説明

車上制御装置

【課題】2重系演算部と2重系速度照査部にクロックを供給する各水晶発振器の故障を検出することできる車上制御装置を提供する。
【解決手段】バス照合同期方式2重系の演算部202と非同期方式2重系の速度照査部203の接続において、演算部202をマスタ、速度照査部203をスレーブとし、両系演算部が各系速度照査部に周期的にかつ交互にアクセスすることで、演算部202と速度照査部203を同期させる方式を採用し、同期に伴い速度照査部より生成される交番信号を、速度照査部にフィードバック取り込みし、速度照査部の周波数照査機能215a,215bを用いて交番信号の周波数上限値と下限値の範囲内であることを確認することで、演算部もしくは速度照査部にクロック供給する水晶発振器のいずれかが異常発振したことを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自列車の位置を演算し、地上からの制御情報に基づいて算出した制限速度と自列車速度との速度照査を行ない、自列車速度が制限速度を超過した場合にブレーキ出力を行う車上制御装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のATC(Automatic Train Control)装置は、特許文献1に示すように、軌道側から送信される周波数変調されたATC信号を受信し、この信号の表わすATC制御速度を判別する受信部と、この制限速度と速度発電機で検出された車両速度とを比較し、車両速度が制限速度を超過した際にATCブレーキ指令を発する速度照査部とから構成する。受信部、速度照査部ともに非同期方式2重系により、演算結果の比較照合を実施することでフェールセーフ装置を実現してきた。
【0003】
さらにデジタルATCでは、地上から車上へ送信する信号をデジタル情報とする事で、停止する軌道回路を地上システムから列車に送信することを可能とする。デジタルATCの車上制御装置では、デジタル信号を受信可能とした受信部と速度照査部に加え、車両性能や路線条件をもとに停止点に停止する一段階のブレーキ曲線を作成する演算部を設けることで、列車の時隔短縮や乗り心地向上を図ってきた。
【0004】
この演算部におけるソフトウェア処理には高信頼化・高安全化が求められており、演算部にバス照合同期方式2重系構成を採用することで、ソフトウェア演算の信頼性を上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平4−46044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バス照合同期方式2重系の演算部と、非同期方式2重系の速度照査部で構成したATC制御部において、演算部は速度算出を行い制限速度を導出する機能を有するため、演算部にクロックを供給する水晶発振器が異常となり速度認識を誤った場合、誤った制限速度を速度照査部に出力してしまい危険側事象となる。
【0007】
一方、速度照査部にクロックを供給する水晶発振器が異常となり、誤った周波数から基準周波数の生成を行い速度照査に至った場合、こちらも危険側事象となる。
【0008】
そこで、2重系演算部と2重系速度照査部にクロックを供給する各水晶発振器の故障を検出することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、バス照合同期方式2重系の演算部と非同期方式2重系の速度照査部の接続において、演算部をマスタ、速度照査部をスレーブとし、両系演算部が各系速度照査部に周期的にかつ交互にアクセスすることで、演算部と速度照査部を同期させる方式を採用し、 同期に伴い速度照査部より生成される交番信号を、速度照査部にフィードバック取り込みし、速度照査部の周波数照査機能を用いて交番信号の周波数上限値と下限値の範囲内であることを確認することで、演算部もしくは速度照査部にクロック供給する水晶発振器のいずれかが異常発振したことを検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、演算部にクロック供給する水晶発振器が異常となり周波数変動した場合、演算部から速度照査部へのアクセス周期が変動するため、演算部から速度照査部へのアクセスに伴い出力される交番信号の周波数も変動する。速度照査部では、交番信号のフィードバックを取り込み、周波数が許容範囲内であることを周波数照査機能を用いチェックする。この時の基準周波数は、速度照査部にクロック供給する水晶発振器から生成されるため、演算部にクロック供給する水晶発振器とは別のクロックを基準とした周波数との周波数照査となり、演算部にクロック供給する水晶発振器の異常発振が検出できる。
【0011】
