説明

誘導結合プラズマ用アンテナユニットおよび誘導結合プラズマ処理装置

【課題】3つ以上の環状アンテナ部を同心状に設けた高周波アンテナを用いた場合であっても、環状アンテナ部の電流の独立制御性が高い誘導結合プラズマ用アンテナユニットを提供すること。
【解決手段】アンテナユニット50において、アンテナ13は、高周波電力が供給されることにより処理室内に誘導電界を形成する同心状に設けられた少なくとも3つのアンテナ部13a,13b,13cを有し、各アンテナ部は、アンテナ線61,62,63,64等が渦巻き状に巻回されて構成され、アンテナ部13a,13b,13cのうち隣接するものどうしは、アンテナ線が互いに逆巻となるように巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造用のガラス基板等の被処理基板に誘導結合プラズマ処理を施す際に用いられる誘導結合プラズマ用アンテナユニットおよびそれを用いた誘導結合プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)製造工程においては、ガラス製の基板にプラズマエッチングや成膜処理等のプラズマ処理を行う工程が存在し、このようなプラズマ処理を行うためにプラズマエッチング装置やプラズマCVD成膜装置等の種々のプラズマ処理装置が用いられる。プラズマ処理装置としては従来、容量結合プラズマ処理装置が多用されていたが、近時、高真空度で高密度のプラズマを得ることができるという大きな利点を有する誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)処理装置が注目されている。
【0003】
誘導結合プラズマ処理装置は、被処理基板を収容する処理容器の天壁を構成する誘電体窓の上側に高周波アンテナを配置し、処理容器内に処理ガスを供給するとともにこの高周波アンテナに高周波電力を供給することにより、処理容器内に誘導結合プラズマを生じさせ、この誘導結合プラズマによって被処理基板に所定のプラズマ処理を施すものである。高周波アンテナとしては、平面状の所定パターンをなす平面環状アンテナが多用されている。
【0004】
平面環状アンテナを用いた誘導結合プラズマ処理装置では、処理容器内の平面アンテナ直下の空間にプラズマが生成されるが、その際に、アンテナ直下の各位置での電界強度に応じて高プラズマ密度領域と低プラズマ密度領域の分布を持つことから、平面環状アンテナのパターン形状がプラズマ密度分布を決める重要なファクターとなっており、平面環状アンテナの疎密を調整することにより、誘導電界を均一化し、均一なプラズマを生成している。
【0005】
そのため、径方向に間隔をおいて内側部分と外側部分の2つの環状アンテナ部を有するアンテナユニットを設け、これらのインピーダンスを調整してこれら2つの環状アンテナ部の電流値を独立して制御し、それぞれの環状アンテナ部により発生するプラズマが拡散により形成する密度分布の重ね合わさり方を制御することにより、誘導結合プラズマの全体としての密度分布を制御する技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、基板の一辺の長さが1mを超えて大型化した場合には、内側部分と外側部分の2つの環状アンテナ部だけでは、2つの環状アンテナの中間部分でプラズマの拡散効果が十分でないため密度分布制御が難しくなる。
【0007】
そこで、3つ以上の環状アンテナ部を同心状に設け、これらの電流値を独立に制御することにより、基板のサイズが大型のものの場合であっても、均一なプラズマを形成することができる技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2007−311182号公報
【特許文献2】特開平2009−277859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、3つ以上の環状アンテナ部を同心状に設けた場合には、アンテナの周囲に磁場の重ね合わせが生じ、環状アンテナ部間で干渉しあって、各環状アンテナ部の誘導電界の独立制御性を損なってしまう。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、3つ以上の環状アンテナ部を同心状に設けた高周波アンテナを用いた場合であっても、環状アンテナ部の誘導電界の独立制御性が高い誘導結合プラズマ用アンテナユニットおよびそれを用いた誘導結合プラズマ処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、基板をプラズマ処理する誘導結合プラズマをプラズマ処理装置の処理室内に生成するための誘導電界を形成する平面型のアンテナを有する誘導結合プラズマ用アンテナユニットであって、前記アンテナは、高周波電力が供給されることにより前記処理室内に誘導電界を形成する同心状に設けられた少なくとも3つのアンテナ部を有し、前記アンテナ部は、アンテナ線が渦巻き状に巻回されて構成され、前記アンテナ部のうち隣接するものどうしは、アンテナ線が互いに逆巻となるように巻回されていることを特徴とする誘導結合プラズマ用アンテナユニットを提供する。
【0012】
