説明

車両の定位置停止制御装置および定位置停止支援装置

【課題】
乗り心地を悪化させることなく、車両を目標とする停止位置に精度良く停止させる車両の定位置停止制御装置を提供すること。
【解決手段】
制御指令決定手段7は、速度・位置算出手段6の車両速度及び車両位置に基づき、最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測し、目標停止位置に対して許容範囲を超えて手前に停止すると予測された場合に、所定時間ブレーキオフした後に最低位のブレーキ制御指令を出力したときの停止位置予測を行う。その結果、当該予測停止位置が目標停止位置に対して許容範囲に入っている場合にブレーキをオフすることを決定し、制御指令出力手段8を介して制動駆動制御装置2に対し、ブレーキオフしてから最低位のブレーキ制御指令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の定位置停止制御装置および定位置停止支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道などの車両制御においては、自動列車運転装置あるいは定位置停止制御装置の導入が増加している。自動列車運転装置あるいは定位置停止制御装置の導入により、運転士の技量によらず安定した均一な運転が可能となり、定時運行が容易となる。
【0003】
鉄道車両の定位置停止制御では、ブレーキの効き具合のばらつきに対応して適切なブレーキ指令を決定することにより、目標とする停止位置に精度良く車両を停止させる必要がある。これは、車両の駆動制動制御装置に同じブレーキ指令を与えた場合であっても、発生する実際のブレーキ力には、ばらつきがあり、その都度ブレーキ力が異なる場合があるためである。
従来の定位置停止制御装置としては、例えば特開2006−74876号公報に記載されているように、車両の減速度に基づいてブレーキの効き具合を検知し、ブレーキの効き具合に応じてブレーキ指令を決定し、車両を目標とする位置に停止させるものがある。
【0004】
より詳細には、駅内に設置された目標停止位置に停止するまでに、高速からの減速制御区間、ブレーキオフで定速走行を行う定速走行区間、定位置停止制御区間を設ける。そして、定位置停止制御区間において、記憶保持するブレーキ特性データ保持部のデータと、車両の現在速度や現在位置、複数のブレーキノッチの内の現在ブレーキノッチ等の現在車両状態データに基づき、現在速度での現在ブレーキノッチから各ブレーキノッチへ切換えた時の現在位置から停止位置までの距離を示す減速距離を算出し、各ブレーキノッチにおける減速距離と目標停止位置とに基づいて最適なブレーキノッチを選択してブレーキ制御指令とすることで、ブレーキノッチの切換回数を極力低減して乗客の乗り心地を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−74876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の定位置停止制御装置においては、車両側での位置の認識精度を高めるため、地上側に位置補正用のトランスポンダ等を設置していることがある。車上側では車輪径と車軸の回転に基づいて位置を算出しているが、車輪径の誤差や空転、滑走の発生に起因して位置の認識誤差が発生するため、地上側に設置したトランスポンダ等からの情報により正しい位置に補正するようになっている。
【0007】
このとき、図4に示すように、例えばトランスポンダ等により目標停止位置の直前で、車両の位置が目標停止位置よりも遠い側に補正された場合、最も低位のブレーキ制御指令に切り替えても目標とする停止位置よりも手前に停止してしまう場合がある。このような場合、ブレーキを一旦オフにして停止位置を調整する必要がある。また、車両の実際のブレーキ特性が、バラツキにより定位置停止制御装置側で持っているブレーキ特性と大きく異なった場合、速度制御がうまく行かずに減速しすぎてしまい、ブレーキを一旦オフにして調整する必要が出てくる場合がある。 ここで、車両が図5に示すような特性を持つ場合、すなわち、高位側のブレーキ制御指令(ブレーキの効きが大きいブレーキ制御指令)から低位側のブレーキ制御指令(ブレーキの効きが小さいブレーキ制御指令)に切換えた時にブレーキ力が下がりにくい傾向がある場合、ブレーキオフ前に最も低位のブレーキ制御指令を出した場合のブレーキ力に対し、ブレーキオフ状態から最も低位のブレーキ制御指令を出した場合のブレーキ力が弱いため減速距離の延びが顕著になることがある。このような場合、ブレーキをオフせずに最も低位のブレーキ制御指令を継続すると目標位置よりも手前に停止してしまうが、ブレーキを短時間オフにし、再度最も低位のブレーキ制御指令を出すと、逆に目標とする停止位置を超えてしまう。この時、最も低位のブレーキ制御指令ではなく、強めのブレーキ制御指令を出せば目標とする停止位置を超えることはなくなるが、ブレーキオフから強めのブレーキ制御指令を出すので乗り心地が悪くなる。
【0008】
