説明

車両用情報提供装置

【課題】 車車間通信手段のような装置を搭載していない車両に対する出会い頭の事故を未然に回避できるようにする。
【解決手段】 自車VAが、自車VAの位置、走行速度および走行方向を含む自車情報と、検出車両VBの位置、走行速度および走行方向を含む移動物情報と、それらが得られた時刻を含む時刻情報とを基地局20に送信すると、基地局20は前記各情報に基づいて地図データ上における検出車両VBの存在確率を算出するとともに、自車位置および検出車両VBの存在確率に基づいて交差点に存在する検出車両VBの予測情報を自車VAに送信するので、前記予測情報とに基づいて自車VAの乗員への注意喚起や警報を行うことで、検出車両VBとの出会い頭の衝突を回避することができる。その際、検出車両VBは自車VAと同じ装備を備えている必要がないため、全ての検出車両VBを対象として出会い頭の衝突を回避することができ、しかも各交差点毎にインフラを整備する必要がないので低コストで実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車および基地局間で相互に通信を行うことで、自車の進路上で自車に接近する可能性がある移動物の情報を自車の乗員に提供する車両用情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車と他車との間の車車間通信により、各々の位置、走行方向および走行速度の情報を交換し合い、地図データ上における自車の走行方向に存在する交差点に自車および他車が同時に進入する可能性がある場合に、自車の運転者にブザー等で警報を発するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
非優先道を走行する車両が優先道との交差点に進入したときの出会い頭の衝突を防止すべく、交差点の手前の非優先道にサービスエリアを設定し、非優先道の車両がサービスエリアに入ると、優先道の車両のデータを路車間通信により非優先道の車両に送信し、衝突の可能性がある場合に運転者に警報を発したり自動制動を行ったりするものが、下記特許文献2により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−290200号公報
【特許文献2】特開2001−126198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された発明は、車車間通信手段を持つ車両であっても、車車間通信手段を持たない車両との間では情報交換を行えないため、車両どうしの衝突回避効果が得られる確率は、2台の車両が各々車車間通信手段を持つ確率の積となる。例えば、車両の車車間通信手段の普及率が10%である場合には、任意の2台の車両が接近したときに衝突回避効果が得られる確率は僅かに1%となってしまう問題がある。
【0006】
また上記特許文献2に記載された発明は、交差点毎に衝突回避用のインフラを設ける必要があるため、多くの交差点に前記インフラを整備しようとすると莫大な費用がかかる問題がある。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車車間通信手段のような装置を搭載していない車両に対する出会い頭の事故を未然に回避できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自車および基地局間で相互に通信を行うことで、自車の進路上で自車に接近する可能性がある移動物の情報を自車の乗員に提供する車両用情報提供装置であって、自車は、自車の位置、走行速度および走行方向を含む自車情報を検出する自車情報検出手段と、自車周辺に存在する移動物を検出する移動物検出手段と、前記移動物検出手段の検出結果および前記自車情報に基づいて移動物の位置、走行速度および走行方向を含む移動物情報を算出する移動物情報算出手段と、前記自車情報、前記移動物情報および該情報が得られた時刻を基地局に送信する第1送信手段と、前記基地局からの信号を受信する第1受信手段と、乗員に情報提供を行う情報提供手段とを備え、前記基地局は、前記第1送信手段により送信された信号を受信する第2受信手段と、地図データを記憶する基地局側地図データ記憶手段と、前記第2受信手段で得られた前記移動物情報および前記時刻情報に基づいて前記地図データ上における移動物の存在確率を算出する移動物存在確率算出手段と、前記第2受信手段により得られた自車位置および前記移動物の存在確率に基づいて、自車位置を含む所定範囲内に存在する移動物の予測情報を自車に送信する第2送信手段とを備え、前記情報提供手段は、自車位置と前記第1受信手段で受信した前記予測情報とに基づいて乗員への情報提供を行うことを特徴とする車両用情報提供装置が提案される。