説明

車両制御装置

【課題】簡素な構成によりないし既存の構成を活用して、モータ駆動される車輪に電気的な制動トルクを印加することができる、車両制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン3によって駆動される回転子5aを備えると共に界磁電流24が自在に通電され、エンジン回転数に応じた周波数の交流電圧25を出力自在な発電機5と、誘導電動機4に交流電圧25による回転磁界が発生自在となるよう、発電機5と誘導電動機4を電気的に接続する結線6と、エンジン3の回転数、発電機5の回転子5aの回転数ないし交流電圧25の周波数に対応する第1の信号21と、第2の車輪の回転数ないし誘導電動機4の回転子4aの回転数に対応する第2の信号22と、が入力され、発電機5の回転子5aの回転数が、誘導電動機4の回転子4aの回転数よりも低いと判定した場合、発電機5に界磁電流24を通電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関し、特に、エンジン駆動される第1の車輪と、モータ駆動される第2の車輪を備えた車両、中でも、四輪駆動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジン駆動される前輪及び発電機と、左誘導電動機によって駆動される左後輪と、右誘電電動機によって駆動される右後輪と、を有する、四輪駆動車両において、エンジン駆動される発電機と、それぞれモータ駆動される左右の誘導電動機とを電気的に接続し、左右後輪に回転数差が発生した際、この回転数差が解消されるよう、左右誘導電動機のいずれか一方が自動的に駆動トルクを発生する、制御装置が提案されている。
【0003】
特許文献2には、エンジン駆動される前輪及び交流発電機と、誘導電動機によって駆動される後輪と、を有する、四輪駆動車両において、交流発電機と、誘導電動機を電気的に接続し、交流発電機が出力する交流電圧によって、誘導電動機に駆動トルクが発生し、この駆動トルクによって、後輪が駆動される制御装置が提案されている。また、特許文献2には、高速時や下り坂時で、通常は後輪を駆動する誘導電動機を発電機として使用し、車両内には誘導電動機による発電を充電または消費する設備を設けておくことにより、回生制動、発電制動といった制動力を得ることができる、と開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−218604号公報(請求項1、段落0036)
【特許文献2】特開2005−312273号公報(段落0023、0030)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている制動方式によれば、モータ駆動される車輪に電気的に得られる制動トルクを印加するためには、バッテリ及びインバータや抵抗等の新たな設備の追加が必要であるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2には、モータ駆動される車輪に電気的に得られる制動トルクを印加する制御については、特段の開示がない。
【0007】
本発明の目的は、簡素な構成によりないし既存の構成を活用して、モータ駆動される車輪に電気的な制動トルクを印加することができる、車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の視点において、第1の車輪が、エンジンにより駆動自在であり、第2の車輪が、誘導電動機の回転子に直接又は間接的に接続されてモータ駆動自在な、車両において、前記エンジンに直接又は間接的に接続されて駆動される回転子を備えると共に界磁電流が自在に通電され、エンジン回転数に応じた周波数の交流電圧を出力自在な発電機と、前記誘導電動機に前記交流電圧による回転磁界が発生自在となるよう、前記発電機と該誘導電動機を電気的に接続する結線と、前記エンジンの回転数、前記発電機の前記回転子の回転数ないし前記交流電圧の周波数に対応する第1の信号と、前記第2の車輪の回転数ないし前記誘導電動機の前記回転子の回転数に対応する第2の信号と、が入力され、該第1及び第2の信号に基づいて、前記発電機に通電される界磁電流の少なくともオンオフを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1及び第2の信号に基づいて、前記発電機の前記回転子の回転数が、前記誘導電動機の前記回転子の回転数よりも低いと判定した場合、前記発電機に前記界磁電流を通電させて、前記誘導電動機の前記回転子の回転周波数よりも低い周波数の前記交流電圧を出力させ、該誘導電動機に、当該交流電圧による前記回転磁界を発生させることにより、前記誘導電動機は、すべりがマイナスの領域で運転され、該誘導電動機の前記回転子を介して、前記第2の車輪に制動トルクが印加自在である、車両制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
