説明

計測システム

【課題】走査型顕微鏡で得られる画像からパターンのエッジ形状を抽出し、その抽出情報からデバイスの電気的性能を予測し、パターンを検査するパターン検査方法を提供する。
【解決手段】走査型顕微鏡の制御部1611及び検査用コンピュータ1612において、反射電子又は二次電子1609の強度分布を処理し、エッジ位置のデータから単一ゲート内のゲート長の分布を求め、最終的に作成されるトランジスタを様々なゲート長を持つ複数個のトランジスタの並列接続とみなしてトランジスタ性能を予測し、その予測結果を基にパターンの良否や等級を判定することにより、エッジラフネスのデバイス性能への影響を高精度かつ迅速に予測することができ、デバイス仕様に応じて高精度かつ効率的にパターン検査を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査方法に関し、特に走査型顕微鏡を用いた非破壊観測及び画像処理による詳細な寸法計測により、半導体基板上に形成された微細パターンの形状を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、本発明者が検討した技術として、半導体基板上に形成された微細パターンのパターン検査方法においては、以下の技術が考えられる。
【0003】
近年、半導体装置のデバイス構造の微細化に伴い、半導体基板上に形成された微細パターンのパターンエッジのエッジ方向に沿った凹凸すなわちエッジラフネスの存在による実効的なパターン寸法の分布が問題になってきた。トランジスタのゲートパターンのライン幅はデバイス特性を決定するゲート長に相当するが、100nm以下の微細加工では、パターン片側のラインで3σ(σ:標準偏差)にして5〜10nm程度のラフネスが発生する。これはライン幅すなわちゲート長の3σに換算すると7〜14nmの分布となり、ゲート長の10%以上になるおそれがある。すなわち、極めて局所的にではあるが、ゲート長が10%程度短くなる部分が発生し得ることになる。
【0004】
一つのゲート領域内におけるゲート長の分布は、トランジスタ性能の劣化(オフ時のリーク電流の増加、しきい値電圧のシフトなど)を招く。特にゲート長が80nm以下になると、しきい値電圧のゲート長に対する依存性が大きくなるため、ライン幅変動の管理は重要になると予測される。
【0005】
そのため、第一に、適切な方法でエッジラフネスやライン幅変動を計測することが必要である。ここで述べる適切な方法には、評価したいトランジスタのゲート幅すなわちライン長さに応じて十分精度よく計測したり、真の値とのずれを予測したりすることが含まれる。なぜなら、ラフネスの計測はその計測領域の大きさや計測間隔によって異なる結果をもたらすからである。従来はこのようなことを考慮せず、計測者の経験に頼って計測パラメータを決定してきた。そのため、同じパターンに対する計測結果にもばらつきが生じる結果となった。
【0006】
第二に、ライン幅変動が引き起こすトランジスタ性能の劣化を定量的に予測し、トランジスタ性能の許容範囲からライン幅変動に関するマージンを把握しておくことが必要である。
【0007】
ゲート長としきい値電圧との関係は、例えば、非特許文献1や非特許文献2などに述べられている。
【0008】
また、ゲートパターン内のエッジラフネスが引き起こすトランジスタのしきい値電圧の変化を論じた報告としては、例えば、非特許文献3や非特許文献4などがある。
【0009】
前者の例では、実際のゲート長が設計値よりもσ、1.5σ、2σだけ小さくなったときのトランジスタの性能を算出し、起こりうる性能劣化を警告している。
【0010】
後者の例では、ゲート長分布のゆらぎΔLの値から、ゲートを実際のゲート長が設計値より小さくなっている部分と大きくなっている部分との二つに分け、それぞれの部分のゲート長変化量を±ΔLとし、ゲート長からしきい値電圧を求める式に入力して、しきい値電圧の変化量を求めている。
【0011】
一方、1本のライン上にゲート幅の短いトランジスタが複数個存在する場合、ライン幅の長周期のゆらぎがあると、トランジスタごとの平均ゲート長(一つ一つのトランジスタについて、ゲート幅方向にゲート長を平均した値)にばらつきが生じる。したがって、トランジスタの特性にもばらつきが生じる。この現象については、例えば、非特許文献5に記載されている。トランジスタ性能のばらつきはゲート長のゆらぎのみにより生じるものではないが、デバイスの微細化に伴ってゲート長ゆらぎの影響が無視できなくなっている。このように周期の小さいゆらぎはデバイス性能の劣化を、周期の大きいゆらぎはデバイス性能のばらつきを引き起こす。そこで、ライン幅のゆらぎを目的に合った手法で精確に計測し、デバイスへの影響を明らかにする技術の開発が必要である。
【0012】
なお、半導体基板上のデバイスの電気的特性を予測するのには、上記のようにパターン形状からゲート幅ゆらぎを求めて計算するというのではなく、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という)による画像の電位コントラストから求めるという方法もある。この方法を用いれば、ゲート形状を詳細に算出することなく、デバイスの導通や非導通などの状態が分かる。これについては、例えば、特許文献1などに述べられている。
【0013】
また、ラフネス形状を解析する試みとしては、例えば、特許文献2及び特許文献3などに述べられている。すなわち、これらの方法は、実際のラインパターン画像から得たデータの空間周波数分布を用いて、同じ程度のラフネス形状を算出したり、もとのデータから特定の周波数成分の寄与を抜き出したりするものである。
【特許文献1】特開2001−159616号公報
【特許文献2】特開2000−349002号公報
【特許文献3】特開2002−243428号公報
【非特許文献1】「アイイーディーエム・テクニカル・ダイジェスト(IEDM Technical Digest」,2000年12月,p.563−567
【非特許文献2】「2002・シンポジウム・オン・ヴィエルエスアイ・テクノロジー・ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペイパーズ・15−3(2002 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers,15-3)」,2002年
【非特許文献3】「プロシーディングス・オブ・エスピーアイイー(Proceedings of SPIE)」,2002年,第4689巻,p.733−741
【非特許文献4】「アイイーイーイー・エレクトロン・デバイス・レターズ(IEEE Electron Device Letters)」,2001年,第22巻,p.287−289
【非特許文献5】「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス・パート1(Japanese Journal of Applied Physics Part1)」,2000年,第39巻,p.6792−6795
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、前記のような半導体基板上に形成された微細パターンのパターン検査の技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0015】
例えば、ラフネス又はゲート長のゆらぎを計測するための根拠のある測定方法は、これまでにはなかった。前述の特許文献2及び特許文献3などに述べられている方法からは、領域の長さ又は計測場所によって変わるラフネスの測定方法を得ることはできない。
【0016】
また、ゲート長の分布によるトランジスタ性能の低下を評価する前記従来の技術で述べた前者の例では、ゲート長設計値Lg、ゆらぎσのトランジスタ性能を予測するのに、ゲート長L−σ、L−1.5σ、又はL−2σのトランジスタの性能を用いている。また、前記従来の技術で述べた後者の例では、ゲート長設計値Lg、ゆらぎΔLgのトランジスタをゲート長Lg±ΔLgのトランジスタの平均とみなしている。しかし、実際には、ゲート長が設計値より1.5σ又は2σ以上短くなる部分は全体のうちごくわずかであり、しきい値電圧のシフト量は大きいものの全体への寄与の程度が小さいためどの程度問題になるかは不明である。また、ゲート長が設計値よりも長くなる部分の影響もある。前記従来の技術で述べた後者の例では、ゲート長の分布をLg±ΔLgと単純化しており、前記従来の技術で述べた前者の例よりも精確であると思われるが、ゲート長がLg−ΔLgよりも短い部分の寄与を全く取り入れていないため、短チャネル効果が大きい領域では実際のトランジスタ特性を予測できないおそれがある。
【0017】
トランジスタ性能のばらつきについては、前述の報告において、ライン幅ゆらぎの標準偏差σから見積もられている。しかし、この方法には、性能ばらつきに寄与する大きい周期のゆらぎと、性能劣化を引き起こす小さい周期のゆらぎを分離して評価する方法は与えられていない。
【0018】
また、前述のように、SEM画像に現れる電位コントラストからトランジスタの電気的特性を求める方法があるが、これは観察資料表面の帯電により生じたコントラスト差を利用するものである。したがって、十分帯電させられるほど電子線を照射する必要があり、下地の損傷を引き起こすおそれがある。
【0019】
そこで、本発明の目的は、トランジスタのゲート部分のパターン検査において、ライン幅の平均値や分布を求めるための適切な測定パラメータを理論的な根拠に基づいて算出する方法を提供することである。また、その数値を用いて、最終的に作成されるトランジスタの性能へのエッジラフネス又はライン幅のゆらぎの影響を、精確に、迅速に、デバイスへのダメージなしに予測することである。またその方法により、観察パターンを評価するパターン検査手段を実現することである。
【0020】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0022】
(1)本発明によるパターン検査方法は、基板上に形成されたラインパターンを荷電粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報を基に、ライン方向に長さL1の領域に発生するエッジの凹凸、ライン幅あるいはライン幅の変動を計算する工程を含むパターン検査方法であって、前記計算のためラインのエッジ点の位置あるいはライン幅を、前記長さL1に応じて計算される一定の長さL2の領域内で複数箇所測定する工程を含み、前記長さL2は少なくとも、L1が1μm以上の場合はL1の0.5倍以上、L1が0.5μm以下の場合はL1に等しいものである。
【0023】
(2)本発明によるパターン検査方法は、基板上に形成されたラインパターンを荷電粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報を基に、ライン方向に長さLの領域内のエッジの凹凸、ライン幅あるいはライン幅の変動を所望の精度で算出する工程を含むパターン検査方法であって、前記算出のためラインのエッジ点の位置あるいはライン幅を一定の間隔Δyで複数箇所計測する工程を含み、前記算出において所望の精度を許容誤差の真の値に対する比率pで指定して観測領域の長さLとpとから前記計測間隔Δyの上限値を計算する工程を含むものである。
【0024】
(3)前記(2)記載のパターン検査方法は、Lが0.1μm未満のときにΔyはp・L以下とし、パラメータf0を用いて、Lが0.1μm以上1μm未満のときにΔyはp・(1/f0)・Ln以下とし(但し、n=1−log100)、Lが1μm以上のときにパラメータmを用いて、Δyはp・(1/f0)・Lm以下とするものである。
【0025】
(4)前記(2)記載のパターン検査方法は、エッジの凹凸の程度あるいはライン幅変動を算出する場合には算出する回数Nを、L・Nが2μm以上となるように定めるものである。
【0026】
(5)本発明によるパターン検査方法は、基板上に形成されたラインパターンを荷電粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報を基に、ライン方向に長さL1の領域に発生するエッジの凹凸、ライン幅あるいはライン幅の変動を計算する工程を含むパターン検査方法であって、前記計算のためラインのエッジ点の位置あるいはライン幅を、L1よりも短い長さL2の領域内で複数箇所測定する工程と、前記長さL2にて計測されたエッジの凹凸、ライン幅あるいはライン幅の変動のデータの空間周波数分布を算出する工程と、前記空間周波数分布を曲線で近似して近似曲線を得る工程と、前記近似曲線と前記空間周波数分布とから長さL1の領域で計測したデータから空間周波数分布を得た場合に算出されたであろう空間周波数の分布強度及び空間周波数成分の位相を算出する工程と、前記分布強度及び位相とから長さL1の領域で発生し得るエッジの凹凸、ライン幅あるいはライン幅の変動のデータを算出する工程とを含むものである。
【0027】
(6)本発明によるパターン検査方法は、基板上に形成されたパターンを荷電粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報から観察しているパターン又は前記パターンと同等のプロセス条件で作成される半導体素子の性能を予測することによりパターンを検査する方法であって、前記の反射電子又は二次電子の強度分布から一定の間隔で複数個のパターンのエッジ点を算出し前記エッジ点の座標から複数箇所のゲート長を算出する工程と、ゲート長変動がない理想的なトランジスタの電気的性能をあらわすデータを入力する工程と、反射電子強度又は二次電子強度から得られた複数箇所のゲート長の値と前記入力データとから、観察試料あるいは観察試料と同等の工程にて作成されるトランジスタの性能を予測する工程とを含むものである。
【0028】
(7)本発明によるパターン検査方法は、基板上に形成されたラインパターンを荷電粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報から観察しているラインパターン又は前記パターンと同等の条件で作成されるラインパターンを含む半導体素子の性能を予測することによりパターンを検査する方法であって、前記の反射電子又は二次電子の強度分布からラインパターンの両側のエッジのエッジ点を複数個算出する工程と、前記エッジ点の座標から複数箇所のライン幅寸法値を算出する工程と、前記の複数箇所のライン幅寸法値から所定の工程を経て作成するトランジスタにおいて一つのゲート領域内に発生するゲート長の分布を算出する工程と、前記ゲート長分布を有する一つのゲートを持つトランジスタを前記ゲート長分布を構成するそれぞれの値をゲート長とする複数個のトランジスタを並列接続した回路とみなしてその性能を計算する工程とを含むものである。
【0029】
(8)前記(7)記載のパターン検査方法は、観察されるサンプルはレジスト又はレジスト層の下層の材料からなり、一つのゲート領域内に発生するゲート長の分布を算出する工程においてパターンの複数箇所のライン幅寸法値からドライエッチング工程を経て最終的に形成される実効的ゲート長の分布を予測するものである。
【0030】
(9)前記(8)記載のパターン検査方法は、一つのトランジスタの性能として駆動電流値とゲート電圧との関係を表す曲線又はその曲線から得られるしきい値電圧を用いるものである。
【0031】
(10)本発明によるパターン検査装置は、荷電粒子線源と、前記荷電粒子線源から放出された荷電粒子線を収束レンズ及び対物レンズを通して試料に照射し走査する光学系と、前記試料を載置するステージと、前記荷電粒子線の照射によって試料から放出される二次電子又は反射電子の強度を検出する検出器と、前記走査を制御する制御部と、理想的な半導体素子の電気的特性を入力する手段と、得られる二次電子又は反射電子強度の分布において試料上のパターンから得られる信号強度分布と前記理想的な半導体素子の電気的特性とから該パターン又は該パターンと同等の条件で形成されるゲートパターンを含む半導体素子の電気的特性を算出する信号処理手段とを有するものである。
【0032】
よって、前記(1)によれば、ラインエッジラフネスやライン幅変動の計測において、ラフネス又はライン幅変動値を求めたい第一のラインの長さに応じて、実際に計測を行うべき第二のライン長を算出することができる。
【0033】
また、前記(2)、(3)によれば、計測を行う際に、エッジ点検出間隔又はライン幅計測間隔の計算を行い、設定した値以下の誤差で計測を行うことができる。
【0034】
また、前記(4)によれば、場所により値がばらつくラフネス又はライン幅変動の様子を平均化したデータを得るために十分な測定回数を求めることができる。
【0035】
また、前記(5)によれば、ラフネス又はライン幅変動値を得たい領域長さよりも短いラインにおいて計測を行って、所望の長さの領域で発生するラフネス又はライン幅変動を予測することができる。
【0036】
また、前記(6)、(7)、(8)、(9)、(10)によれば、以上のようにして得られたエッジラフネス又はライン幅変動のデータを元に、トランジスタの最終的なゲート長の変動を予測することができ、トランジスタの電気的特性を高精度に予測することができる。
【発明の効果】
【0037】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0038】
(1)微細パターンのラインエッジラフネスや寸法変動を計測するためのパラメータを算出することができる。
【0039】
(2)微細パターンの走査型顕微鏡観察すなわち非破壊検査により、完成時のデバイスの性能を予測することができる。
【0040】
(3)観察しているパターンから予測されたデバイスの性能に関する値を設計値やあらかじめ設定した許容範囲と比較することで、パターンの良否や等級を判定することができる。
【0041】
(4)半導体製造工程における検査に本手法を用いることにより、短時間で信頼性の高いパターン検査を実施することが可能となり、製品の歩留まりやスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0043】
図1はラフネスのあるパターンエッジとそこからエッジラフネスを求める方法を説明する模式図、図2はラインエッジラフネス又はライン幅ゆらぎの典型的な空間周波数分布を示す概略図、図3は平均ライン幅の計測領域長さ依存性を示すグラフ、図4は平均ライン幅変動量の計測領域長さ依存性を示すグラフ、図5はラフネスの真の値からのずれ量と計測間隔の関係を示すグラフ、図6はレジストパターンをマスクにドライエッチングを行うゲートパターンの加工工程の一部を示す概念図である。
【0044】
以下、本発明の一実施の形態であるパターン検査方法の一例を説明する。
【0045】
本実施の形態では、ラインパターンのSEM画像からライン幅の平均値や分布を求めるための適切な測定パラメータを、以下のように算出する。
【0046】
図1に、ラインパターンのSEM観察画像を示す。101はパターン下地を表す領域、102はパターン領域である。一般に、SEM観察してラインエッジの凹凸すなわちラインエッジラフネスを観測する際には、図1のように、パターンと下地との境界すなわちパターンのラインエッジ点の集合を直線近似し、得られた近似直線103と実際のエッジ点との差異104を計測する。この差異をΔxiと記す。ここで、iはデータ画像を構成する要素のうち同じy座標のデータで構成された二次電子又は反射電子の一次元分布、すなわちプロファイルの番号であり、エッジ点の縦方向の番号である。i番目のエッジ点とi+1番目のエッジ点との縦方向の座標の差をΔyと置いた。Δyはiによらない一定値である。ライン幅変動の場合はまずラインの左右のエッジについてエッジ点を検出しその横方向の距離すなわちライン幅wを求める。計測すべき領域内のwの値について平均値wavをとり、各iに対してライン幅変動Δwi=wi−wavを求める。
【0047】
このようにして得られる系列{Δx|i=0,1,2,…}や{Δw|i=0,1,2,…}をフーリエ変換し、振幅の絶対値A(f)の周波数依存性すなわちエッジラフネスやライン幅変動の空間周波数分布を算出しプロットすると、ほぼ図2の折れ線201上にのることが分かった。図2のグラフの縦軸は、振幅の絶対値A(f)、横軸は空間周波数fであるが、どちらも対数表示してある。また、fの単位は、1/μmを用いた。図2は、電子線レジスト、DUVレジスト等、多種のレジストからなるラインパターンについて測定を行った結果である。折れ線201はゆらぎの程度に相当するパラメータA(f=1におけるA(f)の値)を用いて以下のように表すことができる。
【0048】
すなわち、f>10μm−1の領域では、
【0049】
【数1】

