説明

車両用制動システム及びこのような制動システム用の制動ペダル装置

本発明は、車両10特に商用車両用制動システム16であって、車両を制動する常用制動機能を与える常用制動装置と、常用制動装置とは無関係に駐車制動機能を与える駐車制動装置92とを有するものに関する。故障の場合制動システムの機能態様を改善するため、両方の制動装置のうち一方の部分的又は完全な故障の場合、車両がそれぞれ他方の制動装置により自動的に制動可能特に固定可能である。
本発明は更にこのような制動システム用の制動ペダル装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両特に商用車両用制動システムであって、車両を制動する常用制動機能を与える常用制動装置と、常用制動装置とは無関係に駐車制動機能を与える駐車制動装置とを有するものに関する。更に本発明はこのような制動システム用の制動ペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような制動システムは例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10336611号明細書から公知である。このような制動システムでは、一般に複数の空気圧的に作動せしめられる常用制動回路、例えば前車軸の車輪用の第1の常用制動回路及び後車軸の車輪用の第2の制動回路が設けられている。車輪制動機に付属する制動シリンダは空気圧で操作される。そのために必要な圧力は、それぞれの制動回路に付属する圧縮空気貯蔵容器から与えられる。こうして与えられる制動圧力は、適当な電気空気圧制動制御モジュールにより出力される。
【0003】
電子制動システムでは、これらの制動制御モジュールは、電気部分及び空気圧部分を持つ電気空気圧制動ペダル装置から電気信号を得る。電気信号は、制動圧力の計量を行う電磁弁を制御する別の電気制御信号に変換される。
【0004】
通常前車軸の車輪用の第1の常用制動回路が設けられて、適当な前車軸制動制御モジュールを持っている。後車軸制動制御モジュールを持つ車両の後車軸の車輪のために、同じように第2の常用制動回路が設けられている。
【0005】
しかし特にこのような電子制動システムの電気又は電子構成要素は故障することがあるので、電気又は電子構成要素の故障の際にもこのような制動装置が車両を確実に停止させることができりょうに、制動装置を構成せねばならない。
【0006】
従って従来の制動ペダル装置は、上記の電気又は電子構成要素のほかに、空気圧構成要素も持っている。こうして制動ペダル装置により、同時に空気圧冗長圧力が発生されて、電子制動システムの電気又は電子部分の故障の際、空気圧部分システムを介して車両を確実に制動することができる。
【0007】
更にこのような制動システムは駐車制動装置をもっている。このため車軸一般に後車軸の少なくとも車輪が、ばね制動シリンダ、もっと詳しくいえば組合わせばね−膜制動シリンダを持つように構成されている。ばね部分が排気されている場合、ばねが制動機を投入する。こうして圧力のない状態でも車両を確実に停止させることができる。これに反し走行作動中にはばね部分が給気されるので、ばねは制動機をもはや投入しない。この作動状態において、組合わせばね−膜制動シリンダの膜部分又は常用制動部分を介して車両を制動することができる。
【0008】
従って駐車制動機は、従来のように空気圧で釈放される。このためばね制動シリンダから電気空気圧制御装置へまた少なくとも運転室にも、適当な空気圧導管が設けられ、運転室内で適当な空気圧弁を介して、組合わせばね−膜制動シリンダのばね部分が給気又は排気可能である。若干のシステムでは、駐車制動機能の制御が運転室から電気的に行われる。それにもかかわらず駐車制動機は、この場合にも空気圧で釈放されるか、又はばねを介して機械的に投入される。それにより駐車制動機の操作のため運転室の配管を少なくすることができる。しかしそれにもかかわらず少なくとも駐車制動装置の電気空気圧制御装置からばね制動シリンダへの空気圧配管の必要性は残っている。
【0009】
更に公知の制動システムでは、常用制動機能と駐車制動機能は、考え方でも構造においても互いに著しく分かれており、従って特に両方の機能の故障の際両方の機能は互いに無関係に利用可能である。このような制動システムを持つ車両の運転者は、常用制動装置の故障の場合、駐車制動装置の操作により車両を制動することができる。しかしこれは、駐車制動装置の全く異なる機能態様のため、特に危険な走行状態中に、運転者にとって困難な課題である。例えば駐車制動装置は一般にロック防止装置を備えていないので、車両の過制動の際不安定な走行状態が生じることがある。これは、特に駐車制動装置が運転者により一般に手で操作されることによって助長される。しかし手による制動の際運転者に生じる制動の感じは、足による制動の際生じる制動の感じとは実質的に相違する。従って駐車制動装置の手による操作によって過制動又は不足制動が生じる危険は特に大きい。駐車制動機及び常用制動機の両方の異なる制動装置は、従来の制動システムでは、故障の場合それぞれ他方の制動装置の機能を引き受けるのに、限られた範囲でしか適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の基礎になっている問題は、故障の場合最初にあげた種類の制動システムの機能態様を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、最初にあげた種類の制動システムにおいてこの問題を、両方の制動装置のうち一方の部分的又は完全な故障の場合、車両がそれぞれ他方の制動装置により自動的に制動可能特に固定可能であることによって解決する。更に本発明は、請求項21に記載の制動ペダル装置によってこの問題を解決する。
【0012】
本発明による車両制動システムは、走行作動中に車両を制動する常用制動機能を与える常用制動装置と、常用制動装置とは無関係に車両を固定する駐車制動機能を与える駐車制動装置とを含んでいる。従って故障の場合例えば常用制動機能が自動的に駐車制動を引受け、そして逆もまたその通りである。制動システムは、このような場合故障した制動機能から健全な制動機能への切換えが自動的に行われ、即ち例えば常用制動装置の故障の際駐車制動装置が常用制動機能を引受けるか、又は駐車制動装置の故障の際常用制動装置が駐車制動機能を引受けるように、構成されている。それぞれ他方の機能のこの引受けは、自動的に行われる。従って例えば常用制動装置が故障している時、駐車制動装置により制動が行われても、運転者は引続いていつものように制動ペダルで車両を制動することができる。
【0013】
しかし駐車制動装置の故障の場合にも、運転者は本発明に基く常用制動装置により車両を固定することができる。これは一般に車両を止めておくための永続的な解決策ではないので、運転者は、例えば楔等を前におくことによって、車両を永続的に安全にするための別の手段を取らねばならない。しかしこの場合車両は少なくとも一時的に固定することができるので、このような手段をとるために車両を離れる可能性が運転者に対して開かれている。
【0014】
全体として本発明は、故障の場合制動システムの機能態様を改善するのを可能にする。
【0015】
本発明の特別な実施態様は、駐車制動装置が電気機械的又は電気空気圧的に作動せしめられ、かつ1つ又は複数の電気機械操作機構あるいは電気空気圧弁装置により制御される1つ又は複数のばね制動シリンダを持ち、ばね制動シリンダにより電気制御信号に応答して電気機械力が発生可能であるか又はばね力が放出可能であり、この力により車両の駆動系の駆動される素子特に車輪及び/又は駆動軸を制動及び/又は固定するための機械的運動が実行可能であり、駐車制動機能により常用制動機能を援助するために、補助機能が与えられることを特徴としている。
【0016】
“電気空気圧操作機構”という概念は、例えばサーボモータのような電動機を意味する。“電気空気圧弁装置”という概念は、例えば駐車制動モジュールを意味する。
【0017】
補助制動機能は、1つ又は複数の常用制動回路が故障した場合に有利に動作せしめられるので、駐車制動装置により常用制動回路に対して冗長性が与えられる。しかし補助制動機能は、特別の危険な走行状況でも、健全な常用制動回路を援助するために利用することができる。常用制動回路を援助するために駐車制動装置を利用することにより与えられる補助制動機能によって、異なる制動機能に対応する制動システム構成要素の緊密な相互作用が行われる。これにより制動システムの効率を全体として高めることができる。
