説明

負荷駆動制御装置

【課題】消費電力を抑えつつ、高輝度で安定した駆動を得るとともに駆動制御回路全体の寿命を向上させる。
【解決手段】負荷20に接続される駆動制御部10を備え、駆動制御部10は、負荷20の定格電流値IFと、パルス駆動したときの絶対最大定格電流値Imaxから予め設定されたピーク電流値Ipに基づいてパルス幅変調することで、負荷20のオン期間を規定した第1のオン/オフ周期による第1駆動パルスP1を生成し、第1のオン/オフ周期のオン期間の中でさらにスイッチングさせることで、パルスの最大振幅がIpとなるように、第2のオン/オフ周期による第2駆動パルスP2を生成する定電流パルス駆動部14とを備え、第2駆動パルスP2によって駆動された電流を前記負荷20に印加することによって、負荷20を連続的に駆動させるとともに、充放電制御部15のキャパシタンスC1を信頼性寿命の高いセラミックコンデンサーを使用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)、モータ、アクチュエータなどの負荷を一定周期のパルス信号によって駆動制御するための負荷駆動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、負荷の一例としての発光ダイオード(LED)を用いた照明装置が多く利用されつつある。例えば、電球、蛍光灯、ダウンライト、投光器、広告灯器、ディスプレイ照明装置、自動車の車内灯や前照灯、などなど従来の白熱灯、水銀灯、メタルハライドランプなどと比べ、低消費電力、長寿命、低発熱、などの性能からその代替需要を含む新需要が急速に進んでいる。このようなLEDの光量調整を行う最も簡単な方法は、LEDに流す電流値を調整することである。しかしながら、LEDの発光特性は、流れる電流量に応じて波長が変化することによって、可視色が変化して見えるといった問題が生じる。このような問題を改善するため、光量調整制御には一般にPulse Width Modulation(PWM)方式が用いられている(特許文献1,2)。
【0003】
また、特許文献3には、LEDが接続されている光源負荷部におけるピーク電流を検出することで、低電圧時における過電流防止を目的とした装置が開示されている。
【0004】
図5は、従来のPWM方式を用いたLED点灯回路の基本的な回路構成を示したものである。このLED点灯回路は、電流制限抵抗R0、半導体スイッチQ0、PWM制御回路とを備えた構成になっている。前記電流制限抵抗R0は、LEDに流れる電流を制限する抵抗であり、LEDに対して直列に接続されている。この直列回路の一方は、電源ラインVccに接続され、他方は半導体スイッチQ0を介してグランド(GND)に接続されている。PWM制御回路は、半導体スイッチQ0のゲートにPWM方式で変調されたパルス信号を供給し、半導体スイッチQ0をオン/オフさせる機能を備えたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−210835号公報
【特許文献2】特開2007−4995号公報
【特許文献3】特開2004−227951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記図5に示した点灯回路でLEDを長時間点灯させた場合に、LEDで消費される電力によって、LED自体が発熱する。この発熱に伴って温度が上昇し、定格電圧値VFが低下する現象が発生する。前記点灯回路がこのような状況に置かれると、電源は定電圧制御されているため、VFの低下に伴って、電流制限抵抗R0の両端電圧及び回路電流が上昇し、LEDの発光輝度が変動するといった問題がある。また、半導体スイッチQ0の発熱によってもON抵抗が変化し、その結果、LEDの温度上昇と同様の問題が生じる。さらに、供給電圧に変動が生じた場合も、そのまま電流値の変動となり、LEDの発光輝度が変動する要因となる場合がある。特に、半導体であるLEDのVFは、ロットのバラツキ等によって、差が大きくなるので、負荷側に複数個のLEDを接続した場合に一定の発光輝度を維持した状態で連続発光させるのは容易ではない。
【0007】
また、発光素子を一定周期のオン/オフによるパルスで駆動することは一般に行なわれているが、前記一定周期のオン/オフによるオン期間のパルスの中でさらに細かくパルス駆動させ、さらにこのパルス駆動を発光素子の駆動能力の限界値に近いピーク電流値の近傍を維持しつつ制御することは行なわれていなかった。