【0050】
また、1μm−1≦f≦10μm−1の領域では、
【0051】
【数2】

【0052】
また、f≦1μm−1の領域では、
【0053】
【数3】

【0054】
但し、nは、
【0055】
【数4】

【0056】
である。また、mは、観測しているラフネスが、装置やマスクの欠陥、不充分な反射防止などから生じる異常なラフネス(特定のパターンに必ず現れるものや特定の周波数をもつラフネス)でない限り、0から0.25の値をとる。
【0057】
折れ線201から分かるように、いくらでも長い周期のゆらぎが存在する。この結果から、あるゲート幅すなわちライン長Lに関するゆらぎを求めたい時に、これより小さい領域で測定を行うのは好ましくないことが分かる。ゲート幅Lのトランジスタのパターン検査を行うのであればライン長Lに渡る領域に関して計測を行うことが望ましい。ゲート幅が1μm以下、好ましくは0.5μm以下、特に300nm以下の場合は、以下の二つの理由から、できるだけゲート幅(検査領域)と同じ長さのラインについて計測する必要がある。
【0058】
第一の理由は、1μm以下の周期に相当する領域(すなわち、図2でf≧1μm−1の領域)では、振幅A(f)の空間周波数f依存性が大きいことである。そのため、観測する領域を少し長くするだけで、新たに計測にかかるラフネスの成分が大きくなり、ラフネスの計測領域長さ依存性が大きくなる。
【0059】
第二の理由は、まれに、特異な周波数分布を持つレジストなどもあることである。例えば、図19に示す曲線1902,1903のように、ある周波数領域に特徴的なピークを持つレジストがある。
【0060】
第一の理由を詳しく説明する。2.7μm長のラインについて、ライン幅を計測した例を以下に示す。まず、ラインをラインに沿った方向に2個(n:自然数)の領域に等分する。次に、これら2個の領域(長さ2.7/2μmの領域)内で平均ライン幅を計算する。また、この領域内でライン幅の変動(平均ライン幅からのずれの標準偏差σの3倍)を求める。こうして得られる平均ライン幅と計測領域長さとの関係を図3に示す。また、ライン幅変動3σと計測領域長さとの関係を図4に示す。
【0061】
図3及び図4によると、計測領域長さ1μm近傍では、計測領域長さが1/2になっても3σの平均値は約5%小さくなり、平均ライン幅の分布は約2%ひろがる程度である。しかし、計測領域長さが0.5μm程度になると、1/2の長さの領域で計測した3σの値は、分布もひろがり、また平均値は30%以上変化する。平均ライン幅の分布も大きく広がる。いくつかのラインに関して計測したが、いずれの場合も同様の結果となった。
【0062】
したがって、ゲート幅(検査領域)が1μm以上の場合には、やむを得ない場合はその1/2の長さのラインについて計測を行ってもよいが、1μm以下では望ましくない。
【0063】
なお、ゲート幅の寸法より短いラインについて計測を行い、シミュレーションにより所望のゲート幅のゲートのラフネスを予測することもできる。ただし、その際にも、ゲート幅に対して計測するラインの長さが短いほど信頼性は低くなる。この予測方法については後述する。
【0064】
次に、長さLのラインについて、画像のデータからそのラフネスを正しく計測するための計測間隔について述べる。誤差の真の値に対する比率(以下、単に誤差と記す)pと計測間隔Δyとの関係を求める。ライン長Lの領域に存在するエッジラフネス又はゲート長の変動は、空間周波数が1/L以上の領域の波から成り立っており、最も寄与の大きいものは空間周波数が1/L、振幅がA(1/L)となる成分である。このエッジ又はラインについて計測間隔Δyで計測を行うと、空間周波数が1/Δy以上の成分は計測されない。この計測されない成分のうち最も寄与が大きい成分の振幅はA(1/Δy)である。したがってラインエッジラフネスやライン幅変動の分布における標準偏差σを算出する際に、おおよそA(1/Δy) /A(1/L)程度、真の値からずれる可能性がある。すなわち、
【0065】
【数5】

