る。一方、覚醒支援の実施中であると判定すると(S300YES)、終了処理を実行する(S400)。
【0074】
[2−4.終了処理]
図8は、終了処理を示すフローチャートである。まず、作動している覚醒支援機器が特定可能な情報と終了アイコンとをタッチパネル画面30に表示する(S402)(図9参照)。終了アイコンとは、「OFF」という文字によるタッチ入力用アイコンであり、運転者が覚醒支援の終了を希望した場合にタッチするものである。なお、図9は、送風装置18(運転者の背中に風を当てる装置)が作動していることを図示したものである。
【0075】
そして、終了アイコンがタッチされたかを判定する(S405)。タッチされていないと判定すると(S405NO)、覚醒支援開始から10秒経ったか(現時刻−変数t1≧10s)を判定する(S410)。10秒は経っていないと判定すると(S410NO)、S405に戻る。つまり、終了アイコンがタッチされない限り、10秒間は覚醒支援を実施する。
【0076】
一方、10秒経ったと判定すると(S410YES)、覚醒支援開始から30秒経ったか(現時刻−変数t1≧30s)を判定する(S415)。30秒は経っていないと判定すると(S415NO)、眠気判定装置21が眠気度合い判定処理を実行する(S420)。内容はS100として既に説明したものと同じなので、ここでは説明を省く。
【0077】
そして、S420で判定された眠気度合い(SL)が、S100で判定された眠気度合い(SL0)よりも低い(SL−SL0<0)かを判定する(S430)。つまり、覚醒支援の効果が出たのかを判定している。そして、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低くない(つまり、同じ或いは高くて、効果が出ていない)と判定すると(S430NO)、S405に戻る。
【0078】
一方、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低い(効果が出た)と判定すると(S430YES)、現在実施している覚醒支援機器の順位付けポイントを1引上げる(S433)。そして、覚醒支援を終了し(S435)、変数t2(覚醒支援終了からの時間を計測するために定義された変数)に、車内ネットワークを介して取得した現時刻を格納し(S440)、S442に進む。
【0079】
S442では、タッチパネル画面30の表示を、開始処理以前(正確にはS225以前)の状態に戻す。そして、覚醒支援終了から30秒が経った(現時刻−変数t2≧30s)かを判定する(S445)。30秒は経っていないと判定すると(S445NO)、S445を繰り返し、30秒経ったと判定すると(S445YES)、終了処理を終える。
【0080】
このように、30秒待機するのは、覚醒支援終了から再開までのインターバルを確保するためである。連続して覚醒支援を実施することにより不快感や慣れが運転者に生じることを、このインターバルによって避けている。
【0081】
一方、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低くないという判定(S430NO)を繰り返している間に、覚醒支援開始から30秒経ったと判定すると(S415YES)、S420・S430・S433を飛ばして、S435に進む。つまり、順位付けポイントを変更することなく、終了処理を終えることになる。このように覚醒支援を終了するのは、効果がなかなか現れないので、一旦打ち切るためである。
【0082】
一方、終了アイコンがタッチされたと判定すると(S405YES)、覚醒支援を終了し(S450)、変数t2に、車内ネットワークを介して取得した現時刻を格納する(S455)。そして、覚醒支援の実行時間(S295で覚醒支援を開始してから、S450で終了するまでの時間)が10秒以上(変数t2−変数t1≧10s)かを判定する(S460)。10秒未満だったと判定すると(S460NO)、実行していた覚醒支援機器の順位付けポイントを1ポイント引下げて(S465)、S442に進む。
【0083】
このように、覚醒支援の実行時間が短かった場合に順位付けポイントを1引下げるのは、運転者が不快感を覚えている可能性が考えられるからである。つまり、開始した覚醒支援の種類が運転者の好みに合わないことが原因で不快感を覚え、開始から直ぐに(10秒未満で)終了を希望したという可能性が考えられるということである。
【0084】
一方、覚醒支援の実行時間は10秒以上だったと判定すると(S460YES)、順位付けポイントを変更せずに、S442に進む。つまり、覚醒支援を開始から10秒以上運転者が終了させないということは、その覚醒支援を運転者が甘受している可能性があり、不快感は少ないと考えられるからである。終了処理を終えると、図3に示すように、眠気度合い判定処理を再び実行する。
【0085】
[3.効果]
[3−1.覚醒支援の開始タイミングの適切化]
