説明

車両懸架装置

【課題】 流体バネと電磁サスペンションを備えた車両懸架装置において、電磁サスペンションのモータ発熱対策を提供する。
【解決手段】 エアバネ16は、車両のバネ上とバネ下の間に介装され、空気が充填されたエアチャンバ72によってバネ上とバネ下の間に弾性力を発生させる。電磁サスペンション18は、エアチャンバ72内に配置されたモータ22と、モータ22により伸縮制御されるロッド42およびアウターシェル50を備え、車両のバネ上とバネ下の間に減衰力を発生させる。モータ22の周囲には、熱遮蔽板20が設けられている。熱遮蔽板20は、エアチャンバ72外部まで延在し、この延在部分には放熱板78、80が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に車両懸架装置に関し、特に電磁サスペンションと流体バネ装置の両方を備えた車両懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路面を走行する車輪から車体に伝達される衝撃を緩和する様々なタイプの車両懸架装置が従来から開発されている。なかでも、アブソーバの機能を電磁アクチュエータに置き換えた電磁サスペンションが知られており、例えば、特許文献1には、電磁サスペンションとエアバネとを組み合わせた車両用電機動力付能動懸架装置が開示されている。
【特許文献1】特開平2−120113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1のような構造の懸架装置では、エアバネの内部に電磁サスペンションのモータが配置されているため、モータ発熱によりエアバネのダイヤフラムを劣化させてしまい、エアバネの寿命を低下させるおそれがある。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁サスペンションと流体バネの両方を備えた車両懸架装置において、電磁サスペンションのモータ発熱の影響を軽減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、車両懸架装置に関する。この装置は、車両のバネ上とバネ下の間に介装され、流体が充填されたチャンバによってバネ上とバネ下の間に弾性力を発生させるように構成された流体バネと、チャンバ内に配置されたモータおよび該モータによって伸縮制御される伸縮部材を有し、バネ上とバネ下の間に減衰力を発生させるように構成された電動減衰手段と、を備える。そして、前記モータの周囲には熱遮蔽板が設けられている。
【0006】
ここで、「流体バネ」とは、エアバネや油圧バネのように、密閉空間に流体を満たすことにより弾性力を発揮させるものをいう。この態様によれば、モータの周囲に熱遮蔽板を設けたので、モータからの輻射熱によるダイヤフラムなどのチャンバ構造の熱劣化を抑制することができる。
【0007】
熱遮蔽板は、チャンバの外部まで延在し、延在部分に放熱板が設けられていることが好ましい。こうすれば、熱遮蔽板の熱を効率的に外部に放熱することができる。
【0008】
流体バネには、チャンバへの流体の供給口と排出口とが別個に設けられており、チャンバ内の流体を循環させる循環手段が備えられていることが好ましい。これによって、チャンバ内の熱を効率的に外部に放熱することができる。
【0009】
排出口が熱遮蔽板に設けられており、熱遮蔽板付近の流体をチャンバ外に導く管が設けられていてもよい。これによって、モータの近傍の流体が外部に放出されるので、放熱性能が向上する。
【0010】
放熱板の近傍に、モータにより回転駆動されるファンが設けられていてもよい。これによって、放熱板からの放熱性能が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動減衰手段のモータの周囲に熱遮蔽板を設けたので、モータからの輻射熱によるチャンバ構造の熱劣化が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る車両懸架装置を備えた四輪の車両10の模式図である。なお、図1では、説明を簡単にするために車両懸架装置を平面的に表しているが、実際の車両においては、車両懸架装置の機能を発揮するために適切な空間配置で、例えばナックル、タイロッド、アッパーアーム、ロアアームなどの他の部品と既知の方法で組み合わせて構成される。
【0013】