(1)ブレーキ時など、エンジン回転数が低下ないし減少していく際、エンジンによって回されている発電機の回転子の回転数が、モータ駆動される車輪によって回されている、誘導電動機の回転子の回転数よりも、低くなる状態が発生する。このとき、制御部が、発電機に界磁電流を通電すると、発電機が出力する交流電圧の周波数は、誘導電動機の回転子の回転周波数よりも低くなる。このように、周波数の相対的に低い交流電圧が誘導電動機に印加されると、誘導電動機の回転磁界の回転数は、誘導電動機の回転子の回転数よりも低くなり、すなわち、誘導電動機は、すべりがマイナスの領域で運転され、誘導電動機の回転子には、制動トルクが印加される。かくして、制御部は、ブレーキ時等、必要に応じて、誘導電動機の回転子を介して、モータ駆動される車輪に電気的な制動トルクを印加することができる。
(2)本発明によれば、簡素な構成、すなわち、エンジン駆動される発電機を、所定の車輪を駆動する誘導電動機に接続した構成により、必要に応じて、電気的な制動トルクをモータ駆動される車輪に印加することができる。
(3)本発明によれば、車両に、インバータ及びバッテリ等の高価な設備を新たに搭載しなくても、例えば、所定の車輪をモータ駆動するための構成を利用して、ブレーキ時など必要に応じて、電気的な制動トルクをモータ駆動される車輪に印加することができる。
(4)本発明によれば、モータ駆動される車輪に対して、電気的な制動力を印加することができるため、モータ駆動される車輪に対して設けられる油圧ブレーキの小型化ないし低容量化が可能となる。なお、ブレーキ時、モータ駆動される車輪、例えば、後輪、に印加される荷重の小さい小型車両においては、油圧ブレーキの廃止も可能となる。このような、油圧ブレーキの小型化あるいは廃止によって、誘導電動機を設けたことによる重量増加が相殺され、車両のバネ下重量の増加も抑制される。これにより、車両を駆動する誘導電動機を取り付けることに起因する、乗り心地や運動性能の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例に係る車両制御装置のブロック図である。
【図2】図1に示した制御装置の要部を説明するブロック図である。
【図3】図1及び図2に示した誘導電動機のトルク−すべり特性を示す図である。
【図4】図1及び図2に示した制御装置が後輪に制動トルクを印加する際の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図1及び図2に示した制御装置が後輪に制動トルクを印加する際の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る車両制御装置は、前記車両の利用者のブレーキ意思を示す第3の信号を出力するブレーキスイッチを有し、前記制御部は、前記第3の信号に基づいて、ブレーキ時、前記発電機に界磁電流を通電させ、前記誘導電動機によって、前記第2の車輪に制動トルクを印加させる。この形態によれば、利用者の意思に同期して、誘導電動機から電気的な制動力を得ることができる。
【0012】
本発明の実施の形態に係る車両制御装置において、前記制御部は、前記発電機の前記回転子の回転数が、前記誘導電動機の前記回転子の回転数よりも高いと判定した場合、前記発電機に前記界磁電流を通電させて、前記誘導電動機の前記回転子の回転周波数よりも高い周波数の前記交流電圧を出力させ、該誘導電動機に、当該交流電圧による前記回転磁界を発生させることにより、前記誘導電動機は、すべりがプラスの領域で運転され、該誘導電動機の前記回転子を介して、前記第2の車輪に駆動トルクが印加自在である。この形態によれば、駆動用の誘導電動機を必要に応じて利用して、この誘導電動機から電気的な制動力を得ることができる。
【0013】
本発明の実施の形態に係る車両制御装置において、前記結線の途中に、前記誘導電動機の前記回転磁界の回転方向を切り替えるリレーが接続され、前記制御部は、前記リレーの切り替えにより、前進及び後進の両方において、前記第2の車輪に制動トルクを印加自在である。この形態によれば、車両の進行方向によらず、電気的な制動力を得ることができる。
【0014】
本発明の実施の形態に係る車両制御装置において、前記制御部は、前記界磁電流の波形の制御により、前記第2の車輪に印加される制動トルクを介して、ブレーキフィーリングを可変に設定する。この形態によれば、電気的な制動トルクによって、ブレーキフィーリングを改善することができる。
