説明

車両情報提供システム

【課題】 車両が通行する時点での道路の状況に合致した精度の高い車両情報の提供を行うことにある。
【解決手段】 車両に、自車両が近い将来に亘って走行し得る道路の渋滞予測データの配信を要求する旨を自車両の現在位置及び目的地までの経路の情報と共にセンタ12へ通知させる。センタ12に、車両の現在位置から目的地までの経路上の道路において現時点から将来において生ずる渋滞を予測させ、その渋滞予測データを車両へ送信させる。車両に、その渋滞予測データに基づく渋滞予測を反映した目的地までの予想燃費及び予想燃料消費量を算出させる。また、予想燃料消費量と残燃料量とを比較することでその残燃料量で目的地までの継続走行が可能であるか否かを判別させ、継続走行不可能のときは継続走行可能距離を算出させる。そして、車両に、算出した予想燃費や継続走行可能距離を表示モニタに表示させスピーカ38から音声案内させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報提供システムに係り、特に、車両運転者に対して車両の燃費や継続走行可能な距離に関する情報を提供するうえで好適な車両情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の継続走行距離やその継続走行距離内に存在する給油所の位置,目的地への到着時刻などを車両運転者に案内する車両情報提供システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムにおいては、各車両からの走行情報が中央センタに集約されて、現在時点における道路の渋滞情報を含む道路交通情報が作成される。そして、その現在時点における道路の渋滞情報を含む道路交通情報に基づいて上記した継続走行距離などの案内パラメータが算出され、その案内パラメータが車両運転者に対して示される。
【特許文献1】特開2001−84490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、高速道路や車両専用道路では、一般に、車両の経路が限定され給油所も限られた位置にしか存在しないため、車両が走行するのに、渋滞状況の経時的変化に対して上記の案内パラメータの受ける影響が過大となる。このため、上記従来のシステムの如く、継続走行距離などの案内パラメータを算出するうえで基礎となる情報が現在時点における道路の道路交通情報であると、将来の渋滞状況が反映されないこととなり、その結果、車両運転者に案内されるパラメータが精度の低いものとなるおそれがある。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両が通行する時点での道路の状況に合致した精度の高い車両情報の提供を行うことが可能な車両情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、車両が将来に亘って走行し得る道路の渋滞予測を示すデータを取得する渋滞予測データ取得手段と、前記渋滞予測データ取得手段によりデータ取得された前記渋滞予測を反映して車両の将来生じ得る燃費予測値又は継続走行可能な距離を算出する算出手段と、を備える車両情報提供システムにより達成される。
【0006】
この態様の発明においては、車両が将来に亘って走行し得る道路の渋滞予測が反映されて、車両の将来生じ得る燃費予測値又は継続走行可能な距離が算出される。かかる構成によれば、算出されたパラメータに基づく情報は車両が通行する時点での道路の状況に合致したものとなるため、車両運転者に対して精度の高い車両情報の提供が可能となる。
【0007】
尚、上記した車両情報提供システムにおいて、前記算出手段は、車両運転者の要求時に、前記渋滞予測を反映して車両の将来生じ得る燃費予測値又は継続走行可能な距離を算出することとしてもよい。
【0008】
また、上記した車両情報提供システムにおいて、前記算出手段により算出された車両の燃費予測値又は継続走行可能な距離を車両運転者の視認可能なモニタに表示する表示手段を備えることとすれば、車両が通行する時点での道路の状況に合致した精度の高い車両情報をモニタを通じて車両運転者に知らせることが可能となる。
【0009】
また、上記した車両情報提供システムにおいて、前記算出手段により車両の継続走行可能な距離が算出された状況において、車両の実走行距離が該算出された距離に達するまでに該車両が案内経路上の目的地に到達するか否かを判別する到達可否判別手段と、前記到達可否判別手段の判別結果を車両運転者に案内する到達可否案内手段と、を備えることとすれば、車両が案内経路上の目的地に到着できるか否かを車両運転者に知らせることが可能となる。
【0010】
この場合において、前記到達可否判別手段により車両が案内経路上の目的地に到達しないと判別された場合、該目的地までの案内経路を変更する第1の経路変更手段を備えることとすれば、最初に設定された案内経路の渋滞等に起因して車両が渋滞予測を反映した予想燃費と残燃料量との関係から目的地に到達できないときに車両を目的地まで新たな案内経路に沿って誘導することが可能となる。