【0018】
変形例では、駐車制動装置が、純電気機械的に、即ち空気圧又は電気空気圧構成要素なしに構成されている。それにより駐車制動装置の操作機構と駐車制動装置を制御する制御装置との間に配管する必要がなくなる。空気圧駐車制動回路はなくなる。従って制動システムの構造及び取付けが全体として簡単になる。
【0019】
駐車制動装置の電気機械操作機構は、電気制動要求信号又は電気制動要求信号から誘導される信号により有利に駆動又は調整される。即ち電気機械操作機構は短い反応時間を持っているので、電気機械操作機構によりロック防止機能も実行することができる。従って電気機械操作機構は、補助制動機能の範囲内で常用制動機能を援助するのにも適している。
【0020】
好ましい実施形態では、常用制動回路を操作する制動ペダル装置は純電気機械的に構成されて、少なくとも1つの電気制動要求信号を発生するために用いられる。こうして運転室の空気圧配管も回避することができる。なぜならば、この実施形態では、制動システムの制動ペダル装置と電気空気圧制御装置との間の空気圧冗長回路をなくすことができるからである。これにより特に運転室の配管の費用が減少される。
【0021】
電気制御信号従ってそのつど発生される電気機械力の変化により、駐車制動装置の電気機械操作機構が計量可能に調整可能である。こうして操作機構の制動作用も計量することができる。この場合電気空気圧弁装置へ供給される電気制御信号従ってばね制動シリンダへ供給又はこれから放出される圧力の変化により、ばね制動シリンダも同じように計量可能に調整可能である。
【0022】
従って1つ、複数又は全部の常用制動回路の故障の場合、車両が計量可能に制動可能であるように、駐車制動装置が補助制動機能を有利に与えることができる。即ち常用制動回路が故障する場合、駐車制動装置がこの故障に関係する車輪の制動を引受ける。これは、電気機械操作機構又はばね制動シリンダが適当な大きさにされている時、制動作用を損なうことなしに可能である。従って駐車制動装置は補助制動機能を与え、1つ、複数又は全部の常用制動回路の故障の際必要になる場合、補助制動機能により常用制動機を計量して援助するか又はこれに代わることができる。
【0023】
別の好ましい実施形態では、電気機械操作機構又は電気空気圧弁装置により制御されるばね制動シリンダが、常用制動回路の少なくとも1つの常用制動制御装置とは別個に設けられる駐車制動装置の少なくとも1つの独立の駐車制動制御装置に接続され、かつこの駐車制動制御装置により制御可能である。その際有利なように、駐車制動装置が、駐車制動制御装置及び電気機械操作機構又はばね制動シリンダを制御する電気機械弁装置に給電する独立の電気エネルギ供給装置を持ち、この電気エネルギ供給装置が常用制動制御装置の電気エネルギ供給装置とは無関係である。それにより制動システムの独立の部分システム、即ち常用制動機のための補助制動機能を保証する独立の駐車制動システムが有利に得られる。その際駐車制動装置の電気機械操作機構又は電気空気圧弁装置の給電は、常用制動回路と無関係である。従って常用制動回路の電気的及び空気圧的故障の際にも、駐車制動装置により与えられる補助機能を介して、車両を制動することができる。駐車制動装置の電気エネルギ供給装置及び常用制動制御装置の電気エネルギ供給装置は、有利なように蓄電池として構成されるか、又はそれぞれ蓄電池を含んでいる。従ってこれらの電気エネルギ供給装置又は蓄電池により、駐車制動装置及び常用制動装置のために、それぞれ互いに無関係な給電回路が形成される。
【0024】
有利なように駐車制動装置が、車両の少なくとも1つの後車軸及び少なくとも1つの前車軸の車輪、特に常用制動回路の制動シリンダにより制動可能なすべての車輪に、少なくとも1つの電気機械操作機構又はばね制動シリンダを持っている。それにより車両の少なくとももっとも重要な車輪、場合によっては常用制動回路により制動されるすべての車輪が、常用制動回路の故障の場合、駐車制動装置を介して補助制動機能により制動可能である。
【0025】
別の有利な実施形態では、駐車制動制御装置と常用制動制御装置が、データ導線特にCANバスを介して、駐車制動制御装置と常用制動制御装置との間でデータを交換するために接続されている。こうして常用制動システム及び駐車制動機の制御装置が互いに交信して、例えば両方のシステムの1つにおける故障を識別しかつこの故障を補償する手段に介入することができる。
【0026】
駐車制動制御装置により常用制動回路の機能を果たす能力が監視可能であり、1つ又はすべての常用制動回路の万一の故障が確認可能であると、特に有利である。その際このように確認される万一の故障の際、故障した常用制動回路の車輪を、これらの車輪に付属する電気機械操作機構により特に制動要求信号に関係して制動するように、駐車制動制御装置が構成されている。それにより1つ又は複数の常用制動回路の故障の際、駐車制動装置が、この故障に関係する車輪の制動を引受ける。従って故障は、車両の制動反応に対して大した結果を及ぼさない。それにより常用制動システムにおける各個別故障の際、補助制動作用が駐車制動システムを介して引続き与えられる。
【0027】
別の実施形態では、常用制動制御装置により、駐車制動制御装置及び/又は電気機械操作機構あるいは電気空気圧弁装置及び/又はばね制動シリンダの機能を果たす能力が監視可能であり、駐車制動制御装置及び/又は電気機械操作機構の万一の故障が確認可能である。その際このように確認される故障の際故障に関係する車輪を、これらの車輪に付属する常用制動回路により特に駐車制動信号に関係して制動するように、常用制動制御装置が構成されている。即ち駐車制動機の機能は、常用制動機により少なくとも一時的に保証される。しかも車両の常用制動機による車両の固定は、永続的に確実な手段ではない。なぜならば、常用制動機は常用制動圧力を前提とするが、常用制動圧力は一般に時間と共に消失する。更に若干の国における法律規定は、一般に常用制動機能の変換の際使用されるような液状又は気体状媒体による駐車制動機能の範囲内で制動機の締付けを禁止している。なぜならば、制動機能は、漏れのため消失することがあり、従って車両の前後ずさりの危険があるからである。しかし例えば駐車制動装置の故障の際助けを呼ぶために、前後ずさりなしに車両をこのように一時的に止めておくことができる。
【0028】
この実施形態では、特に駐車制動操作装置の故障の際駐車制動機能の利用可能性が有利に高められる。これは、電気空気圧駐車制動機においても電気機械駐車制動機においても適用される。特に公知のシステムでは、駐車制動装置の操作器の故障の際、ばね制動シリンダをもはや排気できないという欠点がある。それにより駐車制動機はもはや投入又は動作することができない。本発明の前述した好ましい実施形態によれば、駐車制動装置特にその操作器が部分的に又は完全に故障している時にも、制動システムは駐車制動作用を行うことができる。駐車制動装置の操作器の故障の際、データインタフェースを介して運転者から駐車制動機能の要求があると、減速要求信号又は制動圧力信号が常用制動制御装置へ送信可能である。それによりこの常用制動制御装置は、障害のない駐車制動機能に相当する制動作用が車両の車輪において得られるような減速要求又は常用制動機能用制動圧力を選択する。
【0029】
従って駐車制動装置の操作器の故障にもかかわらず、常用制動制御装置が付勢されている限り、常用制動装置により車両を止めておくことができる。この作動状態の間に、適当な別の手段により、例えばトレーラにあるばね制動シリンダの投入によるか又は楔を車両の車輪の前又は後ろに置くことにより、車両の前後ずさりを防止することができる。
【0030】
車両の運転室にある駐車制動装置の機能を果たす能力の阻害は、特に音及び/または触覚で通報される。
【0031】
別の好ましい実施形態では、車両の点火装置の動作停止後も常用制動回路の機能を果たす能力が所定の時間維持されるように、常用制動制御装置が制御されている。即ち車両の点火装置が動作停止している時にも、常用制動装置が所定の時間に一致する追従時間の間駐車制動機能を維持する。そのため常用制動シリンダの常用制動圧力が維持される。従って車両を固定する安全方策をとるために、車両の機関を動かす必要がない。むしろ車両は少なくとも所定の時間固定された状態に留まるので、車両の前後ずさりの危険はない。こうして常用制動装置により、所定の時間補助駐車制動機能が与えられる。有利なようにこの時間の間、常用制動制御装置の電気エネルギ供給装置が常用制動制御装置に電気接続されているか、又は常用制動制御装置が車両蓄電池に直接接続されている。これは、車両点火装置が停止している場合にも、常用制動回路の機能を果たす能力を維持するための特に有効な解決策である。