【0066】
とみなすことができる。
【0067】
実際に長さ1μmのラインエッジに関して、計測間隔を変えてラフネスの大きさ(エッジ点位置変動の3σ)を測定した結果を図5に示す。図5は、ラフネスの真の値からのずれ量と計測間隔との関係を示す図であり、縦軸はラフネスの真の値からのずれ量p、横軸は計測間隔Δyである。真の値を可能な限り細かい計測間隔(ここでは1.3nm)で計測した値とした。計測間隔Δyで計測した3σの値を前述の真の値で割った値から1を引いてp(真の値からのずれの程度)とした。図中の曲線は(数5)から算出した値である。L=1(μm)であるからA(f)の関数形には(数2)を用いた。またf=5(μm−1)とした。上記の数式が実験結果を非常によく再現することが分かる。
【0068】
なお、標準偏差σの二乗すなわち分散σが波数空間上の振幅の二乗和に等しいことを利用して、分散の真の値からのずれΔσの真の値σに対する比率を以下のように計算することも可能である。
【0069】
【数6】

【0070】
(数6)の両辺の平方根をとれば、pが求められる。ここでは、より計算の簡単な(数5)を用いた例を示すが、(数6)を用いて見積もることも可能である。
【0071】
(数5)に示す式と折れ線201とから、ゲート幅すなわちライン長Lの領域(検査領域)に関してエッジ点やライン幅の変動、又はライン幅自体を誤差p以下で計測する際に必要な計測間隔の上限(最大値)を求めることができる。例えば、L=2μmの場合、折れ線201のパラメータfを5μm-1、mを0とすると、誤差10%以下の計測を実現するには振幅がA/5の10%になる空間周波数を求めればよく、折れ線201の高周波領域が1/f則に従うことから、1/Δy≧50となり、したがってΔyの値には0.02μm以下の値を設定すればよい。
【0072】
さまざまなLの値に対して、許容誤差pを定めれば、上記のようにΔyを求めることができる。これを式で表すと(数7)〜(数10)のようになる。ただし、ここではΔyが0.1μm以下であると仮定した。実際、通常のデバイスで用いるLの値(数十μm以下)に対してpが10%以下であれば、図2の折れ線201から見積もられるΔyは0.1μmを越えないので、この仮定は妥当である。
【0073】
【数7】