【0011】
また、上記した車両情報提供システムにおいて、前記算出手段により車両の継続走行可能な距離が算出された状況において、車両の実走行距離が該算出された距離に達するまでの間に給油すべき給油所の位置を検知する給油位置検知手段と、前記給油位置検知手段により検知された前記位置を車両運転者に案内する給油位置案内手段と、を備えることとすれば、車両の給油すべき給油所の位置を車両運転者に知らせることが可能となる。
【0012】
この場合において、前記給油位置案内手段は、車両の実走行距離が前記算出手段により算出された車両の継続走行可能な距離に達するまでに該車両が案内経路上の目的地に到達しない場合に、前記給油位置検知手段により検知された前記位置を車両運転者に案内することとすれば、車両が渋滞予測を反映した予想燃費と残燃料量との関係から目的地に到達できないときに車両の給油すべき給油所の位置を車両運転者に知らせることが可能となる。
【0013】
また、目的地までの案内経路上において車両の実走行距離が前記算出手段により算出された車両の継続走行可能な距離に達するまでの間に給油すべき給油所が存在しない場合、該目的地までの案内経路を変更する第2の経路変更手段を備えることとすれば、最初に設定された案内経路では車両が渋滞予測を反映した予想燃費と残燃料量との関係から目的地に到達できずかつ燃料が無くなるまでの間に給油所が存在しないときに、車両を目的地まで新たな案内経路に沿って誘導することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両が通行する時点での道路の状況に合致した精度の高い車両情報の提供を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施例である車両情報提供システムの構成図を示す。本実施例の車両情報提供システムは、車両乗員に向けて各種の車両情報を案内し得る車両に搭載される車載機10と、車両情報を収集して各車両に対して提供し得るセンタ12と、を備えている。
【0016】
車載機10は、各種制御を統括するコンピュータを主体に構成された制御部20を備えている。制御部20は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。制御部20には、所定の通信ネットワークを通じてセンタ12と無線通信を行うことが可能なデータ通信モジュール(DCM)などの通信機22が接続されている。通信機22は、送受信アンテナを有し、車載機10の情報を通信ネットワークを介してセンタ12へ送信する機能、及び、センタ12から通信ネットワークを介して送信される情報を車載機10に受信する機能を有している。制御部20は、通信機22との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0017】
制御部20には、残燃料計24、GPS受信機26、及び地図データメモリ28が接続されている。残燃料計24は、自車両の燃料タンクに現に残っている残燃料量に応じた信号を制御部20に向けて出力する。制御部20は、残燃料計24の出力信号に基づいて自車両の残燃料量を検知する。また、GPS受信機26は、GPS衛星から送信されるGPS信号に基づいて自車両の位置を検知する。制御部20は、GPS受信機26から供給される信号に基づいて自車両の位置を検知する。地図データメモリ28には、車両の走行する道路地図の情報が、特にサービスエリアやパーキングエリア,給油所,インターチェンジの位置などの情報と共に格納されている。
【0018】
制御部20には、また、案内データメモリ30及び車両特性メモリ32が接続されている。案内メモリ28には、後述の如く車両乗員によるタッチパネルへの入力操作により設定された目的地やその目的地に至るまでに自車両が走行すべき経路,検知された自車両の残燃料量,その残燃料量に基づいて計算される自車両が継続走行可能な距離などの情報が書き込まれる。また、車両特性メモリ30には、現在若しくは過去一定時間の平均速度や走行距離,燃料噴射量,ハイブリッド自動車のときは更にバッテリ消費量等に基づいて算出される自車両の燃費(単位走行距離当たりの燃料消費量)や走行速度に応じた燃費特性が書き込まれる。制御部20は、適宜、案内データメモリ30の情報及び車両特性メモリ32の情報を読み出し、また、案内データメモリ30及び車両特性メモリ32への情報の書き込みを行う。
【0019】
