説明

車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置

【課題】エンジン無負荷状態からの踏み込み加速が、停車を含む如何なる車速からのものでも、車両加速度が唐突感のあるものにならないようなエンジン出力制御を実現する。
【解決手段】アクセル開度APOをパラメータとし、車速VSPに対する目標加速度tGの変化特性を表した目標加速度マップ31−0(GMAP0),31−1(GMAP1),31−n(GMAPn)を、踏み込み時車速VSPfごとに予め用意しておく。演算部32においては、踏み込み時車速VSPfに対応するマップを基に車速VSPおよびアクセル開度APOから、車両加速度の唐突感が問題とならない範囲でできるだけ大きな目標加速度tGを求める。演算部33,34では、目標加速度tGを実現する目標エンジン回転数tNeおよび目標エンジントルクtTeの組み合わせを求め、演算部35で、エンジン性能線図を基にtNeおよびtTeのための目標スロットル開度tTVOを求めてスロットル開度制御に資する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルを踏み込んで行う車両の踏み込み加速時に発生する加速度が、停車したエンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んで行う発進加速時、および、走行中に略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んで行う再加速時のいずれの場合も、唐突感を与えることのない良好なものとなるようにエンジン出力を制御する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の発進加速時はその直後に、エンジン出力の増大だけでなく、例えばエンジンおよび自動変速機間に介在させたトルクコンバータのスリップによるトルク増大作用などで、車両加速度の唐突感が発生する傾向にある。
この問題を解決するためではないが、発進加速時のエンジン出力制御技術としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
【0003】
この提案技術は、車庫入れなどの極低車速の場合はアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOに対するスロットル開度TVOの変化特性を、図9(a)に波線で示す通常の線形特性よりもスロットル開度TVOが小さく与えられるようなものとし、これによりアクセル開度APOに対するスロットル開度TVOの感度を鈍くして、車庫入れなどの極低車速で要求される微妙なスロットル開度変更を容易に行い得るようにしたものである。
【0004】
この提案技術によれば、アクセル開度APOを一定に保って発進加速を行う場合の動作タイムチャートを示す図9(b)につき説明すると、車速VSPがVSP1未満の極低車速でスロットル開度TVOが通常時の値よりも低下され、これにより、特許文献1に記載の本来の目的とは異なるが、上記した発進加速の直後における波線で示した車両加速度Gの唐突感が実線で示したように緩和される傾向となる。
【特許文献1】特開平04−119228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両加速度の唐突感は前記のような停車状態からの発進加速時だけではなく、走行中にエンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んで行う走行中の再加速時も、これに伴うエンジン出力の上昇およびトルクコンバータのスリップによるトルク増大などが相関し合って車両加速度の唐突感が発生する。
そして、かかる再加速時における車両加速度の唐突感は、発進加速時のそれよりも大きくなり、しかも再加速時における車両加速度の唐突感は、アクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時車速が高いほど大きくなる。
【0006】
その理由を以下に説明する。
踏み込み加速時の車両加速度Gは、トルクコンバータのトルク容量係数をτ、そのトルク比をt、エンジン回転数をNe、自動変速機の変速比をi、終減速比をif、タイヤ有効半径をR、車両重量をWとすると、
G=(τ×Ne2×t×i×if)/(R×W)
で表され、この式から、車両諸元で決まる定数を除けば、踏み込み加速時の車両加速度Gはトルクコンバータのトルク容量係数τ、そのトルク比t、エンジン回転数Ne、および自動変速機の変速比iの関数で表すことができる。
G=f(τ,Ne,t,i)
【0007】
ところで、上式におけるトルクコンバータのトルク容量係数τおよびトルク比tが、トルクコンバータの入出力回転比である速度比eにより決まるから、結果として踏み込み加速時の車両加速度Gはトルクコンバータの速度比e、エンジン回転数Ne、および変速比iの関数で表わされる。
G=f(Ne,e,i)
また、上式におけるエンジン回転数Neがアクセル開度APOおよびトルクコンバータ速度比eの関数であり、そして、この速度比eがエンジン回転数Neと、車速VSPと、変速比iの関数であることから、踏み込み加速時の車両加速度Gはアクセル開度APO、車速VSP、および変速比iの関数で表わされる。