【0074】
但し、CはLによる変数で、L<0.1μmのときは、
【0075】
【数8】

【0076】
0.1μm≦L<1μmのときは、
【0077】
【数9】

【0078】
L≧1μmのときは、
【0079】
【数10】

【0080】
である。
【0081】
しかし、ある周期Lcrit以下のゆらぎがデバイス性能に影響しないことが明らかな場合には、算出したΔyの上限とLcritとを比較し、大きい方の値を改めてΔyの上限としてよい。Lcritはチャネル近傍の電界分布、不純物濃度分布のゲート幅方向ゆらぎ周期の最小値などから推定できる。
【0082】
なお、Lが極めて大きな値で、長さLに渡る領域が一つの画像データに納まらない場合でも上記の考え方を延長することができる。例えば、ライン幅変動を計測する場合、上の式を用いて決めたΔyを計測間隔として、ラインに沿ってΔy移動して画像を取得し、ライン幅を計測することを繰り返せばよい。ただし、この方法では、ライン幅を計測する際に、画像上である一定の長さの領域についてプロファイルを平均化し、又は多点測定してライン幅を求めることが多い。この1回の計測に用いる領域の長さは計測間隔Δyより小さいことが望ましい。
【0083】
なお、上記の空間周波数分布の近似方法は一例であって、同様の結果を与える他の近似法を用いてもよい。
【0084】
次に、前述した、実際のゲート幅(検査領域)より短い長さのラインについて求めたラフネス又はライン幅ゆらぎのデータから、ゲートの全領域(検査領域)に渡るラフネス又はライン幅ゆらぎを予測する方法について述べる。
【0085】
ラフネスを予測したいゲートのゲート幅をW、観測できるラインの長さをLとする。LはWに近い方がよい。前述のように、空間周期にして50nm〜300nmのラフネスを持つラインエッジもレジストによっては存在するが、観測できるラインの長さLは300nm以上の長さは必要である。経験的には1μm以上が望ましい。この長さLについて、所定の計測間隔で観測したエッジ点位置又は寸法のデータをフーリエ変換し、A(f)グラフを求める。この結果をここでは実測データと定義する。
【0086】
次に、得られた実測データを折れ線201で近似する。これにはf>1/Lの領域で折れ線201が実測データを近似できるよう、折れ線201をグラフ内で上下に平行移動させて、最適なパラメータAの値を求めればよい。元のデータからは得られていないfに対するA(f)を、前述のように求めた近似曲線(又は直線)から求める。ここではm=0の場合とm=0.25の場合の両方を想定する。
【0087】
こうして得られた空間周波数分布をフーリエ逆変換して実空間上のラフネスを算出すればよい。ただし、元々空間周波数分布A(f)の値が実測されているfは問題ないが、近似曲線(又は直線)からA(f)を求めたfの値については、フーリエ係数の絶対値しか与えられず、その成分の位相が不明である。そこで位相はモンテカルロ法によりランダムに設定する。このようにして、m=0の場合のラフネスとm=0.25の場合のラフネスが得られる。実際のラフネスの大きさはこの両者の場合の間にあると思われる。ラフネスだけでなく、ライン幅のゆらぎについても同様に求めることができる。
【0088】
なお、これらの方法によりラインエッジラフネスやライン幅変動を算出しても、その値自体が測定箇所によってばらついている。したがって、観察資料に対して代表的なエッジラフネス又はライン幅変動の大きさを算出するためには、複数回算出する必要がある。この算出回数をNとすると、Nは大きければ大きいほどよい。
【0089】
我々の実験から、Lが100nm〜200nmの小さい値のとき、NはLとNとの積が2μm以上になるような値とする必要があることが分かった。これは図2の折れ線から説明できる。ライン幅変動の周期は、1μm〜2μm以上になると、ほぼ飽和する傾向がある。すなわち、これ以上の領域について変動を観測しても、新たに現れる変動の程度は1μm〜2μmの領域で計測した変動の程度と変わらない。実空間上の変動はこれらの成分の和になるため、長い領域を測定するほどラフネスの程度は大きくなるのであるが、その領域の長さに対する変化量が、小さくなるのである。したがって、小さなゲート幅のトランジスタであれば合計で計測長さが2μm以上となるようラフネスを計測するとよい。
【0090】
また、Lが500nm以上の時は経験的に、Nは5以上とする必要があることもわかった。つまり、例えばLが2μmであっても最低5箇所について計測すべきである。N回算出した後、エッジラフネスやライン幅変動の程度を表す標準偏差σに対しN個の2乗平均をとって、この値を観察資料に関する代表値とする。言いかえれば、分散σ2について相加平均を求め、平方根を算出し観察資料に関する代表値とする。N回算出を行う際には、これらN個の計測領域は重なってはいけない。
【0091】
また、本実施の形態では、パターンの観察画像からパターンエッジ点を検出し、このエッジの凹凸形状から、ゲートパターンを作成した場合に得られるゲート内のゲート長の分布を予測する。観察するパターンがゲートパターンでない場合は(例えば、ゲート上のレジストパターン)、観察パターンの画像から得られるエッジラフネスから、所望の寸法のゲートパターンを作成した場合に得られる実効的なゲート長の分布を予測し、その分布から、作成されるトランジスタの電気的特性を計算する。
【0092】
観察パターンとしてゲートパターンを選択すれば、より正確に計算することが可能になる。その場合は、実際に観察しているラインパターンの複数箇所を測定して得られるライン幅の値の集合から実効的なゲート長の分布を予測し、その分布から、作成されるトランジスタの電気的特性を計算する。
【0093】
ゲートパターンは一般に図6に示すように、リソグラフィとそれに引き続いて行うドライエッチングで作成される。図6はリソグラフィ後のシリコンウエハの断面とドライエッチング後の断面の概念図である。まず、ゲート用材料のシリコン層602の上にリソグラフィによりレジストパターン601を形成する。次に、ドライエッチングによりこのレジストパターン601をマスクにしてシリコン層602にパターンを転写する。ドライエッチングはシリコン層602の下層のゲート絶縁膜603で停止する。この後、レジストパターン601をアッシングにより除去する。また、レジストとシリコン層602の間に、シリコン層602のエッチング時に選択比のとれる材料からなる中間層をはさむこともある。この場合はレジストパターン601をマスクにして中間層をパターニングし、さらにその中間層をマスクにしてゲート加工を行う。また、レジストと中間層との間にいわゆる反射防止膜を設ける(ここでは省略している)。本実施の形態ではレジストパターン601やこの中間層のパターンを観察した結果から、前もって蓄積しておいたドライエッチング時のエッジ形状変化のデータを用いることにより、ゲートパターン(シリコン層602)のラフネスを算出する。あるいは、これに引き続いてゲートパターンのラフネス形状と、前もって蓄積しておいたデータとから、イオン打ちこみにより形成されるソース・ドレイン領域間の距離すなわち実効的ゲート長の分布を算出する。これらの計算によって、レジスト又はレジストの下層のパターン形状のSEMによる観察画像から実効的なゲート長の分布を予測することができる。
【0094】
実効的なゲート長の分布から求めるトランジスタの性能としては、ドレインにかける電圧Vが一定のもとでの駆動電流Iのゲート電圧Vに対する依存性を目安にするとよい。また、前記の依存性から算出されるしきい値電圧を目安にすると、情報量は減るがより分かり易い。算出されるしきい値電圧によりパターンの良否判定を行うことで、短い時間でパターン検査を進めることができる。
【0095】
次に、トランジスタのゲート幅より長い周期のゆらぎ成分の影響を評価する方法について述べる。ただし、ここでは、(1)レイアウト上の問題から発生した寸法ゆらぎ、例えば、近傍に別のパターンが配置されたためのラインの細りや太り、又はライン端の細り、(2)下地又はパターン形成膜の膜厚や成分のむらによる寸法ゆらぎ、(3)特定の露光システムに現れるレンズやマスクの欠陥、といった、従来の方法である程度予測及び原因解析の可能なものを除き、自然発生的に存在するゆらぎについて考える。
【0096】
前述の通り、長い周期のゆらぎは平均ライン長の変動として、トランジスタ性能のばらつきに影響する。一つのトランジスタ領域に対応するゲート幅をLとし、1回の計測で前述の方法により一つのゲートにおけるゲート長の分布又はそれから算出されるしきい値電圧など、デバイスの性能をあらわす指標となる量が求められるとする。
【0097】
ゆらぎは、図2の折れ線201で近似できる空間周波数分布を持っている。本実施の形態では、空間周波数分布を近似するのに(数1)から(数4)で表される折れ線201を用いているが、これは一例であり、同様の結果を与える他の曲線を用いても構わない。前に述べたように、ライン幅変動の成分は周期が1μm〜2μm以上になると飽和傾向にあるが、いくらでも大きな周期の成分がある。
【0098】
今、ゲート幅Lが1μm以上の場合を考える。ゲート幅Lの領域について代表的なデバイス性能を算出し、そのばらつきをみるとき、Lが十分小さくなる領域の観察が必要である。したがって、10倍以上の領域を計測するのが望ましい。ゲート幅が1μm以下の場合も同様であるが、その場合には、少なくとも合計2μm程度の領域を観察する必要がある。そこで、ばらつき観測のための計測回数N’は、例えばゲート幅L(μm)に対して2/Lと10とで大きい方の値とする。より精度のよい計測が必要であれば、各々4/L及び20とする。
【0099】
一つのトランジスタについて、しきい値電圧を算出している場合、計測領域が重ならないようにしてN’回計測を行い、最小値及び最大値を出す。そして、設計値に対するしきい値電圧の低下及びばらつきをラフネスの影響として評価する。
【0100】
このようにして得られるデータを元に、前述の製造プロセスを経てデバイス特性の計算を行うことにより、個々のデバイスの性能劣化及び性能ばらつきを予測することができる。
【0101】
よって、本実施の形態によれば、ラインエッジラフネスやゲート長変動の計測において、ラフネス又はライン幅変動値を求めたい第一のラインの長さ(検査領域)に応じて、実際に計測を行うべき第二のライン長(計測領域)を算出することができる。
【0102】
また、計測を行う際に、エッジ点検出間隔又はライン幅計測間隔の計算を行い、設定した値以下の誤差で計測を行うことができる。
【0103】
また、ラフネス又はライン幅変動値を得たい領域長さ(検査領域)よりも短いラインにおいて計測を行って、所望の長さの領域で発生するラフネス又はライン幅変動を予測することができる。
【0104】
また、場所により値がばらつくラフネス又はライン幅変動の様子を平均化したデータを得るために十分な測定回数を求めることができる。
【0105】
また、以上のようにして得られたエッジラフネス又はライン幅変動のデータを基に、観察を行った対象又は同じ条件を用いて作成したデバイスの最終的なゲート長の変動を予測することができる。
【0106】
特に、ドライエッチングやイオン打ちこみなどのプロセスによるエッジラフネス又はライン幅変動の変化を考慮して精度の高い予測を行うことができる。
【0107】
また、上記工程により予測されたゲート長変動から、トランジスタの電気的特性を算出し、または、複数個のトランジスタが存在するときのトランジスタの電気的特性のばらつきを予測することができる。
【実施例1】
【0108】
以下、前記実施の形態を実現するパターン検査システム・方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0109】
図7は走査型電子顕微鏡により観察される画像を示す模式図、図8は実施例1の手順を示すフローチャートである。
【0110】
実施例1では、本発明を用いて所望の精度でラインパターンのSEM画像からライン幅の変動を算出した例を説明する。
【0111】
本実施例1において検査する対象は、トランジスタのゲート部分に対応する多結晶シリコンからなるラインパターンである。このゲートの設計寸法はゲート長が80nm、ゲート幅0.6μmとなっている。ライン幅変動を計測する検査領域のラインの長さは実際のゲート幅と等しいことが望ましい。そこで、観察領域のライン方向の長さを可能な範囲でゲート幅の値に近くした。本実施例1で用いた走査型電子顕微鏡においては、20万倍の倍率で観察すると視野の縦方向の寸法が675nmとなり、検査対象のゲート領域を1枚の画像に納めることができる。そのため、20万倍の画像を検査に用いた。この画像の模式図を図7に示す。パターン下地領域701は下地の酸化膜が露出している領域、パターン領域702は多結晶シリコンの部分である。また、ラインパターン左エッジ703及びラインパターン右エッジ704は、ゲートに相当するラインの左右のエッジである。画像に対応するデータは、図7に示すx方向・y方向とも512個の画素からなっており、二次電子強度を画像における濃淡を表すグレイスケールに変換した値が各画素に割り振られている。
【0112】