これまでに説明したように覚醒支援のトリガは、眠気度合いがThd1以上であること、かつ、次の<1>〜<3>の何れか1つが満たされることである。<1>質問に対する回答によって、覚醒支援を希望するという運転者の意思が確認できたこと、<2>質問をしてから10秒経っても回答が得られなかったこと、<3>眠気度合いがThd2以上であること。
【0086】
上記<1>によって得られる効果は、運転者の望まない覚醒支援を防止することで運転者に与える不快感を軽減しつつ、覚醒支援を適切なタイミングで開始できるようになることである。すなわち、覚醒支援をした方が良いか否か、判定が難しい微妙な眠気度合いを測定した場合、装置側で覚醒支援の開始を判断するのではなく、運転者に判断してもらうことによって、上記効果が得られる。
【0087】
上記<2>によって得られる効果は、必要な覚醒支援を見逃がすのを防止できることである。すなわち、眠気度合いがThd1に達した場合に、強い眠気が原因となって回答できない場合も考えられる。このような場合を考慮して、質問から10秒経過後に覚醒支援を開始することによって、必要な覚醒支援を見逃がさないようになっている。上記<3>によって得られる効果は、上記<2>と同様、必要な覚醒支援を見逃がすのを防止できることである。
【0088】
[3−2.質問のタイミングの適切化]
覚醒支援システム1においては、質問のタイミングはThd1の値で決まるので、Thd1がより適切になるように、運転者の反応時間(質問〜回答の時間)及び眠気度合いの変化の傾向に基づいて、Thd1を変更するようになっている。ただし、反応時間が長くても、ステアリングホイール操作中であればThd1を変更しない(引下げない)ようになっており、変更がより適切になるよう配慮されている。このように質問のタイミングが適切化されることで、「眠くないのに、覚醒支援を開始するかの質問をされた」として運転者が不快感を覚えることを防止できる。
【0089】
[3−3.覚醒支援の終了タイミングの適切化]
覚醒支援の終了のトリガは、<4>終了アイコンがタッチされたこと、<5>覚醒支援開始から10〜30秒経過時点において眠気度合いが低下(覚醒)したこと、<6>覚醒支援開始から30秒が経過したこと、の何れか1つが満たされることである。
【0090】
上記<4>によって得られる効果は、運転者が覚醒支援に不快感を覚えたら直ぐに終了できることである。上記<5>によって得られる効果は、必要以上に長く覚醒支援を実行することによって運転者に与える不快感や慣れを軽減できることである。また、覚醒支援開始から10秒未満では終了しない理由は、あまりに短い時間で覚醒支援が終了することによる違和感を軽減することである。例えば、1〜2秒で覚醒支援機器の動作が終了すると運転者は「何か装置が作動したが、すぐに終わってしまい何がやりたかったのだろうか」或いは「作動したにもかかわらず直ぐに止まってしまったので、故障しているのではないか」等といった疑問をもつことにより、違和感を覚える可能性がある。そこで少なくとも10秒以上は作動させて覚醒支援機器の動作目的を運転者に理解させる必要がある。 上記<6>によって得られる効果は、不必要に覚醒支援を継続することを防止できることである。すなわち、効果が現れない覚醒支援を長々と続けると、眠気度合いが上昇(より眠くなる)したり、或いは、不快感や慣れを与えたりすることが考えられる。そこで、30秒経過しても効果が現れない場合は、それ以上の継続は不必要であると考えて、覚醒支援を終了する。
【0091】
[3−4.覚醒支援の種類選択の適切化]
覚醒支援システム1においては、過去の覚醒支援の実行結果によって定まる評価に基づいて、実行する覚醒支援を複数種類の中から1つ選択するようになっている。このような選択によって、適切な覚醒支援の種類を選択できるようになっている。
【0092】
[4.特許請求の範囲との対応]
実施例と特許請求の範囲との対応を述べる。S100が眠気度合い測定手段、S225が質問手段、S235/S250が回答取得手段、S295が覚醒支援手段、S265/S280が変更手段、S230が回転角測定手段、S255が操作判定手段、S405が終了希望取得手段、S460/S465が評価手段、のソフトウェアに対応する。
【0093】
[5.他の形態]
[5−1.第2終了処理]
図10は、第2終了処理を示すフローチャートである。第2終了処理は先述した終了処理に替えて実行されるものであり、終了処理の一部が変更されたものである。ここでは、その変更された一部だけについて説明する。
【0094】
その変更は、S460をS461に置換したこと、並びに、S470及びS480の追加である。S461では、覚醒支援の実行時間が5秒以上(変数t2−変数t1≧5s)かを判定する。つまり、S460に対する変更点は、10秒を5秒にしたことである。
【0095】