G=f(APO,VSP,i)
【0008】
更に、変速比iが自動変速機の変速制御においてアクセル開度APOおよび車速VSPにより決定されることから、最終的に踏み込み加速時の車両加速度Gはアクセル開度APOおよび車速VSPの関数
G=f(APO,VSP)
で表わされ、踏み込み加速時の車両加速度Gは、アクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時アクセル開度および踏み込み時車速に応じて決まる。
よって、再加速時における車両加速度の唐突感は、発進加速時のそれよりも大きくなり、更に再加速時における車両加速度の唐突感は、アクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時アクセル開度が大きいほど、また、踏み込み時車速が高いほど大きくなる。
【0009】
ところで特許文献1に記載のように、極低車速時に図9(a)に実線で示すごとくアクセル開度APOに対するスロットル開度TVOの感度を鈍くするだけのものでは、
アクセル開度APOを一定に保って発進加速を行う場合にスロットル開度TVOが図10(a)の太い実線で示すごとく車速VSP1未満の極低車速で開度を抑制され、図9(b)につき前述したごとく発進加速の直後における波線で示した車両加速度Gの唐突感を実線で示したように、また、図10(b)に太い実線で示すように或る程度は緩和し得るものの、
これが車両加速度Gの唐突感を確実に解消し得るとの補償はないし、また、走行中におけるエンジン無負荷状態からの再加速時に車両加速度Gの唐突感を緩和するのには何ら有用でない。
【0010】
ちなみに、図10(a)に細い波線で示すごとく走行中に車速VSP0でアクセル開度APOを0にした無負荷状態から太い波線と同じ開度まで増大させて行う再加速時について説明すると、特許文献1に記載の技術によればスロットル開度TVOが同図の細い実線で示すごとく車速VSP1の時に一定アクセル開度対応の値となるよう上昇される。
しかし、かかる再加速時に車両加速度Gの唐突感を緩和するのに有用なスロットル開度TVO(エンジン出力)は、前記した解説から明らかなように図10(a)に細い実線で示すごときものよりも低い、同図に一点鎖線で示すようなものであり、特許文献1に記載の技術では車速VSP1でのスロットル開度TVO(エンジン出力)が大きすぎて、走行中におけるエンジン無負荷状態からの再加速時に車両加速度Gが図10(b)に細い実線で示すごとくに発生し、その唐突感を緩和するのに有用でない。
【0011】
本発明は、車両加速度の唐突感を緩和するのに必要なエンジン出力の抑制程度が上述したようにアクセルペダル操作だけで決まらず、同じアクセルペダル操作のもとでも、停車したエンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んで行う発進加速時と、走行中に略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んで行う再加速時とで異なるとの事実認識、また、同じ再加速時でも踏み込み時車速に応じて逐一異なるとの事実認識にもとづき、
如何なる車速条件からの踏み込み加速時でも、車両加速度の唐突感を与えることのない良好なエンジン出力制御を行い得るようにした踏み込み加速時エンジン出力制御装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明による車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず前提となる車両のエンジン出力制御装置を説明するに、これは、
アクセルペダル操作に応じ電子制御されるエンジン出力決定手段の動作量によりエンジンの出力を決定するようにしたものである。
【0013】
本発明においては、かかる車両のエンジン出力制御装置において、
略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時車速と、アクセルペダル操作量とから、踏み込み時車速ごとの車両の目標加速度を求め、
この目標加速度が達成されるようアクセルペダル操作に対するエンジン出力決定手段の動作量を電子制御するよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
かかる本発明の踏み込み加速時エンジン出力制御装置によれば、
略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時車速と、アクセルペダル操作量とから、踏み込み時車速ごとの車両の目標加速度が達成されるようアクセルペダル操作に対するエンジン出力決定手段の動作量を電子制御するため、
踏み込み時車速ごとの車両目標加速度として、車両加速度の唐突感を与えることのない目標加速度を設定することにより、如何なる車速条件からの踏み込み加速時でも車両加速度の唐突感を与えることのないエンジン出力制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる踏み込み加速時エンジン出力制御装置を具えた車両のパワートレーンと、その制御系を示し、このパワートレーンをエンジン1と無段変速機2とで構成する。
