説明

車両のコンデンサ取り付け構造

【課題】乗員室空調用の冷却装置に加えて別途設けた、荷室冷却用の冷却装置のコンデンサを、従来のように車両の床下に取り付ける構成とする場合には、両側スライドドアタイプのワンボックス型貨物車両の場合には取り付けスペースを確保できなくなる場合がある。本発明では、ベース車両に大きな変更を加えることなく、車両床下以外の部位にコンデンサを取り付けるための構造を提供する。
【解決手段】ベース車両ではガラス板を嵌め付けてガラス窓として利用される右側壁15の開口部15aにハウジング42を取り付け、このハウジング42内にコンデンサ41を取り付けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷蔵室や冷凍室を備えた貨物車両において、冷蔵室等に冷気を供給するための冷却装置、あるいは乗員室の空調を行うための空調装置のコンデンサ(凝縮器)を取り付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年広く普及しているワンボックスタイプの貨物車両には、荷室に常温用の貨物室(ドライ室)に加えて生鮮野菜等の搬送に欠かせない冷蔵室あるいは鮮魚の搬送に欠かせない冷凍室を備えたもの(3室3温配送車)が提供されている。これらドライ室、冷蔵室及び冷凍室の3室を後部荷室の限られたスペースに効率よく区画配置して様々な種類の貨物の荷積み作業及び荷下ろし作業の効率化を図る工夫がなされている。
冷蔵室若しくは冷凍室に冷気を供給するための冷却装置(荷室冷却装置)についても同様で、これを構成する概ね平板形状のコンデンサの配置場所について荷室スペースを犠牲にしない工夫がなされている。従来、荷室冷却装置のコンデンサは、車両の床下に沿って配置されることが多かった。
【0003】
ここで、上記の荷室冷却装置とは別に、通常貨物車に限らず車両には乗員室の空調を行うための空調装置が備えられている。以下、乗員室空調用の冷却装置を第2冷却装置といい、前記荷室冷却用の冷却装置を第1冷却装置と称して区別する。
この第1及び第2冷却装置は同様の基本的構成を備えている。一般に、乗員室空調用の第2冷却装置のコンデンサやコンプレッサ等は、ワンボックス型車両の場合運転席下部若しくは車両前部のエンジンルーム内に配置されることが多い。また、ワンボックス型車両の場合には、車両前部の乗員室と後部の荷室を仕切ることなく車室内全体を一つの空間部として使用する使用形態(乗用型ワンボックス車両に多い)を想定して比較的大型のコンデンサが装備されている。このため乗員室と荷室をほぼ気密に仕切って貨物車両として使用する場合には、上記乗員室空調用の第2冷却装置のコンデンサは必要以上に冷却能力の高い大型のコンデンサとなるため、これを荷室冷却用の第1冷却装置のコンデンサとして転用し、別途追加した小型のコンデンサを第2冷却装置用のコンデンサとして用いることが行われている。従来この別途追加した小型のコンデンサを車両床下に沿って配置することが行われていた。
このように、従来荷室冷却用の第1冷却装置のコンデンサ若しくは乗員室空調用の第2冷却装置のコンデンサ(通常車両前部のエンジンルーム内に配置されるコンデンサとは別の二つ目のコンデンサ)は、車両の床下に沿って配置されていた。
【特許文献1】特開2002−137680公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これも近年多く見られる車両の両側にスライドドアを備えたワンボックス型の貨物車両の場合には、両スライドドアに対応して車両フロアの左右両側にフロアより一段低いステップ部を設定する必要がある関係から、上記従来のように床下にコンデンサを配置するための十分なスペースを確保できない場合があり、コンデンサの小型化には限界があることから、この場合には車両床下以外の適切な部位に二つ目のコンデンサを配置する必要があった。
また、近年エンジンの高出力化等により車両の床下付近での発熱量が多くなってきており、コンデンサの性能を十分に確保する観点からもこれを車両床下以外の部位に配置することが望ましい。
本発明は、この問題を解消するためになされたもので、例えば両側スライドドアタイプの貨物車両であって床下のコンデンサを配置するための十分なスペースを確保できない車両においても、荷室スペースを犠牲にすることなく荷室冷却用の第1冷却装置若しくは乗員室空調用の第3冷却装置のコンデンサを取り付けることができる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の取り付け構造とした。