【0032】
補助駐車機能の終了後、常用制動制御装置を有利なようにエネルギ節約モードに変換し、このモードにおいて常用制動制御装置の機能群の動作を停止することができる。
【0033】
別の好ましい実施形態では、常用制動回路の機能を果たす能力が維持されている所定の時間の経過前に、特にこの時間の経過に関係する特に2段又は多段の光及び/又は音警告信号が、例えば警笛の自動的な特に周期的な操作によるか又は警告明滅灯の自動的な付勢又は車両照明の付勢又は周期的付勢によって、出力される。周期は補助駐車機能の終了の直前に短くなる。こうして運転者は、短い時間しか車両が前後ずさりを防止されず、即ち常用制動装置が車両を短時間しか止めないことを警告される。警告信号が出るまで、運転者が適当な手段により車両をまだ継続的に固定できなかった場合、警告信号に基いて運転者は、運転室を占め、常用制動機を再び操作するか又は一層良い停止場所を見つけ出す機会を得る。
【0034】
別の好ましい実施形態では、第1の車軸特に後車軸の車輪の電気機械操作機構が、第1の常用制動回路の第1の常用制動制御装置に接続されて、この制御装置により制御可能であり、第2の車軸特に前車軸の車輪の電気機械操作機構が、第2の常用制動回路の第2の常用制動制御装置に接続されて、この制御装置により制御可能である。それにより電気機械操作機構は常用制動制御装置により給電又は制御される。
【0035】
その際有利なように、それぞれの操作機構の給電又は制御は、車軸ごとに交差線を介して行われる。即ち第1の常用制動回路は前車軸の車輪を制動する制動回路であり、第1の常用制動制御装置は前車軸の制動機を制御するために設けられ、一方第2の常用制動回路は後車軸の車輪を制動する制動回路であり、第2の常用制動制御装置は後車軸の制動機を制御するために設けられている。その際前車軸の車輪の操作機構は、(後車軸の制動機を制御する)第2の常用制動制御装置により給電され、一方後車軸の車輪の操作機構は、(前車軸の制動機を制御する)第1の常用制動制御装置により給電されかつ制御される。前記の操作機構は通常車輪における駐車機能又は補助制動機能を引受ける。
【0036】
操作機構のこの交差制御、即ち前車軸のために設けられる常用制動制御装置による後車軸の操作機構の制御及びその逆により、例えば1つの空気圧常用制動回路又は制御装置の故障の場合にも、すべての車輪特に故障した常用制動回路の車輪による補助制動をなお行うことができる。更に1つの制動回路が故障しても、駐車制動機の機能はなお保証
【0037】
別の有利な実施形態は、従属請求項及び図面により詳細に説明される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 本発明の第1実施例による制動システムの概略図を示す。
【図2】 本発明の第2実施例による制動システムの概略図を示す。
【図3】 本発明の第3実施例によるブロックダイヤグラムを示す。
【図4】 本発明の第4実施例による制動システムの概略図を示す。
【図5】 本発明の第5実施例による制動システムの概略図を示す。
【図6】 本発明の第6実施例による制動装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、前車軸12と後車軸14及び制動ペダル装置18により操作可能な常用制動機を持つ制動システム16を有する2車軸車両10を概略的に示す。しかし本発明は2車軸車両に限定されず、特に2つより多い車軸、特に複数の後車軸及び/又は複数の前車軸を持つ車両においても使用することができる。その際車両とは、トラクタ又は牽引機能なしの車両例えばバスも意味する。
【0040】
第1の常用制動回路は前車軸12の車輪20の制動に用いられる。この第1の常用制動回路は、圧縮空気導管26を経て前車軸制動制御モジュール24に接続される圧縮空気貯蔵容器22を持っている。更に第1の常用制動回路は各車輪20に対してそれぞれ1つの弁装置28を含み、この弁装置28を経て圧縮空気が、車輪20にある制動機の制動シリンダ30へ供給されるか又はこれから排出される。従って弁装置28は、圧縮空気導管32を経て前車軸制動制御モジュール24に接続され、かつ圧縮空気導管34を経て制動シリンダ30に接続されている。
【0041】
弁装置28は更に電気導線36を介して前車軸制動制御モジュール24に接続されて、これから弁装置28を操作する制御信号を受ける。有利なように両方の弁装置28は、前車軸制動制御モジュール24に統合することもできる。
【0042】
車輪20には更に車輪速度検出手段38が設けられ、電気導線40を介して前車軸制動制御モジュール24に接続されている。車輪速度検出手段38はそれぞれの車輪回転速度の検出に用いられる。これらの検出手段は、それぞれの車輪20に相対回転しないように結合されて能動的又は受動的に動作する車輪センサ44に電磁結合される磁石車42から成っている。車輪速度検出手段38により例えば車輪20のロック又は滑りが確認され、制動制御モジュール24から弁装置28への適当な制御信号を介して、制動シリンダ30への制動圧力が調整され、特に車輪20のロックの場合減少される。こうして車輪20に対してロック防止機能が与えられる。
【0043】
前車軸制動制御モジュール24は、更に電気導線46を介して制動ペダル装置18に接続されている。この導線46は、制動ペダル装置18から前車軸制動制御モジュール24へ電気制動要求信号を伝送する。最後に前車軸制動制御モジュール24は電気エネルギ供給装置への接続部47を持っている。
【0044】
第2の制動回路は、圧縮空気導管50を経て後車軸制動制御モジュール52に空気圧的に接続される第2の圧縮空気貯蔵容器48を持っている。この第2の制動回路は更に制動シリンダ54を含み、各制動シリンダは後車軸14の車輪56にそれぞれ付属している。制動シリンダ54は圧縮空気導管58を経て後車軸制動制御モジュール52に接続されている。後車軸制動制御モジュール52内には、制動シリンダ54のため制動圧力を計量する1つ又は複数の弁が設けられている。
【0045】
後車軸制動制御モジュール52は電気エネルギ供給装置用の接続部58Aを持っている。後車軸制動制御モジュール52は、更にデータ導線59を介して前車軸制動制御モジュール24に接続されている。このデータ導線59を介して、両方の制御モジュールの間の交信が行われる。制御モジュール24、52は、それぞれ他方の制御モジュールの万一の誤動作を検出できるように構成されている。
【0046】
後車軸14の車輪56にも同様に車輪速度検出手段60が設けられて、それぞれ車輪回転速度の検出を可能にする。車輪速度検出手段60は、車輪56に相対回転しないように結合されて能動的又は受動的(誘導的)に動作する車輪センサ64に電磁結合される磁石車62から成っている。車輪速度検出手段60特に車輪センサ64は、電気導線66を介して後車軸制動制御モジュール52に接続されている。車輪速度検出手段60により、後車軸14の車輪56のロック又は滑りが確認され、制動シリンダ64への制動圧力計量が変化されて、車輪56のロック傾向又は車輪56の滑りに対して逆に作用することができる。
【0047】
後車軸制動制御モジュール52は更に電気導線68を介して制動ペダル装置18に接続され、電気導線68を介してから電気制動要求信号を受ける。電気制動要求信号を考慮して、前車軸制動制御モジュール24と同様に後車軸制動制御モジュール52が、制動シリンダ54又は30へ供給すべき制動圧力を設定する。
【0048】
後車軸制動制御モジュール52は更に、電気導線70により第3の制動回路のトレーラ制御弁72に接続されている。この第3の制動回路は、圧縮空気導管76を経てトレーラ制御弁72に接続される第3の圧縮空気貯蔵容器74を持っている。トレーラ制御弁72は、連結可能なトレーラ(図示せず)の制動圧力制御に用いられる。トレーラ制御弁72は、圧縮空気貯蔵容器74から取出される圧縮空気を、電気制御信号特に電気導線70を介して後車軸制動制御モジュール52から又は電気導線77を介して前車軸制動制御モジュール24から得られる電気制御信号に従って、圧縮空気接続部78,80を経て、連結可能なトレーラの制動システムへ与える。それによりトレーラ制御弁72は、後車軸制動制御モジュール52又は前車軸制動制御モジュール24を介して、電気信号例えば運転者の制動希望を表すパルス幅変調された信号を間接的に受ける。
