説明

車両用スタビライザシステム

【課題】1対のトーションバーの相対回転が禁止された状態と許容された状態とを切換可能なスタビライザシステムであって、1対のトーションバーが中立位置に位置した状態で相対回転が禁止されるスタビライザシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】1対のトーションバーの双方向への相対回転が許容される双方向相対回転許容状態と、中立相対回転位置に近づく方向への相対回転のみが許容される中立方向相対回転許容状態とを切換える機構を有するスタビライザシステムにおいて、車両の旋回時に車両の旋回に伴って1対のトーションバーが中立位置から離れる方向に相対回転している場合には(S12〜14)、双方向相対回転許容状態から中立方向相対回転許容状態への切換を禁止する(S6)ように構成する。このように構成すれば、1対のトーションバーが中立位置に位置した状態で確実に相対回転を禁止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1対のトーションバーの相対回転が禁止された状態と許容された状態とを選択的に実現可能なスタビライザ装置を備えた車両用スタビライザシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、下記特許文献に記載されているようなスタビライザ装置、具体的に言えば、1対のトーションバーの相対回転が禁止されることで、それら1対のトーションバーをスタビライザバーとして機能させた状態と、1対のトーションバーの相対回転が許容されることで、1対のトーションバーをスタビライザバーとして機能させない状態とを選択的に実現可能なスタビライザ装置が搭載された車両用スタビライザシステムが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−257143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能する場合に、1対のトーションバーが発生させる捩り反力によって車体のロールを効果的に抑制することが可能である。ただし、車両旋回時以外の場合、例えば、車両直進時等には、その捩り反力は必要なく、また、その捩り反力によって乗り心地が悪化する虞がある。上記特許文献に記載のスタビライザ装置においては、1対のトーションバーの相対回転が禁止されることで、それら1対のトーションバーをスタビライザバーとして機能させる状態と、1対のトーションバーの相対回転が許容されることで、1対のトーションバーをスタビライザバーとして機能させない状態とを選択的に実現することが可能とされており、車体のロールを抑制したい場合に1対のトーションバーをスタビライザバーとして機能させることが可能とされている。
【0005】
1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能する際のスタビライザバーの剛性は、1対のトーションバーの相対回転量が0となる状態つまり、1対のトーションバーの相対回転位置が中立相対回転位置(以下、「中立位置」と略す場合がある)に位置している状態を基準として設定されている。車両走行時に1対のトーションバーの相対回転が許容されている場合には、振動等によって1対のトーションバーが相対回転して、それらの相対回転位置が中立位置からズレることがある。1対のトーションバーの相対回転位置が中立位置に位置していない状態でそれら1対のトーションバーの相対回転が禁止されると、スタビライザバーの剛性は設定された剛性と異なることになり、予定されているロール抑制効果を発揮できない虞がある。そこで、近年では、1対のトーションバーのそれらが中立位置に近づく方向とその中立位置から離れる方向との双方への相対回転が許容される状態である双方向相対回転許容状態と、1対のトーションバーのそれらが中立位置に近づく方向への相対回転のみが許容される状態である中立方向相対回転許容状態とを選択的に実現可能な機構を備えたスタビライザ装置が検討されている。
【0006】
このスタビライザ装置においては、後に詳しく説明するように、双方向相対回転許容状態が実現された場合に、1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能しなくなる。一方、中立方向相対回転許容状態が実現された場合には、1対のトーションバーの中立位置に近づく方向(以下、「中立位置接近方向」という場合がある)への外部入力がトーションバーに作用することで、1対のトーションバーが中立位置に位置している状態において、1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能するのである。ただし、中立方向相対回転許容状態において、1対のトーションバーの中立位置から離れる方向(以下、「中立位置離間方向」という場合がある)への外部入力がトーションバーに作用した場合には、その方向への1対のトーションバーの相対回転が禁止され、中立位置とは異なる位置で1対のトーションバーは捩り反力を発生させる虞がある。本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、1対のトーションバーの相対回転が禁止された状態と許容された状態とを選択的に実現可能なスタビライザ装置であって、1対のトーションバーの相対回転が禁止される際に、1対のトーションバーの相対回転位置を効果的に中立位置に位置させることが可能な車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量が閾値以下である場合に双方向相対回転許容状態が実現され、ロールモーメント指標量が閾値を超えている場合に前記中立方向相対回転許容状態が実現されるが、ロールモーメント指標量が閾値を超えたときに車両の旋回に伴って1対のトーションバーが中立相対回転位置から離れる方向に相対回転している場合には、双方向相対回転許容状態から中立方向相対回転許容状態への切換を禁止するように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用スタビライザシステムにおいては、車両の旋回に伴って1対のトーションバーが中立位置離間方向に相対回転している場合には、中立方向相対回転許容状態は実現されない。つまり、言い換えれば、車両の旋回に伴って1対のトーションバーが中立位置接近方向に相対回転している場合に、中立方向相対回転許容状態は実現される。したがって、本発明の車両用スタビライザシステムによれば、1対のトーションバーの相対回転が禁止される際に、1対のトーションバーの相対回転位置を効果的に中立位置に位置させることが可能となる。
【発明の態様】
【0009】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0010】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、それぞれ相当する。
【0011】
(1)(A)左右の車輪に対応して設けられ、それぞれが、それぞれの軸線回りに回転可能に車体に保持されるとともに、車幅方向に延びて配設され、左右の車輪の対応するものを保持する車輪保持部に連結される1対のトーションバーと、(B)それら1対のトーションバーのそれらが中立相対回転位置に近づく方向とその中立相対回転位置から離れる方向との双方への相対回転が許容される状態である双方向相対回転許容状態と、前記1対のトーションバーのそれらが中立相対回転位置に近づく方向への相対回転のみが許容される状態である中立方向相対回転許容状態とを選択的に実現する相対回転許容状態切換機構とを有し、前記1対のトーションバーの相対回転が禁止された状態でそれら1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能するスタビライザ装置と、