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、自車は、地図データを記憶する自車側地図データ記憶手段と、前記自車情報検出手段で検出した自車位置および前記自車側地図データ記憶手段に記憶した地図データに基づいて自車の走行方向に存在する交差点を検出するとともに、前記基地局の第2送信手段から送信された移動物の予測情報から前記交差点に移動物が進入すると判断された場合に、前記情報提供手段は乗員への情報提供を行うことを特徴とする車両用情報提供装置が提案される。
【0010】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記情報提供手段は、自車の走行速度が所定値以上であり、かつ自車の走行方向に存在する交差点に進入する移動物の存在確率が所定値以上の場合に乗員への情報提供を行うことを特徴とする車両用情報提供装置が提案される。
【0011】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記移動物存在確率算出手段は、前記移動物検出手段が移動物を検出してからの経過時間に基づいて所定位置における移動物の存在確率を算出することを特徴とする車両用情報提供装置が提案される。
【0012】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記移動物存在確率算出手段は、前記移動物検出手段が移動物を検出した位置から所定位置までの距離に基づいて該所定位置における移動物の存在確率を算出することを特徴とする車両用情報提供装置が提案される。
【0013】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、前記移動物存在確率算出手段は、前記基地局側地図データ記憶手段に記憶した地図データの道路分岐情報に基づいて所定位置における移動物の存在確率を算出することを特徴とする車両用情報提供装置が提案される。
【0014】
尚、実施の形態の検出車両VBは本発明の移動物に対応し、実施の形態のレーザーレーダー装置11は本発明の移動物検出手段に対応し、実施の形態のナビゲーションシステム12は本発明の自車情報検出手段あるいは自車側地図データ記憶手段に対応する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の構成によれば、自車が、自車の位置、走行速度および走行方向を含む自車情報と、移動物の位置、走行速度および走行方向を含む移動物情報と、それらが得られた時刻を含む時刻情報とを基地局に送信すると、基地局は前記各情報に基づいて地図データ上における移動物の存在確率を算出するとともに、自車位置および移動物の存在確率に基づいて自車位置を含む所定範囲内に存在する移動物の予測情報を自車に送信するので、自車は、前記予測情報に基づいて乗員への情報提供を行うことで、移動物との出会い頭の衝突を回避することができる。その際、移動物は自車情報や移動物情報を検出する手段や、自車あるいは基地局との間で通信する手段を備えている必要がないため、自車は全ての移動物を対象として出会い頭の衝突を回避することができ、しかも各交差点毎にインフラを整備する必要がないので低コストで実現することができる。
【0016】
また請求項2の構成によれば、自車は地図データと該地図データ上の自車位置とに基づいて自車の走行方向に存在する交差点を検出し、基地局から送信された移動物の予測情報から交差点に移動物が進入すると判断された場合に乗員への情報提供を行うので、交差点における移動物との衝突を効果的に回避することができる。
【0017】
また請求項3の構成によれば、情報提供手段は、自車の走行速度が所定値以上であり、かつ自車の走行方向に存在する交差点に進入する移動物の存在確率が所定値以上の場合に乗員への情報提供を行うので、交差点において移動物に接近した際に回避が困難な場合に情報提供を行うことで、移動物との衝突を効果的に回避することができる。
【0018】
また請求項4の構成によれば、移動物存在確率算出手段は、移動物検出手段が移動物を検出してからの経過時間に基づいて所定位置における移動物の存在確率を算出するので、移動物の存在確率を精度良く算出することができる。
【0019】
また請求項5の構成によれば、移動物存在確率算出手段は、移動物検出手段が移動物を検出した位置から所定位置までの距離に基づいて該所定位置における移動物の存在確率を算出するので、移動物の存在確率を精度良く算出することができる。