【0049】
更にトレーラへ給電しかつトレーラへ又はトレーラからデータを伝送する差込み接続部82が設けられている。電気差込み接続部82は電気導線84を介して制動ペダル装置18に接続されている。
【0050】
制動ペダル装置18は更に前後ずさり制動信号発生器85に接続され、この信号発生器を介して前後ずさり制動機能を動作させるか又は停止させることができる。この前後ずさり制動機能は、例えば走行する車両において前後ずさり制動機能の始動後、車両が停止するか否かについて監視が行われるように、形成されている。運転者による制動操作のため車両停止が確認さえると、弁装置28及び後車軸制動制御モジュール52に設けられる弁の操作により自動的に、制動シリンダ30,54及びトレーラ制動システムにそのつど存在するか又は所定の制動圧力が、運転者により制動ペダルを引続き操作する必要なしに、現在存在するか又は所定のレベルに保持される。これにより車両は、制動ペダルの釈放後も、傾斜した車道で停止状態に保たれる。運転者が車両を発進させようとしていることが確認されると、車両制動機及びトレーラ制動システムが自動的に釈放される。
【0051】
トレーラ制御弁72も後車軸制動制御モジュール52及び前車軸制動制御モジュール24も、空気圧制御入口を持っていない。これら3つの構成要素により利用可能な圧力は、電気信号により設定される。従って3つの制動回路すべては、電気導線を介して制動ペダル装置18に接続されて電気的に制御される制動回路である。特に制動ペダル装置18は、前車軸制動制御モジュール24、後車軸制動制御モジュール52及びトレーラ制御弁72が、電気構成要素の故障の場合1つの車軸の制動シリンダのための制動圧力計量のために利用可能な冗長圧力を使用できるようにしない。
【0052】
それにより制動システムは純電気的に制御される制動システムとして構成されている。従って制動ペダル装置18は空気圧構成要素を持っていない。特に制動ペダル装置18は圧縮空気導管用接続部を持っていない。
【0053】
制動ペダル装置18、前車軸制動制御モジュール24及び後車軸制動制御モジュール52は、1つ又は複数の電気エネルギ供給装置(図示せず)に直接又は間接に接続されている。有利なように制動ペダル装置18は接続部86を介して、接続部47を介して前車軸制動制御モジュール24にまた接続部58Aを介して後車軸制動制御モジュール52に給電する第1の電流回路の第1の電気エネルギ供給装置に接続されている。有利なように制動ペダル装置18は、更に接続部87を介して、駐車制動制御装置94にも給電する第2の給電回路の第2の電気エネルギ供給装置に接続されている。それにより制動ペダル装置18は、簡単な故障の場合にもなお制動ペダル装置18の機能を保証するために、少なくとも二重のエネルギ供給装置を持っている。
【0054】
制動ペダル装置18は、更にデータバス特にCANバス用の接続部88を持っている。しかし1つだけの接続部88の代わりに、冗長性のため制動システムの少なくとも2つのデータ接続部が設けられている。
【0055】
同様に冗長性のため制動ペダル装置18は、電気制動要求信号として出力される制動要求例えば減速要求の目標値を検出する少なくとも2つのセンサを持っている。
【0056】
更に制動ペダル装置18は、特に保守及び故障分析用保守計算機の接続用のインタフェースを形成する診断接続部90を持っている。
【0057】
制動ペダル装置18は、1つ、複数又はすべての前記特徴及び次の特徴を持つことができる。即ち制動ペダル装置18は制御装置及び車両の制動灯を制御するための1つ又は複数の接続部を持っている。更に制動ペダル装置18は、車両の運転室特にそのコックピットにある制動システムの場合によっては選択的にのみ存在する操作素子を読出すための手段特にセンサ又はこのような手段のための接続部を持っている。更に制動ペダル装置18は、運転室特にコックピット内又は車両外にある制動システムの光及び/又は音信号を制御するための接続部を持っている。
【0058】
更に制動ペダル装置18は、援助する機関制動を開始するため車両の駆動装置を制御する電気接続用の少なくとも1つの接続部を持っている。即ち制動ペダル装置18により、援助する機関制動を開始又は制御する信号を発生することができる。
【0059】
制動ペダル装置18は更に、リターダによる制動作用を生じるためリターダへの電気接続用接続部を持っている。即ち制動ペダル装置18はリターダを制御する電気信号を発生することができる。
【0060】
更に制動ペダル装置18は、例えば始動電動機−発電機装置、ハイブリッド装置等のように車両の動力伝達系にある電動構成要素への電気接続のための少なくとも1つの接続部を持ち、それにより別の援助制動作用が行われる。即ち制動ペダル装置18は、別の制動作用を生じるこのような電動構成要素を制御する少なくとも1つの電気信号を発生する。
【0061】
図示しない構成では、前車軸制動制御モジュール及び/又は後車軸制動制御モジュールの制御電子装置又は制御論理装置が制動ペダル装置18に統合されているので、それぞれのモジュールにある電子装置又は論理装置がなくなる。この場合前車軸制動制御モジュール又は後車軸制動制御モジュールの電気空気圧弁は、制動ペダル装置により制御可能である。
【0062】
それにより制動ペダル装置は、全体として運転者と制動システムと残りの車両との間のインタフェースを形成している。
【0063】
制動システム16は更に、独立の部分システムとして形成されている駐車制動装置92を含んでいる。駐車制動装置92は、車輪20,56に設けられる電気機械操作機構96,98特に電動機又は空気圧ばねを操作する駐車制動制御装置94を持っている。操作機構96は前車軸12の車輪20に設けられ、操作機構98は後車軸14の車輪56に設けられている。操作機構96は、電気導線100を介して駐車制動制御装置94に接続されている。操作機構98は、電気導線102を介して駐車制動制御装置94に接続されている。
【0064】
更に駐車制動制御装置94はデータバス特にCANバス用の接続部104を持っている。接続部104はデータバスを介して制動ペダル装置18の対応する接続部88に接続されている。
【0065】
更に駐車制動制御装置94は、(図示しない)電気エネルギ供給装置用の接続部106を持っている。この電気エネルギ供給装置は、常用制動回路の電気エネルギ供給装置とは無関係であり、特に接続部を介して制動ペダル装置18に接続される電気エネルギ供給装置と無関係である。
【0066】
駐車制動制御装置94は更に、電気導線108を介して、駐車制動機を操作する電気操作装置110に接続されている。最後に駐車制動制御装置94は、電気導線111を介してトレーラ制御弁72に接続されているので、制御信号を介してトレーラの(駐車)制動機を投入することができる。
【0067】
それにより純電気的に制御される制動システム16は、独立の制動部分システム、即ち常用制動回路とは無関係に作動可能な駐車制動装置92を持っている。1つ又は複数の常用制動回路が故障する場合、又は常用制動機全体が故障する場合も、なお駐車制動機により制動可能ななるべくすべての車輪において、駐車制動装置92を介して車両10を確実に制動することができる。従って駐車制動装置92は常用制動機のための補助制動機能を生じる。制動ペダル装置18と駐車制動制御装置94との間の接続を行うデータバスを介してデータと交換して、1つ又は複数の常用制動回路の故障を確認することができる。しかし駐車制動制御装置94からデータバスを介してもはやデータが受信されない場合、これが常用制動機の故障であると確認され、車両が自動的に制動されるか、又は警告信号が発生され、それにより運転者は、電気操作装置110又は制動ペダル装置18を介して車両を制動することができる。
【0068】
1つ又はすべての常用制動回路の故障の際、データバスを介して制動ペダル装置18から駐車制動制御装置94への通信がまだ可能であると、駐車制動制御装置94を介して制動ペダル装置18から補助制動作用が有利に与えられる。
【0069】
各車輪20,56にある電気機械操作機構96,98は、電気制御信号を介して制御されるので、操作機構96,98はそれぞれの制御信号に相当する電動力を発生し、この力により車輪20又は56を制動及び/又は固定するための機械的運動を行うことができる。これらの電気機械操作機構は、電気制御信号の中断の際操作機構がその最後にとった位置に留まるように、構成されている。従って操作機構96,98への電気信号又はエネルギの供給が中断されている時にも、これらの操作機構により投入された制動機は、なお投入されたままである。従って車両10は、電気機械操作機構96,98により確実にかつ永続的に固定される。従って操作機構96,98は駐車制動機を形成する。しかし操作機構の電気制御可能性のため、操作機構は段階づけられて、即ち計量可能に調整されることができる。従って理想的なやり方でも、操作機構は常用制動機の機能特に常用制動機に対する補助制動機としての機能を援助するか又は引受けるのに適している。