制御部20には、また、車室内に設けられるタッチパネル34、表示モニタ36、及びスピーカ38が接続されている。タッチパネル34は、車両乗員が車両の目的地や経由地などを指定するために手動入力操作する装置であり、その入力情報は制御部20に供給される。制御部20は、タッチパネル34に入力された情報に従って各種の制御を行う。表示モニタ36は、車両乗員に視認可能に配置されており、制御部20による指示に従って、ナビゲーション装置として地図データメモリ28に格納されている道路地図を表示し、また、後述の如く車両の残燃料量や燃費,以後継続走行可能な距離などの各種情報を表示する。また、スピーカ38は、制御部20による指示に従って、車室内の車両乗員に向けて自車両の経路について更には後述の如く燃費や継続走行可能距離などについて音声案内を行う。
【0020】
また、センタ12は、高速演算可能なホストコンピュータ40を備えている。ホストコンピュータ40は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。ホストコンピュータ40には、現時点での道路状況(例えば平均速度や停車車両の有無,事故の有無など)を検知すべく道路上の各ポイントごとに設置されたカメラやマーカなどの検知手段42、現在時刻を計時する時計44、気象状況を検知するための気象情報検知手段46、及び道路工事の有無を検知するための工事情報検知手段48等が接続されている。
【0021】
ホストコンピュータ40は、検知手段42から供給される情報に基づいて現時点での道路全体にわたる道路交通情報(通行止め等を含む)を検知する。また、時計44から供給される時刻情報に基づいて現在時刻を検知すると共に、気象情報検知手段46から供給される現時点及び近い将来に予測される気象情報に基づいて地区ごとの気象情報を検知し、工事情報検知手段48から供給される現時点及び近い将来に予定される道路工事情報に基づいて道路全体にわたる道路工事の有無を検知する。
【0022】
ホストコンピュータ40には、また、大容量のデータベース50が接続されている。データベース50には、現時点までに統計的に把握されている全国の道路上の渋滞発生区間やその発生時間帯,天気などの渋滞傾向を示すデータが予め格納されていると共に、センタ12を利用する利用者である車両の正規使用者ごとの識別情報や車両ごとの識別情報,電話番号などの顧客情報が格納されている。
【0023】
ホストコンピュータ40には、所定の通信ネットワークを通じて車載機10と無線通信を行うことが可能な通信機52が接続されている。通信機52は、センタ12側の情報を通信ネットワークを介して車載機10へ送信する機能、並びに、車載機10から通信ネットワークを介して送信される情報をセンタ12に受信する機能を有している。センタ14のホストコンピュータ40は、通信機52との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0024】
以下、図2及び図3を参照して、本実施例の車両情報提供システムの動作について説明する。図2は、本実施例における経路の渋滞予測を反映して燃費を算出するための手法を説明するための図を示す。尚、図2(A)には車両の現在位置から目的地までの予想速度変化が、図2(B)にはその予想燃費変化が、また、図2(C)にはその予想燃料消費量変化が、それぞれ示されている。また、図3は、本実施例のシステムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0025】
本実施例において、車両運転者は、車両の目的地までの推奨経路を知りたい場合、まず、車載機10を起動させると共に、その状態でタッチパネル34を入力操作して目的地を指定する。車載機10の制御部20は、タッチパネル34での入力操作により目的地が指定された場合、地図データメモリ28に格納されている道路地図を参照して、まず、GPS受信機26を用いて検知される自車両の現位置から目的地までの車両が通行すべきとして推奨する経路を計算する。そして、その推奨経路が車両運転者により選択された後、その推奨経路を道路地図と共に表示モニタ36に表示する。
【0026】
車載機10の制御部20は、所定時間後の近い将来(例えば30分〜2時間後)における道路の渋滞予測のデータのセンタ12からの配信を要求する旨のタッチパネル34への入力操作が車両運転者によりなされるか否かを判別する(ステップ100)。その判別の結果、かかる渋滞予測データの配信要求がなされないときは、車両特性メモリ32に格納されている現在若しくは過去一定時間の平均速度や走行距離,燃料噴射量等に基づいて算出された自車両の現時点までの平均燃費を読み出し(ステップ102)、その平均燃費とその時点で検知される残燃料量とに基づいて自車両が現時点からその燃費で走行した際に現在の残燃料量であと継続して走行することのできる距離(以下、継続走行可能距離と称す)を算出する(ステップ104)。そして、適宜、その燃費や継続走行可能距離を表示モニタ36に表示し、更には適宜スピーカ38から音声案内する(ステップ106)。
【0027】