この画像データを、図8に示す手順に従って解析した。まず検査に関するパラメータを求める(ステップS801)。検査領域長さを600nm、許容誤差pを5%と入力すると、20万倍画像において600nmに最も近い画素数、誤差5%を実現するためのエッジ計測間隔の最大値を算出する。検査領域長さに対応する画素数は455となった。また、計算式(数4)(数7)(数9)から計測間隔は最大値で8.6nmすなわち約6.5画素となった。但し、パラメータfの値には5を用いた。画素数は整数なのでこれを6画素とし、Δy=7.9nmとした。測定点数の値Mは、検査領域の画素数を計測間隔で割って得られる値を超えない最大の整数+1であり、ここでは76となる。これらのパラメータは、検査領域長さと許容誤差のみを入力することにより自動的に計算することができる。計測間隔は可能な範囲での最大の値、測定点数は可能な範囲での最小値となる。操作者が入力した値の間に矛盾があったり、不足があったりした場合には、矛盾のある項目や数値を入れるべき項目が赤で表示され、再入力が要求される。
【0113】
平均化によって画像の解像度を下げないために、画像データからノイズを除去するための平均化のパラメータはΔy以下に設定することが望ましい。したがって、平均化のパラメータは6とした。これにより、エッジ検出を行うプロファイルは6本の連続したプロファイルの平均値として与えられる。平滑化パラメータは平均化パラメータより小さい最大の奇数とし、ここでは5とした。この二つのパラメータも自動的に計算させることができる。また操作者が指定することもできる。操作者が入力した平均化及び平滑化パラメータの値がΔyより大きい場合には、入力値が赤で表示され警告が現れるが、操作者が変更しなければ操作者の入力した値で平均化、平滑化が行われる。
【0114】
次に、検査領域を指定した(ステップS802)。キーボードから座標入力する方法と、マウス操作によりSEM画像上に長方形を描きこれを検査領域として入力する方法がある。ここでは後者を選択した。すると、画面にステップS801で設定した検査領域長さをもつ長方形が現れた。これらの位置と長方形の幅すなわちエッジ探索領域の幅、二つの長方形の間隔をマウスで操作して、検査領域を画像上に表示させた。
【0115】
次に、指定した領域でライン幅の計測を行うよう指示した(ステップS803)。すると、等間隔で並んだ76本のプロファイル上でラインの左エッジ点の位置と右エッジ点の位置が得られた。これらの左右エッジ点間の距離が各プロファイル上でのライン幅になる。
【0116】
これらをw(i=0,1,2,…,75)とし、これらの平均値wav・最大値wmax・最小値wminとライン幅分布の標準偏差σwの3倍、すなわち3σwを算出し、表示した(ステップS804)。その結果、wav=80.3nm、wmax=85.6nm、wmin=74.0nm、3σw=9.0nmとなった。このように、本発明を用いて所望の領域に関して設定した許容誤差でライン幅ゆらぎを求めることができた。
【0117】
なお、上記のパラメータは参考値であり、実際には一致しなくともよい。例えば、本実施例1の場合、Δyの画素数は6以下であればよく、5画素又は4画素でも構わない。
【0118】
また、他にデータ数の制約などがある場合、上記の値を参考として7画素又は8画素という程度に大きな値を用い、精度を犠牲にするという選択をすることもできる。同様にして、ライン幅ゆらぎではなく、各々のエッジの位置ゆらぎの標準偏差又はその3倍、すなわち、いわゆるエッジラフネスの大きさを算出することもできる。
【実施例2】
【0119】
前述の図8のフローチャートにより、本発明の実施例2を説明する。
【0120】
本実施例2では、本発明を用いて所望の精度でラインパターンのSEM画像から1μm以上の長い領域について、ライン幅分布の標準偏差を求めた例を説明する。
【0121】
本実施例2において検査する対象は実施例1と同じくトランジスタのゲート部分に対応する多結晶シリコンからなるラインパターンである。このゲートの設計寸法はゲート長が80nm、ゲート幅2μmとなっている。ライン幅ゆらぎを算出する検査領域のラインの長さは実際のゲート幅と等しいことが望ましい。そこで、観察領域のライン方向の長さも5μm程度とすることが望ましかったが、画像の縦横の倍率を同じにしたまま縦方向2μmに及ぶ領域を1枚の画像に入れるには本実施例2で用いた走査型電子顕微鏡においては観察倍率を5万倍程度にしなくてはならず、分解能が低くなるという問題があった。そのため、画像の縦と横の倍率を別の値に設定する機能すなわち縦横変倍機能を用いて、横方向は20万倍、縦方向は5万倍に設定した。
【0122】
まず、検査に関するパラメータを設定する(ステップS801)。パラメータ指定画面において縦横変倍機能を選択し、さらに、倍率として前述の縦方向5万倍、横方向20万倍を選択した。検査領域長さを2000nm、許容誤差pを10%と入力すると、5万倍画像において2000nmに最も近い画素数、誤差10%を実現するためのエッジ計測間隔の最大値を算出する。画素数は380となり、パラメータf0=5、m=0として計算式(数7)(数10)を用いて計算し、計測間隔は最大値で20nmすなわち約3.8画素となった。画素数は整数なので3画素とし、Δy=15.8nmとした。計測点数の値Mは計測領域の画素数を計測間隔で割って得られる値を超えない最大の整数+1であり、ここでは127となる。これらのパラメータは、検査領域長さと許容誤差のみを入力することにより自動的に計算することができる。計測間隔は可能な範囲での最大の値、測定点数は可能な範囲での最小値となる。操作者が入力した値の間に矛盾があったり、不足があったりした場合には、矛盾のある項目や数値を入れるべき項目が赤で表示され、再入力が要求される。なお、エッジ検出のためにエッジを探すエリアの幅は独立に入力する。ここでは40画素とした。
【0123】
平均化によって画像の解像度を下げないために、画像データからノイズを除去するための平均化のパラメータはΔy以下に設定することが望ましい。したがって、平均化のパラメータは3とした。平滑化パラメータはここでは5とした。この二つのパラメータも自動的に計算させることができる。また操作者が指定することもできる。
【0124】
次に、検査領域を指定した(ステップS802)。キーボードから座標入力する方法と、マウス操作によりSEM画像上に長方形を描き、これを検査領域として入力する方法がある。ここでは後者を選択した。すると、画面に、ステップS801で入力した検査領域長さとエッジ探索領域の幅をもつ長方形が左右のエッジに一つずつ、合計二つ現れた。これらの位置と二つの長方形の間隔をマウスで操作して、検査領域を画像上に表示させた。
【0125】
次に、ステップS802で指定した検査領域でライン幅の計測を行うよう指示した(ステップS803)。すると、等間隔で並んだ127本のプロファイル上でラインの左エッジ点の位置と右エッジ点の位置が得られた。これらの位置の差が各プロファイル上でのライン幅になる。
【0126】
このライン幅の集合を{wi|i=0,1,2,…,75}とし、で平均値wav・最大値wmax・最小値wminとライン幅分布の標準偏差の3倍、すなわち3σwを算出し、表示した(ステップS804)。その結果、wav=79.3nm、wmax=87.6、wmin=72.0nm、3σw=10.5nmとなった。このように、本発明を用いて1μm以上の長い領域に関して設定した許容誤差でライン幅ゆらぎを求めることができた。同様にして、ライン幅ゆらぎではなく、各々のエッジの位置ゆらぎの標準偏差又はその3倍、すなわち、いわゆるエッジラフネスの大きさを算出することもできる。
【実施例3】
【0127】
図9は実施例3の手順を示すフローチャートである。
【0128】
本実施例3では、本発明を用いて所望の精度でラインパターンのSEM画像から1μm以上の長い領域について、ライン幅分布の標準偏差を求めた例を説明する。
【0129】
本実施例3において検査する対象は、前記実施例1と同じくトランジスタのゲート部分に対応する多結晶シリコンからなるラインパターンである。このゲートの設計寸法はゲート長が80nm、ゲート幅10μmとなっている。ライン幅ゆらぎを算出する領域のラインの長さは実際のゲート幅と等しいことが望ましい。そこで、観察領域のライン方向の長さも10μm程度とする必要がある。しかし、縦横変倍の設定をとるとしても、横方向には20万倍、縦方向には1万倍と、20倍も異なる倍率にしなくてはならない。本実施例3で用いた走査型電子顕微鏡には、このように縦倍率と横倍率が大きく異なる設定は具備されていなかったため、以下のようにして計測を行った。
【0130】
まず、検査に関するパラメータを計算する(ステップS901)。パラメータ指定画面において検査領域長さを10000nm、許容誤差pを10%と入力すると、誤差10%を実現するためのライン幅計測間隔の最大値を算出する。パラメータf=5,m=0として計算式(数7),(数10)を用いて計算し、計測間隔は最大値で20nmとなった。観察倍率を20万倍と指定したところ、計測領域長さと計測間隔は7590画素と15画素、計測点数の値Mは506となった。これらのパラメータは、検査領域長さと許容誤差のみを入力することにより自動的に計算することができる。このとき、計測間隔は可能な範囲での最大の値、計測点数Mは可能な範囲での最小値となる。操作者が入力した値に矛盾があったり、不足があったりした場合には、矛盾のある項目や数値を入れるべき項目が赤で表示され、再入力が要求される。
【0131】
次に、各々の計測点においてライン幅を算出するための測長条件を設定した(ステップS902)。ここでは、設定された領域でプロファイルを足し合わせ1本のラインプロファイルとし、そこからライン幅を求める方法を選択した。この方法は通常、シングルモードと呼ばれる。シングルモードでは、プロファイルを足し合わせる領域の長さを指定する必要があった。画素数で指定するが、この足し合わせる領域の長さは前述の計測間隔よりも短くなくてはならない。ここでは10画素とした。
【0132】
次に、検査領域の下端が観察領域の中央となるようにステージを移動させた(ステップS903)。
【0133】
引き続いて、検査開始ボタンを押すと、自動的にライン幅をシングルモードで測定し、測定箇所の番号とライン幅の値を、測定点番号1、ライン幅81.2nm、と記憶領域に記憶させた(ステップS904)。次に、画面縦方向に15画素分ステージを移動させ、再度、ライン幅を測定した後、測定箇所の番号として前の番号よりも1多い値を記憶させ、ライン幅計測値とともに記憶させた。このようにして、ライン幅計測とステージ移動を506回繰り返した後、測定は停止した。
【0134】
次に、506個のライン幅の値から、ライン幅平均値wav・最大値wmax・最小値wminとライン幅分布の標準偏差σwの3倍、すなわち3σwを算出し、表示した(ステップS905)。結果は、wav=81.0nm,wmax=88.6nm,wmin=71.0nm,3σw=12.3nmであった。
【0135】
このように、本発明を用いて1μm以上の長い領域に関して、設定した許容誤差でライン幅ゆらぎを求めることができた。同様にして、ライン幅ゆらぎではなく各々のエッジの位置ゆらぎの標準偏差又はその3倍、すなわち、いわゆるエッジラフネスの大きさを算出することもできる。
【実施例4】
【0136】
本発明の実施例4を前述の図8、図10及び11を用いて説明する。図10は本実施例4の手順を示すフローチャート、図8及び図11はその一部を詳細に表したものである。
【0137】
本実施例4では、本発明を用いて所望の精度でラインパターンのSEM画像から1μm以上の長い領域について、ライン幅分布の標準偏差を求めた例を説明する。
【0138】
本実施例4において検査する対象は前記実施例1と同じくトランジスタのゲート部分に対応する多結晶シリコンからなるラインパターンである。このゲートの設計寸法はゲート長が80nm、ゲート幅4μmとなっている。ライン幅ゆらぎを算出する検査領域のラインの長さは実際のゲート幅と等しいことが望ましい。しかし、本実施例4で用いた走査型電子顕微鏡には、縦倍率と横倍率とを別々に設定できる機能は具備されていなかった。一方、画像を接続してエッジ点を検出する機能はあった。そこで以下のようにして計測を行った。
【0139】
まず、画像取得時のSEM観察のパラメータ設定を行った(ステップS1001)。観察倍率を20万倍に設定し、積算回数128回を指定した。
【0140】
次に、接続する画像の枚数、1回のステージ移動で移動する距離を入力した(ステップS1002)。画像の枚数は6枚、1回の移動距離はx方向すなわち横方向に0nm、y方向すなわち縦方向に675nmと指定した。
【0141】
次に、検査対象となるゲート領域の下端に視野を移動させ(ステップS1003)、画像取りこみ開始ボタンを押して測定を実施した(ステップS1004)。すると、まずその位置で、ステップS1001で設定したパラメータで第一の画像を取り込み、データを記憶領域に記憶させた後、ステップS1002で指定したパラメータに従って視野をx方向に0nm、y方向に675nm移動させ、第二の画像を取り込んだ。これを繰り返し、合計で4.05μmに渡る領域に対応する6つの画像データファイルを得た。これらの画像データファイルには、画像を取り込んだ順にファイル1からファイル6までの名前がつけられていた。