請求項1記載の取り付け構造によれば、コンデンサは車両側壁に取り付けられることから、車両床下に十分な取り付けスペースを確保できない場合に対応することができる。また、車両の側壁に取り付けられることから荷室スペースを犠牲にすることがない。
さらに、コンデンサが外側に開口する凹部内に取り付けられる構成であるので、当該コンデンサの放熱効率を高めることができ、ひいては車室内の冷却効率を高めることができる。この明細書では、車室とは、車両室内空間の全体、車両室内空間の前部と後部を仕切って前部を乗員室とし、後部を荷室とする場合における乗員室若しくは荷室のいずれをもいうものとする。
請求項2記載の取り付け構造によれば、ハウジング内にコンデンサを取り付ける構成であるので、ハウジング及びコンデンサをユニット化して開口部への組み付け時等におけるその取り扱い性を高めることができる。
請求項3記載の取り付け構造によれば、車両側壁の開口部に例えばガラス板を嵌め付けて窓部とする通常仕様のベース車両と、この開口部に窓ガラスに代えてコンデンサを取り付ける特殊仕様の特装車両とにおいて、車両側壁(車両ボディ)を共通部品化することができる。このことから、ベース車両の車両ボディを板金加工等の大きな変更を加えることなくそのまま利用して請求項3記載の取り付け構造を適用することができ、従って大きなコストアップを招くことなく当該取り付け構造を実施することができる。
請求項4記載の取り付け構造によれば、ハウジングとコンデンサとカバーをアッセンブリ化して、その取り付け作業時等における取り扱い性をよくすることができる。
請求項5記載の取り付け構造によれば、冷却する容積に見合ったサイズのコンデンサを用いることができる。すなわち、車両前部の乗員室と車両後部の荷室を仕切ってそれぞれ別の冷却装置により冷却(空調)する場合に、通常エンジンルームに配置される大型のコンデンサを荷室冷却用に転用し、車両側壁の凹部に取り付けた小型のコンデンサを仕切られてより小さな冷却能力で足りる乗員室の空調に使用することができ、これにより乗員室よりも広い荷室の冷却を効率よく行うことができる。
請求項6記載の取り付け構造によれば、車両の開口部に取り付けた補強フレームに支持フレームが支持され、この支持フレームにコンデンサが取り付けられることから、当該コンデンサの重量はハウジングではなく、補強フレームを経て車両側壁(車両ボディ)で受けられる。このため、ハウジングの軽量、コンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1及び図2は、本実施形態に係るコンデンサの取り付け構造を適用した車両1を示している。この車両1は、いわゆるワンボックス型の貨物車両で、その左右側部にスライドドア2,3を備えている。また、この車両1の後面にはバックドア4が設けられている。
この車両1の車室は、仕切壁5によって前部の乗員室6と後部の荷室7に仕切られている。乗員室6には運転席6aと助手席6bが配置されている。
荷室7は、常温のドライ室8と、約−5℃まで冷却される冷蔵室9と、約−20℃まで冷却される冷凍室10に区画されている。冷蔵室9と冷凍室10は、車両右側のスライドドア3から荷物を搬出入可能に設けられている。すなわち、荷室7の前部右側(運転席後方)の約四分の一を占める範囲は、区画壁11,12によりほぼ気密に区画され、さらにその内部が区画壁13により上下2段に区画されている。区画壁13の上側が上記冷蔵室9に設定され、下側が上記冷凍室10に設定されている。上側の冷蔵室9と下側の冷凍室10は、右スライドドア3を開けることにより車室外に開放され、これにより冷蔵室9と冷凍室10に対して荷物の搬出入を行うことができる。
左側のスライドドア2若しくはバックドア4を開けることにより、ドライ室8に対して荷物の搬出入を行うことができる。
次に、車両1には、荷室7の冷蔵室9及び冷凍室10に冷気を供給するための第1冷却装置20と、乗員室6の空調を行うための第2冷却装置40を備えている。これら両冷却装置20,40の基本的構成は従来公知のもので、それぞれエバポレータ(蒸発器)で冷媒を蒸発させることにより冷気を発生させ、この冷気を乗員室6若しくは荷室7内に吹き出して冷却する一方、蒸発した冷媒はコンプレッサ(圧縮機)で圧縮した後、コンデンサ(凝縮器)で凝縮することにより再び液体に戻して循環させる構成を備えている。以下説明する本実施形態では、上記コンデンサの取り付け構造に特徴を有している。従って、両冷却装置20,40を構成する各機器の詳細な構成及び機能の説明は省略し、主に両冷却装置20,40のコンデンサ21,41の取り付け構造について説明する。両コンデンサ21,41自体は、従来と同様冷却用の波形フィンが組み込まれた概ね平板形状を有しており、本実施形態において特に変更を要しない。