車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量が閾値以下である場合に、前記双方向相対回転許容状態が実現され、前記ロールモーメント指標量が閾値を超えた場合に、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換が実現されて、前記ロールモーメント指標量が閾値以下となる迄、前記中立方向相対回転許容状態が維持されるように、前記相対回転許容状態切換機構を制御する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステムであって、
前記制御装置が、
前記ロールモーメント指標量が閾値を超えたときに、車両の旋回に伴って前記1対のトーションバーが前記中立相対回転位置から離れる方向に相対回転している場合には、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を禁止する切換禁止部を有する車両用スタビライザシステム。
【0012】
本項に記載された「相対回転許容状態切換機構」においては、双方向相対回転許容状態が実現された場合に、1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能しなくなる。一方、中立方向相対回転許容状態が実現された場合には、1対のトーションバーの中立位置に近づく方向(以下、「中立位置接近方向」という場合がある)への相対回転のみが許容される。このため、1対のトーションバーが中立位置に位置していない場合に、1対のトーションバーをスタビライザバーとして機能させるべく中立方向相対回転許容状態が実現されても、1対のトーションバーは中立位置接近方向への外部入力によって中立位置に接近する。そして、その方向への外部入力によって1対のトーションバーが中立位置まで相対回転させられた場合にのみ、1対のトーションバーの双方向への相対回転が禁止される。つまり、中立方向相対回転許容状態が実現された場合には、1対のトーションバーが中立位置に位置している状態において、1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能するのである。ただし、中立方向相対回転許容状態において、1対のトーションバーの中立位置から離れる方向(以下、「中立位置離間方向」という場合がある)への外部入力がトーションバーに作用した場合には、1対のトーションバーの中立位置離間方向への相対回転が禁止され、中立位置とは異なる位置で1対のトーションバーは捩り反力を発生させる虞がある。
【0013】
以上のことに鑑みて、本項に記載された車両用スタビライザシステムにおいては、車両の旋回に伴って1対のトーションバーが中立位置離間方向に相対回転している場合には、中立方向相対回転許容状態は実現されない。つまり、言い換えれば、車両の旋回に伴って1対のトーションバーが中立位置接近方向に相対回転している場合に、中立方向相対回転許容状態は実現される。したがって、本項に記載のシステムによれば、1対のトーションバーの相対回転が禁止される際に、1対のトーションバーの相対回転位置を効果的に中立位置に位置させることが可能となる。
【0014】
本項に記載された「中立相対回転位置」は、1対のトーションバーの相対回転量が0となる状態での1対のトーションバーの相対回転位置であり、車両が平坦な路面に停止している状態での1対のトーションバーの相対回転位置である。1対のトーションバーは、その中立相対回転位置から双方向に相対回転可能とされており、その中立相対回転位置は、1対のトーションバーの相対回転可能な範囲の概ね中央の位置である。また、本項に記載の「ロールモーメント指標量」は、車体が受けるロールモーメントの大きさを直接的あるいは間接的に表すパラメータであり、具体的には、ロールモーメント自体を始めとして、例えば、車両の操舵角,操舵速度,車両走行速度,車体に発生している横加速度,車両のヨーレートといった種々のものが、ロールモーメント指標量に該当する。
【0015】
(2)当該車両用スタビライザシステムが、
前後の車輪に対応して設けられ、それぞれが前記スタビライザ装置として機能する1対のスタビライザ装置を備え、
前記制御装置が、
前記ロールモーメント指標量が閾値以下である場合に、前記1対のスタビライザ装置の両方で前記双方向相対回転許容状態が実現され、前記ロールモーメント指標量が閾値を超えた場合に、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換が前記1対のスタビライザ装置の両方で実現されて、前記ロールモーメント指標量が閾値以下となる迄、前記1対のスタビライザ装置の両方で前記中立方向相対回転許容状態が維持されるように、前記1対のスタビライザ装置のそれぞれが有する前記相対回転許容状態切換機構を制御するとともに、
前記切換禁止部が、
前記ロールモーメント指標量が閾値を超えたときに、車両の旋回に伴って前記1対のスタビライザ装置の少なくとも一方の有する前記1対のトーションバーが前記中立相対回転位置から離れる方向に相対回転している場合には、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を、前記1対のスタビライザ装置の両方で禁止するように構成された(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
【0016】
前輪側のロール剛性と後輪側のロール剛性との比率と、車両のステアリング特性とは大きく関係しており、前後のロール剛性の比率が変化すると、ステアリング特性も変化する。前後のロール剛性の比率は、ステアリング特性を車両に適したものとするべく、予め設定されており、その予め設定された比率から変化しないことが望ましい。本項に記載のスタビライザシステムによれば、前輪側に設けられたスタビライザ装置と後輪側に設けられたスタビライザ装置とにおいて、殆ど同時に中立位置で1対のトーションバーの相対回転を禁止することが可能となり、前後のロール剛性の比率を予め設定されたものとすることが可能となる。
【0017】
(3)前記切換禁止部が、
前記ロールモーメント指標量が閾値を超えてから設定された時間だけしか、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を禁止しないように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
【0018】
中立位置において1対のトーションバーの相対回転が禁止されることも必要ではあるが、車両旋回時にロール抑制力が生じない期間が長く続くことは望ましくない。本項に記載の態様は、そのことを考慮して、設定時間だけ双方向相対回転許容状態から中立方向相対回転許容状態への切換を待つ態様である。
【0019】
(4)前記切換禁止部が、
特定の条件が満たされた場合に、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を禁止するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。
【0020】
車両が直進している状態において、1対のトーションバーが中立位置からズレない場合もある。このような場合は、切換禁止部によって切換を禁止する必要性が低い。本項に記載の態様は、そのことを考慮して、特定の条件が満たされた場合に切換を禁止する態様である。本項に記載の「特定の条件」として、種々のものを採用することが可能であるが、例えば、車両に作用する振動に関する条件,車両が走行している路面に関する条件等を採用することが可能である。
【0021】
(5)前記相対回転許容状態切換機構が、