逆に、速度照査部にクロック供給する水晶発振器が異常となり周波数変動した場合においても、フィードバック交番信号と照査するための速度照査部で生成する基準周波数が正しくないため、周波数上限値と下限値の間から、比較対照の演算部クロックを元に生成したフィードバック交番信号の周波数が外れてしまい、クロック異常が検出できる。
【0012】
これにより、演算部と速度照査部のいづれかのクロック異常に伴う、危険側事象を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1の車上ATCシステムを搭載した車両を示す図である。
【図2】図2は本発明の実施例1のATC演算部とATC速度照査部を備えた車上ATCシステムの全体構成を示す図である。
【図3】図3は本発明の実施例1のATC演算部の構成を示す図である。
【図4】図4は本発明の実施例1のATC速度照査部の構成を示す図である。
【図5】図5は本発明の実施例1のATC演算部とATC速度照査部の接続関係を示す図である。
【図6】図6は本発明の実施例1の車上ATCシステムにおけるATC演算部からATC速度照査部へのアクセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、本発明の受信部、演算部、速度照査部で構成される車上ATCシステムについて、図1を用いて説明する。図1は本発明の実施例1の車上ATCシステムを搭載した車両を示している。ATC受信部13は、ATC送信部11が軌道回路18に送信するATC信号を、受電器19から受信し、ATC信号から列車制御情報を抽出しATC演算部14へ出力する。
【0016】
ATC演算部14は、列車制御情報に加え、車両性能や路線条件をもとに停止点に停止する一段階のブレーキ曲線を作成し、列車の現在位置に対する制限速度情報を算出し、ATC速度照査部15へ出力する。
【0017】
ATC速度照査部15は、速度発電機16から検出した列車速度と制限速度を比較し、列車速度が制限速度を超過する場合にブレーキ出力を行う。ATC受信部13、ATC演算部14、ATC速度照査部15のいづれかで故障検知をおこなった場合には、故障検知交番信号の交番出力が停止し、車上ATCシステムは安全側動作となる。
【0018】
次に、本発明のATC演算部202とATC速度照査部203を含む車上ATCシステムの全体構成について、図2を用いて説明する。
【0019】
図2において、ATC演算部202は、ATC受信部201からの列車制御情報に基づき制限速度を算出するバス照合同期方式2重系のマイコン209とバス照合同期方式2重系のマイコン209へクロックを供給する水晶発振器(XL1)211で構成する。
【0020】
また、ATC速度照査部203は、ATC演算部202からの制限速度情報と列車速度を周波数照査する非同期方式2重系のLSI212と、非同期方式2重系のLSI212へクロックを供給する水晶発振器(XL2)217で構成する。
【0021】
図3は、本発明の実施例1のATC演算部202の構成を示す図である。図3において、ATC演算部の2重系のマイコン209内部は、列車速度のパルス情報をカウントするタイマ_A205a、タイマ_B205b、データの一時格納に用いるRAM_A206a、RAM_B206b、列車速度から位置を算出し、ATC受信部201からの列車制御情報に基づき、制限速度を算出するCPU_A207a、CPU_B207b、そして、A系ローカルバス210a、B系ローカルバス210b上のデータをバス照合するバス照合回路208によって構成する。
【0022】
バス照合回路208で、バス照合不一致を検出した際には、CPU_A207a、CPU_B207bにエラー信号を出力し、ATC演算部202の2重系双方の演算処理を停止する。
【0023】
図4は、本発明の実施例1のATC速度照査部の構成を示す図である。図4において、ATC速度照査部203は、ATC演算部202からの制限速度と列車速度を周波数照査する非同期方式2重系のLSI212と、LSI212へクロックを供給する水晶発振器(XL2)217で構成する。
【0024】
2重系のLSI212内部は、ATC演算部202からの制限速度情報データを一時格納するDPRAM_A213a、DPRAM_B213b、制限速度情報から照査用のパルス(基準周波数)を発生するパルス発生回路_A214a、パルス発生回路_B214b、列車速度のパルス周波数と基準周波数を比較照査しブレーキ出力を判定する周波数照査回路_A215a、周波数照査回路_B215b、そして2重系周波数照査回路の照査結果を照合する照合出力回路216によって構成する。照合出力回路216にて、2重系出力の結果が比較不一致となる場合は、故障検知交番信号の交番を停止する。
【0025】
ここで、バス照合同期方式2重系のATC演算部202と非同期方式2重系のATC速度照査部203の同期方法について説明する。