【0007】
本実施形態では、図3に示すように荷室冷却用の第1冷却装置20のコンデンサ21が乗員室6の室外の車両前方に配置され、乗員室冷却用の第2冷却装置40のコンデンサが、従来のように床下ではなく右側壁15に取り付けられている。車両前方に配置されたコンデンサ21は、ベース車両では本来乗員室空調用として装備された大型のコンデンサを本実施形態では荷室冷却用として転用したもので、これに代えて乗員室空調用としてより小型のコンデンサ41が車両1の右側壁15に取り付けられている。
車両1の右側壁15には上記右スライドドア3が設けられており、この右スライドドア3の後側には、矩形の開口部15aが設けられている。また、車両1の左側壁16には、上記左スライドドア2が設けられており、この左スライドドア2の後側にも、矩形の開口部16aが設けられている。両開口部15a,16aは車幅方向にほぼ対向して設けられている。
また、この両開口部15a,16aは、荷室フロア17の左右に位置するホイールハウス17a,17bの上方に位置している。左側の開口部16aには、ガラス板が通常のシール構造によって嵌め付けられてガラス窓とされている。右側の開口部15aについても左側と同様通常のシール構造により窓ガラスを嵌め付けることができるが、本実施形態ではこの開口部15aには窓ガラスに代えて第2冷却装置40のコンデンサ41が取り付けられている。このコンデンサ41には、仕切壁5で仕切られた乗員室6の空調を行うに足りるサイズの比較的小型のものが用いられている。
【0008】
このコンデンサ41の取り付け構造の詳細が図3〜図6に示されている。このコンデンサ41は、ハウジング42を介して開口部15aに取り付けられている。ハウジング42は、鋼板をプレス成形して製作したもので、コンデンサ41を完全に収容可能な大きさと深さの凹部42aを備えている。この凹部42aのほぼ半分程度のスペースにコンデンサ41が収容されている。凹部42aの周囲には、開口部15aの周縁に沿って当接される取り付け縁部42bが側方へ張り出すように設けられている。凹部42aの底部42cには、4カ所の台座部42d〜42dが設けられている。この4カ所の台座部42d〜42dにコンデンサ41の四隅を固定することにより、当該コンデンサ41が底部42cに沿って、かつ底部42cとの間に一定寸法の隙間をおいた状態で支持されている。
また、開口部15aの上部及び下部には、補強フレーム31,32が当該開口部15aの上部及び下部に沿って車室内側に取り付けられている。この上下の補強フレーム31,32によって開口部15aの上部及び下部が補強されることによりハウジング42が開口部15aに対して強固に支持されている。
コンデンサ41の表面側(室外側)には冷却用の電動ファン46が取り付けられている。この電動ファン46は、従来公知の制御手段によりコンデンサ41の設定温度を基準にして起動、停止される。電動ファン46がコンデンサ41の表面側に取り付けられていることによりそのメンテナンス作業等を楽に行うことができるようになっている。
凹部42aの側壁部42eには、コンデンサ41に接続される冷媒流入用のパイプ47と冷媒流出用のパイプ48を挿通するための二つの孔42f,42gが設けられている。
【0009】
ハウジング42は、その凹部42aを車外側に開放する向きで開口部15aを塞ぐ状態に取り付けられている。ハウジング42の取り付け縁部42bと開口部15aの周縁との間にはシール材43が全周にわたって塗布されている。このようにハウジング42が、左側の開口部16aに対する窓ガラスと同様のシール手段(シール材43)により取り付けられることにより、当該ハウジング42の取り付け部のシール性が確保されている。
ハウジング42の凹部42aはカバー45で塞がれている。図4に示すようにこのカバー45にはそれぞれ編み目の吸い込み口45aと吹き出し口45bが設けられている。吹き出し口45bの内側にコンデンサ41及び電動ファン46が位置している。電動ファン46が起動すると、図4及び図6において白抜きの矢印で示すようにハウジング42の内部と外部との間の風の流れが発生する。吸い込み口45aを経て外部から取り込まれた外気がコンデンサ41に吹き付けられて当該コンデンサ41が冷却される。コンデンサ41に吹き付けられた外気は吹き出し口45bを経てハウジング42の外部に吹き出される。
また、図5に示すようにカバー45の吸い込み口45aあるいは吹き出し口45bを経てハウジング42内に降り込んだ雨水W等は、そのまま当該ハウジング42の下部から流れ出て貯まらないようになっている。