【0015】
本発明の実施の形態に係る車両制御装置において、前記制御部は、エンジン回転数に応じて、例えば、エンジンと第1の車輪の間に接続されたトランスミッションの変速比(ギア比など)に応じて、界磁電流を制御する。
【実施例1】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。図1は、本発明の一実施例に係る車両制御装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示した制御装置の要部を説明するブロック図である。
【0017】
[四輪駆動車両]
図1及び図2を参照すると、四輪駆動車両31は、エンジン3により駆動自在な左右の前輪(第1の車輪)1,1と、左右の誘導電動機4,4の回転子4a,4aにそれぞれ接続された左右の後輪(第2の車輪)2,2と、を有している。エンジン3の動力は、トランスミッション8を介して変速されて、さらに、ディファレンシャル機構9を介して、左右の前輪1,1に伝達される。左右の誘導電動機4,4には、分配リレー4rを介して、交流電流が分配される。なお、本実施例において、左右の前輪1,1、左右の後輪2,2および左右の誘導電動機4,4はそれぞれ、等価に取り扱うことができるため、以下、主として、一方の前輪1、後輪2および誘導電動機4について、説明する。
【0018】
[四輪駆動車両の制御装置]
四輪駆動車両31の制御装置32は、エンジン3によって駆動される回転子5aを備えると共に界磁電流24が自在に通電され、エンジン回転数に応じた周波数の交流電圧25を出力自在な発電機5を有している。発電機5の回転子5aには、エンジン3の動力が、プーリーセット10を介して伝達される。また、エンジン3の動力は、補機用発電機11にも伝達される。補機用発電機11は、バッテリ14を充電することができる。バッテリ14の電力は、後述する制御部7に供給される。誘導電動機4は、三相交流誘導モータであり、発電機5は三相交流同期発電機であり、両者は対称的な構成を有している。
【0019】
制御装置32は、誘導電動機4に交流電圧25による回転磁界が発生自在となるよう、発電機5と誘導電動機4を電気的に接続する結線6を有している。結線6の途中には、誘導電動機4の回転磁界の回転方向を切り替える相切替リレー6rが接続されている。
【0020】
制御装置32は、エンジン3の回転数、発電機5の回転子5aの回転数ないし交流電圧25の周波数に対応するエンジン回転数信号(第1の信号)21と、後輪4の回転数ないし誘導電動機4の回転子4aの回転数に対応する後輪回転数信号(第2の信号)22と、が入力され、エンジン回転数信号及び後輪回転数信号21,22に基づいて、界磁電流24の少なくともオンオフを制御する制御部7と、を有している。制御部7は、所定のプログラムを実行するコンピュータないしECUから構成することができる。
【0021】
[各種センサ]
エンジン3には、エンジン回転数を検出し、エンジン回転数信号(第1の信号)21を出力するエンジン回転数センサ3sが付設されている。制御部7は、発電機5の回転子5aの回転数を、すなわち、発電機5が出力する交流電圧25の周波数を、エンジン回転数とプーリーセット10のギヤ比から算出することができる。
【0022】
後輪2には、後輪回転数を検出して後輪回転数信号(第2の信号)22を出力する後輪回転数センサ2sが付設されている。誘導電動機4の回転子4aと後輪2の間には、減速機12が接続されている。したがって、制御部7は、誘導電動機4の回転子4aの回転数を、後輪回転数と減速機12の減速比から算出することができる。
【0023】
利用者が操作するブレーキペダル13には、利用者のブレーキ意思を示すブレーキ信号(第3の信号)を出力するブレーキスイッチ13sが付設されている。
【0024】
なお、四輪駆動車両31の所定箇所には、誘導電動機4の温度を検出する温度センサ、シフトポジションセンサ、サイドブレーキの操作状態を検出するサイドブレーキスイッチ等が設置される。制御部7は、これらのセンサやスイッチが出力する検出信号に基づいて、各種制御を実行することができる。
【0025】
[制御部]
特に、図2を参照すると、制御部7は、エンジン回転数信号(第1の信号)21および後輪回転数信号(第2の信号)22に基づいて、発電機5の回転子5aの回転数が、誘導電動機4の回転子4aの回転数よりも低いと判定した場合、発電機5にバッテリ14から供給される電力による界磁電流24を通電(オン)して、誘導電動機4の回転子4aの回転周波数よりも低い周波数の交流電圧25を出力させ、誘導電動機4に、交流電圧25による回転磁界を発生させることにより、誘導電動機4は、後述する図3で示すように、“すべりがマイナスの領域”で運転され、回転子4aを介して、後輪2に制動トルクが印加自在である。