【0026】
図5に示すように、ATC演算部202とATC速度照査部203の接続は、ATC演算部202の各系ローカルバスに、ATC速度照査部203の各系DPRAMを接続するが、ATC演算部202のCPUが独立して各系のDPRAMにアクセスすると、ATC速度照査部203が非同期方式2重系であるがゆえに、ATC演算部202からATC速度照査部203の各系DPRAMへのアクセスの際に、ATC演算部202のバス照合回路208においてバス照合不一致となり動作することができない。
【0027】
そこで、ATC演算部202をマスタ、ATC速度照査部203をスレーブとしたうえで、ATC演算部202の両系CPUのソフトウェア処理が、ATC速度照査部203の各系DPRAMに交互にアクセスする方式により、バス照合同期方式2重系のATC演算部202と非同期方式2重系のATC速度照査部203の同期をとる。
【0028】
ATC速度照査部203の各系は、ATC演算部202からのデータ更新に合わせ、速度照査を行う。各系の速度照査結果であるブレーキ出力は、速度照査部の照合出力回路216にて照合される。この時、速度照査を行なうと、故障検知交番信号の交番を反転させる。ATC演算部202からATC速度照査部203へのアクセスは、ATC演算部202の内部カウンタによってカウントしたタイミングにより一定周期で行うことにより、ATC速度照査部203からの故障検知交番信号は一定周波数の交番信号を出力する。
【0029】
この交番信号は、マスタであるATC演算部202からスレーブであるATC速度照査部203へのアクセス周期により、周波数が決まる。
【0030】
上記、ATC演算部202とATC速度照査部203の同期処理により、ATC演算部202のバス照合回路208にてバス照合不一致を検出した際には、バス照合回路208からCPU_A207aとCPU_B207bにエラー信号が送信され演算動作を停止する。
【0031】
この時、ATC速度照査部203への周期アクセスが停止するため、ATC速度照査部203からの故障検知交番信号が停止し、車上ATCシステムは安全側動作に至る。また、ATC速度照査部203において、照合出力回路216にて、周波数照査結果の比較照合不一致が検出された場合においても、照合出力回路216から出力される故障検知交番信号の交番が停止することにより、安全側動作に至る。
【0032】
さらに、本発明のバス照合同期方式2重系のATC演算部202と非同期方式2重系のATC速度照査部203の同期方法について、詳細を図6のATC演算部からATC速度照査部へのアクセスフロー図に基づき説明する。
【0033】
(1)ステップS601において、ATC演算部202のCPU_A207a、CPU_B207bは、算出した制限速度情報をATC速度照査部203のDPRAM_A213aに出力する。この時、CPU_A207a、CPU_B207bの出力はバス照合回路208で照合される。照合不一致の場合は、ATC速度照査部203への出力は停止されるため、ATC速度照査部203からの故障検知交番信号が停止する。
【0034】
(2)ステップS602において、ATC速度照査部203のA系は、水晶発振器(XL2)217からLSIに供給されるクロックを用いて、パルス発生回路_A214aにて制限速度情報から基準周波数を生成する。
【0035】
(3)ステップS603において、ATC速度照査部203のA系は、周波数照査回路_A215aで列車速度周波数と基準周波数を照査し、ブレーキ出力を行う。
【0036】
(4)ステップS604において、ATC速度照査部203のA系の周波数照査回路_A215aは、速度照査を終えると、故障検知交番信号の交番を反転する。
【0037】
(5)ステップS605において、ATC演算部202のCPU_A207a、CPU_B207bは、算出した制限速度情報をATC速度照査部203のDPRAM_B213bに出力する。この時、CPU_A207a、CPU_B207bの出力はバス照合回路208で照合される。照合不一致の場合は、ATC速度照査部203への出力は停止されるため、ATC速度照査部203からの故障検知交番信号が停止する。
【0038】
(6)ステップS606において、ATC速度照査部203のB系は、水晶発振器(XL2)217からLSIに供給されるクロックを用いて、パルス発生回路_B214bにて制限速度情報から基準周波数を生成する。
【0039】
(7)ステップS607において、ATC速度照査部203のB系は、周波数照査回路_B215bで列車速度周波数と基準周波数を照査し、ブレーキ出力を行う。
【0040】
(8)ステップS608において、ATC速度照査部203のB系の周波数照査回路_B215bは、速度照査を終えると、故障検知交番信号の交番を反転する。
【0041】