カバー45は、車両1の右側壁15の外面に対してほぼ面一状態に取り付けられている。従って、コンデンサ41は車両幅方向へはみ出さない状態に取り付けられている。
以上説明したように乗員室空調用の第2冷却装置40のコンデンサ41が車両1の右側壁15に取り付けられ、荷室冷却用の第1冷却装置20のコンデンサ21が車両1の前部に配置されている。図3に示すように両冷却装置20,40のコンプレッサ29,49はそれぞれ車両前部のエンジンルーム内の適所に配置されている。
車両前部に設置した大型のコンデンサ21は第1冷却装置20のコンプレッサ29、エバポレータ(図示省略)等その他の機器にパイプ27,28を経て接続されている。この第1冷却装置20により発生する冷気は、冷凍室10内に設置したクーリングユニット19を経て当該冷凍室10及び冷蔵室9内に吹き出される。
また、第2冷却装置40の小型のコンデンサ41はコンプレッサ49、エバポレータ等その他の機器にパイプ47,48を経て接続されている。この第2冷却装置40により発生する冷気は、乗員室6内に吹き出される。乗員室6内への冷気の吹き出し口は図示省略されている。
【0010】
以上のように構成したコンデンサ41の取り付け構造によれば、当該コンデンサ41は車両1の右側壁15に取り付けられており、従来のように車両床下(荷室フロア17)に取り付ける構成ではないので、例えば荷室7の左右両側にスライドドア2,3が配置され、これに対応して荷室フロア17の左右両側に一段低いステップ部が配置され、その結果荷室フロア17の床下にコンデンサを配置するための十分なスペースを確保することができない場合であっても当該コンデンサ41を取り付けることができる。このことから、本実施形態に係る取り付け構造によれば、コンデンサの取り付け位置に関していわゆる両側スライドドアタイプの貨物車両にも容易に対応することができる。
また、第2冷却装置40のコンデンサ41は、エギゾーストパイプやフューエルクーラー等の他の熱源が存在する車両床下に取り付ける構成ではなく、大きな熱源の存在しない右側壁15に取り付ける構成であるので、当該コンデンサ41の性能を確保しやすくなる。
さらに、第2冷却装置40のコンデンサ41は、荷室7の側部であってホイールハウス17bの上方の半デッドスペースに取り付けられているので、荷室7の荷室スペース(荷室フロア17の積載面積)が大きく損なわれることはない。
また、例示した取り付け構造によれば、ハウジング42にコンデンサ41を収容して当該ハウジング42の開口側をカバー45で塞ぐことから、これらを一つのアッセンブリ(コンデンサユニット)として取り扱うことができる。これらを別行程で組み立てて一つのアッセンブリにした状態で開口部15aに対して組み付けることにより、これらの組み付け性を高めることができる。
さらに、車両前部に設置した一つのコンデンサ21のみで足りる場合であって第2冷却装置40のコンデンサ41を取り付ける必要がない場合には、開口部15aにガラス板を嵌め付けることにより、通常の窓部として利用することができる。このことから、通常は開口部15aにガラス板を嵌め付けて窓部とする仕様の車両(ベース車両)に対してボディ形状の変更等の大きな変更を加えることなく当該開口部15aにコンデンサ41を取り付けることができるので、大きなコストアップを招くことなく当該取り付け構造を実施することができる。
また、カバー45が右側壁15とほぼ面一に取り付けられて、当該コンデンサユニットが車両1の幅方向にはみ出さない状態に取り付けられていることから、車両寸法を変更することがなく、これにより例えばベース車両と同じ小型車枠内に納めることができる。
また、従来のようにコンデンサを車両床下に取り付ける際に必要となる床下配管が不要になるので、その配管作業が楽になる。
【0011】
以上説明した実施形態には、種々変更を加えることができる。例えば、ハウジング42は鋼板のプレス成型品とする構成を例示したが、樹脂の一体成形品としてもよい。これによりハウジング42の軽量、コンパクト化を図ることができる。
また、例えば、図7には、第2実施形態の取り付け構造に係る第2冷却装置50が示されている。第2冷却装置50は、車両1の右側壁15の開口部15a(図7では省略されている)に対する主としてコンデンサ50の取り付け構造が第1実施形態とは異なっている。第1実施形態と同様の点については説明を省略する。
第2実施形態に係るハウジング52は前記第1実施形態に係るハウジング42と同様鋼板をプレス成形して製作したもので、コンデンサ51を完全に収納可能な大きさと深さを有している。このハウジング52が車両右側壁15の開口部15aを塞ぐ状態で取り付けられている。このハウジング52の側部には、第1実施形態と同様冷媒流入用のパイプ47と冷媒流出用のパイプ48を挿通するための二つの孔52a,52bが設けられている
