説明

試料検査方法、システム及び構成要素

本発明はイオンビーム顕微鏡を用いた試料検査に関するものである。幾つかの実施形態では、本発明は、各検出器は試料についての異なる情報を提供する複数の検出器を用いるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、試料検査方法、システム及び構成要素に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造は、順次蒸着されて集積電子回路、集積回路製品、及び/又は異なるマイクロエレクトロニックデバイスを形成するように加工される複数の材料層を含む素子(半導体素子)を準備する工程を含む。一般に、そのような素子は、様々な構造(例:導電性材料で形成された回路線、非導電性材料で充填されたウェル)を有し、(例えば、数ナノメートル以内の規模で)相互に正確に配置されている。所定の構造(フィーチャ)の位置、大きさ(長さ、幅、深さ)、組成(化学組成)、及び関連する特性(導電性、結晶方向、磁気特性)は、素子性能に重大な影響を及ぼすおそれがある。例えば、ある状況では、これらのパラメータのうちの1つ又は複数が適切な範囲外となると、素子は、所望に機能しないために不良とされてしまう。結果的に、一般的に、半導体製造時の各ステップにわたって非常に良好に制御されることが望ましく、製造工程の様々なステップにおいて半導体素子の製造をモニタリングできるような手段を有することは有効である。この手段で、半導体製造工程の様々なステージで1つ又は複数の特徴の位置、大きさ、組成、及び関連する性質を調査することができる。本明細書では、半導体素子とは、集積電子回路、集積回路素子、マイクロエレクトロニック素子又は集積電子回路の製造プロセス中に得られる素子、集積回路素子、マイクロエレクトロニック素子を指す。幾つかの実施形態では、半導体素子は、フラットパネルディスプレイ又は光電池の一部を構成する。
【0003】
半導体素子の部分は、異なる種類の材料(導電性、非導電性、半導電性の材料)によって構成してもよい。例示的な導電性材料は、アルミニウム、クロム、ニッケル、タンタル、チタン、タングステンおよびこれらの金属を1つ以上含む合金(例えば、銅−アルミニウム合金など)などの金属を含む。金属シリサイド(例えば、ニッケルシリサイド、タンタルシリサイド)も導電性である場合もある。例示的な非導電性材料は、1つ以上の金属のホウ化物、窒化物、酸化物、リン化物、硫化物(例えば、ホウ化タンタル類、タンタルゲルマニウム合金、窒化タンタル類、窒化ケイ素タンタル類および窒化チタン類)を含む。例示的な導電性材料は、ケイ素、ゲルマニウムおよびガリウムヒ素を含む。随意に、半導電性の材料は、材料の電気伝導性を向上させるためにドープ(p型ドープ、n型ドープ)してもよい。
【0004】
材料の所定層の蒸着/処理における一般的なステップは、(例えば、所望の特徴が配置されるべき場所を決定するために)素子を結像するステップ、適切な材料(例えば、導電性材料、半導電性の材料、非導電性材料)を蒸着するステップ、および素子の所定箇所から不要な材料を除去するためにエッチング処理するステップを含む。しばしば、フォトレジスト、例えばポリマーのフォトレジストが適宜な光線に対して蒸着/露光され、所定の構造の位置および寸法の制御を支援するために選択的にエッチング処理される。一般に、フォトレジストは1つ以上の後続の処理ステップで除去され、概して、最終的な半導体素子は、好ましくは感知可能な量のフォトレジストを含まない。
【0005】
例えば、電子及び/又はイオンのような荷電粒子を用いて半導体素子を検査することができる。幾つかの場合、そのような検査を行うためには、素子に断面(Cross section)を設けて、素子の対象領域を露出させ、その後、検査工程を行う。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、試料検査方法、システム、及び構成要素に関するものである。
【0007】
幾つかの場合、試料について定量的な材料組成情報を取得することが望ましい。しかし、そのようにするためには時間を要する。さらに、取得すべき材料組成情報に該当する情報が存在しない場合もある。例えば、短絡又は開回路が存在するために、半導体素子の対象領域が適切な材料(例えば、導電性材料、絶縁性材料)から形成されているか否かを決定することになる。すなわち、材料組成情報を取得した後に、不必要な短絡又は開回路がないと判定することができる。この場合、有意な材料組成情報が取得可能か否かに関する初期判定(例えば、定性的な判定)を行うという比較的効率的なアプローチを実施することで、定量的な材料組成情報を取得するために費やされる比較的長い時間を、少なくとも一部は節約することができる。
【0008】
幾つかの実施形態における開示は、3つの基本的なステップを含む方法を提供する。第1のステップは、試料の対象領域に対象としうる構造が存在するか否かを判定するステップである。第1ステップは、比較的短時間で行われる。よって、対象とする領域に対象としうる構造が存在しないと判定された場合、かなりの時間を節約することが可能になる。しかし、第1ステップでは、対象とし得る構造が存在するか否かを判定することは可能だが、このステップではトポグラフィの要素及び材料の要素のいずれが構造に寄与するかを区別することはできない。例えば、第1ステップでは、(例えば、ガス電界電離イオン顕微鏡により生成された)イオンビーム又は(例えば、電子顕微鏡により生成された)電子ビームを対象領域に当てて、試料からの二次電子を検出し、続いて二次電子から画像を生成して画像を分析する。
【0009】
第2ステップは、第1ステップにて対象領域内に対称としうる構造が存在することが示唆された場合にのみ実施され、当該ステップでは、構造についての定性的な材料構成情報が取得される。このステップを用いて、材料構成の変化が、対象としうる構造の重要な構成要素であるか否かが決定される。このステップは、第1ステップよりも遅いが、一般的に、定量的な試料の材料構成情報を判定するプロセスよりは大幅に速い。したがって、材料構成の変化に起因する重要な構成要素が対象としうる領域に存在しないと判定された場合、かなりの時間を節約することができる。例えば、第2ステップにて、イオンビームを試料に照射して、散乱イオンの存在量の測定を実施する。
【0010】
第3ステップは、第2ステップにて、構造に対して、材料構成の変化に起因する重要な寄与が影響すると示唆された場合にのみ実施され、構造について定量的な情報が取得される。第3ステップは、一般に最も遅いステップであり、対象とする構造が無い場合(例えば、不要な開回路、不要な閉回路)、又は、対称領域は存在するが、当該対象領域が材料構成の変化に起因する重要な構成要素を有さない場合(例えば、構造が試料表面のトポグラフィに主に起因するような場合)には回避することができる。
【0011】
本明細書に述べるように、イオンビームからのイオン(例えば、Heイオン)が試料と相互作用して、イオン(例えば、Heイオン)が留まる間、イオンビームからのイオンが試料から散乱する場合に、散乱イオンが生成される。試料の表面下領域から試料の表面に散乱イオンが移動し、試料から放出される可能性は非常に低いため、一般に、散乱イオンは試料表面に関する情報を提供するものである。以下にさらに詳述するように、散乱イオンを検出する場合、検出器の特定の配置は、取得すべき情報の種類に依存する。
【0012】
本明細書にて言及するように、二次電子は、試料種から放出される電子であり、エネルギー50eV未満の電子である。一般に、二次電子は、一連の角度及びエネルギー範囲で試料表面から放出される。しかし、通常最も重要な情報は、(エネルギー分解二次電子情報、又は角度分解二次電子情報ではなく)二次電子の全存在量である。これは、後述するように、二次電子の全存在量は、試料表面に関する情報を提供することができるからである。
【0013】
一つの観点において、本明細書における開示は、試料から生成された二次電子を検出し、試料から散乱された第1の複数のイオンの存在量を検出し、第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて試料から散乱される第2の複数のイオンを検出することを含む方法を特徴とする。
【0014】
他の観点において、本明細書における開示は、ガス電界電離イオン源によってイオンを生成し、生成したイオンを試料と相互作用させて電子を生成することを含む方法を特徴とする。この方法は、第1期間の間電子を検出し、検出した電子に基づいて第1画像を生成することを含む。さらに、この方法は、電子を検出した後、第2期間の間、試料から散乱される第1の複数のイオンの存在量を検出し、第1の複数のイオンに基づいて第2の画像を形成することを含む。さらに、この方法は、第1の複数の散乱イオンを検出した後に、第3期間の間、試料から散乱される第2の複数のイオンを、第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出することを含む。第2期間は第1期間よりも長く、第3期間は第2期間よりも長い。