【0026】
制御部7は、特に、ブレーキ時、ブレーキ信号(第3の信号)23に基づいて、発電機5に界磁電流24を通電して、上述のように、誘導電動機4によって、後輪2に制動トルクを印加させる。なお、制御部7は、相切替リレー6rの切り替えにより、四輪駆動車両31の前進及び後進の両方において、後輪2に制動トルクを印加させることができる。
【0027】
[誘導電動機4を、そのすべりがマイナスの領域で使用すること]
図3は、図1及び図2に示した誘導電動機のトルク−すべり特性を示す図である。図1〜図3を参照すると、本実施例による誘導電動機4は、ブレーキ時、図3中、斜線で記す、“すべりがマイナスの領域”で使用されて、後輪2に制動トルクを印加することができる。
【0028】
その理由は、ブレーキ時、エンジン回転数が低下ないしアイドル回転数となっていくため、発電機5の回転子5aの回転数が、後輪2によって駆動される誘導電動機4の回転子4aの回転数よりも、低くなる期間(図3中の斜線部参照)が発生し、発電機5は、誘導電動機4の回転子4aの回転周波数よりも低い周波数の交流電圧25を出力し、周波数の相対的に低い交流電圧25が誘導電動機4の一次側に入力されることにより、誘導電動機4の回転子4aに制動トルクが印加されるからである。
【0029】
なお、エンジン回転数が十分に高い場合、すなわち、制御部7は、発電機5の回転子5aの回転数が、誘導電動機4の回転子4aの回転数よりも高いと判定した場合、発電機5に界磁電流24を通電して、誘導電動機4の回転子4の回転周波数よりも高い周波数の交流電圧25を出力させ、誘導電動機4に、当該交流電圧25による回転磁界を発生させることにより、誘導電動機4は、“すべりがプラス(0<s<1)の領域”で運転され、誘導電動機4の回転子4aを介して、後輪1に駆動トルクを印加することができる。
【0030】
図4は、図1及び図2に示した制御装置が後輪に制動トルクを印加する際の動作を説明するフローチャートである。図5は、図1及び図2に示した制御装置が後輪に制動トルクを印加する際の動作を説明するタイミングチャートである。
【0031】
図2、図4及び図5を参照すると、ステップS1で、制御部7は、ブレーキ信号23に基づいて、利用者によるブレーキ操作の有無を判定し、ブレーキペダル13が操作されてブレーキオンの場合には、ステップS2に移行し、ブレーキペダル13が操作されずブレーキオフの場合には、本ルーチンを終了する。
【0032】
ブレーキ13がオンされている場合には、図1に示したトランスミッション8の低速化(ギアダウン)、或いは、エンジン3のオフ又はその出力の低下に伴って、エンジン回転数(発電機回転子回転周波数27を参照)は、後輪回転数(22)に先んじて、低くなっていき、エンジン駆動されている発電機5の回転子5aの回転数(27)も、後輪2によって回されている誘導電動機4の回転子4aの回転数(誘導電動機回転子回転周波数26を参照)に先んじて、低くなっていく。
【0033】
ステップS2で、制御部7は、発電機5の回転子5aの回転数(27)と、誘導電動機4の回転子4aの回転数(26)の大小を比較判定して、発電機5の回転子5aの回転数(27)が誘導電動機4の回転子4aの回転数(26)よりも低い場合、すなわち、M:“誘導電動機回転子回転周波数”(26)>ALT:“発電機回転子回転周波数”(27)の場合、ステップS3に移行し、そうでない場合には、本ルーチンを終了する。
【0034】
ステップS3で、制御部7は、発電機5に、バッテリ14から供給される電力による界磁電流24を通電して、三相の交流電圧25を発生させる。交流電圧25の周波数は、誘導電動機4の回転子4aの回転周波数よりも低いものとなる。これによって、誘導電動機4は、図3中で斜線で示した、“すべりがマイナスの領域”で運転され、その回転子4aには制動トルクが印加され、回転子4aに接続されている後輪2には、電気的な制動力が印加され、後輪回転数(22)も次第に低下していく。なお、界磁電流24の波形制御により、交流電圧25の大きさ等を可変することにより、ブレーキフィーリングを自在に制御することができる。
【0035】
ステップS4で、制御部7は、発電機5の回転子5aの回転数(27)と、誘導電動機4の回転子4aの回転数(26)の大小を比較判定して、後輪回転数(22)が十分に低下した場合、すなわち、M:“誘導電動機回転子回転周波数”(26)<ALT:“発電機回転子回転周波数”(27)の場合、ステップS5に移行して、界磁電流24の通電を停止して、本ルーチンを終了し、そうでない場合には、ステップS3に戻って、界磁電流24の通電を継続させる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、エンジンと駆動モータによって駆動される四輪駆動車両、特に、パートタイム式四輪駆動車両に好適に適用される。