開口部15aの上部及び下部には、補強フレーム53,54が当該開口部15aの上部及び下部に沿って車室内側に固定されている。この上下の補強フレーム53,54により開口部15aの上部及び下部の支持剛性が確保されている。一方、ハウジング52の内部に位置する支持フレーム55の上部及び下部は、当該ハウジング52の上側壁部及び下側壁部をそれぞれ間に挟み込んだ状態で上記補強フレーム53,54に対してボルトにより固定されている。これにより支持フレーム55が開口部15aに対して強固に支持されている。第2実施形態ではこの支持フレーム55にコンデンサ51が固定されている。コンデンサ51はこの支持フレーム55を介して開口部15aに強固に支持されている。すなわち、コンデンサ51及び以下の電動ファン60等の重量は、ハウジング52ではなく支持フレーム55及び補強フレーム53,54によって受けられる。
コンデンサ51の車室外側には第1実施形態と同様冷却用の電動ファン60が取り付けられている。
【0012】
また、ハウジング52の開口側にはカバー62が取り付けられる。このカバー62には、前記第1実施形態における編み目の吸い込み口45a及び吹き出し口45bに代えて、二つの矩形の孔62a,62bが設けられており、両孔62a,63aには、それぞれ下向きに傾斜した多数のフィンを主体とする冷気吸い込み用のルーバー63と冷気吹き出し用のルーバー64が嵌め込まれている。両ルーバー63,64は、カバー62若しくはハウジング52ではなく、それぞれ上記した補強フレーム53,54に対して直接かつ強固に支持されている。冷気吹き出し用の内側に電動ファン60及びコンデンサ51が位置している。
第1実施形態と同様、電動ファン60が起動すると、冷気吸い込み用のルーバー63を経て外気がハウジング52内に導入される。導入された冷気はコンデンサ50を冷却した後、吹き出し用のルーバー64を経て外部へ吹き出される。
以上のように構成した第2実施形態のコンデンサ取り付け構造によっても、コンデンサ51が車両1の右側壁15に取り付けられることから、当該車両1が両側スライドドアタイプの貨物車両で床下に十分な設置スペースを確保することができない場合に容易に対応することができる。
特に、第2実施形態の取り付け構造によれば、コンデンサ51がハウジング52でなく、支持フレーム55及び補強フレーム53,54に支持されてハウジング52にその重量が付加されないようになっている。このため、ハウジング52に過大な剛性を持たせる必要がないことから、当該ハウジング52を樹脂成形品とすることによりその軽量かつコンパクト化を図ることができる。
また、第1実施形態における編み目の吸い込み口45a及び吹き出し口45bに代えて下向きに傾斜する多数のフィンを主体とするルーバー63,64を用いることにより、ハウジング51の内部を目隠しして当該車両1の見栄えを向上させることができる。
【0013】
以上説明した第1及び第2実施形態には、さらに次のような変更を加えることもできる。例えば、荷室冷却用の第1冷却装置20のコンデンサ21として、車両前部に設置されてベース車両では乗員室6の空調を行うためのコンデンサとして用いられるものを転用する一方、ベース車両に対して新たに追加した第2冷却装置40のコンデンサ41(50)を側壁15の開口部15aに取り付けて、このコンデンサ41(50)により乗員室6の空調を行う構成を例示したが、車両前部のコンデンサをベース車両のまま乗員室空調用の第2冷却装置のコンデンサとして用い、側壁15に取り付けたコンデンサを荷室冷却用の第1冷却装置のコンデンサとして用いる構成としてもよい。
要は、「車両の側壁に開口部を設け、該開口部に、外側に開口する凹部を有するハウジングを取り付け、該ハウジングの凹部内に車室内を冷却する冷却装置のコンデンサを取り付けた車両のコンデンサ取り付け構造であって、前記開口部にはガラス板若しくは前記ハウジングのいずれをも取り付け可能で、前記ガラス板を取り付けることによりガラス窓として利用可能であり、前記ハウジングを前記ガラス板と同じシール構造を介して前記開口部に取り付けた構造」とすることにより、開口部がガラス窓として利用されるベース車両と、ガラス板に代えて開口部にコンデンサが取り付けられた特装車両(車両1)とで車両ボディを共通化することができる。
また、車両1の室内空間を仕切壁5で乗員室6と荷室7に区画し、それぞれ個別の第1及び第2冷却装置20,40(50)により冷却若しくは空調を行う場合を例示したが、仕切壁5を排除して車両1の室内空間の全体を二組の冷却装置20,40(50)で冷却(空調)する場合においても、例示した第2冷却装置40のコンデンサ41(50)の取り付け構造を適用することができる。