一方、上記の渋滞予測データの配信要求がなされたときは、まず、通信機22を通信ネットワークを介してセンタ12と無線通信接続させた上で、近い将来における道路の渋滞予測データの配信を要求する旨並びに自車両の現在位置及び目的地までの経路の情報をセンタ12に通知する。
【0028】
センタ12は、上記の如く、データベース50に、現時点までに統計的に把握されている全国の道路上の渋滞発生区間やその発生時間帯などの渋滞傾向データを予め格納している。センタ12は、各車両の車載機10から道路の渋滞予測の配信要求を受ける。センタ12のホストコンピュータ40は、車両からの道路渋滞予測の配信要求を通信機52で受けた場合、まず、その配信要求と同時に受信したその車両の現在位置及び目的地までの経路の情報に基づいてその車両の現在位置から目的地までの経路上の道路を特定する(ステップ200)。
【0029】
そして、ホストコンピュータ40は、検知手段42を用いて検知される現時点での道路交通情報、並びに、時計44や気象情報検知手段46,工事情報検知手段48を用いて検知される現在時刻、気象情報、及び道路工事情報から、上記の如く特定した道路におけるものだけを抽出したうえで、それら抽出した各情報に基づいてデータベース50に格納されている渋滞傾向データを参照して、上記の如く特定した道路において現時点から将来(例えば30分〜2時間後)において生ずると予想される渋滞を予測する。具体的には、渋滞の位置、長さ、増減傾向、その渋滞を通過するのに要する時間(区間通過予想時間)などを予測する(ステップ202)。
【0030】
ホストコンピュータ40は、上記の如く車両から送信される渋滞予測データの配信要求の受信後、その車両が走行する目的地までの経路における近い将来にわたる渋滞を予測した場合には、その渋滞予測データを通信機52から通信ネットワークを介してその車両の車載機10に送信する(ステップ204)。かかる処理が行われると、センタ12から車載機12に向けてその車両が走行する目的地までの経路における近い将来にわたる渋滞予測データが送信されることとなる。
【0031】
車載機10の制御部20は、渋滞予測データの配信要求後に、センタ12から送信される渋滞予測データを通信機22で受信した場合、まず、その渋滞予測データに基づく渋滞予測を反映して、自車両が現在位置から目的地に至るまでの経路を走行する際に予想される速度変化を算出する(図2(A);ステップ110)。例えば、30分後には100km先で渋滞区間5kmの渋滞が発生しかつその渋滞区間を通過するのに要する時間が10分であるが、1時間後には100km先で渋滞区間10kmの渋滞が発生しかつその渋滞区間を通過するのに要する時間が20分である状況においては、1時間後までは時速100kmで走行し、その後20分間は平均時速30kmで走行し、更にその後は再び時速100kmで走行するように予想する。尚、渋滞区間では、図2(A)に示す如く所定時間周期で停車と走行とが繰り返されるように速度変化させるものとすればよい。
【0032】
制御部20は、上記の如く目的地までの経路における予想速度変化を算出した場合、その予想速度変化を車両特性メモリ32に格納されている自車両の走行速度に応じた燃費特性と照らし合わせることで、自車両が現在位置から目的地までの経路を走行する際に生じ得ると予想される燃費変化を算出する(図2(B);ステップ110)。そして、その予想燃費変化を積分することで、自車両が現在位置からの経路上を目的地まで走行するのに要すると予想される燃料消費量を算出すると共に(図2(C))、更に、自車両が目的地に到着すると予想される到着時刻を算出する(ステップ110)。
【0033】
また、制御部20は、上記の如く目的地までに消費される予想燃料消費量を算出した場合、その予想燃料消費量を残燃料計24を用いて検出される残燃料量と比較することで、自車両が経路上を目的地まで現在の残燃料量だけで継続して走行することができるか否かを判別する(ステップ112)。その結果、目的地までの予想燃料消費量が残燃料量を下回ることで、目的地までの継続走行が可能であると判別した場合は、目的地までの継続走行が可能である旨、並びに、自車両の将来の予想燃費及び目的地への予想到着時刻を、道路地図上の推奨経路と共に表示モニタ36に表示し、更には適宜スピーカ38から音声案内する(ステップ114)。
【0034】
一方、目的地までの予想燃料消費量が残燃料量以上であることで、目的地までの継続走行が残燃料不足に起因して不可能であると判別した場合は、まず、自車両が上記の予想燃費変化に従って走行した際にその残燃料量で継続して走行することのできる継続走行可能距離を算出する。そして、目的地までの継続走行が不可能である旨及びその継続走行可能距離を、道路地図上の推奨経路と共に表示モニタ36に表示し、更には適宜スピーカ38から音声案内する(ステップ116)。尚、この際でも、予想燃費及び目的地への予想到着時刻の表示出力等を行ってもよい。また、上記の如く目的地までの予想燃料消費量が残燃料量を下回っている場合でも、このように自車両が予想燃費変化に従って走行した際にその残燃料量で継続して走行することのできる継続走行可能距離を表示出力したり音声案内することとしてもよい。