【0020】
また請求項6の構成によれば、移動物存在確率算出手段は、基地局側地図データ記憶手段に記憶した地図データの道路分岐情報に基づいて所定位置における移動物の存在確率を算出するので、移動物の存在確率を精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車両用報提供装置のシステム構成を示す図。
【図2】自車側システムのブロック図。
【図3】基地局側システムのブロック図。
【図4】自車における検出車両の検出処理のフローチャート。
【図5】基地局における検出車両の情報処理のフローチャート。
【図6】自車における運転者に対する情報提供処理のフローチャート。
【図7】検出位置からの距離に応じた検出車両の存在確率の一例を、検出からの経過時間に応じ示すグラフ。
【図8】道路の分岐状態に応じた検出車両の存在確率の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜図8に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1および図2に示すように、自車VAは、例えば移動物検出手段を構成するレーザーレーダー装置11を備えたプローブカーであり、レーザーレーダー装置11によって自車VAの近傍に存在する他車(以下、検出車両VBと言う)を検出する。検出車両VBには、自車VAの前方を同方向に走行する先行車や、自車VAの後方を同方向に走行する後続車や、自車VAの前方から接近する対向車等が含まれる。自車VAには、地図データを記憶する機能、自車位置を検出する機能、自車VAの走行方向を検出する機能を備えるナビゲーションシステム12が搭載される。また自車VAは、自車VAの車速を検出する車速センサ13と、運転者に音響、画像、光等で注意を喚起する注意喚起手段14と、運転者に音響、画像、光等で警報を発する警報手段15とを備える。注意喚起手段14および警報手段15は同一のスピーカ、ディスプレイ、ランプ等で構成される情報提供手段16に相当するもので、その出力する信号の強さで注意喚起機能および警報機能を選択的に発揮することが可能である。
【0024】
ナビゲーションシステム12は第1地図情報記憶手段を構成するとともに、車速センサ13と合わせて自車情報検出手段を構成する。自車情報検出手段が検出する自車情報には、第1地図情報記憶手段に記憶された地図上の自車VAの位置、自車VAの走行方向および自車VAの走行速度が含まれる。
【0025】
前記レーザーレーダー装置11、ナビゲーションシステム12、車速センサ13および情報提供手段16が接続される自車VAの電子制御ユニット17は、移動物情報算出手段17aを備える。移動物情報算出手段17aは、自車情報検出手段が検出した自車VAの位置、自車VAの走行方向および走行速度と、レーザーレーダー装置11で検出した検出車両VBの相対走行方向および相対走行速度とを比較することで、第1地図情報記憶手段に記憶された地図上の検出車両VBの位置、検出車両VBの走行方向および検出車両VBの走行速度を算出する。
【0026】
電子制御ユニット17には第1送信手段18および第1受信手段19が接続されており、第1送信手段18は、自車情報としての自車VAの位置、走行方向および走行速度と、移動物情報としての検出車両VBの位置、走行方向および走行速度と、それらの情報が検出あるいは算出された時刻よりなる時刻情報とを、後述する基地局20に送信する。第1受信手段19は、基地局20から送信された検出車両VBの情報、即ち、自車VAの進路上の交差点で自車VAと出会う可能性がある検出車両VBの情報を受信し、その際の衝突の可能性の高さに応じて情報提供手段16が運転者に注意喚起あるいは警報を行う。
【0027】
図1および図3に示すように、基地局20は、各々が第2送信手段21および第2受信手段22を含む多数の通信アンテナ23…と、各通信アンテナ23…がネットワーク24を介して接続される情報センター25とで構成される。情報センター25の情報サーバー26は移動物存在確率算出手段26aを備えており、複数の自車VAの第1送信手段18…から送信された自車情報、移動物情報および時刻情報と、基地局側地図データ記憶手段27に記憶された地図データとから、道路上の各位置における自車VA…および検出車両VB…の存在確率を算出する。そして前記存在確率は車両情報蓄積手段28に蓄積されて逐次更新され、第2送信手段21から各自車VAの第1受信手段19に送信される。
【0028】
次に、図4に基づいて自車VA(プローブカー)において行われる検出車両VBの検出処理を更に説明する。
【0029】