車両10の車体12と各車輪14の間には、エアバネ16と電磁サスペンション18を組み合わせて構成される車両懸架装置が装着されている。エアバネ16は、電磁サスペンション18の駆動源であるモータを取り囲むように形成されたエアチャンバに圧縮空気を充填することで実現される。エアチャンバ内の圧縮空気がバネとして作用し、車輪14を弾性支持することによって、車輪14の衝撃が車体12に直接的に伝達されることを防止する。また、エアバネ16のエアチャンバの容積を変化させることで、車輪14毎に車高を調整することができる。電磁サスペンション18は、駆動源であるモータとこのモータにより伸縮される伸縮部材を直列に配置して構成される。電磁サスペンション18は、モータの力制御により車両のバネ上とバネ下の間に減衰力を発生させる。なお、本明細書において、エアバネ16により支えられる部材の位置を「バネ上」と呼び、エアバネ16により支えられていない部材の位置を「バネ下」と呼ぶ。すなわち、バネ上は車体12側であり、バネ下は車輪14側である。
【0014】
エアバネ16と電磁サスペンション18とは、一体的に構成されることが省スペースの観点から好ましいが、別々に設けられていてもよい。このエアバネ16と電磁サスペンション18の詳細な構成については、図2を参照して後述する。
【0015】
各車輪14の近傍には、車輪位置での車高を検出する車高センサ104がそれぞれ配置されている。この車高センサ104は、例えば、車軸と車体とを連結したリンクの変位を測定することで、車体12と車輪14との相対距離を検出するタイプのものである。車高センサ104の検出信号は、車体12に備えられる電子制御装置100(以下「ECU100」と表記する)に送られる。
【0016】
車体12には、エアバネ16のエアチャンバ内の空気圧を検出するための空気圧センサ106が車輪毎に設けられている。この空気圧センサ106は、例えば、エアチャンバに連通した通路内に設けた薄膜の変位を電気的に検出して空気圧を測定するタイプのものである。空気圧センサ106の検出信号は、ECU100に送られる。
【0017】
エアバネ16のエアチャンバは、空気供給ライン190と連通している。空気供給ライン190の途中には、各車輪14に対応してそれぞれ空気圧制御バルブ140が設けられている。この空気圧制御バルブ140は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100からの信号に応じて開弁状態と閉弁状態とに切り換えることができる。これによって、空気供給ライン190を介してエアバネ16のエアチャンバ内部に空気を供給し、また内部から空気を排出することができる。
【0018】
車体12には、空気供給ライン190に圧縮空気を供給するためのコンプレッサ160が備えられている。モータ162は、コンプレッサ160に動力を供給する。モータ162が回転すると、空気吸入口164を介して外部から空気が取り込まれ、コンプレッサ160により圧縮される。圧縮された空気は、ドライヤ174に流入する。ドライヤ174は、シリカゲル等の乾燥剤を収容しており、流入した空気を乾燥して空気供給ライン190に供給する。
【0019】
車体12には、コンプレッサ160から供給される圧縮空気を蓄えることのできる高圧タンク166と、高圧タンクへの空気の流出入を制御する高圧タンクバルブ168が設けられていてもよい。高圧タンク166は、コンプレッサ160から圧縮空気を送り込むことで、例えば700〜800kPaに維持されている。高圧タンク166とコンプレッサ160の両方から圧縮空気を空気供給ライン190に供給することで、エアバネの増圧時の応答性を向上させることができる。したがって、コンプレッサ160の能力が十分であれば、高圧タンク166を車体12に備えていなくてもよい。
【0020】
ドライヤ174から供給された空気は、逆止弁178を経由して、エアチャンバに連通する空気供給ライン190に流入する。逆止弁178は、コンプレッサ160側から空気が供給されると開放して、空気供給ライン190に空気を流すが、空気供給ライン190側からの空気が流れると閉弁する。この逆止弁178をバイパスするように、絞り176が設けられている。空気供給ライン190からの空気は、絞り176に流入して、流速を低下させられてからドライヤ174に流入する。こうすることによって、ドライヤ174のシリカゲルに吸収された水分を還元することができる。ドライヤ174を通過した空気は、排気バルブ170を介してサイレンサ172から車外に放出される。
【0021】
車体12の車室内には、運転者のスイッチ操作により予め定義されている車高のなかからひとつの車高を選択できる車高選択装置(図示せず)が備えられていてもよい。これによって、運転者の嗜好に合った走行を実現することができる。この車高選択装置のスイッチ情報もECU100に入力される。
【0022】
ECU100は、各車輪の電磁サスペンション18およびエアバネ16の制御を実行する。ECU100は、電磁サスペンション18のモータに電力を供給する図示しないアンプと通信可能に接続されており、各種センサからの信号に基づいて、車体を安定させるべく適切な減衰力を発揮するように電磁サスペンション18を制御する。