また、本発明の第2の観点は、矩形基板を収容してプラズマ処理を施す処理室と、前記処理室内で矩形基板が載置される載置台と、前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、前記処理室内を排気する排気系と、前記処理室の外部に誘電体部材を介して配置され、高周波電力が供給されることにより前記処理室内に基板をプラズマ処理するための誘導結合プラズマを生成する誘導電界を形成する平面型のアンテナと、前記アンテナに高周波電力を供給する高周波電力供給手段とを具備し、前記アンテナは、高周波電力が供給されることにより前記処理室内に誘導電界を形成する同心状に設けられた少なくとも3つのアンテナ部を有し、前記アンテナ部は、アンテナ線が渦巻き状に巻回されて構成され、前記アンテナ部のうち隣接するものどうしは、アンテナ線が互いに逆巻となるように巻回されていることを特徴とする誘導結合プラズマ処理装置を提供する。
【0013】
上記いずれの実施形態でも、前記アンテナ部は、複数のアンテナ線が渦巻き状に巻回されてなる多重アンテナを構成し、前記複数のアンテナ線が、周方向に所定角度ずつずらすようにして配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記基板は矩形状をなし、前記アンテナ部は、矩形状の基板に対応する額縁状をなすような適用に好適である。この場合に、前記アンテナ部の少なくとも一つは、複数のアンテナ線を、同一平面内において、辺の中央部の巻数よりも角部の巻数が多くなるように巻回して全体が渦巻状になるように構成することができる。また、前記辺の中央部の巻数よりも角部の巻数が多くなるように巻回して全体が渦巻状になるように構成されたアンテナ部は、その外郭線および内郭線で囲まれた額縁領域が前記アンテナ部の対向する2辺を貫く中心線について線対称となるように各アンテナ線に屈曲部が形成されていることが好ましい。
【0015】
前記アンテナ部の少なくとも一つは、基板の互いに異なる部分に対応する複数の領域を有し、これら複数の領域に独立して高周波電力が供給されるようにすることもできる。
【0016】
前記各アンテナ部に給電するための高周波電源に接続された整合器から前記各アンテナ線に至る給電経路を有する給電部を有し、前記各アンテナ部と各給電部を含む複数のアンテナ回路が形成され、前記アンテナ回路のうち少なくとも一つのインピーダンスを調整し、もって前記各アンテナ部の電流値を制御するインピーダンス制御手段とをさらに有することが好ましい。この場合に、前記インピーダンス制御手段として、前記給電経路に設けられた可変コンデンサを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンテナ部は、アンテナ線が渦巻き状に巻回されて構成され、アンテナ部のうち隣接するものどうしは、これらアンテナ部が互いに逆巻となるようにアンテナ線が巻回されているので、例えば3つのアンテナ部を有する場合では、中間のアンテナ部が外側アンテナ部および内側アンテナ部とは逆巻となるため、中間アンテナ部に逆向きの誘導電界が生じ、これにより、外側アンテナ部、内側アンテナ部、中間アンテナ部により形成される誘導電界を分離してこれらの干渉を排除し、これらの独立制御性を高めることができる。このため、各種プロセスに応じてプラズマ密度分布を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を示す断面図である。
【図2】図1の誘導結合プラズマ処理装置に用いられる誘導結合プラズマ用アンテナユニットの一例を示す平面図である。
【図3】図2の高周波アンテナの外郭線、内郭線およびそれらに囲まれた額縁領域、アンテナ線の屈曲部を説明するための平面図である。
【図4】図1の誘導結合プラズマ処理装置に用いられる高周波アンテナの給電回路を示す図である。
【図5】従来の三環状アンテナに電流を流したときの磁場と誘導磁界とプラズマの状態(a)と、本実施形態のアンテナに電流を流したときの磁場と誘導磁界とプラズマの状態(b)とを比較して説明するための模式図である。
【図6】高周波アンテナの他の実施形態を示す平面図である。
【図7】図6の高周波アンテナのアンテナ部に用いられる第1部分を示す平面図である。
【図8】図6の高周波アンテナのアンテナ部に用いられる第2部分を示す平面図である。
【図9】アンテナ部のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を示す断面図、図2はこの誘導結合プラズマ処理装置に用いられるアンテナユニットを示す平面図である。この装置は、例えばFPD用ガラス基板上に薄膜トランジスターを形成する際のメタル膜、ITO膜、酸化膜等のエッチングや、レジスト膜のアッシング処理に用いられる。FPDとしては、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0020】
このプラズマ処理装置は、導電性材料、例えば、内壁面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な本体容器1を有する。この本体容器1は分解可能に組み立てられており、接地線1aにより接地されている。本体容器1は、誘電体壁2により上下にアンテナ室3および処理室4に区画されている。したがって、誘電体壁2は処理室4の天井壁を構成している。誘電体壁2は、Al23等のセラミックス、石英等で構成されている。
【0021】
誘電体壁2の下側部分には、処理ガス供給用のシャワー筐体11が嵌め込まれている。シャワー筐体11は十字状に設けられており、誘電体壁2を下から支持する構造となっている。なお、上記誘電体壁2を支持するシャワー筐体11は、複数本のサスペンダ(図示せず)により本体容器1の天井に吊された状態となっている。
【0022】