エンジン1はガソリンエンジンであるが、その出力決定手段であるスロットルバルブ3を、運転者が操作するアクセルペダル4に機械的に連結させず、これから切り離してスロットルアクチュエータ5によりスロットルバルブ3の開度を電子制御するようになす。
【0016】
スロットルアクチュエータ5は、エンジンコントローラ6がアクセルペダル4の操作に応じ後述のごとくに決定する目標スロットル開度tTVOに応動して動作量を制御され、これによりスロットルバルブ3の開度を当該目標スロットル開度tTVOに一致させ、エンジン1の出力を、基本的にはアクセルペダル4の操作に応じた値となるように制御するが、アクセルペダル操作以外の因子によっても制御可能とする。
【0017】
なおエンジンコントローラ6は、スロットルアクチュエータ5を介した上記スロットル開度制御を行うだけでなく、図示しなかったが、その他エンジン1の運転に際して必要な燃料噴射量制御や、フューエルカット制御や、点火時期制御や、吸排気弁のバルブリフト量制御をも行うものとする。
これら燃料噴射量制御や、フューエルカット制御や、点火時期制御や、吸排気弁のバルブリフト量制御もエンジン出力を決定することから、エンジン出力決定手段は上記のスロットルバルブ3に限られず、これらの制御を司る機器であってもよいことは言うまでもない。
【0018】
無段変速機2は周知のVベルト式無段変速機とし、トルクコンバータ7を介してエンジン1の出力軸に駆動結合されたプライマリプーリ8と、これに整列配置したセカンダリプーリ9と、これら両プーリ間に掛け渡したVベルト10とを具える。
そして、セカンダリプーリ9にファイナルドライブギヤ組11を介してディファレンシャルギヤ装置12を駆動結合し、これらにより図示しない左右駆動輪を回転駆動するものとする。
【0019】
無段変速機2の変速動作は、プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ9のそれぞれのV溝を形成するフランジのうち、一方の可動フランジを他方の固定フランジに対して相対的に接近させてV溝幅を狭めたり、逆に離間させてV溝幅を拡げることにより行うようにし、
両可動フランジのストローク位置を、変速制御油圧回路13からのプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecの比により決定する。
【0020】
変速制御油圧回路13は変速アクチュエータとしてのステップモータ14を具え、これを変速機コントローラ15が目標変速比imに対応したステップ位置に駆動させることで、無段変速機2を、実変速比が目標変速比imと一致するように無段変速させるものとする。
【0021】
エンジンコントローラ6および変速機コントローラ15は、個々に前記したエンジン1の制御および無段変速機2の制御を行うほか、入力情報はもとより、演算結果を相互間で通信し合って、エンジン1および自動変速機2を協調制御するものとする。
このためエンジンコントローラ6に、両コントローラ6,15に共通な入力情報として、アクセルペダル4の踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ21からの信号と、
無段変速機2の入力回転数Niを検出する入力回転センサ22からの信号と、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ23からの信号と、
車速VSPを検出する車速センサ24からの信号と、
スロットル弁3のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ25からの信号と、
無段変速機2の出力回転数Noを検出する出力回転センサ26からの信号とを入力する。
【0022】
変速機コントローラ15は、アクセル開度APOをパラメータとし、車速VSPおよび目標変速機入力回転数tNiの二次元マップとして予め求めておいた変速マップを基に、アクセル開度APOおよび車速VSPから目標入力回転数tNiを求め、この目標入力回転数tNiを変速機出力回転数Noでを除算して得られる目標変速比im=tNi/Noを求める。
そして変速コントローラ15は、ステップモータ14を目標変速比imに対応したステップ位置に駆動させることで、無段変速機2を、実変速比i=Ni/Noが目標変速比im=tNi/Noと一致するように無段変速させるものとする。
【0023】
エンジンコントローラ6は、本発明の目的を達成するため、図2に示す制御プログラムを実行して目標スロットル開度tTVOを決定する。
先ずステップS1において、略エンジン無負荷状態からアクセルペダル4を踏み込んだ時における車速である踏み込み時車速VSPfを更新すべきか否かを判定し、更新すべきならステップS2で踏み込み時車速VSPfを更新し、更新すべきでないならステップS3で踏み込み車速VSPfを更新時の値に維持する。
【0024】
かようにして求める踏み込み時車速VSPfを図3により以下に説明する。
図3は、アクセルペダル4の踏み込みによりアクセル開度APOを瞬時t1に0(エンジン無負荷状態)から増大させて車両を車速VSPの経時変化により示すように加速させ、瞬時t2にアクセル開度APOを0にしてエンジンを無負荷状態にし、瞬時t3に再びアクセルペダル4の踏み込みによりアクセル開度APOを0(エンジン無負荷状態)から増大させて車両を車速VSPの経時変化により示すように加速させる場合のタイムチャートである。