シリンダハウジングと、そのシリンダハウジングの内部に移動可能に配設されたピストンとを有し、そのピストンと前記シリンダハウジングとによって、内部に作動液を収容するとともに前記ピストンの前記シリンダハウジング内部での移動に伴って容積が変化する液室が区画されたシリンダ装置と、
前記1対のトーションバーの相対回転を前記シリンダハウジング内での前記ピストンの移動に変換する機構であって、前記1対のトーションバーの相対回転位置が前記中立相対回転位置に位置している状態において前記ピストンを移動端に位置させるとともに、前記1対のトーションバーの前記中立相対回転位置から離れる方向への相対回転を前記ピストンの前記移動端から離れる方向への移動に変換し、前記1対のトーションバーの前記中立相対回転位置に近づく方向への相対回転を前記ピストンの前記移動端に近づく方向への移動に変換する動作変換機構と、
前記液室に連通し、作動液を貯留するリザーバと、
前記液室から前記リザーバへの作動液の流出と前記リザーバから前記液室への作動液の流入との両方を許容することで、前記ピストンの前記移動端に近づく方向と前記移動端から離れる方向との双方への移動を許容する状態である双方向移動許容状態と、前記液室から前記リザーバへの作動液の流出と前記リザーバから前記液室への作動液の流入との一方のみを許容することで、前記ピストンの前記移動端に近づく方向への移動のみを許容する状態である一方向移動許容状態とを選択的に実現する移動許容状態切換機構と
を備え、
前記双方向移動許容状態が実現されることで前記双方向相対回転許容状態が実現され、前記一方向移動許容状態が実現されることで前記中立方向相対回転許容状態が実現されるように構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。
【0022】
本項に記載のスタビライザシステムにおいては、相対回転許容状態切換機構の構造が具体的に限定されている。本項に記載のシステムによれば、作動液の流れを切換弁等によって切り換えるだけで、双方向相対回転許容状態と中立方向相対回転許容状態との切換を実現することが可能となる。本項に記載の「移動端」は、1対のトーションバーの相対回転に伴ってピストンが移動する範囲の一端を意味しており、1対のトーションバーの相対回転に伴ってピストンはその移動端までしか移動することはできず、移動端を超えて移動することはできない。
【0023】
(6)前記シリンダハウジングが、車幅方向に延びて配設されるとともに、一端部において前記1対のトーションバーの一方の基端部に相対回転不能に連結され、
前記動作変換機構が、前記1対のトーションバーの他方に相対回転不能に連結されてその他方の軸線回りの回転に伴って回転するカムと、前記ピストンに軸線方向に相対移動不能に連結されてそのカムの回転に従動して前記シリンダハウジングの軸線方向に移動するカムフォロアとを有し、前記1対のトーションバーの相対回転を前記シリンダハウジング内での前記ピストンの移動に変換するように構成された(5)に記載の車両用スタビライザシステム。
【0024】
本項に記載のスタビライザシステムにおいては、動作変換機構の構造が具体的に限定されている。動作変換機構としてカム機構を採用すれば、比較的簡便な構造によって、回転運動を直線運動に変換することが可能となる。したがって、本項に記載のシステムによれば、動作変換機構の構造を簡便なものとすることが可能となる。
【0025】
(7)前記動作変換機構が、
前記シリンダハウジングの他端部に相対回転可能かつ軸線方向に相対移動不能に嵌合される中空円筒状の部材であって、前記1対のトーションバーの他方の基端部に相対回転不能に連結されるとともに、自身の軸線を含む平面を挟んで対称なV字形状のスロットが壁面に形成された円筒部材と、
そのスロットに係合し、前記ピストンに軸線方向に相対移動不能に連結されるとともに、前記シリンダハウジングに軸線方向に相対移動可能かつ相対回転不能に連結されるピンとを有しており、
前記円筒部材が前記カムとして機能するとともに、前記ピンが前記カムフォロアとして機能する(6)項に記載の車両用スタビライザシステム。
【0026】
本項に記載のスタビライザシステムにおいては、カムおよびカムフォロアの構造が具体的に限定されている。本項に記載のシステムによれば、V字形状のスロットの中央部、言い換えれば、V字形状のスロットの二股に分岐する部分にピンが係合している状態での1対のトーションバーの相対回転位置を中立位置とすることで、1対のトーションバーが中立位置に位置している状態においてピストンを移動端に位置させることが可能となる。さらに、1対のトーションバーの中立位置離間方向への相対回転をピストンの移動端から離れる方向への移動に変換し、1対のトーションバーの中立位置接近方向への相対回転をピストンの移動端に近づく方向への移動に変換することが可能となる。本項に記載の「スロット」は、円筒部材の内壁面若しくは外壁面に形成されてもよく、壁面を貫通していてもよい。
【0027】
(8)前記移動許容状態切換機構が、
前記液室から前記リザーバへの作動液の流出と前記リザーバから前記液室への作動液の流入との両方を許容する両方向許容通路と、
前記液室から前記リザーバへの作動液の流出と前記リザーバから前記液室への作動液の流入との一方のみを許容する一方向許容通路と、
前記液室と前記リザーバとの間を作動液が前記両方向許容通路を通って流通する状態と前記一方向許容通路を通って流通する状態とを選択的に実現する流通路切換器とを有し、
前記作動液が前記両方向許容通路を通って流通する状態が実現されることで前記双方向移動許容状態が実現され、作動液が前記一方向許容通路を通って流通する状態が実現されることで前記一方向移動許容状態が実現されるように構成された(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。
【0028】
本項に記載のシステムにおいては、移動許容状態切換機構の構造が具体的に限定されている。本項に記載のシステムによれば、液室とリザーバとの間の作動液の流通状態を容易に一方向移動許容状態と双方向移動許容状態とで切換えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】請求可能発明の実施例である車両用スタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。
【図2】図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置とサスペンション装置とを車両上方からの視点において示す模式図である。
【図3】図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置とサスペンション装置とを車両前方からの視点において示す模式図である。
【図4】スタビライザ装置の備える連結機構を示す斜視図である。
【図5】スタビライザ装置の備える連結機構を車両上方からの視点において示す拡大模式図である。
【図6】図5に示すAA’線における断面図である。
【図7】スタビライザ制御プログラムを示すフローチャートである。
【図8】スタビライザシステムの制御を司る制御装置の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例】
【0031】
<車両用スタビライザシステムの構成>
図1に、本実施例の車両用スタビライザシステム10を模式的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された1対のスタビライザ装置12を含んで構成されている。スタビライザ装置12はそれぞれ、図2および図3に示すように、スタビライザ装置10は、両端部において左右の車輪14のそれぞれに対応して設けられたサスペンション装置16に連結されたスタビライザバー20を備えている。そのスタビライザバー20は、それが分割された1対のトーションバーとしての1対のスタビライザバー部材22を含む構成のものとされている。それら1対のスタビライザバー部材22は、連結機構26によって相対回転可能に連結されている。なお、図2は、車両上方からの視点においてスタビライザシステム10を示したものであり、図3は、車両前方からの視点においてスタビライザシステム10を示したものである。