そして、S461YESと判定すると、S470に進んで、S420で判定された眠気度合い(SL)が、S100で判定された眠気度合い(SL0)よりも低い(SL−SL0<0)かを判定する。S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低いと判定すると(S470YES)、現在実施している覚醒支援機器の順位付けポイントを1引上げて(S480)、S442に進む。
【0096】
一方、S420で判定された眠気度合いが、S100で判定された眠気度合いよりも低くないと判定すると(S470NO)、順位付けポイントを変更することなく、S442に進む。
【0097】
上記変更点は、終了アイコンがタッチされた場合にも、順位付けポイントを引上げるパターンを追加するためのものである。つまり「覚醒支援による効果が現れたのであれば、順位付けポイントに反映させる」という考えに基づく。
【0098】
なお、S460をS461に変更して、判定基準を5秒とした理由は、10秒のままだと、S480を実行する場合が存在しないからである。なぜなら、覚醒支援開始から10秒経過後に眠気度合いが改善した場合は、S430YESを経てS435と進んで覚醒支援が終了してしまい、運転者が終了アイコンをタッチする(S405YESと進む)機会がないからである。
【0099】
[5−2.回答が遅い場合のThd1の取り扱い]
開始処理のS255においては、質問時のステア角および回答時のステア角の比較、並びに回答時において直進か否かに基づいて、運転者の手が塞がっていたかを判定するようになっていた。この判定を、質問時から回答時までのステア角の履歴に基づくようにしても良い。例えば、質問時と回答時とでステア角は同じであっても、質問時から回答時においてステア角が変化した場合は、運転者の手が塞がっていたとして、Thd1を引下げないようにするということである。
【0100】
また、質問時〜回答時において、エアコンやナビゲーション装置が操作されていた場合は、Thd1を引下げないようにしてもよい。ただし、同乗者によって操作されている場合は、引下げないようするべきではないので、助手席に乗員がいることを検知して場合分けをする等の対処が必要となる。
【0101】
[5−3.終了希望取得手段をメインとした発明]
また、次の発明も考えられる。ユーザの眠気度合いを測定する眠気度合い測定手段と、前記眠気度合い測定手段の測定結果が基準値に達した場合に、ユーザの覚醒支援を開始する覚醒支援手段と、前記覚醒支援手段によって覚醒支援が行われている期間に、その覚醒支援の終了を希望する旨をユーザから取得する終了希望取得手段とを備え、前記覚醒支援手段は、覚醒支援の終了を希望する旨が前記終了希望取得手段によって取得されると、覚醒支援を終了することを特徴とする覚醒支援装置。
【0102】
上記発明は、請求項1のみを引用する請求項9に対して、質問手段と回答取得手段を除くと共に、覚醒支援手段が覚醒支援を開始するトリガを、眠気度合いが基準値に達したことに変更したものである。
【0103】
さらに、上記発明に、請求項11〜請求項13の記載内容を従属させた発明も考えられる。記載内容とは、上記発明と同様、質問手段と回答取得手段を除くと共に、覚醒支援手段が覚醒支援を開始するトリガを、眠気度合いが基準値に達したことに変更したものである。
【0104】
[5−4.その他]
眠気度合いの判定方法は、実施例で説明したものでなくても、他の方法でも構わない。また、実施例で述べた種々の設定値(Thd1の範囲、Thd2等)は、変更しても構わない。また、自動車搭載用でなくても、二輪車もしくは他の機械の操作者、又は、その他の居眠りを避けたい状況にあるユーザなどを対象として、本発明を適用しても良い。また、覚醒支援開始についての回答は、タッチパネル画面30の操作によらなくても、例えば、音声入力によって行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0105】
1…覚醒支援システム、10…覚醒支援制御装置、16…スピーカ、17…振動装置、18…送風装置、20…カメラ、21…眠気判定装置、30…タッチパネル画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの眠気度合いを測定する眠気度合い測定手段と、
前記眠気度合い測定手段の測定結果が基準値に達した場合に、覚醒支援の開始を希望するかをユーザに質問する質問手段と、
前記質問手段の質問に対する回答を、ユーザから取得する回答取得手段と、
前記回答取得手段によって取得された回答が覚醒支援の開始の希望だった場合、ユーザの覚醒支援を開始する覚醒支援手段とを備える
ことを特徴とする覚醒支援装置。
【請求項2】
前記覚醒支援手段は、前記眠気度合い測定手段の測定結果が、前記基準値よりも強い眠気度合いに対応する第2基準値に達した場合には、前記回答取得手段によって回答が取得されるのを待たずに、ユーザの覚醒支援を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の覚醒支援装置。
【請求項3】