また、ブレーキオフの時間が短い場合であっても、図6に示すように、ブレーキをオフしない場合に比べて減速距離が大きく延びることがある。このような傾向は、ブレーキオフ時の速度が高く、ブレーキオフ時間中に進む距離が長い場合に顕著となる。
【0009】
このように、従来の定位置停止制御装置では、ブレーキを一旦オフして停止位置を調整する必要がある場合に、当該車両が持つブレーキ特性やブレーキオフ時の車両速度によっては、乗り心地を悪化させることなく目標停止位置に精度良く車両を停車させるのが困難であるという課題があった。
【0010】
本発明は、乗り心地を悪化させることなく、車両を目標とする停止位置に精度良く停止させることができる車両の定位置停止制御装置および定位置停止支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために第1の発明は、車両の速度と位置を算出する速度位置算出手段と、速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づき、車両が持つ複数のブレーキ制御指令の内から、車両を目標停止位置に停止させるために制動駆動制御手段へ出力すべく最適なブレーキ制御指令を決定する制御指令決定手段とを有し、制御指令決定手段は、速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づいて、最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測する第1の停止位置予測手段と、第1の停止位置予測手段で予測した車両の停止位置が前記目標停止位置に対して許容範囲よりも手前の位置である場合に、所定時間ブレーキをオフしてから最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測する第2の停止位置予測手段と、第2の停止位置予測手段で予測した車両の停止位置が目標停止位置に対して許容範囲内の位置である場合に、ブレーキをオフすることを決定するブレーキオフ決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明は、車両の速度と位置を算出する速度位置算出手段と、速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づき、車両が持つ複数のブレーキ制御指令の内から、車両を目標停止位置に停止させるために制動駆動制御手段へ出力すべく最適なブレーキ制御指令を決定する制御指令決定手段とを有し、制御指令決定手段は、速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づいて、最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測する停止位置予測手段と、停止位置予測手段で予測した車両の停止位置が目標停止位置に対して許容範囲よりも手前の位置である場合に、当該予測位置と目標停止位置の差と予め設定されたブレーキオフ閾値とを比較する比較手段と、比較手段により、当該予測位置と目標停止位置との差が当該ブレーキオフ閾値よりも大きい場合に、ブレーキをオフすることを決定するブレーキオフ決定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乗り心地を悪化させることなく、車両を目標とする停止位置に精度良く停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1を示す定位置停止制御装置を示す構成図。
【図2】本発明の実施例2を示す定位置停止支援装置を示す構成図。
【図3】本発明の実施例1、実施例2の定位置停止制御装置又は定位置停止支援装置の動作を説明するためのブレーキオフ速度−減速距離の延びを示す特性図。
【図4】位置補正を行うときの一般的な車両の定位置停止制御を説明するための図。
【図5】車両のブレーキ特性の一例を説明するための図。
【図6】一般的な車両の定位置停止制御を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
以下、本発明に基づく実施例1の車両の定位置停止制御装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1の定位置停止制御装置1が搭載される車両Tの構成例を示すブロック図である。
同図において、定位置停止制御装置1が搭載される車両Tは、制動駆動制御装置2、速度発電機(TG)3、車上子4を備える。
【0016】
制動駆動制御装置2は車両Tを走行および停止させるための装置であり、速度発電機3は例えば車輪の回転軸に取り付けられたタコジェネレータ(TG)により構成される。車上子4は、軌道上に設置された地上子(トランスポンダ)5からの信号、例えば車両Tの位置を補正するための情報を検出する。
【0017】
一方、定位置停止制御装置1は、速度・位置算出手段6、制御指令決定手段7、制御指令出力手段8を備え、制動駆動制御装置2にブレーキ制御指令を出力して車両Tを停止させる制御を行う。