【0015】
追加の観点において、本明細書における開示は、ガス電界電離イオン源によりイオンを生成し、イオンを試料と相互作用させて電子を生成することを含む方法を特徴とする。さらに、この方法は、電子を検出し、検出したイオンに基づいて第1画像を生成することを含む。さらに、この方法は、電子を検出した後に、試料から散乱される第1の複数のイオンの存在量を検出し、第1の複数の散乱イオンに基づいて第2画像を生成することを含む。
さらに、この方法は、第1の複数の散乱イオンを検出するステップの後に、試料から散乱される第2の複数のイオンを、該第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出することを含む。第2の複数のイオンが検出される試料の一領域は、第1画像及び前記第2画像の少なくとも一方に基づくことを特徴とする。
【0016】
一つの観点において、本明細書における開示は、試料を収容するように構成されたハウジングと、当該ハウジング内の荷電粒子源と、を備えるシステムによって特徴付けられる。このシステムは、試料にて生成された電子を検出するように構成された第1検出器と、試料から散乱されたイオンの存在量を検出するように構成された第2検出器と、を備える。さらに、このシステムは、イオンのエネルギーに基づいて前記試料から散乱されたイオンを検出するように構成された第3検出器を備える。第1、第2及び第3検出器は異なる検出器であると共に、第1、第2および第3検出器は前記ハウジング内に配置される。
【0017】
更なる観点において、本明細書における開示は、試料を収容するように構成されたハウジングと、ハウジング内のガス電界電離イオン源と、を備えるシステムによって特徴付けられる。さらに、このシステムは、試料にて生成された電子を検出するように構成され、前記ハウジング内に配置されたエバーハート−ソーンリー検出器を含む。さらに、このシステムは、試料から散乱されたイオンの存在量を検出するように構成され、ハウジング内に配置されたマイクロチャンネルプレート検出器を含む。さらに、このシステムは、イオンのエネルギーに基づいて前記試料から散乱されたイオンを検出するように構成され、ハウジング内に配置された第3検出器を含む。
【0018】
更なる観点において、本明細書における開示は、試料のトポグラフィ情報と試料の構成成分情報とを区別しない、試料の第1情報を取得することと、試料の定性的材料構成情報を提供する、試料の第2情報を取得することとを含む方法によって特徴付けられる。さらに、この方法は、試料の定量的材料構成情報を提供する、試料の第3情報を取得することを含む。
【0019】
追加の観点において、本明細書における開示は、第1期間の間、試料からの複数の第1粒子を検出することと、第2期間の間、試料からの第1の複数の第2粒子を検出することとを含む方法によって特徴付けられる。この方法において、第2粒子は第1粒子とは異なると共に、第2期間は第1期間よりも長い。さらに、この方法は、第3期間の間、試料から第2の複数の第2粒子を検出することを含む。この方法において、第2の複数の第2粒子は、第1の複数の第2粒子とは異なると共に、第3期間は第2期間よりも長い。
【0020】
一つの観点において、本明細書における開示は、電子ビームを生成することと、電子ビームと試料とを相互作用させて二次電子を生成することとを含む方法により特徴付けられる。この方法は、第1期間の間、二次電子を検出することと、検出された電子に基づいて第1画像を生成することを含む。さらに、この方法は、電子を検出した後に、第2期間の間、試料から散乱される第1の複数のイオンの存在量を検出することと、第1の複数の散乱イオンに基づいて第2画像を生成することとを含む。さらに、この方法は、第1の複数の散乱イオンを検出した後に、第3期間の間、試料から散乱される第2の複数のイオンを、該第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出することを含む。この方法において、第2期間は第1期間よりも長く、第3期間は第2期間よりも長い。
【0021】
他の観点において、本明細書における開示は、導電性層と、不活性領域と、検出領域と、を有する素子によって特徴付けられる。不活性領域は、導電性層と検出領域との間に存在する。導電性層は、最大25nmを有する。上述の素子は、ソリッドステート検出器である。
【0022】
更なる観点において、本明細書における開示は、導電性領域と、不活性領域と、検出領域と、を有する素子によって特徴付けられる。不活性領域は、導電性領域と検出領域との間に存在する。導電性領域は、最大25nmを有する。上述の素子は、ソリッドステート検出器である。
【0023】
追加の観点において、本明細書における開示は、導電性メッシュと、不活性領域と、検出領域とを有する素子によって特徴付けられる。不活性領域は導電性メッシュと検出領域との間に存在する。上述の素子は、ソリッドステート検出器である。
【0024】
ある観点において、本明細書における開示は、導電性メッシュと、不活性領域と、検出領域とを有する素子によって特徴付けられる。不活性領域は導電性メッシュと検出領域との間に存在する。上述の素子は、ソリッドステート検出器である。
【0025】
本明細書における開示は、比較的迅速且つ効率的な試料検査方法及びシステムを提供する。
【0026】
他の特徴及び効果は、明細書の記載、図面、及び特許請求の範囲により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ガス電界電離型イオン顕微鏡の概略図である。
【図2】試料検査の工程のフローチャートである。
【図3】図3A及び3Bは、切り出された断面を有する半導体素子の部分平面図及び部分断面図である。
【図4】ソリッドステート検出器の概略図である
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ガス電界電離型イオン顕微鏡システム100の概略図を示す。システム100は、ハンジング110、ガス電界電離型イオンシステム120、試料130、及び検出器140、150、160を含む。システム120は、イオンビームを生成し、当該イオンビームは試料130の表面132に当たり、試料130からのイオンの散乱と、試料130からの二次電子の放出を誘発する。検出器140(例えば、エバーハートソンリー検出器)は、これらの二次電子を検出する。検出器150(例えば、マイクロチャネルプレート検出器)は、表面132から散乱するイオンの存在量を検出し、検出器160(例えば、ソリッドステート検出器)は、エネルギー分解及び角度分解により表面132から散乱するイオンを検出する。
【0029】
図2は、顕微鏡100を用いて試料130の情報を取得する工程200のフローチャートである。ステップ210では、検出器140は二次電子を検出し、ステップ220にて、試料130の画像を検出された二次電子に基づいて生成する。ステップ230にて、この画像が評価され、対象としうる構造が(例えば、試料130の表面132に)存在するかが判定される。
【0030】
往々にして、対象としうる構造であって二次電子画像に表れている構造は、表面132上のトモグラフィー構造(例えば、1つ又は複数の凸部、1つ又は複数の凹部)、表面132近傍の材料構成の変化、又はこれら両方に起因するものである。
【0031】
ステップ240にて、検出器150は試料130からの散乱イオンの存在量を検出する。任意には、ステップ240にて、散乱イオンはステップ210にて二次電子が検出された試料130上の領域を差し引いた試料130の一領域から検出されうる。例えば、ステップ230にて、対象としうる領域が試料130の特定の位置に存在すると判定された場合、ステップ240では、対象としうる構造に隣接する試料上の領域のみから散乱イオンが収集される。或いは、ステップ210及び240にて、試料130上の実質的に同じ領域が検査されうる。ステップ250では、散乱イオンの全存在量情報が処理されて、試料130についての定性的な材料構成情報が提供される。この定性的な情報は、例えば、対象としうる構造の存在する表面132上またはその付近に存在する材料及び成分に変化があるかを示す。
【0032】
ステップ260では、検出器160はエネルギー分解及び角度分解で散乱イオンを検出する。ステップ270では、この情報を処理して、表面132上又はその付近における材料構成に関する定量的な情報が提供される。
【0033】
上述した工程は各ステップ210〜270を含むが、幾つかの実施形態では、上述の工程は様々なポイントで終了することが可能である。例えば、上述の工程は、ステップ230の後に終了させることができる。これは、例えば試料130が対象としうる領域を有さないと判定された場合に有利である。或いは、上述の工程はステップ250の後に終了させることができる。これは、例えば、ステップ250にて処理された情報により、材料構成の変化の構造に及ぼす影響が少ないか又は皆無であるという結論を導くような場合に有利である。