【0035】
このように、本実施例の車両情報提供システムにおいては、車両運転者が渋滞予測データの配信要求をセンタ12に対して行わないときは、通常どおり、その時点までの平均燃費及びその平均燃費に対応する継続走行可能距離が車載機10の表示モニタ36に表示される。一方、車両運転者が渋滞予測データの配信要求をセンタ12に対して行ったときは、自車両が今後走行する経路における渋滞予測を反映した予想燃費又はその予想燃費に対応する継続走行可能距離が車載機10の表示モニタ36に表示される。
【0036】
自車両が今後将来に亘って走行する経路における渋滞予測を反映した予想燃費又はその予想燃費に対応する継続走行可能距離が表示モニタ36に表示されれば、車両運転者は、自車両が走行する目的地までの経路における渋滞予測状況に合致した予想燃費や継続走行可能距離の情報の提供を受けることができる。
【0037】
従って、本実施例のシステムによれば、車両運転者に提供される情報が、自車両が今後通行する時点での道路の渋滞予測を反映したその状況に合致したものとなるため、自車両が現時点までの平均燃費又はその平均燃費で今後走行するものとした際における継続走行可能距離を表示モニタ36に表示する場合と比較して、特に渋滞状況の経時的変化に対して燃費や継続走行可能距離の受ける影響が過大となる高速道路などにおいて、車両運転者に対してより精度の高い車両情報の提供が可能となる。
【0038】
また、本実施例のシステムにおいて、道路の渋滞予測を反映した情報が車両運転者に提供されるのは、その車両運転者がタッチディスプレイ34の操作によりセンタ12から車載機10への渋滞予測データの配信要求を行ったときのみである。すなわち、センタ12から車載機10への渋滞予測データの配信要求がなされなければ、センタ12と車載機10との間で渋滞予測データの送受が行われることはなく、渋滞予測を反映した情報が車両運転者に提供されることはない。従って、本実施例のシステムによれば、道路の渋滞予測データが常にセンタ12から車両へ配信されるシステムと比較して、車両運転者に対して車両情報を提供するうえでの通信費の削減を図ることが可能である。
【0039】
更に、本実施例のシステムにおいては、道路の渋滞予測を反映して算出される予想燃費に従って自車両が目的地までの経路を今後走行するものとした結果として、その目的地までの継続走行が残燃料不足に起因して不可能であるときはその不可能である旨が、一方、その継続走行が残燃料だけで可能であるときはその可能である旨が、表示モニタ36に表示されスピーカ38から音声案内される。従って、本実施例のシステムによれば、車両運転者は、道路の渋滞予測を反映して算出される予想燃費に従って自車両を目的地まで経路上を走行させる場合に、その時点での残燃料だけでその案内経路上の目的地に自車両を到着させることができるか否かを知ることが可能であり、これにより、車両運転者に自車両の置かれている状況を認知させたうえでその後の対応を速やかにとらせることが可能となっている。
【0040】
また、本実施例の車両情報提供システムにおいて、車載機10の制御部20は、目的地までの予想燃料消費量が残燃料量以上である残燃料不足に起因して目的地までの継続走行が不可能である状況においては、上述の如くその目的地までの継続走行が不可能である旨及び算出した継続走行可能な距離の情報を運転者に提供するが、この際同時に、地図データメモリ28に格納されているデータを参照して、経路上において自車両の実走行距離がその継続走行可能距離に達するまでの間にサービスエリアなどの給油可能な給油所が存在するか否かを判別し、その給油所の位置を検知する(ステップ118)。そして、その自車両の実走行距離が予想燃費と残燃料量とに応じた継続走行可能距離に達するまでに給油所が存在するときには、その給油所の位置や給油の必要性を自動的に、推奨経路が表示された表示モニタ36に重畳表示し、更には、例えば「40km先に給油所があります。」や「次のサービスエリアで給油が必要です。」などとスピーカ38から音声案内する(ステップ120)。
【0041】
かかる構成によれば、車両運転者は、道路の渋滞予測を反映した予想燃費に従って自車両が目的地までの経路を今後走行するものとした結果として残燃料不足に起因して目的地までの継続走行が不可能であるときは、その車両燃料が空になる前に、自車両が給油すべき給油所の位置及び車両給油の必要性を知ることが可能となる。従って、本実施例のシステムによれば、車両運転者に対してより精度の高い車両情報の提供が可能であり、車両運転者に目的地に到着するのに自車両の燃料が不足するときの対応を速やかにとらせることが可能となっている。
【0042】