【0142】
次に、前述の6つのファイルをy方向に接続する(ステップS1005)。なお、ウエハ観察中にSEMのモニタで行うことも可能であるが、一旦SEMによるウエハ観察を終了した後、SEMのモニタで行ったり、SEMに接続されている画像処理装置にファイルを転送し、画像処理装置の端末で行ったりしてもよい。ここでは、第三の方法すなわち画像処理装置にて行った。ステップS1005で実行される内容の詳細を図11に示す。まず、画像処理装置端末を操作して、画像接続のための新しいウインドウを設定し、その上に6つの画像を左右の辺がつながるように縦に並べて表示した(ステップS1101)。目視で観察し、修正を行うかどうかを操作者が判定する(ステップS1102)。不自然さがなければそのままデータを統合する。不自然さがある場合にはファイルの位置関係を修正することができる。ここでは、若干接続が滑らかでなかったので、修正することにした。次に、修正する画像の表示方法を以下の2つのうちから選択する(ステップS1103)。第一の方法では、濃淡画像のままで位置関係を修正する。動かしたい画像をクリックしてアクティブにし、マウス又はキー入力により画面上で上下左右に移動させる。第二の方法は、一旦すべての画像からSEMと同じアルゴリズムでエッジ点を検出し、元の画像でなくエッジ点の集合を表示させる。第一の方法を選択した場合は手動で画像の位置を動かす(ステップS1107)。また、第二の方法を選択した場合には、手動、自動いずれの方法でも修正できる。第二の方法を選択した場合には、手動で修正したい場合でもエッジが幅をもつ元の濃淡画像でなくエッジ点の集合であるため、接続時に画像間のずれが際立って見え、滑らかに接続するのが容易になるという利点がある。ここでは第二の方法を選択した。モニタ上でエッジ表示を選択すると、エッジ検出のためのパラメータ設定画面が現れる(ステップS1104)。ここでの設定はSEMでの操作と同じである。パラメータ入力を終了すると、シート上に現れていたラインパターン画像はすべてエッジのみが表示された画像に変わった。そのまま各画像の位置を移動させることができる。また、分かり易くするために近似直線を表示させることもできる。また、自動修正を行うためには近似直線表示は必須である。近似直線表示を行うかどうかは、ステップS1105で選択する。ここでは、近似直線表示を行うことにした。すべての画像の左右のエッジ(ここでは合計12本)を傾きが共通な平行直線で近似する。得られた傾き(一つの値)と切片(各エッジに与えられる合計12個の値)を持つ近似直線がそれぞれ対応する画像の上に表示された。ここで、さらに、画像の位置関係を手動で修正するか自動修正するかを選択する(ステップS1106)。手動修正を選択した場合、操作者は表示された近似直線を参考にしながら自分で画像を動かす(ステップS1107)。一方、自動修正を選択した場合は、12本の平行な直線が6本ずつ縦方向に滑らかに接続されるように自動的に画像が移動する(ステップS1108)。ただし、自動修正では、x方向に位置を修正するのみで縦方向に画像をずらすことはできない。ここでは、手動修正を選択して、6枚の画像の位置関係を設定し、OKボタンを押した(ステップS1107)。これにより、画像データは統合された(ステップS1109)。なお、自動修正を選択した場合は、前述のように画像の位置関係が修正された後(ステップS1108)、自動的に画像データが接続される(ステップS1109)。
【0143】
次に、画面には、接続されて一つのファイルになった画像データの縦・横方向の画素数と長さが表示され、ファイル名を入力するよう指示が出た(図10のステップS1006)。ここでは、ファイル名として「newfile1」と入力し、OKと表示されたボタンを押した。ステップS1005で統合された画像データは、この名前で保存された。この工程では、キャンセルを選択することもできる。キャンセルが選択された場合は統合されたデータは破棄され、データ保存はされずに終了する。
【0144】
次に、データ「newfile1」に対して検査を行った(ステップS1007)。ステップS1007の内容の詳細は実施例1で述べた図8に示す工程である。まず、図8に示すステップS801でパラメータを設定した。検査領域長さを4μm、許容誤差を10%と入力し、残りのパラメータ設定は自動で行った。次に、画面上には、接続された縦に長い画像と検査領域を表す長方形とが現れたので操作者はマウスを用いて長方形の位置と間隔とを、エッジ領域をカバーするように操作し(ステップS802)、計測を行った後(ステップS803)、計算し結果を表示した(ステップS804)。表示によればwav=82.3nm、wmax=86.6nm、wmin=74.2nm、3σw=9.5nmであった。このように、本発明を用いて1μm以上の長い領域に関して設定した許容誤差でライン幅ゆらぎを求めることができた。同様にして、ライン幅ゆらぎではなく、各々のエッジの位置ゆらぎの標準偏差又はその3倍、すなわち、いわゆるエッジラフネスの大きさを算出することもできる。
【0145】
なお、本実施例4で述べたように、手動で上下の位置関係にあるSEM画像のデータを不連続な部分がないように接続することは、算出対象がエッジラフネスである場合には必須である。ライン幅変動を算出するのであれば、厳密に接続する必要はない。すなわち、ステップS1102において修正をせずに求めてもよい。
【実施例5】
【0146】
本実施例5では、前記実施例4で行った計測を、より簡単に実施する方法を述べる。
【0147】
本実施例5において検査する対象は実施例1と同じくトランジスタのゲート部分に対応する多結晶シリコンからなるラインパターンである。このゲートの設計寸法はゲート長が80nm、ゲート幅4μmとなっている。観察倍率を20万倍に設定し、積算回数128回を指定した。検査領域長さを4μm、許容誤差を10%と入力し、残りのパラメータ設定は自動で行った。すると、計測間隔は20nmとなった。これを画素に換算すると、15.1画素なので、15画素間隔で計測することにした。これは画像1枚当たり34点となる。
【0148】
まず視野を計測開始点に移動させ、自動的に設定したパラメータで計測を行った。すると、34個のライン幅の値が得られた。ここで、画面に現れたデータ記録を行うという選択をするボタンをマウスでクリックしたところ、ファイル名入力の画面が現れたので「gate1」と入力した。34個のライン幅の値は画像下から順番に、このファイルに書きこまれた。次に、視野を手動で約675nm分上方に移動させ、計測を行った。すると、画面に、続けてデータを記録するかどうかを問う表示が現れたので『はい』をクリックしたところ、すでに34個の数値データが記録されている「gate1」というファイルに、続けて34個のライン幅の値が記録された。
【0149】
このような操作を繰り返し、合計6回データの記録を行った。これにより、約4μmの領域に渡って計測間隔15画素で計測したライン幅の結果が、ライン端から順にファイルに記録された。これについて統計処理をすることにより、ヒストグラム、平均値、標準偏差などの値が得られる。ここでは、平均値、最大値、最小値、標準偏差の3倍を表示させた。表示によればwav=82.0nm、wmax=86.6nm、wmin=74.0nm、3σw=9.3nmであった。本発明を用いれば、非常に簡単に1μm以上の長い領域に関して設定した計測間隔でライン幅の変動を計測することができる。
【実施例6】
【0150】
図12により、本発明の実施例6を説明する。図12は本実施例6の手順の一部を示すフローチャートである。
【0151】
本実施例6では、ラインパターンのライン幅ゆらぎを観測し、同じ工程でそのライン長よりも長いゲート幅のトランジスタを作成した場合にゲートに生じるゲート長ゆらぎを予測した例を示す。
【0152】
ライン幅ゆらぎを計測したパターンは長さ2μmのラインであり、観察倍率10万倍でパターンの画像を取得した。画像の視野は縦方向に1.35μmであった。この画像内のラインについて、2画素すなわち5.27nm間隔でライン幅を算出し、256個のライン幅データからなる系列{w|i=0,1,2,…,255}を得た。平均ライン幅は103.0nm、分布の標準偏差は2.7nmであった。
【0153】
同じ程度のライン幅ゆらぎが存在するときに、ゲート幅5.40μmのゲートに発生するライン幅ゆらぎの標準偏差を、以下の手順で求めた。
【0154】
まず、計測データのフーリエ変換を行い、空間周波数分布を求めた(ステップS1201)。本実施例6では高速フーリエ変換のコンピュータアプリケーションソフトを用い、2のべき乗の個数のデータについてフーリエ係数を算出し、さらにその絶対値としてA(f)を算出した。長さ1.35μmの領域に対し、係数が得られた空間周波数fは、1/1.35の整数倍となった(単位はμm-1)。
【0155】
次に、得られた空間周波数分布を図2の折れ線201として表した近似曲線に対応する関数で近似した(ステップS1202)。ここで、m=0とした。これらの関数は(数1)〜(数4)に示されているが、これらは一例であり、同様の効果をもたらす別の関数形をもつ関数であってもよい。ここで、f=5とした。この工程でフィッティングパラメータAの値が求まった。
【0156】
引き続いて、得られた近似曲線を元に、ゆらぎを求めたいゲートのゲート幅に対応する空間周波数fの成分の振幅A(f)を算出した(ステップS1203)。ここでは、最も簡単な方法で行った。すなわち、前記工程で求められたAの値と、(数3)に示した近似式とから、1/1.35の整数倍であって1/5.40の整数倍でない空間周波数fに対してA(f)を算出した。
【0157】
次に、前の工程でA(f)を算出した空間周波数fの成分について、モンテカルロ法によりランダムに位相を設定した(ステップS1204)。例えば、任意の整数を発生させ、それを2πで割って余りを位相(単位はラジアン)とすればよい。これにより、必要な範囲ですべてのfに対してフーリエ係数が得られる。
【0158】
このようにして得られた係数をフーリエ逆変換して、実空間上のゆらぎとした(ステップS1205)。
【0159】
上記手法により、実測したラフネスと同等のラフネスがある場合、ライン長さ5.40μmの領域に発生するライン幅ゆらぎのデータが得られた。このデータから分布の標準偏差を算出し、ライン長5.40μmのラインすなわちゲート幅5.40μmのゲートではゲート長ゆらぎが標準偏差で3.3nmになると予測された(ステップS1206)。
【0160】
次に、m=−0.25とし、ステップS1202からステップS1206までを行って、同様にゲート長ゆらぎの標準偏差を算出したところ、3.8nmとなった。したがって、ゲート長ゆらぎの標準偏差は3.3nmから3.8nm程度と予測された。
【0161】
このようにして、実際のゲート幅より短いライン長のラインについてゆらぎを計測し、その結果から元のゲート幅を有するゲートについて、ラインエッジラフネスやゲート長ゆらぎを予測することが可能である。
【0162】
また位相の設定を行うステップS1204からステップS1206までを複数回行えば、発生し得るラフネスの程度をより高い信頼性で予測することも可能である。
【実施例7】
【0163】
図13により、本発明の実施例7を説明する。図13は本実施例7において測定対象となったパターンを示す模式図である。
【0164】
本実施例7では、1本のライン上にある同じスペックの別々のトランジスタゲートのパターンの平均的なライン幅とライン幅変動を算出した例を示す。
【0165】
測定する対象パターンは図13に示す長さ100μmのラインである。トランジスタのゲート幅は0.2μmであり、ライン上の部分であるゲートパターン1301,1302,1303は、別々のトランジスタのゲートパターンである。図13では、ライン上にゲートパターン1301,1302,1303が並んで配置されているが、この延長線上にも同様のゲートパターンが並んでいる。
【0166】
このゲートパターンについて、ライン幅を以下のように測定した。ゲート幅が0.2μmであるため、算出回数は2μm/0.2μmすなわち10回以上必要である。そこで10回行うこととした。まず、ステージを移動し、ゲートパターン1301の中央が画像中央にくるようにした。観察倍率は20万倍であった。計測を行う領域の縦方向の長さが、ほぼ0.2μmになるよう設定し、縦方向の計測領域がゲートパターンの縦方向の領域と重なるようにした。次に、ラインのライン幅w1とライン幅ゆらぎの大きさの目安となる標準偏差の3倍すなわち3σw1を算出した。次に、ステージを移動してゲートパターン1302について同様の計測を行ってw2及び3σw2を得た。続けて、ゲートパターン1303、さらに、その延長線上にあるゲートパターンに対して計測を続け、合計で10ヶ所のゲートに関する計測結果w1,w2,…,w10、及び3σw1,3σw2,…,3σw10を得た。これらの数値から、このゲートパターンの平均的なライン幅wavとライン幅ゆらぎ3σwavを以下のように求めた。
【0167】
【数11】