【0034】
幾つかの実施形態では、二次電子を検出するための時間が散乱イオンを検出するための時間に比較して短い。例えば、幾つかの実施形態において、散乱イオンの存在量を検出するための時間は二次電子を検出するための時間の少なくとも10倍(例えば、少なくとも50倍、少なくとも100倍)である。
【0035】
幾つかの実施形態では、エネルギー分解及び角度分解で散乱イオンを検出する時間は、二次電子を検出するための時間の少なくとも0.1倍(例えば、少なくとも1倍、少なくとも10倍)である。
【0036】
[粒子検出]
粒子検出の一実施形態について以下に示す。
【0037】
(1)二次電子
二次電子の全存在量を検出することで、試料のトポグラフィに関する情報を提供することができる。表面上の所定位置上に存在する二次電子の全存在量は、一般的にその位置のイオンビームに対する傾斜に依存する。概して、二次電子層存在量は、イオンビームに対する傾斜が比較的大きい位置(すなわち、表面法線から測定されるイオンビームの入射角が増加する)で増加する。したがって、試料の表面上のイオンビームの位置に応じた二次電子の全存在量の変化を、その表面傾斜の変化と相関させることにより、その試料表面のトポグラフィに関する情報を得ることができる。
【0038】
二次電子の全存在量を検出することにより、試料の材料構成情報(例えば、元素情報、化学環境情報)を得ることもできる。そのような実施形態において、材料構成情報は主に試料表面に関連付けられる。通常、所与の化学環境における各元素または材料は、それぞれ固有の二次電子収率を有することになる。その結果、表面上の所与の位置における二次電子の全存在量は、概して、その位置に存在する材料によって決まる。したがって、試料の表面上のイオンビームの位置に応じた二次電子の全存在量の変化を、その試料の表面上に存在する元素および/または材料の変化と相関させることにより、その試料表面の材料構成情報を得ることができる。
【0039】
(2)散乱イオン存在量
散乱イオンの全存在量を用いて定性的材料構成情報を測定することができる。なぜなら、一般に、Heイオン等のイオンの散乱確率(すなわち、試料表面の局所的変化等その他の因子は影響しないと仮定した場合の散乱イオンの全存在量)は、そのイオンを散乱させる表面原子の原子番号(Z値)の二乗にほぼ比例する。したがって、一例として、Heイオンを用いて、半導体素子内でケイ素(原子番号14)と銅線(原子番号29)とを識別する場合、その半導体素子表面において銅原子から散乱したHeイオンの全存在量は、その半導体素子表面においてケイ素原子から散乱したイオンの全存在量の約4倍となる。別の例として、Heイオンを用いて、半導体素子内でタングステン(原子番号74)とケイ素(原子番号14)とを識別する場合、その半導体素子表面においてタングステン原子から散乱したHeイオンの全存在量は、その半導体素子表面においてケイ素原子から散乱したイオンの全存在量の約25倍となる。さらなる例として、Heイオンを用いて、半導体素子内で金(原子番号79)領域とケイ素(原子番号14)とを識別する場合、その半導体素子表面において金原子から散乱したHeイオンの全存在量は、その半導体素子表面においてケイ素原子から散乱したイオンの全存在量の約25倍となる。付加的な例として、半導体素子内でインジウム(原子番号49)領域とケイ素(原子番号14)とを識別する場合、その半導体素子表面においてインジウム原子から散乱したHeイオンの全存在量は、その半導体素子表面においてケイ素原子から散乱したイオンの全存在量の約10倍となる。
【0040】
散乱イオンの全存在量の検出には、単独の検出器(例えば、半球型検出器)を使用して試料の表面から出射した散乱イオンを検出するように構成することができる。または、複数の検出器(例えば、試料の表面に対し、様々な立体角をなして配置した検出器)を使用して試料の表面から出射した散乱イオンを検出するように構成することができる。
【0041】
(3)エネルギー分解及び角度分解によるイオン検出
エネルギー分解検出および角度分解検出を使用して、試料表面の定量的材料組成情報の測定を行うことができる。検出器は、検出器の取り込み角範囲内のそれぞれの角度について検出散乱イオンそれぞれの角度およびエネルギーがわかるように構成する。Heイオンを例にとると、散乱Heイオンのエネルギーと散乱角を測定することにより、試料表面においてその散乱Heイオンを散乱させる原子の質量は、以下の関係式に基づき計算することができる。
【数1】

ここで、Eは散乱Heイオンのエネルギー、EはそのHeイオンの入射エネルギー、MHeはHeイオンの質量、θは散乱角、およびMはHeイオンを散乱させる原子の質量を表す。
【0042】
検出器は、例えば、エネルギー分解リン系検出器、エネルギー分解シンチレータ系検出器、ソリッドステート(半導体)検出器、エネルギー分解静電プリズム系検出器、静電プリズム、エネルギー分解ET検出器、またはエネルギー分解マイクロチャネルとして構成することができる。一般に、検出器の取り込み角は十分に広いほうが望ましい。ある幾つかの実施形態において、検出器を固定型(例えば、環状検出器)とする。ある幾つかの実施形態において、検出器は、立体角の全範囲にわたり動かすことができるようにする。以上、単独の検出器を使用してエネルギー分解散乱イオンおよび角度分解散乱イオンを検出するシステムを説明したが、そのようなシステムにおいて、検出器を複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8)設けることができる。多くの場合、複数の検出器を使用することが望ましい。なぜなら、散乱イオン検出の取り込み角を大きくすることができるからである。
【0043】
例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書にて粒子検出の付加的な側面について記載されており、上記明細書における開示を参照することにより本願明細書に援用する。
【0044】
[検出器]
幾つかの例示的な検出器及び検出器の配置について以下に説明する。
【0045】
(1)エバーハート−ソーンリー検出器
エバーハート−ソーンリー(ET)検出器を用いて、二次電子、イオン及び/又は中性
粒子を検出することができる。このような検出器は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に開示される。簡単にいえば、ET検出器は粒子セレクター、変換材料、支持部、光子検出器及び2つの電源によって構成される。粒子セレクターは、導電性物質で形成される。幾つかの実施形態においては、例えば、粒子セレクターは、あらゆる開口電極構造であって、グリッド、メッシュ、リング、又はチューブのような、粒子が通過するための通路を備えるものである。粒子セレクターは、一つ又は複数の電極から形成でき、一つ又は複数の電極に印加される電位は、通常、測定される粒子の種類に従って所望のとおりに選択できる。変換材料は、帯電粒子(例えば、イオン、電子)との相互作用により光子を形成することができる物質で形成される。例示的な材料としては、蛍光体材料及び/又はシンチレータ材料(例えば、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)及びイットリウム−アルミニウム−ホスフェート(YAP)等の結晶性物質)が挙げられる。支持部は、変換材料により形成される光子を比較的通す物質で形成される。作動時に、電源は、比較的小さい電圧(例えば、100V〜500V等の500V以下の電圧)を粒子セレクター(導電性材料で形成される)に印加し、また、電源は、比較的大きい(例えば、5kV以上、10kV以上)の電圧を変換材料に印加する。一般に、電子検出中は、粒子セレクター及び変換材料に印加される電圧の信号は、試料に対して正である。通常、イオンを検出する場合には、粒子セレクター及び変換材料に印加される電圧の信号は、試料に対して負である。また、特定の実施形態では、試料を(共通の外部接地部に対して)バイアスし、試料からの粒子を検出器に送るのに役立てることができる。試料からの荷電粒子(例えば、電子又はイオン)は、粒子セレクターに引き寄せられ、粒子セレクターを通過し、そして、変換材料に向かって加速される。その後、これらの荷電粒子は変換材料に衝突して光子を生成する。光子は支持部を通過し、光子検出器によって検出される。
【0046】
(2)マイクロチャンネルプレート検出器
幾つかの実施形態においては、マイクロチャンネルプレート検出器を用い、試料180からの二次電子、中性原子又はイオンの束を増幅させることができる。マイクロチャンネルプレートは、一般に溶融シリカ等の材料から形成され、通常、アレイの形態で配置される多数の小口径チャンネルを含む。粒子は、個々のチャンネルに入って、チャンネル壁面と衝突し、自由電子を発生させる。一般に、複数の自由電子は、粒子(中性原子、イオン又は電子)のチャンネル壁面との各衝突で発生する。結果として、入力粒子信号の増幅に対応するカスケード電子信号が、マイクロチャンネルプレートから出る。