【0070】
純電気的又は電子的に操作される常用制動システムは、こうして電気機械駐車制動回路即ち駐車制動装置92で補足される。この駐車制動装置92は、空気圧常用制動機の故障の際、十分な補助制動力を保証する。1つ又は複数又は全部の常用制動回路の故障の際、該当する車軸にあるこの独立した駐車制動装置92により、十分な補助制動が保証される。更にそれにより、これらの操作機構96,98を備えたすべての車軸において、駐車制動機を投入することができる。
【0071】
常用制動回路の制動シリンダ30,54による前後ずさり制動機能は上述された。しかし別の実施例において前後ずさり制動機能は、それに加えて又はその代わりに、電気機械操作機構96,98により行われる。前後ずさり制動信号発生器85が操作されると、車両が走行している場合、車両が停止するか否かの監視が行われる。このために車輪速度検出手段38,60が利用される。運転者による制動操作のため車両の停止が確認されると、電気機械操作機構96,98が自動的に操作されるので、付属する車輪制動機が締付けられる。今や運転者は永続的に制動ペダルを操作する必要がない。むしろ車両は、制動ペダルの釈放後も、傾斜した車道で停止状態に保たれる。しかし運転者が車両を発進させようとしていることを制動システムが確認すると、車輪制動機特に電気機械操作機構及び場合によってはトレーラ制動システムが自動的に釈放される。電気機械操作機構の使用は、車両が停止しかつ制動ペダルが釈放された状態で、前後ずさり制動機能が作用している間に電気エネルギ供給装置が故障しても、車両は傾斜した車道においても前後ずさりすることはない。なぜならば、停電の場合にも電気機械操作機構は車輪制動機を投入状態に保つからである。例えば運転者が運転席から離れているか否かの監視は、この実施例では行われなくてもよいからである。即ち車両の停止している間前後ずさり制動機能が作用している段階中に電気エネルギ供給装置が故障する場合、運転者が運転席を離れるのを回避するために、運転者監視が従来のように行われる。なぜならば、運転者は車両が確実に停止していると信じているからである。しかしその場合停電すると、従来の前後ずさり制動装置では、作用している前後ずさり制動機能により投入される常用制動機が釈放され、車両が前後ずさりすることがある。
【0072】
別の実施例では、しかし上述したように、前後ずさり制動機能は常用制動回路により実行される。即ち車両が停止状態にあり、前後ずさり制動機能が作用していると、制動シリンダ30,54及びトレーラ制動システムにそのつど存在する制動圧力又は所定の制動圧力が、現在存在するレベル又は所定のレベルに保持される。その場合この特別な実施例では、駐車制動装置92又は駐車制動制御装置94が、制動システムの常用制動回路又は常用制動機能を監視する。常用制動回路又は常用制動機能の故障が確認されると、それぞれの車輪制動機を投入するため、電気機械操作機構96,98が操作されることによって、駐車制動装置92又は駐車制動制御装置94が前後ずさり制動機能を引受ける。しかし車両速度が零であり、即ち車両が停止している時にのみ、電気機械操作機構96,98のこの操作が行われる。この停止は車輪速度検出手段38,60により検出される。
【0073】
車輪速度検出手段38,60は更に、前後ずさり制動機が動作しかつさしあたり車両が停止している場合、車両が前後ずさりし始めるか否かを確認するために使用される。もしそうだとすれば、電気機械操作機構96,98及び/または制動シリンダ30,54が車輪制動機のために一層大きい締付け力を利用可能にすることによって、制動力が高められる。
【0074】
図1に示す実施例では、常用制動装置は電気空気圧的に構成され、即ち制動ペダル装置18の操作の際車輪制動機が空気圧で締付けられ、制動空気圧力が電気的に制御される。それに対し駐車制動装置は電気機械的に構成され、即ち電気操作装置110の操作の際車輪制動機が電気機械操作機構により機械的に締付けられ、機械的制動力が電気的に制御される。従って電気空気圧常用制動機及び電気機械駐車制動機について述べられる。
【0075】
図2は本発明の別の実施例を示し、常用制動機が電気機械的に実現され、駐車制動機が電気空気圧的に実現されている。制動ペダル装置18の構成、接続部及び配線は、図1のそれに一致している。しかし前車軸制動制御モジュール24′は今や純電気的に構成されている。従って空気圧接続部はない。前車軸制動制御モジュール24′は、電気導線36′を介して、前車軸の車輪20にある車輪制動機を操作する電気機械操作機構96′に接続されている。前車軸制動制御モジュール24′は、蓄電池B1の形の独立した電気エネルギ供給装置を持っている。なお前車軸制動制御モジュール24′の接続部及び配線は、図1による前車軸制動制御モジュール24に一致している。
【0076】
後車軸制動制御モジュール52′も同様に純電気的に構成されている。従って空気圧接続部は、トレーラ制御弁への空気圧接続部従ってトレーラ制御弁への電気接続部も含めて存在しない。後車軸制動制御モジュール52′は、電気導線102′を介して、後車軸の車輪56にある車輪制動機を操作する電気機械操作機構98′に接続されている。後車軸制動制御モジュール52′は、蓄電池B2の形の独立した電気エネルギ供給装置を持っている。なお後車軸制動制御モジュール52′の電気接続部及び配線は、図1による後車軸制動制御モジュール52′に一致している。
【0077】
これに反し駐車制動制御装置94′はもはや純電気的には構成されず、電気空気圧的に構成されている。この装置は、圧縮空気導管26′を経て圧縮空気貯蔵容器74に接続されている。駐車制動制御装置94′は、圧縮空気導管112を経て、前車軸の車輪56にあるばね制動シリンダ113に接続されている。駐車制動制御装置94′は更に、圧縮空気導管114を経て、後車軸の車輪56にあるばね制動シリンダ115に接続されている。これらのばね制動シリンダ113及び115は、駐車制動制御装置94′により制御される駐車制動機能を、なるべく両方の車軸ただしその代わりに1つの車軸のみにおいて与える。データ導線116は、駐車制動制御装置94′と後車軸制動制御モジュール52′との間のデータ交信のため、駐車制動制御装置94′を後車軸制動制御モジュール52′に接続する。なお駐車制動制御装置94′の電気接続部及び配線は、図1による駐車制動制御装置94に一致する。
【0078】
図3は本発明の別の実施例をブロックダイヤグラムの形で示す。(図示しない)制動ペダル装置の制動値発生器120は、電気導線122を介して電子制動システムの常用制動制御装置124に接続されている。更に制動値発生器120は、電気導線126を介して駐車制動制御装置128に電気接続されている。常用制動制御装置124と駐車制動制御装置128は、データを相互に交換するデータバス130を介して互いに接続されている。更に常用制動制御装置124は、電気導線132を介してトレーラ制御弁134に電気接続されている。トレーラ制御弁134は、圧縮空気導管136を経て、電気的に操作可能な弁装置138に接続されている。最後に弁装置138は圧縮空気貯蔵容器(図示せず)に接続されている。
【0079】
常用制動制御装置124は、電気導線140,142を介して、車両の前車軸に設けられる制動シリンダへ圧縮空気を供給する弁144、前車軸に設けられる制動シリンダへ圧縮空気を供給する弁144、及び車両の後車軸に設けられる制動シリンダへ圧縮空気を供給する弁146に接続されている。
【0080】
常用制動制御装置124は、第1の電気エネルギ供給装置148に接続されている。駐車制動制御装置128は、第2の電気エネルギ供給装置150に接続されている。
【0081】
駐車制動制御装置128は更に、車両の前車軸用の電気機械操作機構152及び車両の後車軸用の電気機械操作機構154に、電気導線156,158を介して電気接続されている。更に駐車制動制御装置128は、信号発生器の形の電気操作装置160に接続されている。
【0082】