【0032】
サスペンション装置16は、マルチリンク式サスペンション装置とされており、それぞれが車輪14を保持するサスペンションアームである第1アッパアーム32,第2アッパアーム34,第1ロアアーム36,第2ロアアーム38,トーコントロールアーム40を備えている。5本のアーム32,34,36,38,40のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪14を回転可能に保持するアクスルキャリア42に回動可能に連結されている。それら5本のアーム32,34,36,38,40により、アクスルキャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描くような上下動が可能とされている。
【0033】
また、サスペンション装置16は、コイルスプリング44と液圧式のショックアブソーバ46とを備えており、それらは、それぞれ、タイヤハウジングに設けられたマウント部48と、第2ロアアーム38との間に、互いに並列的に配設されている。つまり、サスペンション装置16は、車輪14と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させているのである。
【0034】
スタビライザ装置12の各スタビライザバー部材22はそれぞれ、概して車幅方向に延びるシャフト部50と、シャフト部50と一体をなしてそれと交差して概ね車両の前方に延びるアーム部52とに区分することができる。各スタビライザバー部材22のシャフト部50は、アーム部52に近い箇所において、車体に固定的に設けられた保持具54によって回転可能に保持され、互いに同軸的に配置されている。各シャフト部50の端部(アーム部52側とは反対側の端部)は、それぞれ、後に詳しく説明するように連結機構26に接続されている。一方、各アーム部52の端部(シャフト部50側とは反対側の端部)は、リンクロッド56を介して車輪保持部材としての第2ロアアーム38に連結されている。第2ロアアーム38には、リンクロッド連結部58が設けられ、リンクロッド56の一端部は、そのリンクロッド連結部58に、他端部はスタビライザバー部材22のアーム部52の端部に、それぞれ遥動可能に連結されている。
【0035】
スタビライザ装置12の備える連結機構26は、図4および図5に示すように、1対のスタビライザバー部材22の一方のシャフト部50の端部に固定的に接続されたシリンダ装置60と、1対のスタビライザバー部材22の他方のシャフト部50の端部に固定的に接続された有底円筒状の円筒部材62とを含んで構成されている。シリンダ装置60は、1対のスタビライザバー部材22の一方のシャフト部50と同軸的に配設されており、一端部においてそのシャフト部50の端部に固着されている。一方、円筒部材62は、1対のスタビライザバー部材22の他方のシャフト部50と同軸的に配設されており、底面においてそのシャフト部50の端部に固着されている。その円筒部材62の底面とは反対側の他端部には、シリンダ装置60の他端部が相対回転可能に嵌入されており、そのような構造によって、連結機構26は1対のスタビライザバー部材22を相対回転可能に連結している。
【0036】
シリンダ装置60は、図6に示すように、スタビライザバー部材22のシャフト部50に連結されて作動液を収容する概して筒状のシリンダハウジング70と、そのシリンダハウジング70にそれの内部において液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン72と、そのピストン72に一端部が連結されて他端部がシリンダハウジング70から延び出すピストンロッド74とを含んで構成されている。ピストンロッド74は、シリンダハウジング70に設けられた蓋部76を貫通しており、シールを介してその蓋部76と摺接している。また、シリンダハウジング70の内部は、ピストン72によって、そのピストン72と蓋部76との間に存在する第1室78と、ピストン72とシリンダハウジング70の底面との間に存在する第2室80との2つの部屋に区画されている。
【0037】
ピストンロッド74は、中空状とされており、それの内部を貫通する貫通穴82を有している。貫通穴82は、シリンダハウジング70内部の第2室80に向かって開口する小径部84と、その小径部84から連続して軸線方向に延びる大径部86とを有しており、その貫通穴82の小径部84と大径部86との境界部分には、段差面88が形成されている。その段差面88の大径部86側には、第1室78と大径部86とを接続させる接続通路90が設けられており、この接続通路90と貫通穴82とによって、第1室78と第2室80との間を作動液が流通可能にそれらが連通させられている。
【0038】
ピストンロッド74のシリンダハウジング70の蓋部76から延び出した端部には、開閉弁として機能するソレノイド92が設けられており、貫通穴82の大径部86に、ソレノイド92のロッド96が軸線方向に移動可能に挿入されている。ソレノイド92が消磁状態にある場合には、図に示すように、ばねの力によって、ロッド96の先端が貫通穴82の段差面88に接触してその貫通穴82を塞ぐ状態とされ、接続通路90を介した第1室78と第2室80との間の作動液の流通が禁止される。一方、ソレノイド92が励磁状態とされた場合には、ロッド96の先端が貫通穴82の段差面88から離れ、連通路として機能する貫通穴82および接続通路90を介した第1室78と第2室80との間の作動液の流通が許容される。なお、貫通穴82内の接続通路90よりソレノイド92側において、貫通穴82の内周面とロッド96の外周面との間にはシール98が設けられており、作動液がソレノイド92側には流出しないようにされている。
【0039】
貫通穴82には、小径部84と第1室78とを接続させる第2接続通路100が設けられており、その第2接続通路100内には、小径部84から第1室78への流通のみを許容する逆止弁102が設けられている。つまり、ソレノイド92が消磁状態にある場合であっても、第1室78と第2室80との間の作動液の流通に関しては、バイパス路としての第2接続通路100を介して、第2室80から第1室78への作動液の流通のみが許容されている。さらに、貫通穴82には、第2室80への開口部に絞り104が設けられており、その絞り104は、第1室78と第2室80との間の作動液の流通に対して抵抗を付与するものとされている。つまり、その絞り104は流通抵抗器として機能しているのである。
【0040】
また、第2室80の内部には、フリーピストン106がシールを介して液密かつ摺動可能に嵌め入れられており、作動液がフリーピストン106とシリンダハウジング70の底面との間の空間に漏れないようにされている。つまり、フリーピストン106とシリンダハウジング70の底面との間の空間は空気室108とされ、その空気室108がバッファ室として機能することで、第2室80がリザーバとして機能しているのである。
【0041】
また、第1室78にはアキュムレータ110が接続されている。アキュムレータ110は、シリンダハウジング70の外壁面に設けられたアキュムレータハウジング112と、そのアキュムレータハウジング112の内部に設けられたベローズ114とを有しており、アキュムレータハウジング112とベローズ114との間には作動液が収容されている。ベローズ114は、上端部がアキュムレータハウジング115の蓋部に固着された蛇腹部116と、その蛇腹部116の下端部に固着されたプレート部118とから構成されており、内部にはガスが充填されている。プレート部118は、通常、蛇腹部116の弾性力によってアキュムレータハウジング112の底面に付勢されており、第1室78とアキュムレータ110とを連通する通路120を塞いだ状態とされている。ただし、第1室78の液圧が上昇した場合には、液圧によってベローズ114の蛇腹部116が収縮しプレート部118がアキュムレータハウジング112の底面から離れて、第1室78内の作動液がアキュムレータ110に流入するようになっている。