このシャワー筐体11は導電性材料、望ましくは金属、例えば汚染物が発生しないようにその内面または外面が陽極酸化処理されたアルミニウムで構成されている。このシャワー筐体11には水平に伸びるガス流路12が形成されており、このガス流路12には、下方に向かって延びる複数のガス吐出孔12aが連通している。一方、誘電体壁2の上面中央には、このガス流路12に連通するようにガス供給管20aが設けられている。ガス供給管20aは、本体容器1の天井からその外側へ貫通し、処理ガス供給源およびバルブシステム等を含む処理ガス供給系20に接続されている。したがって、プラズマ処理においては、処理ガス供給系20から供給された処理ガスがガス供給管20aを介してシャワー筐体11内に供給され、その下面のガス吐出孔12aから処理室4内へ吐出される。
【0023】
本体容器1におけるアンテナ室3の側壁3aと処理室4の側壁4aとの間には内側に突出する支持棚5が設けられており、この支持棚5の上に誘電体壁2が載置される。
【0024】
アンテナ室3内には、高周波(RF)アンテナ13を含むアンテナユニット50が配設されている。高周波アンテナ13は整合器14を介して高周波電源15に接続されている。また、高周波アンテナ13は絶縁部材からなるスペーサ17により誘電体壁2から離間している。そして、高周波アンテナ13に、高周波電源15から例えば周波数が13.56MHzの高周波電力が供給されることにより、処理室4内に誘導電界が形成され、この誘導電界によりシャワー筐体11から供給された処理ガスがプラズマ化される。なお、アンテナユニット50については後述する。
【0025】
処理室4内の下方には、誘電体壁2を挟んで高周波アンテナ13と対向するように、矩形状のFPD用ガラス基板(以下単に基板と記す)Gを載置するための載置台23が設けられている。載置台23は、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムで構成されている。載置台23に載置された基板Gは、静電チャック(図示せず)により吸着保持される。
【0026】
載置台23は絶縁体枠24内に収納され、さらに、中空の支柱25に支持される。支柱25は本体容器1の底部を気密状態を維持しつつ貫通し、本体容器1外に配設された昇降機構(図示せず)に支持され、基板Gの搬入出時に昇降機構により載置台23が上下方向に駆動される。なお、載置台23を収納する絶縁体枠24と本体容器1の底部との間には、支柱25を気密に包囲するベローズ26が配設されており、これにより、載置台23の上下動によっても処理容器4内の気密性が保証される。また処理室4の側壁4aには、基板Gを搬入出するための搬入出口27aおよびそれを開閉するゲートバルブ27が設けられている。
【0027】
載置台23には、中空の支柱25内に設けられた給電線25aにより、整合器28を介して高周波電源29が接続されている。この高周波電源29は、プラズマ処理中に、バイアス用の高周波電力、例えば周波数が6MHzの高周波電力を載置台23に印加する。このバイアス用の高周波電力により、処理室4内に生成されたプラズマ中のイオンが効果的に基板Gに引き込まれる。
【0028】
さらに、載置台23内には、基板Gの温度を制御するため、セラミックヒータ等の加熱手段や冷媒流路等からなる温度制御機構と、温度センサーとが設けられている(いずれも図示せず)。これらの機構や部材に対する配管や配線は、いずれも中空の支柱25を通して本体容器1外に導出される。
【0029】
処理室4の底部には、排気管31を介して真空ポンプ等を含む排気装置30が接続される。この排気装置30により、処理室4が排気され、プラズマ処理中、処理室4内が所定の真空雰囲気(例えば1.33Pa)に設定、維持される。
【0030】
載置台23に載置された基板Gの裏面側には冷却空間(図示せず)が形成されており、一定の圧力の熱伝達用ガスとしてHeガスを供給するためのHeガス流路41が設けられている。このように基板Gの裏面側に熱伝達用ガスを供給することにより、真空下において基板Gの温度上昇や温度変化を回避することができるようになっている。
【0031】
このプラズマ処理装置の各構成部は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなる制御部100に接続されて制御される構成となっている。また、制御部100には、オペレータによるプラズマ処理装置を管理するためのコマンド入力等の入力操作を行うキーボードや、プラズマ処理装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース101が接続されている。さらに、制御部100には、プラズマ処理装置で実行される各種処理を制御部100の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じてプラズマ処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわち処理レシピが格納された記憶部102が接続されている。処理レシピは記憶部102の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、コンピュータに内蔵されたハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース101からの指示等にて任意の処理レシピを記憶部102から呼び出して制御部100に実行させることで、制御部100の制御下で、プラズマ処理装置での所望の処理が行われる。
【0032】
次に、上記アンテナユニット50について詳細に説明する。
アンテナユニット50は、上述したように高周波アンテナ13を有しており、さらに、整合器14を経た高周波電力を高周波アンテナ13に給電する給電部51を有する。
【0033】