図3に示す実施例は、図1に示す実施例に大幅に一致しているが、図3による実施例では、簡単化して常用制動制御装置124に収容されている常用制動機の電子構成要素に関しては簡単化している。この常用制動制御装置124は、図1による実施例の前車軸制動制御モジュール24及び後車軸制動制御モジュール52の制御論理装置をまとめている。
【0083】
図3に示す制動システムは、大体において2つの部分システムから成っている。第1の部分システムは、電子制動システムとして構成されている常用制動機に関する。常用制動制御装置124は、図1に関して説明したように、車両の前車軸及び後車軸用の常用制動弁144,146及び場合によってはトレーラ制御弁134を制御する。常用制動制御装置124は更に、制動値発生器の第1の電気回路を読込み、即ち制動値発生器により発生される値を検出する。常用制動装置124は電気エネルギ供給装置148から独立に給電される。
【0084】
第2の部分システムは駐車制動機に関するものである。駐車制動制御装置128は、図1による実施例に関連して既に説明したように、操作機構152(これらが設けられている場合)を介して前車軸の制動を行い、操作機構154を介して後車軸の行動を行い、トレーラ制御弁134(これらが設けられている場合)を介してトレーラの制動を行う。
【0085】
前車軸又は後車軸の車輪の制動は、電気機械操作機構152,154による制動機の電動締付けによって、又はばね制動シリンダの排気によって行われる。トレーラの制動は、トレーラ制御弁134にある排気ポートの排気によって行われる。駐車制動制御装置128は、制動値発生器120の第2の回路を読込む。駐車制動制御装置128は更に、駐車制動機を操作する電気操作装置160の信号を読込む。駐車制動制御装置128は第2の電気エネルギ供給装置から給電される。
【0086】
常用制動制御装置124及び駐車制動制御装置128は、データバス130を介して互いに交信する。この交信により、両方の部分システムの1つにおける故障が通報可能なので、他の部分システムが故障した部分システムの役割を引受けることができる。常用制動システムにおける各個別故障の際、駐車制動機の操作機構特に操作機構152,154を介して、補助制動作用が駐車制動部分システムを経て引続き与えられる。
【0087】
図3に示す実施例では、操作機構152,154が電気機械操作機構として示されている。その代わりに電気機械弁装置を使用することもできる。これらの電気機械弁装置は、電気制御信号に応答して、ばね制動シリンダの空気圧力を制御し、これらのばね制動シリンダが排気される場合、ばねに蓄えられているばね力が放出され、このばね力により、駆動される車輪又は駆動軸を制動又は固定するため車輪制動機における機械的運動が行われる。
【0088】
図4は、図1に示す実施例に大幅に一致する本発明の別の実施例を示す。従って同じ符号が同じ構成部分を示している。これらの同じ構造部分に関しては、上記の説明が参照される。相違点は以下に詳細に説明される。簡単化するため、トレーラ制御弁72へ至る導管及び対応する接続部78,80,82を含めて、トレーラ制御弁72が省略されている。
【0089】
しかし図1に示す実施例に対する特徴は、図4の実施例における駐車制動装置が独立の駐車制動制御装置を持っていないことである。操作機構96,98の制御装置は、前車軸制動制御モジュール24及び後車軸制動制御モジュール52に収容されている。この実施例では更に、前車軸制動制御モジュール24及び後車軸制動制御モジュール52が、それぞれ電気エネルギ供給装置162,164を持っている。従って前車軸制動制御モジュール24及び後車軸制動制御モジュール52は、電気エネルギの供給に関して互いに無関係である。
【0090】
注意すべきことは、後車軸14の車輪56の操作機構98が前車軸制動制御モジュール24に接続され、前車軸12の車輪20の操作機構96が後車軸制動制御モジュール52に接続されていることである。供給回路例えば後車軸制動制御モジュール52又はそれに属する電気エネルギ供給装置164の故障の際、後車軸14の常用制動シリンダ54はもはや制御されない。しかし後車軸14の車輪56の操作機構98は前車軸制動制御モジュール24により制御可能である。前車軸制動制御モジュール24は、前車軸制動制御モジュール24と後車軸制動制御モジュール52とを交信させるデータ導線59を介する交信の変化又は断絶に基いて、後車軸制動制御モジュール52の故障を確認する。
【0091】
前車軸制動制御モジュール24がこのような故障を確認した後、運転者により制動ペダル装置18を介して制動要求信号が発生されると、前車軸制動制御モジュール24が後車軸14の車輪56の操作機構98を操作する。同時に運転者に対して、第2の常用制動回路の故障が光及び/又は音により表示される。
【0092】
第1の常用制動回路の故障の際、後車軸制動制御モジュール52が同じように操作機構96の制御を引受ける。
【0093】
従って1つの制動回路の故障の際、すべての車輪20,56がなお制動可能である。更に車軸制御装置の故障の際にも、少なくとも1つの車軸における駐車制動機の機能が保証される。
【0094】
図5は別の実施例を示し、常用制動機が電気機械的に実現され、駐車制動機が電気空気圧的に実現されている。制動ペダル装置18の構成、接続部及び配線は図1,2又は4のそれに一致している。しかし前車軸制動制御モジュール24″が、前車軸にある(電気機械)常用制動機及び後車軸にある(電気空気圧)駐車制動機を制御し、一方後車軸制動制御モジュール52″が、後車軸にある(電気機械)常用制動機及び前車軸にある(電気空気圧)駐車制動機を制御する。前車軸制動制御モジュール24″も後車軸制動制御モジュール52″も、電気及び空気圧構成要素及び接続部を持っている。
【0095】
前車軸制動制御モジュール24″は、電気導線36′を介して、前車軸の車輪20にある車輪制動機を操作する電気機械操作機構96′に接続されている。前車軸制動制御モジュール24″も同様に、蓄電池B1の形の独立した電気エネルギ供給装置を持っている。更に前車軸制動制御モジュール24″は、圧縮空気導管166を経て圧縮空気貯蔵容器74に接続されている。しかし前車軸制動制御モジュール24″は、圧縮空気導管168を経て、後車軸の車輪56にあるばね制動シリンダ115に接続されている。これらのばね制動シリンダ115は、前車軸制動制御モジュール24″により制御される駐車制動機能を後車軸において与える。なお前車軸制動制御モジュール4″の電気接続部及び配線は、図2による前車軸制動制御モジュール24″のそれに一致している。
【0096】
後車軸制動制御モジュール52″は、電気導線102′を介して、後車軸の車輪56にある車輪制動機を操作する電気機械操作機構98′に接続されている後車軸制動制御モジュール52″も同様に、蓄電池B2の形の独立した電気エネルギ供給装置を持っている。更に後車軸制動制御モジュール52″は、圧縮空気導管170を経て圧縮空気貯蔵容器74に接続されている。しかし後車軸制動制御モジュール52″は、圧縮空気導管172を経て、前車軸の車輪20にあるばね制動シリンダ113に接続されている。これらのばね制動シリンダ113は、後車軸制動制御モジュール52″により制御される駐車制動機能を前車軸において与える。なお後車軸制動制御モジュール52″の電気接続部及び配線は、図2によって後車軸制動制御モジュール52′のそれに一致している。
【0097】
一方の車軸の制動制御モジュールによる他方の車軸の駐車制動機の制御のこのような交差解決策により、故障に対する高度の安全性が与えられる。1つの制動制御モジュールが故障しても、両方の車軸のすべての車輪をなお制動でき、しかも一方の車軸において常用制動機により、また他方の車軸において駐車制動機により制動することができる。制動制御モジュールの故障は、データ導線59を介して交信がもはや規則正しく行われないことによって確認される。その場合この確認を行う制動制御モジュールは、適当な車軸において要求される適当な制動機能を引受ける。それにより道路交通における安全性を著しく高めることができる。
【0098】
図6は別の実施例を示し、常用制動機が電気空気圧的に実現され、駐車制動機が後車軸において電気空気圧的に、かつ前車軸において電気機械的に実現されている。制動ペダル装置18の構成、接続部及び配線は、図1,2,4又は5のそれに一致している。しかし前車軸制動制御モジュール24′′′は、前車軸にある(電気空気圧)常用制動機及び後車軸にある(電気空気圧)駐車制動機を制御し、一方後車軸制動制御モジュール52′′′は、後車軸にある(電気空気圧)常用制動機及び前車軸にある(電気機械)駐車制動機を制御する。前車軸制動制御モジュール24′′′も後車軸制動制御モジュール52′′′も、電気及び空気圧構成要素及び接続部を持っている。