【0042】
また、シリンダハウジング70のピストンロッド74が延び出した端部を覆うように嵌合された円筒部材62の内壁面には、周回りに凹溝122が形成されており、その凹溝122にはシリンダハウジング70の外壁面の周回りに形成された凸溝124が嵌まるようにされている。このような構造から、シリンダハウジング70と円筒部材62とは、相対回転可能、かつ、軸線方向に相対移動不能とされている。
【0043】
さらに、円筒部材62の円筒面には、図4および図5に示すように、その円筒面の上方と下方とにV字形状のV形スロット126が1対形成されている。V形スロット126は、円筒部材62の軸線を含む平面を挟んで対称的な形状とされており、シャフト部50が固着された円筒部材62の端部に向かって二股に分岐する形状とされている。また、円筒部材62が覆っているシリンダハウジング70の円筒面には、シリンダハウジング70の軸線方向に延びるように1対のスロット128が形成されている。それら1対のスロット128の各々は、円筒部材62に形成された1対のV形スロット126の各々と重なるように形成されており、1対のスロット128と1対のV形スロット126とによって、円筒部材62およびシリンダハウジング70の内部と外部とを連通する1対の穴130が形成されている。
【0044】
それら1対の穴130には、ピストンロッド74の端部に設けられたソレノイド92のハウジングに径方向に延びるように立設された1対のピン132の各々が挿入されており、それら1対のピン132がシリンダハウジング70と円筒部材62との相対回転に伴って円筒部材62およびシリンダハウジング70の軸線方向に移動するようになっている。つまり、円筒部材62がカムとして機能するとともに、1対のピン132がカムフォロアとして機能し、1対のスタビライザバー部材22の相対回転に伴って1対のピン132が軸線方向に移動することで、ピストン72がシリンダハウジング70内を移動するのである。このように、スタビライザ装置12においては、円筒部材62と1対のピン132とによって、1対のスタビライザバー部材22の相対回転がピストン72のシリンダハウジング70内での移動に変換されており、スタビライザ装置12は、円筒部材62と1対のピン132とによって構成される動作変換機構を備えるものとされている。
【0045】
その動作変換機構によって、ピストン72は、図5に示す状態、つまり、ピン132がV形スロット126の中央部に位置する状態において、そのピストン72の移動可能な範囲のうちでシリンダハウジング70の底面に最も近い位置である移動端位置(以下、「移動端」と略す場合がある)に位置させられており、その状態から1対のスタビライザバー部材22がいずれの方向に相対回転しても、ピストン72はその移動端から離れる方向に移動させられる。つまり、ピン132がV形スロット126の中央部に位置する状態での1対のスタビライザバー部材22の相対回転位置を中立相対回転位置と定義すると、1対のスタビライザバー部材22がその中立相対回転位置から離れる方向(以下、「中立位置離間方向」という場合がある)にそれら1対のスタビライザバー部材22が相対回転する場合には、ピストン72が移動端から離れる方向(以下、「移動端離間方向」という場合がある)にピストン72は移動し、シリンダハウジング70の蓋部76に接近する。一方、1対のスタビライザバー部材22がその中立相対回転位置に近づく方向(以下、「中立位置接近方向」という場合がある)にそれら1対のスタビライザバー部材22が相対回転する場合には、ピストン72が移動端に近づく方向(以下、「移動端接近方向」という場合がある)にピストン72は移動し、シリンダハウジング70の底面に接近するのである。
【0046】
上述したような構造によって、流通路切換器として機能するソレノイド92が消磁状態とされている場合には、両方向許容通路としての接続通路90を介しての第1室78と第2室80との間の作動液の流通が禁止され、一方向許容通路としての第2接続通路100を介しての第1室78と第2室80との間の作動液の流通のみが許容される。つまり、第2接続通路100に設けられた逆止弁102によって、第2室80から第1室78への作動液の流通のみが許容されるとともに、第1室78から第2室80への作動液の流通が禁止される。このため、ピストン72がシリンダハウジング70の底面に接近する方向、つまり、移動端接近方向へのピストンの移動が許容されるとともに、ピストン72がシリンダハウジング70の蓋部76に近づく方向、つまり、移動端離間方向へのピストンの移動が禁止される。つまり、ソレノイド92が消磁状態とされている場合には、ピストン72の移動端接近方向への移動のみが許容される一方向移動許容状態とされ、1対のスタビライザバー部材22の中立位置接近方向への相対回転のみが許容される中立方向相対回転許容状態とされるのである。
【0047】
したがって、開閉弁として機能するソレノイド92が消磁状態とされている状態において、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置していない場合には、中立位置接近方向への外部入力等によって1対のスタビライザバー部材22が中立位置接近方向へ相対回転させられる。そして、中立位置接近方向への1対のスタビライザバー部材22の相対回転によって、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置することで、第2接続通路100を介しての第1室78と第2室80との間の作動液の流通が禁止され、1対のスタビライザバー部材22の双方向への相対回転が禁止されるのである。つまり、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置する状態において、スタビライザ装置12はスタビライザとしての機能を発揮するのである。
【0048】
ちなみに、スタビライザ装置12がスタビライザとして機能する場合には、1対のスタビライザバー部材22の捩り反力がロール抑制力として作用するが、スタビライザ装置12の備えるシリンダ装置60にはアキュムレータ110が接続されているため、そのアキュムレータ110に蓄圧される圧力もロール抑制力として作用することになる。このため、スタビライザ装置12のロール剛性は、1対のスタビライザバー部材22の剛性だけでなく、アキュムレータ110のばね定数も影響する。したがって、本システム12においては、アキュムレータ110のばね定数を調整することで、スタビライザ装置12のロール剛性を微調整することが可能となっている。
【0049】
なお、本システム10では、車両が平坦な路面に停止している状態での1対のスタビライザバー部材22の相対回転位置が中立相対回転位置とされている。つまり、1対のスタビライザバー部材22のアーム部52が、車両側方からの視点において平行な状態での1対のスタビライザバー部材22の相対回転位置が中立相対回転位置とされている。なお、図1ないし図6の各々は、1対のスタビライザバー部材22の相対回転位置が中立相対回転位置とされている状態を示したものであり、その状態において液室としての第1室78の容積は、図6に示すように最大となっている。
【0050】