【0008】
そこで、本出願人は、先に特願2009−072163として、発光素子が接続される光源負荷部と、この光源負荷部に供給される電流によって前記発光素子の定格電圧値を検出する負荷容量検出部と、この負荷容量検出部で検出された定格電圧値に基づいて前記発光素子を定常駆動させるための定格電流値及びこの定格電流値から前記発光素子に流し得るピーク電流値を算出する信号処理制御部と、前記ピーク電流値に基づいてパルス幅変調した第1のオン/オフ周期による方形状の第1駆動パルスを生成するとともに、前記第1のオン/オフ周期のオン期間の中でさらにスイッチングさせた第2のオン/オフ周期による方形状の第2駆動パルスを生成する定電流パルス駆動部とを備え、さらに前記定電流パルス駆動部は前記光源負荷部が接続される出力側にキャパシタンス及びインダクタンスからなる充放電回路を備え、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるように駆動される第1駆動パルス及び第2駆動パルスのオン期間で充電してオフ期間で放電させることによって、前記光源負荷側に前記充放電によるパルス信号で駆動された電流を印加することを特徴とする光源駆動装置を提案したところである。
【0009】
上記提案された光源駆動装置によれば、定格電圧値や定格電流値が分かっていない発光素子が負荷容量検出部に接続されていても、発光素子へ段階的に微小電流を流すことによって、予めCPU内に格納されているテーブルを参照することで瞬時に接続された発光素子の定格電圧値を検出でき、さらに、検出した定格電圧値から格納テーブルを参照してピーク電流値を算出できるようになっている。そして、算出したピーク電流値に基づいて第1及び第2駆動パルスを生成し、ピーク電流値で制御された第2駆動パルスを連続的に発光素子に印加し、発光素子の駆動能力を一定レベルに維持した状態で、発熱量及び消費電力を低減化させることが可能となる。
【0010】
たしかに、上記光源装置においては、接続される発光素子の定格電圧などの電気特性が未知であったとしても、予めCPU内に格納されているテーブルを参照することで自動的に検出して駆動することができるため、電気特性の異なる種々の発光素子を対象とすることが可能である。
しかしながら、例えば、電球、ダウンライト、投光器、街路灯、防犯灯、庭園灯、防犯灯、誘導灯、非常灯、スタンドなど特定された発光素子を使用する製品を対象とした場合には、予め使用される発光素子の定格電圧値などは既知であるため、定格電圧値の検出やこの検出された定格電圧値からピーク電流値をテーブル等を参照して算出する回路構成などは不要となるため、装置の大型化やコストUPを招くことがあった。
【0011】
そこで、本出願人らは、上記課題を解消し、さらに、外部電力供給源から供給される電源電圧が商用電源(交流100V,200V)、直流電源、乾電池などであっても使用可能な負荷駆動制御装置を特願2009―212614として提案した。この提案した負荷駆動制御装置は、負荷に接続して電流を印加する出力端と、外部電力供給源からの直流電圧を入力する入力端とを備えた駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、更に入力端で入力された直流電圧を前記負荷の定格電圧値に変換する昇降圧制御部と、前記負荷の定格電流値を超え絶対最大定格電流値を超えない範囲で前記負荷に流し得る予め設定されたピーク電流値に基づいてパルス幅変調することで、前記負荷のオン期間を規定した第1のオン/オフ周期による方形状の第1駆動パルスを生成するとともに、この第1駆動パルスのオン期間の中でさらにスイッチングさせることで、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるように第2駆動パルスを生成する定電流パルス駆動部とを備え、更に前記定電流パルス駆動部と前記負荷の間にキャパシタンス、抵抗及びダイオードを有する充放電制御部を備えるとともに、前記定電流パルス駆動部と前記充放電制御部間に前記ピーク電流値の平滑用コイルを備え、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるよう駆動される第1駆動パルス及び第2駆動パルスのオン期間で充電してオフ期間で放電させることによって、前記充放電によるパルス信号で駆動された電流を前記負荷に印加することを特徴とするものである。
【0012】