図2に示すように、高周波アンテナ13は、外側部分に配置された環状アンテナ部である外側アンテナ部13aと、内側部分に配置された環状アンテナである内側アンテナ部13bと、これらの中間部分に配置された環状アンテナ部である中間アンテナ部13cとが同心的に間隔をおいて配置されて構成された三環状アンテナである。外側アンテナ部13a、内側アンテナ部13b、中間アンテナ部13cは、いずれも輪郭が矩形状をなす平面型のものであり、基板に対向して配置されるアンテナ線の配置領域が額縁状をなしている。
【0034】
これら外側アンテナ部13a、内側アンテナ部13b、および中間アンテナ部13cは、4本のアンテナ線を巻回して全体が渦巻状になるようにした多重(四重)アンテナを構成しており、アンテナ線の巻方向が外側アンテナ部13aと内側アンテナ部13bが同じであり、中間アンテナ部13cはこれらと逆となっている。つまり、アンテナ線の巻方向が隣接するアンテナ部間で逆向きになるように構成されている。
【0035】
外側アンテナ部13aは、4本のアンテナ線61,62,63,64を有し、これらアンテナ線61,62,63,64は90°ずつ位置をずらして巻回され、アンテナ線の配置領域が略額縁状をなし、プラズマが弱くなる傾向にある角部の巻数を辺の中央部の巻数よりも多くなるようにしている。図示の例では角部の巻数が3、辺の中央部の巻数が2となっている。また、図3に示すように、外側アンテナ部13aの外郭線65および内郭線66で囲まれた、斜線で示すアンテナ線の配置領域である額縁領域67を矩形状の基板Gに正対させるために、外側アンテナ13aの対向する2辺を貫く中心線について線対称(鏡面対称)となるように、各アンテナ線にクランク部(屈曲部)68が形成されている。プラズマはアンテナ線の配置領域に対応して発生するため、上記のように額縁領域67を基板Gに正対させることにより外側アンテナ部13aにより発生させられるプラズマも基板Gに正対させることができる。
【0036】
内側アンテナ部13bは、4本のアンテナ線71,72,73,74を有し、これらアンテナ線71,72,73,74は90°ずつ位置をずらして、外側アンテナ部13aのアンテナ線と同方向に巻回され、アンテナ線の配置領域が略額縁状をなし、プラズマが弱くなる傾向にある角部の巻数を辺の中央部の巻数よりも多くなるようにしている。図示の例では角部の巻数が3、辺の中央部の巻数が2となっている。また、図3に示すように、内側アンテナ部13bの外郭線75および内郭線76で囲まれる斜線で示す額縁領域77を矩形状の基板Gに正対させるために、対向する2辺を貫く中心線について線対称(鏡面対称)となるように、各アンテナ線にクランク部(屈曲部)78が形成されている。これにより内側アンテナ部13bにより発生させられるプラズマも基板Gに正対させることができる。
【0037】
中間アンテナ部13cは、4本のアンテナ線81,82,83,84を有し、これらアンテナ線81,82,83,84は90°ずつ位置をずらして外側アンテナ部13aおよび内側アンテナ部13bのアンテナ線とは逆方向に巻回され、アンテナ線の配置領域が略額縁状をなし、プラズマが弱くなる傾向にある角部の巻数を辺の中央部の巻数よりも多くなるようにしている。図示の例では角部の巻数が2、辺の中央部の巻数が1となっている。また、図3に示すように、中間アンテナ部13cの外郭線85および内郭線86で囲まれる斜線で示す額縁領域87を矩形状の基板Gに正対させるために、対向する2辺を貫く中心線について線対称(鏡面対称)となるように、各アンテナ線にクランク部(屈曲部)88が形成されている。これにより中間アンテナ部13cにより発生させられるプラズマも基板Gに正対させることができる。
【0038】
アンテナ室3には、外側アンテナ部13aに給電する4本の第1給電部材16a、内側アンテナ部13bに給電する4本の第2給電部材16b、および中間アンテナ部13cに給電する4本の第3給電部材16c(図1ではいずれも1本のみ図示)が設けられており、各第1給電部材16aの下端は外側アンテナ部13aの端子22aに接続され、各第2給電部材16bの下端は内側アンテナ部13bの端子22bに接続され、各第3給電部材16cの下端は中間アンテナ部13cの端子22cに接続されている。これら第1給電部材16a、第2給電部材16b、および第3給電部材16cは、整合器14を介して高周波電源15に並列に接続されている。高周波電源15および整合器14は給電線19に接続されており、給電線19は整合器14の下流側で給電線19a、19bおよび19cに分岐し、給電線19aが4本の第1給電部材16aに接続され、給電線19bが4本の第2給電部材16bに接続され、給電線19cが4本の第3給電部材16cに接続されている。
【0039】
給電線19、19a、19b、19c、給電部材16a、16b、16c、端子22a、22b、22cは、アンテナユニット50の給電部51を構成している。
【0040】
給電線19aには可変コンデンサ21aが介装され、給電線19cには可変コンデンサ21cが介装され、給電線19bには可変コンデンサが介装されていない。そして、可変コンデンサ21aと外側アンテナ部13aによって外側アンテナ回路が構成され、可変コンデンサ21cと中間アンテナ部13cによって中間アンテナ回路が構成される。一方、内側アンテナ回路は内側アンテナ部13bのみで構成される。
【0041】
後述するように、可変コンデンサ21aの容量を調節することにより、外側アンテナ回路のインピーダンスが制御され、可変コンデンサ21cの容量を調節することにより、中間アンテナ回路のインピーダンスが制御され、これらの制御により、外側アンテナ回路、内側アンテナ回路、および中間アンテナ回路に流れる電流の大小関係を調整することができる。可変コンデンサ21a、21cは外側アンテナ回路および中間アンテナ回路の電流制御部として機能する。