また、ソレノイド92が励磁状態とされている場合には、接続通路90を介しての第1室78と第2室80との間の作動液の流通が許容されることで、液室としての第1室78に対する作動液の流出入が許容される。このため、ピストン72の双方向への移動が許容される双方向移動許容状態とされ、1対のスタビライザバー部材22の中立位置接近方向および中立位置離間方向への相対回転が許容される状態、つまり、1対のスタビライザバー部材22の双方向への相対回転が許容される双方向相対回転許容状態とされるのである。つまり、ソレノイド92が励磁状態とされている場合には、スタビライザ装置12はスタビライザとしての機能を発揮しなくなるのである。ちなみに、作動液の流通路である貫通穴82には、上述したように、絞り104が設けられており、作動液の流通に対する抵抗が付与されている。このため、その流通に対する抵抗によって、1対のスタビライザバー部材22の相対回転に対して抵抗力が発生し、その抵抗力が、例えばロール振動を減衰する減衰力として作用するのである。したがって、スタビライザ装置10は、スタビライザとして機能していない状態において、ロール振動を減衰する機能を発揮するのである。
【0051】
スタビライザ装置12は、上述したように、ピストン72の移動可能な状態を一方向移動許容状態と双方向移動許容状態とで切換えることが可能とされており、貫通穴82,接続通路90,ソレノイド92,第2接続通路100,逆止弁102等によって構成される移動許容状態切換機構を備えるものとされている。また、スタビライザ装置12は、その移動許容状態切換機構等によって中立方向相対回転許容状態と双方向相対回転許容状態とが選択的に実現可能とされており、移動許容状態切換機構,シリンダ装置60,円筒部材62,ピン132等によって構成される相対回転許容状態切換機構を備えるものとされている。
【0052】
本システム10では、図1に示すように、2つのスタビライザ装置12に対応する電子制御ユニット(ECU)150が設けられている。ECU150は、各スタビライザ装置12、詳しくは、各ソレノイド92の作動を制御する制御装置であり、各ソレノイド92に対応する駆動回路152と、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ154とを備えている(図8参照)。駆動回路152の各々は、コンバータ156を介してバッテリ158に接続されており、対応するソレノイド92に接続されている。コントローラ154には、ステアリングホイールの操作角を検出するためのステアリングセンサ160,各車輪14と車体との間の距離である車体車輪間距離を検出する4つのストロークセンサ162、後述するソレノイド92の切換の制御方法を選択する選択スイッチ164が接続されている。コントローラ96は、各駆動回路152にも接続され、それらを制御することで、各ソレノイド92を制御する。なお、コントローラ154のコンピュータが備えるROMには、後に説明するスタビライザシステム10の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
【0053】
<車両用スタビライザシステムの制御>
1対のスタビライザバー部材22の相対回転が禁止された状態で発生させられる1対のスタビライザバー部材22の捩り反力は車体のロールを効果的に抑制することが可能である。ただし、車両直進時等には、1対のスタビライザバー部材22の捩り反力は必要なく、また、その捩り反力によって乗り心地に悪影響を及ぼす虞がある。そこで、車両直進時には、ソレノイド92を励磁状態とすることで、スタビライザ装置10をスタビライザとして機能させなくするとともに、車両旋回時には、ソレノイド92を消磁状態とすることで、スタビライザ装置10をスタビライザとして機能させることが考えられる。このようにソレノイド92を制御すれば、車両直進時にはロール抑制力を発生させず、車両旋回時にロール抑制力を発生させることが可能となる。
【0054】
スタビライザ装置12が発生させるべきロール抑制力の大きさ、言い換えれば、1対のスタビライザバー部材22によって構成されるスタビライザバー20の剛性は、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置している状態、つまり、1対のスタビライザバー部材22の相対回転量が0となる状態を基準として設定されている。このため、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置していない状態でそれら1対のスタビライザバー部材22の相対回転が禁止されたスタビライザバー20の剛性は、予め設定された剛性と異なることになる。このため、1対のスタビライザバー部材22は中立相対回転位置において相対回転が禁止されることが望ましい。
【0055】
本システム10のスタビライザ装置12においては、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置していない場合、つまり、中立相対回転位置からズレている場合にソレノイド92が励磁状態から消磁状態に切り換えられたとしても、上述したように、スタビライザバー部材22への外部入力によってスタビライザバー部材22が中立接近方向へ相対回転させられると、1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置まで相対回転させれられる。そして、1対のスタビライザバー部材22は中立相対回転位置において相対回転が禁止されるのである。
【0056】
ただし、ソレノイド92の切換時において1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置からズレている場合に、スタビライザバー部材22を中立離間方向へ相対回転させるような力がスタビライザバー部材22へ入力されると、1対のスタビライザバー部材22は、中立相対回転位置からズレた位置において、捩り反力を発生させることになる。そこで、本システム10においては、基本的には、車両直進時にはソレノイド92を励磁状態とし、車両旋回時にはソレノイド92を消磁状態とするが、車両旋回時であっても、車両の旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22が中立離間方向へ相対回転させられる場合には、ソレノイド92の励磁状態から消磁状態への切換を禁止している。
【0057】
詳しく説明すれば、車両直進時においては、ソレノイド92を励磁状態とすることで、1対のスタビライザバー部材22の相対回転を許容している。そして、車両が直進状態から旋回する場合であって、車両の旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向へ相対回転させられる場合に、ソレノイド92を励磁状態から消磁状態に切り換えている。つまり、車両旋回時であっても、車両の旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22が中立離間方向へ相対回転させられる場合には、ソレノイド92の励磁状態から消磁状態への切換を禁止しているのである。車両の旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向と中立離間方向とのいずれの方向へ相対回転させられるかを判定するべく、本システム10では、各車輪14の車体車輪間距離Lを検出し、左右の車輪の車体車輪間距離Lを比較している。
【0058】