【0047】
マイクロチャンネルプレート系検出器(一つ以上のマイクロチャンネルプレートを含むことができる)は、試料からのイオン、二次電子及び/又は中性原子を検出するように構成できる。試料から形成される中性粒子及び/又はイオン(例えば、二次イオン及び二次原子、散乱イオン並びに一次原子)は、一般に試料の表面(イオンビームが衝突する表面)から出る。
【0048】
マイクロチャンネルプレートは、入力粒子信号を増幅し、入力信号を出力電子信号に変換する。出力電子信号を視覚化するため、マイクロチャンネルプレート系検出器はまた、変換材料、スクリーン及び光子検出器(上記記載を参照)を含むことができる。
【0049】
(3)変換板
幾つかの実施形態においては、変換板を用いて、試料からのイオン(例えば、散乱イオン、二次イオン)又は試料からの中性粒子(例えば、イオンビームの主要な成分がHeイオンである場合の一次中性He原子)を検出することができる。一般に、変換板は、入射イオン又は原子が衝突した際の二次電子収量が高い薄箔材料から形成できる。かかる物質の一例は白金である。
【0050】
(4)チャンネルトロン検出器
また、チャンネルトロン検出器を用いて、試料から放出される電子、イオン、中性原子等の粒子を検出することができる。チャンネルトロン検出器は、マイクロチャンネルプレート検出器に関し記載したものと同様に、複数の内部衝突によって粒子信号を増幅することで機能する。試料からの比較的弱い二次電子束、イオン束又は中性原子束の測定は、チャンネルトロン検出器によって出力される増幅粒子信号を測定することによって可能となる。
【0051】
(5)蛍光体検出器
蛍光体系検出器は、透明基板の上に堆積される蛍光体材料の薄層と、CCDカメラ、PMT又は一つ以上のダイオード等の光子検出器とを含み、これを用いて、試料からの電子、イオン及び/又は中性原子を検出することができる。粒子が蛍光体層に当たって、光子検出器により検出される蛍光体からの光子の放出を誘発する。
【0052】
(6)ソリッドステート(半導体)検出器
ソリッドステート検出器を用いて、試料からの二次電子、イオン及び/又は中性原子を検出することができる。ソリッドステート検出器は、ケイ素等の材料又はドープケイ素材料で形成されるセンサーから構成されうる。入射粒子により発生する電子−正孔対の数や、その結果生じる対応する電流の大きさは、粒子のエネルギーによってある程度定まる。従って、ソリッドステート検出器は、特に粒子のエネルギー測定に役立てることができ、試料からの高いエネルギーの粒子(例えば、イオンビームの主要な成分がHeイオンである場合の散乱Heイオン及び中性He原子)を検出するときに特に有利な場合がある。ソリッドステート検出器の一例としては、シリコンドリフト検出器が挙げられる。
【0053】
幾つかの実施形態では、ソリッドステート検出器は、ウィンドウレスである。幾つかの実施形態では、ソリッドステート検出器は比較的薄い導電性層を有する。図4は、ウィンドウレスのソリッドステート検出器400を概略的に示す図である。ソリッドステート検出器400は、層410、不活性領域420、検出領域430、及び基板440を備える。一般に、層410は、金属(例えば、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、プラチナ、パラジウム)や、合金のような導電性材料で形成される。往々にして、層410は、(例えば、物理気相成長法(PVD)又は化学気相成長法(CVD)によって形成される)金属化層である。一般に、層420は、ドープされた半導体(例えば、ドープシリコン)で形成される。層430は、一般に、非ドープ又は軽くドープされた半導体(例えば、軽くドープされたシリコン、非ドープシリコン)で形成される。
【0054】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、比較的薄い金属化層は、(例えば、光子の生成を介して)金属層内のイオンのエネルギー損失を低減することができる、及び/又は、比較的薄い金属化層は、(金属化層又は不活性シリコン層内での1つ又は複数の散乱プロセスによって)イオンが検出器には入るが当該検出器の検出領域には到達しない可能性を低減することができる。幾つかの実施形態では、金属化層410は厚さ30nm以下(例えば、厚さ25nm未満、厚さ20nm未満、厚さ15nm未満、厚さ10nm未満)及び/または、厚さ1nm超(例えば、厚さ5nm超)である。ある実施形態では、層420は比較的薄い。例えば、層430は厚さ30nm未満(例えば、厚さ25nm未満、厚さ20nm未満、厚さ15nm未満、厚さ10nm未満)及び/又は、厚さ1nm超(例えば、厚さ5nm超)である。
【0055】
上述の実施例では層410が存在するものとして説明したが、幾つかの実施形態では、メッシュ又は格子を層の代わりに使用することができる。材料はおおむね上述したものと同様であり、任意には、メッシュ又は格子は金属化層(例えば、物理気相成長法(PVD)又は化学気相成長法(CVD)によって形成される)であっても良い。幾つかの実施形態では、メッシュ又は格子は、(例えばインクジェットプリントで)プリントされたものであってもよい。
【0056】
(7)シンチレータ検出器
蛍光体系検出器と同様に、シンチレータ系検出器は、入射粒子(電子、イオン又は中性原子)に当たって光子を発生させるシンチレータ材料を含む。適したシンチレータ材料としては、例えば、YAG及びYAPが挙げられる。シンチレータ系検出器の光子収量は、入射粒子のエネルギーによって決まる。結果として、シンチレータ検出器は、特に粒子のエネルギー測定に役立つことができ、試料から放出された高エネルギー粒子(例えば、イオンビームの主要な成分がHeイオンである場合の散乱Heイオン及び中性He原子)を検出するときに特に有利な場合がある。
【0057】
(8)イオン用のエネルギー検出器
様々な異なる検出器を用いて様々な異なる検出計画を実施し、試料からのイオン(例えば、イオンビームの主要な成分がHeイオンである場合の散乱Heイオン)のエネルギーを測定することができる。電場及び/又は磁場を用いて入射イオンを偏向させて、その偏向量がイオンエネルギーによって決まる静電プリズム検出器を用い、異なるエネルギーでイオンを空間的に分離することができる。また、磁気プリズム検出器を用いて、イオンエネルギーに基づき、イオンを空間的に分離することもできる。その後、上記の適した検出器(例えば、マイクロチャンネルプレート、チャンネルトロン及びその他のもの)のいずれかを用いて、偏向されたイオンを検出することができる。
【0058】
また、四重極検出器を用いて、試料からのイオンのエネルギーを分析することができる。四重極検出器において、四重極内の高周波(RF)場は、選択した質量とエネルギーを有するイオンが四重極内の直線で未偏向の軌道に沿って伝播することを確実にする。異なる質量及び/又はエネルギーを有するイオンは、四重極内の曲線軌道に沿って伝播する。四重極分析器内のイオンの偏向位置から、イオンエネルギーを決定することができる。
【0059】
幾つかの実施形態においては、正にバイアスされた粒子セレクター(例えば、導電性物質のスクリーン若しくはメッシュ又は円筒状の金属管若しくは環)をイオンの飛行経路に沿って検出器の前に設置することで、イオンエネルギーを決定することができる。粒子セレクターに印加される電位の大きさは、最初に非常に高くすることができ(例えば、試料からのイオンが通過するのを確実に阻止する値)、イオンを検出するのに適した検出器(上記記載を参照)を用いながら、電位の大きさを低減することができる。粒子セレクター上の電位バイアスの大きさに応じて検出器に達するイオンの電流を用いて、イオンエネルギーについての情報を決定することができる。
【0060】
(9)電子用のエネルギー検出器
様々な異なる検出器及び検出方法を用いて、試料からの電子(例えば、二次電子)のエネルギーを測定することができる。電場及び/又は磁場を用いて入射電子を偏向させて、その偏向量が電子エネルギーによって決まるプリズム検出器を用い、異なるエネルギーで電子を空間的に分離することができる。その後、上記の適した検出器のいずれかを用いて、偏向された電子を検出することができる。
【0061】
一部の実施形態においては、負にバイアスされた粒子セレクター(例えば、導電性物質のスクリーン若しくはメッシュ又は円筒状の金属管若しくは環)を電子の飛行経路に沿って検出器の前に設置することで、電子エネルギーを決定することができる。粒子セレクターの電位の大きさは、最初に非常に高くすることができ(例えば、試料からの電子が通過するのを確実に阻止する値)、電子を検出するのに適した検出器(上記記載を参照)を用いる間は、電位の大きさを低減することができる。粒子セレクター上に印加された電位の大きさに応じて検出器に達する電子電流を用いて、電子エネルギーについての情報を決定することができる。