たしかに、上記負荷駆動装置は電球、ダウンライト、投光器など特定された負荷(LED)を使用する製品を対象とした場合においては、定格電圧値の検出やこの検出された定格電圧値からピーク電流値を設定するためにテーブル等を参照して算出することは不要となり、装置の小型化やコスト削減が可能となった。
しかしながら、上記充放電制御部のキャパシタンス(コンデンサ)として、静電容量が大きく、比較的安価な電解コンデンサを用いた場合、負荷駆動装置回路全体の寿命をこの電解コンデンサで律束(制限)してしまうことがあった。そうかといって、電解コンデンサに比べ寿命の長いセラミックコンデンサを単純に代用すると、静電容量体積比は高々電解コンデンサの半分しかなく、充分な充電を確保し、同時に耐電圧も確保することには問題が生じてしまうことがあった。
【0013】
そこで、本出願人は、上述した特願2009−212614のもとで、電解コンデンサに比べて寿命のあるセラミックコンデンサが何とか使用できないものかと研究を重ねた結果、インダクタンス(コイル)と関連することに着目し、セラミックコンデンサの容量不足をインダクタンス(コイル)で補うことで上記課題を解決した。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の負荷駆動制御装置は、負荷に接続して電流を印加する出力端と、外部電源供給源からの直流電圧を入力する入力端とを有する駆動制御部を備え、前記駆動制御部は、前記入力端で入力された直流電圧を前記負荷の定格電圧値に変換する昇降圧制御部と、前記負荷の定格電流値を超え絶対最大定格電流値を超えない範囲で前記負荷に流し得る予め設定されたピーク電流値に基づいてパルス幅変調することで、前記負荷のオン期間を規定した第1のオン/オフ周期による方形状の第1駆動パルスを生成するとともに、この第1駆動パルスのオン期間の中でさらにスイッチングさせることで、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるように第2駆動パルスを生成する定電流パルス駆動部と、更に前記定電流パルス駆動部と前記負荷の間にキャパシタンス、抵抗及びダイオードを有する充放電制御部を備えるとともに、前記定電流パルス駆動部と前記充放電制御部間に前記ピーク電流値の平滑用コイルを備え、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるよう駆動される第1駆動パルス及び第2駆動パルスのオン期間で充電してオフ期間で放電させることによって、前記充放電によるパルス信号で駆動された電流を前記負荷に印加する負荷駆動装置において、前記充放電制御部のキャパシタンスをセラミックコンデンサとし、このセラミックコンデンサの静電容量を前記コイルとの関係において規定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の負荷駆動制御装置によれば、予め既知の負荷を用いるため、充放電制御部のキャパシタンス(コンデンサ)を、インダクタンス(コイル)との関係においてその負荷に対応した静電容量を確保し得るセラミックコンデンサに設定できるため、負荷駆動制御装置全体の電気的寿命が大幅に向上し、さらに、このセラミックコンデンサの静電容量が小さくなったことにより、負荷点灯時の充電時間が短くなるため、LEDの点灯時の立ち上がり時間が早くなるといった効果も得られる。また、LED点灯時に生じるセラミックコンデンサへのサージなどによる突入直流電圧での絶縁破壊も緩和されるといった効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る負荷駆動制御装置の概略ブロック図である。
【図2】上記負荷駆動制御装置の回路図である。
【図3】上記負荷駆動制御装置の駆動タイミングである。
【図4】上記駆動タイミングに基づく各部のタイミングチャートである。