具体的には、例えば、左旋回時には、車体が受けるロールモーメントによって旋回外輪、つまり、右車輪の車体車輪間距離LRは短くなり、旋回内輪、つまり、左車輪の車体車輪間距離LLは長くなる。このため、車両が左へ旋回する際に、ロールモーメント以外の外部入力等によって右車輪の車体車輪間距離LRが左車輪の車体車輪間距離LLより長くなっている場合には、車両の左旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22は中立接近方向へ相対回転する。つまり、車両が直進状態から左旋回する際に、右車輪の車体車輪間距離LRが左車輪の車体車輪間距離LLより長くなっていれば、ソレノイド92を励磁状態から消磁状態に切り換えるのである。一方、車両が直進状態から右旋回する際には、左車輪の車体車輪間距離LLが右車輪の車体車輪間距離LRより長くなっていれば、ソレノイド92を励磁状態から消磁状態に切り換えるのである。また、左車輪の車体車輪間距離LLと右車輪の車体車輪間距離LRとが殆ど同じ場合、つまり、中立相対回転位置からズレていない場合には、旋回方向に拘わらず、当然、ソレノイド92は励磁状態から消磁状態に切り換えられる。なお、本システム10では、前輪側のスタビライザ装置12と後輪側のスタビライザ装置12との両方において、車両の旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向に相対回転する場合にソレノイド92を励磁状態から消磁状態に切り換えている。
【0059】
上述したように、車両の旋回に伴って1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向に相対回転する場合にソレノイド92を励磁状態から消磁状態に切り換えるが、中立離間方向に相対回転する場合にはソレノイド92の切換を禁止している。しかし、旋回時にロール抑制力が発生させられない状態が長く続くことは望ましくないため、ソレノイド92の切換が禁止された状態が設定時間経過した場合には、ソレノイド92を励磁状態から消磁状態に切り換えている。つまり、旋回開始から設定時間だけしかソレノイド92の切換を禁止しないのである。
【0060】
ちなみに、本システム10において、車両旋回時におけるソレノイド92の励磁状態から消磁状態への切換禁止は、選択スイッチ164の操作位置に基づいて実行されるようになっている。詳しくは、選択スイッチ164がONとされている場合には旋回時における切換禁止が実行され、OFFとされている場合には切換禁止が実行されないようになっている。つまり、選択スイッチ164がONとされているという特定の条件が満たされた場合に、車両旋回時にソレノイド92の切換を禁止している。
【0061】
<制御プログラム>
本システム10におけるスタビライザ装置12の有するソレノイド92の制御は、図7にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、設定された時間間隔ΔT0をおいてECU150のコントローラ154により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
【0062】
本プログラムに従う処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、ステアリングセンサ160によってステアリングホイールの操作角δが検出され、S2において、その検出された操作角δの変化速度、つまり、ステアリングホイールの操作速度Vが操作角δに基づいて演算される。次に、ロールモーメント指標量としての操作角δおよび操作速度Vに基づいて、車両が直進状態であるか否かが判定される。具体的には、S3において、ステアリングホイールの操作角δの絶対値が閾値δ0より大きいか否かが判定され、操作角δの絶対値が閾角δ0以下と判定された場合には、S4において、ステアリングホイールの操作速度Vが閾速度V0より高いか否かが判定される。そして、操作速度Vの絶対値が閾速度V0以下と判定された場合に、車両が直進状態であると判定される。
【0063】
車両が直進状態であると判定されると、S5において、後に説明する計測時間Tが0にリセットされ、S6において、スタビライザ装置12をスタビライザとして機能させないように、ソレノイド92を励磁状態とするための制御信号が駆動回路152に送信される。そして、S7において、ソレノイドフラグFのフラグ値が0にされる。そのフラグFは、ソレノイド92が励磁状態と消磁状態とのいずれの状態にされているかを示すフラグであり、そのフラグFのフラグ値が0とされている場合には、ソレノイド92が励磁状態とされていることを示し、1とされている場合には、ソレノイド92が消磁状態とされていることを示している。
【0064】
また、車両が直進状態でないと判定されると、S8において、選択スイッチ164がONとされているか否かが判定され、ONとされていると判定されると、S9において、ソレノイドフラグFのフラグ値が0とされているか否かが判定される。ソレノイドフラグFのフラグ値が0とされていると判定された場合には、S10において、各車輪14に設けられたストロークセンサ162によって、各車輪14の車体車輪間距離Lが検出される。次に、S11において、前輪側のスタビライザ装置と後輪側のスタビライザ装置との両方で1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置している否かを判定する。具体的には、左前輪の車体車輪間距離LFLと右前輪の車体車輪間距離LFRとが略同じであり、かつ、左後輪の車体車輪間距離LRLと右後輪の車体車輪間距離LRRとが略同じであるか否かを判定する。
【0065】
1対のスタビライザ装置12の両方で1対のスタビライザバー部材22が中立相対回転位置に位置していないと判定された場合には、S12において、車両の旋回方向が判定される。車両の旋回方向が左と判定された場合には、S13において、車両の左旋回に伴って、1対のスタビライザ装置12の両方で1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向へ相対回転するか否かが判定される。具体的には、左前輪の車体車輪間距離LFLが右前輪の車体車輪間距離LFRより小さく、かつ、左後輪の車体車輪間距離LRLが右後輪の車体車輪間距離LRRより小さいか否かを判定する。また、車両の旋回方向が右と判定された場合には、S14において、車両の右旋回に伴って、1対のスタビライザ装置12の両方で1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向へ相対回転するか否かが判定される。具体的には、左前輪の車体車輪間距離LFLが右前輪の車体車輪間距離LFRより大きく、かつ、左後輪の車体車輪間距離LRLが右後輪の車体車輪間距離LRRより大きいか否かを判定する。
【0066】
車両の旋回に伴って1対のスタビライザ装置12の両方で1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向へ相対回転すると判定された場合には、S15において、計測時間Tが0にリセットされ、S16において、スタビライザ装置12をスタビライザとして機能させるべく、ソレノイド92を消磁状態とするための制御信号が駆動回路152に送信される。そして、S17において、ソレノイドフラグFのフラグ値が1にされる。一方、車両の旋回に伴って1対のスタビライザ装置12の両方で1対のスタビライザバー部材22が中立接近方向へ相対回転しないと判定された場合、つまり、車両の旋回に伴って1対のスタビライザ装置12の少なくとも一方で1対のスタビライザバー部材22が中立離間方向へ相対回転すると判定された場合には、S18において、ソレノイド92の励磁状態から消磁状態への切換を禁止した時間を計測するための計測時間Tに設定時間ΔT0が加算される。そして、S19において、その計測時間Tが設定時間T1を超えているか否かが判定され、計測時間Tが所定時間T1以下であると判定された場合には、ソレノイド92の切換を禁止するべく、S6以降の処理が実行される。また、計測時間Tが所定時間T1を超えていると判定された場合には、S15以降の処理が実行される。
【0067】
<コントローラの機能構成>