ステップS1:ナビゲーションシステム12により地図データ上の自車VAの位置および走行方向を検出するとともに、車速センサ13により自車VAの車速を検出する。
【0030】
ステップS2:移動物検出手段であるレーザーレーダー装置11により自車VAの走行方向前方の先行車、自車VAの走行方向後方の後続車および自車VAに向かって走行する対向車等の検出車両VBの存在を検出する。
【0031】
ステップS3:レーザーレーダー装置11で検出した検出車両VBの地図データ上の位置を算出する。この地図データ上の検出車両VBの位置は、地図データ上の自車VAの位置が既知であることから、レーザーレーダー装置11で検出した検出車両VBの自車VAに対する相対位置を用いて算出することができる。
【0032】
ステップS4:レーザーレーダー装置11で前回(1サイサイクル前)検出した検出車両VBの相対位置と今回検出した検出車両VBの相対位置とを比較することで、自車VAに対する検出車両VBの相対走行速度および相対走行方向を算出し、これらの相対走行速度および相対走行方向と自車VAの車速および走行方向とを比較することで、検出車両VBの絶対的な走行速度および走行方向を算出する。
【0033】
ステップS5:自車情報である自車VAの位置、走行方向、走行速度と、移動物情報である検出車両VBの位置、走行方向、走行速度と、時刻情報である現在の時刻とを、自車VAの第1送信手段18から基地局20の第2受信手段22へ所定時間毎に送信する。
【0034】
次に、図5に基づいて基地局20において行われる検出車両VBの情報処理を説明する。
【0035】
ステップS11:自車VAの第1送信手段18から送信される自車情報である自車VAの位置、走行方向、走行速度と、移動物情報である検出車両VBの位置、走行方向、走行速度と、時刻情報である現在の時刻とを、基地局20の第2受信手段22で受信する。
【0036】
ステップS12:基地局20の情報センター25は、は所定時間毎に受信した前記各データを車両情報蓄積手段28に記憶して逐次更新する。
【0037】
ステップS13:前回に続いて今回受信した移動物情報は、前回の情報を今回の情報に書き換える。また自車VAあるいは検出車両VBが進路を変えたりして前回は受信されたが今回は受信されなかった移動物情報については、最後に受信した情報から今回の位置を推定する。推定される今回の位置とは、基地局側地図データ記憶手段27に記憶された地図データ上の任意の位置における検出車両VBの存在確率として表される。基地局20の情報サーバー26の移動物存在確率算出手段26aは、検出車両VBの存在確率を以下のようにして算出する。
【0038】
図7は、検出車両VBが所定時間後に何れの位置に存在するかの存在確率の一例を示すものである。検出車両VBの平均車速が10m/sであり、車速分散が1m/sであり、現在位置の距離を0m(基準位置)とすると、1秒後には距離10mに存在する確率が最大となり、2秒後には距離20mに存在する確率が最大となり、3秒後には距離30mに存在する確率が最大となり、4秒後には距離40mに存在する確率が最大となり、5秒後には距離50mに存在する確率が最大となり、6秒後には距離60mに存在する確率が最大となる。そして各時刻での存在確率は時間の経過と共に小さくなり、距離のばらつきは時間の経過と共に大きくなる。このように、時間の経過および距離の変化に伴って所定位置に検出車両VBが存在する確率は変化する。
【0039】
図8は、検出車両VBの前方の道路の分岐状態に応じた存在確率の一例を示すものである。検出車両VBが走行する広い道路Aに交差点aで狭い道路Bが交差し、交差点bで広い道路Cが交差しているとする。交差点aを通過した後の検出車両VBの存在確率は、狭い道路Bに右折あるいは左折する確率が小さいため、道路Aの存在確率が80%であり、道路Bの左右の存在確率が各々10%である。更に、道路Aの交差点aの先に進入した検出車両VBは、交差点bで広い道路Cに右左折する確率は前記狭い交差点aで右左折する確率よりも大きいため、道路Aの存在確率が40%であり、道路Bの左右の存在確率が各々20%である。このように、道路の分岐状態や道路の広さに応じて道路の各部分に検出車両VBが存在する確率は変化する。
【0040】
以上のように、移動物存在確率算出手段26aは、自車情報および移動物情報を得てからの経過時間と、自車情報および移動物情報を得た位置からの距離と、地図データの道路分岐情報とに基づいて所定位置における検出車両VBの存在確率を算出するので、検出車両VBの存在確率を精度良く算出することができる。
【0041】