前記質問手段が質問してから前記回答取得手段が回答を取得するまでの時間である反応時間に基づいて、前記基準値を変更する変更手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の覚醒支援装置。
【請求項4】
前記変更手段は、覚醒支援の開始を希望しないという回答が前記回答取得手段によって取得された場合に、前記反応時間が所定の引上げ基準時間未満だったときは、前記基準値を引上げる
ことを特徴とする請求項3に記載の覚醒支援装置。
【請求項5】
前記変更手段は、覚醒支援の開始を希望するという回答が前記回答取得手段によって取得された場合に、前記反応時間が所定の引下げ基準時間以上だったときは、前記基準値を引下げる
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の覚醒支援装置。
【請求項6】
車両に搭載される請求項5に記載の覚醒支援装置であって、
車両のステアリングホイールの回転角を測定する回転角測定手段と、
前記回転角測定手段によって測定された回転角に基づいて、ステアリングホイールの操作中であるかを判定する操作判定手段とを備え、
前記回答取得手段は、ユーザの接触操作に基づいて前記回答を取得し、
前記変更手段は、前記質問手段が質問してから前記回答取得手段が回答を取得するまでにおいてステアリングホイールが操作されたと前記操作判定手段によって判定された場合は、前記反応時間に関わらず前記基準値を引下げない
ことを特徴とする覚醒支援装置。
【請求項7】
前記変更手段は、前記覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが増大傾向にある場合は、前記基準値を引下げる
ことを特徴とする請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項8】
前記変更手段は、前記覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが減少傾向にある場合は、前記基準値を引上げる
ことを特徴とする請求項3〜請求項7の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項9】
前記覚醒支援手段は、覚醒支援を終了してから所定時間が経過するまでは、覚醒支援を再開しない
ことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項10】
前記覚醒支援手段によって覚醒支援が行われている期間に、その覚醒支援の終了を希望する旨をユーザから取得する終了希望取得手段を備え、
前記覚醒支援手段は、覚醒支援の終了を希望する旨が前記終了希望取得手段によって取得されると、覚醒支援を終了する
ことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項11】
前記覚醒支援手段は、実行可能な複数種類の覚醒支援の中から、何れかを選択して実行し、
前記複数種類の覚醒支援それぞれを、その覚醒支援それぞれの開始から、前記終了希望取得手段が終了希望の旨を取得するまでの時間である実行時間に基づいて評価する評価手段を備え、
前記覚醒支援手段は、前記評価手段による評価が高い覚醒支援を優先的に選択する
ことを特徴とする請求項10に記載の覚醒支援装置。
【請求項12】
前記評価手段は、前記覚醒支援の実行時間が閾値未満だった場合、その覚醒支援の評価を、その覚醒支援の開始前よりも低くする
ことを特徴とする請求項11に記載の覚醒支援装置。
【請求項13】
前記評価手段は、前記覚醒支援の開始時における前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いに対して、その覚醒支援の終了時における前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いの方が低かった場合、その覚醒支援を、その覚醒支援の開始前よりも高く評価する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の覚醒支援装置。
【請求項1】
ユーザの眠気度合いを測定する眠気度合い測定手段と、
前記眠気度合い測定手段の測定結果が基準値に達した場合に、覚醒支援の開始を希望するかをユーザに質問する質問手段と、
前記質問手段の質問に対する回答を、ユーザから取得する回答取得手段と、
前記回答取得手段によって取得された回答が覚醒支援の開始の希望だった場合、ユーザの覚醒支援を開始する覚醒支援手段とを備える
ことを特徴とする覚醒支援装置。
【請求項2】
前記覚醒支援手段は、前記眠気度合い測定手段の測定結果が、前記基準値よりも強い眠気度合いに対応する第2基準値に達した場合には、前記回答取得手段によって回答が取得されるのを待たずに、ユーザの覚醒支援を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の覚醒支援装置。