上記スタビライザ制御プログラム実行するコントローラ154は、それの実行処理に鑑みれば、図8に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ154は、S1〜S4の処理を実行する機能部、つまり、車両の走行状態が直進状態であるか旋回状態であるかを判定する機能部として、走行状態判定部170を、S5〜S7の処理を実行する機能部、つまり、直進時においてスタビライザバー20の捩り反力、言い換えれば、ロール抑制力の発生を禁止する機能部として、直進時ロール抑制力発生禁止部172を、S15〜S17の処理を実行する機能部、つまり、旋回時においてロール抑制力を発生させる機能部として、旋回時ロール抑制力発生部174を、S12〜S14,S18,S19の処理を実行する機能部、つまり、旋回時であってもロール抑制力の発生を一時的に禁止する機能部として、旋回時ロール抑制力発生一時禁止部176を、それぞれ備えている。ちなみに、旋回時ロール抑制力発生一時禁止部176は、ソレノイド92の励磁状態から消磁状態への切換を禁止することで、ロール抑制力の発生を一時禁止していることから、切換禁止部としての機能をも有するものと考えられる。
【符号の説明】
【0068】
10:車両用スタビライザシステム 12:スタビライザ装置 22:スタビライザバー部材(トーションバー) 60:シリンダ装置(相対回転許容状態切換機構) 62:円筒部材(動作変換機構)(カム)(相対回転許容状態切換機構) 70:シリンダハウジング 72:ピストン 78:第1室(液室) 80:第2室(リザーバ)(相対回転許容状態切換機構) 90:接続通路(両方向許容通路)(移動許容状態切換機構)(相対回転許容状態切換機構) 92:ソレノイド(流通路切換器)(移動許容状態切換機構)(相対回転許容状態切換機構) 100:第2接続通路(一方向許容通路)(移動許容状態切換機構)(相対回転許容状態切換機構) 126:V形スロット(スロット) 132:ピン(動作変換機構)(カムフォロア)(相対回転許容状態切換機構) 150:電子制御ユニット(制御装置) 176:旋回時ロール抑制力発生一時禁止部(切換禁止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)左右の車輪に対応して設けられ、それぞれが、それぞれの軸線回りに回転可能に車体に保持されるとともに、車幅方向に延びて配設され、左右の車輪の対応するものを保持する車輪保持部に連結される1対のトーションバーと、(B)それら1対のトーションバーのそれらが中立相対回転位置に近づく方向とその中立相対回転位置から離れる方向との双方への相対回転が許容される状態である双方向相対回転許容状態と、前記1対のトーションバーのそれらが中立相対回転位置に近づく方向への相対回転のみが許容される状態である中立方向相対回転許容状態とを選択的に実現する相対回転許容状態切換機構とを有し、前記1対のトーションバーの相対回転が禁止された状態でそれら1対のトーションバーがスタビライザバーとして機能するスタビライザ装置と、
車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量が閾値以下である場合に、前記双方向相対回転許容状態が実現され、前記ロールモーメント指標量が閾値を超えた場合に、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換が実現されて、前記ロールモーメント指標量が閾値以下となる迄、前記中立方向相対回転許容状態が維持されるように、前記相対回転許容状態切換機構を制御する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステムであって、
前記制御装置が、
前記ロールモーメント指標量が閾値を超えたときに、車両の旋回に伴って前記1対のトーションバーが前記中立相対回転位置から離れる方向に相対回転している場合には、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を禁止する切換禁止部を有する車両用スタビライザシステム。
【請求項2】
当該車両用スタビライザシステムが、
前後の車輪に対応して設けられ、それぞれが前記スタビライザ装置として機能する1対のスタビライザ装置を備え、
前記制御装置が、
前記ロールモーメント指標量が閾値以下である場合に、前記1対のスタビライザ装置の両方で前記双方向相対回転許容状態が実現され、前記ロールモーメント指標量が閾値を超えた場合に、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換が前記1対のスタビライザ装置の両方で実現されて、前記ロールモーメント指標量が閾値以下となる迄、前記1対のスタビライザ装置の両方で前記中立方向相対回転許容状態が維持されるように、前記1対のスタビライザ装置のそれぞれが有する前記相対回転許容状態切換機構を制御するとともに、
前記切換禁止部が、
前記ロールモーメント指標量が閾値を超えたときに、車両の旋回に伴って前記1対のスタビライザ装置の少なくとも一方の有する前記1対のトーションバーが前記中立相対回転位置から離れる方向に相対回転している場合には、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を、前記1対のスタビライザ装置の両方で禁止するように構成された請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
【請求項3】
前記切換禁止部が、
前記ロールモーメント指標量が閾値を超えてから設定された時間だけしか、前記双方向相対回転許容状態から前記中立方向相対回転許容状態への切換を禁止しないように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
【請求項4】
前記相対回転許容状態切換機構が、
シリンダハウジングと、そのシリンダハウジングの内部に移動可能に配設されたピストンとを有し、そのピストンと前記シリンダハウジングとによって、内部に作動液を収容するとともに前記ピストンの前記シリンダハウジング内部での移動に伴って容積が変化する液室が区画されたシリンダ装置と、
前記1対のトーションバーの相対回転を前記シリンダハウジング内での前記ピストンの移動に変換する機構であって、前記1対のトーションバーの相対回転位置が前記中立相対回転位置に位置している状態において前記ピストンを移動端に位置させるとともに、前記1対のトーションバーの前記中立相対回転位置から離れる方向への相対回転を前記ピストンの前記移動端から離れる方向への移動に変換し、前記1対のトーションバーの前記中立相対回転位置に近づく方向への相対回転を前記ピストンの前記移動端に近づく方向への移動に変換する動作変換機構と、
前記液室に連通し、作動液を貯留するリザーバと、
前記液室から前記リザーバへの作動液の流出と前記リザーバから前記液室への作動液の流入との両方を許容することで、前記ピストンの前記移動端に近づく方向と前記移動端から離れる方向との双方への移動を許容する状態である双方向移動許容状態と、前記液室から前記リザーバへの作動液の流出と前記リザーバから前記液室への作動液の流入との一方のみを許容することで、前記ピストンの前記移動端に近づく方向への移動のみを許容する状態である一方向移動許容状態とを選択的に実現する移動許容状態切換機構と
を備え、
前記双方向移動許容状態が実現されることで前記双方向相対回転許容状態が実現され、前記一方向移動許容状態が実現されることで前記中立方向相対回転許容状態が実現されるように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98624(P2011−98624A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253940(P2009−253940)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】