【0062】
(10)角度依存測定
一般に、角度依存情報を得るには、試料についての一連の立体角に亘って検出器の移動を可能にする取付け部(例えば、回転取付け部)に、検出器を取り付ける。試料に対し特定の立体角に対応する与えられた配向で、粒子の存在量及び/又はエネルギーの測定を記録する。異なる立体角に検出器を連続的に再配置し、測定を繰り返し行い、測定数量の角度依存を決定する。幾つかの実施形態においては、検出器の前で散乱粒子の経路にピンホール等の制限絞りを設置し、試料からの粒子の測定を行う角度範囲を更に制限することができる。
【0063】
追加の検出器及びこれら検出器の配置は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に記載される。
【0064】
[ガス電界電離イオン顕微鏡]
一般に、システム120は、ガス源、ガス電界電離イオン源、及びイオン光学系を備える。
【0065】
ガス電界電離型イオン源は、(典型的に10又は10未満の原子を有する)導電性先端部を有し、当該導電性先端部を用いてイオン化中性ガス種で中性ガス種を導電性先端部の付近(例えば、4〜5オングストローム)に移動させるとともに、導電性先端部の頂部に高い正電位(例えば、抽出器に対して1kV以上(下記説明参照))を印可することによって、中性ガス種をイオン化し、イオン(例えば、イオンビーム)を生成できる。導電性先端部は、様々な材料で形成することができる。幾つかの実施形態では、先端部は、金属(例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、レニウム(Rh)、ニオブ(Nb)、白金(Pt)、モリブデン(Mo))で形成される。ある実施態様では、導電性先端部を合金で形成することができる。幾つかの実施形態では、導電性先端部を異なる物質(例えば、炭素(C))で形成することができる。
【0066】
使用中、導電性先端部は抽出器に対して正にバイアスをかけられており(例えば、約20kV)、抽出器は、外部接地に対して負または正にバイアスをかけられている(例えば、−20kV〜+50kV)。任意に、抑制器は導電性先端部に対してして正または負にバイアスをかけられている(例えば−5kV〜+5kV)。先端部は導電性材料から形成されているので、先端部の頂部における電界は、先端部頂部の表面から外方に向けられている。先端部の形状により、電界は、先端部頂部の近傍で最も強い。先端部の電界強度は、例えば、先端部に印加される正電圧を変更することによって調整することができる。このような構成では、ガス源によって供給されたイオン化されていないガス原子はイオン化され、頂部の近傍で正電荷イオンとなる。正電荷イオンは、正電荷を持つ先端部によって反発され、負電荷を持つ抽出器によって引きつけられ、これにより、正電荷イオンは、イオンビームとして先端部からイオン光学系に向けられる。抑制器は、先端部と抽出器との間の電界全体、すなわち、先端部からイオン光学系への正電荷イオンの軌跡制御を支援する。一般に、先端部と抽出器との間の電界全体を調整し、頂部で生成される正電荷イオン量および正電荷イオンが、先端部からイオン光学系に搬送される効率を制御することができる。
【0067】
一般的に、イオン光学系はイオンビームを試料130の表面132に向けるように構成される。イオン光学系は、例えば、ビームに含まれるイオンを集束し、コリメートし、偏向し、加速および/または減速することができる。イオン光学系は、イオンビームに含まれるイオンの一部のみがイオン光学系を通過するようにすることもできる。一般に、イオン光学系は、多様な静電イオン光学素子、または所望に構成された他のイオン光学素子を含む。イオン光学系の1つ又は複数の構成素子(例えば静電ディフレクタ)の電界強度を操作することによって、試料の表面にわたってHeイオンビームを操作させることができる。例えば、イオン光学系は、2つの直交方向でイオンビームを偏向する2つのディフレクタを含んでいてもよい。これらのディフレクタは、イオンビームが表面132の一領域をラスタ走査するように可変の電界強度を有している。
【0068】
ガス源は、ガス電界電離イオン源に1又は複数のガスを供給するように構成される。ガス源は、種々の純度、流量、圧力及び温度で1又は複数の気体を供給するように構成できる。一般に、ガス源により供給される気体の少なくとも一種は希ガス(ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe))であり、該希ガスのイオンがイオンビーム中の主成分であることが好ましい。往々にして、ガス源から供給されるガスは主としてHe、Ne、Ar、Kr又はXeである。
【0069】
任意に、ガス源は、1又は複数の希ガスに加えて、任意に一種以上の気体を供給することが可能であり、そのような気体の例は窒素である。以下、詳細に述べるように、かかる気体の一例は窒素である。一般に、1又は複数の追加ガスは、1又は複数の希ガス中における不純物のレベルを超えたレベルで存在することができるが、一又は複数の追加ガスは、依然として気体源から導入されるガス混合物全体の少数成分を構成する。
【0070】
使用中、イオンビームはイオン光学系を経て試料130の表面132に向けられる。試料130にイオンビームが衝突する場合、様々な異なる種類の粒子が生成できる。これら粒子は、例えば、二次電子、オージェ電子、二次イオン、二次中性粒子、一次中性粒子、散乱イオン及び光子(例えば、X線光子、IR光子、可視光子、UV光子)を含む。検出器140、150及び/又は160は、それぞれ、上述したように、イオンビームと試料との間の相互作用間により生じる1又は複数の様々な種類の粒子を測定するように配置および設定される。上述したように、検出器によって測定される情報を用いて試料130に関する情報が決定される。表面132に対してイオンビームをラスタ操作させることで、試料130についての画素単位の情報を、離散的なステップで取得することができる。検出器140、150及び160は、各画素で1つ又は複数の異なる種類の粒子を検出するように構成されることができる。
【0071】
顕微鏡システム100の操作は、一般に電子制御システムによって制御される。例えば、ガス源により供給される1又は複数の気体、先端部の温度、先端部の電位、抽出部の電位、抑制器の電位、イオン光学系を構成する素子の設定、試料マニピュレータの位置、及び/又は検出器140,150及び/又は160の位置及び設定を制御するように、電子制御システムを構成することができる。任意には、(例えば、電子制御システムと一体となったユーザーインターフェースによって)これらパラメータの一つ以上を手動で制御してもよい。追加的に又は代替的に、(例えば、コンピュータ等の電子処理装置によって)電子制御システムを用い、検出器140、150及び/又は160により収集した情報を分析し、試料130についての情報(例えば、トポグラフィ情報、材料組成情報)を提供することができ、該情報は、任意に画像、グラフ、表、集計表等の形態とすることができる。一般には、電子制御システムは、表示部又は他の種類の出力装置、入力装置、及び記録媒体を特徴とするユーザーインターフェースを含むことができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、電子制御システムは、イオンビームの様々な特性を制御するように構成されても良い。例えば、電子制御システムは、ガス電界電離イオン源に流入するガス流量を制御することによってイオンビームの組成を制御することができる。イオン源及びイオン光学系の様々な電位を調節することで、制御システムは、例えば試料130上でのイオンビームや、入射イオンの平均エネルギーのような、イオンビームのその他の様々な特性を制御することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、電子制御システムは追加の装置を制御するように構成されても良い。例えば、電子制御システムは、試料130の周辺領域及び/又はイオンビームの一領域に運搬される水分子の供給を制御するように構成されることもできる。代替的又は追加的には、電子制御システムは、氷層の形成及び/除去に用いられうる加熱及び/又は冷却装置を制御するように構成されることもできる。さらに、ある実施形態では、電子制御システムは、イオンビームに加えて1又は複数の追加の粒子線を制御するように構成されることもできる。追加の粒子線は、試料の画像化及び/又は試料の改変(例えば、エッチング、ミリング)に用いられることができる。
【0074】
一般に、検出器140、150及び160は、測定すべき粒子、測定条件、および必要とする情報に応じて構成される。
【0075】
ガス電界電離イオン顕微鏡、及び関連する構成要素及び方法は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に開示される。