【0099】
前車軸制動制御モジュール24′′′は、図1又は4におけるように、圧縮空気導管32及び電気導線36を介して、ロック防止機能を前車軸の車輪20の車輪制動機において与えるための弁28に接続されている。弁28は、圧縮空気導管34を経てこの車輪制動機の制動シリンダ30に接続されている。前車軸制動制御モジュール24′′′も同様に、畜電池B1の形の独立した電気エネルギ供給装置を持っている。更に前車軸制動制御モジュール24′′′は、圧縮空気導管26を経て、制動シリンダ30に圧縮空気を供給する圧縮空気貯蔵容器22に接続され、また別の圧縮空気導管174を経て圧縮空気貯蔵容器14に接続されている。更に前車軸制動制御モジュール24′′′は、圧縮空気導管168を経て、後車軸の車輪56にある組合わせばね−膜制動シリンダ176に接続されている。このばね−膜制動シリンダ176は、ばね部分により、前車軸制動制御モジュール24′′′により制御される駐車制動機能を後車軸において与え、また膜部分により、後車軸制動制御モジュール52′′′により制御される常用制動機能を与える。それぞれのばね部分は、駐車制動機を釈放するために、前車軸制動制御モジュール24′′′の制御を受けて、圧縮空気貯蔵容器74から圧縮空気を給気される。駐車制動機を投入するため、このばね部分が排気される。なお前車軸制動制御モジュール24′′′の電気接続部及び配線は、図1による前車軸制動制御モジュール24のそれに一致している。
【0100】
後車軸制動制御モジュール52′′′は、後車軸の車輪56にある組合わせばね−膜制動シリンダ176の膜部分に圧縮空気導管58を経て接続されている。後車軸制動制御モジュール52′′′は、蓄電池B2の形の独立した電気エネルギ供給装置を持っている。更に後車軸制動制御モジュール52′′′は、圧縮空気導管50を経て圧縮空気貯蔵容器48に接続されている。後車軸制動制御モジュール52′′′は、図4による実施例におけるように電気導線100を介して、前車軸の車輪20の車輪制動機にある電気機械操作機構96に接続されているので、これらの操作機構96が後車軸制動制御モジュール52′′′によって制御される。なお後車軸制動制御モジュール52′′′の電気接続部及び配線は、図2による後車軸制動制御モジュールのそれに一致している。
【0101】
一方の車軸の制動制御モジュールによる他方の車軸の駐車制動機の制御の交差解決策によって、故障に対する高度の安全性が得られる。図5による実施例に関連して説明したように、制動制御モジュールが故障する場合にも、両方の車軸のすべての車輪を、しかも一方の車軸において常用制動機によりまた他方の車軸において駐車制動機により、なお制動することができる。一方の制動制御モジュールの故障は、それぞれ他方の制動制御モジュールにより、データ導線59を介する交信がもはや規則正しく行われないことによって、確認される。その場合この確認する制動制御モジュールが、適当な車軸において要求される適当な制動機能を引受ける。更にこの実施例における安全性は、駐車制動機がハイブリッド制動機として、即ち電気空気圧的及び電気機械的に動作する駐車制動機として構成されていることによって、更に高められる。駐車制動機のこのハイブリッド構成のため、駐車制動機の空気圧部分又は電気部分が故障している時にも、なお駐車制動機を投入することができる。それにより道路交通における安全性が更に高められる。
【0102】
前記の説明及び請求項にあげられたすべての特徴は、個々に本発明による制動システムと組合わせ可能である。従って本発明は、上述するか又は保護を請求した特徴の組合わせには限定されない。むしろ個々の特徴のすべての組合わせが開示されているものとみなすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)特に商用車両用制動システムであって、車両を制動する常用制動機能を与える常用制動装置(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)と、常用制動装置(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)とは無関係に駐車制動機能を与える駐車制動装置(92)とを有するものにおいて、両方の制動装置のうち一方の部分的又は完全な故障の場合、車両がそれぞれ他方の制動装置により自動的に制動可能特に固定可能であることを特徴とする、制動システム。
【請求項2】
常用制動装置が圧力媒体で作動せしめられる1つ又は複数の常用制動回路を持ち、駐車制動装置(92)が電気機械的又は電気空気圧的に作動せしめられ、かつ1つ又は複数の電気機械操作機構(96,98)あるいは電気空気圧弁装置により制御される1つ又は複数のばね制動シリンダを持ち、ばね制動シリンダにより電気制御信号に応答して電気機械力が発生可能であるか又はばね力が放出可能であり、この力により車両(10)の駆動系の駆動される素子特に車輪(12,14)及び/又は駆動軸を制動及び/又は固定するための機械的運動が実行可能であり、駐車制動機能により常用制動機能を援助するために、補助機能が与えられることを特徴とする、請求項1に記載の制動システム。
【請求項3】
常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)を操作する制動ペダル装置(18)が、少なくとも1つの電気制動要求信号を発生するため、電気機械的に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の制動システム。
【請求項4】
電気制御信号の変化により、電気機械操作機構(96,98,152,154)又は電気空気圧弁装置により制御されるばね制動シリンダが計量可能に調整可能であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の制動システム。
【請求項5】
1つ又は複数又はすべての常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)の故障の際、車両が計量可能に制動可能であるように、駐車制動装置(92)が補助制動機能を与えることを特徴とする、請求項2〜4の1つに記載の制動システム。
【請求項6】
電気機械操作機構(96,98,152,154)又は電気空気圧弁装置により制御されるばね制動シリンダが、常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)の少なくとも1つの常用制動制御装置(24,52,124)とは別個に設けられる駐車制動装置(92)の少なくとも1つの独立の駐車制動制御装置(94,128)に接続され、かつこの駐車制動制御装置(94,128)により制御可能であり、駐車制動装置(92)が、駐車制動制御装置(94,128)及び電気機械操作機構(96,98,152,154)又はばね制動シリンダを制御する電気機械弁装置に給電する独立の電気エネルギ供給装置(150)を持ち、この電気エネルギ供給装置(150)が常用制動制御装置(24,52,124)の電気エネルギ供給装置(148)とは無関係であることを特徴とする、請求項2〜5の1つに記載の制動システム。
【請求項7】
駐車制動装置(92)が、車両(10)の少なくとも1つの後車軸(14)及び少なくとも1つの前車軸(12)の車輪(56,20)、特に常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)の制動シリンダ(30,54)により制動可能なすべての車輪(20,56)に、少なくとも1つの電気機械操作機構(98,96)又はばね制動シリンダを持っていることを特徴とする、請求項2〜6の1つに記載の制動システム。
【請求項8】
駐車制動制御装置(94,128)と常用制動制御装置(24,52,124)が、データ導線特にCANバスを介して、駐車制動制御装置(94,128)と常用制動制御装置(24,52,124)との間でデータを交換するために接続されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の制動システム。
【請求項9】