【0025】
よって、アクセルペダル4の釈放を検知してONになり、アクセルペダル4の踏み込みを検知してOFFになるアイドルスイッチは、瞬時t1までON、瞬時t1〜t2間でOFF、瞬時t2〜t3間でON、瞬時t4以後OFFになる。
そして踏み込み時車速VSPfは、アクセル開度APO=0のエンジン無負荷状態からアクセルペダル4を踏み込んでアクセル開度APO>0となったのに呼応してアイドルスイッチがONからOFFに切り替わる踏み込み瞬時t1,t3に、当該瞬時の車速VSPと同じ値に更新され、更新瞬時と更新瞬時との間は直前の更新値を維持されて、図3に示すごとくに決定される。
【0026】
踏み込み時車速VSPfは上記の代わりに図4に示すごとくに決定することもできる。
図4は、図3の場合と同じ条件でのタイムチャートを示し、アクセルペダル4を釈放した(アクセル開度APO=0にした)のに呼応してアイドルスイッチがONである間は、踏み込み時車速VSPfを車速VSPと同じ値に更新し続け、アクセルペダル4の踏み込み(アクセル開度APO>0)に呼応してアイドルスイッチがOFFになる瞬時t1,t3以後は、踏み込み時車速VSPfを当該瞬時の車速VSPと同じ値に維持しする。
【0027】
なお上記では、アクセルペダル4を釈放した(アクセル開度APO=0にした)のに呼応してアイドルスイッチがONである間を略エンジン無負荷状態と見なし、アクセルペダル4を踏み込んだ(アクセル開度APO>0になった)のに呼応してアイドルスイッチがON→OFFになったのを踏み込み加速時と見なしたが、この代わりに、
エンジン吸気管負圧が設定値よりも低い間を略エンジン無負荷状態と見なし、エンジン吸気管負圧が設定値以上(大気圧に近い値)になったのを踏み込み加速時と見なしたり、
トルクコンバータ7の速度比が設定値以上である間を略エンジン無負荷状態と見なし、トルクコンバータ7の速度比が設定値未満になったのを踏み込み加速時と見なしたり、
車両加速度Gが設定値未満である間を略エンジン無負荷状態と見なし、車両加速度Gが設定値以上になったのを踏み込み加速時と見なしたり、
燃料噴射パルス幅が設定値未満である間を略エンジン無負荷状態と見なし、燃料噴射パルス幅が設定値以上になったのを踏み込み加速時と見なすことができる。
【0028】
図2の次のステップS4においては、上記のように求めた踏み込み時車速VSPfと、アクセル開度APOと、車速VSPとから、図5、または図7、或いは図8のようにして目標スロットル開度tTVOを求め、これを図1のスロットルアクチュエータ5に出力して、スロットルバルブ3のスロットル開度TVOをこの目標値tTVOとなす。
【0029】
図5に示す目標スロットル開度tTVOの演算方式は、アクセル開度APOをパラメータとし、車速VSPに対する車両目標加速度tGの変化特性を表した目標加速度マップ31−0(GMAP0),31−1(GMAP1),31−n(GMAPn)を、踏み込み時車速VSPfごとに予め用意しておく。
マップ31−0は、VSPf=0の時の発進加速用目標加速度マップ、マップ31−1は、VSPf=VSP1の時の再加速用目標加速度マップ、マップ31−nは、VSPf=VSPn>VSP1の時の再加速用目標加速度マップである。
これらのマップはそれぞれ踏み込み時車速VSPfごとに、図10につき前述した加速時における車両加速度の唐突感が問題とならない範囲でできるだけ大きな目標加速度tGを表したものである。
【0030】
目標加速度演算部32においては、これらマップ31−0,31−1,31−nのうち、踏み込み時車速VSPfに対応するマップを選択し、選択したマップを基に車速VSPおよびアクセル開度APOから、車両加速度の唐突感が問題とならない範囲でできるだけ大きな目標加速度tGを求める。
【0031】
目標エンジン回転数演算部33においては、目標エンジン回転数tNeを、上記目標加速度tG、車両重量W、タイヤ有効半径R、無段変速機2の変速比i、トルクコンバータ7のトルク比tおよびトルク容量係数τ、変速機およびタイヤ間の終減速比ifに基づく次式
tNe={(tG×W×R)/(i×t×τ×if)}1/2
の演算により求める。
【0032】
目標エンジントルク演算部34においては、目標エンジントルクtTeを、上記目標エンジン回転数tNeおよびトルクコンバータ7のトルク容量係数τに基づく次式
tTe=τ×tNe2
の演算により求める。
【0033】
目標スロットル開度演算部35においては、エンジン1の性能マップを基に、上記目標エンジン回転数tNeおよび目標エンジントルクtTeの組み合わせ(エンジンパワー)を達成するのに必要な目標スロットル開度tTVOを検索し、これを図1のスロットルアクチュエータ5に出力してスロットル開度TVO=tTVOとなす。
【0034】
上記した本実施例の構成によれば、略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時車速VSPfと、アクセル開度APOとから、踏み込み時車速VSPfごとに車両の唐突感のない範囲で可能な限り大きな目標加速度tGが達成されるようアクセル開度APOに対するスロットル開度TVOを電子制御するため、