【0018】
速度・位置算出手段6は、速度発電機3からの速度パルスに基づいて速度を算出すると共に、速度パルスの積算によって移動距離を算出する。また、地上子5からの信号が車上子4を介して入力され、地上子5から入力した信号に基づいて車両Tの位置情報を補正する。
【0019】
制御指令決定手段7は、速度・位置算出手段6で算出した車両の現在速度及び現在位置に基づいてブレーキ指令を決定する。例えば、現在の車両速度と目標停止位置までの距離に基づき、現時点で各ブレーキ制御指令を出力した場合の停止位置を予測し、目標位置に停止できるようなブレーキ制御指令を選択する。ブレーキ制御指令としては、例えば4種類のブレーキノッチ(ブレーキノッチ[1]、[2]、[3]、[4])として備え、各ブレーキノッチの減速度は異なる大きさであって[1]から[4]に向かって大きくなるようにしている。
【0020】
ここで、最も低位のブレーキ制御指令(上述した例ではブレーキノッチ[1])を出力した場合の予測停止位置が、目標停止位置に対し、許容範囲(例えば±35cm)を超えて手前側であったとする。この場合は、一旦ブレーキをオフにして短時間(例えば0.5秒)経過した後に最も低位のブレーキ制御指令を出力した場合の停止位置予測を行い、当該予測停止位置が、目標停止位置に対して許容範囲に入っている場合にブレーキをオフする。
【0021】
尚、制御対象である車両が上述した図5に示すような特性、すなわち、高位側のブレーキ指令から低位側のブレーキ指令に切り替えた時にブレーキ力が下がりにくい傾向があることが判明している場合、一旦ブレーキをオフにして短時間(例えば0.5秒)経過した後に最も低位のブレーキ制御指令を出力した場合の停止位置予測を行う際に、高位側のブレーキ制御指令から最も低位のブレーキ制御指令に下げた場合に発生するブレーキ力と、ブレーキオフ状態から最も低位のブレーキ制御指令を出した場合に発生するブレーキ力の違いを予め加味しておく。例えば、最も低位のブレーキ制御指令を出力中に、一旦ブレーキをオフにして短時間(例えば0.5秒)経過した後に最も低位のブレーキ制御指令を出力する場合、ブレーキオフの前は同じブレーキ制御指令でもブレーキ力が強く、ブレーキオフの後は同じブレーキ制御指令でもブレーキが強いとして停止位置の予測を行う。
【0022】
一方、一旦ブレーキをオフにして短時間(例えば0.5秒)経過した後に最も低位のブレーキ制御指令を出力した場合の予測停止位置が、目標とする停止位置に対して許容範囲を超えて行き過ぎる側(遠方側)である場合はブレーキをオフしない。
【0023】
ブレーキをオフしないで最も低位のブレーキ指令を保持して停止すると、目標停止位置に対し、許容範囲を超えて手前に停止してしまうが、一旦ブレーキをオフにして短時間(例えば0.5秒)経過した後に最も低位のブレーキ制御指令を出力した場合の停止位置予測を周期的に実施し、ブレーキをオフするかどうかの判定を継続していくと、ある程度速度が低下した時点で、予測停止位置が目標停止位置に対して許容範囲内に入るタイミングが発生する。そのときにブレーキを所定時間オフにし、その後最も低位のブレーキ制御指令を出力することにより、目標停止位置の近傍に精度よく車両を停止させることができる。
【0024】
このようにすれば、最も低位のブレーキのオフとオンだけで車両の停止位置を調整できるため、乗り心地を悪化させることがない。このことは、車両速度が低いほどブレーキオフ中に速度低下せずに車両の進む距離が短くなり、ブレーキをオフしない場合とブレーキを一旦オフして再度ブレーキをかけた場合の減速距離の差が小さくなることに起因している。
【0025】
次に、実施例1の定位置停止制御装置における制御指令決定手段7の他の動作例について、図3を参照しながら説明する。図3は、ブレーキをオフにするときの車両速度を横軸にとり、ブレーキをオフしない場合の減速距離に対し、一旦ブレーキを短時間オフして再度ブレーキをかけた場合の減速距離の延びを縦軸にとった特性図であって、ブレーキオフ時間を0.5秒、ブレーキオフ時のむだ時間を0.5秒、ブレーキオン時のむだ時間を0.5秒、ブレーキオンオフの立上りを1秒とし、ブレーキオフ前後の最も低位のブレーキ力が同一とした場合の計算例である。
【0026】
まず、高位側のブレーキ制御指令から低位側のブレーキ制御指令に切換えた時にブレーキ力が下がりにくい傾向がない場合を例にとって説明する。この場合、車両速度が3km/hでブレーキオフすると、ブレーキオフしない場合に比べて減速距離は75cm延びる。従って、ブレーキオフしない場合の予測停止位置が目標停止位置に対して35cm手前であった場合にブレーキをオフすると、ブレーキオフして0.5秒経過後に最も低位のブレーキ制御指令を出すと、停止位置は目標停止位置を40cm行き過ぎてしまうことになる。このような場合、短時間のブレーキオフ後に高位のブレーキ指令を出せば目標とする停止位置に対し、許容範囲内で停止することも可能であるが、ブレーキオフから強めのブレーキをかけるため乗り心地が悪化するおそれがある。