駐車制動制御装置(94,128)により常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)の機能を果たす能力が監視可能であり、1つ又はすべての常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)の万一の故障が確認可能であり、このように確認される故障の際、故障した常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)の車輪(20,56)を、これらの車輪(20,56)に付属する電気機械操作機構(96,98,152,154)又はばね制動シリンダにより特に制動要求信号に関係して制動するように、駐車制動制御装置(94,128)が構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の制動システム。
【請求項10】
常用制動制御装置(24,52,124)により、駐車制動制御装置(94,128)及び/又は電気機械操作機構(96,98,152,154)あるいは電気空気圧弁装置及び/又はばね制動シリンダの機能を果たす能力が監視可能であり、駐車制動制御装置(94,128)及び/又は電気機械操作機構(96,98,152,154)あるいは電気空気圧弁装置及び/またはばね制動シリンダの万一の故障が確認可能であり、このように確認される故障の際故障に関係する車輪(20,56)を、これらの車輪(20,56)に付属する常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)により特に駐車制動信号に関係して制動するように、常用制動制御装置(24,52,124)が構成されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の制動システム。
【請求項11】
駐車制動信号が駐車制動信号発生器(110)及び/又は前後ずさり制動信号発生器(85)により発生可能であることを特徴とする、請求項10に記載の制動システム。
【請求項12】
車両の点火装置の動作停止後も常用制動回路の機能を果たす能力が所定の時間維持されるように、常用制動制御装置(24,52,124)が制御されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の制動システム。
【請求項13】
所定の時間の間、常用制動制御装置(24,52,124)の電気エネルギ供給装置(148)が常用制動制御装置(24,52,124)に電気接続されたままであることを特徴とする、請求項12に記載の制動システム。
【請求項14】
所定の時間の経過前に、特にこの時間の経過に関係する特に2段又は多段の光及び/又は音警告信号が出力可能であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の制動システム。
【請求項15】
第1の車軸特に後車軸(14)の車輪(56)の電気機械操作機構(96,98,152,154)が、第1の常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36)の第1の常用制動制御装置(24)に接続されて、この制御装置(24)により制御可能であり、第2の車軸特に前車軸(12)の車輪(20)の電気機械操作機構(96,98,152,154)が、第2の常用制動回路(48,50,52,54,58)の第2の常用制動制御装置(52)に接続されて、この制御装置(52)により制御可能であることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の制動システム。
【請求項16】
第1の常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36)が前車軸(12)の車輪(20)を制動する制動回路であり、常用制動制御装置(24)が前車軸(12)の常用制動機を制御するために設けられ、第2の常用制動回路(48,50,52,54,58)が後車軸(14)の車輪(56)を制動する制動回路であり、第2の常用制動制御装置(52)が後車軸(14)の常用制動機を制御するために設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の制動システム。
【請求項17】
常用制動装置が電気機械的に作動せしめられ、かつ第1の車軸(12)の車輪(20)及び第2の車軸(14)の車輪(56)に複数の電気機械操作機構(96′,98′)を持ち、操作機構(96′,98′)により、電気制御信号に応答してそれぞれ電動力が発生可能であり、この電動力によりそれぞれ対応する車輪(20,25)を制動する機械的運動が実行可能であり、第1の車軸(12)特に前車軸の車輪(20)及び/又は第2の車軸(14)特に後車軸の車輪(56)にそれぞればね制動シリンダ(113,115)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜14の1つに記載の制動システム。
【請求項18】
第1の車軸(12)の車輪(20)にある電気機械操作機構(96′)が第1の常用制動制御装置(24′)に接続されて、この制御装置(24′)により制御可能であり、第2の車軸(14)の車輪(56)にある電気機械操作機構(98′)が第2の常用制動制御装置(52′)に接続されて、この制御装置(52′)により制御可能であり、ばね制動シリンダ(113,115)が駐車制動制御装置(94′)に空気圧的に接続されて、ばね制動シリンダ(113,115)を投入又は釈放することを特徴とする、請求項17に記載の制動システム。
【請求項19】
第1の車軸(12)の車輪(20)にある電気機械操作機構(96′)が第1の常用制動制御装置(24″)に接続されて、この制御装置(24″)により制御可能であり、第2の車軸(14)の車輪(56)にある電気機械操作機構(98′)が第2の常用制動制御装置(52″)に接続されて、この制御装置(52″)により制御可能であり、第1の車軸(12)の車輪(20)にあるばね制動シリンダ(113)及び第2の車軸(14)の車輪(56)にあるばね制動シリンダ(115)が、第1の常用制動制御装置(24′)に空気圧的に接続されて、ばね制動シリンダを投入又は釈放することを特徴とする、請求項17に記載の制動システム。
【請求項20】
常用制動制御装置が電気空気圧的に作動せしめられ、駐車制動装置が第1の車軸(12)の車輪(20)において電気機械的に作動せしめられ、かつ第2の車軸(14)の車輪(56)において電気空気圧的に作動せしめられ、第1の車軸(12)の車輪(20)にあって常用制動装置に付属する制動シリンダ(30)が、第1の常用制動制御装置(24′′′)に空気圧的に接続され、第2の車軸(14)の車輪(56)にあって常用制動装置に付属する組合わせばね−膜制動シリンダ(176)が、そのそれぞれの膜部分を第2の常用制動制御装置(52′′′)に空気圧的に接続され、組合わせばね−膜制動シリンダ(176)のばね部分が第1の常用制動制御装置(24′′′)に空気圧的に接続され、第1の車軸(12)の車輪(20)にある電気機械操作機構(96)が、第2の常用制動制御装置(52′′′)に接続されていることを特徴とする、請求項1〜14の1つに記載の制動システム。
【請求項21】
特に請求項1〜20の1つに記載の制動装置の1つ又は複数の常用制動回路(22,24,26,28,30,32,34,36;48,50,52,54,58)を操作する制動ペダル装置であって、少なくとも1つの電気制動要求信号を発生するため、制動ペダル装置(18)が純電気機械的に構成されていることを特徴とする、制動ペダル装置。
【請求項22】
受信する入力信号を評価しかつ入力信号から発生可能な出力信号を出力する制御装置を持っていることを特徴とする、請求項21に記載の制動ペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−508704(P2011−508704A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542520(P2010−542520)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008956
【国際公開番号】WO2009/086855
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(596055475)ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (47)
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
【Fターム(参考)】