(9)ステップS609において、ATC速度照査部203の照合出力回路216では、A系とB系の出力結果を比較照合し、ブレーキ出力を行う。不一致の際には、ATC速度照査部203からの故障検知交番信号を停止する。
【0042】
(10)ステップS610において、ATC速度照査部203は、故障検知交番信号のフィードバックを取り込み、交番信号の周波数が、上限値と下限値の範囲内であることを両系の周波数照査回路215a、215bにて周波数照査によりチェックする。範囲外である場合は、故障検知交番信号の交番を停止する。
【0043】
上記(1)のステップS601の処理と(5)のステップS605の処理を、水晶発振器(XL1)211のクロックから生成したタイミングに従い一定周期で実行し、かつ(1)のステップS601〜(10)のステップS610の処理を繰り返すことにより、車上ATCシステムはATC信号に基づく制限速度と列車速度の速度照査を実行する。
【0044】
この時、ATC演算部202、ATC速度照査部203ともに故障が発生しなければ、故障検知交番信号は交番出力となり、この交番信号の周期は、ATC演算部202からのATC速度照査部203のアクセス周期に依存する。
【0045】
次に、本発明のバス照合同期方式2重系のATC演算部202と非同期方式2重系のATC速度照査部203の同期方式によって可能となった、ATC演算部202とATC速度照査部203にクロック供給する各水晶発振器(XL1、XL2)の故障検出方法について説明する。
【0046】
上記で説明したように、ATC演算部202は、水晶発振器(XL1)211からのクロックから生成したタイミングでATC速度照査部203のDPRAMへ書込みを行う。つまり、ATC速度照査部203からの故障検知交番信号の周期は、ATC演算部202からATC速度照査部203の各系DPRAMへの書込みタイミングによって決まり、これはATC演算部202にクロック供給する水晶発振器(XL1)211に依存するといえる。
【0047】
以上より、水晶発振器(XL1)211の発振周波数が変動した場合、ATC演算部202からATC速度照査部203への書込み周期が変動することから、故障検知交番信号の交番周期が定常周期より変動する。
【0048】
そこで、図6の(10)のステップS610の処理を行なうことにより、水晶発振器(XL1)211と水晶発振器(XL2)217のいづれかが異常周波数を出力する事象に至った場合の、故障検知を可能とする。以下に、各水晶発振器が故障した際の影響と故障検知方法について説明する。
【0049】
(a)水晶発振器(XL1)の発振周波数が変動した場合
水晶発振器(XL1)211からのクロック発振周波数が高くなった場合、ATC演算部202からATC速度照査部203への書込み周期が速くなる。また、水晶発振器(XL1)211からのクロック発振周波数が低くなった場合、ATC演算部202からATC速度照査部203への書込み周期が遅くなる。
【0050】
ATC速度照査部203では、故障検知交番出力の周波数異常について検出できるように、故障検知交番信号のフィードバック交番信号を取り込み、速度照査を行なう周波数照査回路215a、215bにて、フィードバック交番信号の周波数照査を行う。
【0051】
これにより、ATC速度照査部203では、フィードバック交番信号とATC演算部202から予め設定した周波数上限/下限値との周波数照査を行うことで、水晶発振器(XL1)211の変動に伴う故障検知交番信号の周波数変動をチェックする。
【0052】
周波数が規定範囲外となった場合は、故障検知交番信号の交番を停止し、車上ATCシステムとして安全側制御となる。
【0053】
(b)水晶発振器(XL2)の発振周波数が変動した場合
水晶発振器(XL2)217の発振周波数が変動した場合、ATC速度照査部203における基準周波数が、システムで想定した通りの周波数とならない。これは、ATC速度照査部のLSI212で生成する照査用基準周波数が水晶発振器(XL2)217の発振周波数を元に生成されるためである。
【0054】
このとき、図6の(10)のステップS610の処理において、フィードバック交番信号の周波数照査を行なう際に、周波数上限/下限値の基準周波数が想定値より変わってしまうため、フィードバック交番信号が周波数上限/下限値の範囲外となってしまう。これに伴い、故障検知交番信号の交番は停止し、車上ATCシステムとして安全側制御となる。
【0055】