【0027】
逆に、車両速度が3km/hで、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置が目標停止位置に対して65cm手前であった場合にブレーキをオフすると、ブレーキオフにより減速距離75cm延びても目標停止位置に対し10cm行き過ぎるだけで停止できる(許容範囲内)。また、車両速度が1.5km/hでは、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置が目標停止位置に対して20cm手前であった場合にブレーキをオフしても、ブレーキオフによる減速距離の延びは33cmであるので、目標停止位置に対して13cm行き過ぎるだけで停止できる。
【0028】
このように、ブレーキオフするときの車両速度、所定時間だけブレーキオフしたことによる車両の現在位置から停止位置までの距離を示す減速距離の延び、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置と目標停止位置との距離に基づいて、所定時間だけブレーキをオフしたことにより延びた減速距離を加えた予測停止位置と目標停止位置との差が、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置と目標停止位置との差よりも小さくて許容範囲内であるときにブレーキオフとするようなブレーキオフ閾値を予め設定しておくと良い。このように、予めブレーキオフ閾値を設定し、ブレーキオフ条件を満たす場合のみブレーキをオフするようにしても、乗り心地を悪化させることなく、目標停止位置に精度よく停止させることができる。尚、ブレーキオフ閾値は、ブレーキオフするときの車両速度が高くなるほど大きく、ブレーキオフするときの車両速度が低くなるほど小さくするのが好ましい。
【0029】
具体的には、例えば、車両速度が5km/hの場合、ブレーキをオフしたことによる減速距離の延びが131cmだとすると、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置が目標停止位置に対して131cm以上ショート側のときにブレーキをオフするようにする(ブレーキオフ閾値131cm)。車両速度が5km/hで、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置が131cmショートだった場合、ブレーキを0.5秒オフしてた後に最も低位のブレーキをかけると、減速距離が131cm延びるので、目標停止位置近傍に乗り心地よく停止することができる。車両速度が3km/hの場合、ブレーキをオフしたことによる減速距離の延びが75cmだとすると、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置が目標停止位置に対して75cm以上ショート側のときにブレーキをオフするようにする(ブレーキオフ閾値75cm)。車両速度が3km/hで、ブレーキをオフしない場合の予測停止位置が75cmショートだった場合、ブレーキを0.5秒オフしてた後に最も低位のブレーキをかけると、減速距離が75cm延びるので、目標停止位置近傍に乗り心地よく停止することができる。このように速度に応じた適切なブレーキオフ閾値を設定することで、乗り心地よく目標停止位置に列車を停止させることができる。なお、当該車両速度におけるブレーキをオフしない場合の予測停止位置が、ブレーキオフ閾値に対して大きくショート側にずれている場合、短時間のブレーキオフでは目標停止位置に達しないおそれがあるが、ブレーキオフ後の最低位のブレーキ投入タイミングを遅らせることによって停止位置を調整することができる。また、停止位置許容範囲の中で、オーバー側を避けたい、ショート側を避けたいなどの要望がある場合、ブレーキオフ閾値をオフセットすることができる。たとえば、車両速度5km/hの時のブレーキオフ閾値を131cmから101cmに、車両速度3km/hの時のブレーキオフ閾値を75cmから45cmにオフセットすることで、停止位置をオーバー側にシフトさせることができる。、
このようにすれば、2段階予測、すなわち、一旦ブレーキをオフにして短時間(例えば0.5秒)経過した後に最も低位のブレーキ制御指令を出力した場合の停止位置予測の演算が不要となるので、制御指令決定を行うプログラムを簡単化できるという利点もある。
【0030】
尚、制御対象である車両が上述した図5に示すような特性、すなわち、高位側のブレーキ指令から低位側のブレーキ指令に切り替えた時にブレーキ力が下がりにくい傾向があることが判明している場合、上述したブレーキオフ前後の最も低位のブレーキ力が同一である場合と比較して減速距離の延びは大きくなるので、ブレーキオフ閾値も当該特性に合わせて設定するのが好ましい。
【0031】
[実施例2]
上述した実施例1の定位置停止制御装置1は、制御指令決定手段7で決定したブレーキ指令に基づいて、制御指令出力手段7から制動駆動制御装置2に当該ブレーキ指令を出力することで、自動制御により車両を目標停止位置に停止させるようにしている。