図6に示すごとく、車速VSP=0からの発進加速時はもとより、走行中の再加速時であっても、また、如何なる踏み込み時車速VSPf=VSP1、VSPf=VSPnからの再加速であっても、車両加速度Gを実線図示のごときものとなして、波線図示の従来の車両加速度よりも小さくすることができ、車両加速度Gの唐突感を与えることのないエンジン出力制御が可能となる。
【0035】
なお、踏み込み時車速VSPfを決定するに際し、図3につき前述したごとく略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ瞬時t1,t3に踏み込み時車速VSPfを当該瞬時の車速VSPに更新し、この更新した踏み込み時車速VSPfを次のアクセルペダルの踏み込みまで維持する場合、
アクセルペダルを踏み込んでいる間に踏み込み時車速VSPfが変化することがなく、この変化により前記のマップが切り替わって目標スロットル開度tTVOが変化する違和感を回避することができる。
【0036】
また瞬時t1,t3に踏み込み時車速VSPfが当該瞬時の車速VSPに更新されて変化するといえども、当該瞬時にはアクセル開度APO=0に呼応して目標スロットル開度tTVOが0にされているため、エンジン出力も変化を生ずることがないし、もしエンジン出力が変化するとしても、運転者が自分の意志でアクセルペダル踏み込み操作をしたと同じ方向のエンジン出力変化であるので、違和感を感じるものではない。
【0037】
なお、踏み込み時車速VSPfを決定するに際し、図4につき前述したごとく、
踏み込み時車速VSPfを略エンジン無負荷状態で実車速VSPと同じ値にし、略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時t1,t3より次に略エンジン無負荷状態になるまでの間、該アクセルペダル踏み込み時の実車速VSPと同じ値に維持する場合、
図3の場合と同様の効果、つまり、アクセルペダルを踏み込んでいる間に踏み込み時車速VSPfが変化することがなく、この変化により前記のマップが切り替わって目標スロットル開度tTVOが変化する違和感を回避することができるという効果を得ることができる。
【0038】
また上記のように、踏み込み時車速VSPfを略エンジン無負荷状態で実車速VSPと同じ値に更新し続けても、
この間はアクセル開度APO=0に呼応して目標スロットル開度tTVOが0にされているため、エンジン出力も変化を生ずることがなく問題になることはない。
【0039】
なお前記したように、アクセルペダル4の釈放、踏み込みに応動するアイドルスイッチのON,OFFにより、略エンジン無負荷状態と、踏み込み加速とを判断する代わりに、
エンジン吸気管負圧が設定値よりも低い間を略エンジン無負荷状態と見なし、エンジン吸気管負圧が設定値以上(大気圧に近い値)になったのを踏み込み加速時と見なす場合、
この吸気管負圧が、運転者の加速要求とエンジントルクの双方を反映していることから、両者間の応答遅れを考慮した判定が可能となって制御の安定性を確保することができる。
【0040】
また、略エンジン無負荷状態と、踏み込み加速とを判断するに際し、前記したごとく、
トルクコンバータ7の速度比が設定値以上である間を略エンジン無負荷状態と見なし、トルクコンバータ7の速度比が設定値未満になったのを踏み込み加速時と見なす場合、
トルクコンバータ7の速度比が停車時は0であり、発進の瞬間に0でなくなることから、発進加速の瞬間を確実に判定することができて有利である。
【0041】
更に、略エンジン無負荷状態と、踏み込み加速とを判断するに際し、前記したごとく、
車両加速度Gが設定値未満である間を略エンジン無負荷状態と見なし、車両加速度Gが設定値以上になったのを踏み込み加速時と見なす場合、
車両加速度Gが運転者のアクセルペダル操作に呼応する実スロットル開度TVOの対応したものであることから、運転者の意図を反映した判定を行うことができて有用である。
また、略エンジン無負荷状態と、踏み込み加速とを判断するに際し、前記したごとく、
燃料噴射パルス幅が設定値未満である間を略エンジン無負荷状態と見なし、燃料噴射パルス幅が設定値以上になったのを踏み込み加速時と見なす場合、
エンジンのストイキ燃焼時に運転者の意図を反映した判定を行うことができて有用である。
【0042】
図7に示す目標スロットル開度tTVOの演算方式は、アクセル開度APOをパラメータとし、車速VSPに対する車両目標加速度(前記実施例と同じtG)達成用の目標スロットル開度tTVOの変化特性を表した目標スロットル開度マップ41−0(TVOMAP0),41−1(TVOMAP1),41−n(TVOMAPn)を、踏み込み時車速VSPfごとに予め用意しておく。
【0043】
マップ41−0は、VSPf=0の時の発進加速用目標スロットル開度マップ、マップ41−1は、VSPf=VSP1の時の再加速用目標スロットル開度マップ、マップ41−nは、VSPf=VSPn>VSP1の時の再加速用目標スロットル開度マップである。
これらのマップはそれぞれ踏み込み時車速VSPfごとに、図10につき前述した加速時における車両加速度の唐突感が問題とならない範囲でできるだけ大きな目標加速度tGを達成するための目標スロットル開度tTVOを表したものである。
【0044】