【0042】
高周波アンテナ13のインピーダンス制御について図4を参照して説明する。図4は、高周波アンテナ13の給電回路を示す図である。この図に示すように、高周波電源15からの高周波電力は整合器14を経て外側アンテナ回路91a、内側アンテナ回路91b、および中間アンテナ回路91cに供給される。ここで、外側アンテナ回路91aは、外側アンテナ部13aと可変コンデンサ21aで構成され、中間アンテナ回路91cは中間アンテナ回路13cと可変コンデンサ21cで構成されているから、外側アンテナ回路91aのインピーダンスZoutは可変コンデンサ21aのポジションを調節してその容量を変化させることにより変化させることができ、中間アンテナ回路91cのインピーダンスZmiddleは可変コンデンサ21cのポジションを調節してその容量を変化させることにより変化させることができる。一方、内側アンテナ回路91bは内側アンテナ部13bのみからなり、そのインピーダンスZinは固定である。このとき、外側アンテナ回路91aの電流IoutはインピーダンスZoutの変化に対応して変化させることができ、中間アンテナ回路91cの電流ImiddleはインピーダンスZmiddleの変化に対応して変化させることができる。そして、内側アンテナ回路91bの電流IinはZoutとZmiddleとZinの比率に応じて変化する。したがって、可変コンデンサ21a,21cの容量調節によってZoutおよびZmiddleを変化させることにより、外側アンテナ回路91aの電流Ioutと内側アンテナ回路91bの電流Iinと中間アンテナ回路91cの電流Imiddleを自在に変化させることができる。そして、このように外側アンテナ部13aに流れる電流と内側アンテナ部13bに流れる電流と中間アンテナ部13cに流れる電流を制御することによってプラズマ密度分布を制御することができる。
【0043】
次に、以上のように構成される誘導結合プラズマ処理装置を用いて基板Gに対してプラズマ処理、例えばプラズマエッチング処理を施す際の処理動作について説明する。
【0044】
まず、ゲートバルブ27を開にした状態で搬入出口27aから搬送機構(図示せず)により基板Gを処理室4内に搬入し、載置台23の載置面に載置した後、静電チャック(図示せず)により基板Gを載置台23上に固定する。次に、処理室4内に処理ガス供給系20から供給される処理ガスをシャワー筐体11のガス吐出孔12aから処理室4内に吐出させるとともに、排気装置30により排気管31を介して処理室4内を真空排気することにより、処理室内を例えば0.66〜26.6Pa程度の圧力雰囲気に維持する。
【0045】
また、このとき基板Gの裏面側の冷却空間には、基板Gの温度上昇や温度変化を回避するために、Heガス流路41を介して、熱伝達用ガスとしてHeガスを供給する。
【0046】
次いで、高周波電源15から例えば13.56MHzの高周波を高周波アンテナ13に印加し、これにより誘電体壁2を介して処理室4内に均一な誘導電界を形成する。このようにして形成された誘導電界により、処理室4内で処理ガスがプラズマ化し、高密度の誘導結合プラズマが生成される。このプラズマにより、基板Gに対してプラズマ処理、例えばプラズマエッチング処理が行われる。
【0047】
この場合に、高周波アンテナ13は、上述のように、外側部分に配置された環状アンテナ部である外側アンテナ部13aと、内側部分に配置された環状アンテナ部である内側アンテナ部13bと、これらの中間部分に配置された環状アンテナ部である中間アンテナ部13cとが同心的に間隔をおいて配置されて構成された三環状アンテナであるので、ガラス基板Gのサイズが1辺1mを超える大型のものの場合であっても、各アンテナ部の間でのプラズマ密度の低下によるプラズマの不均一が生じ難くなる。
【0048】
また、高周波アンテナ13は、外側アンテナ部13aに可変コンデンサ21aを接続して、外側アンテナ回路91aのインピーダンス調整を可能にし、中間アンテナ部13cに可変コンデンサ21cを接続して、中間アンテナ回路91cのインピーダンス調節を可能にしたので、外側アンテナ回路91aの電流Ioutと内側アンテナ回路91bの電流Iinと中間アンテナ回路91cの電流Imiddleを自在に変化させることができる。すなわち、可変コンデンサ21a、21cのポジションを調節することにより、外側アンテナ部13aに流れる電流と、内側アンテナ部13bに流れる電流と、中間アンテナ部13cに流れる電流とを制御することができる。誘導結合プラズマは、高周波アンテナ13直下の空間でプラズマを生成させるが、その際の各位置でのプラズマ密度は、各位置での電界強度に対応するため、このように外側アンテナ部13aに流れる電流と内側アンテナ部13bに流れる電流と中間アンテナ部13cに流れる電流を制御して電界強度分布を制御することによりプラズマ密度分布を制御することが可能となる。
【0049】
種々あるプロセスによっては、必ずしも均一な密度分布を有するプラズマがそのプロセスに最適であるとは限らない。それゆえ、プロセスに応じて最適なプラズマ密度分布を把握し、予めそのプラズマ密度分布が得られる可変コンデンサ21a,21cのポジションを記憶部102に設定しておくことにより、制御部100によりプロセスごとに最適な可変コンデンサ21a,21cのポジションを選択してプラズマ処理を行えるようにすることができる。
【0050】