【0168】
【数12】

【0169】
その結果、ライン幅wavは110.2nm、ライン幅ゆらぎ3σwavは7.0nmとなった。このように、計測領域の長さの合計を2μm以上とすることで、寸法及び寸法変動の値自体のパターン位置によるばらつきを極めて少なくし、信頼性の高い数値を得ることができる。
【実施例8】
【0170】
前述の図8及び図14により、本発明の実施例8を説明する。図14は本実施例8の手順を示すフローチャート、図8はその一部を詳細に表したものである。
【0171】
本実施例8では、前記実施例1で求めたデータを基に完成時のデバイスの電気的特性を予測し、それに基づいてパターン検査を行った例を述べる。
【0172】
操作者はウエハ上にあるラインパターンをSEM観察し、得られた画像に対して図14に示す手順で評価を行い、ウエハの良否判定を行った。
【0173】
まず、前記実施例1で述べた図8に示す工程を実施して、画像に対してライン幅ゆらぎの算出を行った(ステップS1401)。観察したウエハの履歴、元の画像及び用いたパラメータはすべて前記実施例1で述べたとおりである。得られた値は表示された。wav=80.3nm、wmax=85.6nm、wmin=74.0nm、3σw=9.0nmであった。また、76点の計測によるライン幅の分布{wi|i=0,1,2,…,75}も得られた。
【0174】
次に、ライン幅の分布データに対してイオン打ちこみのシミュレーションを行った(ステップS1402)。ゲートパターンにラフネスが存在しても、必ずしもそれがそのままイオン打ちこみ後の電気的なゲート長の分布になるわけではない。しかし、ここではイオン打ちこみ後の熱処理によるイオンの拡散を極力押さえた場合を想定し、ライン幅の分布{wi|i=0,1,2,…,75}がそのままゲート長Lgの分布となるものとした。
【0175】
次に、ライン幅のデータをLg分布としてまとめ、ゲート長分布を算出した(ステップS1403)。この際、ステップS1402で得たLgの値の分布をどのように近似するかを選択することができる。近似のタイプは以下の5種である。すなわち、(1)Lgはすべて平均値wavであると仮定する。(2)Lgの値はすべてwav−nσwであると仮定する。nの値は1,1.5,2,3など任意の実数値を設定できる。(3)Lgの値は計測点の半数M/2がwav−σw、残り半数がwav+σwの値をとると仮定する。(4)Lgの分布は総数M、平均値wav、標準偏差σwの正規分布と仮定する。(5)Lgの分布はステップS1402で得たLgの値を、設定したLg値刻みでヒストグラム化したものと仮定する。
【0176】
ここでは(5)を選択した。なお、(4)及び(5)では算出する際のライン幅値の刻み、データの最小値、最大値を入力しなくてはならない。ここでは最小値72nm、最大値86nm、刻み1nmとした。これによりライン幅分布は集合{(Lgi,Ngi)| i=0,1,2,……}で表せる。ここでLgi=72+iである。Ngiはライン幅がLgi−0.5以上Lgi+0.5未満の範囲に入るものの度数である。
【0177】
次に、ゲート長分布がない場合のデバイスのI−V特性データを入力した(ステップS1404)。ここでは、ゲート長に分布がない場合すなわちLgが一定の場合のゲート電圧Vg対動作電流Idの関係すなわちI−V特性のデータを入力する。通常は、あらかじめデータのセットを装置の記憶領域に入力しておき、使用時にこれらのファイル名を表示させ、選択する。装置の記憶領域にないデータセットを用いるときは、装置と接続されているコンピュータの記憶領域、装置に付属しているディスクドライブ、CD用ドライブ等から入力することができる。ここでは、装置の記憶領域に保管してあった、ゲート長80nmの製品名Aのファイルを選択した。ファイルには、駆動電圧Vd=0.05Vの場合とVd=1.2Vの場合のLgが60nmから100nmまでのI−V特性が収められていた。Lgの各値に対するI−V特性は、
【0178】
【数13】

【0179】
と書くことができる。なお、ファイルのLgの値は1nm刻み、Lgの各値に対するデータ中のVgの値は−0.5Vから+1.5Vまで0.02V刻みである。
【0180】
次に、ゲート長分布がある場合のI−V特性を算出した(ステップS1405)。ここでは、ステップS1403で得たSEM画像に基づくLg分布の情報と、ステップS1404で得たラフネスがない場合のI−V特性のデータとから、観察パターンから作成されるデバイスのI−V曲線を計算する。入力するLg分布のデータ{(Lgj, Ngj)|j=0,1,2…}から、出力データ{(Vgi,Idi)|i=0,1,2…}は以下のように計算される。
【0181】
【数14】