更に、制御部20は、上述の如く経路上において自車両の実走行距離が予想燃費と残燃料量とに応じた継続走行可能距離に達するまでに給油所が存在するか否かを判別した結果として、その給油所が存在しないときは、その一旦選択していた経路とは別の、自車両が現位置から目的地まで通行すべき経路を計算する(ステップ122)。例えば経路上にある高速道路の通行止めに起因して自車両が目的地まで継続走行できないときは、一般道路を優先した経路検索を行って自車両が通行すべき経路を再計算する。そして、その再計算して得た経路が車両運転者により選択された後、その経路を道路地図と共に表示モニタ36に表示する。
【0043】
かかる構成によれば、一旦設定された目的地までの案内経路では自車両が渋滞予測を反映した予想燃費と残燃料量との関係からその目的地に到達することができない状況で、その案内経路上において燃料が無くなるまでの間に給油所が存在しないときに、車両運転者に提供する目的地までの案内経路を新たな別の経路に変更することで、自車両を新たな案内経路に沿って目的地まで誘導することが可能となる。このため、新たな案内経路上或いはその付近に存在する給油所での車両給油を促すことができ、これにより、車両を目的地に確実に到着させることが可能となる。
【0044】
尚、上記の実施例においては、車載機10の制御部20が、センタ12から自車両が走行する目的地までの経路における近い将来にわたる渋滞を予測したデータを受信することにより特許請求の範囲に記載した「渋滞予測データ取得手段」が、図3に示すルーチン中ステップ110の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「算出手段」が、ステップ114,116の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「表示手段」が、ステップ112の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「到達可否判別手段」が、ステップ114,116の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「到達可否案内手段」が、ステップ118の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「給油位置検知手段」が、ステップ120の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「給油位置案内手段」が、ステップ122の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「第2の経路変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0045】
ところで、上記の実施例においては、目的地までの予想燃料消費量が残燃料量以上である残燃料不足に起因して目的地までの継続走行が不可能である状況において、車両がその残燃料量で継続走行可能な距離を算出し、車両の実走行距離がその継続走行可能距離に達するまでの間に給油すべき給油所が存在するか否かを判別しその位置を検知することとしているが、目的地までの継続走行が残燃料不足に起因して不可能であるときにかかわらず、渋滞予測が反映された予想燃費に応じた継続走行可能距離を算出したときに、車両の実走行距離がその継続走行可能距離に達するまでの間に給油すべき給油所が存在するか否かを判別しその位置を検知することとしてもよい。
【0046】
また、上記の実施例においては、目的地までの予想燃料消費量が残燃料量以上である残燃料不足に起因して目的地までの継続走行が不可能である状況において、その目的地までの継続走行が不可能である旨及びその継続走行可能距離の情報を運転者に提供するが、自車両が走行すべき目的地までの経路の変更を希望するか否かを車両運転者に確認させたうえで、目的地までの経路を別の経路に変更できるようにしてもよい。
【0047】
かかる構成において、車載機10の制御部20は、残燃料不足に起因して目的地までの継続走行が不可能であるとき、車両運転者が目的地までの経路の変更を希望する旨の表示モニタ36による表示出力やスピーカ38による音声案内を行う。そして、かかる状況でタッチパネル34での入力操作により経路変更が要求された場合、地図データメモリ28に格納されている道路地図を参照して、自車両の現位置から目的地までの車両が通行すべきとして推奨する現状とは別の経路を計算し、その経路が車両運転者により選択された後にその経路を道路地図と共に表示モニタ36に表示する。かかる構成によれば、最初に設定された案内経路の渋滞等に起因して車両が渋滞予測を反映した予想燃費と残燃料量との関係から目的地に到達できないときに車両を目的地まで新たな案内経路に沿って誘導することが可能となる。この場合には、制御部20が目的地までの経路を現状とは別のものに変更することにより特許請求の範囲に記載した「第1の経路変更手段」が実現されることとなる。
【0048】