ステップS14:既に検出されなくなって存在確率のピーク値が所定値以下になった検出車両VBの情報は、車両情報蓄積手段28から削除する。
【0042】
ステップS15:各自車VA(プローブカー)について、その現在位置から所定範囲内に存在する検出車両VB(周辺車両)の情報を車両情報蓄積手段28から抽出し、その情報を基地局20の第2送信手段21から各自車VAに送信する。
【0043】
次に、図6に基づいて自車VA(プローブカー)において行われる自車VAの運転者に対する情報提供処を説明する。
【0044】
ステップS21:基地局20の第2送信手段21からの情報を自車VAの第1受信手段19で受信する。
【0045】
ステップS22:ナビゲーションシステム12から地図情報を取得する。
【0046】
ステップS23:車速センサ13で検出した自車VAの車速が所定値以上であり、かつ地図データ上の自車VAの走行方向前方に交差点があり、かつ該交差点に進入する検出車両VBの情報が受信されているか否かを判断する。
【0047】
ステップS24:前記ステップS23の答がYESの場合、前記交差点で自車VAが前記検出車両VBに出会い頭に衝突する可能性あると判断し、情報提供手段16の注意喚起手段14を作動させて検出車両VBとの衝突を回避すべく注意喚起を行う。
【0048】
ステップS25:前記ステップS23の答がNOの場合、前記交差点で自車VAが前記検出車両VBに出会い頭に衝突する可能性がないと判断し、情報提供手段16の注意喚起手段14を作動させないか、あるいは作動中であれば作動を停止する。
【0049】
ステップS26:前記交差点に進入する検知車両VBの存在確率が所定値以上であるか否かを判断する。
【0050】
ステップS27:前記ステップS26の答がYESの場合、前記交差点で自車VAが前記検出車両VBに出会い頭に衝突する可能性が高いと判断し、情報提供手段16の警報手段15を作動させて検出車両VBとの衝突を回避すべく運転者に対して警報を行う。
【0051】
ステップS25:前記ステップS26の答がNOの場合、前記交差点で自車VAが前記検出車両VBに出会い頭に衝突する可能性がないと判断し、情報提供手段16の警報手段15を作動させないか、あるいは作動中であれば作動を停止する。
【0052】
尚、情報提供手段16が画像を媒体とする場合には、注意喚起の場合は画像の輝度を低くし、警報の場合には画像の輝度を高くする。また情報提供手段16が音響を媒体とする場合には、注意喚起の場合は音響の強さを弱くし、警報の場合には音響の強さを強くする。
【0053】
例えば、図1において、自車VA(3) が前方の交差点に進入しようとするとき、交差点の左側から別の自車VA(2) が接近し、交差点の右側から検出車両VB(1) が接近するが、自車VA(3) が自車VA(2) あるいは検出車両VB(1) に衝突する可能性がある場合には、自車VA(1) の運転者に注意喚起あるいは警報を行って出会い頭の衝突を回避することができる。
【0054】
以上のように、自車VAが、自車VAの位置、走行速度および走行方向を含む自車情報と、検出車両VBの位置、走行速度および走行方向を含む移動物情報と、それらが得られた時刻を含む時刻情報とを基地局20に送信すると、基地局20は前記各情報に基づいて地図データ上における移動物の存在確率を算出するとともに、自車位置および検出車両VBの存在確率に基づいて自車VAが進入する交差点に進入するであろう検出車両VBの予測情報を自車VAに送信するので、自車VAの運転者に対して前記予測情報に基づいて乗員への注意喚起や警報を行うことで、検出車両VBとの出会い頭の衝突を回避することができる。
【0055】
しかも、検出車両VBは自車情報や移動物情報を検出する手段や、自車VAあるいは基地局20との間で通信する手段を備えている必要がないため、全ての検出車両VBを対象として出会い頭の衝突を回避することができ、しかも各交差点毎にインフラを整備する必要がないので低コストで実現することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0057】
例えば、実施の形態では移動物検出手段としてレーザーレーダー装置11を例示したが、移動物検出手段はミリ波レーダー装置やテレビカメラであっても良い。
【0058】
また実施の形態では移動物として検出車両VBを例示したが、移動物は歩行者であっても良い。
【0059】
また実施の形態では情報提供手段16が画像や音響で運転者に情報を提供するようになっているが、自動ブレーキを作動させたりステアリングホイールに操舵反力を付与したりすることで運転者に注意喚起あるいは警報を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