【請求項3】
前記質問手段が質問してから前記回答取得手段が回答を取得するまでの時間である反応時間に基づいて、前記基準値を変更する変更手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の覚醒支援装置。
【請求項4】
前記変更手段は、覚醒支援の開始を希望しないという回答が前記回答取得手段によって取得された場合に、前記反応時間が所定の引上げ基準時間未満だったときは、前記基準値を引上げる
ことを特徴とする請求項3に記載の覚醒支援装置。
【請求項5】
前記変更手段は、覚醒支援の開始を希望するという回答が前記回答取得手段によって取得された場合に、前記反応時間が所定の引下げ基準時間以上だったときは、前記基準値を引下げる
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の覚醒支援装置。
【請求項6】
車両に搭載される請求項5に記載の覚醒支援装置であって、
車両のステアリングホイールの回転角を測定する回転角測定手段と、
前記回転角測定手段によって測定された回転角に基づいて、ステアリングホイールの操作中であるかを判定する操作判定手段とを備え、
前記回答取得手段は、ユーザの接触操作に基づいて前記回答を取得し、
前記変更手段は、前記質問手段が質問してから前記回答取得手段が回答を取得するまでにおいてステアリングホイールが操作されたと前記操作判定手段によって判定された場合は、前記反応時間に関わらず前記基準値を引下げない
ことを特徴とする覚醒支援装置。
【請求項7】
前記変更手段は、前記覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが増大傾向にある場合は、前記基準値を引下げる
ことを特徴とする請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項8】
前記変更手段は、前記覚醒支援手段による覚醒支援が行われていない期間において、前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いが減少傾向にある場合は、前記基準値を引上げる
ことを特徴とする請求項3〜請求項7の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項9】
前記覚醒支援手段は、覚醒支援を終了してから所定時間が経過するまでは、覚醒支援を再開しない
ことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項10】
前記覚醒支援手段によって覚醒支援が行われている期間に、その覚醒支援の終了を希望する旨をユーザから取得する終了希望取得手段を備え、
前記覚醒支援手段は、覚醒支援の終了を希望する旨が前記終了希望取得手段によって取得されると、覚醒支援を終了する
ことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項11】
前記覚醒支援手段は、実行可能な複数種類の覚醒支援の中から、何れかを選択して実行し、
前記複数種類の覚醒支援それぞれを、その覚醒支援それぞれの開始から、前記終了希望取得手段が終了希望の旨を取得するまでの時間である実行時間に基づいて評価する評価手段を備え、
前記覚醒支援手段は、前記評価手段による評価が高い覚醒支援を優先的に選択する
ことを特徴とする請求項10に記載の覚醒支援装置。
【請求項12】
前記評価手段は、前記覚醒支援の実行時間が閾値未満だった場合、その覚醒支援の評価を、その覚醒支援の開始前よりも低くする
ことを特徴とする請求項11に記載の覚醒支援装置。
【請求項13】
前記評価手段は、前記覚醒支援の開始時における前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いに対して、その覚醒支援の終了時における前記眠気度合い測定手段によって測定された眠気度合いの方が低かった場合、その覚醒支援を、その覚醒支援の開始前よりも高く評価する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の覚醒支援装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図2】
【図9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図2】
【図9】
【公開番号】特開2011−118831(P2011−118831A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277802(P2009−277802)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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