【図5】従来のLED駆動制御装置の基本構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る負荷駆動制御装置の一形態として、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、負荷がモータ、電磁弁コイル、アクチュエータ等の発光素子以外の場合であっても、この実施形態と同様にして負荷駆動制御装置が構成される。図1は本発明の負荷駆動制御装置1の概要構成を示したブロック図であり、図2は負荷駆動制御装置1の詳細を示した回路図、図3は駆動タイミング図であり、図4はタイミングチャートである。図1に示すように、本発明の負荷駆動制御装置1は、定格電圧値、定格電流値などの電気的特性が既知である負荷20を含む。以下、負荷20として、発光素子(LED)を例にとり説明する。また、負荷駆動制御装置1は、発光素子20に接続して発光素子20に電流を印加するための出力端11と、外部電力供給源100からの直流電圧V0を入力する入力端12とを有する駆動制御部10を備えている。発光素子20は、1W,2W,3W,4W,5W、・・・などその用途に応じて種類、数量などが適宜選択されて組み込まれる。例えば、白熱電球30W相当用であれば、4W前後の発光素子が1個、或いは1Wの発光素子が4個から5個選択されて直列接続される。図1では、発光素子20として、4WのLED1個が選択された例を示している。発光素子メーカーA社製の仕様書等から発光素子20が4Wでは、定格電圧値VFは9.3V、定格電流値IFは0.48Aと容易に分かる。また、発光素子はA社製以外に、B社製、C社製を選択しても、それぞれの仕様書等から選択したLEDの定格電圧値、定格電流値が予め分かる。
【0017】
一方、外部電力供給源100は、製品の用途に応じて商用交流電圧(100V系、200V系)、直流電圧(3V〜48V系など)及び乾電池(1.5V〜3V系など)から選択された電源が使用されることになる。商用交流電圧が使用される場合には、LEDが直流駆動で動作されるため、外部電力供給源100側に設けられた一般的な整流回路101を介して交流から直流に変換されて、駆動制御部10の入力端12に供給されることになる。なお、直流電圧電源および乾電池電源が使用される場合には、そのまま直流電圧V0が入力端12に入力される。
【0018】
駆動制御部10は、昇降圧制御部13、定電流パルス駆動部14,充放電制御部15とを備えている。昇降圧制御部13は、回路及び発光素子20に流れる電流I1が、設定電流IFになるように、昇降圧制御部13の両端(13a、13b)の電圧を制御する。電流I1が設定電流IFより低い場合には昇圧コンバータとして動作し、設定電流IFと等しくなるように電流I1を制御する。逆に、電流I1が設定電流IFより高い場合には降圧コンバータとして動作し、設定電流IFと等しくなるように電流I1を制御する。したがって、昇降圧制御部13で制御された電圧VFが定電流パルス駆動部14へ出力される。
【0019】
定電流パルス駆動部14は、発光素子20の予め設定された定格電流値IFと、後述するパルス駆動における予め設定された発光素子20が破壊しない範囲で流し得る絶対最大定格電流値Imaxとの間で、絶対最大定格電流値Imaxを超えないでより絶対最大定格電流値に近い値としてのピーク電流値Ipで駆動される駆動パルスを充放電制御部15に出力する。充放電制御部15はピーク電流値Ipを最大振幅とする発光周期波形W1による電流を発光素子20に印加する。これにより、消費電力を抑えつつ、高効率で発光素子20を連続的に安定した状態で発光駆動させることができる。
【0020】
前記定格電圧値VFを基準としたピーク電流値Ipは、IF<Ip<Imaxの関係を維持していれば良いが、最大限の効果を引き出すためには、安全性を考慮して Ip=k×Imax 但し、k=0.9として予め設定されている。 勿論、係数kは状況に応じて 0<k<1の範囲を取り得るが、好ましくは、0.5<k<1、更に好ましくは、0.7<k<1の範囲を設定すると良い。この結果から実際に発光素子20を高効率で駆動させるためのピーク電流値Ipを設定する。なお、係数kは、駆動制御部10の外部端子に接続される可変抵抗、トリマー或いはディップスイッチなどの調整デバイス(図示せず)によって外部から設定することも可能である。
【0021】
また、上記したように既定値として予めピーク電流値Ipを設定する以外の手段として、CPUのメモリ内に定格電流値参照テーブル(VF−IFテーブル)や絶対最大定格電流値参照テーブル(IF−Imaxテーブル)を記憶させておき、これらの参照テーブルを基にしたプログラム処理によって算出させることもできる。前記VF−IFテーブルには、定格電圧値VF、定格電流値IFが設定され、IF−Imaxテーブルには、前記定格電流値IF、絶対最大定格電流値Imaxが設定される。
【0022】