目標スロットル開度演算部42においては、これらマップ41−0,41−1,41−nのうち、踏み込み時車速VSPfに対応するマップを選択し、選択したマップを基に車速VSPおよびアクセル開度APOから、車両加速度の唐突感が問題とならない範囲でできるだけ大きな目標加速度tGを達成するための目標スロットル開度tTVOを求め、これを図1のスロットルアクチュエータ5に出力してスロットル開度TVO=tTVOとなす。
【0045】
かかる本実施例の構成によっても、略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時車速VSPfと、アクセル開度APOとから、踏み込み時車速VSPfごとに車両の唐突感のない範囲で可能な限り大きな目標加速度tGが達成されるようアクセル開度APOに対するスロットル開度TVOを電子制御するため、
図6に示すごとく、車速VSP=0からの発進加速時はもとより、走行中の再加速時であっても、また、如何なる踏み込み時車速VSPf=VSP1、VSPf=VSPnからの再加速であっても、車両加速度Gを実線図示のごときものとなして、波線図示の従来の車両加速度よりも小さくすることができ、車両加速度Gの唐突感を与えることのないエンジン出力制御が可能となる。
【0046】
本実施例においては更に、目標加速度tGを達成する目標スロットル開度tTVOを求めるのに、マップ41-0,41-1,41-nを基に踏み込み時車速VSPf、車速VSPおよびアクセル開度APOから直接的に目標スロットル開度tTVOを求めることから、図5の実施例では4個の演算部32〜35が必要であったのに、これに代わる1個の演算部42で目標スロットル開度tTVOを求めることができて大いに有利である。
【0047】
図8に示す目標スロットル開度tTVOの演算方式は、アクセル開度APOをパラメータとし、車速VSPに対する車両目標加速度(前記両実施例と同じtG)達成用の目標スロットル開度tTVOの変化特性を表した、図7の場合と同様な考え方に基づく低車速踏み込み加速時用の目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)および高車速踏み込み加速時用の目標スロットル開度マップTVOMAP(High)を予め用意しておく。
【0048】
目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)は、踏み込み時車速VSPfが低車速踏み込み加速判定用の設定値VSP(Low)未満(発進加速を意味する0を含む)である間に、唐突感のないぎりぎりの車両目標加速度tGを達成するのに必要な目標スロットル開度tTVOの変化特性を表すマップで、
目標スロットル開度マップTVOMAP(High)は、踏み込み時車速VSPfが高車速踏み込み加速判定用の設定値VSP(High)以上である間に、唐突感のないぎりぎりの車両目標加速度tGを達成するのに必要な目標スロットル開度tTVOの変化特性を表すマップである。
【0049】
低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度演算部51では、対応する目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)を基にアクセル開度APOおよび車速VSPから、低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度tTVO(Low)を求める。
高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度演算部52では、対応する目標スロットル開度マップTVOMAP(High)を基にアクセル開度APOおよび車速VSPから、高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度tTVO(High)を求める。
【0050】
移行係数演算部53では、上記した低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)から高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(High)への移行形態を定めるための移行係数Kpを求める。
移行係数演算部53には、踏み込み時車速VSPfに対する移行係数Kpの変化特性を定めた予定の移行係数マップを具え、この移行係数Kpの変化特性は、踏み込み時車速VSPfが低車速踏み込み加速判定用設定値VSP(Low)未満である時Kp=0に保ち、踏み込み時車速VSPfが高車速踏み込み加速判定用設定値VSP(High)以上である時Kp=1に保ち、踏み込み時車速VSPfがVSP(Low)〜VSP(High)の車速域である時Kpが踏み込み時車速VSPfの上昇につれ0から1に向け漸増するものとする。
【0051】
移行係数演算部53では、上記した移行係数Kpの変化特性マップを基に踏み込み時車速VSPfから、低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)より高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(High)への移行係数Kpを検索して求める。
【0052】