VA 自車
VB 検出車両(移動物)
11 レーザーレーダー装置(移動物検出手段)
12 ナビゲーションシステム(自車情報検出手段、自車側地図データ記憶手段)
16 情報提供手段
17a 移動物情報算出手段
18 第1送信手段
19 第1受信手段
20 基地局
21 第2送信手段
22 第2受信手段
27 基地局側地図データ記憶手段
26a 移動物存在確率算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車(VA)および基地局(20)間で相互に通信を行うことで、自車(VA)の進路上で自車(VA)に接近する可能性がある移動物(VB)の情報を自車(VA)の乗員に提供する車両用情報提供装置であって、
自車(VA)は、
自車(VA)の位置、走行速度および走行方向を含む自車情報を検出する自車情報検出手段(12,13)と、
自車周辺に存在する移動物(VB)を検出する移動物検出手段(11)と、
前記移動物検出手段(11)の検出結果および前記自車情報に基づいて移動物(VB)の位置、走行速度および走行方向を含む移動物情報を算出する移動物情報算出手段(17a)と、
前記自車情報、前記移動物情報および該情報が得られた時刻を基地局(20)に送信する第1送信手段(18)と、
前記基地局(20)からの信号を受信する第1受信手段(19)と、
乗員に情報提供を行う情報提供手段(16)とを備え、
前記基地局(20)は、
前記送第1送信手段(18)により送信された信号を受信する第2受信手段(22)と、
地図データを記憶する基地局側地図データ記憶手段(27)と、
前記第2受信手段(22)で得られた前記移動物情報および前記時刻情報に基づいて前記地図データ上における移動物(VB)の存在確率を算出する移動物存在確率算出手段(26a)と、
前記第2受信手段(22)により得られた自車位置および前記移動物(VB)の存在確率に基づいて、自車位置を含む所定範囲内に存在する移動物(VB)の予測情報を自車(VA)に送信する第2送信手段(21)とを備え、
前記情報提供手段(16)は、自車位置と前記第1受信手段(19)で受信した前記予測情報とに基づいて乗員への情報提供を行うことを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項2】
自車(VA)は、
地図データを記憶する自車側地図データ記憶手段(12)と、
前記自車情報検出手段(12,13)で検出した自車位置および前記自車側地図データ記憶手段(12)に記憶した地図データに基づいて自車(VA)の走行方向に存在する交差点を検出するとともに、前記基地局(20)の第2送信手段(21)から送信された移動物(VB)の予測情報から前記交差点に移動物(VB)が進入すると判断された場合に、前記情報提供手段(16)は乗員への情報提供を行うことを特徴とする、請求項1に記載の車両用情報提供装置。
【請求項3】
前記情報提供手段(16)は、自車(VA)の走行速度が所定値以上であり、かつ自車(VA)の走行方向に存在する交差点に進入する移動物(VB)の存在確率が所定値以上の場合に乗員への情報提供を行うことを特徴とする、請求項2に記載の車両用情報提供装置。
【請求項4】
前記移動物存在確率算出手段(26a)は、前記移動物検出手段(11)が移動物(VB)を検出してからの経過時間に基づいて所定位置における移動物(VB)の存在確率を算出することを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用情報提供装置。
【請求項5】
前記移動物存在確率算出手段(26a)は、前記移動物検出手段(11)が移動物(VB)を検出した位置から所定位置までの距離に基づいて該所定位置における移動物(VB)の存在確率を算出することを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用情報提供装置。
【請求項6】
前記移動物存在確率算出手段(26a)は、前記基地局側地図データ記憶手段(27)に記憶した地図データの道路分岐情報に基づいて所定位置における移動物(VB)の存在確率を算出することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−224762(P2010−224762A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69940(P2009−69940)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】