ここで、定格電流値IFとは、前記発光素子20を安定した状態で一定の明るさに発光させることが可能な電流値であり、定格電圧値VFは、そのときに発光素子20にかかる電圧値である。また、絶対最大定格電流値Imaxとは、発光素子20の動作を一定の条件の下で保証し得る最大許容値であり、この値を超えれば素子の破壊につながる恐れがあるため、短時間であっても越えないように規定した値である。そしてこの絶対最大定格電流値Imaxは本発明の後述する第1駆動パルス及び第2駆動パルスにおける駆動条件において保証し得る最大許容値であり、前述したA社などのLEDチップメーカの仕様書などに規定された絶対最大定格電流値とは異なり、数倍の値を取り得る。
したがって、本発明におけるピーク電流値Ipとは、使用する発光素子20の第1及び第2駆動パルスにおける駆動条件下において予め求められた絶対最大定格電流値Imaxに安全率としての係数kを加味して決定された値である。
【0023】
続いて、図3に示すように、前記発光素子20をパルス駆動させるための方形状の発光周期信号(第1駆動パルス)P1を生成する。この第1駆動パルスP1は、定電流パルス駆動部14の第1ドライブ回路23によってパルス幅変調された連続した第1のオン/オフ周期T1からなっており、電流が流れる期間(オン期間)と電流が流れない期間(オフ期間)を連続して繰り返す。第1のオン/オフ周期T1は、一例として、約200Hz、デューティ比はオン期間が1(10%)に対してオフ期間が9(90%)となるように設定される。前記第1のオン/オフ周期T1は、発光素子20の駆動能力に応じて適宜設定される。
【0024】
前記第1駆動パルスP1は、第1のオン期間の中で高速にスイッチングさせることで、さらに電流が流れる期間を細かく断続させた第2のオン/オフ周期T2からなる方形状の発光駆動信号(第2駆動パルス)P2が生成される。第2のオン/オフ周期T2は、前述したT1の条件の下では、一例として、約300kHz、デューティ比は第1駆動パルスP1と同様にオン期間が1に対してオフ期間が9となるように設定される。この第2駆動パルスP2は、前記第1駆動パルスP1と同様に発光素子20の種類や数等の駆動能力に応じて設定されたピーク電流値Ipによる振幅幅で制御されて出力される。また、図3,図4に示すように、前記第2駆動パルスP2は、RC積分回路27を通すことによって、第2のオン/オフ周期T2で充放電を繰り返す三角波状の発光駆動波形W2となる。さらに、この発光駆動波形W2によるパルスから第1のオン/オフ周期T1で充放電を繰り返す三角波状の発光周期波形W1による電流が出力される。このように、ピーク電流値Ipを最大振幅幅とする発光周期波形W1による電流を発光素子20に印加することによって、消費電力を抑えつつ、高効率で発光素子20を連続的に安定した状態で発光駆動させることができる。
【0025】
本発明の駆動制御部10は、定電流パルス駆動部14によって、前記ピーク電流値IpがIF<Ip<Imaxの関係を満たす範囲内に制御され、このピーク電流値Ipを所定のデューティ比でスイッチングさせるように構成されている。
【0026】
前記定電流パルス駆動部14は、図2に示したように、定電流制御部21と、第1のスイッチング素子Q1と、第2のスイッチング素子Q2とを備えている。定電流制御部21は、設定された電流値IFの電圧換算値V1を監視して、発光素子20に流れる電流IFを一定に保つように第1ドライブ回路23及び第2ドライブ回路24へ出力されるピーク電流値Ipを制御する機能を備える。第1のスイッチング素子Q1は、第1のオン/オフ周期T1からなる第1駆動パルスP1を生成するためのもので、前記昇降圧コンバータによって増減された電流信号を第1のドライブ回路23を介して所定のタイミングでスイッチングさせることで、オン期間とオフ期間の比率(デューティ)を設定する。前記第1のオン/オフ周期T1は、200Hz程度となるように制御される。また、デューティは、前記発光素子20が有する定格輝度となるように制御されるが、オン期間を50%程度又はそれ以下となるように設定することで、発熱量や消費電力を低減させることができる。本実施形態では、オン期間を1(10%)、オフ期間を9(90%)となるようにデューティ比を設定した。
【0027】
第2のスイッチング素子Q2は、第2のオン/オフ周期T2からなる第2駆動パルスP2を生成するためのもので、前記第1のスイッチング素子Q1がオンしている間で動作可能となっている。このスイッチングによって、第2のオン/オフ周期T2は300kHzで、デューティ比はオン期間が1(10%)、オフ期間が9(90%)となるように制御される。
【0028】