高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度tTVO(High)は、踏み込み時車速VSPfに応じた移行係数Kpをそのまま用いた重み付けを付与されてKp×tTVO(High)となり、低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度tTVO(Low)は、(1−Kp)による重み付けを付与されて(1−Kp)×tTVO(Low)となり、これら重み付けを付与された目標スロットル開度の和値、つまりKp×tTVO(High)+(1−Kp)×tTVO(Low)を最終的な目標スロットル開度tTVOとする。
【0053】
従って、踏み込み時車速VSPfが低車速踏み込み加速判定用設定値VSP(Low)未満であれば、低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)に基づき目標スロットル開度tTVOが決定され、踏み込み時車速VSPfが高車速踏み込み加速判定用設定値VSP(High)以上であれば、高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(High)に基づき目標スロットル開度tTVOが決定され、踏み込み時車速VSPfがVSP(Low)からVSP(High)に上昇するにつれ、低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)から高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(High)へと補間しながら目標スロットル開度tTVOが漸減するよう決定される。
【0054】
これがため本実施例においても、目標スロットル開度tTVOが図7につき前述したと同様に決定され、これに基づくスロットル開度制御を介したエンジン出力制御により、図6につき前述したと同様の作用効果を達成することができる。
本実施例においては更に、低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)および高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(High)と、移行係数Kpとから目標スロットル開度tTVOを求め得ることから、
目標スロットル開度マップが低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(Low)と、高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度マップTVOMAP(High)との2個のみに足り、データ量が少なくてメモリ容量を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例になる踏み込み加速時エンジン出力制御装置を具えた車両用パワートレーンを、その制御系と共に示すシステム図である。
【図2】同パワートレーン制御系におけるエンジンコントローラが実行する踏み込み加速時エンジン出力制御プログラムを示すフローチャートである。
【図3】図2に示す踏み込み加速時エンジン出力制御プログラム内で求めた踏み込み時車速の変化タイムチャートである。
【図4】他の要領で求めた踏み込み時車速の変化タイムチャートである。
【図5】図2に示す踏み込み加速時エンジン出力制御プログラムにおける目標スロットル開度演算処理の機能別ブロック線図である。
【図6】図2に示す踏み込み加速時エンジン出力制御プログラムを実行した場合における車両加速度の発生状況を、発進加速時と、2種類の再加速時について示す説明図である。
【図7】図2に示す踏み込み加速時エンジン出力制御プログラムにおける目標スロットル開度演算処理に関した他の例を示す機能別ブロック線図である。
【図8】図2に示す踏み込み加速時エンジン出力制御プログラムにおける目標スロットル開度演算処理に関した更に他の例を示す機能別ブロック線図である。
【図9】従来のエンジン出力制御を示し、 (a)は、同エンジン出力制御用のアクセル開度に対するスロットル開度の制御特性図、 (b)は、同スロットル開度制御による車両加速度の発生状況を示す説明図である。
【図10】図9に示す従来のエンジン出力制御を行った場合の動作特性を示し、 (a)は、発進加速時のスロットル開度変化および再加速時のスロットル開度変化を、再加速時の好適なスロットル開度変化と共に示すスロットル開度の変化説明図、 (b)は、従来のエンジン出力制御を行った場合における車両加速度の発生状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 エンジン
2 無段変速機
3 スロットルバルブ(エンジン出力決定手段)
4 アクセルペダル
5 スロットルアクチュエータ
6 エンジンコントローラ
7 トルクコンバータ
8 プライマリプーリ
9 セカンダリプーリ
10 Vベルト
11 ファイナルドライブギヤ組
12 ディファレンシャルギヤ装置
13 変速制御油圧回路
14 ステップモータ
15 変速機コントローラ
21 アクセル開度センサ
22 入力回転センサ
23 エンジン回転センサ
24 車速センサ
25 スロットル開度センサ
26 出力回転センサ
31−0 発進加速時用目標加速度マップ