【0023】
ECU100は、空気圧制御バルブ140、排気バルブ170、高圧タンクバルブ168、コンプレッサ160を駆動するモータ162と電気的に接続されている。ECU100は、各種センサおよびスイッチからの信号に基づいて、上記制御バルブおよびモータ162に適宜制御信号を出力して、適切な弾性力を発揮するようにエアバネ16を制御する。
【0024】
図2は、電磁サスペンション18とエアバネ16の構造をより詳細に示す図である。本実施形態では、電磁サスペンション18とエアバネ16とは一体的に構成されている。電磁サスペンションの駆動源であるモータ22の出力軸36は、ボールネジ44と一体的に構成されている。出力軸36とボールネジ44とは、カップリングを介して同軸に結合されていてもよい。出力軸36は、ロッド42内部においてベアリング40によって回動可能に支持されている。
【0025】
ボールネジ44、ロッド42、アウターシェル50およびピストン98は、同軸に配置されている。ボールネジ44は、ボール通路を内部に形成してなるボールネジナット46と、このボール通路内を循環する複数個のボール48を挟んでボールネジ機構を形成している。ボール48がボールネジ44およびボールネジナット46の間で転動接触することにより、直動運動と回転運動が相互に高効率で変換される。
【0026】
ボールネジナット46は、ピストン98の上部と接続固定されており、ピストン98はアウターシェル50と同軸に接続されている。アウターシェル50は、ベアリング56および58によってロッド42の外周に対して摺動可能に支持されている。
【0027】
モータ22が、図示しないバッテリから供給される電力によって出力軸36を回転させると、ボールネジ44がボールネジナット46に対して相対回転する。すると、ボールネジナット46にピストン98を介して接続されているアウターシェル50が、ロッド42に対して下方に押し下げられ、又は上方に引き上げられる。これによって、アウターシェル50はロッド42に対して伸縮移動可能となり、モータ22により制御される伸縮部材として機能する。
【0028】
アウターシェル50は、ロッド42との間に配置されたダストシール96を有している。ダストシール96は、アウターシェル50とロッド42の間をシールして、アウターシェル50内へのゴミなどの異物の侵入を防止している。
【0029】
アウターシェル50の下部には、第2取り付け部60が設けられる。第2取り付け部60は、車輪14から延びる図示しないロアアームに取り付けられる箇所であり、車両懸架装置と車輪14とを連結する役割を果たす。
【0030】
なお、本実施形態では、ボールネジ44が車両のバネ上に、ボールネジナット46が車両のバネ下に設けられる例について説明するが、逆に、ボールネジ44が車両のバネ下に、ボールネジナット46が車両のバネ上に設けられてもよい。
【0031】
電磁サスペンション18は、以下のように作動する。モータ22に駆動電流が与えられると、アウターシェル50は能動的に伸縮作動して減衰力を発生させる。路面の凹凸などの外部入力によって車輪が上下動する場合、ロッド42とアウターシェル50との相対運動によりエアバネ16が伸縮する。これによって、ボールネジ44がボールネジナット46に対して相対回転すると、出力軸36が回転してモータ22は発電機として作用する。このときにモータ22に生じる抵抗力によっても減衰力を発生させることもできる。また、ECU100は、車体の上下方向の加速度に応じてモータ22に印加する電流を設定し、減衰力を調整する。このようにして、電磁サスペンション18は、所望の減衰力を発生させ、エアバネ16による車体12の上下振動を減衰させる。
【0032】
また、外部入力のないときでも、ボールネジ44を回転させて、ロッド42に対するアウターシェル50の位置を変えることで、車体を上下方向に変位させることができるので、電磁サスペンション18は、車高調整にも利用することができる。
【0033】
エアバネ16は、電磁サスペンション18に対して並列に配置されており、車両10のバネ上の重量を支持するとともに、その弾性力によって路面からの振動や衝撃が車輪14を通して車体12に伝わるのを抑制する。
【0034】
エアバネ16は、主に、第1取り付け部66と、ダイヤフラム64と、カバー62から構成される。第1取り付け部66は、車体12に取り付けられる部分であり、エアバネ16および電磁サスペンション18と車体12を連結する。ダイヤフラム64は、図2に示すように「J」字型の断面形状をしており、モータ22、ロッド42およびアウターシェル50を環状に取り囲むように取り付けられる。ダイヤフラム64の一端は、アウターシェル50の外周に固定された円錐状のカバー62に取り付けられ、他端は、第1取り付け部66の下端に取り付けられる。ダイヤフラム64、カバー62、アウターシェル50および第1取り付け部66によって、電磁サスペンション18の周囲に空気が充填される空間であるエアチャンバ72を形成している。