【0076】
[コンピュータハードウェア及びソフトウェア]
一般に、上述の方法(又は、制御ステップのような上述の方法の一部)のいずれかは、コンピュータハードウェア若しくはソフトウェア又はそれらの組み合わせに実装することができる。本願に記載の方法や計算に従って、標準的なプログラミング技術を用いて、上記分析方法をコンピュータプログラムに実装できる。プログラムコードを入力データに適用して、本願に記載の機能を実行し、出力情報を発生させる。出力情報は、表示モニタ等の一つ以上の出力装置に適用される。各プログラムを高水準手続型プログラム言語又はオブジェクト指向プログラム言語にて実装し、コンピュータシステムと通信することができる。しかしながら、必要に応じて該プログラムをアセンブリ言語又は機械語に組み入れることができる。いずれの場合でも、言語は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語とすることができる。その上、プログラムは、そのために前もってプログラムされた専用の集積回路で作動することができる。
【0077】
このような各コンピュータプログラムは、一般の又は特別な目的に合うようにプログラム可能なコンピュータが可読な記録媒体又は記録装置(例えば、ROM又は磁気ディスク)に保存されることが好ましい。コンピュータは、上述の記録媒体又は記録装置を読み込むとコンピュータを設定して作動して、本願に記載の手順を実行する。また、コンピュータプログラムは、プログラム実行中、キャッシュメモリ又はメインメモリに存在しても良い。また、コンピュータプログラムを記録されたコンピュータ可読の記録媒体がコンピュータを特定の予め定義された方法で作動させて本願に記載の機能を実行するように構成される場合に、上述した方法及びその方法の一部は、コンピュータプログラムを記録されたコンピュータ可読の記録媒体として実装されても良い。
【0078】
[他の実施形態]
幾つかの実施形態について記載してきたが、他の実施形態も可能である。
【0079】
例えば、上述の実施形態では、ガス電界電離イオン源を用いたが、その他の種類のイオン源を使用することもできる。幾つかの実施形態では、液体金属イオン源を用いることもできる。液体金属イオン源は、例えば、Gaイオン源(例えばGa集束イオンビームカラム)である。
【0080】
更には、上述の実施形態ではイオン源を用いて試料に衝突して二次電子を試料から放出させるイオンを生成したが、さらに一般的には、あらゆる荷電粒子源を用いて試料から二次電子を放出させることもできる。例えば、操作電子顕微鏡のような電子源を用いることができる。このような実施形態では、検出された二次電子に基づく画像を取得するために電子源を用い、散乱イオンを検出するためにイオンビーム源(例えば、ガス電界電離型イオン顕微鏡)を用いる。
【0081】
更には、検査される試料の上表面を可視化する実施形態について説明してきたが、他の実施形態では他の試料表面を検査することも可能である。幾つかの実施形態では、試料の断面を検査することが可能である。図3A及び3Bは、それぞれ半導体素子300の部分平面図及び部分断面図を示す図である。図3Bに示すように、素子300は、側壁310A及び310B及び底壁310Cを有する断面310を露出するように切断される。図3A及び3Bには図示しないが、半導体素子300は様々な材料からなる複数の層を有し、同一層内に複数の異なる材料を含むこともある。イオンビーム及び/又は電子ビームを用いて、側壁310A及び/又は310B、及び/又は底壁310Cを検査してもよい。
【0082】
上述の実施形態では試料が検査されたが、代替的又は付加的に、上記のシステムおよび方法を用いて、試料を改変(例えば、修復)する(例えば、断面により露出された部分またはその周辺のある領域を修復する)ことができる。そのような改変としては、ガスアシスト化学処理を用いるものがあり、それにより材料を試料(試料の所与の層)に対して追加および/または回収することができる。一例として、ガスアシスト化学処理により、半導体回路編集を行うことができ、それにより半導製品内の損傷回路または誤って製造した回路を修理する。一般に、回路編集とは、回路に材料を追加する(例えば、開いている回路を閉じる)こと、および/または回路から材料を回収する(例えば、閉じている回路を開く)ことを含む。ガスアシスト化学処理により、フォトリソグラフィーマスクの修復をすることもできる。マスクの欠陥としては、通常、マスク材料が存在すべきでない領域にマスク材料が余剰して付着すること、および/またはマスク材料が存在すべき領域で材料が欠如することが挙げられる。したがって、ガスアシスト化学処理によりマスク修復を行い、所望により、マスクに対し材料を追加および/または回収することができる。一般に、ガスアシスト化学処理においては、荷電粒子ビーム(例えば、イオンビーム、電子ビーム、またはその両方)を用い、荷電粒子ビームを適切なガス(例えば、Cl、O、I、XeF、F、CF、HO、XeF、F、CF、WF)と相互作用させる。別の例として、試料の改変としては、スパッタリングがある。幾つかの例において、製品を製造する際、幾つかの段階(例えば、回路から不要な材料を除去してその回路を編集する際、マスクを改変する際)において材料を除去するのが望ましいことがある。材料を除去するにはイオンビームを使用することができ、それにより試料から材料をスパッタする。特に、本明細書に記載のように、ガス原子とガス電界電離型イオン源との相互作用により生成されたイオンビームを用いて試料をスパッタすることができる。Heガスイオンを用いることもできるが、一般に、好ましくは、より重いイオン類(例えば、Neガスイオン類、Arガスイオン類、Krガスイオン類、Xeガスイオン類)を用いて材料を除去する。材料を除去する間は、試料上の除去対象の材料が位置する領域にイオンビームを合焦する。そのような検査の例については、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に開示される。
【0083】
さらに、上述の実施形態では、半導体素子を試料として説明したが、幾つかの実施形態では、他の種類の試料を用いることができる。試料の例としては、生物学的試料(例えば、組織、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、および細胞膜)、薬剤試料(例えば、小分子薬)、凍結水(例えば、氷)、磁気記憶デバイスに用いるリード/ライトヘッド、ならびに金属試料類および合金試料類が挙げられる。試料の例は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に開示される。
【0084】
更には、上述の実施形態では二次電子が検出されるものとして記載してきたが、さらに一般的には、本願発明において、試料から放出されるあらゆる種類の電子を検出することができる。幾つかの実施形態では、検出された電子は、オージェ電子を含むことも可能である。ある実施形態では、検出された電子は50eV超のエネルギーを有する電子であることも可能である。
【0085】
更には、上述の実施形態では一つの検出器を示して所定の情報(二次電子、散乱イオンの存在量、エネルギー分解及び角度分解散乱イオン)を検出するものとして記載してきたが、さらに一般的には、1つ又は複数の検出器を用いてこれら全ての情報又は一部の情報を取得することも可能である。
【0086】
他の例としては、幾つかの実施形態にて、検出される電子は荷電粒子ビームを試料上に集束させるために用いられる光学系(例えば、ガス電界電離)の少なくとも一部分(例えば、全て)を通過するものである。このような光学系は、典型的には一つ又は複数のレンズを備えるため、このような検出構成は多くの場合TTL(Through The Lens)検出器と呼ばれる。
【0087】
一般的に、上述した実施形態の様々な側面を所望に組み合わせることが可能である。
【0088】
他の実施形態については、特許請求の範囲の記載により、本発明の範囲に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から生成される電子を検出するステップと、
前記検出された電子に基づいて第1画像を生成するステップと、
前記第1画像に基づく前記試料の一領域から散乱された第1の複数のイオンの存在量を検出するステップと、