さらに、当該車両1の室内空間全体の空調を一組の冷却装置により行う場合には、そのコンデンサをエンジンルーム内ではなく車両側部に例示した取り付け構造により取り付ける構成としてもよい。この場合には、車両側部に取り付けたコンデンサは、エンジンルーム内の熱影響及び車両床下の熱影響を受けることがないのでその放熱効率を高めて当該冷却装置の稼働効率を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンデンサの取り付け構造を備えたワンボックスタイプの貨物車両の右側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るコンデンサの取り付け構造を備えたワンボックスタイプの貨物車両の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るコンデンサの取り付け構造を備えたワンボックスタイプの貨物車両の右側壁を車室内側から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るコンデンサの取り付け構造の分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るコンデンサの取り付け構造の縦断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るコンデンサの取り付け構造の横断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコンデンサの取り付け構造の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1…車両(ワンボックスタイプの貨物車両)
3…右側のスライドドア
5…仕切壁
6…乗員室
7…荷室
8…ドライ室(常温室)
9…冷蔵室
10…冷凍室
15…右側壁、15a…開口部
17…荷室フロア、17b…ホイールハウス
20…第1冷却装置
21…コンデンサ
40…第2冷却装置(第1実施形態)
41…コンデンサ
42…ハウジング
45…カバー、45a…吸い込み口、45b…吹き出し口
46…電動ファン
49…コンプレッサ
50…第2冷却装置(第2実施形態)
51…コンデンサ
52…ハウジング
55…支持フレーム
63,64…ルーバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側壁に外側に開口する凹部を設け、該凹部内に車室内を冷却する冷却装置のコンデンサを取り付けた車両のコンデンサ取り付け構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両のコンデンサ取り付け構造であって、前記側壁に開口部を設け、該開口部に前記凹部を有するハウジングを取り付けた車両のコンデンサ取り付け構造。
【請求項3】
請求項2記載の車両のコンデンサ取り付け構造であって、前記開口部が形成された側壁が前記コンデンサを備えない車両の側壁と共通の構造であり、前記コンデンサを備えない車両においては、前記開口部が窓として利用されている車両のコンデンサ取り付け構造。
【請求項4】
請求項2記載の車両のコンデンサ取り付け構造であって、外気吸い込み口と吹き出し口を有し前記凹部を覆うカバーを前記ハウジングに取り付けた車両のコンデンサ取り付け構造。
【請求項5】
請求項1記載の車両のコンデンサ取り付け構造であって、前記車両が、その荷室内を冷却する第1冷却装置と、乗員室内を冷却する第2冷却装置とを備えており、前記第1冷却装置のコンデンサがエンジンルーム内に配置され、前記第2冷却装置のコンデンサが前記凹部内に取り付けられている車両のコンデンサ取り付け構造。
【請求項6】
請求項2記載の車両のコンデンサ取り付け構造であって、前記開口部の縁部に沿って補強フレームを取り付け、前記ハウジング内に設けた支持フレームを該補強フレームに支持し、該支持フレームに前記コンデンサを支持した車両のコンデンサ取り付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−253796(P2007−253796A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80980(P2006−80980)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】