ところで、従来、このような三環状アンテナにおいては、アンテナ線の巻方向を3つのアンテナ部とも同方向にしていた。このため、図5(a)に示すように、アンテナ線に流れる電流によって生じる磁場が各アンテナ部で同方向であり、これらの磁場の重ね合わせにより、3つのアンテナ部間で干渉が生じ、これらアンテナ部における誘導電界の独立制御性が悪いことが判明した。このため、プラズマ密度分布の制御性が悪くなってしまう。
【0051】
これに対して本実施形態では、図5(b)に示すように、アンテナ線の巻方向が外側アンテナ部13aと内側アンテナ部13bが同じであり、中間アンテナ部13cはこれらと逆となっている。つまり、アンテナ線の巻方向が隣接するアンテナ部どうしで逆向きになるように構成されている。このように中間アンテナ部13cの巻方向を逆向きとすることにより、中間アンテナ部13cに逆向きの誘導電界が生じ、これにより、外側アンテナ部13a、内側アンテナ部13b、および中間アンテナ部13cにより形成される誘導電界を分離してこれらの干渉を排除し、これらの独立制御性を高めることができる。このため、各種プロセスに応じてプラズマ密度分布を制御することができる。
【0052】
なお、図5において、アンテナ線の×は電界が紙面に垂直に表から裏へ向かう方向であることを示し、●は電界が紙面に垂直に裏から表へ向かう方向であることを示している。
【0053】
また、高周波アンテナ13は、全体形状が基板Gに対応する矩形状をなしているので、矩形状の基板G全体に対してプラズマを供給することができる。さらに、各アンテナ部を略額縁状とし、かつプラズマが弱くなる傾向にある角部においてアンテナ線の巻き数を増やしたので、比較的高いプラズマ密度分布の均一性を得ることができる。ただし、各アンテナ部において角部のアンテナ線の巻数を多くすると、特許文献1、2に示すように、最外周と最内周においてアンテナ線が辺の中央部よりもそれぞれ外側および内側にはみ出た状態となるため、その外郭線および内郭線が斜めとなって、これらで囲まれたプラズマ生成領域は、矩形状の基板Gの中心に対して所定角度回転した傾いた状態となってしまい、基板Gに対するプラズマの均一性が不十分となるおそれがある。
【0054】
これに対し、本実施形態では、外側アンテナ部13a、内側アンテナ部13b、中間アンテナ部13cのアンテナ線に、それぞれクランク部(屈曲部)68、78、88を形成して、角部の巻数を増加させたことにともなう外側および内側へのはみ出しを解消し、各アンテナ部の額縁領域67、77、87を矩形状の基板Gに正対させることができ、矩形状の基板Gに正対した状態のプラズマを生成することができ、より均一なプラズマ処理を行うことが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、3つのアンテナ部を設けた場合について示したが、これに限らず、アンテナ線の巻方向が隣接するアンテナ部間で逆向きになるようにすれば、基板の大きさに対応して4つ以上のアンテナ部を設けてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、各アンテナ部を4本のアンテナ線を90°ずつずらして巻回して全体が渦巻状になるようにした四重アンテナとしたが、アンテナ線の数は4本に限るものではなく、任意の数の多重アンテナであってよく、また、ずらす角度も90°に限るものではない。さらに、各アンテナ部において、額縁領域を矩形基板に正対させるためにクランク部(屈曲部)を形成したが、クランク部を形成せずに額縁領域を矩形基板に正対させた多重アンテナであってもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態では、各アンテナ部を環状に構成して一体的に高周波電力が供給されるようにしたが、アンテナ部をそれぞれ基板の互いに異なる部分に対応する複数の領域を有するものとし、これら複数の領域に独立して高周波電力が供給されるようにしてもよい。これにより、よりきめの細かいプラズマ分布制御を行うことができる。例えば、矩形基板に対応する矩形状平面を構成し、複数のアンテナ線を渦巻状に巻回してなる第1部分および第2部分を有し、第1部分は複数のアンテナ線が、矩形状平面の4つの角部を形成するとともに、矩形状平面とは異なる位置において4つの角部を結合するように設けられ、第2部分は複数のアンテナ線が、矩形状平面の4つの辺の中央部を形成するとともに、矩形状平面とは異なる位置において4つの辺の中央部を結合するように設けられて、第1部分と第2部分にそれぞれ独立して高周波電力が供給されるようにすることができる。
【0058】
具体的な構成を図6〜8を参照して説明する。
例えば、外側アンテナ部13aが、図6に示すように、プラズマ生成に寄与する誘導電界を形成する誘電体壁2に面した部分が全体として矩形基板Gに対応する矩形状(額縁状)平面を構成し、かつ、複数のアンテナ線を渦巻状に巻回してなる第1部分113aと第2部分113bとを有している。第1部分113aのアンテナ線は、矩形状平面の4つの角部を形成し、矩形状平面とは異なる位置において、4つの角部を結合するように設けられている。また、第2部分113bのアンテナ線は、矩形状平面の4つの辺の中央部を形成するとともに、矩形状平面とは異なる位置において、これら4つの辺の中央部を結合するように設けられている。第1部分113aへの給電は、4つの端子122aおよび給電線169を介して行われ、第2部分113bへの給電は、4つの端子122bおよび給電線179を介して行われ、これら端子122a、122bにはそれぞれ独立して高周波電力が供給される。
【0059】