【0035】
第1取り付け部66には、空気供給ライン190とエアチャンバ72の間を連通する供給口70が空けられており、この供給口70を通して空気が供給または排出される。
【0036】
第1取り付け部66の下面と、電磁サスペンション18のモータ22の上面とは、緩衝材68を介して接続されている。電磁サスペンション18のボールネジ機構は、摩擦力が十分に低くなるように作られているため、第1取り付け部66とともにモータ22が上下動すると、これに追従して、ロッド42に対するアウターシェル50の相対位置が変化するようになっている。
【0037】
ここで、エアバネ16の車高調整時の動作について説明する。供給口70からエアチャンバ72内に圧縮空気が供給されエアチャンバ72の空気圧が上昇すると、第1取り付け部66のエアチャンバ72に面する下面が押し上げられる。これによって車体12の車高が上昇する。逆に、供給口70からエアチャンバ72内の空気が排出されエアチャンバ72の空気圧が低下すると、車体12の重量により第1取り付け部66が低下させられて、これによって車体12の車高が減少する。
【0038】
モータ22の周囲には、円筒状の熱遮蔽板20が設けられている。熱遮蔽板20は、第1取り付け部66の中央を貫通し、エアチャンバ72の外部まで延在するようになっている。熱遮蔽板20は、第1取り付け部66と固定されており、第1取り付け部66の上下動とともに移動する。モータ22の上部には、蓋76が熱遮蔽板20の内周に嵌め込まれており、これによって、エアチャンバ72を密閉構造としている。
【0039】
熱遮蔽板20のうち、エアチャンバ72の外部にある延在部分には、放熱板78、80が嵌め込まれている。図3は、熱遮蔽板20および放熱板78、80の平面図である。図示するように、放熱板78、80は、円筒状の熱遮蔽板20の全周にわたり設けられている。
【0040】
熱遮蔽板20および放熱板78、80は、熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウムであることが好ましいが、他の材料でもよい。また、熱遮蔽板20は円筒状でなく、他の形状であってもよい。また、熱遮蔽板を二重に設けてもよい。
【0041】
電磁サスペンション18は車両の走行中には高頻度で駆動されるため、モータ22が高温になりやすい。そこで、モータ22の周囲に熱遮蔽板を設けることにより、モータ22から発せられた熱がエアバネ16のダイヤフラム64に直接輻射されることがなくなるので、ダイヤフラム64の熱劣化を抑制することができる。ダイヤフラム64は主にゴム製であるため、高温になると硬化したり粘着現象を生じることがあり、その状態で変形すると、亀裂やひび割れを生じて寿命が低下してしまう。したがって、本実施形態のように熱遮蔽板を設けることで、エアバネの寿命を向上することができる。
【0042】
また、エアチャンバ72は密閉空間であるため熱が排出されにくいが、熱遮蔽板20はエアチャンバ72の外部まで延びているため、熱遮蔽板20の熱がエアチャンバ72の外部まで伝導し、放熱板78、80から放熱されるので、エアチャンバ72内の熱を効果的に排出することができる。
【0043】
なお、熱遮蔽板20がエアチャンバ72の外部まで延在しておらず、第1取り付け部66の下面に固定されている場合でも、ダイヤフラム64への輻射を避けるという点では有効である。この場合、蓋76に放熱フィンを設けるようにしてもよい。
【0044】
また、第1取り付け部66は、熱伝導率の低い材料で製造することが望ましい。第1取り付け部66は熱遮蔽板20と接しているので、熱が伝導してダイヤフラム64の取り付け部分が劣化するおそれがあるためである。
【0045】
熱遮蔽板だけでは放熱能力が不足する場合は、エアチャンバ内の空気を循環させるようにしてもよい。図4はその様子を示す図である。熱遮蔽板20の側面と、第1取り付け部66の側面に同軸、同径の孔84、86が空けられており、それらを貫通するように管82が嵌め込まれている。管82のエアチャンバ外部側には、制御バルブ88が接続されている。この制御バルブ88はECU100と電気的に接続されており、ECU100の図示しない空気循環制御部からの信号により開弁と閉弁を切り換えることができる。
【0046】