以上より、ATC演算部202とATC速度照査部203の同期方式において、故障検知交番信号のフィードバック交番信号をATC速度照査部203で、周波数照査による周波数範囲のチェックを行なうことにより、ATC演算部202もしくはATC速度照査部203にクロックを供給する水晶発振器(XL1、XL2)のいずれか一方の発振周波数が異常発振に陥った場合、車上ATCシステムは安全側動作を確保することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、鉄道における速度照査を行って列車制御を行う車上制御装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
11 ATC送信部
12 列車
13 車上ATCシステムにおけるATC受信部
14 車上ATCシステムにおけるATC演算部
15 車上ATCシステムにおけるATC速度照査部
16 速度発電機
17 車輪
18 軌道回路
19 受電器
201 ATC受信部
202 ATC演算部
203 ATC速度照査部
204a A系DSP
204b B系DSP
205a A系タイマ
205b B系タイマ
206a A系RAM
206b B系RAM
207a A系CPU
207b B系CPU
208 バス照合回路
209 マイコン
210a A系ローカルバス
210b B系ローカルバス
211 マイコン用水晶発振器(XL1)
212 LSI
213a A系DPRAM
213b B系DPRAM
214a A系パルス発生回路
214b B系パルス発生回路
215a A系周波数照査回路
215b B系周波数照査回路
216 照合出力回路
217 LSI用水晶発振器(XL2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATC受信部とバス照合同期方式2重系の演算部と非同期方式2重系の速度照査部とを備えた車上制御装置において、前記バス照合同期方式2重系の演算部をマスタとし、前記非同期方式2重系の速度照査部をスレーブとし、前記演算部の両系演算部が各系速度照査部に周期的にかつ交互にアクセスすることで、前記バス照合同期方式2重系の演算部と前記非同期方式2重系の速度照査部とを同期させることを特徴とする車上制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車上制御装置において、前記非同期方式2重系の速度照査部は、前記バス照合同期方式2重系の演算部からのアクセスの度に速度照査を行い、その結果に基づき故障検知交番信号を出力し、前記非同期方式2重系の速度照査部は、この故障検知交番信号をフィードバック取り込みし、前記バス照合同期方式2重系の演算部からの周波数範囲情報を基に基準周波数を生成し、交番信号のフィードバック信号の周波数が周波数範囲情報の範囲内にあるか否かの照査判定を行うことにより、前記バス照合同期方式2重系の演算部もしくは前記非同期方式2重系の速度照査部にクロック供給する各水晶発振器の周波数変動異常を検出することを特徴とする車上制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車上制御装置において、地上システムから受信したATC信号情報と入力される速度情報から算出した位置情報に基づき列車の制限速度情報を算出する演算部と、この演算部から受け取った制限速度情報から基準周波数を生成し、この基準周波数と入力される列車速度の周波数照査を行い、速度が制限速度を超過した場合にブレーキ出力を行う速度照査部とから構成されることを特徴とする車上制御装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の車上制御装置において、前記バス照合同期方式2重系の演算部はバス照合同期方式のA系/B系の2重系で構成し、各系CPUのソフトウェア処理は同一動作を行ない、前記ソフトウェアからのバス出力結果をクロック単位の周期でバス照合することにより、2重化デバイスのいずれかが故障した場合におけるソフトウェア処理の誤りを検出することが可能であることを特徴とする車上制御装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の車上制御装置において、前記非同期方式2重系の速度照査部は、速度周波数が制限速度範囲内にある場合は、交番信号を出力しブレーキが緩解となり、速度周波数が制限速度範囲外となると交番信号は停止しブレーキ出力となる機構を有し、かつ複数の周波数照査機能を有した非同期方式2重系であり、2重系出力結果が不一致の場合には、交番出力が停止しブレーキ出力となることを特徴とする車上制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−162046(P2011−162046A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26601(P2010−26601)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】