図7に示すように、第1部分113aは、4本のアンテナ線161,162,163,164を90°ずつ位置をずらして巻回した四重アンテナを構成し、誘電体壁2に面した矩形状平面の4つの角部を形成する部分は平面部161a、162a、163a、164aとなっており、これら平面部161a、162a、163a、164aの間の部分は、矩形状平面とは異なる位置になるように上方のプラズマの生成に寄与しない位置に退避した状態の立体部161b、162b、163b、164bとなっている。図8に示すように、第2部分113bも、4本のアンテナ線171,172,173,174を90°ずつ位置をずらして巻回した四重アンテナを構成し、誘電体壁2に面した上記矩形状平面の4つの辺の中央部を形成する部分は平面部171a、172a、173a、174aとなっており、これら平面部171a、172a、173a、174aの間の部分は、矩形状平面とは異なる位置になるように上方のプラズマの生成に寄与しない位置に退避した状態の立体部171b、172b、173b、174bとなっている。
【0060】
このような構成により、上記実施形態と同様の4本のアンテナ線を一定の方向に巻回した比較的簡易な多重アンテナの構成をとりながら、角部と辺中央部との独立したプラズマ分布制御を実現することができる。また、このような構成においても、アンテナ線の巻方向を変えることにより逆向きの誘導電界を形成することができる。
【0061】
さらにまた、上記実施形態では、各アンテナ部を複数のアンテナ線を巻回した多重アンテナで構成したが、図9に示すように1本のアンテナ線181を渦巻き状に巻回したものであってもよい。
【0062】
さらにまた、各アンテナ部の形態は必ずしも同一でなくてもよい。例えば、外側アンテナ部のみ上記図6〜8で説明したような構成をとり、他は通常の多重アンテナであってもよく、クランク部を一部のアンテナ部に設けるようにしてもよく、また多重アンテナと1本のアンテナを巻回したものとを混在させてもよい。
【0063】
さらにまた、上記実施形態では、一つの高周波電源から各アンテナ部に高周波電力を分配して供給したが、アンテナ部毎に高周波電源を設けてもよい。
【0064】
さらにまた、上記実施形態では、各アンテナ部の電流を制御するために、外側アンテナ回路および中間アンテナ回路に可変コンデンサを設け、内側アンテナ回路は可変コンデンサを設けないインピーダンス調整回路を用いたが、外側アンテナ回路、内側アンテナ回路、中間アンテナ回路のいずれか2つに可変コンデンサを設ければ上記実施形態と同等の電流制御を行なうことができ、また、上記実施形態と同等の電流の制御性でなくても、必要とされる電流の制御性に応じて可変コンデンサを設けるようにしてもよい。例えば、全てのアンテナ回路に可変コンデンサを設けるようにしてもよいし、また、いずれかのアンテナ回路のみに可変コンデンサを設けてもよい。さらに、インピーダンスを調整するために可変コンデンサを用いたが、可変コイル等の他のインピーダンス調整手段であってもよい。
【0065】
さらにまた、上記実施形態では処理室の天井部を誘電体壁で構成し、アンテナが処理室の外である天井部の誘電体壁の上面に配置された構成について説明したが、アンテナとプラズマ生成領域との間を誘電体壁で隔絶することが可能であればアンテナが処理室内に配置される構造であってもよい。
【0066】
さらにまた、上記実施形態では本発明をエッチング装置に適用した場合について示したが、CVD成膜等の他のプラズマ処理装置に適用することができる。さらにまた、基板としてFPD用の矩形基板を用いた例を示したが、太陽電池等の他の矩形基板を処理する場合にも適用可能であるし、矩形に限らず例えば半導体ウエハ等の円形の基板にも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1;本体容器
2;誘電体壁(誘電体部材)
3;アンテナ室
4;処理室
13;高周波アンテナ
13a;外側アンテナ部
13b;内側アンテナ部
13c;中間アンテナ部
14;整合器
15;高周波電源
16a,16b,16c;給電部材
19,19a,19b,19c;給電線
20;処理ガス供給系
21a,21c;可変ンサコンデンサ
22a,22b,22c;端子
23;載置台
30;排気装置
50;アンテナユニット
51;給電部
61,62,63,64,71,72,73,74,81,82,83,84;アンテナ線
67,77,87;額縁領域
68,78,88;クランク部(屈曲部)
91a;外側アンテナ回路
91b;内側アンテナ回路
91c;中間アンテナ回路
100;制御部
101;ユーザーインターフェース
102;記憶部
G;基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をプラズマ処理する誘導結合プラズマをプラズマ処理装置の処理室内に生成するための誘導電界を形成する平面型のアンテナを有する誘導結合プラズマ用アンテナユニットであって、
前記アンテナは、高周波電力が供給されることにより前記処理室内に誘導電界を形成する同心状に設けられた少なくとも3つのアンテナ部を有し、
前記アンテナ部は、アンテナ線が渦巻き状に巻回されて構成され、
前記アンテナ部のうち隣接するものどうしは、アンテナ線が互いに逆巻となるように巻回されていることを特徴とする誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項2】
前記アンテナ部は、複数のアンテナ線が渦巻き状に巻回されてなる多重アンテナを構成し、前記複数のアンテナ線が、周方向に所定角度ずつずらすようにして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項3】