空気循環制御部は、図1で説明したコンプレッサ160および高圧タンク166からの圧縮空気を供給口70からエアチャンバ72内に供給するようにモータ162を駆動し、高圧タンクバルブ168および空気圧制御バルブ140を開弁する。さらに、空気循環制御部は、制御バルブ88を開弁して、エアチャンバ72内の空気が管82を経由して外部に放出されるようにする。本実施形態では、排出口となる管82が熱遮蔽板20に接続されているので、モータ22の周囲の空間74にある高温となった空気を、エアチャンバ外部に効果的に排出することができる。車体12に備えられたコンプレッサ160や高圧タンク166からの圧縮空気を使用する代わりに、エアチャンバ72内の空気を循環させるための専用のポンプを別に備えていてもよい。
【0047】
熱遮蔽板20をエアチャンバ72の外部まで延在させることがスペースの都合上困難である場合は、上記のように空気を循環させることが特に有効である。
【0048】
エアチャンバ72内の温度を検出する温度センサを設けておき、図示しない空気循環制御部は、エアチャンバの温度が所定値以上となったとき、空気の循環を開始するようにしてもよい。この場合、エアチャンバ72内の空気圧が高いと、空気の循環中に高圧状態を維持することが困難なため、空気循環制御部は、空気圧センサ106による検出値に基づいて、所定圧力以下のときのみ空気の循環を開始するようにしてもよい。
【0049】
図5に示すように、放熱板78、80の近傍に、ファン92を設けるようにしてもよい。この場合、モータ22を利用してファン92を駆動することが好ましい。図5に示すように、モータ22の出力軸36がモータ22の上部からも軸90として突出するような構造にしておき、この出力軸36の先端にファン92をナット94で固定する。こうすれば、電磁サスペンション18が駆動される毎にファン92が回転するので、放熱板78、80からの放熱を助けることができるほか、特別な駆動源が不要となるので省スペースにも貢献する。
【0050】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
実施の形態では、エアバネと電磁サスペンションを並列させた車両懸架装置を説明したが、油圧バネと電磁サスペンションを並列させた車両懸架装置についても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】車両懸架装置を備えた四輪の車両の模式図である。
【図2】エアバネと電磁サスペンションの構造を示す図である。
【図3】熱遮蔽板の平面図である。
【図4】エアチャンバ内の流体を循環させる様子を示す図である。
【図5】放熱板の近傍にファンを設けた様子を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 車両、 12 車体、 14 車輪、 16 エアバネ、 18 電磁サスペンション、 20 熱遮蔽板、 22 モータ、 64 ダイヤフラム、 70 供給口、 72 エアチャンバ、 78、80 放熱板、 82 管、 88 制御バルブ、 92 ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバネ上とバネ下の間に介装され、流体が充填されたチャンバによってバネ上とバネ下の間に弾性力を発生させるように構成された流体バネと、
前記チャンバ内に配置されたモータおよび該モータによって伸縮制御される伸縮部材を有し、バネ上とバネ下の間に減衰力を発生させるように構成された電動減衰手段と、
を備え、
前記モータの周囲に熱遮蔽板が設けられていることを特徴とする車両懸架装置。
【請求項2】
前記熱遮蔽板が前記チャンバ外部まで延在し、延在部分に放熱板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両懸架装置。
【請求項3】
前記流体バネは、前記チャンバへの流体の供給口と排出口とが別個に設けられており、この供給口と排出口を通して前記チャンバ内の流体を循環させる循環手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の車両懸架装置。
【請求項4】
前記排出口が前記熱遮蔽板に設けられており、該熱遮蔽板付近の流体をチャンバ外に導く管が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両懸架装置。
【請求項5】
前記放熱板の近傍に、前記モータにより回転駆動されるファンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両懸架装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−117213(P2006−117213A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310234(P2004−310234)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】