【符号の説明】
【0037】
1 前輪(第1の車輪)
2 後輪(第2の車輪)
2s 後輪回転数センサ
3 エンジン
3s エンジン回転数センサ
4 誘導電動機
4a 回転子
4r 分配リレー
5 発電機
5a 回転子
6 結線
6r 相切替リレー
7 制御部
8 トランスミッション
9 ディファレンシャル機構
10 プーリーセット
11 補機用発電機
12 減速機
13 ブレーキペダル
13s ブレーキスイッチ
14 バッテリ
21 エンジン回転数信号(エンジン回転数、第1の信号)
22 後輪回転数信号(後輪回転数、第2の信号)
23 ブレーキ信号(第3の信号)
24 界磁電流
25 交流電圧
26 誘導電動機の回転子の回転周波数(誘導電動機の回転子の回転数)
27 発電機の回転子の回転周波数(発電機の回転子の回転周波数)
31 四輪駆動車両
32 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車輪が、エンジンにより駆動自在であり、第2の車輪が、誘導電動機の回転子に直接又は間接的に接続されてモータ駆動自在な、車両において、
前記エンジンに直接又は間接的に接続されて駆動される回転子を備えると共に界磁電流が自在に通電され、エンジン回転数に応じた周波数の交流電圧を出力自在な発電機と、
前記誘導電動機に前記交流電圧による回転磁界が発生自在となるよう、前記発電機と該誘導電動機を電気的に接続する結線と、
前記エンジンの回転数、前記発電機の前記回転子の回転数ないし前記交流電圧の周波数に対応する第1の信号と、前記第2の車輪の回転数ないし前記誘導電動機の前記回転子の回転数に対応する第2の信号と、が入力され、該第1及び第2の信号に基づいて、前記発電機に通電される界磁電流の少なくともオンオフを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1及び第2の信号に基づいて、前記発電機の前記回転子の回転数が、前記誘導電動機の前記回転子の回転数よりも低いと判定した場合、
前記発電機に前記界磁電流を通電させて、前記誘導電動機の前記回転子の回転周波数よりも低い周波数の前記交流電圧を出力させ、該誘導電動機に、当該交流電圧による前記回転磁界を発生させることにより、
前記誘導電動機は、すべりがマイナスの領域で運転され、該誘導電動機の前記回転子を介して、前記第2の車輪に制動トルクが印加自在である、
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記車両の利用者のブレーキ意思を示す第3の信号を出力するブレーキスイッチを有し、
前記制御部は、前記第3の信号に基づいて、ブレーキ時、前記発電機に前記界磁電流を通電させ、前記誘導電動機によって、前記第2の車輪に前記制動トルクを印加させる、ことを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記発電機の前記回転子の回転数が、前記誘導電動機の前記回転子の回転数よりも高いと判定した場合、
前記発電機に前記界磁電流を通電させて、前記誘導電動機の前記回転子の回転周波数よりも高い周波数の前記交流電圧を出力させ、該誘導電動機に、当該交流電圧による前記回転磁界を発生させることにより、
前記誘導電動機は、すべりがプラスの領域で運転され、該誘導電動機の前記回転子を介して、前記第2の車輪に駆動トルクが印加自在である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記結線の途中に、前記誘導電動機の前記回転磁界の回転方向を切り替えるリレーが接続され、
前記制御部は、前記リレーの切り替えにより、前進及び後進の両方において、前記第2の車輪に制動トルクを印加自在である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記界磁電流の波形の制御により、前記第2の車輪に印加される前記制動トルクを介して、ブレーキフィーリングを可変に設定する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−234833(P2010−234833A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82155(P2009−82155)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】