前記駆動制御部10は、前記発光素子20側の電極端子11に接続される出力側にセラミックコンデンサからなるキャパシタンスC1、抵抗R1、ダイオードD1を含む充放電制御部15が設けられている。この充放電制御部15では、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2がオンする度に発光素子20に流れる電流が抵抗1を通してセラミックコンデンサC1にも充電される。そして、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2がオフになっている間にコンデンサC1に充電された電荷が放電して発光素子20に電流が流れる。これによって、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2のスイッチングによるそれぞれのオン期間だけでなくオフ期間においても発光素子20には電流を一定量供給し続けることができる。このため、駆動電流は間欠的な方形波状のパルスでありながら発光素子20には一定の電流が連続して流れるため、発光輝度を一定に維持することができるとともに、消費電力を低減させることが可能となる。なお、コイルL1とダイオードD2は、第2のスイッチング素子Q2がオンすることによってLED20に流れるピーク電流値Ipを平滑化するために設けられる。ダイオードD2は、バックコンバータとして設けられており、第2のスイッチング素子Q2がオフの期間、発光素子20に流れた電流をI1に回生させる機能をもっている。
【0029】
さらに、前記コイルL1とセラミックコンデンサC1は共振周波数fとして関連づけられた下記の数式1において規定される。
【数1】

したがって、容量の小さいセラミックコンデンサC1を使っても、コイルL1との関連において式(1)で規定された関係を維持することによって直列共振周波数では電流を最大とすることができ、発光周期波形W1および発光駆動波形W2への影響を与えず安定してピーク電流Ipを負荷に対して印加することができる。
【0030】
負荷電流検出部16は、図2に示したように、電流検出素子R2、RC積分回路27、差動増幅器28を備える。電流検出素子R2は、高精度のシャント抵抗が用いられ、前記第2のスイッチング素子Q2のスイッチングによって発光素子20を流れる電流を検出する。RC積分回路27では、前記電流検出素子R2によって検出された検出電流を第2のスイッチング素子Q2のオン/オフ周期によって積分する。差動増幅器28は、前記RC積分回路27によって積分された信号と基準電圧源32との差分をとって増幅した検出電圧V1を出力する。この検出電圧V1は定電流制御部21に送られる。
【0031】
次に、上記負荷体駆動制御装置1の駆動操作手順を図2乃至図5に基づいて説明する。駆動制御部10の出力端子11間に発光素子20を接続した状態で、外部電力供給源100からの直流電圧V0を前記駆動制御部10の入力端に接続して、負荷体駆動制御装置1を立ち上げてオンにする。この外部電力供給源10のオンによって、定電流パルス駆動部14内の定電流制御部21から出力されるピーク電流値Ip信号により第1のドライブ回路23を通して第1スイッチング素子Q1がオン/オフする。この第1スイッチング素子Q1のオン/オフにより、第2のドライブ回路24を通して第2スイッチング回路Q2を高速でオン/オフする。第2スイッチング回路Q2を通過した積分されたパルス電流Ipは、負荷電流検出部16の抵抗R2を通過して回路中の符号16aに発生した電圧をRC積分回路27で積分した後の電圧Vrcと、基準電圧源32に基づく電圧Vrefとを差動増幅器28で比較して電圧Vrcが電圧Vrefとなるように制御された出力電圧V1を差動増幅器28から定電流制御部21へ出力する。前記ピーク電流値Ipが前述したような関係式IF<Ip<Imaxを満たす範囲の中で、特にImaxに近い状態を維持させることで、明るさを最大限に高めつつ、安定した状態で発光させることが可能となる。
【0032】
このスイッチングによって、前記発光素子20の発光周期を決める第1駆動パルスP1の中でさらに高速にスイッチングされた第2駆動パルスP2によって生成された発光駆動波形W2による電流が印加されることになる。この発光駆動波形W2は、オン期間とオフ期間を周期的に繰り返す方形パルス波を基にしてRC積分された三角波であるため、全体的な消費電力や発熱を抑えつつ、発光輝度を高いレベルで維持した状態でLEDを連続駆動させることが可能となる。
【0033】