【0032】
これに対し、実施例2の定位置停止支援装置9は、図2に示すように、実施例1における制御指令出力手段8の代わりに制御指令表示手段10を持ち、制御指令決定手段7で決定したブレーキ指令を制御指令表示手段10に表示するようにしたものである。
【0033】
このような定位置停止支援装置9であれば、車両を目標停止位置に停止させることができるように、運転士に対して制御指令決定手段7で決定したブレーキ指令を支援情報として提供することができるので、実施例1の定位置停止支援装置1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
T 車両
1 定位置停止制御装置
2 制動駆動制御装置
6 速度・位置算出手段
7 制御指令決定手段
8 制御指令出力手段
9 定位置停止支援装置
10 制御指令表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度と位置を算出する速度位置算出手段と、
前記速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づき、車両が持つ複数のブレーキ制御指令の内から、車両を目標停止位置に停止させるために制動駆動制御手段へ出力すべく最適なブレーキ制御指令を決定する制御指令決定手段とを有し、
前記制御指令決定手段は、
前記速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づいて、最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測する第1の停止位置予測手段と、
前記第1の停止位置予測手段で予測した車両の停止位置が前記目標停止位置に対して許容範囲よりも手前の位置である場合に、所定時間ブレーキをオフしてから最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測する第2の停止位置予測手段と、
前記第2の停止位置予測手段で予測した車両の停止位置が前記目標停止位置に対して許容範囲内の位置である場合に、ブレーキをオフすることを決定するブレーキオフ決定手段と
を備えたことを特徴とする車両の定位置停止制御装置。
【請求項2】
車両の速度と位置を算出する速度位置算出手段と、
前記速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づき、車両が持つ複数のブレーキ制御指令の内から、車両を目標停止位置に停止させるために制動駆動制御手段へ出力すべく最適なブレーキ制御指令を決定する制御指令決定手段とを有し、
前記制御指令決定手段は、
前記速度位置算出手段で算出した車両速度及び車両位置に基づいて、最低位のブレーキ制御指令を出力したときの車両停止位置を予測する停止位置予測手段と、
前記停止位置予測手段で予測した車両の停止位置が前記目標停止位置に対して許容範囲よりも手前の位置である場合に、当該予測位置と目標停止位置の差と予め設定されたブレーキオフ閾値とを比較する比較手段と、
前記比較手段により、当該予測位置と目標停止位置との差が当該ブレーキオフ閾値よりも大きい場合に、ブレーキをオフすることを決定するブレーキオフ決定手段と
を備えたことを特徴とする車両の定位置停止制御装置。
【請求項3】
前記ブレーキオフ閾値は、ブレーキオフするときの車両速度と、当該車両速度で所定時間ブレーキオフしたときの車両の現在位置から停止位置までの距離の延びに基づいて設定されることを特徴とする請求項2記載の車両の定位置停止制御装置。
【請求項4】
前記速度位置算出手段で算出した車両速度に基づいて、前記ブレーキオフ閾値を調整する調整手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両の定位置停止制御装置。
【請求項5】
前記制御指令決定手段は、高位のブレーキ制御指令から最低位のブレーキ制御指令としたときに発生するブレーキ力と、ブレーキオフ状態から最低位のブレーキオフ制御指令としたときに発生するブレーキ力との違いを判別し、ブレーキオフの要否を決定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両の定位置停止制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の車両の定位置停止制御装置と、
前記制御指令決定手段で決定したブレーキ制御指令を表示する制御指令表示手段と
を備えたことを特徴とする車両の定位置停止支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−61975(P2011−61975A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209083(P2009−209083)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】