【0182】
ステップS1403で算出したLg分布についてこの計算を行い、分布に対応するVd=0.05Vと1.2Vの場合のI−V曲線が得られる。ここでは(5)のみを選択したので得られたI−V曲線は各Vdについて1種類であった。
【0183】
次に、計算結果を出力した(ステップS1406)。出力形式には(1)I−V曲線、(2)オフ電流(Vg=0のときのId)、(3)しきい値電圧、の3種類がある。ここでは(2)と(3)を選択し、ステップS1403で指定したLg分布に対してこれらの値を画面上に表示させた。また、その後、これらの値とライン幅がwav以外の値をとらない場合の結果とを比較した結果を表示させた。オフ電流値は基準(すべての計測点で、Lgが設計値すなわち80nmと等しくなる場合)の値に対して何倍になるか、また、しきい値電圧はどのくらい下がるかを表示した。表示によれば、オフ電流値は1.9倍、しきい値電圧の低下は4mVであった。
【0184】
次に、検査対象ウエハの良否又は等級の判定を行った(ステップS1407)。判定の基準はオフ電流値が基準値の2倍以下、また、しきい値電圧の低下量が20mV以下、である。本画像の判定結果は合格であったため、ウエハは次工程に移され、本ウエハの検査は終了した。なお、ここでは操作者が判断したが、あらかじめ許容範囲を入力しておき、オフ電流値としきい値電圧がその範囲内に入らなかった場合に警告を発するよう設定しておくことができる。
【0185】
また、ステップS1403においては、前記(1)〜(3)を選択して得られる結果は参考にはなるが、実際のパターン検査には前記(4)又は(5)を用いることが望ましい。より精確なのは(5)であるが、検査時間短縮が必要である場合、又は一度に大量の画像処理を行う場合には(4)を選択するとよい。
【0186】
このようにして、精度の高い検査を効率良く実施することができる。
【実施例9】
【0187】
図15及び図16により、本発明の実施例9を説明する。図15は本実施例9の手順を示すフローチャート、図16は本実施例9を実現するパターン検査システムの構成図である。
【0188】
本実施例9では、本発明を用いた、短い時間で精度の高いレジストパターン検査を行うことができるパターン検査システムの構成と検査工程の例を示す。
【0189】
本実施例9のパターン検査システムは、図16に示すように、走査型電子顕微鏡(SEM)を利用したものであり、筐体1601、電子銃1602、収束レンズ1604、偏向器1605、対物レンズ1606、ステージ1608、検出器1610、走査型電子顕微鏡の制御部1611、検査用コンピュータ1612などから構成される。電子銃1602から試料1607に対してビーム状に絞った荷電粒子線としての電子線1603を走査・照射し、試料1607からの二次電子1609又は反射電子の強度分布を検出器1610で検出し、電子線1603と同期しながら観察画像を表示する。
【0190】
本実施例9において検査する対象は、トランジスタのゲート領域に対応するレジストラインパターンである。
【0191】
まず、対象となるレジストパターンのある試料1607を、ステージ1608に設置し、SEMの制御部1611から操作を行って観察し画像を得る(ステップS1501)。この画像データを装置に接続した検査用コンピュータ1612に転送し、設定したパラメータを用いてエッジ点を検出する。
【0192】
次に、検査用コンピュータ1612により、計算を行う。まず、エッジ点の集合に対してレジスト下層のシリコン酸化膜をエッチングするシミュレーションを行う(ステップS1502)。シミュレーションはエッチングプロセスを原子・分子レベルでシミュレートしたものであってもよいが、検査工程で用いるには、これまでの蓄積データに基づきライン幅のゆらぎの絶対量やライン幅ゆらぎの空間周波数分布がエッチング後にどう変化するかを予測するものであることが望ましい。これは、過去の実績を確実に反映できるためと計算時間を短縮するためである。これにより、エッチング後におけるシリコン酸化膜パターンのエッジ点の集合の状態を出力することができる。
【0193】
ここでは、最も簡単な予測法を用いた。これは以下のような方法である。まず、エッジ点集合{xi|i=0,1,2,…}から、左右エッジの近似直線とエッジ点のゆらぎ{Δxi|i=0,1,2,…}を求める。次に、左右の近似直線の距離を元の値すなわちレジストパターンの平均的ライン幅のa倍に拡大し、酸化膜パターンのエッジの近似直線とする。またエッジ点ゆらぎをb倍にして酸化膜パターンのエッジ点ゆらぎとする。次に、求められたシリコン酸化膜パターンのエッジの近似直線上の点にシリコン酸化膜パターンのエッジ点ゆらぎを足してシリコン酸化膜パターンのエッジ点位置とする。ここでは、a=0.80,b=0.95とした。
【0194】
次に、シリコン酸化膜パターンをマスクとしたドライエッチングにより、その下地であるゲート層すなわちシリコン膜層を加工するシミュレーションを行う(ステップS1503)。ステップS1502と同様に、シミュレーションの内容としては、市販のプロセスシミュレータを用いる方法や、蓄積データに基づきライン幅とゆらぎのみを定数倍する簡単な方法などが考えられる。ここでは、ステップS1502で述べた簡単な方法と同様、蓄積データに基づきライン幅を0.98倍、エッジ点ゆらぎを0.9倍するものとした。
【0195】
次に、イオン打ちこみプロセスのシミュレーションを行う(ステップS1504)。ここでも、ステップS1502と同様、シミュレーションの内容としては、市販のプロセスシミュレータを用いたり拡散方程式の解を求めたりする時間のかかる方法から、単純にライン幅とライン幅ゆらぎを定数倍する方法まで考えられる。ここでは、ライン幅ゆらぎを周波数フィルターにかけて、周波数100μm-1以上すなわち周期に換算して10nm以下の細かい振動の成分を除去した後、実空間上の点に戻し、さらに平均ライン幅はそのままで、ライン幅ゆらぎを0.95倍するものとした。
【0196】
次に、ステップS1504で得られたエッジ点のデータを基に、ゲート長Lgの分布を算出する(ステップS1505)。分布には以下の2種類があり、いずれかを選択する。第一の方法では、ステップS1504で得られたデータからゲート長Lgのヒストグラムを作る。第二の方法では、平均ライン幅とライン幅分布の標準偏差σとから作成した正規分布関数を、Lgの分布とする。いずれの場合もゲート長Lgiに対する度数Ngiの組の集合{(Lgi, Ngi)| i=0,1,2,…}として得られる。
【0197】
次に、ゲート長分布がない場合すなわちライン幅ゆらぎがない場合のI−V特性のデータを入力する(ステップS1506)。装置の記憶領域に記憶させてあるファイルから選択するか、又は外部入力装置から入力する。
【0198】
次に、ゲート長分布がある場合のI−V特性を算出する(ステップS1507では)。ステップS1505で得られたLg分布とステップS1506で入力したI−V特性とから、Lg分布がなく、かつ寸法が設計どおりにできていた場合の理想的なI−V特性と、検査対象パターンから作成されるデバイスについて予測されるI−V特性とを計算する。
【0199】
次に、計算結果を出力する(ステップS1508)。理想的なI−V特性と検査パターンから予測されるI−V特性とを比較し、それぞれのオフ電流又はこれらの比、それぞれのしきい値電圧又はこれらの差などを表示させる。また、これらの結果について、あらかじめ入力しておいた許容範囲の中に納まっているかどうかを判定し、許容範囲外にある場合は、検査用コンピュータ1612のモニタ画面上に表示することにより、又は音により警告する。
【0200】
ライン幅ゆらぎのデバイスへの影響は、同じライン幅ゆらぎであってもゲート長等の製品仕様によって異なる。本実施例9に記したパターン検査方法及びパターン検査システムを用いれば、製品に応じた信頼性の高い検査が短時間で行えるようになる。
【実施例10】
【0201】
図17、図18により、本発明の実施例10を説明する。図17は本実施例10におけるデバイス性能の計算プロセスを示すフローチャート、図18は本実施例10により得られた結果を示すグラフである。
【0202】
本実施例10では、本発明を用いてトランジスタの性能劣化と性能ばらつきのゲート幅依存性を同時に予測した例を示す。
【0203】
本実施例10において観察する対象は、長さ30μmのラインパターンである。しかし、性能を予測したいトランジスタのゲート幅の最小値は0.2μmであった。
【0204】
観察倍率は20万倍、許容誤差を5%と設定した。まず(数7)〜(数10)に示した式を用いて計測間隔等のパラメータを決定する。f0=5、m=0を用いて計算すると、ゲート幅0.2μmに対して、計測間隔は10nm以下でなくてはならない。1画素が675nm/512画素すなわち、約1.318nmに相当するので、10nmは約7.6画素に相当する。ここでは、7画素間隔で計測することとした(長さでは約9.2nm)。また、1枚の画像につき、73個のデータをとることになる(この73個のデータの相当する領域長さは673.7nm)。次に、前記実施例5で述べた方法を用いて試料のSEM観察を行った。観察対象パターンの端から始めて、1枚の画像からのライン幅データの取得と視野の移動を44回繰り返し、合計29.6μmの領域に渡るライン幅変動データを得た。ファイル中のデータの数は合計3212個である。
【0205】
このデータに対して以下に示す計算を行って、ゲート幅に対応するトランジスタの性能劣化とばらつきを算出する。
【0206】
まず、最小ゲート幅に対応するデータ長さ(個数)Mの最小値を計算する(ステップS1701)。計測間隔は9.2nmであるから、例えば、10個のデータはゲート幅92nmのトランジスタ一つに対応する。ここでは最小ゲート幅は200nmであったので、Mの最小値は21となった。
【0207】
次に、MをステップS1701で求めた最小値に設定して計算を開始する(ステップS1702)。
【0208】
次に、3212個のデータを端からM個ずつのグループに分ける(ステップS1703)。M=21の場合、152のグループとなり、終わりの20個のデータは余るが、余ったデータは計算に用いない。
【0209】
次に、得られたすべてのグループについて、個々のグループを一つのトランジスタのゲート長ゆらぎのデータとみなして前記実施例8で示した方法により、しきい値電圧又はオフ電流などのトランジスタ性能を求める(ステップS1704)。トランジスタは、グループの数だけあることになるから、トランジスタ性能の値もグループの数だけ求められる。
【0210】
Mの値を1増やして(ステップS1705)、Mがデータ総数を超えないか否かの判定を行い(ステップS1706)、超えていない場合はステップS1703に戻り再び同様のことを行う。Mがデータ総数を越えたところで計算は終了し、トランジスタ性能及びばらつきのゲート幅依存性を表示する(ステップS1707)。
【0211】
このようにして得られた結果の一例を図18に示す。グラフの横軸はMから算出されるゲート幅、縦軸はしきい値電圧である。なお、横軸は対数プロットしてある。斜線部はしきい値電圧の分布領域を表す。ここで、しきい値電圧の分布領域は、累積度数分布が10%から90%になる範囲とした。つまり、全部のトランジスタの80%が入る領域である。ここでは、累積度数分布を10%と90%としたが、これらの値は任意の値に設定できる。トランジスタの平均ゲート長が設計値通りであっても、ゆらぎがあればしきい値電圧は低下する。そのため、Mが大きくなると、しきい値電圧は設計値より低い値に収束する。図18において、設計値と示した値は、すべてのデータの平均値をゲート幅に持つ、ゲート幅分布のないトランジスタのしきい値電圧である。ここでは、トランジスタ性能をしきい値電圧で表した例を示したが、同様のグラフをオフ電流で表すこともできる。また、ここでは、トランジスタ性能の分布を縦軸の領域で表したが、Mの各値に対してヒストグラムを算出し、3次元グラフで表示することもできる。
【0212】
以上の結果から、観察資料の作成工程と同じ工程を経てゲート幅Lのトランジスタを作成したときのゲート長変動による性能劣化とばらつきを予測することができる。すなわち、トランジスタ作成における材料又はプロセスの評価を行うことができる。また、性能劣化の許容値が与えられているときに、ばらつきを予測し、スペックアウトとなるトランジスタの割合を予測することができる。ここでは、30μmのラインを観察対象パターンとしたが、より長い領域のデータをとれば、より信頼性の高い結果が得られる。ただし、観察領域を広くすると、周囲のパターンの影響や下地膜厚のむらなど、自然発生的に生じたラフネス以外の要因が含まれるおそれがあるため、およそ100μm以下が適当である。
【実施例11】
【0213】
図19により、本発明の実施例11を説明する。図19は本実施例11で計測したラインエッジラフネスの空間周波数分布を示すグラフである。
【0214】
本実施例11では、ラフネスの形状を詳細に計測してプロセスのモニタリングを行った例を述べる。
【0215】
半導体製造工程において使用されているレジストのラインエッジラフネスを計測したところ、露光時のフォーカスがベストの状態ではラフネスは小さいが、デフォーカスするとラフネスが極めて大きくなることが分かった。また、空間周波数分布を調べたところ、ベストフォーカスでは曲線1901、デフォーカスしたときには曲線1902のようになることが分かった。曲線1902では、5μm-1〜10μm-1の空間周波数帯に特徴的なピークが現れる。本発明による計算方法を用いて、以下のようにラフネスを計測し露光装置のデフォーカスを検出した。
【0216】
200nm程度の周期を観測するためには、視野が200nm以上なければならない。また、あまり高倍率で観測すると、ノイズが多くなったり、チャージアップによる画像の変化が大きくなったりする。そこで、一辺が675nmとなる20万倍で観察した。また、周期100nmの成分も許容誤差10%で検出できるよう、本発明による計算から計測間隔を10nm以下にすることにした。これに相当する画素数は7.6画素であったため、計測間隔を7画素とした。また、平均化パラメータも7とした。
【0217】
上記の条件で長さ200nmのレジストラインパターンのエッジ形状を検出し、エッジラフネスの程度を、エッジ位置分布における標準偏差σの3倍、3σで表す検査を実行した。計測回数についても本発明を用いて、一つのパターンについて10回とし、得られた10個の3σの値について自乗平均をとり、この値を観察サンプルに関する3σとした。すると、露光装置がデフォーカスしたときに3σが異常に大きくなった。この特性を利用して、検査工程で露光装置の状態をモニタリングすることができる。
【0218】
また、上記のパターンのドライエッチング後のシリコンからなるラインパターンのエッジラフネスを計測したところ、ドライエッチングに用いられるガス種の流量に応じて、エッジラフネスの程度すなわちエッジ位置分布の3σが敏感に変化することが分かった。空間周波数分布を調べたところ、ベストの条件では曲線1901のようになるが、流量が変化しやすいあるガス種の流量が減少すると、曲線1903のように1μm-1近傍に特徴的なピークが現れ、3σが大きくなることも分かった。本発明による計算方法を用いて、以下のようにラフネスを計測し、ドライエッチング装置におけるガスの流量異常を検出した。
【0219】
1μm程度の周期を観測するため、前述の場合と同様に観察倍率を選択した。その結果、10万倍で観察することとした。また、周期が1μmの凹凸を検出するため、本発明による計算を行い、f0=5、m=0として20nm以下の計測間隔とした。20nmは10万倍画像で7.6画素に相当したため、計測間隔は7画素、平均化パラメータも7とした。
【0220】
上記の条件で長さ1μmのラインパターンのエッジ形状を検出し、エッジラフネスの程度を、エッジ位置分布における標準偏差σの3倍、3σで表す検査を実行した。計測回数についても本発明を用いて、一つのパターンについて5回とし、得られた5個の3σの値について自乗平均をとり、この値を観察サンプルに関する3σとした。すると、ドライエッチング装置のあるガス種の流量が減少したときに3σが異常に大きくなった。この特性を利用して、検査工程でドライエッチング装置の状態をモニタリングすることができた。
【0221】
以上述べたように、本発明を用いることにより、検査工程における簡便な検査により、短時間でプロセスのモニタリングを行うことができる。
【0222】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0223】
例えば、前記実施の形態においては、半導体基板上の微細パターンの検査について説明したが、これに限定されるものではなく、他の材料からなるパターンについても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】ラフネスのあるパターンエッジとそこからエッジラフネスを求める方法を説明する模式図である。
【図2】ラインエッジラフネス又はライン幅ゆらぎの典型的な空間周波数分布を示す概略図である。
【図3】平均ライン幅と計測領域長さとの関係を示すグラフである。
【図4】ライン幅変動量と計測領域長さとの関係を示すグラフである。
【図5】ラフネスの真の値からのずれ量と計測間隔との関係を示すグラフである。
【図6】レジストパターンをマスクにドライエッチングを行うゲートパターンの加工工程の一部を示す断面の概念図である。
【図7】本発明の実施例1において評価された観察画像を示す概略図である。
【図8】本発明の実施例1、2、4、8における手順の一部を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例3における手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例4における手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例4における手順の一部を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施例6における手順の一部を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施例7において測定対象となったパターンを示す模式図である。
【図14】本発明の実施例8における手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例9における手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例9におけるパターン検査システムを示す構成図である。
【図17】本発明の実施例10における手順の一部を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施例10により得られた結果を示すグラフである。
【図19】本発明の実施例11において計測されたパターンのエッジラフネスの空間周波数分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0225】
101,701 パターン下地領域
102,702 パターン領域
103 パターンのエッジを直線近似して得られる近似直線
104 近似直線上の点と実際のエッジ点との差異(Δx
201 ラインパターンのエッジラフネス又はライン幅ゆらぎの空間周波数分布を表す折れ線
601 レジストパターン
602 レジスト膜下層のシリコン層
603 シリコン層下層のゲート絶縁膜
703 ラインパターン左エッジ
704 ラインパターン右エッジ
1301,1302,1303 1本のラインパターン上にある別々のゲートパターン
1601 走査型電子線顕微鏡の筐体
1602 電子銃
1603 電子線
1604 収束レンズ
1605 偏向器
1606 対物レンズ
1607 試料
1608 ステージ
1609 二次電子
1610 検出器
1611 走査型電子線顕微鏡の制御部
1612 検査用コンピュータ
1901 露光装置又はドライエッチング装置の条件が最適値にあるときのエッジラフネスの空間周波数分布曲線
1902 露光装置のフォーカスがずれているときのエッジラフネスの空間周波数分布曲線
1903 ドライエッチング装置のガス流量が最適値からずれているときのエッジラフネスの空間周波数分布曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたラインパターンの検査領域が1μm以上の場合は前記検査領域の0.5倍以上を計測領域とし、前記検査領域が0.5μm以下の場合は前記検査領域を計測領域として計測領域を決定する工程と、
荷電粒子線を利用した走査型顕微鏡を用いて、前記ラインパターンを観察することにより得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報を基に、前記ラインパターンのエッジの位置又はライン幅を前記計測領域内において複数箇所計測する工程と、
前記エッジの位置又は前記ライン幅の計測結果から、前記検査領域における前記ラインパターンの前記エッジの凹凸、前記ライン幅又は前記ライン幅の変動を算出する工程とを有することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
基板上に形成されたラインパターンの検査領域及び許容誤差に基づいて計測間隔の上限値を計算する工程と、
荷電粒子線を利用した走査型顕微鏡を用いて、前記ラインパターンを観察することにより得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報を基に、前記ラインパターンのエッジの位置又はライン幅を前記計測間隔の上限値以下の間隔で複数箇所計測する工程と、
前記エッジの位置又は前記ライン幅の計測結果から、前記検査領域における前記ラインパターンの前記エッジの凹凸、前記ライン幅又は前記ライン幅の変動を算出する工程とを有することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項3】
請求項2記載のパターン検査方法であって、
前記計測間隔の上限値は、前記許容誤差p、前記検査領域L、第1のパラメータf及び第2のパラメータmに基づいて計算され、
前記検査領域Lが0.1μm未満の場合はp・Lと、
前記検査領域Lが0.1μm以上1μm未満の場合はp・(1/f)・L、但しn=1−log10と、
前記検査領域Lが1μm以上の場合はp・(1/f)・Lと近似されることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項4】
請求項2記載のパターン検査方法であって、
前記計測工程及び前記算出工程の回数は、前記回数と前記検査領域の積が2μm以上とすることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項5】
荷電粒子線を利用した走査型顕微鏡を用いて、基板上に形成されたラインパターンを観察することにより得られる反射電子強度又は二次電子強度の二次元分布情報を基に、前記ラインパターンのエッジの位置又はライン幅を検査領域よりも短い計測領域内において複数箇所計測する工程と、
前記エッジの位置又は前記ライン幅の計測結果から、前記計測領域における前記ラインパターンの前記エッジの凹凸、前記ライン幅又は前記ライン幅の変動についての空間周波数分布を算出する工程と、
前記空間周波数分布を曲線で近似して近似曲線を得る工程と、
前記空間周波数分布及び前記近似曲線から前記検査領域における空間周波数の分布強度及び空間周波数成分の位相を予測する工程と、
前記分布強度及び前記位相から前記検査領域における前記ラインパターンの前記エッジの凹凸、前記ライン幅又は前記ライン幅の変動を算出する工程とを有することを特徴とするパターン検査方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインパターンが形成された試料のラインエッジラフネスまたはライン幅ラフネスを解析する機能を備えた計測システムであって、
前記ラインパターンの二次電子強度データを取得する走査電子顕微鏡と、
前記二次電子強度データの解析のためのパラメータを入力する入力手段と、
前記二次電子強度データを解析するコンピュータとを備え、
前記コンピュータは、
前記ラインパターンの長手方向に沿った長さL、測長間隔Δyの所定の測長領域内で、複数のエッジ点またはライン幅を測定し、
前記入力手段により入力された、空間周波数1/Δyと1/Lでの点における前記エッジ点または前記ライン幅のばらつきのフーリエ振幅の比で定義される誤差pと、前記長さLの値から、前記測長間隔を計算することを特徴とする計測システム。
【請求項2】
ラインパターンが形成された試料のラインエッジラフネスまたはライン幅ラフネスを解析する機能を備えた計測システムであって、
前記ラインパターンの画素データを取得する走査電子顕微鏡と、
前記画素データの解析のためのパラメータを入力する入力手段と、
前記画素データを処理するコンピュータとを備え、
前記コンピュータは、
前記ラインパターンの長手方向に沿った長さがL、測長間隔がΔyである所定の測長領域内で、複数のエッジ点またはライン幅を測定する機能と、
前記入力手段により入力された、空間周波数1/Δyと1/Lでの点における前記エッジ点またはライン幅のばらつきのフーリエ振幅の比で定義される誤差pと、前記長さLの値から、前記測長間隔を計算する機能とを備えることを特徴とする計測システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の計測システムにおいて、
前記誤差pは、以下の式で定義されることを特徴とする計測システム。
p=A(1/Δy)/A(1/L)
【請求項4】
請求項1または2記載の計測システムにおいて、
前記測長間隔Δyは、測長間隔の最大値であることを特徴とする計測システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の計測システムにおいて、
前記測長間隔Δyを表示する表示手段を備えたことを特徴とする計測システム。
【請求項6】
請求項5記載の計測システムにおいて、
前記入力値の間に矛盾があった場合には、前記表示手段に再入力要求が表示されることを特徴とする計測システム。
【請求項7】
請求項1または2記載の計測システムにおいて、
前記コンピュータは、前記空間周波数分布の近似曲線を用いて、前記フーリエ振幅を計算することを特徴とする計測システム。
【請求項8】
請求項7記載の計測システムにおいて、
前記コンピュータは、前記空間周波数分布の近似曲線を用いて、前記ばらつきのフーリエ分布の位相を計算することを特徴とする計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−234808(P2006−234808A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37381(P2006−37381)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【分割の表示】特願2003−42116(P2003−42116)の分割
【原出願日】平成15年2月20日(2003.2.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】