前記試料から散乱される第2の複数のイオンを、該第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の複数のイオンは、前記第1の複数のイオンの後に検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数のイオンの検出された存在量に基づいて、前記試料の第2画像を生成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の複数のイオンを検出する前記試料の一領域は、前記第2画像に基づくことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の前記一領域は、前記第1画像にも基づくことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の複数のイオンは前記第1の複数のイオンの後に検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の複数のイオンの検出された存在量に基づいて前記試料の画像を生成するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の一領域は前記画像に基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の複数の荷電粒子を前記試料に照射して、前記電子を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第2の複数の荷電粒子を前記試料に照射して、前記第2の複数の散乱イオンを生成するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第3の複数の荷電粒子を前記試料に照射して、前記複数の散乱イオンを生成するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記荷電粒子はイオンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記イオンは、イオンビームとして形成される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記イオンは液体金属イオン源によって生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記イオンはガス電界電離イオン源によって生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記電子は第1期間に検出され、前記第1の複数のイオンは、第1期間とは異なる第2機関に検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2期間は前記第1期間よりも長い、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の複数のイオンは第3期間に検出される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3期間は前記第2期間よりも長い、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の複数のイオンは第3期間に検出される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第3期間は、前記第2期間よりも長い、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電子は二次電子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記試料から散乱する前記第2の複数のイオンは、前記第2の複数のイオンの角度に基づいて検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ガス電界電離イオン源によりイオンを生成するステップと、
前記イオンを試料と相互作用させて電子を生成するステップと、
第1期間の間、前記電子を検出するステップと、
前記検出したイオンに基づいて第1画像を生成するステップと、
前記電子を検出するステップの後に、第2期間の間、前記試料から散乱される第1の複数のイオンの存在量を検出するステップと、
前記第1の複数の散乱イオンに基づいて第2画像を生成するステップと、
前記第1の複数の散乱イオンを検出するステップの後に、第3期間の間、前記試料から散乱される第2の複数のイオンを、該第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出するステップと、
を含む方法であって、
前記第2期間は前記第1期間よりも長く、前記第3期間は前記第2期間よりも長い、ことを特徴とする、方法。
【請求項25】
前記第1の複数のイオンが検出される前記試料の一領域は、前記第1画像に基づくことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の一領域は、前記第2画像に基づくことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の前記領域は、前記第1画像にも基づくことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の一領域は、前記第2画像に基づくことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の前記領域は、前記第1画像にも基づくことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の一領域は、前記第1画像に基づくことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記試料から散乱される前記第2の複数のイオンは、前記第2の複数のイオンの角度に基づいて検出される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記電子は、二次電子を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
ガス電界電離イオン源によりイオンを生成するステップと、
前記イオンを試料と相互作用させて電子を生成するステップと、
前記電子を検出するステップと、
前記検出したイオンに基づいて第1画像を生成するステップと、
前記電子を検出するステップの後に、前記試料から散乱される第1の複数のイオンの存在量を検出するステップと、
前記第1の複数の散乱イオンに基づいて第2画像を生成するステップと、
前記第1の複数の散乱イオンを検出するステップの後に、前記試料から散乱される第2の複数のイオンを、該第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出するステップと、
を含む方法であって、
前記第2の複数のイオンが検出される前記試料の一領域は、前記第1画像及び前記第2画像の少なくとも一方に基づくことを特徴とする、方法。
【請求項34】
前記第2の複数のイオンが検出される前記領域は、前記第1画像に基づくことを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の複数のイオンが検出される前記領域は、前記第2画像に基づくことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の複数のイオンが検出される前記領域は、前記第2画像に基づくことを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記電子は二次電子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記試料から散乱される前記第2の複数のイオンは、前記第2の複数のイオンの角度に基づいて検出される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
試料を収容するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内の荷電粒子源と、
前記試料にて生成された電子を検出するように構成された第1検出器と、
前記試料から散乱されたイオンの存在量を検出するように構成された第2検出器と、
前記イオンのエネルギーに基づいて前記試料から散乱されたイオンを検出するように構成された第3検出器と、を備え、
前記第1、第2及び第3検出器は異なる検出器であると共に、
前記第1、第2および第3検出器は前記ハウジング内に配置される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項40】
前記第1検出器は、エバーハート−ソーンリー検出器、変換板、マイクロチャンネルプレート検出器、チャンネルトロン検出器、蛍光体検出器、ソリッドステート検出器、シンチレータ検出器を含む群から選択される、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1検出器は、エバーハート−ソーンリー検出器である、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記第2検出器は、エバーハート−ソーンリー検出器、変換板、マイクロチャンネルプレート検出器、チャンネルトロン検出器、蛍光体検出器、ソリッドステート検出器、シンチレータ検出器を含む群から選択される、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