前記基板は矩形状をなし、前記アンテナ部は、矩形状の基板に対応する額縁状をなすことを特徴とする請求項2に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項4】
前記アンテナ部の少なくとも一つは、複数のアンテナ線を、同一平面内において、辺の中央部の巻数よりも角部の巻数が多くなるように巻回して全体が渦巻状になるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項5】
前記辺の中央部の巻数よりも角部の巻数が多くなるように巻回して全体が渦巻状になるように構成されたアンテナ部は、その外郭線および内郭線で囲まれた額縁領域が前記アンテナ部の対向する2辺を貫く中心線について線対称となるように各アンテナ線に屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項6】
前記アンテナ部の少なくとも一つは、基板の互いに異なる部分に対応する複数の領域を有し、これら複数の領域に独立して高周波電力が供給されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項7】
前記各アンテナ部に給電するための高周波電源に接続された整合器から前記各アンテナ線に至る給電経路を有する給電部を有し、前記各アンテナ部と各給電部を含む複数のアンテナ回路が形成され、前記アンテナ回路のうち少なくとも一つのインピーダンスを調整し、もって前記各アンテナ部の電流値を制御するインピーダンス制御手段とをさらに有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項8】
前記インピーダンス制御手段は、前記給電経路に設けられた可変コンデンサを有することを特徴とする請求項7に記載の誘導結合プラズマ用アンテナユニット。
【請求項9】
矩形基板を収容してプラズマ処理を施す処理室と、
前記処理室内で矩形基板が載置される載置台と、
前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室の外部に誘電体部材を介して配置され、高周波電力が供給されることにより前記処理室内に基板をプラズマ処理するための誘導結合プラズマを生成する誘導電界を形成する平面型のアンテナと、
前記アンテナに高周波電力を供給する高周波電力供給手段と
を具備し、
前記アンテナは、高周波電力が供給されることにより前記処理室内に誘導電界を形成する同心状に設けられた少なくとも3つのアンテナ部を有し、
前記アンテナ部は、アンテナ線が渦巻き状に巻回されて構成され、
前記アンテナ部のうち隣接するものどうしは、アンテナ線が互いに逆巻となるように巻回されていることを特徴とする誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記アンテナ部は、複数のアンテナ線が渦巻き状に巻回されてなる多重アンテナを構成し、前記複数のアンテナ線が、周方向に所定角度ずつずらすようにして配置されていることを特徴とする請求項9に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項11】
前記基板は矩形状をなし、前記アンテナ部は、矩形状の基板に対応する額縁状をなすことを特徴とする請求項10に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記アンテナ部の少なくとも一つは、複数のアンテナ線を、同一平面内において、辺の中央部の巻数よりも角部の巻数が多くなるように巻回して全体が渦巻状になるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記辺の中央部の巻数よりも角部の巻数が多くなるように巻回して全体が渦巻状になるように構成されたアンテナ部は、その外郭線および内郭線で囲まれた額縁領域が前記アンテナ部の対向する2辺を貫く中心線について線対称となるように各アンテナ線に屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項14】
前記アンテナ部の少なくとも一つは、基板の互いに異なる部分に対応する複数の領域を有し、これら複数の領域に独立して高周波電力が供給されることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記高周波電力供給手段は、各アンテナ部に給電するための高周波電源と、前記高周波電源に接続されインピーダンス整合を行う整合器と、前記整合器から前記各アンテナ線に至る給電経路を有する給電部と、前記各アンテナ部と各給電部を含む複数のアンテナ回路と、前記アンテナ回路のうち少なくとも一つのインピーダンスを調整し、もって前記各アンテナ部の電流値を制御するインピーダンス制御手段とを有することを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項16】
前記インピーダンス制御手段は、前記給電経路に設けられた可変コンデンサを有することを特徴とする請求項15に記載の誘導結合プラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−77715(P2013−77715A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217014(P2011−217014)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】