また、上記の実施例においては、センタ12に、車両から通知される渋滞予測データの配信要求に応答して車両の現在位置から目的地までの経路上の道路において現時点から将来において生ずる渋滞を予測させ、その渋滞予測データを車両へ送信させると共に、車両に、その渋滞予測データに基づく渋滞予測を反映した目的地までの予想燃費及び予想燃料消費量を算出させ、予想燃料消費量と残燃料量とを比較することでその残燃料量で目的地までの継続走行が可能であるか否かを判別させ、継続走行不可能のときは継続走行可能距離を算出させることとしているが、車両に、渋滞予測データの配信要求時に自車両の現在位置及び目的地までの経路の情報と共に自車両の燃費特性や残燃料量の情報をセンタ12へ送信させたうえで、センタ12に、渋滞予測データに基づく渋滞予測を反映した目的地までの車両の予想燃費や継続走行可能距離等を算出させ、その情報を車両へ送信させることとしてもよい。この場合、車両の車載機10は、センタ12から送られてくる自車両の予想燃費や継続走行可能距離等の情報を受信して、その情報を車両運転者に提供すべく表示モニタ36に表示しスピーカ38から音声案内する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例である車両情報提供システムの構成図である。
【図2】本実施例における経路の渋滞予測を反映して燃費を算出するための手法を説明するための図である。
【図3】本実施例のシステムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10 車載機
12 センタ
20 制御部
24 残燃料計
36 表示モニタ
40 ホストコンピュータ
50 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が将来に亘って走行し得る道路の渋滞予測を示すデータを取得する渋滞予測データ取得手段と、
前記渋滞予測データ取得手段によりデータ取得された前記渋滞予測を反映して車両の将来生じ得る燃費予測値又は継続走行可能な距離を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする車両情報提供システム。
【請求項2】
前記算出手段は、車両運転者の要求時に、前記渋滞予測を反映して車両の将来生じ得る燃費予測値又は継続走行可能な距離を算出することを特徴とする請求項1記載の車両情報提供システム。
【請求項3】
前記算出手段により算出された車両の燃費予測値又は継続走行可能な距離を車両運転者の視認可能なモニタに表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の車両情報提供システム。
【請求項4】
前記算出手段により車両の継続走行可能な距離が算出された状況において、車両の実走行距離が該算出された距離に達するまでに該車両が案内経路上の目的地に到達するか否かを判別する到達可否判別手段と、
前記到達可否判別手段の判別結果を車両運転者に案内する到達可否案内手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の車両情報提供システム。
【請求項5】
前記到達可否判別手段により車両が案内経路上の目的地に到達しないと判別された場合、該目的地までの案内経路を変更する第1の経路変更手段を備えることを特徴とする請求項4記載の車両情報提供システム。
【請求項6】
前記算出手段により車両の継続走行可能な距離が算出された状況において、車両の実走行距離が該算出された距離に達するまでの間に給油すべき給油所の位置を検知する給油位置検知手段と、
前記給油位置検知手段により検知された前記位置を車両運転者に案内する給油位置案内手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の車両情報提供システム。
【請求項7】
前記給油位置案内手段は、車両の実走行距離が前記算出手段により算出された車両の継続走行可能な距離に達するまでに該車両が案内経路上の目的地に到達しない場合に、前記給油位置検知手段により検知された前記位置を車両運転者に案内することを特徴とする請求項6記載の車両情報提供システム。
【請求項8】
目的地までの案内経路上において車両の実走行距離が前記算出手段により算出された車両の継続走行可能な距離に達するまでの間に給油すべき給油所が存在しない場合、該目的地までの案内経路を変更する第2の経路変更手段を備えることを特徴とする請求項7記載の車両情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−94703(P2007−94703A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282527(P2005−282527)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】