前記第2検出器は、マイクロチャンネルプレート検出器である、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記第2検出器は、半球検出器である、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記第3検出器は、ソリッドステート検出器、静電プリズム検出器、磁気プリズム検出器、四重極検出器を含む群から選択される、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記第3検出器は、ソリッドステート検出器である、請求項39に記載のシステム。
【請求項47】
前記第3検出器は、シリコンドリフト検出器である、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
前記シリコンドリフト検出器は、ウィンドウレスである、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記荷電粒子源は、イオン源である、請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
前記荷電粒子源は、液体金属イオン源である、請求項39に記載のシステム。
【請求項51】
前記荷電粒子源は、ガス電界電離イオン源である、請求項39に記載のシステム。
【請求項52】
イオン源及び電子源を有する、請求項39に記載のシステム。
【請求項53】
前記システムは電子顕微鏡である、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
試料を収容するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内のガス電界電離イオン源と、
前記試料にて生成された電子を検出するように構成され、前記ハウジング内に配置されたエバーハート−ソーンリー検出器と、
前記試料から散乱されたイオンの存在量を検出するように構成され、前記ハウジング内に配置されたマイクロチャンネルプレート検出器と、
前記イオンのエネルギーに基づいて前記試料から散乱されたイオンを検出するように構成され、前記ハウジング内に配置された第3検出器と、を備えるシステム。
【請求項55】
電子源をさらに備える、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
試料のトポグラフィ情報と試料の構成成分情報とを区別しない、前記試料の第1情報を取得するステップと、
前記試料の定性的材料構成情報を提供する、前記試料の第2情報を取得するステップと、
前記試料の定量的材料構成情報を提供する、前記試料の第3情報を取得するステップと、
を含む方法。
【請求項57】
前記第1情報を取得するステップの後に、前記第2情報を取得する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第2情報を取得するステップの後に、前記第3情報を取得する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1情報を取得するステップの後に、前記第3情報を取得する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2情報を取得するステップの後に、前記第3情報を取得する、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記第1情報を取得するステップの後に、前記第3情報を取得する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1情報を取得するステップの後に、前記第3情報を取得する、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
第1期間の間、試料からの複数の第1粒子を検出するステップと、
第2期間の間、前記試料からの第1の複数の第2粒子を検出するステップであって、前記第2粒子は前記第1粒子とは異なると共に、前記第2期間は前記第1期間よりも長いことを特徴とするステップと、
第3期間の間、前記試料から第2の複数の前記第2粒子を検出するステップであって、前記第2の複数の前記第2粒子は、前記第1の複数の前記第2粒子とは異なると共に、前記第3期間は前記第2期間よりも長いことを特徴とするステップと、
を含む方法。
【請求項64】
前記複数の第1粒子は、イオンビームと前記試料の表面との相互作用によって生成される、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の複数の前記第2粒子は、前記イオンビームと前記試料の表面との相互作用によって生成される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第2の複数の前記第2粒子は、前記イオンビームと前記試料の表面との相互作用によって生成される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記イオンビームはガス電界電離イオン源を用いて生成される、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
電子ビームを生成するステップと、
前記電子ビームと前記試料とを相互作用させて二次電子を生成するステップと、
第1期間の間、前記二次電子を検出するステップと、
検出された電子に基づいて第1画像を生成するステップと、
前記電子を検出するステップの後に、第2期間の間、前記試料から散乱される第1の複数のイオンの存在量を検出するステップと、
前記第1の複数の散乱イオンに基づいて第2画像を生成するステップと、
前記第1の複数の散乱イオンを検出するステップの後に、第3期間の間、前記試料から散乱される第2の複数のイオンを、該第2の複数のイオンのエネルギーに基づいて検出するステップと、
を含む方法であって、
前記第2期間は前記第1期間よりも長く、前記第3期間は前記第2期間よりも長い、ことを特徴とする、方法。
【請求項69】
導電性層と、
不活性領域と、
検出領域と、
を有し、
前記不活性領域は、前記導電性層と前記検出領域との間に存在し、前記導電性層は最大25nmを有することを特徴とする、ソリッドステート検出器である、素子。
【請求項70】
前記導電性層の厚さは、少なくとも1nmである、請求項69に記載の素子。
【請求項71】
前記導電性層は金属を含む、請求項69に記載の素子。
【請求項72】
前記不活性領域はドープされた半導体を含む、請求項69に記載の素子。
【請求項73】
前記不活性領域はドープされたシリコンを含む、請求項69に記載の素子。
【請求項74】
前記検出領域はシリコンを含む、請求項69に記載の素子。
【請求項75】
前記不活性領域は最大25nmの厚さを有する、請求項69に記載の素子。
【請求項76】
さらに基板を備える、請求項69に記載の素子。
【請求項77】
前記導電性領域は、メッシュである請求項69に記載の素子。
【請求項78】
前記導電性領域は、構成である請求項69に記載の素子。
【請求項79】
導電性メッシュと、
不活性領域と、
検出領域とを有し、
前記不活性領域は前記導電性メッシュと前記検出領域との間に存在することを特徴とするソリッドステート検出器である、素子。
【請求項80】
前記導電性メッシュは金属を含む、請求項79に記載の素子。
【請求項81】
前記不活性領域はドープされた半導体を含む、請求項79に記載の素子。
【請求項82】
前記不活性領域はドープされたシリコンを含む、請求項79に記載の素子。
【請求項83】
前記検出領域はシリコンを含む、請求項79に記載の素子。
【請求項84】
前記不活性領域は最大25nmの厚さを有する、請求項79に記載の素子。
【請求項85】
さらに基板を備える、請求項79に記載の素子。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−524986(P2011−524986A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514669(P2011−514669)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/045131
【国際公開番号】WO2009/154953
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510237435)カール ツァイス エヌティーエス エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】