説明

警告装置

【課題】勾配のある道路における車速計の確認回数を減らすことができる警告装置を提供すること。
【解決手段】CPU14は、車速の変化量ΔVが第1の範囲を外れるとの判定がなされ、道路の勾配Dが第2の範囲を外れるとの判定がなされ、道路が渋滞していないとの判定がなされると、車速の変化量ΔVに応じて警告態様を選択し、選択された警告態様で警告画面または警告音声を出力させるための制御データを出力する。画像プロセッサ17は、CPU14からの制御データに従って、警告画面に対応する画像データをHDD12からVRAM18に転送し、順次ディスプレイ32に対して警告画像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路が勾配している旨の警告をする警告装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、自車位置から所定距離(例えば、500m)前方の経路上に所定値(例えば、勾配±5%)以上の標高差があれば、地形変化を示す地形画像をその標高差の度合いに応じてディスプレイ装置に表示するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−195841号公報(段落0019および図1を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
地形変化のある道路では、車速は急激に変化する傾向にある。ところが、特許文献1に記載のものにおいては、地形変化がある旨が事前に表示されるにすぎず、地形変化のある道路を走行中のユーザに対して何ら警告がなされない。したがって、ユーザは車速計を頻繁に確認せざるを得なかった。
【0004】
そこで、本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、勾配のある道路における車速計の確認回数を減らすことができる警告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る警告装置は、警告画面をディスプレイに表示させるか否かを、車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部を備える。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0006】
「警告画面」とは、勾配のある道路で車速が変化している旨をユーザに知らしめるための画面である。一例として、特定の色を施した画面や特定の図柄を含む画面などがある。
【0007】
「車速変化量データ」には、車速センサで出力された車速データから演算されるデータや加速度センサで出力された加速度データそのものなどが含まれる。
【0008】
「勾配データ」としては、GPSデータから演算されるデータや記憶媒体に予め記憶されたデータなどがある。
【0009】
「応じて制御する」の一例として、車速の変化量が第1の範囲を超え、かつ、道路の勾配が第2の範囲を超えると、警告画面をディスプレイに表示させる制御が挙げられる。「第1の範囲」としては、−10km/hないし+10km/hの範囲が好ましい。他方、「第2の範囲」としては、−5%ないし+5%の範囲が好ましい。
【0010】
「制御部」は、道路の渋滞に係る渋滞データが道路の渋滞を示していれば、警告画面をディスプレイに表示させないようにしてもよい。「渋滞データ」として、行政、放送局や公益法人などのインフラ側で出力されるVICSデータや自装置内で演算されるデータなどがある。
【0011】
「制御部」は、警告画面を車速の変化量に応じて異ならせてもよい。具体的には、警告画面の色を車速の変化量に応じて異ならせることが挙げられる。より具体的には、車速の変化量が基準値よりも大きければ、赤色の画面が表示され、車速の変化量が基準値よりも小さければ、白色の画面が表示される。
【0012】
本発明に係る警告装置は、警告音声をスピーカに出力させるかを、車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部を備える。本発明における字句の解釈は、次のとおりであり、特記していない解釈については前述の解釈と同様である。
【0013】
「警告音声」とは、勾配のある道路で車速が変化している旨をユーザに知らしめるための音声である。一例として、ブザー音や人声などがある。
【0014】
「制御部」は、道路の渋滞に係る渋滞データが道路の渋滞を示していれば、警告音声をスピーカに出力させないようにしてもよい。
【0015】
「制御部」は、警告音声を車速の変化量に応じて異ならせてもよい。具体的には、警告音声の音量を車速の変化量に応じて異ならせることが挙げられる。より具体的には、音量は車速の変化量の絶対値に比例する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、警告画面をディスプレイに表示させるか否かを車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部を設け、または、警告音声をスピーカに出力させるか否かを車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部を設けることで、勾配のある道路における車速計の確認回数を減らすことができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る警告装置を実施するための最良の形態であるナビゲーション装置について、図1ないし図6を参照しながら説明する。