また、前記発光素子20は、外部からの制御信号によって、定電流パルス駆動部14内の第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2がオンする幅(デューティ)を制御したり、充放電制御部15内のキャパシタンス容量などを調整したりすることによって、発光量や発光輝度等の調整が可能である。
【0034】
また、一例として、本発明の負荷として発光素子を用いた負荷駆動制御装置を口金付きLED電球に応用する場合には、駆動制御部10の入力端を口金に接続し、この負荷駆動制御装置1全体を透明或いは半透明のキャップを含むケースで全体を覆うことによって、容易にLED電球を得ることができる。
【0035】
以上、説明したように、本発明の負荷駆動制御装置によれば、負荷として接続された発光素子の特性や個数に応じた定電流を前記発光素子に対して連続的に供給するのではなく、ピーク電流値Ipのオン/オフが変化するパルス信号を高速にスイッチングし、パルスのオン期間で充電してオフ期間で放電させるためのコンデンサをコイルL1との関係において規定して設けたセラミックコンデンサC1とすることで発光素子を発光制御する。このため、回路全体の寿命を従来の電解コンデンサに比べ大幅に向上させることが可能となり、さらにコンデンサC1に生じるサージやパルスの異常電圧などによる絶縁破壊が起きにくくなり、また静電容量が小さくなったことによる負荷LEDの定格電圧VFまでの立ち上がり時間が早くなるなどの効果を奏するものである。

【符号の説明】
【0036】
1 負荷駆動制御装置
10 駆動制御部
11 出力端
12 入力端
13 昇降圧制御部
14 定電流パルス駆動部
15 充放電制御部
16 負荷電流検出部
20 負荷
21 定電流制御部
23 第1ドライブ回路
24 第2ドライブ回路
27 RC積分回路
28 差動増幅器
32 基準電圧源
100 外部電力供給源
101 外部整流器
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
R1 抵抗
R2 電流検出素子
C1 セラミックコンデンサ(キャパシタンス)
L1 コイル(インダクタンス)
D1,D2 ダイオード
P1 第1駆動パルス
P2 第2駆動パルス
T1 第1のオン/オフ周期
T2 第2のオン/オフ周期
W1 発光周期波形
W2 発光駆動波形
V1 検出電圧
VF 定格電圧値
I1 検出電流
IF 定格電流値
Ip ピーク電流値
Imax 絶対最大定格電流値


【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に接続して電流を印加する出力端と、外部電源供給源からの直流電圧を入力する入力端とを有する駆動制御部を備え、前記駆動制御部は、前記入力端で入力された直流電圧を前記負荷の定格電圧値に変換する昇降圧制御部と、前記負荷の定格電流値を超え絶対最大定格電流値を超えない範囲で前記負荷に流し得る予め設定されたピーク電流値に基づいてパルス幅変調することで、前記負荷のオン期間を規定した第1のオン/オフ周期による方形状の第1駆動パルスを生成するとともに、この第1駆動パルスのオン期間の中でさらにスイッチングさせることで、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるように第2駆動パルスを生成する定電流パルス駆動部と、更に前記定電流パルス駆動部と前記負荷の間にキャパシタンス、抵抗及びダイオードを有する充放電制御部を備えるとともに、前記定電流パルス駆動部と前記充放電制御部間に前記ピーク電流値の平滑用コイルを備え、パルスの最大振幅が前記ピーク電流値となるよう駆動される第1駆動パルス及び第2駆動パルスのオン期間で充電してオフ期間で放電させることによって、前記充放電によるパルス信号で駆動された電流を前記負荷に印加する負荷駆動装置において、前記充放電制御部のキャパシタンスをセラミックコンデンサとし、このセラミックコンデンサの静電容量を前記コイルとの関係において規定したことを特徴とする負荷駆動制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−151504(P2011−151504A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9587(P2010−9587)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(508137969)株式会社光洋電子工業 (7)
【Fターム(参考)】