31−1 再加速時用目標加速度マップ
31−n 再加速時用目標加速度マップ
32 目標加速度演算部
33 目標エンジン回転数演算部
34 目標エンジントルク演算部
35 目標スロットル開度演算部
41−0 発進加速時用目標スロットル開度マップ
41−1 再加速時用目標スロットル開度マップ
41−n 再加速時用目標スロットル開度マップ
42 目標スロットル開度演算部
51 低車速時踏み込み加速用目標スロットル開度演算部
52 高車速時踏み込み加速用目標スロットル開度演算部
53 移行係数演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダル操作に応じ電子制御されるエンジン出力決定手段の動作量によりエンジンの出力を決定するようにした車両のエンジン出力制御装置において、
略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時の踏み込み時車速と、アクセルペダル操作量とから、踏み込み時車速ごとの車両の目標加速度を求め、
この目標加速度が達成されるようアクセルペダル操作に対するエンジン出力決定手段の動作量を電子制御するよう構成したことを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記エンジン出力決定手段がエンジンのスロットルバルブであることを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記目標加速度を達成するための目標エンジン回転数および目標エンジントルクの組み合わせを求め、これら目標エンジン回転数および目標エンジントルクの組み合わせから、エンジン性能マップを基に前記エンジン出力決定手段の動作量を決定するよう構成したことを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記目標エンジン回転数tNeは、前記目標加速度tG、車両重量W、タイヤ有効半径R、エンジンと組み合わせる変速機の変速比i、エンジンおよび変速機間におけるトルクコンバータのトルク比tおよびトルク容量係数τ、変速機およびタイヤ間の終減速比ifを用いた次式
tNe={(tG×W×R)/(i×t×τ×if)}1/2
の演算により求めることを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記目標エンジントルクtTeは、前記目標エンジン回転数tNe、エンジンおよび変速機間におけるトルクコンバータのトルク容量係数τを用いた次式
tTe=τ×tNe2
の演算により求めることを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記目標加速度は、アクセルペダル操作量をパラメータとし、車速に対する目標加速度の変化特性を表したマップを踏み込み時車速ごとに予め用意しておき、これらマップを基に踏み込み時車速、車速およびアクセルペダル操作量から検索により求めることを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記目標加速度達成用のエンジン出力決定手段の動作量は、アクセルペダル操作量をパラメータとし、車速に対する目標加速度達成用エンジン出力決定手段動作量の変化特性を表したマップを踏み込み時車速ごとに予め用意しておき、これらマップを基に踏み込み時車速、車速およびアクセルペダル操作量から検索により求めることを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記目標加速度達成用のエンジン出力決定手段の動作量は、アクセルペダル操作量をパラメータとし、車速に対する目標加速度達成用エンジン出力決定手段動作量の変化特性を表したマップを、踏み込み時車速が高い場合のものと、低い場合のものとの2個を予め用意しておき、これらマップを基に、これらマップ間での移行態様を踏み込み時車速に応じ定めるための移行係数と、車速と、アクセルペダル操作量とから求めることを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記踏み込み時車速は、略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時に更新し、この更新した踏み込み時車速を次のアクセルペダルの踏み込みまで維持することを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置において、
前記踏み込み時車速は、略エンジン無負荷状態で実車速と同じ値にし、略エンジン無負荷状態からアクセルペダルを踏み込んだ時より次に略エンジン無負荷状態になるまでの間、該アクセルペダル踏み込み時の実車速と同じ値に維持することを特徴とする車両の踏み込み加速時エンジン出力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−16624(P2007−16624A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196280(P2005−196280)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】