<構成について>本実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を図1を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、各種データを入力する入力インターフェース(以下、入力IFという)11と、各種データを記憶するHDD12(「記憶媒体」に相当する)と、各種プログラムを格納するROM13(「制御手段」に相当する)と、ROM13に格納されたプログラムを解釈し実行するCPU14(「制御手段」に相当する)と、入力IF11やCPU14などからのデータを保持するRAM15と、CPU14からのデータに応じて音声出力を制御する音声プロセッサ16と、CPU14からのデータに応じて画像出力を制御する画像プロセッサ17と、画像データを保持するVRAM18と、各種データを出力する出力インターフェース(以下、出力IFという)19とを備え、これらはバスで接続されている。
【0019】
入力IF11には、衛星からのGPSデータを受信するGPS受信機21と、方位に対応する方位データや道路の勾配に対応する勾配データを出力するジャイロセンサ22と、速度に対応する速度データを出力する速度センサ23と、VICSデータ(「渋滞データ」に相当する)を受信するVICS受信機24と、物体との接触に応じて接触座標に係るデータを出力するタッチパネル25とが接続されている。
【0020】
HDD12には、ナビゲーション処理に用いられる探索データや地図データなどのほかに、警告画面に対応する画像データや警告音声に対応する音声データなどが記憶されている。
【0021】
ROM13には、ナビゲーションプログラムの他に、警告画面をディスプレイに表示させるか否かを車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部としてCPU14を機能させ、または、警告音声をスピーカに出力させるか否かを車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部としてCPU14を機能させるための警告プログラムが格納されている。また、ROM13には、車速の変化量と警告態様とを対応付けたテーブルが格納されている。
【0022】
出力IF19には、音声データに対応する音声を出力するスピーカ31と、画像データに対応する画像を表示するディスプレイ32とが接続されている。ディスプレイ32は、、タッチパネル24の接触座標をディスプレイ32の表示座標に一致させるようにタッチパネル24の背面に位置している。
【0023】
<動作(処理)について>以上のように構成されたナビゲーション装置1について、図2ないし図6を参照しながらその動作を説明する。図2に示すように、CPU14は、ROM13に格納された警告プログラムを解釈し、次の処理を実行する。
【0024】
CPU14は、RAM15に保持された車速データを用いて、車速の変化量ΔVを算出する(ステップS1)。具体的には、車速の変化量ΔVとして、時刻t1における車速V1と時刻t1+Δtにおける車速V2との差が算出される。
【0025】
ステップS1で車速の変化量ΔVが算出されると、CPU14は、車速の変化量ΔVが第1の範囲を外れるか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、第1の範囲として、−10km/hないし+10km/hが用いられ、「−10km/h≦ΔV≦+10km/h」が不成立であるか否かが判定される。
【0026】
ステップS2で車速の変化量ΔVが第1の範囲を外れるとの判定がなされると(S2のYes)、CPU14は、RAM15に保持された勾配データを用いて道路の勾配Dを算出する(ステップS3)。
【0027】
ステップS3で道路の勾配Dが算出されると、CPU14は、道路の勾配Dが第2の範囲を外れるか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、第2の範囲として、−5%ないし+5%が用いられ、「−5%≦D≦+5%」が不成立であるか否かが判定される。
【0028】
ステップS4で道路の勾配Dが第2の範囲を外れるとの判定がなされると(ステップS4のYes)、CPU14は、VICSデータを参照して道路が渋滞していないか否かを判定する(ステップS5)。
【0029】
ステップS5で道路が渋滞していないとの判定がなされると(S5のYes)、CPU14は、車速の変化量ΔVに応じて警告態様を選択する(ステップS6)。具体的には、レベル1を「−10km/h≦ΔV≦+10km/h」とし、レベル2を「−20km/h≦ΔV<−10km/h」および「+10km/h<ΔV≦+20km/h」とし、レベル3を「ΔV<−20km/h」および「+20km/h<ΔV」として、車速の変化量ΔVが区分けされている。また、警告画面においては、色彩、濃淡および図柄が定義されている。他方、警告音声においては、音量および音声が定義されている。
【0030】
車速の変化量ΔVと警告態様との関係は、図3に示すとおりである。レベル1では、警告の必要性が小さいので、次のような警告態様が採用される。警告画面において、色彩は白色であり(図4(a)を参照)、濃淡は淡く(図5(a)を参照)、図柄は動かない(図6(a)を参照)。警告音声において、音量は5db程度であり、音声は「スピードが出てるよ」というやわらかな表現を内容とする。
【0031】
他方、レベル2では、警告の必要性が高いので、次のような警告態様が採用される。警告画面において、色彩は黄色であり(図4(b)を参照)、濃淡は標準(図5(b)を参照)、図柄はゆっくり動く(図6(b)を参照)。警告音声において、音量は10db程度であり、音声は「スピードが出てますけど?」というすこし冷たい表現を内容とする。
【0032】
さらに、レベル2では、警告の必要性が非常に高いので、次のような警告態様が採用される。警告画面において、色彩は赤色であり(図4(c)を参照)、濃淡は濃く(図5(c)を参照)、図柄は激しく動く(図6(c)を参照)。警告音声において、音量は15db程度であり、音声は「スピード出しすぎ!」という叱咤するような表現を内容とする。
【0033】
ステップS6で警告態様が選択されると、CPU14は、選択された警告態様で警告画面または警告音声を出力させるための制御データを出力する(ステップS7)。具体的には、画像プロセッサ17は、CPU14からの制御データに従って、警告画面に対応する画像データをHDD12からVRAM18に転送し、順次ディスプレイ32に対して警告画像を表示させる。また、音声プロセッサ16は、CPU14からの制御データに従って、警告音声に対応する音声データをHDD12から読み出し、スピーカ31に対して警告音声を出力させる。
【0034】
<本実施の形態における効果>以上本実施の形態によれば、車速の変化量ΔVが第1の範囲を超え、かつ、道路の勾配Dが第2の範囲を超えると、警告画面または警告音声が表示されるので、勾配のある道路における車速計の確認回数を減らすことができる。
【0035】
本実施の形態によれば、VICSデータが道路の渋滞を示していれば、警告画面または警告音声は出力されないので、渋滞中に警告を繰り返すことがなく、ユーザを煩わせることがなくなる。
【0036】
本実施の形態によれば、警告画面または警告音声が車速の変化量ΔVに応じて異なるので、車速の変化量ΔVがどの程度なのかをユーザに認識させることができる。
【0037】
本実施の形態によれば、車速の変化量ΔVが「ΔV<−20km/h」および「+20km/h<ΔV」であれば、警告画面として赤色の画面が表示されるので、赤色灯、赤信号やレッドカードなどに対する社会通念と相まって、ユーザに対して注意を喚起しやすくなる。
【0038】
本実施の形態によれば、車速の変化量ΔVが「ΔV<−20km/h」および「+20km/h<ΔV」であれば、警告音声の音量が15dbであるので、高速道路など騒音が激しい環境下でも、ユーザに対して注意を喚起しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係る警告装置は、勾配のある道路における車速計の確認回数を減らすことができるという効果を有し、ナビゲーション装置などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る警告装置を実施するための最良の形態であるナビゲーション装置の構成を示すハードウエア構成図
【図2】本実施の形態におけるナビゲーション装置の処理の流れを示すフローチャート
【図3】本実施の形態における警告態様と車速の変化量との対応関係を示すテーブル図
【図4】(a)本実施の形態におけるレベル1での色彩を示す図(b)本実施の形態におけるレベル2での色彩を示す図(c)本実施の形態におけるレベル3での色彩を示す図
【図5】(a)本実施の形態におけるレベル1での濃淡を示す図(b)本実施の形態におけるレベル2での濃淡を示す図(c)本実施の形態におけるレベル3での濃淡を示す図
【図6】(a)本実施の形態におけるレベル1での図柄の動きを示す図(b)本実施の形態におけるレベル2での図柄の動きを示す図(c)本実施の形態におけるレベル3での図柄の動きを示す図
【符号の説明】
【0041】
1 ナビゲーション装置(警告装置)
13 ROM(制御部)
14 CPU(制御部)
31 スピーカ
32 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警告画面をディスプレイに表示させるか否かを、車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部を備える警告装置。
【請求項2】
前記制御部は、車速の変化量が第1の範囲を超え、かつ、道路の勾配が第2の範囲を超えると、警告画面をディスプレイに表示させることを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記制御部は、道路の渋滞に係る渋滞データが道路の渋滞を示していれば、警告画面をディスプレイに表示させないことを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項4】
前記制御部は、警告画面を車速の変化量に応じて異ならせることを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項5】
前記制御部は、警告画面の色を車速の変化量に応じて異ならせることを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項6】
警告音声をスピーカに出力させるか否かを、車速の変化量に係る変化量データおよび道路の勾配に係る勾配データに応じて制御する制御部を備える警告装置。
【請求項7】
前記制御部は、車速の変化量が第1の範囲を超え、かつ、道路の勾配が第2の範囲を超えると、警告音声をスピーカに出力させることを特徴とする請求項6に記載の警告装置。
【請求項8】
前記制御部は、道路の渋滞に係る渋滞データが道路の渋滞を示していれば、警告音声をスピーカに出力させないことを特徴とする請求項6に記載の警告装置。
【請求項9】
前記制御部は、警告音声を車速の変化量に応じて異ならせることを特徴とする請求項6に記載の警告装置。
【請求項10】
前記制御部は、警告音声の音量を車速の変化量に応じて異ならせることを特徴とする請求項6に記載の警告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−293727(P2006−293727A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114159(P2005−114159)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】